説明

三次元造形用材料、三次元造形物の製造方法及び三次元造形物

【課題】表面平滑性が良好で、体積収縮が抑制された、高強度の三次元造形物が得られる三次元造形用材料、及び、三次元造形物の製造方法、並びに、前記製造方法により製造された三次元造形物を提供すること。
【解決手段】(A)粉末材料及び粉末材料を結合する(B)結合剤を含み、(A)粉末材料が平均円形度0.95以下の非真球高分子粒子である三次元造形用材料。支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する工程及び造形対象物を平行な断面で切断した断面形状になるように前記層における粉末材料を結合剤により結合させる工程を順次繰り返すことを含み、粉末材料及び結合剤として前記(A)粉末材料及び(B)結合剤を用いる三次元造形物の製造方法。前記製造方法により製造された三次元造形物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三次元造形用材料、三次元造形物の製造方法及び三次元造形物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、立体的な造形対象物を平行な複数の面で切断した断面形状とし、各断面形状に対応させて粉末材料の薄層を結合剤により結合し、この結合された薄層よりなる断面形状を順次積層させることによって、造形対象物の三次元モデルとなる造形物を作製する技術が知られている。
【0003】
このような技術は、ラピッドプロトタイピングと呼ばれ、部品試作及びデザイン確認用途などに利用することができる。近年、安価かつ高速、さらにはカラーモデリング作製に適するインクジェットを利用する方式のものが提案されており、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されたものがある。この立体造形の具体的な手順を以下に説明する。
【0004】
特許文献1に記載された立体造形の手順について説明する。まず、ブレード機構により粉末材料を平らな表面上に均一な厚さを有する薄層に拡げ、この粉末材料の薄層表面に、インクジェットノズルヘッドを走査させて、造形対象物を平行な断面により切断した断面形状に対応させて、結合剤を吐出する。結合剤が吐出された領域の粉末材料は、必要な操作を施すことにより、粉末材料を接合状態にするとともに、既に形成済の下層の断面形状とも結合する。そして、造形物全体が完成するまで、粉末材料の薄層を上部に順次積層しながら、結合剤を吐出する工程を繰り返す。最終的に、結合剤が吐出されなかった領域は、粉末材料が個々に独立して互いに接合しない状態であるため、造形物を装置から取り出す際に、粉末材料は容易に除去することができ、目的とする造形物を分離できる。以上の操作により、所望の三次元造形物が製造できる。
【0005】
特許文献2は、三次元物体を形成する方法であって、粒子材料を含むフィラー層を形成するステップと、化学組成物を前記フィラー層の特定の位置に塗布して、そのフィラーを特定の位置で結合させるステップとを包み、前記化学組成物が非水性有機モノマー化合物を含む、方法を開示する。
【0006】
【特許文献1】特許第2729110号公報
【特許文献2】特表2003−531220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、表面平滑性が良好で、体積収縮が抑制された、高強度の三次元造形物が得られる三次元造形用材料、及び、三次元造形物の製造方法、並びに、前記製造方法により製造された三次元造形物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下に記載の<1>〜<6>によって達成された。
<1> (A)粉末材料、及び、前記(A)粉末材料を結合する(B)結合剤を含み、前記(A)粉末材料が平均円形度0.95以下の非真球高分子粒子であることを特徴とする三次元造形用材料、
<2> 前記非真球高分子粒子の長軸直径/短軸直径比が4.0以下である<1>に記載の三次元造形用材料、
<3> 前記(A)粉末材料の体積平均粒径が0.5〜100μmである<1>又は<2>に記載の三次元造形用材料、
<4> 支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する層形成工程、及び、造形対象物を平行な断面で切断した断面形状になるように前記層における粉末材料を結合剤により結合させる結合工程を順次繰り返すことを含み、前記粉末材料及び前記結合剤として<1>〜<3>いずれか1つに記載の三次元造形用材料を用いることを特徴とする三次元造形物の製造方法、
<5> 前記結合工程において、前記結合剤をインクジェットにより吐出する<4>に記載の三次元造形物の製造方法、
<6> <4>又は<5>に記載の三次元造形物の製造方法により製造された三次元造形物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表面平滑性が良好で、体積収縮が抑制された、高強度の三次元造形物が得られる三次元造形用材料、及び、三次元造形物の製造方法、並びに、前記製造方法により製造された三次元造形物を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
I.三次元造形用材料
本発明の三次元造形用材料は、(A)粉末材料、及び、前記(A)粉末材料を結合する(B)結合剤を含み、前記(A)粉末材料が平均円形度の0.95以下の非真球高分子粒子であることを特徴とする。
【0011】
特許文献2では、粒子材料として石膏などの無機化合物を用いているが、これらの粉末素材は粒子径が大きく、また角張った鋭利な結晶構造をしている為に、得られた三次元造形物表面の質感がざらざらしているという問題点があった。また、有機粒子に関する開示もされているが、粒子径が小さい場合には三次元造形物表面の質感は向上するが、粒子材料の凝集による二次粒子が発生しやすく、粒子材料の充填率が低下するために強度低下及び体積収縮が起こるという問題点がある。
一方、粒子径を大きくすると、充填率の向上により強度低下及び体積収縮は軽減されるが、粒子径に起因する表面平滑性の低下及び造形物の精細度が低下するという欠点がある。これまではこれらのバランスを考慮した粒子径の有機粒子を用いて対応しても、双方を満足することはできなかった。
【0012】
本発明においては、粉末材料として平均円形度0.95以下の非真球高分子粒子を用いることにより、非真球高分子粒子間の接触面積を小さくすることができ、粒子径を小さくしたとしても凝集の発生を抑制することができる。従って、表面平滑性が良好で、かつ高強度の三次元造形物を得ることができる。また、粒子を異型化することにより、粒子の充填率を向上できたため体積収縮を抑制することができた。
以下、それぞれの成分について詳述する。
【0013】
<(A)粉末材料>
本発明の三次元造形用材料は、(A)粉末材料として平均円形度0.95以下の非真球高分子粒子を含有する。
高分子粒子の平均円形度は、シスメックス(株)製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて粒子画像を取得し、画像解析により容易に求めることができる。
円形度とは、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、高分子粒子の投影像の周囲長で除した値として定義され、次式により求められる値である。
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
また、平均円形度(Ca)は、次式により求められる値である。
【0014】
【数1】

【0015】
上記式において、nは円形度Ciを求めた粒子の個数である。
上記式において、Ciは、0.6〜400μmの円相当径の粒子群の各粒子について測定された円周長を元に、算出された各粒子の円形度である。
上記式において、fiは円形度Ciの粒子の頻度である。
平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、高分子粒子表面の凹凸の度合いを示す指標である。平均円形度は、粒子が完全な球形の場合に1を示し、粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。
【0016】
非球形高分子粒子は、平均円形度が0.95以下であり、好ましくは0.30〜0.95であり、より好ましくは0.50〜0.95であり、特に好ましくは0.70〜0.95である。平均円形度が0.95よりも大きいと粉末材料の凝集による二次粒子が発生し、三次元造形物中における粉末の充填率が低下するために強度低下及び体積収縮抑制能力が低下する。0.30〜0.95の範囲内であると強度に優れた三次元造形物が得られる。
【0017】
また、上記の平均円形度を示す非真球高分子粒子において、単一粒子の最長となる直径(長軸直径)と最短となる直径(短軸直径)の直径比(長軸直径/短軸直径比)が、4.0以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。なお、長軸直径/短軸直径比は真球の場合に1を示すことから、本発明に用いる非真球高分子粒子においては、長軸直径/短軸直径比は1を超えた値となる。
粉末材料の長軸直径及び短軸直径の測定方法としては、粒子を撮影した画像において計測する方法が例示できる。例えば、粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影した画像において、30個以上の粒子について、長軸直径及び短軸直径を計測し、平均値を求める方法が好ましく例示できる。ここで、長軸直径とは撮影した粒子の最大長をいい、短軸直径とは最小長をいう。最大長及び最小長は、例えば画像解析プログラムMac−View((株)マウンテンテック製)を用いて測定することができる。
【0018】
粉末材料の好ましい粒度分布としては、粒子全重量のうち80重量%以上が、0.1〜100μmの範囲内に分布することが好ましく、0.3〜50μmの範囲内に分布することがより好ましく、0.5〜5μmの範囲内に分布することがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、粒子の充填率が高く、三次元造形物強度が優れ、造形物表面の形状において粒子の凹凸による影響が少なく、三次元造形物の表面平滑性に優れる。
【0019】
粉末材料の体積平均粒径は、0.1〜100μmであることが好ましく、0.3〜50μmであることがより好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましく、1.0〜3.0μmであることが特に好ましい。上記の数値の範囲内であると、粉末材料の粒子の凝集を抑制でき、充填率が高く、表面平滑性に優れた三次元造形物が得られる。体積平均粒径は、例えば超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)を用いて測定することができる。
【0020】
平均円形度0.95以下の非真球高分子粒子の製造方法について説明する。
平均円形度0.95以下の非真球高分子粒子は例えば、「ナノ粒子・超微粒子の新展開((株)東レリサーチセンター)」、「微粒子ポリマーの応用技術」((株)シーエムシー出版(室井宗一監修))、「高分子微粒子の技術と応用」((株)シーエムシー出版(尾見信三、他、監修))、「高分子」52,696(2003)、「繊維と工業」60,381(2004)、特開2007−9192号公報や特開2007−326904号公報に記載の既知の方法により合成できる。
具体的には、非水溶媒中で、分散安定用樹脂の存在下、ラジカル重合性モノマーを共重合することによって製造できる。
【0021】
本発明に用いる非水溶媒としては、比誘電率1.5〜20及び表面張力15〜60mN/m(25℃において)を有する非極性の絶縁性溶剤が好ましく、毒性の少ないもの、引火性が少ないもの、臭気が少ないものがよい。
【0022】
このような非水溶媒の例としては、直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、石油ナフサ及びこれらのハロゲン置換体等から選ばれた炭化水素溶媒が挙げられる。
例えばヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、エクソン社製のアイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーV、フィリップ石油社製のソルトール、出光興産(株)製のIPソルベント、石油ナフサでは昭和シェル石油(株)製社のS.B.R.、シェルゾール70、シェルゾール71、モービル石油(株)製のベガゾール等から選ばれた溶媒を単独あるいは混合して用いることが好ましい。
【0023】
好ましい炭化水素溶剤としては、沸点が150〜350℃の範囲にある高純度のイソパラフィン系炭化水素が挙げられ、市販品としては前述のエクソン社製のアイソパーG,H,L,M,V(商品名)、ノーパー12,13,15(商品名)、出光興産(株)製のIPソルベント1620,2028(商品名)、日本石油化学製のアイソゾール300,400(商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)等が挙げられる。
これらの製品は、極めて純度の高い脂肪族飽和炭化水素であり、25℃における粘度は3cSt以下、25℃における表面張力は22.5〜28.0mN/m、25℃における比抵抗は1010Ω・cm以上であるものが好ましい。また、反応性が低く安定であり、低毒性で安全性が高く、臭気も少ないという特徴がある。
【0024】
ハロゲン置換の炭化水素系溶媒としてフルオロカーボン系溶媒があり、例えばC716、C818などのCn2n+2で表されるパーフルオロアルカン類(住友スリーエム(株)製「フロリナートPF5080」、「フロリナートPF5070」(商品名)等)、フッ素系不活性液体(住友スリーエム(株)製「フロリナートFCシリーズ」(商品名)等)、フルオロカーボン類(デュポン(株)製「クライトックスGPLシリーズ」(商品名)等)、フロン類(ダイキン工業(株)製「HCFC−141b」(商品名)等)、[F(CF24CH2CH2I]、[F(CF26I]等のヨウ素化フルオロカーボン類((株)ダイキンファインケミカル研究所製「I−1420」、「I−1600」(商品名)等)等がある。
【0025】
本発明で使用される非水溶媒として、さらに高級脂肪酸エステルや、シリコーンオイルも使用できる。シリコーンオイルの具体例としては、低粘度の合成ジメチルポリシロキサンが挙げられ、市販品としては、信越シリコーン製のKF96L(商品名)、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSH200(商品名)等がある。シリコーンオイルとしてはこれらの具体例に限定されるものではない。これらのジメチルポリシロキサンは、その分子量により非常に広い粘度範囲のものが入手可能であるが、1〜20cStの範囲のものを用いるのが好ましい。これらのジメチルポリシロキサンは、イソパラフィン系炭化水素同様、1010Ω・cm以上の体積抵抗率を有し、高安定性、高安全性、無臭性といった特徴を有しているものが好ましい。またこれらのジメチルポリシロキサンは、表面張力が低いことに特徴があり、18〜21mN/mの表面張力を有しているものが好ましい。
【0026】
分散安定用樹脂は、非水溶媒中で、ラジカル重合性モノマーを重合して生成した非真球高分子粒子を安定な分散物とするために用いられる。
分散安定用樹脂としては、特開2007−009192号公報段落0035〜0109、特開2007−326904号公報段落0034〜0108に記載された分散安定用樹脂を好ましく用いることができる。
【0027】
本発明で用いられるラジカル重合性モノマーとしては、一分子中に同一であっても異なっていてもよい少なくとも2個の重合性基を有する化合物(以下、「多官能ラジカル重合性モノマー」ともいう。)を少なくとも1つ使用するのが好ましい。以下、該化合物に関して説明する。
【0028】
多官能ラジカル重合性モノマーに含まれる重合性基としては、ラジカル重合反応性を示すエチレン性不飽和結合を有する基が好ましく、好ましい重合性基としては、置換基を有していてもよい、アクリル基、メタアクリル基、アリル基、ビニル基及びクロトニル基等が挙げられる。
重合性基の数は1分子中に2個以上であればよいが、2〜18個が好ましく、2〜12個がより好ましく、2〜6個がさらに好ましい。上記の数値の範囲内であると、非真球の粒子の形成が容易となるため好ましい。
【0029】
以下に本発明に好ましく用いることができる多官能ラジカル重合性モノマーの具体例を示す。
【0030】
【化1】

【0031】
【化2】

【0032】
【化3】

【0033】
【化4】

【0034】
また本発明では、多官能ラジカル重合性モノマーとして、分子内にラジカルとの反応性が異なる少なくとも2種のエチレン性不飽和結合を有するモノマーを用いることが好ましい。ラジカルとの反応性が異なるとは、モノマーが有する一方のエチレン性不飽和結合のラジカル重合条件下で、もう一方のエチレン性不飽和結合が、重合性を示さないか、あるいは、実質的にポリマーを与えないことを示す。
【0035】
分子内にラジカルとの反応性が異なる少なくとも2種のエチレン性不飽和結合を有する多官能ラジカル重合性モノマーは式(I)で表されるモノマーであることが好ましい。
【0036】
【化5】

【0037】
式(I)において、R1は、水素原子又は炭素数1〜6の置換もしくは未置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基等)を表し、R2〜R6は、水素原子又は炭素数1〜6の置換もしくは未置換のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)を表し、それぞれ隣接する炭素上の置換基が互いに結合し、5〜7員環の環状構造を形成してもよい。
【0038】
Yは2価の連結基を表し、例えば、単結合、−COO−、−OCO−、−CH2OCO
−、−CH2COO−、−O−、−CONHCOO−、−CONHOCO−、−SO2−、−CON(Q1)−、−SO2N(Q1)−、直鎖又は分岐を有する炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基(以下、フェニレン基を「−Ph−」と記載することもある。なお、フェニレン基は1,2−、1,3−及び1,4−フェニレン基を包含する。)、及び、これらを2以上組合せた連結基が挙げられる。
ここでQ1は、水素原子又は炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、アリル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、ベンジル基、クロロベンジル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ジメチルベンジル基、フロロベンジル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)を表す。
【0039】
式(I)で表される多官能ラジカル重合性モノマーの具体例を下記に示す。
【0040】
【化6】

【0041】
前記多官能ラジカル重合性モノマーの他に、ラジカル重合性モノマーとして、粒子形成性、粒子分散性、粒子荷電性を制御するために、非水溶媒には可溶であるが重合することによって不溶化する単官能ラジカル重合性モノマーを好ましく用いることができる。具体的には、例えば下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
【0042】
【化7】

【0043】
式(II)中、V2は二価の連結基を表し、具体的には単結合、−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−CONHCOO−、−CONHOCO−、−SO2−、−CON(Q1)−、−SO2N(Q1)−、炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基及びこれらの組合せが挙げられる。ここでQ1は、水素原子又は炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、ベンジル基、クロロベンジル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ジメチルベンジル基、フロロベンジル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)を表す。
【0044】
Tは水素原子又は炭素数1〜6の置換されてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、2−ニトロエチル基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−エトキシエチル基、3−ブロモプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−フルフリルエチル基、2−チエニルエチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、4−カルボキシブチル基、2−カルボキシアミドエチル基、2−N−メチルカルボキシアミドエチル基、シクロペンチル基、クロロシクロヘキシル基、ジクロロヘキシル基等)を表す。
【0045】
1及びa2は、互いに同じでも異なってもよく、好ましくは各々水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基等)、−COO−Q2又はCH2−COO−Q2(ここでQ2は水素原子、又は置換されてもよい炭素数10以下の炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基等)を表す。)を表す。
【0046】
単官能ラジカル重合性モノマーの例としては、例えば炭素数1〜6の脂肪族カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、モノクロロ酢酸等)のビニルエステル類あるいはアリルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸の炭素数1〜4の置換されてもよいアルキルエステル類又はアミド類(アルキル基として例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−ニトロエチル基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−ベンゼンスルホニルエチル基、2−カルボキシエチル基、4−カルボキシブチル基、3−クロロプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−フルフリルエチル基、2−チエニルエチル基、2−カルボキシアミドエチル基等);スチレン誘導体(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルベンゼンカルボン酸、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、メトキシメチルスチレン、ビニルベンゼンカルボキシアミド、ビニルベンゼンスルホアミド等);アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;マレイン酸、イタコン酸の環状酸無水物;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;重合性二重結合基含有のヘテロ環化合物(具体的には、例えば高分子学会編「高分子データハンドブック−基礎編−」、p175〜184、培風舘(1986年刊)に記載の化合物、例えば、N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、ビニルチオフェン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルオキサゾリン、ビニルチアゾール、N−ビニルモルホリン等)等が挙げられる。
【0047】
重合に用いる重合開始剤としては、過酸化物系及びアゾ系開始剤が挙げられ、中でもアゾ系開始剤が好ましく、具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メチキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。
【0048】
非真球高分子粒子の合成は、前記非水溶媒中、前記分散安定樹脂存在下、前記ラジカル重合性モノマーを、ラジカル重合することにより得ることができる。
具体的には、分散安定用樹脂、ラジカル重合性モノマー及び非水溶媒の混合物中に重合開始剤を添加する方法、分散安定用樹脂を非水溶媒に溶解し、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤を必要に応じ非水溶媒とともに滴下していく方法等があり、いずれの方法を用いても製造することができる。重合において、モノマー濃度は、重合に用いる全重合性モノマー、非水溶媒、分散安定用樹脂の合計に対し、5〜50重量%の範囲が好ましく、10〜40重量%がより好ましい。
【0049】
加熱温度は、使用する重合開始剤の分解温度に応じて定めることができ、30〜120℃が好ましく、50〜100℃がより好ましい。重合は、窒素等の不活性ガス気流下で行うことが好ましい。
【0050】
非真球高分子粒子は、単官能重合性化合物によってシード粒子を形成し、前記多官能重合性化合物を含有するラジカル重合性モノマー(フィードモノマー)と重合開始剤とを加えて、非真球高分子粒子を形成することもできる。
【0051】
この場合、シード粒子と、多官能重合性化合物を含有するラジカル重合性モノマー(フィードモノマー)の総量との使用割合は、シード粒子/フィードモノマーの総量の重量比で5/95〜95/5が好ましく、10/90〜80/20がより好ましい。シード粒子と全ラジカル重合性モノマーとの合計量は、非水溶媒100重量部に対して、好ましくは10〜150重量部であり、より好ましくは10〜100重量部である。
【0052】
分散安定用樹脂の使用量は、用いられる全単量体100重量部に対して、好ましくは3〜40重量部であり、より好ましくは5〜30重量部である。重合開始剤の量は全単量体の0.1〜10重量%が適当である。また、重合温度は40〜180℃が好ましく、より好ましくは50〜120℃である。反応時間は5〜20時間程度が好ましい。
【0053】
前記多官能ラジカル重合性モノマーに由来する単量体単位と、前記単官能ラジカル重合性モノマーに由来する単量体単位との共重合比(多官能重合性化合物/単官能重合性化合物)は、モル比で0.01/99.99〜30/70であることが好ましく、0.1/99.9〜20/80であることが好ましく、より好ましくは、1/99〜10/90である。上記の数値の範囲内であると、凝集させることなく非真球高分子粒子を合成できる。
【0054】
<(B)結合剤>
本発明の三次元造形用材料は(B)結合剤を含む。
本発明の三次元造形用材料に含まれる結合剤は、上記の粉末材料の材料間を結合できるものであれば特に限定されないが、例えば、光硬化性樹脂組成物が挙げられ、紫外線硬化性化合物を含む結合剤(以下、「UV硬化性結合剤」ともいう。)を好ましく使用できる。UV硬化性結合剤は、光重合開始剤及び少なくとも1種の重合性化合物を含み、ほぼすべての構成材料がUV光により硬化し、粉末材料を結着する機能を有するものが好ましい。
【0055】
各構成材料の割合としては、光重合開始剤を、重合性化合物及び光重合開始剤の総量に対して、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%含有する。モノマーの含量は、好ましくは90〜99.95重量%、より好ましくは95〜99.9重量%である。
【0056】
結合剤の粘度(25℃)は、1〜100mPa・sが好ましく、10〜50mPa・sがより好ましい。この粘度範囲になるように、粘度の高い多官能モノマーと粘度の低い単官能モノマーとを適宜混合して使用することが好ましい。
【0057】
UV硬化性結合剤に使用できる重合性化合物としては、UV光照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種又はカチオン種等により、付加重合又は開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
【0058】
付加重合性化合物としては、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する化合物が例示できる。付加重合性化合物として、末端にエチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物を使用できる。本発明においては結合剤をインクジェットノズルから安定に吐出できる限り、特に限定無く公知の付加重合性化合物を使用することができる。
【0059】
エチレン性不飽和化合物は、単官能の重合性化合物及び多官能の重合性化合物、(すなわち2官能、3官能及び4〜6官能)又はそれらの混合物の化学的形態をもつ。
単官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられる。
多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
【0060】
また、ヒドロキシ基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も使用できる。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との置換反応物も使用できる。
【0061】
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸エステルが代表的であり、具体例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ビス〔p−(3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−((メタ)アクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
ここで上記の「(メタ)アクリル酸エステル」等の表記はメタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルの両方の構造をとり得ることを表す省略的表記である。
【0062】
(メタ)アクリル酸エステルの他に、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル等も重合性化合物として使用することができる。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
【0063】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も使用できる。
【0064】
また、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
【0065】
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有するものを挙げることができる。
【0066】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(III)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0067】
CH2=C(R1)COOCH2CH(R2)OH (III)
(式(III)において、R1及びR2は、水素原子又はメチル基を表す。)
【0068】
本発明において、エポキシ基及び/又はオキセタン基等の環状エーテル基を分子内に1つ以上有するカチオン開環重合性の化合物をUVカチオン重合開始剤と共にUV硬化性の結合剤として使用することができる。
【0069】
以下、本発明に好ましく用いられるカチオン重合性化合物全般について説明する。カチオン重合性化合物としては、開環重合性基を含む硬化性化合物が挙げられ、この中でもヘテロ環状基含有硬化性化合物が好ましい。このような硬化性化合物としてエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類、ビニルエーテル類などが挙げられ、特にエポキシ誘導体及びオキセタン誘導体、ビニルエーテル類が好ましい。
好ましいエポキシ誘導体の例としては、例えば単官能グリシジルエーテル類、多官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、多官能脂環式エポキシ類などに大別される。より詳細には、特開2005−74824号公報段落0047〜0056に記載された化合物を好ましく例示できる。
【0070】
本発明のUV硬化性結合剤として、ラジカル重合性のエチレン性不飽和化合物とカチオン重合性の環状エーテル類(エポキシ誘導体及び/又はオキセタン誘導体)とを併用することも好ましい。相互貫入ポリマー網(IPN)の構造を取るためにバランスの取れた物性を有する結合体が得られる利点がある。この場合には、光重合開始剤として光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤(オニウム塩等)とを併用することが好ましい。
【0071】
UV硬化性結合剤の硬化後の揮発成分は5重量%以下であることが好ましい。このために結合剤に有機溶媒を使用しない無溶媒処方とすることが好ましい。
硬化後の揮発成分を低減するために、3次元造形物を製造した後に、残存モノマーをUV光照射又は加熱により後重合させることができる。
【0072】
粘度調整用重合性化合物としては、低粘度かつ重合性化合物と共重合可能な化合物が用いられる。例えば、アクリレート、メタアクリレート、アクリルアミド類等が挙げられる。具体的には、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ジ(メタ)アクリロイルオキシヘキサン等、好ましくは、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ジ(メタ)アクリロイルオキシヘキサン等が挙げられる。開環重合性の環状エーテル類においても、2官能以上の環状エーテル類は反応性が高いが粘度が高い。単官能の環状エーテル類を低粘度にするために併用することができる。
【0073】
本発明で使用する硬化性結合剤は、熱重合開始剤により硬化させることもできるが、光重合開始剤を用いて硬化させることが好ましい。
本発明に用いられる光重合開始剤とは、活性エネルギー線により活性なラジカル種又はカチオン種を発生し、結合剤の重合反応を開始、促進する化合物を示す。活性エネルギー線として、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが用いられる。この中でも紫外線により硬化させる方法が特に好ましい。
【0074】
本発明に使用できる熱重合開始剤は、公知であり結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物を使用することができる。熱重合開始剤は、単独で使用しても又は2種以上を併用して用いることができる。
【0075】
熱重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オニウム塩化合物、が挙げられる。
【0076】
光の作用によりラジカルを発生させる重合開始剤の例としてはアセトフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンジル系化合物等が好ましい。
アセトフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーズケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。
チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等が挙げられる。
上記の光カチオン発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども紫外線照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを単独で用いてもよい。また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン誘導体等が含まれる。
【0077】
紫外線によって活性なカチオン種を発生させる光重合開始剤としては、トリアリールスルホニウム塩等の芳香族ヨードニウム塩、ジアリールヨードニウム塩等の芳香族ヨードニウム塩等のオニウム塩開始剤が有用であり、スルホン酸のニトロベンジルエステルなどの非イオン性開始剤も使用できる。その他、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている公知の光重合開始剤も使用できる。
【0078】
光反応開始剤としては、芳香族スルフォニウム塩等が、熱的に比較的安定であるために、好ましい。芳香族スルフォニウム塩及び芳香族ヨードニウム塩をオニウム塩光反応開始剤として使用する場合、その対アニオンとしては、BF4-、AsF6-、SbF6-、PF6-、PF6-、B(C654-などが挙げられる。開始剤としては、芳香族スルフォニウムのPF6塩又はSbF6塩が、溶解性と適度の重合活性を有するために好ましく使用できる。
また、溶解性を改良するために、芳香族ヨードニウム塩又は芳香族スルフォニウム塩の芳香族基、通常はフェニル基に炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基を1つ以上導入した化学構造が好ましい。
芳香族スルフォニウム塩のPF6塩又はSbF6塩は、ユニオンカーバイド日本(株)等から市販されている。旭電化工業(株)からも、アデカオプトマーSPシリーズの商品名で芳香族スルフォニウムのPF6塩が市販されている。芳香族スルフォニウム塩は約360nmまでに吸収を有し、芳香族ヨードニウム塩は約320nmまでに吸収を有するので、硬化させるにはこの領域の分光エネルギーを含む紫外線を照射することが好ましい。
【0079】
また、前記UV硬化性結合剤以外の粉末材料の材料間を接着できる結合剤としては、オリゴマー及び/又はポリマーの溶解液が挙げられる。
オリゴマー及び/又はポリマーとしては、例えば、「ポリマーハンドブック」に記載の高分子化合物であれば特に限定されないが、例えば、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、非イオン性ポリマーが挙げられる。
アニオン性ポリマーの具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等の高分子化合物が挙げられる。
また、カチオン性ポリマーの具体例としては、ポリエチレンイミン及びポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
また、非イオン性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンのポリ酢酸ビニルとのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリルアミド及びポリ−2−エチル−2−オキサゾリン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸フェニル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸ヘキシル、ポリ(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、ポリ(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
本発明においては、非イオン性ポリマーを好ましく用いることができ、中でもポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸メチルを好ましく用いることができる。
【0080】
また、上記のオリゴマー及び/又はポリマーを溶解する溶液としては、上記のポリマーを溶解させる溶液であれば特に限定されないが、例えば、アルコール類(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)及びハロゲン化炭化水素類(例えばメチレンジクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、メチルクロロホルム等)等の溶媒、及び、水が挙げられる。
【0081】
(着色剤)
本発明に使用できる着色剤は染料と顔料に大別され、染料を好ましく使用することができる。
染料としては、減色法の3原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の染料を使用することにより広い範囲の色相を異なる彩度で再現することができる。本発明において、カラー写真のカラープリントに利用される染料を使用することが好ましい。以下に詳しく述べる。
【0082】
イエロー染料としては、米国特許3,933,501号明細書、同4,022,620号明細書、同4,326,024号明細書、同4,401,752号明細書、同4,248,961号明細書、特公昭58−10739号公報、英国特許1,425,020号明細書、同1,476,760号明細書、米国特許3,973,968号明細書、同4,314,023号明細書、同4,511,649号明細書、欧州特許249,473A号明細書、同502,424A号明細書の式(I),(II)で表されるカプラー、同513,496A号明細書の式(1),(2)で表されるカプラー(特に18頁のY−28)、同568,037A号明細書のクレーム1の式(I)で表されるカプラー、米国特許5,066,576号明細書のカラム1の45〜55行の一般式(I)で表されるカプラー、特開平4−274425号公報の段落0008の一般式(I)で表されるカプラー、欧州特許498,381A1号明細書の40頁のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD−35)、同447,969A1号明細書の4頁の式(Y)で表されるカプラー(特に、Y−1(17頁),Y−54(41頁))、米国特許4,476,219号明細書のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表されるカプラー(特にII−17,19(カラム17),II−24(カラム19))から得られるケトイミン型染料が挙げられる。好ましくは、特開2001−294773号公報、特開2002−121414号公報、特開2002−105370号公報、特開2003−26974号公報、特開2003−73598号公報に記載の染料が挙げられ、中でも特開2003−73598号公報に記載の式(Y−II)で表されるピラゾール化合物がより好ましく用いられ、以下に示すY−1が例示できる。
【0083】
【化8】

【0084】
マゼンタ染料としては、特開2001−181549号公報、特開2002−121414号公報、特開2002−105370号公報、特開2003−12981号公報、特開2003−26974号公報に記載の染料が挙げられる。中でも特開2002−121414号公報に記載の式(III)で表されるピラゾロトリアゾールアゾメチン化合物が好ましく用いられ、以下に示すM−1が例示できる。
【0085】
【化9】

【0086】
シアン染料としては、特開2002−121414号公報、特開2002−105370号公報、特開2003−3109号公報、特開2003−26974号公報に記載の染料が挙げられる。
特開2002−121414号公報に記載の式(IV−1a)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン化合物並びに式(C−II−1)及び(C−II−2)で表されるフタロシアニン化合物が好ましく用いられ、以下に示すC−1及びC−101が例示できる。
【0087】
【化10】

【0088】
【化11】

【0089】
必要に応じて、CMY3原色に黒(ブラック)染料を併用してもよい。黒染料はCMY3染料を混合して作ることができる。
【0090】
上記以外の染料としては、印刷の技術分野(例えば印刷インキ、感熱インクジェット記録、静電写真記録等のコピー用色材又は色校正版など)で一般に用いられるものを使用することができる。
例えば、有機合成化学協会編「染料便覧」(丸善(株)(1970年刊))、安部田貞治、今田邦彦「解説 染料化学」((株)色染社(1988年刊))、大河原信編「色素ハンドブック」(株)講談社(1986年刊)、「インクジェットプリンタ用ケミカルズ−材料の開発動向・展望調査−」((株)シーエムシー出版(1997年刊))、甘利武司「インクジェットプリンタ−技術と材料」等に記載の染料類が挙げられる。
【0091】
(顔料)
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料のいずれか1以上を、分散媒としての不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
【0092】
本発明において造形物の外表面に彩色するためには、断面形状の輪郭に上記の着色剤を含む結合剤による着色画像を形成し、この着色画像の直下に白色反射層を設けることが好ましい。白色反射層は、例えばカラープリントにおける下地に相当する役割を有し、白色顔料を含む結合剤(白色結合剤)を着画像のすぐ内側に使用することが好ましい。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
【0093】
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく、化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、さらに、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、粉末材料や結合剤成分の種類に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
【0094】
本発明においてCMY染料に替えてCMY顔料を使用することもできる。
有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
【0095】
マゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
【0096】
シアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
必要に応じて、CMY3原色に黒(ブラック)顔料を併用してもよい。黒顔料はCMY3染料を混合して作ることができるが、カーボンブラック、チタンブラックなどが好ましく用いられる。
【0097】
本発明において、結合剤はインクジェットで吐出することが好ましい。このような使用態様における好ましい物性について説明する。
本発明において、結合剤をインクジェットで吐出する場合には、吐出性を考慮し、吐出時の温度(好ましくは20〜80℃、より好ましくは25〜50℃)において、粘度が、好ましくは7〜30mPa・sであり、より好ましくは7〜25mPa・sである。例えば、結合剤の室温(25〜30℃)での粘度は、好ましくは35〜500mPa・s、より好ましくは35〜200mPa・sである。
また、本発明において、結合剤の表面張力は、好ましくは20〜30mN/m、より好ましくは23〜28mN/mである。
【0098】
II.三次元造形物の製造方法及び三次元造形物
本発明の三次元造形物の製造方法は、支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する層形成工程、及び、造形対象物を平行な断面で切断した断面形状になるように前記層における粉末材料を結合剤により結合させる結合工程を順次繰り返すことを含み、前記粉末材料及び前記結合剤として本発明の三次元造形用材料を用いることを特徴とする。
【0099】
前記結合工程において、前記結合剤をインクジェットにより吐出することが好ましい。
以下、本発明の三次元造形物の製造方法を図面を参照しながら説明する。
【0100】
図1は、本発明の三次元造形物の製造方法の一実施態様について主要な工程を示す模式図である。
本発明の製造方法においては、粉末材料の薄層1が三次元造形部3に設けられた支持体(造形ステージ)4の上に形成される。支持体4は、垂直方向移動部5により支持されており、周囲を枠6により取り囲まれている。粉末供給部から支持体4上に供給された余分の粉末材料上を、Y方向(紙面と垂直な方向)に長く伸びたブレード7がX方向(紙面上左から右方向)に移動することにより薄層1が形成される。このように形成された薄層1の上に、結合剤付与部のインクジェットヘッド8から、断面形状データにしたがって、結合剤が粉末材料の薄層1上に供給され、結合剤付与領域2を形成する。この結合剤付与領域2は、乾燥手段により水分を蒸発させて硬化させることにより、粉末材料をその結合剤付与領域2において薄層全体の厚さにわたり結合して断面形状を形成し、かつそのすぐ下の断面形状とも結合する。なお、乾燥手段としては、三次元造形部全体を不図示のフードで覆い、温風器により、このフード内の温度調節を行っている。
引き続いて、垂直方向移動部5を1スライスピッチだけ下方に移動させ、新たな粉末材料層を形成する。
新たに形成された薄層の上に、結合剤付与部のインクジェットヘッドから、隣接する次の断面形状データにしたがって、結合剤が供給され、新たな結合剤付与領域が形成される。この領域を乾燥手段により乾燥させて硬化させることにより粉末材料を結合する。
粉末材料の薄層1の形成、結合剤の供給及び乾燥硬化を必要な回数順次繰り返した後、結合剤が付与されていない領域の粉末材料を分離することにより、三次元造形物10を得ることができる。
図2は、上記のような三次元造形物の製造において隣接する各層に形成された断面形状を模式的に示す斜視図である。
【0101】
本発明の三次元造形物の製造方法における好ましい一実施態様について、以下に説明する。以下の5ステップは、(粉末)層形成工程及び着色断面形状形成工程に先立って、3次元形状色彩データ作成工程及び断面毎の着色断面形状データ作成工程を実施するものである。
【0102】
第1ステップでは、コンピュータに、表面に着色模様等が施された三次元造形対象物を表現したモデルデータを作成させる。造形するための基になるモデルデータには、一般の3D−CADモデリングソフトウェアで作成されるカラー三次元モデルデータを使用することができる。また、三次元形状入力装置で計測された三次元着色形状のデータ及びテクスチャを利用することも可能である。
【0103】
第2ステップでは、コンピュータが上記のモデルデータから造形対象物を水平方向にスライスした各断面ごとの断面データを作成する。モデルデータから積層する粉末の一層分の厚みに相当するピッチ(層厚t)でスライスされた断面体を切り出し、断面の存在する領域を示す形状データ及び彩色データを断面データとして作成する。なお、本発明において、「形状データ」及び「彩色データ」を併せて「着色(断面)形状データ」ともいう。
続いて、造形対象物を造形する際における粉末層の厚さ(断面データ作成の際のスライスピッチ)及び積層数(着色形状データのセット数)に関する情報が、コンピュータからパターン作成装置の駆動制御部に入力される。
【0104】
第3ステップでは、造形ステージにおいて三次元造形物を製造する材料となる粉末材料の供給を行う。粉末材料のカウンター回転機構を用いて、粉末材料を均一な厚さを有する層状に敷き詰め、所定量の粉末を供給完了した後、粉末材料の供給を停止する。
なお、本発明において、「層形成工程及び断面形状形成工程を順次繰り返す」とは、(1)新たな層形成工程を完了した後にその新たな層全面に対して断面形状を形成する工程を実施する以外に、(2)新たな層形成工程を実施しながら、その新たな層の形成が完結する前に、新たに形成された層の領域に対して断面形状を形成することを含むものである。後者の例は、特開2002−307562号公報に例示されている。
【0105】
第4ステップでは、駆動制御部の制御の下に、切断面の着色形状データに基づき着色した断面形状を形成する工程である。この工程は非接触の方式を採用することが好ましい。代表例としてインクジェット方式を例にとり以下説明する。
第2ステップで作成された形状データ及び彩色データに基づき、格子状に細分化したCMY各色のビットマップ情報に変換して、インクジェットヘッドをXY平面内に移動させる。そして、移動中に彩色データに基づいて各インクジェット吐出ノズルから結合剤の吐出を適宜に行わせる。結合剤としては、少なくとも1種の着色された結合剤、白色の結合剤、及び、無色透明の結合剤よりなる群から選ばれた2種以上の結合剤を使用する。
【0106】
図3は第2ステップで生成される格子状に細分化された断面データの一例を示す平面図である。図3において、斜線を付した格子が結合剤の吐出される領域である。このとき、造形物の最外層に位置する格子点の吐出倍率を高くしてもよい。途中の断面形状では外表面に相当する輪郭格子点に内部格子点よりも多量の結合剤を吐出させることが好ましい。輪郭格子点に隣接する数格子分の隣接格子点にまで吐出倍率を高くしてもよい。隣接する数格子とは、1〜10格子分であることが好ましく、1〜5格子分とすることがより好ましい。
吐出倍率の調節は、1回の吐出量を変化すること、及び/又は、同じ格子点への吐出回数を多くすることにより、可能である。
【0107】
輪郭格子点のみの吐出倍率を大きくすることが、制御が単純であるため好ましい。例えば、輪郭格子点のみの吐出倍率を内部格子点の2倍にする等である。隣接格子点の1つおきに吐出倍率を2倍とすることも可能である。吐出回数のみの制御ですめば、1回の吐出量を調節するよりも簡便な制御で済むことになる。例えば、輪郭格子点及び1層の隣接格子点に対する吐出量を、1回、2回又は3回の吐出回数の調節により多くすることが、一つの好ましい実施態様である。
【0108】
結合剤の1回あたりの吐出量を0.66〜1.5倍に調節することにより、吐出倍率をさらに細かく調節できる。また、1格子点への吐出回数の調節と併用すると、さらに微妙な吐出倍率の調製が可能である。
【0109】
輪郭格子点への吐出量を増やすと、結合剤が所定の領域を超えて滲み出し、得られる三次元造形物の表面平滑性が損なわれる傾向もある。このような場合には、結合剤とは相溶しない滲み出し防止液を造形物断面形状の輪郭格子点の外側にこの輪郭に沿って配置する等の手段により結合剤の滲み出しを防止することもできる。
【0110】
着色された結合剤としては、減色法の3原色である、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色の組み合わせとすることが好ましい。本発明において、イエローに着色された結合剤を「イエロー結合剤」、マゼンタに着色された結合剤を「マゼンタ結合剤」、シアンに着色された結合剤を「シアン結合剤」という。M染料及びC染料は濃淡2種類に着色した結合剤としてもよい。無色の結合剤は、CMYの色濃度を調節するために使用することができる。また、チタンホワイト等の白色顔料を含む結合剤(白色結合剤)や黒(ブラック)染料で着色した結合剤(ブラック結合剤)を併用して所望の効果を発現させることができる。
着色した結合剤、無色の結合剤及び白色結合剤の吐出総量は単位面積あたり、例えば1格子点当たり、又は、隣接4格子点当たり、一定となるようにすることが好ましい。ただし、既に説明したように、輪郭格子点においては、これらの結合剤の総量を、内部格子点よりも多くする方が好ましい。
なお、着色した断面形状の別の形成工程例として、形状データに基づき無色のUV硬化性結合剤のみを粉末材料に吐出して紫外線照射により硬化した後に、その層の彩色データに基づき、結合剤を含まない通常のCMYインクジェットを結合した粉末材料層上に吐出する2段階の工程とすることもできる。この場合には、無色の結合剤の吐出倍率を輪郭格子点で高くすることにより、本発明の目的を達成することができる。
【0111】
結合剤の吐出と同時又は吐出後に乾燥手段により結合剤中の水分を蒸発させることにより、粉末材料の接合体である断面形状が生成される。
造形部を約35〜40℃に保つことにより、結合剤中にあった水分を蒸発させて乾燥させることができる。
【0112】
第3ステップ〜第4ステップを順次繰り返すことにより、造形対象物を複数の面で切断した切断面に対応する粉末材料の着色した結合体を順次積層形成して三次元造形物を製造することができる。
なお、結合剤が塗布されない粉末材料の領域では粉末が個々に独立した状態を保持している。
【0113】
第5ステップでは、結合剤が付与されていない領域の粉末材料を分離して、結合剤により結合された粉末の結合体(三次元造形物)を取り出す。なお、結合されなかった粉末材料は回収して、再度材料として利用することが可能である。
【実施例】
【0114】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を示す。
【0115】
〔非真球高分子粒子合成例1:非真球高分子粒子(A)の製造〕
メチルメタクリレート20部、メチルアクリレート26部、アリルメタクリレート4部、下記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)10部をアイソパーG200部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5部添加し2時間加熱撹拌した。次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率98%で、粒子の濃度は、20.2%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、体積平均粒径1.04μmであった。
得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.05であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.92であった。
【0116】
【化12】

【0117】
〔非真球高分子粒子合成例2:非真球高分子粒子(B)の製造〕
メチルメタクリレート17.2部、メチルアクリレート26.2部、ジメチルアミノエチルメタクリレート4.6部、アリルメタクリレート2部、前記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)10部をアイソパーG283部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5部添加し2時間加熱撹拌した。次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率97%で、粒子の濃度は、21.0%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径1.08μmであった。
得られた粒子を製電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。
また、長軸直径/短軸直径比は1.04であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.91であった。
【0118】
〔非真球高分子粒子合成例3:非真球高分子粒子(C)の製造〕
メチルメタクリレート20部、メチルアクリレート26部、アクリル酸4部、前記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)5部をアイソパーG150部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5部添加し2時間加熱撹拌した。次に、メチルメタクリレート20部、メチルアクリレート26部、アリルメタクリレート4部、アイソパーG200部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.32部からなる溶液を、70℃にて、3時間かけて滴下し、滴下終了後、同温度で2時間撹拌した。次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率99%で、粒子の濃度は、22.7%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径0.99μmであった。得られた粒子を製電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株))にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.07であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.80であった。
【0119】
〔非真球高分子粒子合成例4:非真球高分子粒子(D)の製造〕
メチルメタクリレート20部、メチルアクリレート26部、アクリル酸4部、前記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)5部をアイソパーG100部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5部添加し2時間加熱撹拌した。その後、アイソパーG100部を加え、70℃で1時間撹拌した。次に、メチルメタクリレート20部、メチルアクリレート26部、アクリル酸4部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.3部からなる溶液を、70℃にて、3時間かけて滴下し、滴下終了後、同温度で2時間撹拌した。さらに、メチルメタクリレート40部、メチルアクリレート52部、アリルメタクリレート8部、アイソパーG566部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.6部からなる溶液を、70℃にて、3時間かけて滴下し、滴下終了後、同温度で2時間撹拌した。
その後、温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率98%で、粒子の濃度は、22.7%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径1.90μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.04であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.83であった。
【0120】
〔非真球高分子粒子合成例5:非真球高分子粒子(E)の製造〕
メチルメタクリレート20部、メチルアクリレート26部、アクリル酸4部、前記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)5部をアイソパーG150部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5部添加し2時間加熱撹拌した。その後、アイソパーG50部を加え、70℃で1時間撹拌した。次に、メチルメタクリレート17.2部、メチルアクリレート26.2部、ジメチルアミノエチルメタクリレート4.6部、アリルメタクリレート2部、アイソパーG200部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.30部からなる溶液を、70℃にて、3時間かけて滴下し、滴下終了後、同温度で2時間撹拌した。次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率99%で、粒子の濃度は、21.6%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径1.11μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.10であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.76であった。
【0121】
〔非真球高分子粒子合成例6:非真球高分子粒子(F)の製造〕
メチルメタクリレート20部、メチルアクリレート26部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)4部、上記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)10部をアイソパーG200部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5部添加し2時間加熱撹拌した。次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率99%で、粒子の濃度は、20.2%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径1.10μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.04であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.90であった。
【0122】
〔非真球高分子粒子合成例7:非真球高分子粒子(G)の製造〕
メチルメタクリレート20部、メチルアクリレート26部、ジビニルベンゼン4部、上記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)10部をアイソパーG200部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5部添加し2時間加熱撹拌した。次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率98%で、粒子の濃度は、20.8%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径1.14μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.05であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.93であった。
【0123】
〔非真球高分子粒子合成例8:非真球高分子粒子(H)の製造〕
メチルメタクリレート20部、メチルアクリレート20部、HDDA(1、6−ヘキサンジオールジアクリレート)4部、ジメチルアミノメタクリレート6部、上記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)10部をアイソパーG200部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5部添加し2時間加熱撹拌した。次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率98%で、粒子の濃度は、20.7%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径1.11μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.06であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.91であった。
【0124】
〔非真球高分子粒子合成例9:非真球高分子粒子(I)の製造〕
メチルメタクリレート20部、メチルアクリレート20部、ジビニルベンゼン4部、ジメチルアミノメタクリレート6部、上記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)10部をアイソパーG200部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5部添加し2時間加熱撹拌した。次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率99%で、粒子の濃度は、20.2%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径1.12μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.05であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.94であった。
【0125】
〔非真球高分子粒子合成例10:非真球高分子粒子(J)の製造〕
メタクリル酸グリシジル51部、メタクリル酸4部、下記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)8部をアイソパーG135部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.8部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.8部添加し2時間加熱撹拌した。次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率98%で、粒子の濃度は、26.7%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径1.80μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.07であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.94であった。
【0126】
〔非真球高分子粒子合成例11:非真球高分子粒子(K)の製造〕
メタクリル酸グリシジル41部、メタクリル酸4部、メタクリル酸ジメチルアミノメチル10部、上記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)8部をアイソパーG135部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.8部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.8部添加し2時間加熱撹拌した。次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率98%で、粒子の濃度は、26.6%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径1.68μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.05であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.91であった。
【0127】
〔非真球高分子粒子合成例12:非真球高分子粒子(L)の製造〕
メタクリル酸グリシジル35部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル10部、メタクリル酸ジメチルアミノメチル10部、上記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)8部をアイソパーG200部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.8部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.8部添加し2時間加熱撹拌した。次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率98%で、粒子の濃度は、19.1%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径1.62μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.06であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.93であった。
【0128】
〔非真球高分子粒子合成例12:非真球高分子粒子(L)の製造〕
カレンズMOI(昭和電工(株)製、商品名:メタクリロイルオキシエチルイソシアネート)35部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル10部、メタクリル酸ジメチルアミノメチル10部、上記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)8部をアイソパーG200部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.8部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.8部添加し2時間加熱撹拌した。次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率99%で、粒子の濃度は、19.5%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径1.75μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.10であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.90であった。
【0129】
〔非真球高分子粒子合成例13:非真球高分子粒子(M)の製造〕
以下に記載の(モノマー1)35部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル10部、メタクリル酸ジメチルアミノメチル10部、上記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)8部をアイソパーG200部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.8部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.8部添加し2時間加熱撹拌した。次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率99%で、粒子の濃度は、19.5%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径1.67μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.08であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.89であった。
【0130】
【化13】

【0131】
〔非真球高分子粒子合成例14:非真球高分子粒子(N)の製造〕
メチルメタクリレート10部、メチルアクリレート16部、アクリル酸4部、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル20部、前記構造の分散安定用樹脂(P−1、重量平均分子量52,000)5部をアイソパーG150部に溶解し、窒素気流下、温度70℃に加温し、1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75部を添加し、2時間加熱撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5部添加し2時間加熱撹拌した。その後、アイソパーG50部を加え、70℃で1時間撹拌した。次に、メチルメタクリレート17.2部、メチルアクリレート16.2部、ジメチルアミノエチルメタクリレート14.6部、アリルメタクリレート2部、アイソパーG200部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.30部からなる溶液を、70℃にて、3時間かけて滴下し、滴下終了後、同温度で2時間撹拌した。次いで温度を100℃に上げ、減圧度200mmHg(約26.6kPa)下で2時間撹拌し未反応のモノマーを溜去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率99%で、粒子の濃度は、21.6%のラテックスであった。
次に、得られた白色分散物を遠心分離機にてアイソパーGを用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径28.2μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がある非真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.10であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.88であった。
【0132】
〔真球粒子合成例(比較例)1:真球粒子(X)の製造〕
ポリビニルピロリドン(K−90)2部、メタクリル酸メチル20部をメタノール99部、水81部の混合溶液に溶解し、窒素気流下、温度65℃に加温して1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.4部を添加し65℃で8時間反応させた。反応終了後、得られた白色分散物は重合率92%で、粒子の濃度は、11.5%のラテックスであった。次に、得られた白色分散物を遠心分離機にて水を用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径1.42μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がない真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.0であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.99であった。
【0133】
〔真球粒子合成例(比較例)2:真球粒子(Y)の製造〕
ポリビニルピロリドン(K−90)2部、メタクリル酸メチル12部、アクリル酸メチル8部をメタノール99部、水81部の混合溶液に溶解し、窒素気流下、温度65℃に加温して1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.4部を添加し65℃で8時間反応させた。反応終了後、得られた白色分散物は重合率92%で、粒子の濃度は、11.5%のラテックスであった。次に、得られた白色分散物を遠心分離機にて水を用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径1.21μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がない真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.0であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果0.99であった。
【0134】
〔真球粒子合成例(比較例)3:真球粒子(Z)の製造〕
ポリビニルピロリドン(K−90)2部、メタクリル酸メチル20部をメタノール153部、水27部の混合溶液に溶解し、窒素気流下、温度65℃に加温して1時間撹拌を行った。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.4部を添加し65℃で8時間反応させた。反応終了後、得られた白色分散物は重合率92%で、粒子の濃度は、11.5%のラテックスであった。次に、得られた白色分散物を遠心分離機にて水を用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末を得た。得られた白色粉末の体積平均粒径を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所製)にて測定したところ、平均粒径42.1μmであった。得られた粒子を電子顕微鏡JSM−6700F(日本電子(株)製)にて撮影したところ、粒子形状は表面に凹凸がない真球状粒子であることを確認した。また、長軸直径/短軸直径比は1.0であった。
また、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シメックス(株)製)を用いて粒子画像を撮影し、得られた画像を、画像解析プログラム・Mac−View((株)マウンテンテック製)を用いて、平均円形度を求めた結果約1.0であった。
【0135】
(結合剤の製造)
〔結合剤(1)〕
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(1)を得た。
・トリプロピレングリコールジアクリレート(アルドリッチ社製) 40部
・TMPTA(日本化薬(株)製) 20部
・アクリル酸ドデシル 20部
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 10部
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3部
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2部
・着色剤:Y−1 5部
【0136】

【0137】

【0138】

【0139】
〔結合剤(2)〕
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(2)を得た。
・ポリビニルピロリドン(和光純薬工業(株)製) 10部
・水 85部
・着色剤:Y−1 5部
【0140】
〔結合剤(3)〕
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(3)を得た。
・ポリメタクリル酸メチル(アルドリッチ社製) 10部
・1−メトキシ−2−プロパノール 85部
・着色剤:Y−1 5部
【0141】
<評価法>
(三次元造形物モデル作製)
粉末材料を約100μmの厚さになるようにロッドで1層分の粉末材料層を敷設した後、データにもとづいて吐出ノズルからUV硬化性結合剤の吐出を適宜に行わせた。
該UV硬化性結合剤をインクとしたインクジェット方式により、600dpiの解像度(約42μmのドット間隔)で、各ドットが連続した線になるように液滴を吐出した。次いで、約100μmの厚さになるように粉末材料層を形成して、結合剤を供給することを繰り返すことにより三次元造形物を作製、評価した。
結合剤及び粉末材料として、下記の表1に示す結合剤及び粉末材料を用いて、直径10cm、厚さ2mmのプレートを作製した。
作製した三次元造形物モデルに対して、以下の評価を行った。
【0142】
(表面平滑性評価)
上記の方法で作製した三次元造形物について、三次元造形物の表面の触感評価を行い、下記の基準に従って、表面平滑性を評価した。専門パネラー8人で下記評価基準(評価点)で評価した。
評価基準(評価点):
5(点):8人中8人が、表面がスベスベだと感じた。
4(点):8人中6〜7人が、表面がスベスベだと感じた。
3(点):8人中4〜5人が、表面がスベスベだと感じた。
2(点):8人中1〜3人が、表面がスベスベだと感じた。
1(点):表面がスベスベだと感じられなかった。
【0143】
(強度評価)
作製した直径10cm、厚さ2mmのプレートを、直径9cm(外径9cm、内径7cm)、厚さ1cmのドーナツ状の台に置き、プレートの上から1kgの重りを載せて、プレートが割れるまでの時間を評価した。本評価は時間が長いほど、強度が高いことを示す。
【0144】
(造形精度(体積収縮抑制)評価)
造形物の長さを測定し、設計寸法に対する精度により以下のランクに分けた。
◎:寸法誤差 0.10%未満
○:寸法誤差 1.0%未満
×:寸法誤差 1.0%以上
なお、寸法誤差1.0%未満が許容範囲である。
【0145】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の三次元造形物の製造方法の一実施態様について各工程を示す模式図である。
【図2】図1に示した三次元造形物の製造において形成されるいくつかの層の断面形状を模式的に示す斜視図である。
【図3】格子状に細分化された断面データの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0147】
1:薄層
2:結合剤付与領域
3:三次元造形部
4:支持体(造形ステージ)
5:垂直方向移動部
6:枠
7:ブレード
8:インクジェットヘッド
10:三次元造形物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)粉末材料、及び、
前記(A)粉末材料を結合する(B)結合剤を含み、
前記(A)粉末材料が平均円形度0.95以下の非真球高分子粒子であることを特徴とする
三次元造形用材料。
【請求項2】
前記非真球高分子粒子の長軸直径/短軸直径比が4.0以下である請求項1に記載の三次元造形用材料。
【請求項3】
前記(A)粉末材料の体積平均粒径が0.5〜100μmである請求項1又は2に記載の三次元造形用材料。
【請求項4】
支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する層形成工程、及び、
造形対象物を平行な断面で切断した断面形状になるように前記層における粉末材料を結合剤により結合させる結合工程を順次繰り返すことを含み、
前記粉末材料及び前記結合剤として請求項1〜3いずれか1つに記載の三次元造形用材料を用いることを特徴とする
三次元造形物の製造方法。
【請求項5】
前記結合工程において、前記結合剤をインクジェットにより吐出する請求項4に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の三次元造形物の製造方法により製造された三次元造形物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−274259(P2009−274259A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125819(P2008−125819)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】