説明

不倒翁型の救命チャンバー

【課題】低費用の製作と便利な使用ができるため誰でもその購入と使用ができ、さほど重くなくサイズも適当であるため保管が容易であることと自由な移動ができる不倒翁型救命チャンバーを提供摺る。
【解決手段】上端部が上方に膨らんだ上部チャンバー10aと下端部が下方に膨らんだ下部チャンバー10bが、各々互いに結合して救命チャンバー10を構成し、上部チャンバーの下部は金属板1aの内側面と弾性板の外側面で構成するとともに上部は透明板1cにより構成し、下部チャンバーは金属板の内側面と弾性板の外側面により構成し、上部チャンバーの上端中心部に取っ手2aが備えられた開閉門2を設置し、下部チャンバー内部の凹んだ下端部には重心になる重量物が置かれて救命チャンバーを不倒翁のように動かし、重量物の上の下部チャンバー内部には少なくとも1つ以上の待避溝を上面に形成した軽量待避体4を設置した不倒翁型救命チャンバー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方の上部チャンバーと下方の下部チャンバーが互いに結合され、中間部へ行くほど直径が大きくなる形態に構成した不倒翁型の救命チャンバーに関するものである。詳しくは、前記救命チャンバーの内部の凹んだ下端部に重量物を設けて不倒翁のように動かせ、その上の救命チャンバーの内部には待避溝を設けた軽量待避体を設置し、前記救命チャンバーの上面には開閉門を設けて、津波が押し寄せても一定時間は前記救命チャンバーの内部で安全に待避することができる、不倒翁型の救命チャンバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術には、最近東日本大震災の津波による被害を受けた後、マスコミにより紹介されたように、密閉されて水上に浮遊する潜水艇形態の従来の救命具がある。
【0003】
この従来の救命具は非常時に2〜3名又は4〜5名の人が待避し前記救命具内で一定期間最小限に生存できるために食品と寝具及び通信手段などを完璧に備えた待避施設で、この物品や装備などを備えることにより、救命具自体を含めて嵩張るだけでなく製作費用も相当かかり、高価装備として紹介されたことがある。
【0004】
しかしながら、前記従来の救命具は高価装備であるため誰もが負担なく購入して利用することができない短所があり、津波の特性上海水が押し寄せた後から引くまでの約2〜3時間だけ待避すれば良いということを考慮すると、食物を摂取しながら何日間も待避できる前記従来の救命具のように完璧な施設を設けて製作する必要はない。
【0005】
また、前記の従来救命具はサイズが相当大きいため、かなり大きな家でなければその保管が困難であるだけでなく自由な移動の制約という問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のあらゆる問題点を改善するため案出したもので、その目的は上端部が上方に膨らんだ上部チャンバーと下端部が下方に膨らんだ下部チャンバーが互いに結合され、結合される中間部へ行くほど直径が大きくなるボールのような形状の救命チャンバーを構成し、前記救命チャンバーの上部チャンバー下部と下部チャンバーは軽い素材で構成し、前記上部チャンバーの上部は透明素材にしながら上部チャンバーの上端中心部に取っ手の備えられた開閉門を設置し、前記下部チャンバー内の凹んだ下端部には鋼鉄塊などの重量物を配置し、救命チャンバーを不倒翁のように動かし、前記下部チャンバー内部の重量物の上には待避溝が形成されたスタイロフォームなどの軽量待避体を設置した、不倒翁型救命チャンバーを提供することである。
【0007】
本発明の不倒翁型救命チャンバーにより非常時に救命チャンバーが水上で不倒翁のように常に直立浮遊の状態になり、この状態で救命チャンバー内部の軽量待避体の待避溝に待避者が入っていくと、短時間の安全な待避ができ、透明素材の上部チャンバーの上部から救命チャンバー内部の待避者を確認しながら開閉門の取っ手によりもっと安全な救出ができる。
【0008】
他の目的は、前記救命チャンバー上部の開閉門に通気孔を設けることで、待避者が待避している間に呼吸用酸素の十分な供給を受けることができる不倒翁型救命チャンバーを提供することである。
【0009】
また他の目的は、前記救命チャンバー上部の開閉門に夜光板、又は/及び、警光灯を設けることで、救出時に本発明の不倒翁型救命チャンバーをもっとよく見つけることができる不倒翁型救命チャンバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため本発明の不倒翁型救命チャンバーは、上端部が上方に膨らんだ上部チャンバー及び下端部が下方に膨らんだ下部チャンバーが各々互いに結合される中間部へ行くほど直径が大きくなる形態のボール形状の救命チャンバーを構成し、前記上部チャンバーの下部は金属板の内側面と弾性板の外側面により構成するとともに上部は透明板で構成し、前記下部チャンバーは金属板の内側面と弾性板の外側面により構成し、前記上部チャンバーの上端中心部に取っ手が備えられた開閉門を設置し、前記下部チャンバー内部の凹んだ下端部には重心になる重量物が置かれて前記救命チャンバーが不倒翁のように動かし、前記重量物の上の下部チャンバー内部には少なくとも1つ以上の待避溝を上面に形成した軽量待避体を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、前記開閉門は上面の取っ手の周辺に複数の通気孔が形成された開閉本体と、前記開閉本体の下端部に連結されボール形状の救命チャンバー内部に繋がる樋により構成されることが好ましい。
【0012】
また、前記金属板は鉄板で、弾性板はゴム板で、透明板は透明なアクリル板で、また前記重量物はコンクリート又は鋼鉄塊で、前記軽量待避体はスポンジ又はスタイロフォームにより構成されることが好ましい。
【0013】
また、前記開閉門の上面に取り付けられた夜光板と、開閉門の上面に設置した警光灯を更に含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の不倒翁型救命チャンバーは、低費用の製作と便利な使用ができるため誰でもその購入と使用ができ、さほど重くなくサイズも適当であるため保管が容易であることと自由な移動ができるという効果がある。
【0015】
また、前記救命チャンバーが不倒翁のように動くため水上で常に直立状態を維持し待避者が安定的に待避できるし、救命チャンバーの上部が透明板により構成され前記救命チャンバー内部の待避者状態を常に確認できる効果がある。
【0016】
また、前記救命チャンバーの上部に夜光板が取り付けられ、夜間にも容易に識別でき救命チャンバーを探すことにおいて非常に有利であり、警光灯が設けられている場合救助のため救命チャンバーの位置を非常に容易に把握できる効果がある。
【0017】
また、救命チャンバー内部に設けられたスタイロフォームなどの軽量待避体により前記軽量待避体の待避溝で待避者が椅子に座っていれば、前記救命チャンバーに衝撃が与えられても救命チャンバーの破損がなく、軽量待避体がそれを吸収するため待避者は安全に待避できる効果がある。
【0018】
更に、前記救命チャンバーの下部面と周面が弾性力を有するゴム板により構成され、水に押し流されて他の物体とぶつかっても救命チャンバーの受けた衝撃を緩和させ、救命チャンバー内の待避者をより安全に保護できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の不倒翁型救命チャンバーの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の不倒翁型救命チャンバーの縦断面図及び主要部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の不倒翁型救命チャンバーの好ましい実施例と添付図面を参照しながら詳しく説明する。本発明は以下の開示の実施例に限定されなく、他の様々な形態で実現でき、本実施例は単に本発明の開示を完全にするためのもので、通常の知識を有する者に対して発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。
【0021】
図1は本発明の不倒翁型救命チャンバーの斜視図であり、図2は本発明の不倒翁型救命チャンバーの縦断面図及び主要部拡大図を図示したものである。
【0022】
図1と図2の通り、本発明の不倒翁型救命チャンバーは完全な球の形態ではなく中間部へ行くほど直径が大きくなる形態の球形状で構成されるように互いに結合される上部チャンバー10aと下部チャンバー10bにより構成される救命チャンバー10と、前記救命チャンバー10の上部チャンバー10aに設けられる開閉門2と不倒翁の動作のための重量物3、及び軽量待避体4により構成される。
【0023】
前記救命チャンバー10は、上端部が上方に膨らんだ半球形態の上部チャンバー10aと下端部が下方に膨らんだ半球形態の下部チャンバー10bを重ねてネジ結合し組立てた形態で、前記上部チャンバー10aと下部チャンバー10bが結合され互いに接する中間部へ行くほど直径が段々大きくなる形態のボール形状として構成することにより、水上での安定的な浮遊ができるようになる。この救命チャンバー10の形状は、さながらラグビーボールを長さ方向に置いといて、上部は上方に膨らませ、下部は下方に膨らませ、延長して形成したものと類似である。
【0024】
また、前記救命チャンバー10を構成する上部チャンバー10aの下部は互いに重なった金属板1aと弾性板1bにより構成され、前記金属板1aが内側面に位置し弾性板1bが外側面に位置し、下部と繋がる上部チャンバー10aの上部は透明板1cにより構成される。前記金属板1aは薄い鉄板を用い、弾性板1bは主にゴム板を使用し、透明板1cは透明アクリル板を用いることが好ましい。
【0025】
また、前記救命チャンバー10を構成する下部チャンバー10bは互いに重なった金属板1aと弾性板1bにより構成され、前記金属板1aが内側面に位置し弾性板1bが外側面に位置し、このように構成された下部チャンバー10bに上部チャンバー10aを載せてネジ結合で組立て一体にする。
【0026】
前記開閉門2は救命チャンバー10の上部に、即ち上部チャンバー10a上端の透明板1c中心部に設置された開閉本体5と前記開閉本体5の下端部に連結された樋2cにより構成され、開閉門2には自動車ドアの取っ手と類似した引き寄せ取っ手2aが設置されている。従って、前記取っ手2aを引き寄せると片側に連結されたヒンジを基点として上方に開けられたり下方に閉じられたりし、開閉門2の内側にも同じ形態の取っ手2aを設ける。
【0027】
この取っ手2aは、例えば海水上に浮遊の救命チャンバー10を救助する際、引き上げられるフック掛けの役割をする。前記取っ手2aが引き上げられる際開閉門2が開けられないようにするため、前記開閉門2を開けて救命チャンバー10内に入った待避者が内部で開閉門2を自ら閉めることができるようにしなければならない。
【0028】
前記開閉門2上には救命チャンバー10の内部と連通し外部空気を前記救命チャンバー10内へ供給できるように複数の通気孔2bが貫通され、前記通気孔2bを介して雨水などが救命チャンバー10内に流入する恐れがあるので前記開閉門2の下端部には前記した通り開閉門2と一体となった樋2cが連結される。前記樋2cは救命チャンバー1に内部に位置し開閉門2と共に開閉されながら開閉門2に形成された通気孔2bを介して流入される雨水などを溜めておくことになる。
【0029】
前記重量物3は重心になり救命チャンバー10が不倒翁にように動かせるため前記救命チャンバー10の下部チャンバー10b内部の凹んだ下端部に配置したもので、相当の重量を有するようにコンクリートや鋼鉄塊を使用することが好ましい。
【0030】
前記軽量待避体4はスポンジやスタイロフォームを使用し下部チャンバー10b内の重量物3上から前記下部チャンバー10b上端部の直下程度まで位置するように設置したもので、軽量待避体4の上面には1つ又は2〜3個程度の待避溝4aが形成されている。図面の中心部には1つの待避溝4aが形成されている。
【0031】
前記待避溝4a内には待避者が安定的に待避できるように着席できる待避椅子4bを設置し、前記待避椅子4bに座っている時待避者の安定な姿勢の維持ができるように向こう側の待避溝4a内の壁面に待避取っ手4cを設けて待避者がそれをつかんで座れることが好ましい。
【0032】
従って、待避者は前記救命チャンバー10内に入って軽量待避体4の待避溝4a内の待避椅子4bに座りながら待避取っ手4cをつかんでいれば、津波により海水が押し寄せても待避者は安定な姿勢を支持しながら救命チャンバー10が引き続き水上に浮遊し安全な待避ができる。前記待避溝4aは必要に応じて2個以上を設けることは当然である。
【0033】
その後、海水が引いて救命チャンバー10が地上にある場合、待避者は前記救命チャンバー10の内側から取っ手で開閉門2を開けて外に出ることになり、救命チャンバー10が海水に浮遊している場合待避者は開閉門2を開け外に出て救助を要請するか、前記開閉門2の取っ手2aを掛けて救命チャンバー10自体を地上に移動させ救助する。
【0034】
更に、前記開閉門2の上部面の全体に夜光板を取り付けることで救助の時夜間でも救命チャンバー10が目立つようにし容易に識別できることが好ましく、必要に応じて開閉門2上に警光灯6を設置し音と点滅光で救助の時より目立つようにすることで救命チャンバーを容易に識別できるようにすることが好ましい。
【0035】
以上で本発明による不倒翁型救命チャンバーに関し例示図面を参照しながら説明をしたが、本明細書に開示の実施例と図面により本発明が限定されることではなく、本発明に技術思想の範囲内で当業者により様々な変形ができることは当然である。
【符号の説明】
【0036】
10:救命チャンバー
1a:金属板
1b:弾性板
1c:透明板
2:開閉門
2a:取っ手
2b:通気孔
2c:樋
3:重量物
4:軽量待避体
4a:待避溝
4b:待避椅子
4c:待避取っ手
5:開閉本体
6:警光灯
10a:上部チャンバー
10b:下部チャンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部が上方に膨らんだ上部チャンバー及び下端部が下方に膨らんだ下部チャンバーが各々互いに結合する中間部に行くほど直径が大きくなる形態のボール形状で救命チャンバーを構成し、
前記上部チャンバーの下部は金属板の内側面と弾性板の外側面により構成するとともに上部は透明板により構成し、
前記下部チャンバーは金属板の内側面と弾性板の外側面により構成し、
前記上部チャンバーの上端中心部に取っ手が備えられた開閉門を設置し、
前記下部チャンバー内部の凹んだ下端部には重心になる重量物が置かれて前記救命チャンバーを不倒翁のように動かせ、
前記重量物上の下部チャンバー内部には少なくとも1つ以上の待避溝を上面に形成した軽量待避体を設置することを特徴とする、不倒翁型救命チャンバー。
【請求項2】
前記開閉門は、
上面の取っ手の周辺に複数の通気孔が形成された開閉本体と、
前記開閉本体の下端部に連結されボール形状の救命チャンバー内部に繋がる樋により構成されることを特徴とする、請求項1に記載の不倒翁型救命チャンバー。
【請求項3】
前記金属板は鉄板で、弾性板はゴム板で、透明板は透明アクリル板であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の不倒翁型救命チャンバー。
【請求項4】
前記開閉門の上面に取り付けられた夜光板、及び開閉門の上面に設置した警光灯を、更に含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の不倒翁型救命チャンバー。
【請求項5】
前記重量物はコンクリート又は鋼鉄塊で、
前記軽量待避体はスポンジ又はスタイロフォームであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の不倒翁型救命チャンバー。

【図1】
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【図2】
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