説明

下地固定用ブラケット

【課題】暖冷房機器等によるエネルギー資源の消費を抑える下地固定用ブラケットを提供する。
【解決手段】L字金具14が断熱性部材を介して台座16に取り付けられている。建築物のコンクリート壁22に固定された下地固定用ブラケット10において、L字金具14はアンカーボルト18によりコンクリート壁22に固定されている。このとき、アンカーボルト18は断熱性部材の空洞部に装着されL字金具14に接していないため、L字金具14の温度はコンクリート壁22に伝わらない。さらに、L字金具用台座16は所定の厚さを有し、L字金具14とコンクリート壁22とは一定の距離離れて固定されるため、L字金具14の温度はコンクリート壁22に伝わらない。これにより、建築物の室内が外気温度の影響を受けないようにすることができ、室内の冷暖房を行う際、外気温度の変化によって増大するエネルギー資源の消費を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下地を建築物の壁に固定するための下地固定用ブラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物の外壁工事では、建築物を風雨から守る外装用パネル等の外装材を下地に取り付ける工事が行われる。下地は、アングル材(山形鋼)等の下地金属を縦横に組んだ骨組みであり、格子状に組まれる。また、下地は、L字状のブラケット(L字金具)を介してアンカーボルトで建築物のコンクリート壁に固定される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6−7140号公報(図2、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の外装用パネルでは、下地の縦材はブラケット(L字金具)を介してアンカーボルトで建築物のコンクリート壁に固定されている。
外装用パネルの温度(表面温度)は、夏であれば60℃〜100℃程度になり、冬であればマイナス温度にもなる。
特許文献1に記載のブラケットによると、外装用パネルの温度は、金属のブラケットおよびアンカーボルトを介して建築物のコンクリート壁に伝わる。すなわち、夏は、外装用パネルの温度がコンクリート壁を通じて建築物室内に伝わり、建築物の室内温度が上昇する。冬は、室内温度が低下する。この場合、暖冷房機器等を用いて室内を一定の温度に保つようにすると、電気、ガス、灯油等のエネルギー資源の消費が増大する。このようにL字金具からなる従来のブラケットは、エネルギー資源を消費する欠点があった。
【0005】
本発明は、上記欠点を解決するものであって、暖冷房機器等によるエネルギー資源の消費を抑える下地固定用ブラケットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の下地固定用ブラケットは、略筒状に形成された断熱性部材と、その断熱性部材が貫通可能な孔部を有するL字金具と、前記断熱性部材を嵌入する貫通孔部が形成され所定の厚さを有するL字金具用台座とを備え、前記断熱性部材が筒状の脚部とその脚部の上部に形成される断熱部とからなるものであり、前記L字金具用台座に前記L字金具をその両孔部が連通するように取り付け、当該連通する両孔部に前記断熱性部材の脚部を挿入して形成されるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の下地固定用ブラケットは、外装用パネルの温度が建築物のコンクリート壁に伝わることを遮断するものである。これにより、建築物の室内が外気温度の影響を受けないようにすることができ、暖冷房機器等の暖房又は冷房に要するエネルギー資源の消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の下地固定用ブラケットの構成部を表わす図である。
【図2】図1の下地固定用ブラケットを用いて下地を固定した状態を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、外装用パネルの温度が建築物のコンクリート壁に伝わることを遮断することを実現するものである。
【実施例】
【0010】
本発明の下地固定用ブラケットを図に基づいて説明する。図1は、本発明の下地固定用ブラケットの構成部を表わす図である。図2は、図1の下地固定用ブラケットを用いて下地を固定した状態を表わす図である。
本発明の下地固定用ブラケット10は、略筒状の断熱性部材12と、断熱性部材12が貫通可能な孔部14aを有するL字金具14と、断熱性部材12を嵌入する貫通孔部16aを有するL字金具用台座16とを備える。L字金具14は、金属板をL字状に曲折したL字型断面の取付金具であり、特許文献1に記載のL字状のブラケットと同じものである。L字金具14が下地に固定される一片14bには、ネジ等の固定手段を打ち込む穴部14cが数個形成されており、他片14dの中央部に孔部14aが形成されている。
【0011】
断熱性部材12は、筒状の脚部12aと、その脚部12aの上部に形成される断熱部12bとからなるものである。断熱部12bは、脚部12aの上部開口部から水平方向に延出された部分であり、脚部12aより径大に形成されている。また、断熱性部材12は、断熱できる素材、たとえば合成樹脂により形成されている。
図1の断熱部12bの形状は、平座金と同様の形状に形成されているが、この形状に限るものではない。断熱部12bは、アンカーボルト18を装着したときにアンカーボルト18のワッシャー18aがL字金具14に接しないような形状および大きさに形成されるものであればよい。
【0012】
L字金具用台座16は、所定の厚さ(又は高さ)を有するものである。また、台座16は、断熱できる素材、たとえば合成樹脂により形成され、その表面中央部には、貫通孔部16aが形成されている。
なお、図1の台座16には、台座本体16bの表面(台座16の上面)にL字金具14の一片14dを装着するための金具押さえ部16cが設けられている。台座本体16bと金具押さえ部16cとの間には隙間20が形成されており、隙間20にL字金具14の一片14dを挿入することにより、台座16にL字金具14を容易に取り付けることができるようになっている。
また、L字金具用台座16は、L字金具14の一片14dと建築物のコンクリート壁22(図2)との間に所定の距離を形成するスペーサであってもよく、その形状・構造は特定されるものではない。
【0013】
続いて、下地固定用ブラケットの組立ておよび下地金具の固定方法を説明する。
L字金具用台座16の隙間20にL字金具14の一片14dを差込み、台座16にL字金具14を取り付ける(図1)。なお、取り付けた場合、L字金具14の孔部14aと台座16の貫通孔部16aは、連通するように設けられている。
次に、L字金具14の孔部14aおよび台座16の貫通孔部16aに断熱性部材12の脚部12aを嵌入又は挿入する。これにより、L字金具14は断熱性部材12を介して台座16に取り付けられ、下地固定用ブラケット10が組み立てられる(図1)。
また、L字金具14を取り付けた台座16の裏面(台座16の底部)を建築物のコンクリート壁面22に当接させた状態で(図2)、断熱性部材12の空洞部にアンカーボルト18を挿入し打ち込むことにより、コンクリート壁22に下地固定用ブラケット10を固定することができる。他方、台座16にL字金具14の他の片14bは、ビス等の固定部材を用いて下地24(縦材又は横材)に固定する。これにより、下地24は建築物のコンクリート壁22に固定される(図2)。
なお、断熱性部材12の脚部12aの長さは、当該脚部12aが台座16の底面から突き出ないように設定されている。
【0014】
建築物のコンクリート壁22に固定された下地固定用ブラケット10において(図2)、L字金具14は、アンカーボルト18によりコンクリート壁22に固定されている。このとき、アンカーボルト18は断熱性部材12の空洞部に装着されL字金具14に接していないため、L字金具14の温度すなわち図示しない外装用パネルの温度は、コンクリート壁22に伝わらない。
さらには、L字金具用台座16は所定の厚さを有し、L字金具14とコンクリート壁22とは一定の距離離れて固定されるため、L字金具14の温度はコンクリート壁22に伝わらない、すなわち断熱される。また、台座16を非伝熱性の素材で形成することにより、断熱効果を高めることができる。
【0015】
本発明の下地固定用ブラケットによると、外装用パネルの温度が建築物のコンクリート壁に伝わることを遮断できる下地構造とすることができる。これにより、建築物の室内が外気温度の影響を受けないようにすることができ、室内の冷暖房を行う際、外気温度の変化によって増大するエネルギー資源の消費を抑えることができる。
【符号の説明】
【0016】
10 下地固定用ブラケット
12 断熱性部材
12a 脚部
12b 断熱部
14 L字金具
14a 孔部
16 L字金具用台座
16a 貫通孔部
18 アンカーボルト
22 コンクリート壁
24 下地


【特許請求の範囲】
【請求項1】
略筒状に形成された断熱性部材と、その断熱性部材が貫通可能な孔部を有するL字金具と、前記断熱性部材を嵌入する貫通孔部が形成され所定の厚さを有するL字金具用台座とを備え、前記断熱性部材が筒状の脚部とその脚部の上部に形成される断熱部とからなるものであり、前記L字金具用台座に前記L字金具をその両孔部が連通するように取り付け、当該連通する両孔部に前記断熱性部材の脚部を挿入して形成されることを特徴とする下地固定用ブラケット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−219523(P2012−219523A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86858(P2011−86858)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(595073498)勝又金属工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】