説明

下地シート用コーティング組成物

【課題】透湿性、防水性のある建築用下地シートのコーティング処理に用いて、釘穴からの漏水を防止できるシリコーン組成物を提供する。
【解決手段】(A)アルケニル基を含有するポリオルガノシロキサン:100重量部、(B)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン:本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル数と(A)成分中のアルケニル基のモル数の比率が(0.5:1)〜(20:1)となる量、(C)ヒドロシリル化触媒よりなる建築用下地シート処理に用いる付加硬化型シリコーン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透湿性、防水性のある建築用下地シートのコーティング処理に用いて、下地シートが有する透湿性、防水性などの特性を損なうことなく、釘穴からの漏水を防止できるコーティング組成物に関する。
【0002】
透湿性、防水性を有する建築用下地シートは、一般家屋の屋根や壁に広く用いられている。屋根の場合には、瓦、スレートや金属などの上葺き材を施工する前に、野地板の上面に用いて、防水機能を付与すると共に、透湿性を有することによって野地板や家屋内部の湿気を透過させ、野地板の腐敗、変形を防止する。壁の場合には、壁面のモルタル仕上げの前に壁面に施工し、屋根の場合と同様に防水および透湿の機能を発揮する。
【0003】
このような建築用の透湿防水下地シートには各種のものがあるが、ポリオレフィンやポリエステルなどの不織布が用いられている。これら不織布のなかで、空気は通過するが水は通過しない程度の極微細な隙間又は細孔を有するものが、防水機能を必要とする建築用下地シートとして用いられる。このような不織布は、通気性を有することで透湿性をも兼ね備えているのである。
【0004】
このような下地シートが本来有する防水性は、実際の施工での釘類の打ち込みにより損なわれるという問題点を有している。これは、瓦葺きの場合には下地シート上に設置する瓦桟木の固定など、モルタル壁の場合には下地シート上の金網やメタルラスの施工など、下地シートの固定のために何らかの形で下地シートへの釘やタッカーの打ち付けが避けられないことによる。釘類が打ち付けられると、釘軸と釘穴との間を漏水し、下地シートが全体として防水機能を損なうこととなるのである。
【0005】
このような釘軸周りと釘穴との止水の方法として各種の提案がされている。例えば、下地シートの釘打ち込み部分に伸縮性、粘着性を有する樹脂を塗布する方法(特許文献1参照)、釘穴周辺に亀裂が生じているという観察から下地シートの強度、曲げ特性を特定の範囲とすることにより止水性を付与する方法(特許文献2参照)である。
【0006】
また、釘穴止水の方法として、撥水材を塗布した不織布に更に粒状無機物を含有する樹脂からなる透湿防水層の少なくとも一層を積層した屋根下葺材が提案されている(特許文献3参照)。ここでは、不織布の撥水材としてフッ素系やシリコーン系、ワックス系などを用いて特定の撥水度とし、透湿防水層とあいまって釘穴止水性を有するとされている。
【0007】
【特許文献1】特開平4−309649号公報
【特許文献2】特開平8−209867号公報
【特許文献3】特開2002−349021号公報
【0008】
しかしながら、これら従来技術による釘軸周りの止水性は十分ではなく、更なる改良が望まれていたのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、建築用の透湿防水下地シートのコーティング処理に用いて、透湿防水性を維持しながら下地シートの施工後の釘軸周りの止水性を改良するシリコーン組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、硬化し得る特定のシリコーン組成物で透湿防水下地シートをコーティング処理すると釘軸周りの止水性が著しく向上することを見出し、本発明を成すに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、
〔1〕(A)アルケニル基を含有するポリオルガノシロキサン、(B)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン:本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル数と(A)成分中のアルケニル基のモル数の比率が(0.5:1)〜(20:1)となる量、(C)ヒドロシリル化触媒:本発明組成物を硬化させるに十分な量よりなる付加硬化型シリコーン組成物であることを特徴とする建築用下地シートのコーティング組成物。
〔2〕(A)のアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサンが、ケイ素原子に結合するアルケニル基を1分子中平均2個以上含有し、25℃における動粘度が10〜100,000,000mm/sであり、(B)のポリオルガノハイドロジェンシロキサンが、1分子中にケイ素原子と結合する水素原子を2個以上含有し、25℃における動粘度が1〜1,000mm/sである〔1〕記載の組成物。
〔3〕(D)接着性付与成分として、一般式RSi(OR4−x(式中、Rは置換または非置換の炭化水素基から選択される基、Rはアルキル基、アシル基、アルコキシアルキル基またはポリオキシアルキレン基から選択される基、xは0〜3の整数)であらわされるオルガノシランまたはその縮合物を(A)成分100重量部に対して0.1〜20重量部含有する〔1〕または〔2〕のいずれかに記載の組成物。
〔4〕(D)オルガノシランのRがエポキシ基を有する炭化水素基であり、Rが炭素数1〜6の飽和炭化水素基である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の組成物を建築用の下地シートのコーティングに用いると、下地シートの透湿防水性を維持しながら釘類の打ち付けによる釘軸と釘穴との間からの漏水を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の(A)成分であるアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサンは、ポリシロキサンを構成するシロキサン単位のケイ素原子に置換または非置換の一価炭化水素基が結合したポリシロキサンであって、1分子中に少なくとも1個のアルケニル基がケイ素原子に結合しているものである。
【0014】
(A)成分のケイ素原子に結合した一価炭化水素基は、炭素数1〜18の置換または非置換の炭化水素基である。非置換の炭化水素基の具体例をあげれば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基などのアラルキル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、1−ヘキセニル基、オクテニル基などのアルケニル基である。
【0015】
置換炭化水素基の具体例をあげれば、炭化水素基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子、シアノ基などによって置換されたクロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、クロロフェニル基、ジブロモフェニル基、テトラクロロフェニル基、ジフルオロフェニル基、β−シアノエチル基、γ−シアノプロピル基、β−シアノプロピル基などの置換炭化水素基などが挙げられる。
【0016】
(A)成分でケイ素原子に結合した炭化水素基で脂肪族不飽和結合を含まない炭化水素基として好ましいものは、メチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、アルケニル基として好ましいものは、ビニル基、アリル基である。総じて、特に好ましくはメチル基およびビニル基である。
【0017】
(A)成分のアルケニル基は、(B)成分と付加反応して網目構造を形成する。アルケニル基は、分子中に平均約2個以上存在していることが好ましい。かかるアルケニル基は、分子鎖の末端のケイ素原子に結合していてもよいし、分子鎖の途中のケイ素原子に結合していてもよい。
【0018】
(A)成分のポリオルガノシロキサンは、線状であっても分岐を有するものであっても、環状でもよい。本発明のポリオルガノシロキサンは、構成するシロキサン単位のケイ素原子に結合した一価炭化水素基をRであらわして、(RSiO1/2)の一官能性シロキサン単位(M単位)、(RSiO2/2)の二官能性シロキサン単位(D単位)、(RSiO3/2)の三官能性単位(T単位)および(SiO4/2)の四官能性単位(Q単位)から形成される。本発明のポリオルガノシロキサンは、これらのシロキサン単位の各種の組合せが用いられ、D単位を主たる構成要素とする線状のものであっても、T単位またはQ単位を多く含む分岐状のものであってもよい。また構成する各シロキサン単位はランダムに結合していても、ブロックで結合していてもよい。
【0019】
(A)成分のポリオルガノシロキサンは、構成するシロキサン単位の平均組成式として、一般式RSiO(4−a)/2であらわしたときに、aは1.2〜2.5となるようなものであることが好ましく、より好ましくは、aは1.7〜2.2であって、線状となるD単位を多く含むものである。
【0020】
(A)成分のポリオルガノシロキサンは、25℃における動粘度が10〜100,000,000mm/sであることが好ましい。本発明の組成物を透湿防水性のある建築用下地シートの処理に用いた場合に、粘度が低いと硬化物の十分な強度が得られず、粘度が高いと均一な処理が難しくなる。より好ましい動粘度は、20〜10,000,000mm/sである。
【0021】
本発明の(B)成分であるポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、ケイ素原子に直接結合した水素原子を有するポリオルガノシロキサンであって、(A)成分のアルケニル基とのヒドロシリル化の付加反応によって(A)成分を架橋、硬化する成分である。ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に2個以上有することが好ましく、3個以上含有していることがより好ましい。
【0022】
(B)成分のポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、ポリシロキサンを構成するシロキサン単位のケイ素原子に結合する有機基が、置換または非置換の一価炭化水素基であることが好ましい。このような一価炭化水素基は、脂肪族不飽和結合を含まないものであって、(A)成分の置換または非置換炭化水素基として例示したもののなかでアルケニル基を除くものである。これら一価炭化水素基の中では、メチル基が最も好ましい。
【0023】
(B)成分のポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、線状であっても分岐を有するものであってもよく、環状であってもよい。(A)成分で示したと同様に、(B)成分を構成するシロキサン単位の平均組成式として、一般式RSiO(4−b)/2(ここで、Rは、水素原子または一価炭化水素基)であらわしたときに、bが1.2〜2.5となるようなものであることが好ましく、より好ましくは、bは1.7〜2.2である。
【0024】
(B)成分は、25℃における動粘度が1〜1,000mm/sであることが好ましく、より好ましくは5〜500mm/sである。
【0025】
(B)成分は、(B)成分中のケイ素原子に直接結合した水素原子のモル数と(A)成分中のアルケニル基のモル数の比率が(0.5:1)〜(20:1)となるような量で用いられることが好ましい。
【0026】
本発明の(C)成分であるヒドロシリル化触媒は、(A)成分のケイ素原子に結合したアルケニル基と、(B)成分のケイ素−水素(Si−H)結合とのヒドロシリル化付加反応を促進する触媒である。(C)成分は通常使用されるものであり、例えば、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、及びイリジウムなどの金属またはその化合物である。金属は場合により微粒子状の担体材料(例えば、活性炭、酸化アルミニウム、酸化ケイ素)に固定する。ヒドロシリル化触媒としては、白金及び白金化合物を使用することが好ましい。白金化合物としては、白金ハロゲン化物(例えば、PtCl、HPtCl・6HO、NaPtCl・4HO)、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金−アルコラート錯体、白金−エーテル錯体、白金−アルデヒド錯体、白金−ケトン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、ビス−(γ−ピコリン)−白金ジクロライド、トリメチレンジピリジン−白金ジクロライド、ジシクロペンタジエン−白金ジクロライド、シクロオクタジエン−白金ジクロライド、シクロペンタジエン−白金ジクロライド)、ビス(アルキニル)ビス(トリフェニルホスフィン)白金錯体、ビス(アルキニル)(シクロオクタジエン)白金錯体などがあげられる。ヒドロシリル化触媒は、熱可塑性樹脂(例えば、ポリエステル樹脂またはシリコーン樹脂)などでマイクロカプセル化した形で使用することもできる。また、ヒドロシリル化触媒は包接化合物の形で、例えば、シクロデキストリン内で使用することも可能である。ヒドロシリル化触媒の添加量は触媒量であり、白金触媒を使用する場合、本発明のシリコーン組成物中の白金金属として0.1〜500ppm、特に1〜200ppmの範囲が好ましい。
【0027】
本発明の組成物は、接着性付与成分(D)としてオルガノシランまたはその縮合物を含有することが好ましい。このようなオルガノシランは、一般式(1)RSi(OR4−xであらわすことができる。式中、Rは置換または非置換の炭化水素基から選択される基、Rはアルキル基、アシル基、アルコキシアルキル基またはポリオキシアルキレン基から選択される基、xは0〜3の整数である。
【0028】
式(1)のRの非置換の炭化水素基の具体例は、(A)成分のケイ素原子に結合した非置換炭化水素基として例示したアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基をあげることができる。
【0029】
式(1)のRの置換炭化水素基の例をあげれば、非置換の炭化水素基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アミノアルキレンアミノ基、エポキシ基、グリシジドキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアナート基、メルカプト基、ウレイド基などによって置換された炭化水素基である。具体的には、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、シアノエチル基、シアノプロピル基、アミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基、3,4−エポキシシクロへキシルエチル基、グリシジドキシプロピル基、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基、イソシアナートプロピル基、メルカプトプロピル基、ウレイドプロピル基をあげることができる。
【0030】
式(1)のRのアルキル基は、前記Rのアルキル基と同様なものであり、アシル基としてアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基などをあげることができ、アルコキシアルキル基としてメトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、ブトキシエチル基、ブトキシプロピル基などをあげることができ、ポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレンオキシプロピレン基などをあげることができる。これらのRとして選択しえる基は分子内で同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
式(1)のxは0〜3の整数である。xが0である場合にはRとしてアルキル基を選択することが好ましく、具体的には(D)成分としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシランなどのテトラアルコキシシランとなる。xが1〜3の整数である場合にR1は一分子中で同一であっても異なっていてもよい。
【0032】
(D)成分の好ましい例をあげれば、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシ−エトキシ)シラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3,4−エポキシシクロへキシルエチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリメキシシランをあげることができ、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いてもよい。また、これらのシラン類は加水分解縮合したポリシロキサンとして、または比較的低分子量で末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサンと縮合反応させて用いることも効果的である。
【0033】
より好ましい(D)成分はグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどの、Rがエポキシ基を有する炭化水素基で、Rがアルキル基であるアルコキシシランである。
【0034】
(D)成分は、(A)成分100重量部に対して0.1〜20重量部を用いることが好ましく、より好ましくは2〜15重量部である。
【0035】
本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、硬化型シリコーン組成物の添加剤として公知の各種添加剤を使用することができる。これらの添加剤には、硬化抑制剤、無機充填剤、顔料、吸水性樹脂、通気性制御剤、難燃剤、帯電防止剤、防腐剤、などがある。
【0036】
硬化抑制剤は、組成物各成分の混合物を保管する場合に有用な添加剤であり、ヒドロシリル化反応の抑制剤である。具体的には、アセチレン系化合物、ヒドラジン類、トリアゾール類、フォスフィン類、メルカプタン類が用いられる。
【0037】
無機充填剤の例をあげれば、補強用充填剤として使用されるシリカ充填剤であり、具体的には、ヒュームドシリカ、シリカフューム、沈殿シリカ、焼成シリカ、コロイダルシリカ、粉砕石英、ケイ藻土などがあり、特にそれらの微粉末のものが好ましい。また、オルガノシラン、オルガノシラザン、オルガノシクロポリシロキサンなどで予め表面処理されたシリカも好適に用いることが出来る。更に非補強性充填剤として、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、カーボンブラック、タルク、カオリン、水酸化マグネシウム、などをあげることができる。
【0038】
顔料としては、酸化チタン、アルミナケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、カーボンブラック、希土類酸化物、セリウムシラノレート、アルミニウムオキシド、アルミニウムヒドロキシド、チタンイエロー、カーボンブラックなど、およびこれらの混合物をあげることができる。
【0039】
吸水性樹脂としては、市販の、水と接触すると短時間に吸水、膨潤し、水全体をゲル化させる性質をもつ高分子であればいかなる材質でも良く、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩の架橋物、ポバールなど、およびこれらの混合物をあげることができる。
【0040】
通気性制御剤は本発明の組成物に配合することで、部分的または全体的に通気性を制御する効果を有するものであればいかなるものでも良く、合成繊維、紙、フィルム、不織布、アスファルト、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリアクリレート、ブチルゴム、EPDM、クロロプレン(ネオプレン)、ポリアミド、水添二トリルゴム、エチレンービニルーアセテート共重合体、本発明の下地シート、粘土、リサイクル樹脂、エアバック布、自動車内装材などの破砕または粉砕物または分散体などおよびこれらの混合物をあげることができる。
【0041】
難燃剤は本発明の下地シートの難燃性を向上させる効果を有するものであればいかなる材質でも良く、テトラブロモビスフェノールA、塩素化パラフィンなどのハロゲン系化合物や、トリエチルホスフェートなどのリン酸エステル化合物、三酸化アンチモン、水酸化ジルコニウム、などの無機系難燃剤などおよびこれらの混合物をあげることができる。
【0042】
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン系のものや、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネートなどのアニオン系のもの、第4級アンモニウム化合物などのカチオン系のもの、アルキルベタイン型などの両性系のものや、ポリビニルベンジル型などの導電性のものなどおよびこれらの混合物をあげることができる。
【0043】
本発明の組成物は、各成分を混合してそのまま無溶剤型で、または混合物を溶剤に溶解して溶剤型で、あるいは混合物を水中に乳化してエマルジョン型として用いることができる。各成分を混合する場合には、攪拌機での混合、あるいは2本ロール、ニーダーミキサー、加圧ニーダーミキサー、ロスミキサーなどの混合機で均一に混練する方法が用いられる。本発明のシリコーン組成物の混合物を保存して用いる場合は、事前に硬化が進行しないように、少なくとも2つの異なる成分の形で保存することが好ましい。例えば、触媒である(C)成分は(A)成分または(B)成分の一方のみと混合し、残余の成分の混合物とは別に保管することが好ましい。添加剤などは、成分の1つまたは両方に含有させることができる。
【0044】
溶剤型として用いる場合には、トルエン、キシレン、ミネラルスピリッツ、ナフサなどの炭化水素系溶剤やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどに混合物を溶解して用いる。
【0045】
エマルジョン型として用いる場合には、各成分の混合物または各成分をそのままで、水性媒体中で、乳化剤の存在下で乳化機により乳化してエマルジョンとする。乳化機としては、コロイドミル、ホモミキサーなどの公知の乳化機を用いることができる。乳化剤はポリオルガノシロキサンの乳化に使用される任意の乳化剤を使用することが可能であり、イオン性または非イオン性の乳化剤が有利である。これらの例としては、アルキルスルホネート、例えば、ナトリウムラウリルスルホネート、脂肪族炭化水素基で置換されたベンゼンスルホネート、例えばナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、脂肪族炭化水素基で置換されたナフタレンスルホネート、ポリエチレングリコールスルホネート及びラウリルホスフェート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドからの共重合体、アルキルポリグリコールエーテルなどである。
【0046】
エマルジョン型の場合には、更に増粘・安定剤を用いることができる。これらの例としては、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどおよびこれらの混合物をあげることができる。
【0047】
本発明の組成物は建築用の下地シートの処理に用いて、透湿防水性を維持しながら釘軸周りの止水性を有するものとするが、対象となる下地シートは、透湿防水性を有し、建築用下地シートとして所要の強度を有するものであれば特に限定されない。このような建築用下地シートは、不織布単体、または不織布へ透湿防水性のあるコーティングをほどこしたもの、または透湿防水性のある樹脂フィルムや不織布などをさらに貼りあわせたものであってよい。
【0048】
下地シートの基材である不織布は、熱可塑性樹脂から得られる繊維よりなることが好ましいが、天然繊維や再生繊維などを混合したものであってもよい。不織布の原料となる熱可塑性樹脂は、繊維形成能を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの二〜三元共重合体等のポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、イソフタル酸を共重合した低融点ポリエステル等のポリエステル類、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド類、もしくはこれらの混合物や共重合体などを用いることができる。また、単一成分系繊維に限定されるものではなく、芯鞘型や海島型等の多成分系であってもよく、繊維断面の形状にも格別の制限はない。さらに、これらの熱可塑性樹脂は、必要に応じて、例えば、艶消し剤や顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤などの各種添加剤を併用したものであってもよい。
【0049】
下地シートの基材である不織布の製造方法も特に限定されず、繊維を形成する材料、得られる繊維長などにより、カーデイング法、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュスパン法などにより製造されるものである。
【0050】
本発明の組成物が好適に使用される下地シートは、建築用下地シートとして所要の透湿防水性、強度を有することが好ましい。本発明の対象となる下地シートを限定するものではないが、透湿性は、JIS−L−1099の透湿度試験方法の塩化カルシウム法(A−1法)で、1000g/m/24hr以上、防水性は、JIS−L−1092の防水性試験法(耐水度試験(静水圧法))で、耐水圧が500mm・HO以上、強度は、JIS−L−1096の引張試験で、引張強度150N/5cm以上であることが好ましい。本発明の組成物が対象とする下地シートの厚みも特に限定されないが、通常、0.2〜3mmで、50〜400g/mの目付けのものである。
【0051】
本発明の組成物による建築用下地シートのコーティング処理には、下地シートに本発明の組成物の混合物を塗布または含浸し、溶剤型またはエマルジョン型の場合には乾燥を行った後に、または乾燥しながら加熱硬化する方法が用いられる。
【0052】
本発明の組成物を下地シートに塗布または含浸する方法は、一般的に用いられている方法によることができ、例えば、浸漬およびパジング、刷毛塗り、流し塗り、吹付け、ローラー塗工、グラビア塗工、コンマコーター、捺染、ナイフ塗工、マイヤーバー、エアブラシ、スロップパジング、ロール塗工などが用いられる。
【0053】
塗布または含浸後の乾燥および硬化は、通常、熱空気、赤外線、ガスバーナー、熱交換器もしくは他のエネルギー源によって加熱することができる加熱装置中で行われる。加熱装置として、例えば、加熱ロールカレンダー、加熱可能な貼り合わせプレス、加熱可能な段プレスまたは高温接触ロール、熱風乾燥機、マイクロ波乾燥機なども用いることができる。
【0054】
硬化時には、硬化被膜への気泡形成を回避させるために、加熱装置に温度の異なる複数の温度帯域を設けることが好ましく、例えば、第1の温度帯域中で60℃〜150℃、好ましくは80℃〜130℃、更に好ましくは90℃〜120℃の温度で予備乾燥を行い、続く第2の温度帯域中では300℃までの温度で硬化を実施できる。しかし、ほとんどの繊維は加工上の耐熱制限があるため、80℃〜150℃の温度範囲にすることが好ましい。硬化に必要とする滞留時間はコーティング重量、不織布の熱伝導性およびコーティングされた不織布への熱伝導に依存して変化するが、0.5分間〜30分間程度が好ましい。なお、上述の乾燥および硬化については室温で10分〜数時間放置することによって行なってもよい。
【0055】
本発明の組成物の使用量は、対象となる下地シートの表面状態、下地シートが透湿性を発揮する要因である細孔の状態によって異なるが、通常1〜50g/mとなる量である。使用量が多いと、本発明の組成物の硬化物が下地シートの全体を密に覆うために細孔をふさぐ結果、透湿性を阻害する要因となり好ましくなく、使用量が少ないと釘穴周りの止水性効果が低い。好ましくは、2〜40g/mとなるような量が使用される。
【0056】
本発明のコーティング組成物は下地シートの片面もしくは両面に処理される。また、本発明の組成物を用いた処理面をさらに滑り止めなどの処理を施すことを妨げるものではない。
【実施例】
【0057】
本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。また、実施例中の部は重量部を示す。
【0058】
(ゴムベースの調整)
分子中の両末端および内部に、ケイ素原子1モルあたりケイ素原子に結合したビニル基を約0.5mol%含有するビニル基変性のポリジメチルシロキサン(25℃の動粘度約10,000,000mm/s)30部をトルエン72部に良く希釈し、25℃の動粘度が約24,000mm/sとなるように調整した。さらに、25℃の動粘度が約40mm/sであるポリメチルハイドロジェンシロキサン(ケイ素原子に結合する水素含有量約1.5%)0.1部と、白金1%を含有する白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体0.3部と、エチニルシクロヘキサノール0.05部とを攪拌混合機で混合してゴムベースの調整液を作成した。
【0059】
(エマルジョンベースの調整)
分子中の両末端および内部に、ケイ素原子1モルあたりケイ素原子に結合したビニル基を約0.9mol%含有するビニル基変性のポリジメチルシロキサン(25℃の動粘度約2,000mm/s)87部と、25℃の動粘度約120mm/sを有するポリメチルハイドロジェンシロキサン(ケイ素原子に結合する水素含有量約0.8%)11部と、白金1%を含有する白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体2部と、エチニルシクロヘキサノール1部とからなる水性エマルジョンを、乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを、乳化機としてホモジナイザーを用いて調整した。乳化時の反応を避けるため、ビニル基変性のポリジメチルシロキサンの一部と白金触媒との混合物を乳化剤を用いてホモジナイザーで乳化し、これとは別に残部の成分を同様に乳化してから使用時に混合した。エマルジョンの固形分は約50%に調整した。
【0060】
(下地シート)
旭デュポンフラッシュスパンプロダクツ株式会社製不織布タイベック(登録商標)1082D(重量100g/m)を使用した。
【0061】
(コーティング方法)
バーコーターを使用しコーティングを行った。まず、タイベック片面をコーティングし、温度帯域1(温度50℃、硬化時間30秒)、温度帯域2(温度100℃、硬化時間60秒)の条件で乾燥と硬化を行った。さらにもう片面に同様にコーティングを実施した後、温度帯域1(温度50℃、硬化時間30秒)、温度帯域2(温度100℃、硬化時間60秒)の条件下で乾燥と硬化を行い、乾燥重量で両面合わせて約20g/mの本発明の組成物をコーティングした下地シートを作成した。
【0062】
(耐水圧試験)
JIS−L−1092の繊維製品の防水性試験方法の耐水度試験(静水圧法)A法に準じて行い、500mmHO以上を合格とした。
(透湿性試験)
JIS−L−1099の繊維製品の透湿度試験方法のA法(塩化カルシウム法(A−1法))に準じて行った。1000g/m/24hr以上を合格とした。
【0063】
(釘孔シール性試験)
本発明のコーティング組成物で処理した下地シート(30cm×30cm)を、屋根下葺きに使用する一般的な野地板上に、専用の道具(ステープル)を用いて特殊釘(タッカー)で固定した。特殊釘の周りに、内径約40mm、高さ約100mmの透明な塩化ビニル樹脂製パイプを立て、下地シートと塩化ビニル樹脂製パイプの隙間から水が漏れないようにシーリング材で目止めを行い、塩化ビニル樹脂製パイプを固定した。その後、塩化ビニル樹脂製パイプ内に高さ30mmまで水(または着色水)を注入して24時間放置した。そして24時間後の水位低下と、下地シートと野地板間の濡れの状況を観察した。野地板部分まで浸水しているものを漏水と判断し、特殊釘10本当たりの漏水釘本数を釘孔シール性試験結果として求め、その値が5本以下の場合を合格とした。
【0064】
[実施例1]
調整後のゴムベース100部にテトラエトキシシラン3部を加え良く混合し、タイベックにコーティングした後、乾燥炉で乾燥・硬化を行い下地シートを作製した。乾燥炉から取り出した下地シートに収縮はなかったが、やや硬く変化していた。耐水圧試験結果は500mmHO以上で合格であった。透湿性試験結果は1200g/m/24hrであった。また釘孔シール性試験結果は10本中4本で漏水が見られたが、基材と野地板間に漏水はほとんど溜まっておらず合格であった。以上の結果を表1に示す。
【0065】
[実施例2]
調整後のゴムベース100部にテトラエトキシシラン3部とγ−グリシドキプロピルトリエトキシシラン2部とを加えて良く混合し、タイベックにコーティングした後、乾燥炉で乾燥・硬化を行い下地シートを作製した。乾燥炉から取り出した下地シートは収縮もなく、風合いも変化しなかった。耐水圧試験結果は500mmHO以上で合格であった。透湿性試験結果は1700g/m/24hrであった。また釘孔シール性試験結果は10本中2本で漏水が見られたが、基材と野地板間に漏水の溜まりはなく合格であった。以上の結果を表1に示す。
【0066】
[実施例3]
調整後のゴムベース100部にテトラエトキシシラン3部とγ−グリシドキプロピルトリメトキシシラン1部とγ−グリシドキプロピルトリエトキシシラン1部とを加えて良く混合し、タイベックにコーティングした後、乾燥炉で乾燥・硬化を行い下地シートを作製した。乾燥炉から取り出した下地シートは収縮もなく、風合いも変化しなかった。耐水圧試験結果は500mmHO以上で合格であった。透湿性試験結果は1800g/m/24hrであった。また釘孔シール性試験結果は10本中2本で漏水が見られたが、基材と野地板間に漏水の溜まりはなく合格であった。以上の結果を表1に示す。
【0067】
[実施例4]
エマルジョン調整液100部に、γ−グリシドキプロピルトリエトキシシラン0.5部とを加えて良く混合し、タイベックにコーティングした後、乾燥炉で乾燥・硬化を行い下地シートを作製した。乾燥炉から取り出した下地シートは収縮もなく、風合いも変化しなかった。耐水圧試験結果は500mmHO以上で合格であった。透湿性試験結果は1400g/m/24hrであった。また釘孔シール性試験結果は10本中4本で漏水が見られたが、基材と野地板間に漏水の溜まりはなく合格であった。以上の結果を表1に示す。
【0068】
[実施例5]
エマルジョン調整液100部に、γ−グリシドキプロピルトリエトキシシラン1部とを加えて良く混合し、さらにカルボキシメチルセルロースナトリウム0.2部を加えたものをタイベックにコーティングした後、乾燥炉で乾燥・硬化を行い下地シートを作製した。乾燥炉から取り出した下地シートは収縮もなく、風合いも変化しなかった。耐水圧試験結果は500mmHO以上で合格であった。透湿性試験結果は1500g/m/24hrであった。また釘孔シール性試験結果は10本中3本で漏水が見られたが、基材と野地板間に漏水の溜まりはなく合格であった。以上の結果を表1に示す。
【0069】
[実施例6]
調整後のゴムベース100部をタイベックにコーティングした後、乾燥炉で乾燥・硬化を行い下地シートを作製した。乾燥炉から取り出した下地シートは収縮は見られなかったが、風合いはやや硬めであった。耐水圧試験結果は500mmHO以上で合格であった。透湿性試験結果は1000g/m/24hrであった。また釘孔シール性試験結果は10本中4本で漏水が見られたが、基材と野地板間に漏水の溜まりはなく合格であった。以上の結果を表1に示す。
【0070】
[比較例1]
テトラエトキシシラン60部とγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン20部とを良く混合し、タイベックにコーティングした後、乾燥炉で乾燥・硬化を行い下地シートを作製した。乾燥炉から取り出した下地シートは収縮が見られ、また風合いも硬く変化した。耐水圧試験結果は500mmHO以上で合格であった。透湿性試験結果は800g/m/24hrであった。また釘孔シール性試験結果は10本中8本で、基材と野地板間に漏水の溜まりも見られ不合格であった。以上の結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、透湿性および防水性を有する建築用下地シートのコーティング処理に用いるシリコーン組成物を提供するものであり、下地シートの透湿性、防水性を維持しながら、下地シートの施工による釘軸周りの止水性を改良することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルケニル基を含有するポリオルガノシロキサン、(B)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン:本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル数と(A)成分中のアルケニル基のモル数の比率が(0.5:1)〜(20:1)となる量、(C)ヒドロシリル化触媒:本発明組成物を硬化させるに十分な量よりなる付加硬化型シリコーン組成物であることを特徴とする建築用下地シートのコーティング組成物。
【請求項2】
(A)のアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサンが、ケイ素原子に結合するアルケニル基を1分子中平均2個以上含有し、25℃における動粘度が10〜100,000,000mm/sであり、(B)のポリオルガノハイドロジェンシロキサンが、1分子中にケイ素原子と結合する水素原子を2個以上含有し、25℃における動粘度が1〜1,000mm/sである請求項1記載の組成物。
【請求項3】
(D)接着性付与成分として、一般式RSi(OR4−x(式中、Rは置換または非置換の炭化水素基から選択される基、Rはアルキル基、アシル基、アルコキシアルキル基またはポリオキシアルキレン基から選択される基、xは0〜3の整数)であらわされるオルガノシランまたはその縮合物を(A)成分100重量部に対して0.1〜20重量部含有する請求項1または2のいずれかに記載の組成物。
【請求項4】
(D)オルガノシランのRがエポキシ基を有する炭化水素基であり、Rが炭素数1〜6のアルキル基である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。

【公開番号】特開2007−254624(P2007−254624A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82033(P2006−82033)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(500004955)旭化成ワッカーシリコーン株式会社 (17)
【Fターム(参考)】