説明

不動態化金属コア基板およびその調製方法

基板は、鉄−ニッケル合金コアまたはコバルト−ニッケル鉄合金コア、該コア(10)の少なくとも一部上のクロム化成被膜(16)、および該クロム化成被膜(16)上の絶縁被膜(18、20)を含む。基板を作製する方法は、鉄−ニッケル合金コアまたはコバルト−ニッケル鉄合金コアを提供すること、該コア(10)の少なくとも一部上にクロム化成被膜(16)を付与すること、および該クロム化成被膜(16)上に絶縁被膜(18、20)を付与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路アセンブリ、より詳しくは金属コア基板を含む回路アセンブリおよびその製造に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクス回路パッケージは様々なサイズで調製される。1つのパッケージングレベルには多数のマイクロ回路および/または他の構成要素を含んだ半導体チップが含まれる。かかるチップは、通常、シリコンのような半導体などから作られる。多層基板を備える中間パッケージレベル(すなわち、「チップキャリア」)は複数のチップを含むことができる。同様に、これらの中間パッケージレベルは大規模回路カード、マザーボードなどに取り付けることができる。中間パッケージレベルは、全体的な回路アセンブリにおける構造的な支持、より小規模な回路からより大規模なボードへの過渡的な集積化、および回路構成要素からの熱放散を含むいくつかの目的に役立つ。従来の中間パッケージレベル用基板は、様々な材料、例えばセラミックス、ガラス繊維強化ポリエポキシド類およびポリイミド類を含んでいた。
【0003】
前述の基板が回路アセンブリに構造的な支持を提供するのに十分な剛性をもつためには、通常100マイクロメートルを超える厚さでそれらを用いなくてはならない。さらに前述の基板は、取り付けられるマイクロエレクトロニクスチップとは大きく異なる熱膨張係数を典型的にもっている。その結果、アセンブリ層間接合部の不具合が原因となって反復使用後に回路アセンブリが破損するリスクがある。
【0004】
先行技術の欠点を克服し改善された熱および構造特性をもつ薄い回路アセンブリを提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の様態において、本発明は、鉄−ニッケル合金コア、該コアの少なくとも一部上のクロム化成被膜、および該クロム化成被膜上の絶縁被膜を備える基板を提供する。
【0006】
別の様態において、本発明は、鉄−ニッケル合金コアを提供すること、該コアの少なくとも一部上に六価または三価クロム化成被膜を付与すること、および該クロム化成被膜上に絶縁被膜を付与することを備える基板を作製する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の一様態において用いることができる基板コアの平面図である。
【図2】図2は、ライン2−2に沿って得られる図1の基板コアの断面図である。
【図3】図3は、不動態化被膜をもつ図1の基板コアの平面図である。
【図4】図4は、ライン4−4に沿って得られる図3の基板コアの断面図である。
【図5】図5は、絶縁被膜をもつ図3の基板の平面図である。
【図6】図6は、ライン6−6に沿って得られる図5の基板の断面図である。
【図7】図7は、絶縁被膜上に導電性経路をもつ図5の基板の平面図である。
【図8】図8は、ライン8-8に沿って得られる図7の基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1の様態において、本発明は、有機絶縁材料で被覆することができる金属コアを有する基板に関する。かかる基板は、電子回路パッケージに用いることができる。
【0009】
図1は、本発明の一様態に用いることができる基板コア10の平面図である。図2は、ライン2-2に沿って得られる図1の基板コアの断面図である。この例において、コアは一般的に金属合金の平面シートを含み、該シートは12および14のようなホールまたはビアを含んでも含まなくてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、基板コアは約10から400マイクロメートル、より具体的には約20から200マイクロメートルの厚さをもつことができる。特定の例において、該コアは約10マイクロメートル、約20マイクロメートル、または約30マイクロメートルの最小厚さをもつことができる。ホールは均一なサイズおよび形状をもつことができる。該ホールが円形の場合、ホールの直径は約4ミル(101.6マイクロメートル)と小さくすることができる。以降の処理で塞がれることなくすべての層を付与するのに十分大きければ、ホールは必要に応じてこれより大きくても小さくてもよい。
【0011】
一例において、金属コアは、およそ64重量パーセントの鉄と36重量パーセントのニッケルとを備えるINVAR(Imphy S.A.,168 Rue de Rivoli,Paris,Franceが商標権所有)のような、鉄−ニッケル合金であり得る。この合金は、電子デバイス(例えば、チップ)の製造に用いられるシリコン材料に匹敵する低熱膨張係数をもつ。この特性は、チップスケールパッケージの逐次的に大きいか、または小さい規模の層間接着剤接合が、貯蔵または通常使用中の熱サイクルによって不具合を生じるのを防ぐために望ましい。
【0012】
従来から知られるINVARコアを含む基板では導電率を向上させるためにINVARコアの全表面に銅金属層が付与されていた。該銅層は典型的に1から20マイクロメートルの厚さをもつことができる。しかしながら、銅被膜を含まないINVARコアを有する基板をもつことが望ましいであろう。
【0013】
コーティングなしのINVARコアでは、鉄−ニッケルコア表面の望ましくない化学変化が腐食生成物の形成をもたらすことがある。これらの化学変化は、高温で加速される可能性がある。例えば、標準周囲圧腐食試験において2週間後に腐食生成物が形成されない場合でさえも、IPC−TM−650プロトコルに指示されるオートクレーブテスト条件下では24時間以内に腐食生成物が鉄−ニッケル合金コア上に形成されることもありうる。鉄−ニッケルコアにおける腐食生成物の形成を最小限に抑えることが望ましいであろう。
【0014】
別の例において、コア材料は、KOVAR(Carpenter Technology Corporationの商標);約鉄54%、ニッケル29%、およびコバルト17%の合金である。KOVARは、回路アセンブリに用いられる他の材料と適合性のある熱膨張係数をもつように設計されたニッケル−コバルト鉄合金である。
【0015】
一様態において、本発明は、クロム化成処理を用いて鉄−ニッケル合金基板を不動態化し、その後該基板に誘電材料の被膜をコーティングする。クロム化成処理は、オートクレーブテストで通常見られる高圧/高温高湿環境下において生じうる腐食を防ぐための不動態化剤として利用される。
【0016】
図3は、コアの表面に付けられた不動態化被膜16をもつ図1の基板コアの平面図である。図4は、ライン4-4に沿って得られる、図3の基板コアの断面図である。
【0017】
一様態において、本発明は、IPC−TM−650プロトコルで必要とされる付着剥離テストに合格することができるINVARまたはKOVARコア基板用不動態化剤として、三価または六価クロムを用いる方法および装置を提供する。IPC−TM−650プロトコルは、96時間のオートクレーブテストを指定する。
【実施例】
【0018】
次の実施例では、クロム化成不動態化処理がINVARおよびKOVAR金属コアに適用された。
【0019】
実施例1
次のステップを用いたAlodineプロセスにおけるINVARおよびKOVAR基板コアの前処理。
1)Ridolene 298洗浄剤:130°F;120秒;浸漬、撹拌あり
2)水道水浸漬リンス:周囲温度;60秒;撹拌あり
3)水道水スプレーリンス(水ボトル)
4)DeOx 6/16混合物:周囲温度;150秒;撹拌なし
5)水道水浸漬リンス:周囲温度;60秒;撹拌あり
6)水道水スプレーリンス(水ボトル)
7a)Alodine 1000:周囲温度;300秒;撹拌なし
7b)Alodine 1200S:周囲温度;150秒;撹拌なし
7c)Alodine 1600:周囲温度;300秒;撹拌なし
8)DIW浸漬リンス:周囲温度;60秒;撹拌あり
9)最終DIWスプレーリンス(水ボトル)
ステップ7a)、7b)および7c)は随意的な代替ステップである。個々の例に用いる場合、これらステップのうち1つだけを用いる。
【0020】
実施例2
次のステップを用いたMetalastにおけるINVARまたはKOVAR基板コアの前処理。
1)Metalast 1000洗浄剤:120°F;120秒;浸漬、撹拌あり
2)DIW浸漬リンス:周囲温度;60秒;撹拌あり
3)DIWスプレーリンス(水ボトル)
4)DeOx LNC:周囲温度;180秒;撹拌なし
5)DIW浸漬リンス:周囲温度;60秒;撹拌あり
6)DIWスプレーリンス(水ボトル)
7)Metalast TCP:周囲温度;300秒;撹拌なし
8)DIW浸漬リンス:周囲温度;60秒;撹拌あり
9)最終DIWスプレーリンス(水ボトル)
実施例1および2では、すべての脱酸素剤前処理を室温で適用した。洗浄剤Ridolene 298は130Fで2分間の浸漬により適用した。Ridolene 298はHenkel Corporationから入手可能である。Metalast 1000洗浄剤は120Fで2分間の浸漬により適用した。Metalast 1000はMetalast International,Inc.から入手可能である。
【0021】
DeOx 6/16はHenkel Corporationから入手可能な脱酸素処理剤である。DeOx 6/16は酸エッチング溶液としての機能を果たす。エッチング速度は酸フッ化物濃度および/または酸エッチングをコアに適用する時間を制御することによって制御することができる。Invarコアの厚さが、酸エッチング溶液に暴露する時間を制御することによっていかに制御されうるかの例を表1に示す。
【0022】
【表1】

DeOx LNCはOakiteから入手可能な水溶性の脱酸素剤である。
【0023】
金属表面を不動態化するために、六価Crおよび三価Cr処理の両方を用いることができる。反応メカニズムは異なっており、六価Crは基板と電解反応して三価Crに還元される(基板が酸化される)。三価Cr処理は複分解により表面にCrを堆積することができる(金属表面とアニオン交換)。両方の場合に、最終生成物は不動態化層として機能を果たす不溶性のCr(III)酸化物を含むことができる。両方の場合に、該処理はクロム化成被膜と一般に呼ばれる。
【0024】
Alodine 1000、1200Sおよび1600はHenkel Corporationから入手可能なクロム化成処理である。Alodine 1000、1200Sおよび1600は不動態化溶液としての機能を果たす。Metalast TCP−HFは、Metalast International,Inc.から入手可能な水溶性三価クロム前処理剤である。
【0025】
図5は、不動態化被膜に絶縁被膜が付けられた図3の基板の平面図である。図6は、ライン6-6に沿って得られる図5の基板の断面図である。絶縁材料の第1および第2の層18および20は、コアの対向する側面(または表面)22、24上に位置する。開口部14および16の壁上に付加的な絶縁体26および28を堆積することができる。
【0026】
次の実施例は、電着被膜の調製、および基板コアの不動態化部分へのコーティングにおけるその使用について説明する。
【0027】
実施例I
次の実施例は、以下に記載される電着可能なコーティング浴用のカチオン性結合剤の合成について記載する。該結合剤は、次の成分から調製された。
【0028】
【表2】

BASF Corporationから市販されている可塑剤。
Hexion Specialty Chemicalsから入手可能なエポキシ樹脂。
BASF Corporationから市販されている界面活性剤。
欧州特許第0 012 463号の実施例Vに従って調製し、90%固体まで2-ブトキシエタノール中に希釈したポリエステル。
【0029】
スターラ、温度プローブおよびディーンスタークトラップを取り付けた四口丸底フラスコに窒素雰囲気下でMAZON 1651、EPON 880、テトラブロモビスフェノールAおよびTETRONIC 150R1を入れた。混合物を70℃まで加熱し、15分間かき混ぜた。次に熱源を取り外してアミノプロピルジエタノールアミンおよびジエタノールアミンを加えた。反応混合物は約10分後に最高温度176℃まで発熱した。1時間にわたって反応を温度135℃まで冷却して2-ブトキシエタノールを加え、混合物を125℃までさらに冷却した。次に発熱ピークから合計2時間、混合物を125℃に維持した。EPON 880の2回目の分量および架橋剤を加え、溶液を125℃で2.5時間かき混ぜた。脱イオン水(1287部)にスルファミン酸(49.5部)が溶解した溶液中に反応混合物(3428部)を強い撹拌の下で注いだ。1時間の撹拌後に、脱イオン水の追加量(3970部)をゆっくり加え、30.2%の不揮発性成分をもつ分散体を得た。
【0030】
実施例II
この実施例は、以下に示されるマイクロゲルの例を合成するのに用いられる非ゲル化カチオン性石けんの調製について示す。該カチオン性石けんは、次の成分から調製された。
【0031】
【表3】

BASF Surfactantsから入手可能なビスフェノールA/エチレンオキシドの1/6モル付加物(molar adduct)。
メチルイソブチルケトン中のジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとの反応生成物の71パーセント溶液。
【0032】
EPON 828、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物、ビスフェノールAおよび2-ブトキシエタノールを反応容器に加え、窒素雰囲気下で温度125℃まで加熱した。ベンジルジメチルアミンの第1の部分を加え、反応を180℃まで発熱させた。発熱中に反応が160℃に達したときに1時間の保持を開始した。発熱ピーク後に樹脂を冷却し、160℃に戻して保持を続けた。保持後に反応を130℃まで冷却し、ベンジルジメチルアミンの第2の部分を加えた。外挿されたエポキシ当量1070になるまで、反応を130℃に保持した。期待されたエポキシ当量においてジケチミンおよびN−メチルエタノールアミンを相次いで加え、混合物をおよそ150℃まで発熱させた。発熱ピークにおいて1時間の保持を開始し、その間に反応を125℃まで冷却した。1時間の保持後に、該樹脂を、脱イオン水の第1の部分に酢酸が溶解した溶液中に分散させた。その後、脱イオン水の第2、第3、および第4の部分を用いて該分散体を還元した。結果として生じたカチオン性石けんは、メチルイソブチルケトンのレベルが0.05%未満になるまで真空揮散した。
【0033】
実施例III
この実施例は、上記の実施例IIに記載されたカチオン性エポキシ石けんからのカチオン性マイクロゲルの合成について示す。該マイクロゲルは、次の成分から調製された。
【0034】
【表4】

実施例2のカチオン性石けんに脱イオン水を加え、混合物を窒素ブランケット下で70℃に加熱した。EPON828溶液を15分にわたって良く撹拌しながら加えた。メチルイソブチルケトンをリンス液として加え、混合物を70℃で45分間保持した。次に混合物を70分にわたって90℃まで加熱し、よく撹拌しながらこの温度で3時間保持した。脱イオン水を次に加えて混合物を冷却し、不揮発性成分が18.9%のマイクロゲル分散体を得た。
【0035】
電着コーティング浴および被膜
実施例A
この実施例は、以下の実施例Cに記載されるコーティング浴を調製するために用いられる混合液の調製について示す。該混合液は、次の成分から調製された。
【0036】
【表5】

実施例1の電着樹脂をゆっくり撹拌しながら容器に入れた。この樹脂にエチレングリコールモノヘキシルエーテルを撹拌の下でゆっくり加え、30分間かき混ぜた。次に脱イオン水をこの混合液に加えた。
【0037】
実施例B
この実施例は、以下の実施例Cに記載されるコーティング浴を調製するために用いられる第2の混合液の調製について示す。該混合液は、実施例Aの混合液に次の触媒を加えることによって調製された。
【0038】
【表6】

PPG Industries,Inc.から入手可能な触媒ペースト。
上記の成分を30分間ゆっくりした撹拌の下で混合した。
【0039】
実施例C
実施例Bの第2の混合液を撹拌の下で実施例Aの混合液に加えた。限外ろ過によっておよそ1720グラムのろ液をコーティング浴から取り出し、ろ液を脱イオン水で置換した。限外ろ過されたペイントの最終的なpHおよび導電率は、それぞれ5.08および566マイクロジーメンスであった。タンクの測定された固形分(110℃で1時間)は9.43%であった。
【0040】
実施例D
所望の被膜厚に依存して1.0アンペア/4”(インチ)×6”(インチ)平方基板、温度85°Fにおいて45から240秒間の電気泳動によって、実施例Cの電着可能なコーティング組成物を、電着浴から不動態化された基板コアに付与することができる。コーティング電圧は、例えば150、200、または250ボルトであり得る。次に該被膜を硬化させることができる(例えば、240℃で30分間)。
【0041】
本基板に回路を形成し、絶縁材料上に導体を提供することができる。図7は、絶縁被膜上に導電性経路30、32をもつ図5の基板の平面図である。図8は、ライン8-8に沿って得られる図7の基板の断面図である。本アセンブリは機械的に強固であり、かつ基板に搭載されうる電子デバイスから効率的に熱を除去することを可能にする。
【0042】
別の様態において本発明は、電子回路アセンブリを作製する方法を包含する。本方法は、(a)鉄−ニッケル合金コアを提供すること;(b)該鉄−ニッケル合金コアの少なくとも一部にクロム化成層を付与すること;および(c)該クロム化成層の第1の表面に誘電体被膜を付与することを備える。この例では金属コアが最初に形成され、次に必要な任意の前処理、誘電体被膜付与、スパッタリング、めっきパターン形成などが引き続き適用される。
【0043】
コアの露出表面に誘電体被膜を付与して、コンフォーマルな被膜を形成することができる。本明細書において「コンフォーマルな」膜または被膜は、コアのホール内表面を含めて(但し、好ましくはホールを塞ぐことなく)コアの表面形状に順応した実質的に均一な厚さをもつ膜または被膜を指す。誘電体被膜の膜厚は、例えば、5と50マイクロメートルとの間であり得る。様々な理由から、膜厚は小さい方が望ましい。例えば、膜厚が小さい誘電体被膜はより小型の回路を可能にする。
【0044】
別の様態において、本発明は、複数のホールまたはビアをもつ鉄−ニッケル合金コア、該鉄−ニッケル合金コアの少なくとも一部へのクロム化成層、該ホールまたはビア、ならびに該クロム化成層の少なくとも一部上および該ホールまたはビアの側壁上の誘電体被膜、を含んだ基板を提供する。いくつかの実施形態において、該コアは、約10から400マイクロメートル、またはより具体的には約20から200マイクロメートルの厚さをもつことができる。特定の例において、該コアは、約10マイクロメートル、約20マイクロメートル、または約30マイクロメートルの最小厚さをもつことができる。コアの厚さは、上述のように、酸フッ化物濃度および/または酸エッチングをコアに適用する時間を制御することによって制御することができる。いくつかの例において、ホールの直径:コアの厚さの比率は、約2.5:1または約3:1であり得る。薄いコアを用いると、記載された絶縁被膜によって塞がれずにコンフォーマルにコーティングできる側壁をもつ、小さいホールの使用が可能になる。例えば、20マイクロメートルのコアは、約50マイクロメートルまたは約70マイクロメートルと小さいホールを含むことができる。また別の例において、30マイクロメートルのコアは、約90マイクロメートルまたは約100マイクロメートルと小さいホールを含むことができる。
【0045】
導体または接点は、化学的、機械的もしくはレーザーアブレーションによるか、または選択された領域に被膜が付与されるのを防ぐマスキング技術を用いて形成することができる。さもなければ、誘電体被膜部分を所定のパターン状に除去し、導電性のコア部分を露出させて、導体および接点を形成すべき誘電体被膜部分に金属層を付与することによって形成することができる。誘電体被膜層の表面近傍に接点および導体を形成するために、誘電体被膜層のメタライゼーションを用いることもできる。
【0046】
当然のことながら、本発明のいずれのプロセスも、本発明者の範囲から逸脱することなく1つまたはそれ以上の付加的なステップを含むことができる。同様に、ステップが行われる順序は、発明の範囲から逸脱することなく必要に応じて変更することができる。
【0047】
上記の実施例に従って製造された構造は、IPC−TM−650プロトコルにおいて必須の試験に合格した。本テストサンプルは、コア、不動態化被膜、および誘電体被膜を含んだ。
【0048】
本作動例における以外、または他に指示される場合に、本明細書および請求項に用いられる成分量、反応条件などを表すすべての数は、用語「約」によってすべての事例で修正されると理解すべきである。従って、逆に指示されなければ、以下の明細書および添付される請求項に示される数値パラメータは、本発明によって得られようとする所望の特性に依存して変化しうる近似である。均等論の適用を請求項の範囲に限定する試みではないが、いずれにしても、各数値パラメータは、報告される有効数字の桁数の観点から通常の丸め手法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
【0049】
本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータは近似ではあるが、具体的な実施例に示される数値はできるだけ正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの試験測定に見られる標準偏差が必然的にもたらすある程度の誤差を本質的に含む。
【0050】
同じく当然のことながら、本明細書に列挙されるいずれの数値範囲も、そこに包含される部分的な範囲をすべて含むことが意図される。例えば、「1から10」の範囲は、列挙される最小値1と列挙される最大値10との間ならびにこれらの値を含む、すなわち、1に等しいかまたはそれより大きい最小値ならびに10に等しいかまたはそれより小さい最大値をもつすべての部分的な範囲を含むことが意図される。
【0051】
本発明を説明するために個別の実施形態が上に記載されたが、添付の請求項に明記される本発明から逸脱することなく、本発明の細部に数多くの変化を加えうることは当業者に明らかであろう。
【0052】
この明細書において逆に指示されなければ、数値パラメータは、本発明によって得られようとする所望の特性に依存して変化しうる近似である。かくして、各数値パラメータは、報告される有効数字の桁数の観点から通常の丸め手法を適用することによって、或いは典型的な製造上の許容範囲を考慮に入れることによって少なくとも解釈されるべきである。
【0053】
いくつかの実施例を踏まえて本発明が記載されたが、次の請求項に明記される本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施例に様々な変更を加えうることは当業者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄−ニッケル合金コアまたはコバルト−ニッケル鉄合金コア;
該コアの少なくとも一部上のクロム化成被膜;および
該クロム化成被膜上の絶縁被膜
を備える電子デバイスパッケージのための基板。
【請求項2】
前記コアは、少なくとも約30マイクロメートルの厚さをもつ、請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記コアは、約20マイクロメートルまたはそれ未満の厚さをもつ、請求項1に記載の基板。
【請求項4】
前記コアは、約10マイクロメートルまたはそれ未満の厚さをもつ、請求項1に記載の基板。
【請求項5】
前記絶縁被膜は、
電着された被膜
を備える、請求項1に記載の基板。
【請求項6】
前記コアは、約50マイクロメートルと少さい直径をもつ複数のホールを含み、前記電着された被膜は、該ホールの側壁をコンフォーマルにコーティングする、請求項5に記載の基板。
【請求項7】
前記コアは、約70マイクロメートルと少さい直径をもつ複数のホールを含み、前記電着された被膜は、該ホールの側壁をコンフォーマルにコーティングする、請求項5に記載の基板。
【請求項8】
前記コアは、約90マイクロメートルと少さい直径をもつ複数のホールを含み、前記電着された被膜は、該ホールの側壁をコンフォーマルにコーティングする、請求項5に記載の基板。
【請求項9】
前記コアは、約100マイクロメートルと少さい直径をもつ複数のホールを含み、前記電着された被膜は、該ホールの側壁をコンフォーマルにコーティングする、請求項5に記載の基板。
【請求項10】
前記絶縁被膜上に位置する回路層
をさらに備える、請求項1に記載の基板。
【請求項11】
約80マイクロメートルまたはそれ未満の厚さをもつ、請求項1の基板。
【請求項12】
鉄−ニッケル合金コアまたはコバルト−ニッケル鉄合金コアを提供すること;
該コアの少なくとも一部上にクロム化成被膜を付与すること;および
該クロム化成被膜上に絶縁被膜を付与すること
を備える電子デバイスパッケージ用基板を作製する方法。
【請求項13】
前記絶縁被膜は、電着を用いて前記クロム化成被膜に付与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コアの少なくとも一部上にクロム化成被膜を付与する前記ステップは、
該コアに酸エッチング溶液を適用すること;および
該コアに不動態化溶液を適用すること
を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記酸エッチング溶液は、酸フッ化物水溶液を含み、前記不動態化溶液は、Cr6+および/またはCr3+水溶液を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
エッチング速度は、酸フッ化物濃度および/または時間を制御することによって制御される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コアは、少なくとも約30マイクロメートルの厚さにエッチングされる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記コアは、約20マイクロメートルまたはそれ未満の厚さにエッチングされる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記コアは、約10マイクロメートルまたはそれ未満の厚さにエッチングされる、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記コアは、約50マイクロメートルと少さい直径をもつ複数のホールを含み、前記絶縁被膜は、該ホールの側壁をコンフォーマルにコーティングする、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−530005(P2011−530005A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521158(P2011−521158)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/049660
【国際公開番号】WO2010/014351
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ,インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】