説明

下橈尺関節の部分的又は完全な人工関節置換術

少なくとも1つの人工関節を使用して下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を置換する方法、装置、及びキットを含むシステム。いくつかの実施形態において、該システムは、該関節の制約されていない通常のバイオメカニクスの復元を提供することができ、且つ該関節の回転運動及び並進運動を維持し、該関節の耐久性を保証することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2008年11月10日付で提出された米国仮出願第61/112,878号明細書に基づき、且つ該米国仮出願第61/112,878号明細書の、35 U. S. C. § 119(e)下の利益、パリ条約に基づく優先権の主張、ありとあらゆる他の適用可能な法律下の利益を主張し、該米国仮出願第61/112,878号明細書は、全ての目的のために、その全体を参照することによって本願に組み込まれる。
【0002】
下橈尺関節(distal radioulnar joint、DRUJ)は、前腕骨の遠位接合部、すなわち橈骨及び尺骨の遠位接合部で手首に形成された回動関節である。該関節は、遠位尺骨頭の外側表面領域と橈骨のS字状洞溝の内側表面領域との間の関節接合によって生成される。この関節接合は、前腕‐手首‐手の機能の一体性、手首の効率的な回外運動及び回内運動、及び、荷重が付加された状態下での手首の安定性にとって重要である。
【背景技術】
【0003】
下橈尺関節は、数ある中で、漸進的な逆行変性(gradual degeneration)(例えば、リウマチ関節炎)又は交通事故による外傷を通じて損傷を受ける場合がある。損傷を受けた下橈尺関節は、不安定な状態になる場合があり、その結果、亜脱臼(部分転位)又は脱臼及び急性の痛みに至る場合がある。最も意義深いことに、損傷を受けた下橈尺関節はほとんどいつも、苦しんでいる個人に対して慢性的な痛みを引き起こす。
【0004】
様々な外科的なアプローチは、下橈尺関節の不安定性及び慢性的な痛みを治療するために、前世紀に亘って発達してきた。例えば、ダラー法(Darrach procedure)において、尺骨の遠位頭は、完全に切除され、それによって、該関節の尺骨側を除去する。バウワー法(Bowers procedure)は、遠位尺骨頭の外側部分のみを切除することによって、類似の目的に対してより保守的なアプローチをとる。他の例として、ソーベカパンジー法(Sauve-Kapandji procedure)は、遠位尺骨頭に近接した尺骨の区域を切除し、残存している尺骨頭断片を固定具で遠位橈骨に固定する。しかしながら、それらの処置のいずれも、下橈尺関節の機能が無効にされる(abolished)ので、満足すべきでない。インプラントはまた、下橈尺関節の機能を完全に失うことなく、下橈尺関節の不安定性及び痛みを低減しようとして、下橈尺関節の修復のために最も最近開発されたものである。しかしながら、それらのインプラントの設計は制約されており、それらの使用は、下橈尺関節の外科的に到達しにくいことによって阻まれる。例えば、いくつかのインプラントの設置は、橈骨及び/又は尺骨の端部の完全な除去を含む。該除去は、下橈尺関節を一緒に保持する際に含まれた重要な靭帯(すなわち、三角線維軟骨複合体(triangular fibrocartilage complex (TFC)))を傷つける、又は取り除く。インプラントの他のものは、最小限の靭帯への損傷で移植されるように設計されるが、実際の外科手術状態下で、意図されるように設置することが難しい場合がある、又は不可能である場合がある。いずれにしても、インプラントのいずれも、下橈尺関節のバイオメカニクスを十分に復元する、又は再現することはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故に、骨及び軟組織に過大な損傷を与えることなく、修復のために下橈尺関節にアクセスするためのより効率的な処置の必要性が存在する。同様に、改善された下橈尺関節インプラントの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願開示は、少なくとも1つの人工関節を使用して下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を置換する方法、装置、及びキットを含むシステムを提供する。いくつかの実施形態において、該システムは、該関節の制約されていない通常のバイオメカニクスの復元を提供することができ、且つ該関節の回転運動及び並進運動を維持し、該関節の耐久性を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本願開示の態様に従って、構成され、且つ移植される例示的な橈骨人工関節及び尺骨人工関節を有する下橈尺関節の全置換術後の、右前腕の遠位橈骨及び遠位尺骨の背面図である。
【図2】図1のライン2−2に沿って実質的に切り取られた図1の遠位橈骨及び遠位尺骨並びに対応する人工関節の断面図である。
【図3】斑点(小まだら点)が表面輪郭の審美的な表現として図面に追加される状態の、骨及び固定具がない状態で該人工関節の関節接合側から見た、図1の橈骨人工関節の等角図である。
【図4】尺骨及び関連した靭帯がない状態で、橈骨のS字状洞溝に向けて見られた、図1の遠位橈骨及び橈骨人工関節の外側図である。
【図5】図4のライン5−5に沿って実質的に切り取られ、且つ骨及び固定具がない状態で描写された、図1の橈骨人工関節の断面図である。
【図6】図4のライン6−6に沿って実質的に切り取られ、且つ骨及び固定具がない状態で描写された、図1の橈骨人工関節の断面図である。
【図7】図4のライン7−7に沿って実質的に切り取られ、且つ骨及び固定具がない状態で描写された、図1の橈骨人工関節の断面図である。
【図8】図4のライン8−8に沿って実質的に切り取られ、且つ骨及び固定具がない状態で描写された、図1の橈骨人工関節の断面図である。
【図9】図4のライン9−9に沿って実質的に切り取られ、骨及び固定具がない状態で描写された、図1の橈骨人工関節の断面図である。
【図10】図4のライン10−10に沿って実質的に切り取られ、骨及び固定具がない状態で描写された、図1の橈骨人工関節の断面図である。
【図11】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の橈骨部分を置換する他の例示的な橈骨人工関節を支承する遠位橈骨の外側図である。
【図12】図11のライン12−12に沿って実質的に切り取られた、図11の橈骨及び橈骨人工関節の断片的な断面図である。
【図13】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を人工関節表面領域と置換する方法の実行中に生み出されてもよい例示的な配置を示す図である。
【図14】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を人工関節表面領域と置換する方法の実行中に生み出されてもよい例示的な配置を示す図である。
【図15】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を人工関節表面領域と置換する方法の実行中に生み出されてもよい例示的な配置を示す図である。
【図16】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を人工関節表面領域と置換する方法の実行中に生み出されてもよい例示的な配置を示す図である。
【図17】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を人工関節表面領域と置換する方法の実行中に生み出されてもよい例示的な配置を示す図である。
【図18】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を人工関節表面領域と置換する方法の実行中に生み出されてもよい例示的な配置を示す図である。
【図19】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を人工関節表面領域と置換する方法の実行中に生み出されてもよい例示的な配置を示す図である。
【図20】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を人工関節表面領域と置換する方法の実行中に生み出されてもよい例示的な配置を示す図である。
【図21】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を人工関節表面領域と置換する方法の実行中に生み出されてもよい例示的な配置を示す図である。
【図22】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を人工関節表面領域と置換する方法の実行中に生み出されてもよい例示的な配置を示す図である。
【図23】該エッチング工具の切断側から見た、図16に示されたエッチング工具の等角図である。
【図24】本願開示の態様に従って、下橈尺関節における対応する橈骨人工関節の移植前に、暫定的に移植されることができる例示的な試用インプラントの等角図である。
【図25】本願開示の態様に従って、アプリケータに取り付けられ、且つ橈骨のS字状洞溝内に形成されたキャビティ内に暫定的に設置された図24の試用インプラントの断面図である。
【図26】本願開示の態様に従って、例示的な切断ガイドが、尺骨に対して位置付けられ、且つ鋸の案内経路を規定した状態で、図1の橈骨人工関節の設置及び取付後の、橈骨及び尺骨の遠位図である。
【図27】尺骨に向けて図26のライン27−27に沿って切り取れた、図26の切断ガイドの断面図である。
【図28A】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を人工関節表面領域と置換する方法の実行中に生み出されてもよい他の例示的な配置を示す図である。
【図28B】本願開示の態様に従って、図28Aで生み出された配置を使用して移植されることができる例示的な橈骨頭人工関節の平面図である。
【図29A】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を人工関節表面領域と置換する方法の実行中に生み出されてもよい他の例示的な配置を示す図である。
【図29B】本願開示の態様に従って、図29Aで生み出された配置を使用して移植されることができる例示的な橈骨頭人工関節の平面図である。
【図30】本願開示の態様に従って、遠位尺骨頭の座部及び極が他の例示的な尺骨人工関節によって切除され、且つ置換される状態の遠位尺骨の背面図である。
【図31】本願開示の態様に従って、遠位尺骨頭の座部及び極が、離断された尺骨を固定する例示的な尺骨人工関節によって切除され、且つ置換される状態の、離断された遠位尺骨の背面図である。
【図32】本願開示の態様に従って、構成され、且つ設置された「逆の」橈骨人工関節及び「逆の」尺骨人工関節との下橈尺関節の全置換術後の、右前腕の遠位橈骨及び尺骨の背面図である。
【図33】下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を人工関節表面領域と置換する方法の実行中に生み出されることができる、さらなる他の例示的な配置を示す図である。
【図34】下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を人工関節表面領域で置換する方法の実行中に生み出されることができる、さらなる他の例示的な配置を示す図である。
【図35】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の橈骨部分を置換するさらなる他の橈骨人工関節を支承する遠位橈骨の背面図である。
【図36】図35のライン36−36に沿って実質的に切り取られた、図35の遠位橈骨及び橈骨人工関節の断面図である。
【図37】固定具及び骨がない状態の図35の橈骨人工関節の等角図である。
【図38】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の橈骨部分に亘って取り付ける例示的な橈骨人工関節を支承する橈骨の遠位図である。
【図39】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の橈骨部分のための人工関節表面も供給する例示的な骨プレートを支承する骨折した遠位橈骨の背面図である。
【図40】本願開示の態様に従って、遠位橈骨の外側側部からプレートを通じて延在する固定具によって、逆方向に固定された例示的な橈骨人工関節を支承する遠位橈骨の背面図である。
【図41】本願開示の態様に従って、下橈尺関節の橈骨部分を置換するさらなる他の例示的な橈骨人工関節を支承する遠位橈骨の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願開示は、少なくとも1つの人工関節を使用して下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を置換する方法、装置、及びキットを含むシステムを提供する。いくつかの実施形態において、該システムは、該関節の制約されていない通常のバイオメカニクスの復元を提供することができ、且つ該関節の回転運動及び並進運動を維持し、該関節の耐久性を保証することができる。
【0009】
橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節を修復する方法は、提供される。尺骨のシャフト領域(shaft region)は、近位尺骨断片及び遠位尺骨断片を形成するように切断されてもよい。遠位尺骨断片は、例えば遠位尺骨断片を反転した構成になるように回動することによって、近位尺骨断片から離れて、離隔した構成になるように移動されてもよい。骨は、遠位尺骨断片が離隔した構成になる間に、橈骨のS字状洞溝領域から、遠位尺骨頭の略外側面領域から、又はその両方から、取り除かれてもよい。橈骨人工関節、尺骨人工関節、又はその両方は、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を置換するために、取り除かれた骨の位置で設置されてもよい。近位尺骨断片及び遠位尺骨断片は、互いに対して固定されてもよい。
【0010】
橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節の少なくとも橈骨側を修復する方法は、提供される。橈骨人工関節は、選択されてもよい。橈骨人工関節は、溝を形成している外側表面を含んでもよい。橈骨人工関節は、橈骨に取り付けられることができ、それによって、該外側表面が下橈尺関節の橈骨表面領域を置換する。
【0011】
橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節を修復する方法は、提供される。細長いガイド部材は、前記ガイド部材が下橈尺関節を通じて延在する直線状の基準線を規定するように、橈骨及び尺骨内に配置されてもよい。骨は、橈骨のS字状洞溝領域から、遠位尺骨頭の略外側面領域から、参照として前記直線状の基準線を使用して取り除かれてもよい。橈骨人工関節及び尺骨人工関節は、下橈尺関節の橈骨表面領域及び尺骨表面領域をそれぞれ置換するように設置されてもよい。
【0012】
キットは、橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節を修復するために提供される。該キットは、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を置換するために、橈骨人工関節、尺骨人工関節、又はその両方から選択された少なくとも1つの人工関節を備えてもよい。該キットはまた、互いに対して近位尺骨断片及び遠位尺骨断片を固定するための骨プレートを備えてもよい。
【0013】
装置は、橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節を修復するために提供される。該装置は、溝を形成している窪んだ外側表面を含む橈骨人工関節を備えてもよい。
【0014】
本願明細書に開示されたシステムは、下橈尺関節の修復への他のアプローチに対して実質的な利点を有してもよい。例えば、該システムは、数ある中で、より保守的な、且つ/又はより正確な骨の除去を、及び/又は、人工関節の良好な取付及び/又はより正確な配置を、可能にすることができる下橈尺関節の表面への良好なアクセスを提供してもよい。該システムは、同様に、又は代替的に、該関節の制約されていない通常の(解剖学的な)バイオメカニクスのより正確な復元を提供する場合がある。
【0015】
本願開示のさらなる態様は、以下のセクション:(I)下橈尺関節の置換システム、(II)下橈尺関節の表面置換方法、(III)インプラントの組成、(IV)キット、及び(V)例、において提供される。
【0016】
[I.下橈尺関節の置換システム]
図1は、前腕の下橈尺関節(DRUJ)の1つ又は複数の表面領域の置換のための例示的なシステム50の選択された構成要素を示す。システム50は、例えば複数の固定具60、62を使用して、橈骨56及び/又は尺骨58にそれぞれ取り付けられた橈骨人工関節52及び/又は尺骨人工関節54を含むことができる。該人工関節は、図1において、右前腕の背面側から見られており、例示的な解剖学的な軸、すなわち内側‐外側軸(M−L)及び近位‐遠位軸(P−Di)が示される。システム50はまた、互いに軸方向に位置合わせされた状態で、遠位尺骨断片68及び近位尺骨断片70を固定するように、骨プレート66などの固定装置64を含む。尺骨断片は、例えば、橈骨人工関節52及び尺骨人工関節54の設置を可能にするように、尺骨のシャフト領域を通じて横断方向切断部72を形成する骨切除術をもたらすことができる。
【0017】
橈骨人工関節52及び尺骨人工関節54のそれぞれは、下橈尺関節51の橈骨関節接合表面又は尺骨関節接合表面のための置換表面領域を少なくとも提供するように形成されることができる、又は位置付けられることができる。例えば、橈骨人工関節は、橈骨のS字状洞溝の少なくとも1部を置換してもよい。同様に、又は代替的には、尺骨人工関節は、遠位橈骨の頭の少なくとも外側部分を置換してもよい。いくつかの実施形態において、尺骨人工関節は、座部と称される、尺骨外側表面領域76を置換してもよい。該尺骨外側表面領域76は、S字状洞溝に面しており、且つS字状洞溝と関節をなしている。同様に、尺骨人工関節は、極(pole)と称される、尺骨端部表面領域78を置換してもよい。該尺骨端部表面領域78は、尺骨小窩(ulnar fovea)に対して外側に配置されてもよく、尺骨から実質的に遠位に面してもよい。いずれにしても、橈骨人工関節及び/又は尺骨人工関節は、橈骨56又は尺骨59に三角線維軟骨複合体(triangular fibrocartilage complex (TFC))80の取付を妨害することなく、設置されることができる。
【0018】
図2は、橈骨56及び尺骨58の近位‐遠位平面を通じて実質的に切り取られたシステム50の断面図を示す。例示的な解剖学的な軸、すなわち内側‐外側軸(M−L)及び背面‐前面軸(Do−V)は、示される。
【0019】
橈骨人工関節52及び尺骨人工関節54は、下橈尺関節における人工関節置換表面として機能するために、互いに面しており、且つ互いに可動に接触する各外側表面90、92を備えることができる。現在の例において、下橈尺関節の橈骨側及び尺骨側の両方は、人工関節全置換術において、人工関節関節表面と置換される。しかしながら、他の例において、橈骨側のみ又は尺骨側のみは、半関節形成術において、橈骨人工関節又は尺骨人工関節とそれぞれ置換される場合がある。言い換えると、設置後の橈骨人工関節(又は、尺骨人工関節)は、下橈尺関節において、置換関節接合表面又は生来の関節接合表面と関節をなす場合がある。
【0020】
A.橈骨人工関節
図2〜4は、橈骨人工関節52のさらなる態様を示す。橈骨人工関節は、一体式とされてもよい(又は一体式とされてなくてもよい)プレート94として組み立てられることができる。橈骨人工関節は、外側表面90と対向する内側表面96を有することができる。内側表面は、数ある中で、平坦とされてもよく(すなわち、少なくとも略平面とされてもよい)、又は、(例えば、凸状に)湾曲されてもよい。内側表面は、数ある中で、突出部(例えば、一体式の突出部)がなくてもよく、又は該内側表面から突出している少なくとも1つの一体式のステム及び/又はリッジを有してもよい。
【0021】
外側表面90は、側部表面98によって分離されることができ、人工関節の外周を形成することができる。該側部表面は、直線状の輪郭(例えば、図4を参照する)を形成するために少なくとも略平坦とされてもよく、又は湾曲した輪郭を形成するために、曲面とされてもよい。いずれにしても、ここで示されるように側部表面98が出会う角部は、丸みを帯びてもよく、鋭くてもよく、又は(例えば、円状の構成において)存在しなくてもよい。該側部表面は、内側表面96に対して少なくとも実質的に直交するように方向付けされてもよい。少なくとも1対の対向した側部表面98は、互いに対して平行(又は、傾斜)とされるそれぞれ長軸を規定することができる。それ故に、いくつかの実施形態において、橈骨人工関節は、数ある中で、少なくとも略矩形状(すなわち、長方形又は正方形)又は台形状である四角形形状を形成するように、4つの側部表面を有する場合がある。他の実施形態において、橈骨人工関節は、円状、楕円形状、4つの側部より多い多角形状又は少ない多角形状、又は同様のものとされてもよい。
【0022】
橈骨人工関節は、図1、図2、及び図4に示されるように、骨内にはめ込まれるように(骨内に挿入されるように)組み立てられてもよい。言い換えると、橈骨人工関節は、S字状洞溝102内に形成されたキャビティ100に部分的又は少なくとも実質的に完全に受容されることができ、それによって、人工関節が、(図2及び図4に見られるように)側部表面98が壁部104に面する状態で、キャビティの壁部104によって周囲を囲まれる。設置時に、外側表面90は、橈骨の周囲表面領域106と少なくとも実質的に同一平面とされてもよく(又は、同一平面とされなくてもよい)、該位置において、(図4に見られるように)人工関節の外側表面90が骨表面領域106に出会う。
【0023】
橈骨人工関節は、任意の適切な寸法を有することができる。例えば、橈骨人工関節は、その幅より大きい長さ又はその幅と等しい長さを有してもよい。橈骨人工関節の厚さは、長さ及び/又は幅より実質的に小さくてもよく、例えば、長さ及び/又は幅の約半分しかなくてもよい。該厚さは、内側表面及び外側表面が相補的な形状を有する場合に、以下に記載されるように、人工関節に亘って変化してもよく、又は一定でもよい。例示的な実施形態において、単に図示のために意図されるが、橈骨人工関節は、典型的な大人の患者のために、約3/4インチ(19mm)の幅、5/8インチ(16mm)の長さ、1/4インチ(6.3mm)の深さとされてもよい。
【0024】
橈骨人工関節(及び/又は、尺骨人工関節)は、(図3に見られるように)任意の適切な種類の孔108、孔108の任意の適切な数、及び孔108の任意の適切な配置を有してもよい。例えば、橈骨人工関節52は、各角部に隣接して孔を画定してもよい。いずれにしても、各孔は、骨ねじなどの固定具を受容するために構成されてもよい。該孔は、貫通孔、例えば、人工関節の内側表面と外側表面との間に延在する貫通孔とされてもよく、又は人工関節を貫いて完全に延在しなくてもよい(以下を参照)。該孔は、螺合係合によって固定具に固定される雌ねじ付きの孔などの、固定孔とされてもよく、又は固定具との螺合係合なしで、固定具を受容する圧縮孔/トグル孔とされてもよい。それ故に、該孔は、固定具の配置のための軸を既定してもよく、又は、角度の範囲間で固定具の配置を可能してもよい。いくつかの実施形態において、橈骨人工関節は、1つ又は複数の固定孔及び1つ又は複数の(固定されない)圧縮孔/トグル孔の組み合わせを含んでもよい。
【0025】
固定具60は、孔108内に受容されてもよく、任意の適切な距離を通じて、及び任意の適切な方向において、骨内に前進されてもよい(図2及び図4に見られる。)。各固定具60は、例えば、隆起ねじ部(prominent thread)を有する、海綿骨ねじ(cancellous bone screw)とされてもよい。該固定具は、例えば、橈骨に亘って(内側から外側へ)、少なくとも約1/3の距離、少なくとも約半分の距離、少なくとも約3/4の距離で延在してもよい。少なくとも一対の固定具60は、互いに対して平行に延在されてもよく、又は人工関節から離れるように延在すると、発散してもよく、又は収束してもよい。一対の固定具の発散性及び収束性は、背面‐前面方向、内側‐外側方向、近位‐遠位方向、又はそれらの任意の組みわせとされてもよい。それらの場合において、複数の固定具は、固定具の外側に広げられた配置(splayed-out arrangement)を提供するために、橈骨人工関節から延在されるにつれて互いから発散してもよく、それによって、該固定具が、骨に対して人工関節をより効率的に固定することができる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの固定具は、人工関節へ接近し、(すなわち、外側から内側方向における固定具の配置によって)逆方向(retrograde direction)において人工関節に対して固定してもよく、又は、(例えば、セクションVを参照して)背面方向又は前面方向から人工関節の側部表面を介して受容されてもよい。
【0026】
図3〜10は、橈骨人工関節52の外側表面90のための例示的な形状を示す。外側表面90は、外側表面の三次元輪郭の理解を容易にするために、教示の目的で、図3で点描されるように描かれている。該外側表面は一般的に、修復された関節で体液の移動を促すために、非常に滑らかである、より適切に言えばより滑らかに研磨されている。
【0027】
外側表面90は、窪んでいてもよい。言い換えれば、該外側表面は、互いに少なくとも実質的に直交している2つの方向のそれぞれにおいて、凹面状の湾曲を有してもよい。
いくつかの実施形態において、外側表面は、複合湾曲で形成されてもよく、該複合湾曲は、該人工関節が設置される場合に、該人工関節の特徴的な長さ軸110及び特徴的な幅軸112に対して、及び/又は解剖学的な軸に対して、画定されることができる。該外側表面は、該人工関節の幅軸112に対して平行な軸に関して、及び/又は、近位‐遠位軸に対して平行な軸に関して、略中央に配置された第1の凹状の湾曲を有してもよく、それによって、橈骨人工関節が橈骨に対して動作可能に取り付けられる場合に、第1の凹状の湾曲は、人工関節における長さ方向に、及び/又は背面‐前面方向に、実質的に延在する。該外側表面90はまた、人工関節の長さ軸110に対して平行又は傾斜する軸に関して、及び/又は(図3におけるDo−Vとして記載されるように)1つ又は複数の背面‐前面軸に対して平行又は傾斜する軸に関して、略中央に配置された第2の凹状の湾曲を有してもよく、それによって、橈骨人工関節が橈骨に対して動作可能に取り付けられる場合に、第2の凹状の湾曲は、人工関節における幅方向に、及び/又は、近位‐遠位方向に(又は近位‐遠位方向に対して傾斜して)、実質的に延在する。
【0028】
外側表面90の複合湾曲は、溝114を形成してもよい。該溝114は、浅く、徐々に丸みを帯びる(shallow, gently rounded trough)場合がある。該溝は、図3及び図4において鎖線によって印付けされており、図5〜図10において示された橈骨人工関節52の断面図において可視される。該溝は、設置時に、長さ軸110に対して平行に、及び/又は解剖学的に規定された背面‐前面方向に対して略平行に、方向付けられてもよい。代替的には、該溝は、図3〜10に示されるように長さ軸110に対して傾斜するように方向付けられてもよい。例えば、溝114は、長さ軸110に対して、及び/又は、該人工関節が(例えば、より遠位の背面位置からより近位の前面位置への傾斜角で)設置される場合に、解剖学的に規定された背面‐前面軸に対して、約5°〜25°の傾斜角、約10°〜20°の傾斜角、又は約15°の傾斜角で延在してもよい。
【0029】
該溝114は、下橈尺関節の主要な荷重負荷軸を示してもよい。それ故に、尺骨の座部(及び/又は、尺骨人工関節によって提供された人工関節の座部)は、橈骨及び尺骨に対する手末端部が回外運動から回内運動へ移動されるときに、図3及び図4において左側から右側への実質的な回転運動及び並進運動によって、該溝に沿って変位してもよい。それ故に、溝が傾斜するように方向付けられる場合に、尺骨の座部が、手の回外運動と回内運動との間で、溝に沿って回転し、且つ並進するので、橈骨の遠位端部の近位‐遠位位置は、(例えば、約4mm〜5mmだけ)変化してもよい。溝114はそれ故に、関節機能のより良好な復元のために、生来の下橈尺関節の動作を再生する人工関節運動を促してもよい。
【0030】
図11及び図12は、下橈尺関節の橈骨部分を置換する他の例示的な橈骨人工関節130を支承する遠位の橈骨56の内側図及び断面図をそれぞれ示す。橈骨人工関節130は、橈骨人工関節(例えば、橈骨人工関節52)の本願開示において、他の場所に記載される特徴の任意の組み合わせを有してもよい。
【0031】
橈骨人工関節130は、表面部材(前方部材)132及びベース(後方部材)134を含む複数の部材とされてもよい。ベースは、骨に固定されてもよく、表面部材を骨に接続するために、骨と表面部材との間でブリッジとして役立ってもよい。表面部材及びベースは、同一の材料又は異なる材料から形成されてもよい。例えば、ベースは、金属(例えばチタニウム)から形成されてもよく、表面部材は、数ある中で、プラスチック(例えば、超高分子量ポリエチレン)又は金属(例えば、コバルトクロム)から形成されてもよい。それ故に、複数の部材からなる人工関節の使用は、材料の選択において多くの自由を提供する。ベース及び表面部材のための他の適切な材料は、以下のセクションIIIで記載される。
【0032】
表面部材132は、下橈尺関節の橈骨側を形成するために形作られた外側表面136を有してもよい。例えば、表面部材は、(例えば図3に見られるように)橈骨人工関節52のために上記に記載された溝に類似な溝138を画定してもよい。しかしながら、表面部材は、複数の孔によって遮られない連続的な外側表面を有してもよい。それ故に、表面部材は、例えば、半関節形成術後に、下橈尺関節における関節接合のための刺激の少ない表面(less-irritating surface)を提供する場合がある。
【0033】
ベース134は、表面部材と骨との間でブリッジを形成することによって、骨に対する表面部材132の固定接続を可能にしてもよい。ベースは、骨と係合するために、橈骨のS字状洞溝内に形成されたキャビティ140内で受容されてもよい。ベースは、任意の適切な機構によって橈骨に取り付けられてもよい。例えば、ベースは、ベースを骨に取り付けるために、ねじ付き固定具144を受容する1つ又は複数の孔142を画定してもよい。代替的には、又はさらに、ベースは、数ある中で、接着剤(例えば、骨セメント)で、圧入(例えば、橈骨における小形の孔内にベースのステムを押し込むことによって)、又はそれらの組み合わせで、骨に固定されてもよい。橈骨に対する取付後に、ベースは、表面部材と係合されてもよい。例えば、ベースは、ベースの外側表面上に及び/又は外側表面において、及び表面部材の内側表面上に及び/又は内側表面において形成された、少なくとも略補完的な固着構造146によって提供されたスナップ嵌め式接続で表面部材を受容してもよい。他の実施形態において、表面部材は、ベースに取り付けられる場合に、骨の1つ又は複数の側部表面に亘って延在してもよい。スナップ嵌め式接続よりはむしろ、又はスナップ嵌め式接続に追加して、表面部材は、数ある中で、固定具及び/又は接着剤を介して骨に固定されてもよい。
【0034】
B.尺骨人工関節
図1及び図2は、尺骨人工関節54のさらなる態様を示す。尺骨人工関節は、橈骨人工関節のために上記に記載される特徴のいずれかを有してもよい。例えば、尺骨人工関節は、単一部材として形成されてもよい。代替的には、尺骨人工関節は、橈骨人工関節130(図11及び12)のために実質的に記載されるように、内側ベース及び別個の外側表面部材などの、複数の部材からなる構成とされてもよい。同様に、尺骨人工関節は、貫通孔又は止まり孔(blind hole)とされる1つ又は複数の孔を画定する場合がある。例えば、本願の図示において、尺骨人工関節は、その先端部でラグスクリュー(lag screws)62に固定される一対の雌ねじ付き孔160を画定する。
【0035】
尺骨人工関節は、(図1及び図2に見られるように)外側表面92と実質的に対向する内側表面162を含んでもよい。内側表面は、数ある中で、(一の平面において主として)平坦とされてもよく、互いに対して鋭角で、直角で、又は鈍角で配置された少なくとも2つの平坦な表面からなってもよく、(例えば、球形状に)湾曲されてもよく、又はその組み合わせでもよい。
【0036】
尺骨人工関節(及び/又は、橈骨人工関節)は、内側表面162及び外側表面92を形成する本体164と、内側表面162から突出しているステム166とを備えてもよい。ステムは、本体に固定されてもよく、内側表面162に対して直交するように、又は傾斜するように、突出してもよい。ステムは、本体と一体化されてもよく、別個の離散的な部材によって形成されてもよい。ステムは、例えば、尺骨における孔内へのステムの挿入を容易にするために、丸められた先端及び/又は先細された先端を有する少なくとも略円柱状とされてもよい。該ステムは、数ある中で、髄管に対して傾斜するように、又は直交するように、骨内に形成された孔内に配置されるように構成されてもよく、及び/又は、尺骨の髄管に沿って配置されてもよい。
【0037】
尺骨人工関節54の外側表面92は、S字状洞溝又は橈骨人工関節との関節接合領域において、任意の適切な形状を有してもよい。例えば、関節接合領域は、数ある中で、略円球形状又は略円柱状とされてもよい。いくつかの実施形態において、下橈尺関節における橈骨人工関節又は生来の橈骨と関節をなす外側表面92の一領域は、(例えば、図2に見られるように)橈骨人工関節52の背面‐前面の湾曲より大きい背面‐前面の湾曲(すなわち、小さな曲率半径)を有してもよい。本体164は、(図1に見られるように)本体の大部分から近位方向に延在するテール部168を形成してもよい(又は、形成しなくてもよい)。
【0038】
軟骨下骨(subchondral bone)に当接する人工関節の任意の骨接触表面は、骨成長及び/又は骨に対する癒着を促進するために変更されてもよい。例示的な骨接触表面は、尺骨人工関節54の内側表面162及びステム166と、橈骨人工関節52の内側表面96及び必要に応じて側部表面98と、を含む。例示的な変更は、プラズマ処理、グリッドブラスト(grit-blasting)、又は同様のものを含んでもよい。同様に、軟骨下骨に当接する人工関節の骨接触表面は、接着剤(例えば、骨セメント)で骨に取り付けられてもよい。該接着剤は、代替的に使用されもよく、又は1つまたは複数の固定具に追加して使用されてもよい。
【0039】
[II.下橈尺関節の表面置換方法]
本願開示は、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を置換する方法を提供する。該方法は、このセクション及び本願開示における他の場所で示されたステップの任意の適切な組み合わせ及び順序を採用する場合がある。図13〜22は、下橈尺関節の少なくとも1つの関節接合表面領域を人工関節表面領域と置換する方法で実行されることができる例示的なステップに対応している、且つ/又は例示的なステップを図示している例示的な構成を示す。システム50(図1)の橈骨人工関節及び尺骨人工関節の設置及び取付は、それらの図面に示される。
【0040】
図13は、骨の適切な切除と、システム50のコンポーネントの位置及び取付とを容易にするために、直線状の基準線又は案内軸180の確立中の、患者の右側前腕の橈骨56及び尺骨58の遠位領域の背面図を示す。遠位尺骨58及び下橈尺関節51は、数ある中で、背面/内側側部又は前面/内側側部から軟組織を通じてアクセスされてもよい。
【0041】
基準線180を確立するために、堅いワイヤー(例えば、約0.062インチ(1.6mm)のKワイヤー、例えば約1mm〜約2mmのKワイヤー)又はピンなどの細長いガイド部材182は、遠位尺骨頭の内側側部で始まる挿入ポイントから、実質的に内側から外側への方向において、尺骨及び橈骨内に挿入されてもよい。ガイド部材の先端部184は、下橈尺関節51を通じて、且つ橈骨56及び尺骨58の他の表面に対して基準線180を画定するように、下橈尺関節51を通じて配置されてもよく、且つ特に、その橈骨関節接合表面及び尺骨関節接合表面を通じて、配置されてもよい。該ガイド部材は、橈骨56及び尺骨58の長手方向軸に対して直交するように配置されてもよく、又は図13に示されるように、近位から遠位への傾斜状態で傾斜するように配置されてもよい。例示的な配置の垂直ではない角度は、数ある中で、約5°〜約35°、約10°〜約30°、約15°〜約25°、又は20°を含む。
【0042】
ガイド部材182の配置は、フリーハンドで実行されてもよく、又は照準工具190によって容易にされてもよい。照準工具190は、クランプを形成するように、調整可能で固定可能な長さの本体192が対向するアーム194、196に接続された状態で、略C字状とされてもよい。アームの位置は、固定ノブ198を使用して固定されてもよい。それによって、照準工具が、前腕に対して圧縮され、前腕に対して締め付けられることができる。第1のアーム194は、ガイド部材を受容し、且つガイド部材を方向付けるボア200を画定することができる。骨は、第2のアーム196に設けられたフィンガー202などの、既定済み部位を交差する直線状の軸を画定することができる。使用時に、第1のアーム194は、遠位尺骨頭の内側表面部位に対して配置されてもよく、フィンガー202は、遠位橈骨の外側部位に亘って肌(又は骨)に対して配置されてもよく、それによって、照準工具190は、適所で締め付けられることができる。X線透視装置は、同様に、又は代替的に、位置付けを監視するために、且つ該関節及び骨を通じて所望な配置を可能にするために、ガイド部材の配置中に利用されてもよい。
【0043】
図14は、参照符号210で示されるように、ガイド部材182が部分的に引き抜かれた状態で、骨切除術が鋸などの切断工具212によって尺骨58で実行されるときの、図13の橈骨56及び尺骨58の背面図を示す。言い換えれば、尺骨が無処置であると仮定して、尺骨58のシャフト領域214は、遠位尺骨断片68及び近位尺骨断片70を形成するために、骨を通じて完全に、(尺骨の長手方向軸に対して直交するように又は傾斜するように)横断方向に切断される場合がある。遠位尺骨は、約3インチ(76mm)程度又はわずか約3インチなどの、その遠位先端部218から適切な距離で、その遠位頭216に対して近位で切断される場合があり、橈骨56及び尺骨58を接続する靭帯80、腱、血管、及び同様のものを無傷な状態にすることができる。
【0044】
図15は、遠位尺骨断片が近位尺骨断片に対して離隔した構成で配置された状態、例えば、参照符号230で示されるように、(同様に、回動した構成又はヒンジアウトした構成(hinged-out configuration)と称される)反転した構成で配置された状態での、尺骨の骨切除術(図14)後の橈骨56及び尺骨58の背面図を示す。尺骨断片の分離は、近位尺骨断片70から離れるように遠位尺骨断片68を移動することによって達成されてもよい。例えば、遠位尺骨断片68は、遠位尺骨断片を略内側に、且つ橈骨56及び近位尺骨断片70から離れるように回動することによって、反転した構成になるように移動されてもよい。反転した構成は、数ある中で、少なくとも約20°、少なくとも約40°、少なくとも60°、及び少なくとも90°などの任意の適切な角度によって遠位尺骨断片68の再度の方向付けを表してもよい。同様に、他のガイド部材232は、(図13にも見られるように、)ガイド部材182によって形成された橈骨56におけるチャンネル234内に配置されてもよい。
【0045】
一般的に、反転した構成において、遠位尺骨断片の血液供給は、三角線維軟骨複合体の十分に血管化された取付(richly vascularized attachment)と無傷の骨膜スリーブに対する包囲カプセル取付(surrounding capsular attachment)とによって維持されてもよい。言い換えれば、反転した構成は、その血液供給の遠位尺骨断片を剥離しなくてもよく、それによって、乏血壊死を避けることができる。
【0046】
図16は、骨が図15に示されるように位置付けされた状態、及び箱たがね(box chisel)と称されるエッチング工具240がS字状洞溝102上で動作可能に配置される状態の、橈骨56及び尺骨58の内側図を示す。エッチング工具240は、(図13に見られるように)基準線180に対してエッチング工具240の適切な近位‐遠位の位置付け及び背面‐前面の位置付けを提供するために、(図15に見られるように)ガイド部材232を受容する開口部242を画定してもよい。エッチング工具は、置換されるべきであるS字状洞溝の表面領域のための境界又は縁の輪郭を描く(且つ切断する)ために使用されてもよい。エッチング工具240は、橈骨人工関節52の利用可能なサイズを受容するために準備されるべきS字状洞溝の領域を寸法決めし、且つ形成する際に、ガイドとして使用されることができる。エッチング工具240は、開口部242を規定し、且つ把持可能なハンドル246に接続されるヘッド244を含んでもよい。ヘッド244は、所定の形状で橈骨人工関節に対応することができるブレード248を備えてもよい。エッチング工具240がS字状洞溝102に適切に位置付けられる状態で、外科医は、ブレード248をS字状洞溝102内に至らせるように、例えば木槌で、ヘッド244を打ちつけてもよく、それ故に、掘削されるべきS字状洞溝の表面領域250の境界を規定することができる。エッチング工具230のさらなる態様は、以下に記載されるであろう。
【0047】
図17は、(図16にも見られる)表面領域250の周りの境界252に印をつけるために、又は該境界252を切断するために、エッチング工具240の使用後の橈骨56の背面図を示す。バー256に装着された動力ドリルなどの掘削工具254は、S字状洞溝102内のキャビティ258を形成するために使用されることができる。キャビティの寸法及び形状は、境界252によって規定されることができる。キャビティ258の深さは、キャビティ内に移植されるであろう橈骨人工関節の厚さに対応してもよい。
【0048】
図18は、キャビティ258内の橈骨人工関節52の配置及び固定具60による橈骨に対する取付後の橈骨56の内側図を示す。他の例において、橈骨人工関節52は、(図1に見られるように)尺骨人工関節54後に設置されてもよく、又は、半関節形成術中に尺骨人工関節なしで利用されてもよい。言い換えれば、橈骨人工関節が設置された状態で、尺骨56が別の方法で衝撃を与えられない修復において、尺骨は、固定装置及び固定具(例えば、骨プレート及び骨ねじ)を使用して再度組み立てられてもよく、該部位は閉鎖される。
【0049】
図19〜22は、(図19及び図21に見られるように)尺骨が穴をあけられる(又は、穴あけのために準備される)ときの、(図20に見られるように)尺骨が切除されるときの、及び(図22に見られるように)尺骨が固定されるときの、橈骨56及び尺骨58の背面図を示す。それらの手順は、任意の適切な順番で、尺骨で実施されることができる。
同様に、手順のいずれかは、橈骨が堀削され、且つ橈骨人工関節が移植される前又は後で、尺骨で実施されることができる。さらに、手順のいずれかは、下橈尺関節の半関節形成術において実施されてもよい。
【0050】
図19は、尺骨内に穴あけのための経路を画定するために、その内側側部から尺骨58内へのガイドピン270及び272の挿入を図示する。テンプレート274は、ガイドピン270及び272を配置するために利用されることができる。該テンプレートは、ガイド部材182を受容するためのボア276と、ガイドピン270及び272を位置付けし、且つガイドピン270及び272の挿入を案内するための、1つ又は複数のボア278、280とを画定してもよい。テンプレート274のボア278、280は、(図1及び図2に見られるように)尺骨人工関節54の特徴と関連して配置されてもよい。例えば、ボア278、280は、(図1に見られるように)尺骨人工関節54のねじ付き孔160の分離に一致するように離隔されてもよい。骨内へのガイドピン270及び272の配置後に、テンプレート274は取り除かれてもよく、穴282、284は、カニューレ処置されたドリルビット(cannulated drill bit)でガイドピンに亘って穴をあけることによって形成されてもよい。
【0051】
図20は、尺骨58の遠位頭216の外側部分の切除を図示する。切断ガイド290は、遠位尺骨の背面表面(又は前面表面)に隣接してガイドスロット292(又は、ガイド面)を位置付けるために、ガイド部材182上に受容されてもよい。該ガイドスロットは、尺骨の長手方向軸に対して、数ある中で約10°〜約30°又は約20°等の任意の適切な角度で配置されてもよい。該ガイドスロット(又は、ガイド面)は、遠位頭216に対して近位とされてもよい尺骨のより近位の外側表面領域294から遠位頭216の遠位端部表面領域286まで延在している切断面を規定してもよく、該遠位端部表面領域286は、尺骨小窩(ulnar fovea)298に隣接して外側に配置されてもよく、且つ尺骨の中心長手方向軸を越えて内側に配置されてもよい。動力鋸(例えば、往復運動動力鋸)などの切断工具300は、ガイドスロット292によって案内された尺骨の切除部分302を取り除いてもよい。他の実施形態において、尺骨頭の外側部分は、(例えば、図14に見られるように)尺骨が近位セグメント及び遠位セグメントに切断される前に、取り除かれてもよい(切断されてもよい)。
【0052】
図21は、(例えば、図1に見られるように)尺骨人工関節54のステム166を受容するために、尺骨58において穴310をあけることを図示する。穴310は、基準線180と同心とされてもよく、且つカニューレ処置されたドリルビット312でガイド部材182亘って穴をあけることによって形成されてもよい。穴あけは、尺骨が近位セグメント及び遠位セグメントに切断された後で、尺骨が反転した構成になる状態で、尺骨58の外側側部から実行されてもよい。
【0053】
図22は、固定装置64、すなわち複数の骨ねじ320で固定された骨プレート66を使用する尺骨58の再組み立てを図示する。尺骨58を再度組み立てることは、遠位尺骨断片68を、反転した構成から近位尺骨断片70と軸方向に位置合わせされた状態へ回動させることを含んでもよい。位置合わせされた断片は、数ある中で、骨プレート、1つ又は複数の骨ねじ、1つ又は複数のピン、外側骨折固定器、髄内ネイル(intramedullary nail)、又はその任意の組み合わせ等の任意の適切な固定装置で固定されてもよい。
【0054】
図23は、(図16にも見られるように)該工具の切断側から見たエッチング工具240を示す。エッチング工具240は、切れ刃332を形成するために、ヘッド244のプレート330から直交するように突出しているブレード248を含んでもよい。ブレード248は、閉鎖されたループにおいて、ヘッドの外周の周りで延在してもよい。ブレードは、移植されるべき橈骨人工関節の厚さに対応する深さを有してもよい。骨内へのブレード248の進行は、骨とのプレート330の接触によって、停止されてもよい。同様に、ブレード248は、その寸法及び形状で移植されるべき橈骨人工関節に対応する領域の周囲を囲んでもよい(circumscribe)。しかしながら、該領域は、移植時に、骨との橈骨人工関節の締りばめを得るために、橈骨人工関節の寸法に対して僅かに小さくてもよい。
【0055】
図24は、下橈尺関節において、対応する橈骨人工関節の設置前に、暫定的に設置されてもよい例示的な試用インプラント340を示す。試用インプラント340は通常、その寸法及び形状において、図3に示された橈骨人工関節52などの、橈骨人工関節に対応してもよい。該試用インプラントの使用は、橈骨人工関節の適切な寸法及び/又は形状が、設置のために別の寸法及び形状の一組の橈骨人工関節から選択されることを可能にしてもよい。代替的には、又は追加して、試行インプラントの使用は、橈骨人工関節が移植される前に、S字状洞溝内で形成されたキャビティの寸法及び形状の評価を可能にしてもよい。試行インプラント340は、雌ねじを有する孔342を画定してもよい。
【0056】
図25は、試用アプリケータ350に取り付けられ、且つ橈骨56のS字状洞溝内で形成されたキャビティ352内で、暫定的に設置された試用インプラント340を示す。該試用インプラント340は、孔342に固定された蝶ねじ354によって、試用アプリケータ350に取り付けられてもよい。表面356は、試用インプラント340の挿入に役立つように、工具で打ちつけるために試用アプリケータ350に提供されてもよい。該アプリケータは、試用インプラントの装着を検査するために、試用インプラントから切り離されてもよく、試用インプラントの除去のためのレバーアームを提供するために再接続されてもよい。
【0057】
図26は、例示的な切断ガイド360が尺骨に対して位置付けられ、且つ鋸のための案内経路を規定する状態の、橈骨56及び尺骨58の遠位図を示す。切断ガイド360は、図20の切断ガイド290のために記載されるように通常使用されてもよい。切断ガイドは、ガイド部材182のためのレシーバ362と、背面‐前面調整機構364と、内側‐外側調整機構366と、ガイド面368と、を含んでよい。
【0058】
レシーバ362は、通路を画定するT字状部材370内に含まれてもよく、それによって、T字状部材370がガイド部材182上でスライドすることを可能にする。直角エルボー374の脚部372は、T字状部材370の自由脚部376上でスライドしてもよく、ガイド面368を保持するL字状部材378は、直角エルボー374の残留脚部380内へスライドされてもよい。ガイド面368を保持するL字状部材378の遠方端部は、尺骨の遠位頭216に対して至らせてもよい。直角エルボー374の脚部372及び残留脚部380の両方上の蝶ねじ382は、該直角エルボー374に対してT字状部材370及びL字状部材378の相対位置を固定するために締め付けられてもよい。
【0059】
図27は、切断ガイド360の断面図を示す。ガイド面368及び/又はガイドスロット384は、遠位尺骨頭216の部分的な切除を案内するために、尺骨58の長手方向軸に対して例えば約20°の適切な解剖学的角度で鋸身を案内するために使用されてもよい。
【0060】
図28A及び図29Aは、下橈尺関節の少なくとも1つの関節接合表面領域を置換する方法の実施中に、生み出される場合がある他の例示的な構成を示す。
【0061】
図28Aは、平坦な底部を有する円柱状キャビティ390を形成するために、橈骨56のS字状領域からの骨の除去を示す(橈骨は、明白にするために、部分的に断面として、この図に図示される。)。該キャビティは、ガイド部材182上で受容され、且つ回転可能に駆動された、カニューレ処置されたビット392によって形成されてもよい。それ故に、キャビティ390は、ガイド部材182(及び、それが提供する直線状の基準線)に関して中心に配置されてもよい。ビット392は、数ある中で、例えばドリル又はエンドミルによって提供されてもよい。該キャビティ390の深さは、ビット392上に形成されたストップ394によって制御されてもよい。代替的には、又はさらに、キャビティの深さは、キャビティが形成されると、例えば、ビット392の側部表面上に形成された1つ又は複数の深さマーク396を観察することによって、且つ骨の隣接した表面領域に対してマークの位置を比較することによって、目で制御されることができる。
【0062】
図28Bは、キャビティ390内に移植される場合があるディスク状の橈骨人工関節398を示す。橈骨人工関節398は、橈骨人工関節52のために上記に記載されるように、溝402を形成している窪んだ外側表面400を含んでもよい。
【0063】
図29Aは、円柱状キャビティ390をより多くの多面体キャビティ412に変更するために、すなわち、該キャビティを矩形状にするために、箱たがね410の使用を示す。箱たがね410は、(図13に見られるように)ガイド部材182に関して箱たがねのヘッド416を中心に配置するための開口部414などの、(図16に見られる)エッチング工具240の上記に記載された特徴のいずれかを有してもよい。ヘッド416は、少なくとも略矩形状のブレードを提供してもよく、該略矩形状のブレードは、隣接したキャビティ390から角部骨材料418を取り除くために使用されてもよい。言い換えれば、箱たがね410は、キャビティの深さを変更することなく、その平坦な底部の領域を拡大することによって、キャビティ390のフットプリントを増加させてもよい。
【0064】
図29Bは、キャビティ412内に移植されることができる略矩形状の橈骨人工関節430を示す。橈骨人工関節430は、橈骨人工関節52のために上記に記載されるように、溝434を形成している窪んだ外側表面432を含んでもよい。
【0065】
[III.インプラントの組成]
本願明細書で開示されたインプラント(人工関節、固定装置、及び/又は固定具)は、任意の適切な生体適合性材料から形成されてもよい。例示的な生物適合性材料は、(1)金属(例えば、チタニウム又はチタニウム合金、コバルト及びクロムを有する合金(コバルト‐クロム)、ステンレス鋼など);(2)プラスチック/ポリマー(例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリメチル・メタクリレート(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン、ポリプロピレン、及び/又はPMMA/ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル(PHEMA));(3)セラミックス(例えば、数ある中で、アルミナ、ベリリア、及び/又はジルコニア);(4)複合物(例えば、カーボンファイバー及び/又はセラミックスを含んでいる(PEEK等の)ポリマーマトリックス);(5)生体再吸収性(生体吸収性)材料又はポリマー(例えば、αヒドロキシカルボン酸(例えば、(PLLA、PDLLA、及び/又はPDLAなどの)ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ラクチド/グリコライド共重合体など)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリ酸化エチレン、ポリβ-ヒドロキシ酪酸、ポリ-β-ヒドロキシプロピオン酸、ポリ‐δ‐バレロラクトン、他の生体再吸収性ポリエステルなど、のポリマー);及び/又は同様のものなどを含む。
【0066】
下橈尺関節のための人工関節を構成する材料は、様々な要件に基づいて選択されてもよい。例えば、該材料は、人工関節が骨と関節をなす(半関節形成術)ために、又は関節における他の人工関節と関節をなす(人工関節全置換術)ために意図されるかどうかに基づいて選択されてもよい。同様に、又は代替的には、材料は、人工関節が単一部材又は複数の部材(例えば、2つの部材からなる)とされるかに基づいて、選ばれてもよい。
【0067】
半関節形成術で使用された単一部材の尺骨人工関節又は単一部材の橈骨人工関節を形成するための例示的な材料は、チタニウム、複合物(例えば、PEEK、熱分解炭素、セラミックなど)、コバルト‐クロムをプラズマ/ビード溶射したチタニウム(titanium plasma/bead sprayed cobalt-chrome)、又は同様のものを含む。半関節形成術で使用された2つの部材からなる尺骨人工関節又は2つの部材からなる橈骨人工関節を形成するための例示的な材料は、チタニウムから形成された後方部材と、コバルト‐クロムから形成された前方部材と、を含む。それ故に、金属、複合物、又はポリマー/プラスチックは、半関節形成術によって修復された下橈尺関節で骨と関節をなしてもよい。
【0068】
人工関節全置換術のための橈骨人工関節及び尺骨人工関節を形成するためにそれぞれ使用された例示的な材料は、同一であってもよく、又は異なってもよい。例えば、橈骨人工関節は、チタニウムの裏地を付けたUHMWPEなどの2部材構造として形成されてもよく、尺骨人工関節は、コバルト‐クロムをプラズマ/ビード溶射したチタニウムの単一部材構造として形成されてもよく、あるいはその逆でもよい。代替的には、橈骨人工関節は、複合物(例えば、PEEK、熱分解炭素、セラミックなど)の単一部材構造として形成されてもよく、尺骨人工関節は、複合物(例えば、PEEK、熱分解炭素、セラミックなど)又はコバルト‐クロムをプラズマ/ビード溶射したチタニウムの単一部材構造として形成されてもよく、あるいはその逆でもよい。さらに、橈骨人工関節及び尺骨人工関節は、コバルト‐クロムをプラズマ/ビード溶射したチタニウムの単一部材構造として形成されてもよい。さらに、橈骨人工関節は、UHMWPE(例えば、骨に接着された)の単一部材構造として形成されてもよく、尺骨人工関節は、コバルト‐クロムをプラズマ/ビード溶射したチタニウムの単一部材構造として形成されてもよく、あるいはその逆でもよい。それ故に、人工関節全置換術によって修復された下橈尺関節は、金属と金属の関節接合、複合物と金属の関節接合、ポリマー/プラスチックと金属の関節接合、複合物と複合物の関節接合、ポリマー/プラスチックと複合物の関節接合、又はポリマー/プラスチックとポリマー/プラスチックの関節接合を提供することができる。
【0069】
[IV.キット]
下橈尺関節の表面置換のための本願明細書に開示されたシステムコンポーネントの任意の適切な組み合わせは、キットとして提供されることができる。キットは、少なくとも1つの橈骨人工関節及び/又は少なくとも1つの尺骨人工関節を含むことができる。該人工関節は、人工関節全置換術において互いと関節をなすように構成されてもよく、及び/又は、半関節形成術において、下橈尺関節の残っている生来の橈骨表面又は尺骨表面と関節をなすように構成されてもよい。1つ又は複数の人工関節は、右側下橈尺関節又は左側下橈尺関節における使用のために設計されてもよいが、右側下橈尺関節及び左側下橈尺関節の両方における使用のために設計されなくてもよい。代替的には、又はさらに、1つ又は複数の人工関節は、右側下橈尺関節及び左側下橈尺関節の両方における使用のために設計されてもよい。
【0070】
該キットはまた、切断された尺骨を固定するために少なくとも固定装置を備えることができる。該固定装置は、例えば、人工関節の設置を容易にするために、尺骨で実施された骨切除術に広がり、且つ固定するように構成された骨プレートとされてもよい。
【0071】
該キットは、人工関節及び/固定装置を骨に取り付けるために、骨ねじなどの固定具をさらに包含してもよい。代替的には、又はさらに、該キットは、この目的のために骨セメントを備えてもよい。
【0072】
該キットは、試用インプラント、試用アプリケータ、(遠位の尺骨頭(又は橈骨頭)の部分的な切除のための鋸又は他の切断工具を案内するための)切断ガイド、ガイド部材(例えば、K−ワイヤ又はピン)、下橈尺関節を通じてガイド部材の配置を案内するための照準工具、ガイドピン及び/又はドリルビットを位置付けるためのテンプレート、固定具のための孔を形成し、且つ/又は人工関節を受容するためのキャビティを生成するためのビット、エッチング工具/箱たがね、(例えば、ガイド部材の配置、孔の形成、固定具の挿入、骨の鋸引きなどを駆動するための)1つ又は複数の回転/往復運動駆動装置、反転した構成における遠位尺骨断片を保持する後退装置(retraction device)、使用説明書などの少なくとも1つ又はいずれかの組み合わせを包含してよい。
【0073】
該キットのコンポーネントは、ケース内に含まれてもよく、及び/又は個々又はグループで包装されてもよい。個々のキットのコンポーネントは、無菌状態で提供されてもよく、又は提供されなくてもよい。コンポーネントのいくつか(例えば、移植されるコンポーネント)は、使い捨てのために設計されてもよいが、他のコンポーネント(例えば、工具及び他の設置アクセサリ)は、再使用されてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態において、該キットは、異なる寸法及び/又は形状の一組の橈骨人工関節又は一組の尺骨人工関節を含むことができる。一組の異なる寸法及び/又は形状は、集団内で異なる解剖学的構造を収容してもよく、及び/又は外科医が特定の手術のための最良適合を選択することを可能にしてもよい。最良適合の選択は、数ある中で、目で、測定によって、及び/又は検査によって実施されてもよい。
【0075】
キットは、橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節を修復するために提供されてもよい。該キットは、下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を置換するために、橈骨人工関節、尺骨人工関節、又は橈骨人工関節及び尺骨人工関節の両方から選択された少なくとも1つの人工関節を備えてもよい。該キットはまた、互いに対して近位尺骨断片及び遠位尺骨断片を固定するために、骨プレートを備えてもよい。いくつかの実施形態において、(a)少なくとも1つの人工関節は、橈骨人工関節の各特徴的な軸に対して傾斜するように方向付けられた溝を形成している外側表面を含む橈骨人工関節を含む。(b)少なくとも1つの人工関節は、凹状の外側表面及び凸状の外側表面をそれぞれ含んでいる橈骨人工関節及び尺骨人工関節を含む。(c)該キットは、異なる寸法及び/又は形状の少なくとも2つの橈骨人工関節、又は異なる寸法及び/又は形状の少なくとも2つの尺骨人工関節、又は少なくとも2つのその両方、を含む。(d)該キットは、異なる寸法及び/又は形状の一組の人工関節の中から人工関節を選択する際に使用のための、及び/又は、人工関節がその中に移植されるべきであるキャビティの寸法及び形状を評価する際に使用のための、少なくとも1つの試用インプラントを備える。(e)該キットは、試用インプラントを暫定的に設置する際に使用のための、アプリケータをさらに備える。(f)該キットは、尺骨に対して位置付けられるように構成され、且つ鋸の案内経路を規定する切断ガイドをさらに備える。又は、(g)(a)から(f)の任意の組み合わせを備える。
【0076】
[V.例]
以下の例は、本願開示の選択された態様及び実施形態を記載し、下橈尺関節のための例示的な橈骨人工関節及び尺骨人工関節と、人工関節を設置する例示的な方法と、を含む。人工関節及び/又は方法の任意の適切な態様又は要素は、互いに組み合わされてもよく、又は本願開示の他の場所に記載された任意の他の態様又は要素と組み合わされてもよい。それらの例は、図示のために含められており、本願開示の技術的範囲全体を制限し、且つ規定するために意図されたものではない。
【0077】
例1.一体式プレートを有する尺骨人工関節
この例は、人工関節のヘッド部分から延在しているプレート部分を備えた例示的な尺骨人工関節を記載し、それは、図30及び31に見られる。
【0078】
図30は、遠位の尺骨頭の座部及び極が他の例示的な尺骨人工関節450によって切除され、且つ置換される状態の遠位の尺骨58の背面図を示す。尺骨人工関節は、プレート部分454に接続されたヘッド部分452を含んでもよい。
【0079】
ヘッド部分452は、任意の適切な特徴を有してもよい。該ヘッド部分は、遠位の尺骨頭の切除された領域と少なくとも実質的に一致して形成されてもよく、遠位の尺骨頭の切除された領域のための凸状の置換表面456を含んでもよい。置換表面456は、数ある中で、少なくとも略球形状又は少なくとも略円柱状とされてもよい。ヘッド部分は、(例えば、図1の尺骨人工関節54に見られるように)ステム、固定具、又は同様のものを使用して骨に取り付けられてもよい。ヘッド部分はまた、軟組織固定を提供するために設計されてもよい。特に、ヘッド部分は、少なくとも1つの通路458(例えば、「縫合孔」)を規定してもよい。該少なくとも1つの通路458は縫合糸460を受容するために使用されてもよく、該縫合糸460は、軟組織(例えば、三角線維軟骨複合体(TFC)80)をヘッド部分452に連結することができる。該通路は、縫合糸のための入口部位及び出口部位を形成するために、例えば略U字状とされてもよく、例えば人工関節の隣接した三角線維軟骨複合体80の遠位端部に近接して、ヘッド部分の離隔した表面位置の間に延在してもよい。
【0080】
プレート部分454は、尺骨58の外側表面に沿って軸方向に延在するように設計されてもよい。該プレート部分は、1つ又は複数の孔462を画定してもよい。該1つ又は複数の孔462は、尺骨人工関節450を尺骨に取り付ける、例えば骨ねじなどの固定具464を受容することができる。
【0081】
図31は、遠位の尺骨頭の座部及び極が、同様に尺骨を固定する例示的な尺骨人工関節480によって切除され、且つ置換される状態の遠位尺骨58の背面図を示す。人工関節480は、プレート部分484に接続されたヘッド部分482を含んでもよい。プレート部分は、複数の孔486を画定してもよい。該複数の孔486は、尺骨に人工関節480を取り付ける骨ねじなどの固定具488を受容することができる。プレート部分484は、プレート部分が骨の表面に沿って延在しているので、尺骨の周りで部分的にねじられてもよい。例えば、プレート部分は、外側表面領域490から尺骨の背面(又は前面)表面領域492へ延在してもよい。骨の異なる側部に到達することによって、該プレート部分は、さらに近位に延在するように設計されてもよい一方、橈骨の内側表面と尺骨の外側表面との間で配置された骨間膜494に対する広範囲な損傷を避ける。それ故に、プレート部分484は十分長いので、尺骨を通じて横断方向切断部496に広がることができる。該横断方向切断部496は、人工関節の設置を容易にするために、骨切除術において導入されてもよい(例えば、図14及び図15に見られる)。
【0082】
例2.反転人工関節を有する下橈尺関節の関節形成術
この例は、「逆の」橈骨人工関節500及び「逆の」尺骨人工関節502を有する下橈尺関節の橈骨表面及び尺骨表面の置換を記載する。該「逆の」橈骨人工関節500及び「逆の」尺骨人工関節502は、凹状の関節接合表面504及び凸状の関節接合表面506を供給し、すなわち逆の関節における解剖学的構造を供給し、それは図32に見られる。
【0083】
橈骨人工関節500は、略球状本体508と、該略球状本体508の内側表面512から突出しているステム510と、を有してもよい。該略球状本体508は、「前方」方向(内側から外側への方向)において又は「逆」方向(外側から内側への方向)において、固定具514を受容する複数の孔を規定してもよい。例示的な実施形態において、内側表面512は平坦とされてもよく、該略球状本体508は、一部を切除した球状(frustosphehcal)とされてもよい。
【0084】
尺骨人工関節502は、固定具516を使用して、尺骨58の切断表面に固定されてもよい。例えば、該人工関節は、平坦な内側表面518を有してもよい。該平坦な内側表面518は、遠位尺骨頭の外側側面の部分的な切除によって形成された尺骨58の切断面520に当接する。尺骨人工関節の凹状の関節接合表面506は、窪んでいてもよく、近位‐遠位方向及び背面‐前面方向の両方において、橈骨人工関節の湾曲より小さい湾曲を有してもよい(又は有していなくてもよい)。同様に、凹状の関節接合表面506は、橈骨人工関節52(例えば、図3及び図4に見られる)のために上記に記載されるように、遠位の手が回外運動と回内運動との間で移動されると、尺骨の長手方向の動きを案内し、且つ促進するために、背面‐前面軸に対して傾斜するように方向付けられた溝を形成してもよい。
【0085】
尺骨人工関節は、必要に応じて、インプラントの内側表面518から延在するステム522を含んでよい。該ステム522は、横断方向に方向付けされた軸を画定してもよく、又はここで図示されるように、尺骨58の長手方向軸に対して少なくとも略平行とされてもよい。
【0086】
例3.尺骨カップ(Ulnar Cap)を有する尺骨座部及び極の置換
この例は、尺骨カップとして構成された例示的な尺骨人工関節の設置及び使用を記載し、それは、図33及び図34に見られる。
【0087】
図33は、骨切除術後に、その表面を再仕上げすることを可能にするために、下橈尺関節の尺骨部分542を露出する反転した構成で配置された遠位尺骨断片68の背面図を示す。凹状の再形成領域546を有する表面再仕上げビット544は、尺骨部分542を変更するために、遠位尺骨頭216の外側側面に対して進行されてもよい。表面再仕上げビット544の回転動作は、(図34に見られるように)尺骨人工関節540を受容するための遠位頭216を準備するために、軟骨性硬骨及び/又は軟骨下骨を取り除いてもよい。
【0088】
図34は、外側突起548を形成するために、表面再仕上げビット544(図33)を有する再形成された遠位頭216後の遠位尺骨断片68の背面図を示す。1つ又は複数のボア550はまた、外側突起に形成されてもよい。尺骨人工関節514は次いで、外側突起548上に設置されてもよい。尺骨人工関節540は、外側突起548に相補的である凹状の内側表面552を有してもよく、また、内側表面552から突出し、ボア550内に打ち込まれる、又は圧入されるように寸法決めされるステム554を備えてもよい。ステム554は、円錐形状、円柱形状、又は同様のものなどの任意の適切な形状を有してもよい。尺骨人工関節540の外側表面556は、下橈尺関節の生来の橈骨部分又は人工の橈骨部分と関節をなすように形成されてもよい。
【0089】
例4.橈骨人工関節の逆方向及び横断方向の取付
この例は、逆方向固定具(retrograde fasteners)及び/又は横断方向固定具で橈骨に固定されることができる例示的な橈骨人工関節560を記載し、それは図35〜図37に見られる。
【0090】
図35及び図36は、橈骨人工関節560が骨のS字状洞溝領域内に移植された状態の橈骨56の背面図及び断面図をそれぞれ示しており、図37は、単独の橈骨人工関節560の等角図を示す。橈骨人工関節560は、下橈尺関節における関節接合のための窪んだ外側表面562などの、本願明細書の他の場所に記載された特徴のいずれかを有してもよい。
【0091】
橈骨人工関節560は、固定具の任意の適切な組み合わせで、橈骨56に取り付けられてもよい。例えば、橈骨人工関節560は、内側表面566内に形成された孔564を画定してもよい。該人工関節は、複数の孔が形成された個所で、厚くなってもよい(又は、厚くなくてもよい)。それぞれの孔は、例えば橈骨56の外側側部から、内側表面に延在する1つ又は複数の固定具568との螺合係合を提供するように、固定されてもよい。橈骨人工関節560はまた、横断方向孔570を画定してもよい。横断方向孔570は、側部表面572から人工関節内へ延在してもよく、例えば止まり孔とされてもよく、又は例えば人工関節の対向した側部表面574へ延在してもよい(図37)。横断方向孔570は、雌ねじを有する固定孔とされてもよく、又はされなくてもよい。横断方向固定具576は、橈骨56の背面側又は前面側から横断方向孔570内に配置されてもよい(図36及び図37)。横断方向固定具576は、人工関節の対向した側で、骨との螺合係合のために人工関節560を通じて延在してもよい。代替的には、又はさらに、横断方向固定具576は、橈骨人工関節560を通じて完全に延在した状態で、又は完全に延在しない状態で、横断方向孔570に固定されてもよい。
【0092】
例5.骨上に配置された橈骨人工関節
この例は、遠位橈骨に固定され、橈骨の生来の表面輪郭に従う例示的な橈骨人工関節590を記載し、それは、図38に見られる。
【0093】
図38は、橈骨人工関節590を支承する橈骨56の遠位図を示す。該人工関節は、下橈尺関節のための人工関節の橈骨関節接合表面591を供給するために、下橈尺関節の橈骨部分に取り付ける、プレートとして構成されてもよい。該人工関節は、該人工関節の各端部領域596、598を使用して、橈骨の背面表面領域592及び前面表面領域594を覆うために、S字状洞溝領域を覆い、且つS字状洞溝領域を越えて延在してもよい。同様に、該人工関節は、1つ又は複数の固定具602を受容するために、端部領域596、598における1つ又は複数の孔600を画定してもよい。各孔は、固定されてもよく、又は固定されなくてもよい。それ故に、人工関節590は、橈骨の背面側及び/又は前面側から、孔600を通じて固定具を配置することによって、少なくとも部分的に固定されてもよい。いくつかの例において、少なくとも一対の孔は、該一対の一の部材を通じて固定具の先端領域の配置し、且つ該一対の他の部材との螺合係合状態になることを可能にするために、共軸とされてもよい。
【0094】
人工関節590は、軟骨下骨の実質的な除去なしで、橈骨上に配置されてもよく、且つ橈骨に固定されてもよい。言い換えれば、該人工関節は、該人工関節がその中に受容されるキャビティの形成なしで設置されてもよい。軟骨は、骨上への橈骨人工関節590の配置前に、橈骨の適切な表面領域から取り除かれてもよい(又は、取り除かれてなくてもよい)。
【0095】
例6.ハイブリッド型の骨プレート及び橈骨人工関節
この例は、遠位橈骨のための骨プレートを橈骨人工関節と組み合わせる例示的なハイブリッド型インプラント610を記載し、それは図39に見られる。
【0096】
図39は、骨プレート部分612及び橈骨人工関節部分614を結合する例示的なインプラント610を支承する骨折した遠位橈骨56の背面図を示す。該骨プレート部分及び該橈骨人工関節部分は、同一部材(例えば、一体式の部材)によって形成されてもよく、又は互いに取付可能であるそれぞれ異なる部材によって形成されてもよい。骨プレート部分612は、遠位橈骨を固定するために、1つ又は複数の骨折616(及び/又は、離断される(osteotomized))を有する遠位橈骨の背面側又は前面側に受容されるように形成されてもよい。橈骨人工関節部分614は、下橈尺関節の凹状の橈骨関節接合表面618を備えてもよい。橈骨人工関節部分は、橈骨上に配置されてもよく、又は橈骨のS字状洞溝領域から軟骨下骨を取り除くことによって形成されたキャビティ内に配置されてもよい。
【0097】
例7.橈骨人工関節の逆方向の取付
この例は、遠位橈骨56の外側側部636からプレート634を通じて延在する固定具632によって逆方向において固定された例示的な橈骨人工関節630を記載し、それは図40に見られる。
【0098】
プレート634は、固定具のヘッドの係合によって固定具632を安定化されてもよい。さらなる固定具638は、橈骨56のプレート634を固定してもよい。代替的には、プレート634は、より短くてもよく、固定具632のヘッドのためのワッシャーとして機能してもよい。
【0099】
例8.プレートステムを有する橈骨人工関節
この例は、プレート652として構成された例示的な橈骨人工関節650を記載し、それは図41に見られる。
【0100】
プレート652は、ステム656に接続されたヘッド654を含んでもよい。ヘッド654は通常、尺骨人工関節590のために図38に示されるように形成されてもよく、橈骨関節接合表面658を供給してもよい。同様に、ヘッド654は、固定具662を受容するために少なくとも1つの孔660を画定してもよく、該固定具662は、橈骨関節接合表面658に対して少なくとも略平行に、且つ/又は少なくとも略背面から前面へ延在する。ステム656は、固定具666を受容するために、1つ又は複数の孔664を画定してもよい。該ステムは、ヘッド654に対して近位の橈骨上の内側位置から、ヘッド654に対してより遠位の橈骨上の背面位置又は前面位置へ延在してもよい。
【0101】
例9.選択された実施形態
この例は、本願開示の選択された実施形態を記載し、一組の索引付けされた段落として示される。
【0102】
A. 橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節を修復する方法であって、
近位尺骨断片及び遠位尺骨断片を形成するために、前記尺骨のシャフト領域を通じて切断するステップと、
前記近位尺骨断片から離れて、離隔した構成になるように前記遠位尺骨断片を移動するステップと、
前記遠位尺骨断片が離隔した構成になる間に、前記橈骨のS字状洞溝領域から、遠位尺骨頭の略外側面領域から、又はその両方から骨を取り除くステップと、
前記下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を置換するために、取り除かれた骨の位置において、橈骨人工関節、尺骨人工関節、又はその両方を設置するステップと、
互いに対して前記近位尺骨断片及び前記遠位尺骨断片を固定するステップと、
を備える、方法。
【0103】
段落(A)の方法はまた、以下の点を備える。(i)前記移動するステップは、前記近位尺骨断片から離れて反転した構成になるように遠位尺骨断片を回動するステップを含み、前記骨を取り除くステップは、前記遠位尺骨断片が前記反転した構成になる間に実施される。(ii)前記遠位尺骨頭の略外側面領域を形成するために、骨を取り除くステップ前に、遠位尺骨頭の外側部分を切除するステップをさらに備えている。(iii)前記切除するステップは、前記切断するステップ前に実施される。(iv)前記切除するステップは、前記遠位尺骨頭で切断表面を形成し、前記骨を取り除くステップは、前記切断表面を下方から骨を取り除くステップを含む。(v)前記骨を取り除くステップは、前記橈骨のS字状洞溝領域にキャビティを形成するステップを含み、前記設置するステップは、前記キャビティ内に少なくとも部分的に橈骨人工関節を配置するステップを含む。(vi)前記設置するステップは、橈骨人工関節及び尺骨人工関節の両方を前記橈骨及び前記尺骨にそれぞれ取り付けるステップを含む。(vii)前記橈骨及び前記尺骨に対する三角線維軟骨複合体の取付は、前記切断するステップ、前記移動するステップ、前記取り除くステップ、前記設置するステップ、又は前記固定するステップのいずれによっても妨げられない。(viii)前記ガイド部材が前記関節を通じて延在する直線状の基準線を規定するように、細長いガイド部材を前記橈骨及び前記尺骨内に配置するステップをさらに備えており、前記骨を取り除くステップは、前記直線状の基準線に基づいて骨除去工具を位置付けるステップを含み、前記骨を取り除くステップは必要に応じて、前記直線状の基準線に対して傾斜するように方向付けられた骨表面を生成するステップを含む。(ix)前記回動するステップは、前記遠位尺骨断片を前記近位尺骨断片に対して少なくとも約90°回動するステップを含む。(x)前記尺骨人工関節は、ステムに接続されたヘッドを有し、前記設置するステップは、前記尺骨内に形成されたボア内に前記ステムを配置し、且つ必要に応じて、前記ボアが前記尺骨によって規定された長手方向軸に対して横断方向に、又は傾斜するように方向付けされた状態で、前記尺骨におけるボアを形成するステップをさらに備えている。(xi)橈骨人工関節、尺骨人工関節、又はその両方を設置するステップの前に、試用インプラントを暫定的に設置するステップをさらに備える。(xii)前記近位尺骨断片及び前記遠位尺骨断片を固定するステップは、前記近位尺骨断片及び前記遠位尺骨断片に対して骨プレートを固定するステップを含む。又は、(xiii)(i)から(xii)の任意の組み合わせ。
【0104】
B. 橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節を修復する方法であって、
近位尺骨断片及び遠位尺骨断片を形成するために、前記尺骨のシャフト領域を通じて切断するステップと、
前記近位尺骨断片から離れて、離隔した構成になるように前記遠位尺骨断片を回動するステップと、
前記遠位尺骨断片が反転した構成になる間に、前記橈骨のS字状洞溝領域にキャビティを形成するステップと、
前記下橈尺関節の橈骨表面領域を置換するために、前記橈骨人工関節が前記キャビティ内で少なくとも部分的な状態で、前記橈骨人工関節を前記橈骨に取り付けるステップと、
互いに対して前記近位尺骨断片及び前記遠位尺骨断片を固定するために、骨プレートを前記尺骨に固定するステップと、
を備える、方法。
いくつかの実施形態において、前記橈骨人工関節は、溝を形成する外側表面を含み、前記取り付けるステップは、前記溝が前記橈骨に対して、より背面の遠位位置から、より前面の近位位置へ延在するように、前記溝を配置することを備える。
【0105】
C. 橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節の少なくとも橈骨側を修復する方法であって、
溝を形成する外側表面を含んでいる橈骨人工関節を選択するステップと、
前記溝が、前記橈骨に対して、より背面の遠位位置から、より前面の近位位置へ延在している状態で、前記外側表面が前記下橈尺関節の橈骨表面領域を置換するように、前記橈骨に対して橈骨人工関節を取り付けるステップと、
を備える、方法。
いくつかの実施形態において、前記選択するステップは、少なくとも略四角形として形成された周囲を有する外側表面を含んでいる橈骨人工関節を選択するステップを含む。
【0106】
D. 橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節を修復する方法であって、
細長いガイド部材が、前記下橈尺関節を通じて延在している直線状の基準線を規定するように、前記橈骨及び前記尺骨内に細長いガイド部材を配置するステップと、
参照として前記直線状の基準線を使用して、前記橈骨のS字状洞溝領域から、前記遠位尺骨頭の略外側面領域から骨を取り除くステップと、
前記下橈尺関節の橈骨表面領域及び尺骨表面領域をそれぞれ置換するために取り除かれる骨の位置で、橈骨人工関節及び尺骨人工関節を設置するステップと、
を備える、方法。
【0107】
E. 橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節を修復する装置であって、
溝を形成する窪んだ外側表面を含んでいる橈骨人工関節を備えている、装置。
いくつかの実施形態において、段落(E)の装置はまた、以下の点を備えてもよい。(i)前記窪んだ外側表面は、第1の湾曲及び第2の湾曲を有する複合湾曲を有し、前記第2の湾曲は、前記溝を形成するために、前記第1の湾曲に対して傾斜するように方向付けられている。(ii)前記橈骨人工関節は長軸を画定し、前記溝は前記長軸に対して傾斜するように延在する。(iii)前記橈骨人工関節は、前記外側表面に対向する内側表面を含み、前記橈骨人工関節はまた、前記内側表面及び前記外側表面を接続する側壁を含み、前記側壁は、前記側壁の長手方向軸を画定し、前記溝は、前記側壁の前記長手方向軸に対して傾斜するように延在する。(iv)前記溝は、前記側壁の前記長手方向軸に対して約10°〜約20°の角度で延在する。(v)骨に面する平坦な表面と、前記平坦な表面から直交するように突出するステムと、を含んでいる尺骨人工関節をさらに備えている。又は、(vi)(i)から(v)の任意の組み合わせ。
【0108】
上記に説明された本願開示は、独立した有益性を有する複数の異なる発明を含んでもよい。それらの発明のそれぞれがその好ましい実施形態に開示されるけれども、本願明細書に開示され、且つ図示されるようなその特定の実施形態は、様々な変更が可能であるので、制限された程度で考慮されない。本願発明の主題は、本願明細書に開示された様々な要素、特徴、機能、及び/又は性質の全ての新規性を有し、且つ自明でない組み合わせ(novel and nonobvious combinations)及び副組み合わせを含む。以下の特許請求の範囲は特に、新規性及び非自明性(nonobvious)として見なされる特定の組み合わせ及び副組み合わせを指摘する。特徴、機能、要素、及び/又は性質の他の組み合わせ及び他の副組み合わせにおいて実現された発明は、この出願又は関連出願から優先権を主張する出願において、主張されてもよい。異なる出願又は同一の出願に対して方向付けられ、本来の特許請求の範囲に対する技術的範囲においてより広く、より狭く、等しく、又は異なるそのような特許請求の範囲はまた、本願開示の発明の主題内に含まれるものとして見なされる。
【符号の説明】
【0109】
50 システム
51 下橈尺関節
52 橈骨人工関節
54 尺骨人工関節
56 橈骨
58 尺骨
60 固定具
62 固定具
64 固定装置
66 骨プレート
68 遠位尺骨断片
70 近位尺骨断片
72 横断方向切断部
76 尺骨外側表面領域
78 尺骨端部表面領域
80 三角線維軟骨複合体
90 外側表面
92 外側表面
94 プレート
96 内側表面
98 側部表面
100 キャビティ
102 S字状洞溝
104 壁部
106 骨表面領域
108 孔
110 長さ軸
112 幅軸
114 溝
130 橈骨人工関節
132 表面部材
134 ベース
136 外側表面
138 溝
140 キャビティ
142 孔
144 ねじ付き固定具
146 固着構造
160 雌ねじ付き孔
162 内側表面
164 本体
166 ステム
168 テール部
180 基準線、案内軸
182 ガイド部材
184 先端部
190 照準工具
192 本体
194 第1のアーム
196 第2のアーム
198 固定ノブ
200 ボア
202 フィンガー
210 ガイド部材182の引き抜かれた状態
212 切断工具
214 シャフト領域
216 遠位頭
232 ガイド部材
234 チャンネル
240 エッチング工具
242 開口部
244 ヘッド
246 把持可能なハンドル
248 ブレード
250 表面領域
252 境界
254 掘削工具
256 バー
258 キャビティ
270 ガイドピン
272 ガイドピン
274 テンプレート
276 ボア
278 ボア
280 ボア
282 穴
284 穴
290 切断ガイド
292 ガイドスロット
294 より近位の外側表面領域
296 遠位端部表面領域
298 尺骨小窩
300 切断工具
302 切除部分
312 ドリルビット
330 プレート
332 切れ刃
340 試用インプラント
342 孔
350 試用アプリケータ
352 キャビティ
356 表面
360 切断ガイド
362 レシーバ
364 背面‐前面調整機構
366 内側‐外側調整機構
368 ガイド面
370 T字状部材
372 脚部
374 直角エルボー
376 自由脚部
378 L字状部材
380 残留脚部
382 蝶ねじ
384 ガイドスロット
390 円柱状キャビティ
392 ビット
394 ストップ
396 深さマーク
398 ディスク状の橈骨人工関節
400 表面
402 溝
410 箱たがね
412 多面体キャビティ
414 開口部
416 ヘッド
418 角部骨材料
430 略矩形状の橈骨人工関節
432 窪んだ外側表面
434 溝
450 尺骨人工関節
452 ヘッド部分
454 プレート部分
456 凸状の置換表面
458 通路
460 縫合糸
462 孔
464 固定具
480 尺骨人工関節
482 ヘッド部分
484 プレート部分
486 孔
488 固定具
490 外側表面領域
492 背面表面領域(前面表面領域)
494 骨間膜
496 横断方向切断部
500 「逆の」橈骨人工関節
502 「逆の」尺骨人工関節
504 凹状の関節接合表面
506 凸状の関節接合表面
508 略球状本体
510 ステム
512 内側表面
514 固定具
516 固定具
518 平坦な内側表面
520 切断面
522 ステム
540 尺骨人工関節
542 尺骨部分
544 表面再仕上げビット
546 凹状の再形成領域
548 外側突起
550 ボア
552 凹状の内側領域
554 ステム
556 外側表面
560 橈骨人工関節
562 外側表面
564 孔
566 内側表面
568 固定具
570 横断方向孔
572 側部表面
574 側部表面
576 横断方向固定具
590 橈骨人工関節
591 橈骨関節接合表面
592 背面表面領域
594 前面表面領域
596 端部領域
598 端部領域
600 孔
602 固定具
610 ハイブリッド型インプラント
612 骨プレート部分
614 橈骨人工関節部分
616 骨折
618 凹状の橈骨関節接合表面
630 橈骨人工関節
632 固定具
634 プレート
636 外側側部
650 橈骨人工関節
652 プレート
654 ヘッド
656 ステム
658 橈骨関節接合表面
660 孔
662 固定具
664 孔
666 固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節を修復するキットであって、
前記下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を置換するために、橈骨人工関節、尺骨人工関節、又はその両方から選択された少なくとも1つの人工関節と、
互いに対して近位尺骨断片及び遠位尺骨断片を固定するための骨プレートと、
を備えることを特徴とする、キット。
【請求項2】
前記少なくとも1つの人工関節は、外側表面を含んでいる橈骨人工関節を含み、該外側表面は、前記橈骨人工関節の各特徴的な軸に対して傾斜するように方向付けされた溝を形成していることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの人工関節は、凹状の外側表面及び凸状の外側表面をそれぞれ含んでいる橈骨人工関節及び尺骨人工関節を含むことを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項4】
異なる寸法及び/又は形状の少なくとも2つの橈骨人工関節、又は異なる寸法及び/又は形状の少なくとも2つの尺骨人工関節、又は少なくとも2つのその両方をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項5】
異なる寸法及び/又は形状の人工関節のセットから人工関節を選択する際に使用のための、及び/又は、該人工関節がその中に移植されるべきであるキャビティの寸法及び形状を評価する際に使用のための、少なくとも1つの試用インプラントをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項6】
前記試用インプラントを暫定的に設置する際に使用のための、アプリケータをさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載のキット。
【請求項7】
尺骨に対して位置付けられるように構成され、且つ鋸のための案内経路を規定する切断ガイドをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項8】
橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節を修復する装置であって、
溝を形成する窪んだ外側表面を含んでいる橈骨人工関節を備えていることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記窪んだ外側表面は、第1の湾曲及び第2の湾曲を有する複合湾曲を有し、前記第2の湾曲は、前記溝を形成するために、前記第1の湾曲に対して傾斜するように方向付けられていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記橈骨人工関節は長軸を画定し、前記溝は前記長軸に対して傾斜するように延在することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記橈骨人工関節は、前記外側表面に対向する内側表面を含み、
前記橈骨人工関節はまた、前記内側表面及び前記外側表面を接続する側壁を含み、前記側壁は、前記側壁の長手方向軸を画定し、前記溝は、前記側壁の前記長手方向軸に対して傾斜するように延在することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記溝は、前記側壁の前記長手方向軸に対して約10°〜約20°の角度で延在することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
骨に面する平坦な表面と、前記平坦な表面から直交するように突出するステムと、を含んでいる尺骨人工関節をさらに備えていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項14】
橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節を修復する方法であって、
近位尺骨断片及び遠位尺骨断片を形成するために、前記尺骨のシャフト領域を通じて切断するステップと、
前記近位尺骨断片から離れて、離隔した構成になるように前記遠位尺骨断片を移動するステップと、
前記遠位尺骨断片が離隔した構成になる間に、前記橈骨のS字状洞溝領域から、遠位尺骨頭の略外側面領域から、又はその両方から骨を取り除くステップと、
前記下橈尺関節の少なくとも1つの表面領域を置換するために、取り除かれた骨の位置において、橈骨人工関節、尺骨人工関節、又はその両方を設置するステップと、
互いに対して近位尺骨断片及び遠位尺骨断片を固定するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記移動するステップは、前記近位尺骨断片から離れて、反転した構成になるように尺骨断片を回動するステップを含み、前記骨を取り除くステップは、前記遠位尺骨断片が前記反転した構成になる間に実施されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記遠位尺骨頭の略外側面領域を形成するために、前記骨を取り除くステップの前に、前記遠位尺骨頭の外側部分を切除するステップをさらに備えていることを請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記切除するステップは、前記切断するステップの前に実施されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記切除するステップは、前記遠位尺骨頭で切断表面を形成し、
前記骨を取り除くステップは、前記切断表面を下方から骨を取り除くステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記骨を取り除くステップは、前記橈骨のS字状洞溝領域のキャビティを形成するステップを含み、
前記設置するステップは、前記キャビティ内に少なくとも部分的に橈骨人工関節を配置するステップを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記設置するステップは、橈骨人工関節及び尺骨人工関節の両方を前記橈骨及び前記尺骨にそれぞれ取り付けるステップを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記橈骨及び前記尺骨に対する三角線維軟骨複合体の取付は、前記切断するステップ、前記移動するステップ、前記取り除くステップ、前記設置するステップ、又は前記固定するステップのいずれによっても妨げられないことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項22】
細長いガイド部材が前記関節を通じて延在する直線状の基準線を規定するように、細長いガイド部材を前記橈骨及び前記尺骨内に配置するステップをさらに備えており、前記骨を取り除くステップは、前記直線状の基準線に基づいて骨除去工具を位置付けるステップを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記骨を取り除くステップは、前記直線状の基準線に対して傾斜するように方向付けられた骨表面を生成するステップを含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記回動するステップは、前記遠位尺骨断片を前記近位尺骨断片に対して少なくとも約90°回動するステップを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記尺骨人工関節は、ステムに接続されたヘッドを有し、
前記設置するステップは、前記尺骨内に形成されたボア内に前記ステムを配置することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項26】
ボアが前記尺骨によって規定された長手方向軸に対して横断方向に、又は傾斜するように方向付けされた状態で、前記尺骨におけるボアを形成するステップをさらに備えていることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項27】
橈骨人工関節、尺骨人工関節、又はその両方を設置するステップの前に、試用インプラントを暫定的に設置するステップをさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項28】
前記近位尺骨断片及び前記遠位尺骨断片を固定するステップは、前記近位尺骨断片及び前記遠位尺骨断片に対して骨プレートを固定するステップを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項29】
橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節を修復する方法であって、
近位尺骨断片及び遠位尺骨断片を形成するために、前記尺骨のシャフト領域を通じて切断するステップと、
前記近位尺骨断片から離れて、離隔した構成になるように前記遠位尺骨断片を回動するステップと、
前記遠位尺骨断片が反転した構成になる間に、前記橈骨のS字状洞溝領域にキャビティを形成するステップと、
前記下橈尺関節の橈骨表面領域を置換するために、橈骨人工関節が前記キャビティ内で少なくとも部分的な状態で、橈骨人工関節を前記橈骨に取り付けるステップと、
互いに対して前記近位尺骨断片及び前記遠位尺骨断片を固定するために、骨プレートを前記尺骨に固定するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項30】
前記橈骨人工関節は、溝を形成する外側表面を含み、前記取り付けるステップは、前記溝が前記橈骨に対して、より背面の遠位位置から、より前面の近位位置へ延在するように、前記溝を配置することを備えることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節の少なくとも橈骨側を修復する方法であって、
溝を形成する外側表面を含んでいる橈骨人工関節を選択するステップと、
前記溝が、前記橈骨に対して、より背面の遠位位置から、より前面の近位位置へ延在している状態で、前記外側表面が前記下橈尺関節の橈骨表面領域を置換するように、前記橈骨に対して橈骨人工関節を取り付けるステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項32】
前記選択するステップは、少なくとも略四角形として形成された周囲を有する外側表面を含んでいる橈骨人工関節を選択するステップを含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
橈骨及び尺骨によって形成された下橈尺関節を修復する方法であって、
細長いガイド部材が、前記下橈尺関節を通じて延在している直線状の基準線を規定するように、前記橈骨及び前記尺骨内に細長いガイド部材を配置するステップと、
参照として前記直線状の基準線を使用して、前記橈骨のS字状洞領域から、且つ前記遠位尺骨頭の略外側面領域から骨を取り除くステップと、
前記下橈尺関節の橈骨表面領域及び尺骨表面領域をそれぞれ置換するために取り除かれる骨の位置で、橈骨人工関節及び尺骨人工関節を設置するステップと、
を備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図29A】
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【図29B】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公表番号】特表2012−508077(P2012−508077A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535774(P2011−535774)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/063926
【国際公開番号】WO2010/054400
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(505026479)アキュームド・エルエルシー (10)
【Fターム(参考)】