不可視マークの形成方法および検出方法、当該方法に従ってマークされた物品
本発明は、不可視マークを形成し、検出する方法と、当該方法にてマークされた物品を提供する。本発明の方法によれば、マーキング原料はマークを作成する基板に塗布され、当該マークは電磁スペクトルの赤外線部の一つ又はそれ以上の領域において基板と対照可能となる。該マークはフィルムで覆われ、該フィルムは結合コーティングあるいは非結合カバーシートであってもよく、該シートは、電磁スペクトルの可視部においてフィルムが不透明に見えるが、フィルムによってカバーされたマークの検出を容易にするために、電磁スペクトルの赤外線部の一部またはそれ以上の範囲内で充分に透過可能であるような一つ又はそれ以上の無機顔料を含んでいる。該不可視マークは、偽造を防ぐために、自動車部品、航空機部品のような物品及び、他の製造物品に適用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不可視なマークを形成し検出する方法と、当該方法に従ってマークされた物品に関する。
【背景技術】
【0002】
偽造品はしばしば真正品と直接的に競合して製造、配布、販売される。例えば、自動車部品市場は、表面上真正品に見えるが、そうではない偽造部品で溢れている。偽造部品は、真正部品と同じ耐久性及び仕様により製造されないことが多く、それらは安全性や関連性能に影響し得る。いくつかの自動車の偽造部品は非常に厳密に真正部品に似せることができるので、消費者はその部品が真正であるか、真正でないかを確かめるのは、ほとんど不可能である。
【0003】
様々な真正及び/又は反偽造品の対処法は、偽造問題と戦おうと努力し考え出されてきた。例えば、印刷された機密保護ラベルは時々真正商品に付されている。残念なことに、偽造者は、印刷された機密保護ラベル(ホログラフィ像のような精巧又は複雑な反偽造方法を有する機密保護ラベルを含む)を簡単に複製している。印刷された機密保護ラベルについては、一般的に高温及び厳しい環境条件への暴露に耐えることができないという別の問題がある。
【0004】
非視覚マーキングもまた、偽造品から真正品を区別しようとしてきた。例えば、いくつかの製造業者は、真正の商品と文書に紫外線(UV)蛍光マーキングを塗布している。マーキングは一般的に、UV照射に暴露され、蛍光を発して偽造品から真正商品を区別しようとするパターン又はコードを形成するまで見ることができない。残念ながら、従来のUV蛍光マーキング及び電磁スペクトルの可視部以外を対照とし得る他のマーキングは、通常、容易に複製され得る有機顔料で形成されている。さらに、有機顔料は一般的に高温及び厳しい環境条件への暴露に絶えることができず、自動車部品の認証のようないくつかの応用用途においては現実的ではない。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、不可視マークを形成し、検出する方法と当該方法にてマークされた物品を提供する。本発明の方法によれば、マーキング原料はマークを作成する基板に塗布され、当該マークは電磁スペクトルの赤外線部の一つ又はそれ以上の領域において基板と対照することが可能である。該マークはフィルムで覆われ、該フィルムは結合コーティング又は非結合カバーシートであってもよく、該シートは電磁スペクトルの可視部においてフィルムが不透明に見えるような一つ又はそれ以上の無機顔料を含んでいるが、フィルムによってカバーされたマークの検出を容易にするために、電磁スペクトルの赤外線部の一つまたはそれ以上の範囲内で充分に透過可能である。本発明の方法は、自動車部品と航空機部品のような物品上、及び他の製造物品上に対照可能なマークの形成及び検出に用いることができる。
【0006】
本発明の他の実施例では、マークを形成したマーキング材料又はカバーフィルムで使用される無機顔料は、電磁スペクトルの可視部外の特殊なスペクトル曲線を生み出すような一つ又は複数の無機顔料を好適に含んでおり、コーティングが塗布された商品の特定の製造業者を明らかにする「指紋」としての機能を併せもっている。「指紋」を含む該無機顔料へのアクセスによって、特定の製造業者を厳密に限定することができる。このように特定物品の真正性は、真正物品表面のスペクトル曲線を、公知のスペクトル曲線又は真正商品の製造業者に割り当てた「指紋」と比較することによって、簡単に確かめることができる。「指紋」を形成するために使用される無機顔料は安定である、すなわち該顔料が高温や悪天候による暴露によって劣化しない。
【0007】
本発明における前述の特徴及びその他の特徴は、以下にさらに詳しく記載されており、特許請求の範囲において特に指摘されている。以下の記載では、本発明の特定の実施例について詳細に説明しているが、ここには本発明の原理を様々な方法のうちのごく一部が示されているに過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、人間の肉眼では発見できないが、赤外線映像装置を使用することによって容易に観測することができる物品上のマークを形成する方法を提供する。したがって、本発明の方法は、商品の美的外観に不利な影響を及ぼすことなく、製造の物品上に、赤外線検出可能マーク(例えば、バーコード、ロゴ、製品情報、認証コード、他のしるし)の作成を容易にする。
【0009】
図1は本発明にかかる物品の上に作成された不可視マークの第1実施例の断面の部分的な概略図であり、図1を参照すると、マーク10は基板20の上に形成される。該基板20は物品の表面であっても、または物品上に塗布されたベースコーティングか下塗りコーティングの表面であってもよい。基板20の組成はそれ自体重要ではないが、プラスチック、木材、金属、ガラス、セラミックのような耐久性のある基板材料が好ましい。
【0010】
マーク10は、塗装、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ローラー式、レーザーマーキング、粉末コーティング、スタンプ、及びペンを使ったマーキングを含むいかなる従来のマーキング方法を使用しても形成し得るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。ポリマー成型操作のように、基板に顔料を選択的に混合させて対照マークを形成することも可能である。マークの形成に用いられる材料の組成はそれ自体重要ではないが、マーク10が基板20と識別及び対照され得るように、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内の一つ又はそれ以上の波長(すなわち約0.75μmから約40μmの範囲内での波長を持つ照射)において、マーク10は、隣接する基板20に対して十分に異なるレベルで、照射40を反射もしくは吸収しなければならない。マーク10の形成に使用される材料が耐熱性及び耐化学薬品性を有するならば有利である。当該理由により、例えば塗料、エナメル、レーザーマーキング組成物、インク、転写フィルムのような無機顔料を含むマーキング材料であることが特に好ましい。
【0011】
カバーフィルム30は、マーク10を被覆するために塗布され、必要に応じて、基板20の隣接した部分を被覆する。カバーフィルム30は、基板に結合されていてもよいが、必ずしもその必要はない。カバーフィルム30は、電磁スペクトルの可視部分内(すなわち約0.40μmから約0.75μmの範囲内での波長を持つ照射)で不透明に見えるが、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内の一つ又はそれ以上の波長において十分に透過可能であり、これらの波長において、照射40がカバーフィルム30を通り抜けることができ、下部にあるマーク10と隣接した基板20に衝突することができるように、少なくとも一つ、より好ましくは複数の顔料の十分な量を含んでいる。マーク10か基板20かどちらか一方、あるいはマーク10と基板20の両方ともが、カバーフィルム30を介して照射40の検出可能部分を反射しなければならない。例えば赤外線映像装置で使用されるような波長であって、マーク10が基板20に対して識別又は対照とされ得るような特定の波長において、マーク10によって反射された照射“A”の量は、基板20によって反射された照射“B”の量よりも充分に多いか又は少なくなければならない。
【0012】
カバーフィルム30が電磁スペクトルの可視部分内で不透明に見えるが、電磁スペクトルの赤外線部分の一つ又はそれ以上が十分に透過可能であって、マークが識別可能なように、十分な量の無機顔料を含有している材料であれば、いかなる材料を使用してカバーフィルム30を形成してもよい。マークを被覆するために物品と結合させることができるカバーフィルム30の例としては、塗装フィルム、磁気エナメルコーティング、ガラスエナメルコーティング、インク及び押出成形又はラミネートプラスチックフィルムが含まれる。マークを被覆するために必ずしも物品に結合されている必要のない被覆フィルム30の例としては、ガラスパネル及びプラスチックフィルム(例えば収縮包装フィルム)が含まれる。このように、カバーフィルム30は、例えば、塗装、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ロール塗装、スプレー塗装、電気塗装、パウダー塗装、スタンプ、印紙、収縮塗装、ペンを使用したマーキングのような、従来のいかなる塗装又は被覆技術を用いて形成してもよい。カバーフィルム30を形成するために使われる材料は、下部にあるマークを検出するために用いる電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域の波長において、赤外線照射の透過を妨げるようないかなる成分をも含まないことが好適である。好適な検出波長は電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内であり、約0.75μmから約40μmの範囲内の波長を含む。理想としては、カバーフィルム30は検出波長では完全に透明であることが望ましい。
【0013】
図2は本発明にかかる物品上に形成された不可視マークの第2実施例の断面の部分的な概略図である。本発明の第2実施例は多くの点において第1実施例と類似しているため、図1で使用された引例番号は、図2における同一の構造を特定するために使用される。
【0014】
第2実施例において、マーク10は従来のマーキング方法を用いて基板20の上に形成される。第一の方法と同様に、基板20は物品の表面であっても、物品に塗布されるベース又は下塗りの表面であってもよい。対照マーク50もまた、マーク10に隣接した基板20上に形成される。対照マーク50は、マーク10の前でも後でもあるいはマーク10と同時に形成してもよい。マーク10及び対照マーク50は、いかなるマーキング方法で形成してもよく、塗装、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ロール塗装、レーザーマーキング、パウダー塗装、スタンプ及びペンを使用したマーキングが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。マーク10及び対照マーク50の形成に用いる材料の組成はそれ自体重要ではないが、マーク10が対照マーク50と識別され得るように、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内の一つ又はそれ以上の波長において、マーク10は、対照マーク50に対して十分に異なるレベルで、照射40を反射もしくは吸収しなければならない。マーク10及び対照マーク50の形成に用いる材料が耐熱性及び耐化学薬品性を有するならば有利である。当該理由により、例えば塗料、エナメル、レーザーマーキング組成物、インク、転写フィルムのような無機顔料を含むマーキング材料であることが特に好ましい。
【0015】
カバーフィルム30は、マーク10を、必要に応じて対照マーク50を被覆するために塗布される。カバーフィルム30は、電磁スペクトルの可視部分内で不透明に見えるが、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内の一つ又はそれ以上の波長において十分に透過可能であり、これらの波長において、照射40がカバーフィルム30を通り抜けることができ、下部にあるマーク10と対照マーク50に衝突することができるように、少なくとも一つ、より好ましくは複数の顔料の十分な量を含んでいる。マーク10と対照マーク50のいずれか、あるいはマーク10と対照マーク50の両方ともが、カバーフィルム30を介して照射40の検出可能部分を反射しなければならない。例えば赤外線映像装置で使用されるような波長であって、マーク10が対照マーク50に対して識別又は対照とされ得るような特定の波長において、マーク10によって反射された照射“A”の量は、対照マーク50によって反射された照射“C”の量よりも充分に多いか又は少なくなければならない。
【0016】
図3は本発明にかかる物品上に形成された偽造防止不可視マークの第3実施例の断面の部分的な概略図である。本発明の第3実施例は多くの点において第1実施例及び第2実施例と類似しているため、図1及び図2で使用された引用番号は、図3において同構造で同一に使用される。
【0017】
図3において、マーク10は従来のマーキング方法を使用して基板20の上に形成される。第1方法及び第2方法と同様に、基板20は物品の表面であってもよく、又は物品に塗布された下塗りの表面であってもよい。マスク60は、マーク10の一部、必要に応じて、マーク10に隣接する基板20の一部を被覆するように形成される。マーク10及びマスク60は、塗装、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ローラー式、レーザーマーキング、粉末コーティング、スタンプ、及びペンを使ったマーキングを含むいかなるマーキング方法を使用しても形成することが可能であるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。マーク10及びマスク60に用いる材料の組成はそれ自体重要ではないが、マーク10がマスク60と識別され得るように、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内の一つ又はそれ以上の波長において、マーク10は、マスク60に対して十分に異なるレベルで、照射40を反射もしくは吸収しなければならない。マーク10及びマスク60を形成した材料が耐熱性及び耐化学薬品性を有するならば有利である。当該理由により、例えば塗料、エナメル、レーザーマーキング組成物、インク、転写フィルムのような無機顔料を含むマーキング材料であることが特に好ましい。
【0018】
カバーフィルム30は、マーク10を、必要に応じて、マスク60をカバーするために塗布される。カバーフィルム30は、電磁スペクトルの可視部分内でカバーフィルム30が不透明に見えるが、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内の一つ又はそれ以上の波長において十分に透過可能であり、これらの波長において、照射40がカバーフィルム30を通り抜けることができ、下部にあるマーク10とマスク60に衝突することができるように、少なくとも一つ、より好ましくは複数の顔料の十分な量を含んでいる。マーク10とマスク60のいずれか、あるいはマーク10とマスク60の両方が、カバーフィルム30を介して照射40の検出可能部分を反射しなければならない。例えば赤外線映像装置で使用されるような波長であって、マーク10がマスク60に対して識別又は対照とされ得るような特定の波長において、マーク10によって反射された照射“A”の量は、マスク60によって反射された照射“D”の量よりも充分に多いか又は少なくなければならない。
【0019】
前述の実施例の組み合わせも使用可能であると認められる。例えば、図3に示されるようなマスク60は、図2に示されるようなマーク10及び/または対照マーク50の領域の上を選択的にカバーするために、塗布され、使用することができる。あるいは、もし特定波長による基板20から反射された照射“E”の量が、マーク10によって反射された照射“A”の量及び/又はマスク60によって反射された照射“D”の量と十分に異なるとすれば、図3に示すマーク10及び/またはマスク60は、基板20に対する対照とすることができる。さらに、本発明による物品上に不可視偽造防止マークを形成するために、マーキング、対照マーキング及び/又はマスキング材料は、コーティング層として塗布されるこれらの材料とは対照的に、物品自体に混ぜること(例えば、成形又は配合)が可能である。さらに、検出波長での赤外線照射を透過可能な中間層を、マークとカバーフィルムとの間に塗布、又は配置することができる。また、例えば装飾又は保護の目的のような必要に応じて、検出波長での赤外線照射を透過可能である外側又は上部の層を、カバーフィルムの上に塗布することができる。
【0020】
カバーフィルム30の形成に用いる無機顔料は、約0.02μmから約15μmまでの粒子サイズが好適である。約0.2μmから約15μmまでの粒子サイズは、電磁スペクトルの可視部分の散乱照射にとって最適であり、優れた不透明性と隠蔽性能を提供する。さらに約0.02μmから約0.3μmまでの粒子サイズは、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内での照射の透過に最適である。カバーフィルム内の無機顔料の粒子サイズ選択は、特定の用途を考慮して決定されなければならず、より大きな隠蔽力と不透明度が必要な塗布の場合はより大きな粒子サイズの顔料を用い、より大きな赤外線透過が必要な塗布の場合はより小さな粒子サイズの顔料を用いる。
【0021】
カバーフィルム30内の無機顔料の含量は、それ自体重要ではない。しかしながら、その含量は、下部にあるマーク又は複数のマーク(すなわち、マーク、対照マーク及び/あるいはマスク)を隠蔽するために、電磁スペクトルの可視部分において充分に不透明であるカバーコートを作るのに充分な量でなければならないが、カバーフィルム30を通る電磁スペクトルの近赤外線部から中赤外線領域内の照射の透過が遮られてしまうほど多くてはならない。カバーフィルムの厚さは、赤外線照射の透過にも影響を与えることができ、厚いフィルムであればあるほど、薄いフィルムよりも吸収する赤外線照射の量が多くなる傾向にある。
【0022】
赤外線反射無機顔料は、カバーコートの下部のマークの形成への使用に特に適している。顔料は、鉄-クロム、鉄-クロム-マンガン、鉄-クロム-アルミニウム、ストロンチウム-マンガン、バリウム-マンガン、カルシウム-マンガン、イットリウム-マンガン、バナジウム-マンガン、ビスマス-マンガン、クロム-アルミニウム酸化物を含む一般に混合金属酸化物あるいは複合無機着色顔料と呼ばれるものを用いることができる。赤外線反射無機顔料の具体例は以下のものを含む:酸化マンガンバナジウム顔料(以下、Mn2V2O2、Swilerら、米国特許6,485,557に開示);化学式MXMnOYで表される希土酸化物顔料、Mはイットリウム及び/又は元素周期表のランタン系列から選択された元素、xは約0.01から約99までの数、yはx+1以上、x+2以下であり、電気的中性を維持する必要のある酸素原子の数(Swilerら、米国特許6,541,112に開示);酸化マンガンビスマス顔料(以下、Bi2Mn4O10、Sakoskeら、米国特許6,221,147に開示);化学式MXMnOYで表されるアルカリ土類マンガン酸化物顔料、Mはカルシウム、ストロンチウム、バリウム及び/又はマグネシウム、xは約0.01から約99までの数、yはx+1以上、x+2以下、電気的中性を維持するために必要な酸素原子の数(Sullivanら、米国特許6,416,868に開示);アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、クロム、コバルト、ガリウム、インジウム、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛をから選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化鉄を含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体、及び、アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、コバルト、ガリウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛をから選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化クロムを含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体(Sliwinskiら、米国特許6,174,360に開示)。これら全ては参照することにより、全てここに含まれる。加えて、カドミウム、アンチモン、セレン硫化物または酸硫化物を含んでいる無機顔料は、電磁スペクトルの可視部で好適な独特のスペクトル曲線を得ることもできる。
【0023】
前パラグラフにおいてIR反射として言及された顔料は、そもそも電磁スペクトルの赤外線領域内の太陽照射を吸収しない能力のために開発されてきた。これらの顔料の使用は、本来光学的に暗い方が望ましい物体になされ、大量の赤外線エネルギー照射を暴露した場合、より熱のない状態のままになる。加えて、これらの顔料は、物体やマークからのIR反射率に違いを与えることによって、同じに見える物体の区別に用いることができる。IR検出装置を用いると、物体や物体の一部、フィルム又は繊維に印刷されたこれらのIR反射顔料から得られたIR信号は、肉眼で見えない区別、真偽、表示情報を提供するために使用することができる。
【0024】
カーボンブラックもまた、赤外線反射基板上のマーキング材料として使用することができる。カーボンブラックは、赤外線照射を吸収し、赤外線反射材料を対照可能とする。
【0025】
既に述べたように、カバーフィルムは、下部にあるマーク又はマークを隠すのに充分な不透明性を示すために十分な含量の、少なくとも一つの無機顔料を含まなければならないが、マークがカバーフィルムを通じて識別され得るように一つ又はそれ以上の検出波長で赤外線照射を充分に透過しなければならない。出願人は様々な顔料がカバーコートの形成に用いることができることを見出した。下記表1に、カバーフィルムを形成し得る好適な無機顔料種と、これらの顔料種が特定の透過性をもつ電磁スペクトルの赤外線領域以内の代表的な波長範囲の典型的なリスト(全てを包括しているわけではない)を示す。
【0026】
【表1】
【0027】
C.I.顔料種においては、顔料中の個々の元素成分の相対量、及び各種ドーパント元素の存在又は欠如に依存して、様々な幅広い色が可能であることが認められる。これらの相対的な差異は、電磁スペクトルの可視領域内及び電磁スペクトルの赤外線領域内における個々の無機顔料の反射率曲線に変化をもたらす。したがって、無機顔料の選択又は無機顔料の組み合わせは、電磁スペクトルの可視部分内でのカバーコートの望ましい外観と、電磁スペクトルの赤外線領域内における検出波長での無機顔料の透過率とを考慮して行なわなければならない。
【0028】
また、可視部及び赤外線部を部分的に透過する無機顔料が、本発明にかかるカバーコートの形成に使用できることも認められる。電磁スペクトルの可視部での外観において、下部にあるマークを隠蔽するため、このような部分透過無機顔料は、電磁スペクトルの可視部内で充分に不透明である顔料を混合することができる。その組み合わせの例は、透過範囲が700から1100nmであるC.I.Pigment Blue 28と、透過範囲が760から2400nmであるC.I.Pigment Yellow 53である。
【0029】
赤外線検出器は、約0.75μmから約40μmまでの範囲内の一つ又はそれ以上の設定波長において、カバーフィルムを通った(マーク、対照マーク、基板及び/またはマスクの間においての)赤外線反射率レベルの違いの検出に用いることができる。0.830μmから0.940μmの間の検出波長が特に好適である。従来の電荷結合素子(CCD)は、本発明における赤外線検出器として使用することができる。このような装置の一般的なものとして、一つ又はそれ以上の赤外線放射エミッターが含まれる。過度な赤外線放射量は、グレアを引き起こし、カバーフィルムの下にあるマークの観測を難しくさせる。このため、ディフューザーが好適に使用される。
【0030】
赤外線検出器は、電磁スペクトルの可視部内で見ることのできないバーコード、ロゴ、及び他の認証マークを検出することに加え、偽造物品を検出するために一つ又はそれ以上の設定波長における相対強度の測定に用いることができる。その効果は、カバーコートが電磁スペクトルの可視部内での人による観察では暗く見えるが、赤外線検出器を使用して簡単に識別し得る高度反射マークを含んでいる場合に、特に役に立つ。好適な赤外線照射発生源は、自然光、発光ダイオード、白熱光、レーザー光及び/又は蛍光灯を含む。スペクトル曲線の測定は、分光光度計や、ドープされたシリコンチップ、光増倍チップ、光電池のような光−信号変換器を用いて行ってもよい。
【0031】
以下の実施例は、本発明を説明することのみを意図するものであって、特許請求の範囲を限定するように解釈すべきものではない。特に示されていなければ、実施例の全ての原材料は標準顔料等級粉末である。
【実施例1】
【0032】
34.5gの水酸化アルミニウム、35.2gの酸化コバルト、28.4gの酸化クロムを、ワーリングブレンダー中で入念に混合し、ムライトるつぼに加えて1300℃で4時間焼成した。得られた青色無機顔料を、ジルコニアビーズミルを用いて、平均粒子径(D50)が0.7μmになるように粉砕した。
【実施例2】
【0033】
実施例1から得られた無機顔料12.3gを、39.3gのアルキド樹脂メラミン塗装ベース(セタルセタミン84XXを51.02重量%、キシレンを28.52重量%、セタミンを20重量%、SC-100を0.46重量%)中に混合して、青色塗装組成物を形成した。該青色塗装組成物を、Byk−Gardner社から購入可能なLeneta2Aオパシティーチャート(opacity chart)に約5ミルの厚さで描き、空気乾燥した。電磁スペクトルの可視部内において、オパシティーチャートの上部は黒色に見え、オパシティーチャートの下部は白色に見えた。
【0034】
図4は、絞り優先自動露光を用いたオリンパスC−8080WZのデジタルカメラで撮った塗装テストチャートの写真である。図4には、オパシティーチャートに塗布された青色塗装被覆フィルムが電磁スペクトルの可視部内で不透明に見えることが示されている。下部の黒色及び白色の部分は、青色塗装フィルムを通して見ることができないか、若しくは差異が見られない。
【0035】
図5は、HOYA RM72赤外線フィルターを用いて、図4と同じカメラをで撮った同じ塗装テストチャートの写真である。図5には、オパシティーチャートの黒色部分が青色カバーフィルムの下のオパシティーチャートの白色部分と容易に対照することが可能であることが示されている。
【実施例3】
【0036】
下記表2に挙げられた13.5重量%の顔料の一つとともに、40.8重量%のイソフォロン、22.1重量%のKYNAR−500、23.6重量%のPARALOID B−44Sを混合することによって、21種のポリフッ化ビニリデンのマストーン塗装組成物を個別に形成した。充分に混合した塗料を、さらにサンプルを薄めることなく#60バーを用いたアルミニウム板に塗布し、30重量%の顔料を含んだ0.9ミルの乾燥フィルムを得るために空気乾燥した。表2に、0.940μmと0.830μmの間で測定された塗装フィルムの赤外線反射率の差異を示す。
【0037】
【表2】
【実施例4】
【0038】
空気乾燥−水性アクリルスプレーカバーコートは、表3に示される成分を混合することにより調製した。
【0039】
【表3】
【0040】
CerMark LMM−6000レーザーマーキング物質(Ferroから入手可能)と、Universal 35 Watt二酸化炭素レーザーマーキングシステムを使用し、4インチ×12インチの鉄製テストパネル(オハイオ州クリーブランドのQ−Panel Lab Productsから入手可能)に、黒色マーキングをレーザーマークした。3種のData MATRIXの2Dバーコード及び1種のUPCコードと同様に、テキストの3行を該パネル上にマークした。その後、該パネルに上記コーティングをBinks Model M1G HVLPスプレーガンにより噴射した。2度コーティングを塗布し、空気乾燥した。乾燥フィルムの厚さは約1.3ミルから1.7ミルだった。Sony Handycam Model DCR−TRV730のノーマルモードを用いてパネルを観察すると、黒色レーザーマーキングは、塗装後のいかなる照明条件下においても人の肉眼では見ることができなかった。Sony Handycamの夜景モードに設定し、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線部内のイメージをカメラ内のCCDにとらえることができるようにした。夜景モードのカメラを使用すると、塗装フィルムの下に隠れている全ての黒色マーキングが、スペクトルの赤外線部分内で容易に観測することができた。全てのテキストは簡単に読むことができ、バーコードは適切なソフトウェアによって十分に対象可能なものとなり、解読することができた。
【実施例5】
【0041】
ポリウレタンスプレーカバーコートは、下記表4に示される成分を混合することによって調製された。
【0042】
【表4】
【0043】
CerMark LMM−6000レーザーマーキング物質(Ferroから入手可能)と、Universal 35 Watt二酸化炭素レーザーマーキングシステムを使用し、4インチ×12インチのアルミニウム製テストパネル(オハイオ州クリーブランドのQ−Panel Lab Productsから入手可能)に、黒色マーキングをレーザーマークした。等間隔においた11種のData MATRIXTMの2Dバーコードを、パネルの中央にマークした。その後、該パネルに上記コーティングをBinks model M1G HVLPを用いて噴射し、2度コーティングを塗布した。末端の0ミルから他方の1.3から1.7ミルへと厚さが徐々に厚くなった塗装フィルムを得るため、ポリウレタンコーティングを、パネルの長さに渡って塗布した。合計2度のコーティングで、塗布、空気乾燥した。ポリウレタンフィルムで被覆された黒色レーザーマーキングは、塗装後のいかなる照明条件下においても人の肉眼では見ることができなかった。G.E. Wired Security Surveillance SystemのGESECCTVCB60モデルのカメラ(サーキットシティーストアから入手可能)を、パネルの観察に用いた。IR遮断フィルター(ニュージャージー州,ブラックウッドのEdmund Opticsから入手可能)をレンズの前に設置した。これは人の肉眼で見たものに近似している。図6は、下部のマークがポリウレタンフィルムを通して見ることができないことを示すスクリーンキャプチャーイメージである。図7は、一旦IR遮断フィルターをレンズから外し、夜景機能を用いたカメラが、塗装下部の全てのバーコードが明確に区別することができたことを示すスクリーンキャプチャーイメージである。バーコードは、RVSI model HT−150 hand held image reader(マサチューセッツ州,カントンのRVSI社から入手可能)のシステムを有する5.5インチモニターを用いることによって、読み取り及び解読を行うことができた。
【実施例6】
【0044】
0.75重量%のIR Transparent Pigment(ペンシルベニア州,ワシントンのFerro Corporationから入手)を、99.25重量%のポリスチレン樹脂中に混合した。着色されたポリスチレンを、Battenfeld Plus 250 Injection molder(オーストリアのBattenfeldから入手可能)を用いて、2インチ×2インチのテストチップを作るために射出成形した。該プラスチックチップによって黒色テキストが部分的にカバーされるように、該チップを黒色テキストが印刷された紙面の一部に設置した。チップの下に隠れたテキストは、いかなる照明条件下においても人の肉眼では見ることができなかった。しかしながら、実施例5に記載のG.E. Security cameraを用いることによって、該プラスチックチップを通じてテキストを見ることができた。
【実施例7】
【0045】
CerMark LMM−6000レーザーマーキング物質(Ferroから入手可能)と、Universal 35 Watt二酸化炭素レーザーマーキングシステムを使用し、Part No.2555の自動車エンジンベアリング(ミシガン州,サウスフィールドのFederal Mogulから入手可能)に、黒色マーキングをレーザーマークした。該ベアリングに、Data MATRIXTMの2Dバーコード、テキストの一行と数字とグラフィックロゴをマークした。その後、その部分に、実施例5のポリウレタンスプレー−カバーコーティングをBinksmodel M1G HVLPを用いて噴射した。2度コーティングを塗布し、空気乾燥した。乾燥フィルムの厚さはおよそ1.3から1.7ミルであった。レーザーマーキングは、塗布後のいかなる照明条件下においても人の肉眼では見ることができなかった。実施例5の監視システムカメラが、このパネルの観察に用いられた。夜景機能を用いたこのカメラは、塗装下部のマーキングを明確に区別することができた。
【0046】
図8は、レンズの前にIR遮断フィルター(ニュージャージー州,ブラックウッドのEdmund Opticsから入手可能)を設置したカメラを用いて撮影したベアリングのイメージキャプチャーである。これは人の肉眼で見たものと近似している。下部のマークは見ることができない。図9は、IRフィルターを設置しないカメラで撮影したベアリングのイメージキャプチャーである。カメラがIR波長を検出するため、テキストと数字は塗装を通してはっきりと見ることができる。
【実施例8】
【0047】
CerMark LMM−6000レーザーマーキング物質(Ferroから入手可能)と、Universal 35 Watt二酸化炭素レーザーマーキングシステムを使用して、Part No.PV−140の自動車PCVバルブ(ダンブリー,コネチカット州のFramから入手可能)に、黒色マーキングをレーザーマークした。バルブに数字とテキストの列の一部をマークした。その後、その部分に、実施例5のポリウレタンスプレー−カバーコーティングをBinks model M1G HVLPを用いて噴射した。2度コーティングを塗布し、空気乾燥した。乾燥フィルムの厚さはおよそ1.3から1.7ミルであった。マーキングは、いかなる照明条件下においても人の肉眼では見ることができなかった。監視システムカメラは、このパネルを観察に用いることができる。夜景機能を用いたこのカメラは、塗装下部のマーキングを明確に区別することができた。
【0048】
図10は、レンズの前にIR遮断フィルター(ニュージャージー州,ブラックウッド,Edmund Opticsから入手可能)を設置したカメラを用いて撮影したバルブのイメージキャプチャーである。これは人の肉眼で見たものと近似している。下部のマークは見ることができない。図11は、IRフィルターを設置しないカメラで撮影したバルブのイメージキャプチャーである。カメラがIR波長を検出するため、テキストと数字は塗装を通してはっきりと見ることが可能である。
【実施例9】
【0049】
黒色SHARPIEブランドの永久マーカーを用いて、4インチ×12インチのアルミニウム製テストパネル(オハイオ州クリーブランドのQ−Panel Lab Productsから入手可能)に、文字をマークした。その後、該パネルに実施例5のカバーコーティングをBinks model M1G HVLPを用いて噴射した。乾燥フィルム厚さ1.3から1.7ミルの塗装フィルムを提供するように、ポリウレタンコーティングをパネルへ塗布した。SHARPIEブランドの永久マーカーを用いて作られたマークは、いかなる照明条件下においても人の肉眼では見ることができないが、該マーキングは赤外線監視システムカメラ表示において容易に観測することができた。図12は、レンズの前にIR遮断フィルターを設置したカメラ(ニュージャージー州,ブラックウッド,Edmund Opticsから入手可能)を用いて撮影したテストパネルのイメージキャプチャーである。これは人の肉眼で見ることと近似している。下部のマークは見ることができない。図13は、IRフィルターを設置しないカメラで撮影したテストパネルのイメージキャプチャーである。カメラがIR波長を検出するため、手書きのテキストはカバーフィルムを通してはっきりと見ることができる。
【0050】
付加的な好適化あるいは変更は、当業者において容易に行うことができるであろう。このため、本発明はその広範な態様において、ここに示されている詳細な説明及び実施例に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物により定義されているような全般的な発明概念の精神あるいはその範囲から逸脱しない限りは、各種の変更を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明にかかる物品上に形成された不可視マークの第一実施例の断面の部分的な概略図である。
【図2】本発明にかかる物品上に形成された不可視マークの第二実施例の断面の部分的な概略図である。
【図3】本発明にかかる物品上に形成された不可視マークの第三実施例断面の部分的な概略図である。
【図4】青色の不透明塗装フィルムを被覆したオパシティーチャートの、電磁スペクトルの可視部分内で見た写真である。
【図5】図4のオパシティーチャートの、電磁スペクトルの近赤外線領域で見た写真である。
【図6】対照可能なマークとその上にフィルムを被覆したテストパネルの、IR遮断フィルターがレンズ前に設置された赤外線防犯カメラの状態で見たイメージキャプチャーである。
【図7】図6の試験パネルの、IR遮断フィルターを使用しないで赤外線防犯カメラで見たイメージキャプチャーである。
【図8】対照可能なマークとその上にフィルムを被覆した自動車ベアリングの、IR遮断フィルターがレンズ前に置かれている赤外線防犯カメラの状態で見たイメージキャプチャーである。
【図9】図8の自動車ベアリングの、IR遮断フィルターを使用しないで赤外線防犯カメラで見たイメージキャプチャーである。
【図10】対照可能なマークとフィルムをその上に被覆した自動車のPCVバルブの、IR遮断フィルターがレンズ前に置かれている赤外線防犯カメラの状態で見たイメージキャプチャーである。
【図11】図10の自動車のPCVバルブの、IR遮断フィルターを使用しないで赤外線防犯カメラで見たイメージキャプチャーである。
【図12】対照可能なマークとフィルムをその上に被覆したテストパネルの、IR遮断フィルターがレンズ前に置かれている赤外線防犯カメラの状態で見たイメージキャプチャーである。
【図13】図12のテストパネルの、IR遮断フィルターを使用しないで赤外線防犯カメラで見たイメージキャプチャーである。
【技術分野】
【0001】
本発明は不可視なマークを形成し検出する方法と、当該方法に従ってマークされた物品に関する。
【背景技術】
【0002】
偽造品はしばしば真正品と直接的に競合して製造、配布、販売される。例えば、自動車部品市場は、表面上真正品に見えるが、そうではない偽造部品で溢れている。偽造部品は、真正部品と同じ耐久性及び仕様により製造されないことが多く、それらは安全性や関連性能に影響し得る。いくつかの自動車の偽造部品は非常に厳密に真正部品に似せることができるので、消費者はその部品が真正であるか、真正でないかを確かめるのは、ほとんど不可能である。
【0003】
様々な真正及び/又は反偽造品の対処法は、偽造問題と戦おうと努力し考え出されてきた。例えば、印刷された機密保護ラベルは時々真正商品に付されている。残念なことに、偽造者は、印刷された機密保護ラベル(ホログラフィ像のような精巧又は複雑な反偽造方法を有する機密保護ラベルを含む)を簡単に複製している。印刷された機密保護ラベルについては、一般的に高温及び厳しい環境条件への暴露に耐えることができないという別の問題がある。
【0004】
非視覚マーキングもまた、偽造品から真正品を区別しようとしてきた。例えば、いくつかの製造業者は、真正の商品と文書に紫外線(UV)蛍光マーキングを塗布している。マーキングは一般的に、UV照射に暴露され、蛍光を発して偽造品から真正商品を区別しようとするパターン又はコードを形成するまで見ることができない。残念ながら、従来のUV蛍光マーキング及び電磁スペクトルの可視部以外を対照とし得る他のマーキングは、通常、容易に複製され得る有機顔料で形成されている。さらに、有機顔料は一般的に高温及び厳しい環境条件への暴露に絶えることができず、自動車部品の認証のようないくつかの応用用途においては現実的ではない。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、不可視マークを形成し、検出する方法と当該方法にてマークされた物品を提供する。本発明の方法によれば、マーキング原料はマークを作成する基板に塗布され、当該マークは電磁スペクトルの赤外線部の一つ又はそれ以上の領域において基板と対照することが可能である。該マークはフィルムで覆われ、該フィルムは結合コーティング又は非結合カバーシートであってもよく、該シートは電磁スペクトルの可視部においてフィルムが不透明に見えるような一つ又はそれ以上の無機顔料を含んでいるが、フィルムによってカバーされたマークの検出を容易にするために、電磁スペクトルの赤外線部の一つまたはそれ以上の範囲内で充分に透過可能である。本発明の方法は、自動車部品と航空機部品のような物品上、及び他の製造物品上に対照可能なマークの形成及び検出に用いることができる。
【0006】
本発明の他の実施例では、マークを形成したマーキング材料又はカバーフィルムで使用される無機顔料は、電磁スペクトルの可視部外の特殊なスペクトル曲線を生み出すような一つ又は複数の無機顔料を好適に含んでおり、コーティングが塗布された商品の特定の製造業者を明らかにする「指紋」としての機能を併せもっている。「指紋」を含む該無機顔料へのアクセスによって、特定の製造業者を厳密に限定することができる。このように特定物品の真正性は、真正物品表面のスペクトル曲線を、公知のスペクトル曲線又は真正商品の製造業者に割り当てた「指紋」と比較することによって、簡単に確かめることができる。「指紋」を形成するために使用される無機顔料は安定である、すなわち該顔料が高温や悪天候による暴露によって劣化しない。
【0007】
本発明における前述の特徴及びその他の特徴は、以下にさらに詳しく記載されており、特許請求の範囲において特に指摘されている。以下の記載では、本発明の特定の実施例について詳細に説明しているが、ここには本発明の原理を様々な方法のうちのごく一部が示されているに過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、人間の肉眼では発見できないが、赤外線映像装置を使用することによって容易に観測することができる物品上のマークを形成する方法を提供する。したがって、本発明の方法は、商品の美的外観に不利な影響を及ぼすことなく、製造の物品上に、赤外線検出可能マーク(例えば、バーコード、ロゴ、製品情報、認証コード、他のしるし)の作成を容易にする。
【0009】
図1は本発明にかかる物品の上に作成された不可視マークの第1実施例の断面の部分的な概略図であり、図1を参照すると、マーク10は基板20の上に形成される。該基板20は物品の表面であっても、または物品上に塗布されたベースコーティングか下塗りコーティングの表面であってもよい。基板20の組成はそれ自体重要ではないが、プラスチック、木材、金属、ガラス、セラミックのような耐久性のある基板材料が好ましい。
【0010】
マーク10は、塗装、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ローラー式、レーザーマーキング、粉末コーティング、スタンプ、及びペンを使ったマーキングを含むいかなる従来のマーキング方法を使用しても形成し得るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。ポリマー成型操作のように、基板に顔料を選択的に混合させて対照マークを形成することも可能である。マークの形成に用いられる材料の組成はそれ自体重要ではないが、マーク10が基板20と識別及び対照され得るように、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内の一つ又はそれ以上の波長(すなわち約0.75μmから約40μmの範囲内での波長を持つ照射)において、マーク10は、隣接する基板20に対して十分に異なるレベルで、照射40を反射もしくは吸収しなければならない。マーク10の形成に使用される材料が耐熱性及び耐化学薬品性を有するならば有利である。当該理由により、例えば塗料、エナメル、レーザーマーキング組成物、インク、転写フィルムのような無機顔料を含むマーキング材料であることが特に好ましい。
【0011】
カバーフィルム30は、マーク10を被覆するために塗布され、必要に応じて、基板20の隣接した部分を被覆する。カバーフィルム30は、基板に結合されていてもよいが、必ずしもその必要はない。カバーフィルム30は、電磁スペクトルの可視部分内(すなわち約0.40μmから約0.75μmの範囲内での波長を持つ照射)で不透明に見えるが、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内の一つ又はそれ以上の波長において十分に透過可能であり、これらの波長において、照射40がカバーフィルム30を通り抜けることができ、下部にあるマーク10と隣接した基板20に衝突することができるように、少なくとも一つ、より好ましくは複数の顔料の十分な量を含んでいる。マーク10か基板20かどちらか一方、あるいはマーク10と基板20の両方ともが、カバーフィルム30を介して照射40の検出可能部分を反射しなければならない。例えば赤外線映像装置で使用されるような波長であって、マーク10が基板20に対して識別又は対照とされ得るような特定の波長において、マーク10によって反射された照射“A”の量は、基板20によって反射された照射“B”の量よりも充分に多いか又は少なくなければならない。
【0012】
カバーフィルム30が電磁スペクトルの可視部分内で不透明に見えるが、電磁スペクトルの赤外線部分の一つ又はそれ以上が十分に透過可能であって、マークが識別可能なように、十分な量の無機顔料を含有している材料であれば、いかなる材料を使用してカバーフィルム30を形成してもよい。マークを被覆するために物品と結合させることができるカバーフィルム30の例としては、塗装フィルム、磁気エナメルコーティング、ガラスエナメルコーティング、インク及び押出成形又はラミネートプラスチックフィルムが含まれる。マークを被覆するために必ずしも物品に結合されている必要のない被覆フィルム30の例としては、ガラスパネル及びプラスチックフィルム(例えば収縮包装フィルム)が含まれる。このように、カバーフィルム30は、例えば、塗装、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ロール塗装、スプレー塗装、電気塗装、パウダー塗装、スタンプ、印紙、収縮塗装、ペンを使用したマーキングのような、従来のいかなる塗装又は被覆技術を用いて形成してもよい。カバーフィルム30を形成するために使われる材料は、下部にあるマークを検出するために用いる電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域の波長において、赤外線照射の透過を妨げるようないかなる成分をも含まないことが好適である。好適な検出波長は電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内であり、約0.75μmから約40μmの範囲内の波長を含む。理想としては、カバーフィルム30は検出波長では完全に透明であることが望ましい。
【0013】
図2は本発明にかかる物品上に形成された不可視マークの第2実施例の断面の部分的な概略図である。本発明の第2実施例は多くの点において第1実施例と類似しているため、図1で使用された引例番号は、図2における同一の構造を特定するために使用される。
【0014】
第2実施例において、マーク10は従来のマーキング方法を用いて基板20の上に形成される。第一の方法と同様に、基板20は物品の表面であっても、物品に塗布されるベース又は下塗りの表面であってもよい。対照マーク50もまた、マーク10に隣接した基板20上に形成される。対照マーク50は、マーク10の前でも後でもあるいはマーク10と同時に形成してもよい。マーク10及び対照マーク50は、いかなるマーキング方法で形成してもよく、塗装、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ロール塗装、レーザーマーキング、パウダー塗装、スタンプ及びペンを使用したマーキングが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。マーク10及び対照マーク50の形成に用いる材料の組成はそれ自体重要ではないが、マーク10が対照マーク50と識別され得るように、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内の一つ又はそれ以上の波長において、マーク10は、対照マーク50に対して十分に異なるレベルで、照射40を反射もしくは吸収しなければならない。マーク10及び対照マーク50の形成に用いる材料が耐熱性及び耐化学薬品性を有するならば有利である。当該理由により、例えば塗料、エナメル、レーザーマーキング組成物、インク、転写フィルムのような無機顔料を含むマーキング材料であることが特に好ましい。
【0015】
カバーフィルム30は、マーク10を、必要に応じて対照マーク50を被覆するために塗布される。カバーフィルム30は、電磁スペクトルの可視部分内で不透明に見えるが、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内の一つ又はそれ以上の波長において十分に透過可能であり、これらの波長において、照射40がカバーフィルム30を通り抜けることができ、下部にあるマーク10と対照マーク50に衝突することができるように、少なくとも一つ、より好ましくは複数の顔料の十分な量を含んでいる。マーク10と対照マーク50のいずれか、あるいはマーク10と対照マーク50の両方ともが、カバーフィルム30を介して照射40の検出可能部分を反射しなければならない。例えば赤外線映像装置で使用されるような波長であって、マーク10が対照マーク50に対して識別又は対照とされ得るような特定の波長において、マーク10によって反射された照射“A”の量は、対照マーク50によって反射された照射“C”の量よりも充分に多いか又は少なくなければならない。
【0016】
図3は本発明にかかる物品上に形成された偽造防止不可視マークの第3実施例の断面の部分的な概略図である。本発明の第3実施例は多くの点において第1実施例及び第2実施例と類似しているため、図1及び図2で使用された引用番号は、図3において同構造で同一に使用される。
【0017】
図3において、マーク10は従来のマーキング方法を使用して基板20の上に形成される。第1方法及び第2方法と同様に、基板20は物品の表面であってもよく、又は物品に塗布された下塗りの表面であってもよい。マスク60は、マーク10の一部、必要に応じて、マーク10に隣接する基板20の一部を被覆するように形成される。マーク10及びマスク60は、塗装、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ローラー式、レーザーマーキング、粉末コーティング、スタンプ、及びペンを使ったマーキングを含むいかなるマーキング方法を使用しても形成することが可能であるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。マーク10及びマスク60に用いる材料の組成はそれ自体重要ではないが、マーク10がマスク60と識別され得るように、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内の一つ又はそれ以上の波長において、マーク10は、マスク60に対して十分に異なるレベルで、照射40を反射もしくは吸収しなければならない。マーク10及びマスク60を形成した材料が耐熱性及び耐化学薬品性を有するならば有利である。当該理由により、例えば塗料、エナメル、レーザーマーキング組成物、インク、転写フィルムのような無機顔料を含むマーキング材料であることが特に好ましい。
【0018】
カバーフィルム30は、マーク10を、必要に応じて、マスク60をカバーするために塗布される。カバーフィルム30は、電磁スペクトルの可視部分内でカバーフィルム30が不透明に見えるが、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内の一つ又はそれ以上の波長において十分に透過可能であり、これらの波長において、照射40がカバーフィルム30を通り抜けることができ、下部にあるマーク10とマスク60に衝突することができるように、少なくとも一つ、より好ましくは複数の顔料の十分な量を含んでいる。マーク10とマスク60のいずれか、あるいはマーク10とマスク60の両方が、カバーフィルム30を介して照射40の検出可能部分を反射しなければならない。例えば赤外線映像装置で使用されるような波長であって、マーク10がマスク60に対して識別又は対照とされ得るような特定の波長において、マーク10によって反射された照射“A”の量は、マスク60によって反射された照射“D”の量よりも充分に多いか又は少なくなければならない。
【0019】
前述の実施例の組み合わせも使用可能であると認められる。例えば、図3に示されるようなマスク60は、図2に示されるようなマーク10及び/または対照マーク50の領域の上を選択的にカバーするために、塗布され、使用することができる。あるいは、もし特定波長による基板20から反射された照射“E”の量が、マーク10によって反射された照射“A”の量及び/又はマスク60によって反射された照射“D”の量と十分に異なるとすれば、図3に示すマーク10及び/またはマスク60は、基板20に対する対照とすることができる。さらに、本発明による物品上に不可視偽造防止マークを形成するために、マーキング、対照マーキング及び/又はマスキング材料は、コーティング層として塗布されるこれらの材料とは対照的に、物品自体に混ぜること(例えば、成形又は配合)が可能である。さらに、検出波長での赤外線照射を透過可能な中間層を、マークとカバーフィルムとの間に塗布、又は配置することができる。また、例えば装飾又は保護の目的のような必要に応じて、検出波長での赤外線照射を透過可能である外側又は上部の層を、カバーフィルムの上に塗布することができる。
【0020】
カバーフィルム30の形成に用いる無機顔料は、約0.02μmから約15μmまでの粒子サイズが好適である。約0.2μmから約15μmまでの粒子サイズは、電磁スペクトルの可視部分の散乱照射にとって最適であり、優れた不透明性と隠蔽性能を提供する。さらに約0.02μmから約0.3μmまでの粒子サイズは、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線領域内での照射の透過に最適である。カバーフィルム内の無機顔料の粒子サイズ選択は、特定の用途を考慮して決定されなければならず、より大きな隠蔽力と不透明度が必要な塗布の場合はより大きな粒子サイズの顔料を用い、より大きな赤外線透過が必要な塗布の場合はより小さな粒子サイズの顔料を用いる。
【0021】
カバーフィルム30内の無機顔料の含量は、それ自体重要ではない。しかしながら、その含量は、下部にあるマーク又は複数のマーク(すなわち、マーク、対照マーク及び/あるいはマスク)を隠蔽するために、電磁スペクトルの可視部分において充分に不透明であるカバーコートを作るのに充分な量でなければならないが、カバーフィルム30を通る電磁スペクトルの近赤外線部から中赤外線領域内の照射の透過が遮られてしまうほど多くてはならない。カバーフィルムの厚さは、赤外線照射の透過にも影響を与えることができ、厚いフィルムであればあるほど、薄いフィルムよりも吸収する赤外線照射の量が多くなる傾向にある。
【0022】
赤外線反射無機顔料は、カバーコートの下部のマークの形成への使用に特に適している。顔料は、鉄-クロム、鉄-クロム-マンガン、鉄-クロム-アルミニウム、ストロンチウム-マンガン、バリウム-マンガン、カルシウム-マンガン、イットリウム-マンガン、バナジウム-マンガン、ビスマス-マンガン、クロム-アルミニウム酸化物を含む一般に混合金属酸化物あるいは複合無機着色顔料と呼ばれるものを用いることができる。赤外線反射無機顔料の具体例は以下のものを含む:酸化マンガンバナジウム顔料(以下、Mn2V2O2、Swilerら、米国特許6,485,557に開示);化学式MXMnOYで表される希土酸化物顔料、Mはイットリウム及び/又は元素周期表のランタン系列から選択された元素、xは約0.01から約99までの数、yはx+1以上、x+2以下であり、電気的中性を維持する必要のある酸素原子の数(Swilerら、米国特許6,541,112に開示);酸化マンガンビスマス顔料(以下、Bi2Mn4O10、Sakoskeら、米国特許6,221,147に開示);化学式MXMnOYで表されるアルカリ土類マンガン酸化物顔料、Mはカルシウム、ストロンチウム、バリウム及び/又はマグネシウム、xは約0.01から約99までの数、yはx+1以上、x+2以下、電気的中性を維持するために必要な酸素原子の数(Sullivanら、米国特許6,416,868に開示);アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、クロム、コバルト、ガリウム、インジウム、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛をから選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化鉄を含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体、及び、アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、コバルト、ガリウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛をから選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化クロムを含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体(Sliwinskiら、米国特許6,174,360に開示)。これら全ては参照することにより、全てここに含まれる。加えて、カドミウム、アンチモン、セレン硫化物または酸硫化物を含んでいる無機顔料は、電磁スペクトルの可視部で好適な独特のスペクトル曲線を得ることもできる。
【0023】
前パラグラフにおいてIR反射として言及された顔料は、そもそも電磁スペクトルの赤外線領域内の太陽照射を吸収しない能力のために開発されてきた。これらの顔料の使用は、本来光学的に暗い方が望ましい物体になされ、大量の赤外線エネルギー照射を暴露した場合、より熱のない状態のままになる。加えて、これらの顔料は、物体やマークからのIR反射率に違いを与えることによって、同じに見える物体の区別に用いることができる。IR検出装置を用いると、物体や物体の一部、フィルム又は繊維に印刷されたこれらのIR反射顔料から得られたIR信号は、肉眼で見えない区別、真偽、表示情報を提供するために使用することができる。
【0024】
カーボンブラックもまた、赤外線反射基板上のマーキング材料として使用することができる。カーボンブラックは、赤外線照射を吸収し、赤外線反射材料を対照可能とする。
【0025】
既に述べたように、カバーフィルムは、下部にあるマーク又はマークを隠すのに充分な不透明性を示すために十分な含量の、少なくとも一つの無機顔料を含まなければならないが、マークがカバーフィルムを通じて識別され得るように一つ又はそれ以上の検出波長で赤外線照射を充分に透過しなければならない。出願人は様々な顔料がカバーコートの形成に用いることができることを見出した。下記表1に、カバーフィルムを形成し得る好適な無機顔料種と、これらの顔料種が特定の透過性をもつ電磁スペクトルの赤外線領域以内の代表的な波長範囲の典型的なリスト(全てを包括しているわけではない)を示す。
【0026】
【表1】
【0027】
C.I.顔料種においては、顔料中の個々の元素成分の相対量、及び各種ドーパント元素の存在又は欠如に依存して、様々な幅広い色が可能であることが認められる。これらの相対的な差異は、電磁スペクトルの可視領域内及び電磁スペクトルの赤外線領域内における個々の無機顔料の反射率曲線に変化をもたらす。したがって、無機顔料の選択又は無機顔料の組み合わせは、電磁スペクトルの可視部分内でのカバーコートの望ましい外観と、電磁スペクトルの赤外線領域内における検出波長での無機顔料の透過率とを考慮して行なわなければならない。
【0028】
また、可視部及び赤外線部を部分的に透過する無機顔料が、本発明にかかるカバーコートの形成に使用できることも認められる。電磁スペクトルの可視部での外観において、下部にあるマークを隠蔽するため、このような部分透過無機顔料は、電磁スペクトルの可視部内で充分に不透明である顔料を混合することができる。その組み合わせの例は、透過範囲が700から1100nmであるC.I.Pigment Blue 28と、透過範囲が760から2400nmであるC.I.Pigment Yellow 53である。
【0029】
赤外線検出器は、約0.75μmから約40μmまでの範囲内の一つ又はそれ以上の設定波長において、カバーフィルムを通った(マーク、対照マーク、基板及び/またはマスクの間においての)赤外線反射率レベルの違いの検出に用いることができる。0.830μmから0.940μmの間の検出波長が特に好適である。従来の電荷結合素子(CCD)は、本発明における赤外線検出器として使用することができる。このような装置の一般的なものとして、一つ又はそれ以上の赤外線放射エミッターが含まれる。過度な赤外線放射量は、グレアを引き起こし、カバーフィルムの下にあるマークの観測を難しくさせる。このため、ディフューザーが好適に使用される。
【0030】
赤外線検出器は、電磁スペクトルの可視部内で見ることのできないバーコード、ロゴ、及び他の認証マークを検出することに加え、偽造物品を検出するために一つ又はそれ以上の設定波長における相対強度の測定に用いることができる。その効果は、カバーコートが電磁スペクトルの可視部内での人による観察では暗く見えるが、赤外線検出器を使用して簡単に識別し得る高度反射マークを含んでいる場合に、特に役に立つ。好適な赤外線照射発生源は、自然光、発光ダイオード、白熱光、レーザー光及び/又は蛍光灯を含む。スペクトル曲線の測定は、分光光度計や、ドープされたシリコンチップ、光増倍チップ、光電池のような光−信号変換器を用いて行ってもよい。
【0031】
以下の実施例は、本発明を説明することのみを意図するものであって、特許請求の範囲を限定するように解釈すべきものではない。特に示されていなければ、実施例の全ての原材料は標準顔料等級粉末である。
【実施例1】
【0032】
34.5gの水酸化アルミニウム、35.2gの酸化コバルト、28.4gの酸化クロムを、ワーリングブレンダー中で入念に混合し、ムライトるつぼに加えて1300℃で4時間焼成した。得られた青色無機顔料を、ジルコニアビーズミルを用いて、平均粒子径(D50)が0.7μmになるように粉砕した。
【実施例2】
【0033】
実施例1から得られた無機顔料12.3gを、39.3gのアルキド樹脂メラミン塗装ベース(セタルセタミン84XXを51.02重量%、キシレンを28.52重量%、セタミンを20重量%、SC-100を0.46重量%)中に混合して、青色塗装組成物を形成した。該青色塗装組成物を、Byk−Gardner社から購入可能なLeneta2Aオパシティーチャート(opacity chart)に約5ミルの厚さで描き、空気乾燥した。電磁スペクトルの可視部内において、オパシティーチャートの上部は黒色に見え、オパシティーチャートの下部は白色に見えた。
【0034】
図4は、絞り優先自動露光を用いたオリンパスC−8080WZのデジタルカメラで撮った塗装テストチャートの写真である。図4には、オパシティーチャートに塗布された青色塗装被覆フィルムが電磁スペクトルの可視部内で不透明に見えることが示されている。下部の黒色及び白色の部分は、青色塗装フィルムを通して見ることができないか、若しくは差異が見られない。
【0035】
図5は、HOYA RM72赤外線フィルターを用いて、図4と同じカメラをで撮った同じ塗装テストチャートの写真である。図5には、オパシティーチャートの黒色部分が青色カバーフィルムの下のオパシティーチャートの白色部分と容易に対照することが可能であることが示されている。
【実施例3】
【0036】
下記表2に挙げられた13.5重量%の顔料の一つとともに、40.8重量%のイソフォロン、22.1重量%のKYNAR−500、23.6重量%のPARALOID B−44Sを混合することによって、21種のポリフッ化ビニリデンのマストーン塗装組成物を個別に形成した。充分に混合した塗料を、さらにサンプルを薄めることなく#60バーを用いたアルミニウム板に塗布し、30重量%の顔料を含んだ0.9ミルの乾燥フィルムを得るために空気乾燥した。表2に、0.940μmと0.830μmの間で測定された塗装フィルムの赤外線反射率の差異を示す。
【0037】
【表2】
【実施例4】
【0038】
空気乾燥−水性アクリルスプレーカバーコートは、表3に示される成分を混合することにより調製した。
【0039】
【表3】
【0040】
CerMark LMM−6000レーザーマーキング物質(Ferroから入手可能)と、Universal 35 Watt二酸化炭素レーザーマーキングシステムを使用し、4インチ×12インチの鉄製テストパネル(オハイオ州クリーブランドのQ−Panel Lab Productsから入手可能)に、黒色マーキングをレーザーマークした。3種のData MATRIXの2Dバーコード及び1種のUPCコードと同様に、テキストの3行を該パネル上にマークした。その後、該パネルに上記コーティングをBinks Model M1G HVLPスプレーガンにより噴射した。2度コーティングを塗布し、空気乾燥した。乾燥フィルムの厚さは約1.3ミルから1.7ミルだった。Sony Handycam Model DCR−TRV730のノーマルモードを用いてパネルを観察すると、黒色レーザーマーキングは、塗装後のいかなる照明条件下においても人の肉眼では見ることができなかった。Sony Handycamの夜景モードに設定し、電磁スペクトルの近赤外線から中赤外線部内のイメージをカメラ内のCCDにとらえることができるようにした。夜景モードのカメラを使用すると、塗装フィルムの下に隠れている全ての黒色マーキングが、スペクトルの赤外線部分内で容易に観測することができた。全てのテキストは簡単に読むことができ、バーコードは適切なソフトウェアによって十分に対象可能なものとなり、解読することができた。
【実施例5】
【0041】
ポリウレタンスプレーカバーコートは、下記表4に示される成分を混合することによって調製された。
【0042】
【表4】
【0043】
CerMark LMM−6000レーザーマーキング物質(Ferroから入手可能)と、Universal 35 Watt二酸化炭素レーザーマーキングシステムを使用し、4インチ×12インチのアルミニウム製テストパネル(オハイオ州クリーブランドのQ−Panel Lab Productsから入手可能)に、黒色マーキングをレーザーマークした。等間隔においた11種のData MATRIXTMの2Dバーコードを、パネルの中央にマークした。その後、該パネルに上記コーティングをBinks model M1G HVLPを用いて噴射し、2度コーティングを塗布した。末端の0ミルから他方の1.3から1.7ミルへと厚さが徐々に厚くなった塗装フィルムを得るため、ポリウレタンコーティングを、パネルの長さに渡って塗布した。合計2度のコーティングで、塗布、空気乾燥した。ポリウレタンフィルムで被覆された黒色レーザーマーキングは、塗装後のいかなる照明条件下においても人の肉眼では見ることができなかった。G.E. Wired Security Surveillance SystemのGESECCTVCB60モデルのカメラ(サーキットシティーストアから入手可能)を、パネルの観察に用いた。IR遮断フィルター(ニュージャージー州,ブラックウッドのEdmund Opticsから入手可能)をレンズの前に設置した。これは人の肉眼で見たものに近似している。図6は、下部のマークがポリウレタンフィルムを通して見ることができないことを示すスクリーンキャプチャーイメージである。図7は、一旦IR遮断フィルターをレンズから外し、夜景機能を用いたカメラが、塗装下部の全てのバーコードが明確に区別することができたことを示すスクリーンキャプチャーイメージである。バーコードは、RVSI model HT−150 hand held image reader(マサチューセッツ州,カントンのRVSI社から入手可能)のシステムを有する5.5インチモニターを用いることによって、読み取り及び解読を行うことができた。
【実施例6】
【0044】
0.75重量%のIR Transparent Pigment(ペンシルベニア州,ワシントンのFerro Corporationから入手)を、99.25重量%のポリスチレン樹脂中に混合した。着色されたポリスチレンを、Battenfeld Plus 250 Injection molder(オーストリアのBattenfeldから入手可能)を用いて、2インチ×2インチのテストチップを作るために射出成形した。該プラスチックチップによって黒色テキストが部分的にカバーされるように、該チップを黒色テキストが印刷された紙面の一部に設置した。チップの下に隠れたテキストは、いかなる照明条件下においても人の肉眼では見ることができなかった。しかしながら、実施例5に記載のG.E. Security cameraを用いることによって、該プラスチックチップを通じてテキストを見ることができた。
【実施例7】
【0045】
CerMark LMM−6000レーザーマーキング物質(Ferroから入手可能)と、Universal 35 Watt二酸化炭素レーザーマーキングシステムを使用し、Part No.2555の自動車エンジンベアリング(ミシガン州,サウスフィールドのFederal Mogulから入手可能)に、黒色マーキングをレーザーマークした。該ベアリングに、Data MATRIXTMの2Dバーコード、テキストの一行と数字とグラフィックロゴをマークした。その後、その部分に、実施例5のポリウレタンスプレー−カバーコーティングをBinksmodel M1G HVLPを用いて噴射した。2度コーティングを塗布し、空気乾燥した。乾燥フィルムの厚さはおよそ1.3から1.7ミルであった。レーザーマーキングは、塗布後のいかなる照明条件下においても人の肉眼では見ることができなかった。実施例5の監視システムカメラが、このパネルの観察に用いられた。夜景機能を用いたこのカメラは、塗装下部のマーキングを明確に区別することができた。
【0046】
図8は、レンズの前にIR遮断フィルター(ニュージャージー州,ブラックウッドのEdmund Opticsから入手可能)を設置したカメラを用いて撮影したベアリングのイメージキャプチャーである。これは人の肉眼で見たものと近似している。下部のマークは見ることができない。図9は、IRフィルターを設置しないカメラで撮影したベアリングのイメージキャプチャーである。カメラがIR波長を検出するため、テキストと数字は塗装を通してはっきりと見ることができる。
【実施例8】
【0047】
CerMark LMM−6000レーザーマーキング物質(Ferroから入手可能)と、Universal 35 Watt二酸化炭素レーザーマーキングシステムを使用して、Part No.PV−140の自動車PCVバルブ(ダンブリー,コネチカット州のFramから入手可能)に、黒色マーキングをレーザーマークした。バルブに数字とテキストの列の一部をマークした。その後、その部分に、実施例5のポリウレタンスプレー−カバーコーティングをBinks model M1G HVLPを用いて噴射した。2度コーティングを塗布し、空気乾燥した。乾燥フィルムの厚さはおよそ1.3から1.7ミルであった。マーキングは、いかなる照明条件下においても人の肉眼では見ることができなかった。監視システムカメラは、このパネルを観察に用いることができる。夜景機能を用いたこのカメラは、塗装下部のマーキングを明確に区別することができた。
【0048】
図10は、レンズの前にIR遮断フィルター(ニュージャージー州,ブラックウッド,Edmund Opticsから入手可能)を設置したカメラを用いて撮影したバルブのイメージキャプチャーである。これは人の肉眼で見たものと近似している。下部のマークは見ることができない。図11は、IRフィルターを設置しないカメラで撮影したバルブのイメージキャプチャーである。カメラがIR波長を検出するため、テキストと数字は塗装を通してはっきりと見ることが可能である。
【実施例9】
【0049】
黒色SHARPIEブランドの永久マーカーを用いて、4インチ×12インチのアルミニウム製テストパネル(オハイオ州クリーブランドのQ−Panel Lab Productsから入手可能)に、文字をマークした。その後、該パネルに実施例5のカバーコーティングをBinks model M1G HVLPを用いて噴射した。乾燥フィルム厚さ1.3から1.7ミルの塗装フィルムを提供するように、ポリウレタンコーティングをパネルへ塗布した。SHARPIEブランドの永久マーカーを用いて作られたマークは、いかなる照明条件下においても人の肉眼では見ることができないが、該マーキングは赤外線監視システムカメラ表示において容易に観測することができた。図12は、レンズの前にIR遮断フィルターを設置したカメラ(ニュージャージー州,ブラックウッド,Edmund Opticsから入手可能)を用いて撮影したテストパネルのイメージキャプチャーである。これは人の肉眼で見ることと近似している。下部のマークは見ることができない。図13は、IRフィルターを設置しないカメラで撮影したテストパネルのイメージキャプチャーである。カメラがIR波長を検出するため、手書きのテキストはカバーフィルムを通してはっきりと見ることができる。
【0050】
付加的な好適化あるいは変更は、当業者において容易に行うことができるであろう。このため、本発明はその広範な態様において、ここに示されている詳細な説明及び実施例に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物により定義されているような全般的な発明概念の精神あるいはその範囲から逸脱しない限りは、各種の変更を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明にかかる物品上に形成された不可視マークの第一実施例の断面の部分的な概略図である。
【図2】本発明にかかる物品上に形成された不可視マークの第二実施例の断面の部分的な概略図である。
【図3】本発明にかかる物品上に形成された不可視マークの第三実施例断面の部分的な概略図である。
【図4】青色の不透明塗装フィルムを被覆したオパシティーチャートの、電磁スペクトルの可視部分内で見た写真である。
【図5】図4のオパシティーチャートの、電磁スペクトルの近赤外線領域で見た写真である。
【図6】対照可能なマークとその上にフィルムを被覆したテストパネルの、IR遮断フィルターがレンズ前に設置された赤外線防犯カメラの状態で見たイメージキャプチャーである。
【図7】図6の試験パネルの、IR遮断フィルターを使用しないで赤外線防犯カメラで見たイメージキャプチャーである。
【図8】対照可能なマークとその上にフィルムを被覆した自動車ベアリングの、IR遮断フィルターがレンズ前に置かれている赤外線防犯カメラの状態で見たイメージキャプチャーである。
【図9】図8の自動車ベアリングの、IR遮断フィルターを使用しないで赤外線防犯カメラで見たイメージキャプチャーである。
【図10】対照可能なマークとフィルムをその上に被覆した自動車のPCVバルブの、IR遮断フィルターがレンズ前に置かれている赤外線防犯カメラの状態で見たイメージキャプチャーである。
【図11】図10の自動車のPCVバルブの、IR遮断フィルターを使用しないで赤外線防犯カメラで見たイメージキャプチャーである。
【図12】対照可能なマークとフィルムをその上に被覆したテストパネルの、IR遮断フィルターがレンズ前に置かれている赤外線防犯カメラの状態で見たイメージキャプチャーである。
【図13】図12のテストパネルの、IR遮断フィルターを使用しないで赤外線防犯カメラで見たイメージキャプチャーである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にマークを作成及び検出する方法であって、
予め設定された約0.75μm〜約40μmの波長において該マークが基板に対して識別可能なように、該マークに隣接する基板に対して十分に異なるレベルで該設定波長の光を反射又は吸収するマークを形成するために、基板上にマーキング材料を塗布し、
該設定波長においてカバーコートを通じて該マークが基板に対して識別可能なように、電磁スペクトルの可視部において実質的に不透明であるが、該設定波長の光は十分に透過可能なカバーコートを形成するために、該マーク及び該マークに隣接する基板の少なくとも一部の上に無機顔料を含むカバーコート材料を塗布し、
該基板上に塗布された該マークを、赤外線検出装置を用いて検出することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、該基板が陸上の乗り物若しくは飛行機の装置の一部の表面であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、該基板が物品の表面に塗布される下塗りコート層であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、該マーキング材料が赤外線反射無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、該赤外線反射無機顔料が、以下の化合物からなるグループから選択される一つもしくはそれ以上であることを特徴とする方法。
Mn2V2O7;
M1XMnOY(M1はカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、イットリウム及び/若しくは元素周期表のランタン系列から選択される元素であり、xは約0.01から約99までの数、yはX+1以上X+2以下で電気的中性の状態に保つために必要な酸素原子の数)
Bi2Mn4O10;及び
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、クロム、コバルト、ガリウム、インジウム、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープした酸化鉄ホスト成分を含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体、及び、
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、コバルト、ガリウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープした酸化クロムホスト成分を含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料の平均粒子径が約0.02μmから15μmであることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料の平均粒子径が約0.1μmから0.5μmであることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、該基板が、金属、ガラス、木、紙、プラスチック、セラミックからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、該マーキング材料が、塗料、エナメル、レーザーマーキング組成物、ガラス、インク、パテ、フィラー、化学腐食液、転写フィルムからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、該カバーコーティング材料が、塗料、ガラス、エナメル、インク、転写フィルムからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、該マークが、機械読み取りコードの形式であることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料が、該無機顔料が独自に特定できるスペクトル曲線を提供するように一つの若しくはそれ以上の元素をドープされていることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、該カバーコーティング材料が、ともに独自に特定できるスペクトル曲線を提供する二つの若しくはそれ以上の異なる無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
基板上に耐久性のある赤外線検出マークを形成する方法であって、
マークを形成するために基板上にマーキング材料を塗布し、
予め設定された約0.75μm〜約40μmの波長において、該マークが該マークに隣接する対照マークに対して識別可能なように、該マークが該対照マークに対して十分に異なるレベルで該設定波長の光を反射又は吸収するように、該対照マークを形成するために基板上へ対照マーキング材料を塗布し、
該設定波長においてカバーコートを通じて該マークが該対照マークに対して識別可能なように、電磁スペクトルの可視部において実質的に不透明であるが、該設定波長の光は十分に透過可能なカバーコートを形成するために、該マーク及び該対照マークの上に無機顔料を含むカバーコート材料を塗布することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、該基板が物品の表面であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、該基板が物品の表面に適用されるベースコート層であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法において、該マーキング材料が赤外線反射無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、該赤外線反射無機顔料が、以下の化合物からなるグループから選択される一つもしくはそれ以上であることを特徴とする方法。
Mn2V2O7;
M1XMnOY(M1はカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、イットリウム及び/若しくは元素周期表のランタン系列から選択される元素であり、xは約0.01から約99までの数、yはX+1以上X+2以下で電気的中性の状態に保つために必要な酸素原子の数)
Bi2Mn4O10;及び
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、クロム、コバルト、ガリウム、インジウム、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化鉄を含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体、及び、
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、コバルト、ガリウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化クロムを含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体。
【請求項19】
請求項14に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料の平均粒子径が約0.02μmから15μmであることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料の平均粒子径が約0.1μmから0.5μmであることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項14に記載の方法において、該基板が、金属、ガラス、木、プラスチック、セラミックからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項14に記載の方法において、該マーキング材料が、塗料、エナメル、レーザーマーキング組成物、ガラス、インク、転写フィルムからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項14に記載の方法において、該カバーコーティング材料が、塗料、ガラス、エナメル、インク、転写フィルムからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項14に記載の方法において、該マークが、バーコードの形式であることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項14に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料が、該無機顔料が独自に特定できるスペクトル曲線を提供するように一つの若しくはそれ以上の元素をドープされていることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法において、該カバーコーティング材料が、ともに独自に特定できるスペクトル曲線を提供するように二つの若しくはそれ以上の異なる無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項14に記載の方法において、該対照マーキング材料が赤外線反射無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、該赤外線反射無機顔料が、以下の化合物からなるグループから選択される一つ若しくはそれ以上であることを特徴とする方法。
Mn2V2O7;
M1XMnOYは、M1がカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、イットリウム及び/若しくは元素周期表のランタン系列から選択される元素であり、xは約0.01から約99までの数であり、yはX+1以上X+2以下で電気的中性の状態に保つために必要な酸素原子の数を表す。
Bi2Mn4O10;及び
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、クロム、コバルト、ガリウム、インジウム、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化鉄を含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体、及び、
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、コバルト、ガリウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化クロムを含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体。
【請求項29】
基板上に耐久性のある赤外線検出マークを形成する方法であって、
マークを形成するために基板上にマーキング材料を塗布し、
予め設定された約0.75μm〜約40μmの波長において、該マークがマスクに対して識別可能なように、該マークが該マスクに対して十分に異なるレベルで該設定波長の光を反射又は吸収するように、マスクを形成するために、少なくとも該マークの一部分の上及び任意で基板の一部分の上へマスキング材料を塗布し、
該設定波長においてカバーコートを通じて該マークが該マスクに対して識別可能なように、電磁スペクトルの可視部において実質的に不透明であるが、該設定波長の光は十分に透過可能なカバーコートを形成するために、該マーク及び該マスクの上に無機顔料を含むカバーコート材料を塗布することを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、該基板が物品の表面であることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法において、該基板が物品の表面に適用されるベースコート層であることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項29に記載の方法において、該マーキング材料が赤外線反射無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
該赤外線反射無機顔料が、以下の化合物からなるグループから選択される一つ若しくはそれ以上であることを特徴とする方法。
Mn2V2O7;
M1XMnOY(M1はカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、イットリウム及び/若しくは元素周期表のランタン系列から選択される元素であり、xは約0.01から約99までの数、yはX+1以上X+2以下で電気的中性の状態に保つために必要な酸素原子の数を表す)
Bi2Mn4O10;及び
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、クロム、コバルト、ガリウム、インジウム、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化鉄を含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体、及び、
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、コバルト、ガリウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化クロムを含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体。
【請求項34】
請求項29に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料の平均粒子径が約0.02μmから15μmであることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項29に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料の平均粒子径が約0.1μmから0.5μmであることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項29に記載の方法において、該基板が、金属、ガラス、木、紙、プラスチック、セラミックからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項29に記載の方法において、該マーキング材料が、塗料、エナメル、レーザーマーキング組成物、ガラス、インク、転写フィルムからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項29に記載の方法において、該カバーコーティング材料が、塗料、ガラス、エナメル、インク、転写フィルムからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項29に記載の方法において、該マークが、バーコードの形式であることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項29に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料が、該無機顔料が独自に特定できるスペクトル曲線を提供するように一つの若しくはそれ以上の元素をドープされていることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項29に記載の方法において、該カバーコーティング材料が、ともに独自に特定できるスペクトル曲線を提供する二つの若しくはそれ以上の異なる無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項29に記載の方法において、該対照マーキング材料が赤外線反射無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法において、該赤外線反射無機顔料が、以下の化合物からなるグループから選択される一つ若しくはそれ以上であることを特徴とする方法。
Mn2V2O7;
M1XMnOY(M1はカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、イットリウム及び/若しくは元素周期表のランタン系列から選択される元素であり、xは約0.01から約99までの数、yはX+1以上X+2以下で電気的中性の状態に保つために必要な酸素原子の数)
Bi2Mn4O10;及び
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、クロム、コバルト、ガリウム、インジウム、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化鉄を含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体、及び、
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、コバルト、ガリウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化クロムを含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体。
【請求項44】
予め設定された約0.75μm〜約40μmの波長において、カバーコートを通じてマークが基板に対して識別可能なように、カバーコーティング層が電磁スペクトルの可視部において実質的に不透明であるが、該設定波長の光は透過可能であって、該マーキング層が基板に対して十分に異なるレベルで該設定波長の光を反射又は吸収するように、該基板と無機顔料を含むカバーコーティング層との間に配置されたマーキング層を含むことを特徴とする多層コーティング。
【請求項45】
不可視認証マークを用いてマークされた物品であって、
予め設定された約0.75μm〜約40μmの波長において、カバーコートを通じてマークがマーキング層に隣接するカバーコートの下部にある領域に対して識別可能なように、カバーコーティング層が電磁スペクトルの可視部において実質的に不透明であるが、該設定波長の光は透過可能であって、該マーキング層が該マーキング層に隣接するカバーコートの下部にある領域に対して十分に異なるレベルで該設定波長の光を反射又は吸収するように、物品の表面と無機顔料を含むカバーコーティング層との間に配置されたマーキング層を含むことを特徴とする物品。
【請求項1】
基板上にマークを作成及び検出する方法であって、
予め設定された約0.75μm〜約40μmの波長において該マークが基板に対して識別可能なように、該マークに隣接する基板に対して十分に異なるレベルで該設定波長の光を反射又は吸収するマークを形成するために、基板上にマーキング材料を塗布し、
該設定波長においてカバーコートを通じて該マークが基板に対して識別可能なように、電磁スペクトルの可視部において実質的に不透明であるが、該設定波長の光は十分に透過可能なカバーコートを形成するために、該マーク及び該マークに隣接する基板の少なくとも一部の上に無機顔料を含むカバーコート材料を塗布し、
該基板上に塗布された該マークを、赤外線検出装置を用いて検出することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、該基板が陸上の乗り物若しくは飛行機の装置の一部の表面であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、該基板が物品の表面に塗布される下塗りコート層であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、該マーキング材料が赤外線反射無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、該赤外線反射無機顔料が、以下の化合物からなるグループから選択される一つもしくはそれ以上であることを特徴とする方法。
Mn2V2O7;
M1XMnOY(M1はカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、イットリウム及び/若しくは元素周期表のランタン系列から選択される元素であり、xは約0.01から約99までの数、yはX+1以上X+2以下で電気的中性の状態に保つために必要な酸素原子の数)
Bi2Mn4O10;及び
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、クロム、コバルト、ガリウム、インジウム、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープした酸化鉄ホスト成分を含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体、及び、
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、コバルト、ガリウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープした酸化クロムホスト成分を含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料の平均粒子径が約0.02μmから15μmであることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料の平均粒子径が約0.1μmから0.5μmであることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、該基板が、金属、ガラス、木、紙、プラスチック、セラミックからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、該マーキング材料が、塗料、エナメル、レーザーマーキング組成物、ガラス、インク、パテ、フィラー、化学腐食液、転写フィルムからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、該カバーコーティング材料が、塗料、ガラス、エナメル、インク、転写フィルムからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、該マークが、機械読み取りコードの形式であることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料が、該無機顔料が独自に特定できるスペクトル曲線を提供するように一つの若しくはそれ以上の元素をドープされていることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、該カバーコーティング材料が、ともに独自に特定できるスペクトル曲線を提供する二つの若しくはそれ以上の異なる無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
基板上に耐久性のある赤外線検出マークを形成する方法であって、
マークを形成するために基板上にマーキング材料を塗布し、
予め設定された約0.75μm〜約40μmの波長において、該マークが該マークに隣接する対照マークに対して識別可能なように、該マークが該対照マークに対して十分に異なるレベルで該設定波長の光を反射又は吸収するように、該対照マークを形成するために基板上へ対照マーキング材料を塗布し、
該設定波長においてカバーコートを通じて該マークが該対照マークに対して識別可能なように、電磁スペクトルの可視部において実質的に不透明であるが、該設定波長の光は十分に透過可能なカバーコートを形成するために、該マーク及び該対照マークの上に無機顔料を含むカバーコート材料を塗布することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、該基板が物品の表面であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、該基板が物品の表面に適用されるベースコート層であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法において、該マーキング材料が赤外線反射無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、該赤外線反射無機顔料が、以下の化合物からなるグループから選択される一つもしくはそれ以上であることを特徴とする方法。
Mn2V2O7;
M1XMnOY(M1はカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、イットリウム及び/若しくは元素周期表のランタン系列から選択される元素であり、xは約0.01から約99までの数、yはX+1以上X+2以下で電気的中性の状態に保つために必要な酸素原子の数)
Bi2Mn4O10;及び
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、クロム、コバルト、ガリウム、インジウム、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化鉄を含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体、及び、
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、コバルト、ガリウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化クロムを含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体。
【請求項19】
請求項14に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料の平均粒子径が約0.02μmから15μmであることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料の平均粒子径が約0.1μmから0.5μmであることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項14に記載の方法において、該基板が、金属、ガラス、木、プラスチック、セラミックからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項14に記載の方法において、該マーキング材料が、塗料、エナメル、レーザーマーキング組成物、ガラス、インク、転写フィルムからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項14に記載の方法において、該カバーコーティング材料が、塗料、ガラス、エナメル、インク、転写フィルムからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項14に記載の方法において、該マークが、バーコードの形式であることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項14に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料が、該無機顔料が独自に特定できるスペクトル曲線を提供するように一つの若しくはそれ以上の元素をドープされていることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法において、該カバーコーティング材料が、ともに独自に特定できるスペクトル曲線を提供するように二つの若しくはそれ以上の異なる無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項14に記載の方法において、該対照マーキング材料が赤外線反射無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、該赤外線反射無機顔料が、以下の化合物からなるグループから選択される一つ若しくはそれ以上であることを特徴とする方法。
Mn2V2O7;
M1XMnOYは、M1がカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、イットリウム及び/若しくは元素周期表のランタン系列から選択される元素であり、xは約0.01から約99までの数であり、yはX+1以上X+2以下で電気的中性の状態に保つために必要な酸素原子の数を表す。
Bi2Mn4O10;及び
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、クロム、コバルト、ガリウム、インジウム、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化鉄を含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体、及び、
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、コバルト、ガリウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化クロムを含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体。
【請求項29】
基板上に耐久性のある赤外線検出マークを形成する方法であって、
マークを形成するために基板上にマーキング材料を塗布し、
予め設定された約0.75μm〜約40μmの波長において、該マークがマスクに対して識別可能なように、該マークが該マスクに対して十分に異なるレベルで該設定波長の光を反射又は吸収するように、マスクを形成するために、少なくとも該マークの一部分の上及び任意で基板の一部分の上へマスキング材料を塗布し、
該設定波長においてカバーコートを通じて該マークが該マスクに対して識別可能なように、電磁スペクトルの可視部において実質的に不透明であるが、該設定波長の光は十分に透過可能なカバーコートを形成するために、該マーク及び該マスクの上に無機顔料を含むカバーコート材料を塗布することを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、該基板が物品の表面であることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法において、該基板が物品の表面に適用されるベースコート層であることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項29に記載の方法において、該マーキング材料が赤外線反射無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
該赤外線反射無機顔料が、以下の化合物からなるグループから選択される一つ若しくはそれ以上であることを特徴とする方法。
Mn2V2O7;
M1XMnOY(M1はカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、イットリウム及び/若しくは元素周期表のランタン系列から選択される元素であり、xは約0.01から約99までの数、yはX+1以上X+2以下で電気的中性の状態に保つために必要な酸素原子の数を表す)
Bi2Mn4O10;及び
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、クロム、コバルト、ガリウム、インジウム、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化鉄を含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体、及び、
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、コバルト、ガリウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化クロムを含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体。
【請求項34】
請求項29に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料の平均粒子径が約0.02μmから15μmであることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項29に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料の平均粒子径が約0.1μmから0.5μmであることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項29に記載の方法において、該基板が、金属、ガラス、木、紙、プラスチック、セラミックからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項29に記載の方法において、該マーキング材料が、塗料、エナメル、レーザーマーキング組成物、ガラス、インク、転写フィルムからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項29に記載の方法において、該カバーコーティング材料が、塗料、ガラス、エナメル、インク、転写フィルムからなるグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項29に記載の方法において、該マークが、バーコードの形式であることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項29に記載の方法において、該カバーコーティング材料内の無機顔料が、該無機顔料が独自に特定できるスペクトル曲線を提供するように一つの若しくはそれ以上の元素をドープされていることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項29に記載の方法において、該カバーコーティング材料が、ともに独自に特定できるスペクトル曲線を提供する二つの若しくはそれ以上の異なる無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項29に記載の方法において、該対照マーキング材料が赤外線反射無機顔料を含むことを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法において、該赤外線反射無機顔料が、以下の化合物からなるグループから選択される一つ若しくはそれ以上であることを特徴とする方法。
Mn2V2O7;
M1XMnOY(M1はカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、イットリウム及び/若しくは元素周期表のランタン系列から選択される元素であり、xは約0.01から約99までの数、yはX+1以上X+2以下で電気的中性の状態に保つために必要な酸素原子の数)
Bi2Mn4O10;及び
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、クロム、コバルト、ガリウム、インジウム、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化鉄を含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体、及び、
アルミニウム、アンチモン、ビスマス、ボロン、コバルト、ガリウム、インジウム、鉄、ランタン、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、ケイ素、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛から選択されるゲスト元素をドープしたホスト成分の酸化クロムを含むコランダム-赤鉄鉱結晶構造を持つ固溶体。
【請求項44】
予め設定された約0.75μm〜約40μmの波長において、カバーコートを通じてマークが基板に対して識別可能なように、カバーコーティング層が電磁スペクトルの可視部において実質的に不透明であるが、該設定波長の光は透過可能であって、該マーキング層が基板に対して十分に異なるレベルで該設定波長の光を反射又は吸収するように、該基板と無機顔料を含むカバーコーティング層との間に配置されたマーキング層を含むことを特徴とする多層コーティング。
【請求項45】
不可視認証マークを用いてマークされた物品であって、
予め設定された約0.75μm〜約40μmの波長において、カバーコートを通じてマークがマーキング層に隣接するカバーコートの下部にある領域に対して識別可能なように、カバーコーティング層が電磁スペクトルの可視部において実質的に不透明であるが、該設定波長の光は透過可能であって、該マーキング層が該マーキング層に隣接するカバーコートの下部にある領域に対して十分に異なるレベルで該設定波長の光を反射又は吸収するように、物品の表面と無機顔料を含むカバーコーティング層との間に配置されたマーキング層を含むことを特徴とする物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−504116(P2008−504116A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518140(P2007−518140)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/021534
【国際公開番号】WO2006/009873
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(503468695)フエロ コーポレーション (26)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/021534
【国際公開番号】WO2006/009873
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(503468695)フエロ コーポレーション (26)
【Fターム(参考)】
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