説明

三線用ピックアップ付ウマ

【課題】 三線本体を改造せず、誰でも簡単に装着でき、電気信号に変換して、生音に近い音で増幅再生する事で、演奏活動の範囲を拡げる。
【解決手段】 本発明の三線用ピックアップ付ウマ(駒)を使用し、三線の演奏音を音質、音色を損なうことなく、ウマ(駒)から直接、ピックアップによって拾う事により、生音に極めて近い音を外部へ出力する事ができる。また、外部の楽器用アンプ等の利用により、大出力が得られ、電気楽器との協演が可能となり、演奏活動の範囲を拡大する事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、琉球楽器の三線に関し、特に、アコースティックな楽器である三線の演奏音を、ピックアップをウマに直接取り付ける事によって、三線に何も加工せずに生音に近い音を電気信号に変換して出力する三線専用の装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年は、沖縄ブームにより三線が注目され、屋外等での演奏や録音する機会が増えている。
【0003】
従来、三線の音を電気信号に変換するには、マイクを使用するが、マイクの位置及びハウリングなどで忠実に再生するのは難しい。現在、三線の本体内部にマイクを取り付ける方法も存在するが、三線本体を加工するため簡単には改造できず、また、三線本来の音ではないため、一般には広がらなかった。
【0004】
そこで、実用新案登録第3090582号公報では今まで愛用した三味線で、生音を損なわず、何も加工せず、演奏の邪魔にならない位置に、誰でも簡単に装着できる装置が開示されている。
【0005】
これによると三味線に加工を施さずに、胴体表面の部分にピックアップを取り付けて、その電気信号を電池駆動の専用アンプを使用し、適性な出力が出せるというものである。
【0006】
しかし、三味線においては加工は施さない方法ではあるが、三線においては胴体表面が凸凹なため、胴体内部の裏面部分にピックアップを取り付けなければならず、結局、加工する事となる上、胴体皮面をピックアップで音を拾う方法では、ギターのような音になり、三線本来の音を再現するのは難しい。
【0007】
そこで、特開平07−319470号公報では、胴の振動を電気信号に変換するトランスデューサー(ピックアップ)を駒の下面の凹部に取り付ける方法が開示されている。
【0008】
これによると、ピックアップを駒の下方の胴上面凹部に取り付けるようにしたが、同裏面の、駒の裏側に当たる個所等の、胴内の音響的な振動が得られる個所に配置してもよい。とあり、あくまでも、胴の音を拾う事に言及している。
【特許文献1】実用新案登録第3090582号公報
【特許文献2】特開平07−319470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のような胴の音を拾う方法では、三線の本来の音を再現するのは難しい。
【0010】
そこで、胴の音を拾う方法ではなく、弦の振動が一番顕著なウマの振動をピックアップで拾う方法を考えた。
【0011】
前記特開平07−319470号公報の発明では、胴の音を拾う方法だが、本発明ではピックアップをウマと弦の接点側に向けて取り付けた事が特徴である。
【問題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記に示す課題を、以下の手段によって解決する事ができる。
【0013】
請求項1は、弦の振動を電気信号に変換するピックアップを三線のウマに設けた、三線用ピックアップ付ウマである。
【0014】
請求項2は、ピックアップをウマに直接取り付けた事である。
【0015】
請求項3は、ピックアップをウマに取り付ける際、センサー部分をウマと弦側に向けて取り付けた事である。
【0016】
請求項4は、ピックアップをウマに取り付ける際、樹脂で固定したことである。
【0017】
請求項5は、ピックアップをウマに取り付ける際、接着剤を使用し、ウマとピックアップの接着面積が大きくなるように、盛り上げて厚く形成し、固定した事である。
【0018】
請求項6は、ピックアップをウマに取り付ける際、ピックアップの直径線上にウマを配置した事である。
【0019】
請求項7は、ピックアップをウマに取り付ける際、ウマが直接、胴に当たらないように、胴から浮かせて取り付けた事である。
【0020】
請求項8は、ピックアップをウマに取り付ける際、ウマに対してピックアップのセンサー部分が垂直に取り付けられた事である。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、以下に示すような効果がある。
【0022】
本発明は、1)今まで愛用していた三線の生音を損なわずに、装着できる。
【0023】
2)今まで愛用していた三線に、何も加工せず、通常のウマの位置に設置するだけで、誰でも簡単に装置を装着できる。
【0024】
3)弦の振動を直接拾う事で、三線の生音に近い音が再生できる。
【0025】
4)ウマとピックアップを樹脂を使用し、固定する事により、ずれるのを防げる。
【0026】
5)ウマとピックアップを樹脂で固定する際、接着面積を大きくする事により、弦の振動をより効果的にピックアップに伝える事ができる。
【0027】
6)ピックアップの直径線上にウマを配置することによって、弦の振動をより大きく拾う事ができる。
【0028】
7)ウマが直接胴に触れない為、弦からの振動を主に拾う事ができる。
【0029】
8)ウマに対してピックアップのセンサー部分を、垂直に取り付けることによって、弦の振動をより大きく拾う事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、実施例の図面を用いて説明する。
【0031】
図1は、本発明による三線用ピックアップ付ウマの一実施例である。本発明は、ピックアップ1を三線の弦2と胴3の間に通常のウマ設置箇所に装着し、弦の振動を電気信号に変換し、出力ケーブル5を伝わり、アウトプットジャック6から出力する。そのアウトプットジャック6にシールドケーブル7を使用し、楽器用アンプ等8につなげて入力し、その信号を増幅再生する。
【0032】
図2は、上記のピックアップ1の拡大図である。(1)はピックアップ1の平面図であり、(2)は側面図である。
【0033】
ウマ1をピックアップ本体2及びセンサー部分7の直径線上で、なおかつ胴6及び弦5に対して垂直に接着剤4を盛り上げて厚く形成し、接着したものである。この三線用ピックアップ付ウマによって、得られた電気信号を、出力ケーブル3から出力する。
【0034】
この三線用ピックアップ付ウマは、今まで愛用していた三線の生音を損なわずに、何も加工せずに、誰でも簡単に装着する事ができ、三線本来の生音に極めて近い音を、外部の楽器用アンプ等を使用する事により、屋外演奏や電気楽器との協演が可能となり、演奏活動が拡がる。
【0035】
従来の胴皮面からの振動をピックアップで拾う方法では、低音が強く、三線の特徴である高音を再生する事が難しかった。しかし、この三線用ピックアップ付ウマは、ピックアップ2のセンサー部分7を弦5側に向けて取り付ける事により、弦5からの振動を直接拾う方法である。それにより、主に弦5からの振動をピックアップ2で拾う事ができた。さらに、より弦5の振動を大きく拾うために、樹脂を用いて接着面積を大きくし、ウマ1をピックアップ本体2及びセンサー部分7の直径線上で、なおかつ胴6及び弦5に対して垂直に固定した事により、従来の内蔵ピックアップよりも三線本来の生音に近い音を再生する事ができる。
【0036】
さらに、ウマ1を胴6に触れる事なく、浮かせて、ピックアップ2に取り付けた事により、胴6からの振動を極力拾わないようにした事で、三線本来の生音に近い高音を再生する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による三線用ピックアップ付ウマの一実施例を示す。
【図2】 本発明による三線用ピックアップ付ウマを拡大した平面図と側面図を示す。
【符号の説明】
【0037】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弦の振動を電気信号に変換するピックアップを三線のウマに設けた事を特徴とする三線用ピックアップ付ウマ。
【請求項2】
前記のピックアップをウマに直接取り付けた事を特徴とする請求項1に記載の三線用ピックアップ付ウマ。
【請求項3】
前記のピックアップをウマに取り付ける際、ピックアップのセンサー部分を弦側に向けて取り付けた事を特徴とする請求項1又は2に記載の三線用ピックアップ付ウマ。
【請求項4】
前記のピックアップをウマに取り付ける際、樹脂で固定した事を特徴とする請求項1から3までのいずれかの項に記載の三線用ピックアップ付ウマ。
【請求項5】
前記のピックアップをウマに取り付ける際、接着剤を接着面積を大きくするため、盛り上げるように厚く形成し固定した事を特徴とする請求項1から4までのいずれかの項に記載の三線用ピックアップ付ウマ。
【請求項6】
前記のピックアップをウマに取り付ける際、ピックアップの直径線上にウマを配置した事を特徴とする請求項1から5までのいずれかの項に記載の三線用ピックアップ付ウマ。
【請求項7】
前記のピックアップをウマに取り付ける際、ウマが直接、胴に当たらないように胴から浮かせて取り付けた事を特徴とする請求項1から6までのいずれかの項に記載の三線用ピックアップ付ウマ。
【請求項8】
前記のピックアップをウマに取り付ける際、ウマに対してピックアップのセンサー部分が垂直に取り付けられている事を特徴とする請求項1から7までのいずれかの項に記載の三線用ピックアップ付ウマ。

【図1】
1 三線用ピックアップ付ウマ
2 弦
3 胴
4 さお
5 出力ケーブル
6 アウトプットジャック
7 シールドケーブル
8 楽器用アンプ等
【図2】
1 ウマ
2 ピックアップ
3 出力ケーブル
4 エポキシ樹脂系の接着剤
5 弦
6 胴体部分
7 ピックアップのセンサー部分
【図1】
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【図2】
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