説明

不可視情報印刷シート

【課題】不可視情報が視認されず、不可視情報印刷部分が通常取り扱い時の擦れでは発色しにくく、爪で擦ることでも不可視情報の可視化が容易に行え、不可視情報を可視化する際に削りカスの発生が無い、特に可視化する際に、鮮明な発色画像が得られ、さらに情報の不正な読み取りを抑制する処理を施した不可視情報印刷シートを提供する。
【解決手段】支持体の同一面上に、電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物及びワニスを含有するスクラッチ発色用インキ2種以上をそれぞれ用いて印刷される部分が設けられていることを特徴とする不可視情報印刷シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め印刷された不可視情報を外部からの摩擦により発色させることで可視化する不可視情報印刷シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、くじに用いられるシートとして、当落を示す文字、数字、その他の絵柄等の情報を紙などのシートに印刷し、さらに隠蔽層で覆うことで情報を不可視の状態とした不可視情報印刷シートが一般的に用いられている。具体的には、紙等のシートに可視情報等を印刷し、さらに不可視化すべき情報を印刷した後、不可視化すべき情報を覆うように剥離剤層を設け、その上に隠蔽性の銀色等のスクラッチインキを設けた状態であり、硬貨等によりスクラッチインキを削り取ることで不可視情報が現れるようにして用いられている。
しかし、上記のスクラッチインキを取り除く際に発生する削りカスがゴミとなってしまう欠点があり、使用される用途や場所が限定される。さらにスクラッチインキの色は暗色であり、暗い感じになりやすくデザイン上の問題となりやすい。
【0003】
上記の問題を解決するために、スクラッチインキを用いることなく不可視情報の発現が容易に行え、削りカスの発生が抑えられるとして、無色または淡色の電子供与性染料前駆体及びワニスを含有するスクラッチ発色用電子供与性染料前駆体インキベースと電子受容性化合物及びワニスを含有するスクラッチ発色用電子受容性化合物インキベースを別個に作製したものをドライヤーと混合して得たものであることを特徴とするスクラッチ発色用インキ及びそれらを用いた不可視情報印刷シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この文献記載の方法では発色前の不可視情報は全く視認されないものの、例えば先端が尖った針状の物体で意図的にスクラッチした場合、発色画像の存在がわずかでも認められるために不正に情報を読み取られる欠点があり、なお改良すべき点がある。
【特許文献1】特開2006−199887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不可視情報が視認されず、不可視情報印刷部分が通常取り扱い時の擦れでは発色しにくく、爪で擦ることでも不可視情報の可視化が容易に行え、不可視情報を可視化する際に削りカスの発生が無い、特に可視化する際に、鮮明な発色画像が得られ、さらに情報の不正な読み取りを抑制出来る不可視情報印刷シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 支持体の同一面上に、電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物及びワニスを含有するスクラッチ発色用インキ2種以上をそれぞれ用いて印刷される部分が設けられていることを特徴とする不可視情報印刷シート。
(2) 発色色相が異なる2種以上のスクラッチ発色用インキをそれぞれ用いて印刷される部分が設けてあり、かつ、少なくとも1種のスクラッチ発色用インキによる印刷部分が他のスクラッチ発色用インキによる印刷部分の下に印刷されていることを特徴とする(1)の不可視情報印刷シート。
(3) 少なくとも1種のスクラッチ発色用インキによる印刷部分の30%以上が他のスクラッチ発色用インキによる印刷部分の上に接して印刷されていることを特徴とする上記(2)記載の不可視情報印刷シート。
【発明の効果】
【0006】
本発明の不可視情報印刷シートは、不可視情報が、爪や硬貨などで擦ることで鮮明に可視化でき、通常取り扱い時に擦れによる発色汚れが発生しにくく、削りカスの発生がなく、さらに発色前の状態での不可視性も良好である。
また、本発明の不可視情報印刷シートは、不可視情報を可視化した後の多色画像の判読が容易である。すなわち、可読性がよい。
更に、例えば先端が尖った針状の物体で意図的にスクラッチした場合など、各種不正行為や誤操作などによる、不可視情報の推測や判読防止も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の不可視情報印刷シートを更に具体的に説明する。
【0008】
本発明に用いるスクラッチ発色用インキは、2種以上であり、それぞれ発色色相が異なる。いずれのスクラッチ発色用インキも、無色または淡色の電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物及びワニスを含有する。
電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物が実質的に未発色の状態であるためには、それぞれが固体粒子としてスクラッチ発色用インキ中に含有されることがより好ましい。
【0009】
本発明に用いるスクラッチ発色用インキ中の含有成分について説明する。本発明に用いるスクラッチ発色用インキに含有される無色または淡色の電子供与性染料前駆体としては、一般に感圧記録材料や感熱記録材料に用いられているものに代表されるが、特に限定されるものではない。
【0010】
具体的な電子供与性染料前駆体の例としては、
(1)トリアリールメタン系化合物またはインドリル基を持つ化合物:3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド等、
【0011】
(2)ジフェニルメタン系化合物:4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、
【0012】
(3)キサンテン系化合物:ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン等、
【0013】
(4)チアジン系化合物:ベンゾイルロイコメチレンブルー、4−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等、
【0014】
(5)スピロ系化合物その他の系統の化合物:3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン、2,6−ジフェニル−4−(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリジン、2,2−ビス(4−(2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリル)オキシフェニル)プロパン、4−クロロ−N−(4−(N−(4−メチルベンジル)−N−メチルアミノ)ベンジリデン)アニリン、1−(2−キノリル)−2−(3−メトキシ−4−ドデシルオキシフェニル)エテン等を挙げることができる。
本発明においては発色色相が異なる2種以上のスクラッチ発色用インキを用いる。それぞれのスクラッチ発色用インキにおいて、上記具体例に代表される電子供与性染料前駆体は必要に応じて単独、もしくは2種以上混合して用いることができる。スクラッチ発色用インキの変色防止性や発色感度から、キサンテン系化合物が好ましく、トリアリールメタン系化合物またはインドリル基を持つ化合物も発色色相が鮮やかなため、好ましい。
スクラッチ発色用インキが2種の場合、染料前駆体として、一方にキサンテン系化合物、他方にトリアリールメタン系化合物またはインドリル基を持つ化合物を用いるとより好ましい。
【0015】
本発明に用いるスクラッチ発色用インキに含有される電子受容性化合物としては、一般に感圧記録材料、または感熱記録材料に用いられる酸性物質に代表されるが、これらに制限されることはない。例えば、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体、N,N′−ジアリールチオ尿素誘導体、アリールスルホニル尿素誘導体、スルホンアミド誘導体、有機化合物の亜鉛塩などの多価金属塩、ベンゼンスルホンアミド誘導体等を挙げることができる。
【0016】
具体的な例を挙げれば、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンジルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、3,4−ジヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンゼンスルホニルオキシジフェニルスルホン、2,4−ジ(フェニルスルホニル)フェノール、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン等のジフェニルスルホン系化合物が挙げられる。
【0017】
その他の具体例としては、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシアセトフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,3−ビス〔2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、4,4′−ヒドロキシジフェニルエーテル、
【0018】
3,3′−ジクロロ−4,4′−ヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4′−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、
【0019】
N−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(2,4−ジヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシナフチル)ベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシナフチル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−1−ナフタレンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−2−ナフタレンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシナフチル)−1−ナフタレンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシナフチル)−2−ナフタレンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−p−クロロベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−p−メトキシベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−p−アリルベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−p−フェニルベンゼンスルホンアミド、4,4′−ビス(2−ヒドロキシフェニルアミノスルホニル)ジフェニルメタン、N−(2−ヒドロキシフェニル)−N−メチルベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−N−メチル−p−トルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−N−ベンジル−p−トルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−N−アリル−p−トルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−N−フェニルベンゼンスルホンアミド、
【0020】
4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、N,N′−ジフェニルチオ尿素、4,4′−ビス〔3−(4−メチルフェニルスルホニル)ウレイド〕ジフェニルメタン、N−(4−メチルフェニルスルホニル)−N′−フェニル尿素、サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、サリチル酸、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、4−〔2′−(4−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、3−(オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸あるいはこれらサリチル酸誘導体の金属塩、N−(4−ヒドロキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフタレンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ナフタレンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシナフチル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシナフチル)ベンゼンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシナフチル)−1−ナフタレンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシナフチル)−2−ナフタレンスルホンアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−1−ナフタレンスルホンアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−2−ナフタレンスルホンアミドなどが挙げられる。特にスクラッチ発色用インキの変色防止性や発色感度からはジフェニルスルホン系化合物が好ましい。
なお、スクラッチ発色用インキに含有される電子受容性化合物は一種でも二種以上の混合物でもよい。なお、本発明においては複数のスクラッチ発色用インキを用いるが、それぞれのスクラッチ発色用インキに用いる電子受容性化合物(二種以上の場合は、電子受容性化合物の混合物)が同一である方が、異なる場合より不可視性の点で好ましい。
【0021】
本発明に用いるスクラッチ発色用インキに含有されるワニスには、バインダー樹脂、及び、必要に応じて、油、溶剤等が含まれている。ワニスは複数のスクラッチ発色用インキに共通したものを用いることが発色濃度、不可視性の各点で好ましく、製造面からも有利である。但し、目的によっては、スクラッチ発色用インキ別に用いるワニスを相違させてもよい。
【0022】
ワニスに含有されるバインダー樹脂の具体例としては、例えば、ロジンなどの天然樹脂、硬化ロジン、ロジンエステルなどの天然樹脂誘導体、そしてアルキド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース誘導体、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ケトン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、オレフィン等の不飽和炭化水素を原料とした石油樹脂などの合成樹脂が挙げられる。
【0023】
ワニスに必要に応じて含有される油の具体例としては、例えば、アマニ油、菜種油、ヤシ油、オリーブ油、大豆油、桐油等の植物油、及びこれらを再生処理した植物油、スピンドル油、マシーン油、モビル油等の鉱物油が挙げられる。
なお、本発明においては、不揮発性有機液体を油、揮発性有機液体を溶剤と呼ぶ。
【0024】
ワニスに必要に応じて含有される溶剤の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール系溶剤等が挙げられる。
また、パラフィン、ナフテン系を主成分とした芳香族成分1質量%以下の石油系溶剤は不揮発性であるが、揮発性溶剤と同様に必要に応じて含有される。
【0025】
本発明に用いるスクラッチ発色用インキには、更に各種の補助剤を含有させてもよい。例えば、乾燥促進剤としてナフテン酸コバルト、オクチル酸マンガン等のドライヤー、一般的にアルミニウムキレートと呼ばれるキレート化剤、インキの粘度を調整する石油系溶剤やワニス等の調整剤、印刷後の滑りを調節するワックス、界面活性剤、有機や無機の微粒子類、感熱記録材料で公知の脂肪酸アミド類、脂肪族尿素化合物、エーテル化合物、エステル化合物、ビフェニル誘導体等の増感剤も発色濃度を上げるために含有させてもよい。
なお、以上の必要に応じて用いる成分は一種のスクラッチ発色用インキのみに用いても複数のスクラッチ発色用インキに共通して用いてもよい。
【0026】
本発明に用いるスクラッチ発色用インキは2種以上であるが、いずれについても、印刷部分の汚れ及び発色性から、電子供与性染料前駆体に対する電子受容性化合物の質量比(%)は、50〜2000質量%が好ましく、100〜1000質量%がより好ましく、更には150〜900質量%が特に好ましい。また、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物を所定の割合で同時にワニス(ビヒクル)に添加し、混練りすると電子供与性染料前駆体が発色してインキの着色を招く恐れがあるため、別々に混練りしてインキ化した後に、撹拌機等により所定の割合で十分に混ぜ合わせる方が、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物の接触等によるインキ着色を低減することができ、印刷部分の不可視化には好ましい。ワニス(ビヒクル)の種類やスクラッチ発色用インキ中のワニス含有量は印刷方法により異なるが、が、好ましくはスクラッチ発色用インキの10〜90質量%、より好ましくは60〜85質量%、更に好ましくは65〜85質量%の範囲で適宜選択される。
また、印刷適性の面からは、スクラッチ発色用インキ中の電子供与性染料前駆体含有量にも好ましい範囲がある。電子供与性染料前駆体を、スクラッチ発色用インキの10質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下、特に好ましくは5.0質量%以下とすることが好ましい。一方、発色性を保つためには、電子供与性染料前駆体を、スクラッチ発色用インキの0.1質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、特に好ましくは2.0質量%以上とすることが好ましい。
なお、スクラッチ発色用インキ製造時、個々の含有成分を別々に混練りした場合、それらをインキベースと呼ぶ。
混練りの方法としては、3本ロールによる練肉など、印刷用インキ製造において公知の方法を用いることが出来る。3本ロールは、インキベースを混ぜ合わせる撹拌機としても用いることが出来る。
【0027】
本発明に用いるスクラッチ発色用インキにおけるワニスの調製は、従来公知の方法で良く、例えばバインダー樹脂、及び、必要に応じて含有させる油等の含有成分を加熱溶解させた後、必要に応じて溶剤、アルミキレート剤等を含有させて得られる。
【0028】
本発明の不可視情報印刷シートでは、発色色相が異なる2種以上のスクラッチ発色用インキが用いられるが、電子供与性染料前駆体の選択により、発色色相が異なるスクラッチ発色用インキが得られる。また、電子供与性染料前駆体以外の電子受容性化合物、ワニスなどスクラッチ発色用インキを構成する成分は、同一でも異なっていてもよい。特に、電子供与性染料前駆体が鮮明な発色になるように電子受容性化合物を選択してもよい。但し、不可視性の点などから、電子受容性化合物、ワニスなどは各スクラッチ発色用インキに共通したものを用いることが好ましい。
【0029】
本発明の不可視情報印刷シートに用いる支持体は、紙が主として用いられるが、紙の他に各種織布、不織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、蒸着シート、あるいはこれらを貼り合わせ等で組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができる。
以上の中でも、汎用性やスクラッチ操作時における触感の面から紙を用いる場合が多い。紙としては上質紙、中質紙、あるいは塗工紙などが用いられる。板紙や厚紙も用途により適宜用いられる。
なお、紙を用いる場合、不可視情報の透かし読み防止のため、填料配合増、塗工紙の採用、坪量の多い紙の採用、あるいは段ボール紙の採用なども好ましい。
あるいは、汎用性を重視するなら、再生紙を用いてもよい。再生紙は、古紙ないし故紙とも称される。印刷済み印刷用紙から再生紙を得る場合には、古紙パルプを得る際、脱墨しておくのが白色度を高めるため好ましい。使用済みのコピー用紙や各種記録用紙を原料として再生紙を得る場合も同様である。
不正防止や電子情報付与のため、支持体中にICチップ埋込みや、支持体上にICタグ貼り付け、バーコード印刷など公知の技術を用いてもよい。
【0030】
次に、不可視情報印刷シートを得る方法の説明に移る。本発明の不可視情報印刷シートにおけるスクラッチ部及びその周辺には、地紋等を各種印刷用インキを用いて印刷することが可能であるが、スクラッチ発色用インキのそれぞれの発色色相や、支持体面の色相と異なった色相のインキを使用することもできる。支持体面の色相が白色で、スクラッチ発色用インキの発色色相が黒や青色であれば、黄色、橙等の明度の高い色相のインキが好ましい。
【0031】
本発明の不可視情報印刷シートは、支持体上に、本発明に用いる2種以上のそれぞれ発色色相が異なるスクラッチ発色用インキにより、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷等の各種印刷装置及び印刷方法を用いて作製されるが、印刷精度や印刷の作業性からは特にオフセット印刷により作製することが好ましい。オフセット印刷による場合は、通常のオフセット印刷用インキを用いる印刷条件と同様でよく、給湿液を用いる方法又は水無し平版を用いる方法のどちらでもよい。各々のスクラッチ発色用インキの印刷盛量は特に限定されない。
【0032】
本発明の不可視情報印刷シートにおける印刷部分は、2種以上のそれぞれ発色色相が異なるスクラッチ発色用インキが用いられるが、そのうちの1種以上のスクラッチ発色用インキによる印刷部分を不可視情報印刷部分(情報部分)とし、これ以外の1種以上の印刷部分を不可視ではあっても何らかの情報内容を含まなくてもよいスクラッチ発色用インキ印刷部分(非情報部分)とすることが望ましい。情報部分は、非情報部分内の下層部分に印刷することがより高度な不正防止のために好ましい。これは、例えば比較的弱い圧力での擦過では、非情報部分のみが発色し、情報部分が発色しないため、結果として情報部分は判読できず、通常の圧力で擦過した場合は情報部分と非情報部分が全て発色するため情報部分が判読できるようになるためである。
情報部分の印刷面積の30%以上が非情報部分の下にある場合、不正防止の効果をあげるため好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上であれば更に好ましい。情報部分の印刷面積の100%が非情報部分の下にあると不正防止の効果は顕著になる。
また、情報部分の印刷面積の30%以上が非情報部分の上にある場合も、不正防止の効果をあげるため好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上であれば更に好ましい。
一方、非情報部分の印刷面積の30%以上が情報部分の上にある場合、不正防止の効果をより少ない非情報部分の印刷面積であげるため好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上であれば更に好ましい。
また、非情報部分の印刷面積の30%以上が情報部分の下にある場合も、不正防止の効果をより少ない非情報部分の印刷面積であげるため好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上であれば更に好ましい。
ここで、印刷面積とは、用いたスクラッチ発色用インキにより覆われた面積である。網点印刷等の場合は、対応するベタ印刷に比べ、網点面積率に比例して印刷面積は小さくなる。印刷面積を厳密に求める方法としては、例えば、電子顕微鏡等による不可視情報印刷シート表面の拡大写真からの実測などが挙げられる。
この様に、情報部分と非情報部分とが上下で接している場合に不正防止の効果はより高くなる。
【0033】
このことを図面による例示を用いて更に説明する。図3に示される様に非情報部分と情報部分の絵柄を、重ね合わせた(合成した)ものに相当する印刷物が本発明の不可視情報印刷シートの理解しやすい例である。図1に示される情報部分に重ねて、図2に示した非情報部分の正方形を形成(印刷)してある。図1、図2は例示では可視化してあるが、図1に示す情報部分の「当」の字及び図2に示す正方形は不可視である。図3では図1の情報部分の領域全体に覆って非情報部分を形成しており、不正防止の面からは好ましいが、実用上は、情報部分の領域全体に覆って非情報部分を印刷する必要は特になく、情報部分の一部に接して非情報部分を印刷すれば良い。また、不可視情報印刷シートの一つの面に、情報部分、非情報部分のいずれもそれぞれ複数あってもよい。
【0034】
情報部分はベタまたは画素の集合体として表現される。画素は特に限定されず、集合体となったときに情報部分を形成していればよい。例えば、様々な地紋の模様、数字の1,2,3などを配列したものであったり、ことわざや商号などであったり、あるいは花柄の様な複雑な模様などが挙げられる。一例として情報部分の絵柄が単純な図形の連続である網点印刷による場合、網点の線数及び網点の形状は任意に選択できる。例えば網点の形状に関しては円、楕円、四角などを使用することができる。
【0035】
また、非情報部分の絵柄は特に限定されない。例えば、様々な地紋の模様、数字の1,2,3などを配列したものであったり、ことわざや商号などであったり、あるいは花柄の様な複雑な模様などが挙げられる。一例として非情報部分の絵柄が単純な図形の連続である網点印刷による場合、網点の線数及び網点の形状は任意に選択できる。例えば網点の形状に関しては円、楕円、四角などを使用することができる。ここで、非情報部分の絵柄の説明が情報部分と同様であるが、情報部分と非情報部分との区別は、その絵柄が不可視情報印刷シートの意図する意味を持つか否かである。
【0036】
本発明の不可視情報印刷シートにおける不可視情報の印刷方法は、情報部分及び非情報部分を異なる版上に描画し何回かに分けて印刷することもできる。何回かに分けて描画する場合でも、最終的に情報部分と非情報部分が形成されていれば良い。さらに、非情報部分内に情報部分を設けるように構成されていればより好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0038】
(作製例1)
作製例1は、ワニス、各インキベース、スクラッチ発色用インキの作製例である。
(ワニスの作製)
植物油としてアマニ油20質量部、ロジン変性フェノール樹脂(質量平均分子量60000、酸価20mgKOH/g)50質量部、スピンドル油20質量部を配合して約200℃で約1時間加熱して樹脂を溶解させた後、スピンドル油10質量部、アルミニウムキレート剤1質量部を添加して約180℃で約1時間加熱し、ワニスを得た。
(スクラッチ発色用電子供与性染料前駆体インキベースA1の調製)
上記ワニス50質量部、クリスタルバイオレットラクトン30質量部、スピンドル油5質量部を3本ロールミルで練肉し、上記ワニス10質量部、スピンドル油10質量部を添加することによってスクラッチ発色用電子供与性染料前駆体インキベース(A1)を調製した。
(スクラッチ発色用電子供与性染料前駆体インキベースA2の調製)
上記ワニス50質量部、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン30質量部、スピンドル油5質量部を3本ロールミルで練肉し、上記ワニス10質量部、スピンドル油10質量部を添加することによってスクラッチ発色用電子供与性染料前駆体インキベース(A2)を調製した。
(スクラッチ発色用電子受容性化合物インキベースBの調製)
上記ワニス50質量部、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン30質量部、スピンドル油5質量部を3本ロールミルで練肉し、上記ワニス10質量部、スピンドル油10質量部を添加することによってスクラッチ発色用電子受容性化合物インキベース(B)を調製した。
(スクラッチ発色用インキC1の調製)
上記インキベースのうち(A1)、(B)をそれぞれ1:2の質量比率で混合し、ドライヤーのナフテン酸マンガンを該インキベース合計の0.2質量%添加し、十分撹拌して均質化することによって、スクラッチ発色用インキ(C1)を得た。
(スクラッチ発色用インキC2の調製)
上記インキベースのうち(A2)、(B)をそれぞれ1:2の質量比率で混合し、ドライヤーのナフテン酸マンガンを該インキベース合計の0.2質量%添加し、十分撹拌して均質化することによって、スクラッチ発色用インキ(C2)を得た。
【0039】
(作製例2)
次の条件で不可視情報印刷シートを得る条件を定めた。
(印刷速度)
150m/min
(印刷に使用した用紙)
三菱IJフォーム用紙 157g/m2(三菱製紙株式会社製)
(給湿液)
5%IPA−0.2%SEVENSTAR(大日精化社製)の混合液
(使用刷版)
HPF 0.24mm(富士フイルム社製)
(印刷機)
MVF−18D(株式会社ミヤコシ製)
(印刷順序)
先にスクラッチ発色用インキC1を使用し、次いでスクラッチ発色用インキC2を使用して印刷した。
(インキ膜厚)
各々1.4μm
【0040】
(作製例3)
次の条件で不可視情報印刷シートを得る条件を定めた。
(印刷速度)
150m/min
(印刷に使用した用紙)
三菱IJフォーム用紙 157g/m2(三菱製紙株式会社製)
(給湿液)
5%IPA−0.2%SEVENSTAR(大日精化社製)の混合液
(使用刷版)
HPF 0.24mm(富士フイルム社製)
(印刷機)
MVF−18D(株式会社ミヤコシ製)
(印刷)
スクラッチ発色用インキC1を使用して印刷した。
(インキ膜厚)
1.4μm
【0041】
(実施例1)
作製例1記載のスクラッチ発色用インキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。
スクラッチ発色用インキC1の絵柄:「当」の文字、48ポイント
スクラッチ発色用インキC2の絵柄:20mm角のベタ
なお、スクラッチ発色用インキC1の絵柄はスクラッチ発色用インキC2の絵柄の中央部に配置した。この場合、スクラッチ発色用インキC1による印刷部分はすべて、すなわち、C1による印刷面積の100%が、スクラッチ発色用インキC2による印刷部分の下に接して印刷される。
また、この試験においては、C2による印刷面積の30%が、C1による印刷部分の上に接していた。
【0042】
(実施例2〜4)
作製例1記載のスクラッチ発色用インキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。
スクラッチ発色用インキC1の絵柄:「当」の文字、48ポイント
スクラッチ発色用インキC2の絵柄:20mm角のベタ
但し、C1による印刷部分の配置をC2による印刷部分とそれぞれにずらした。実施例2では、C1による印刷面積の70%が、C2による印刷部分の下に接して印刷される。また、実施例3では、C1による印刷面積の50%が、C2による印刷部分の下に接して印刷される。そして、実施例4では、C1による印刷面積の30%が、C2による印刷部分の下に接して印刷される。
【0043】
(比較例1)
作製例1記載のスクラッチ発色用インキの一方のみを作製例3の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。
スクラッチ発色用インキC1の絵柄:「当」の文字、48ポイント
【0044】
(印刷部分の可読性評価)
実施例1〜4及び比較例1で得られた不可視情報印刷シートは、両方とも発色前では不可視性に優れ、絵柄が印刷されていることが認識できなかったが、印刷部分を爪で強く擦ったところ、実施例1〜4では赤色の背景に青色の「当」の文字が、比較例1では青色の「当」の文字が鮮やかに表示され、どちらも優れた可読性を有した。
但し、実施例1〜4においては、C1による印刷面積のうち、C2の下になっている比率が高い程、可視化された青い「当」の文字とその周辺のC2による赤色とのコントラストにより可読性は優れたものとなった。
【0045】
(印刷部分の不正読み取り)
実施例1〜4及び比較例1で得られた不可視情報印刷シートの印刷部分全体を、木製の爪楊枝の先端でごく軽くこすり発色させたところ、実施例1〜4では赤色のみが発色し、「当」の文字は発色しなかった。また、赤色発色を不正操作の証明にならない程度の一部分にとどめた場合、「当」の文字の有無を推測出来なかった。一方、比較例1では薄い青色で「当」の文字が発色し、発色が不正操作と言えない程のわずかな部分の場合でも情報を推認することができた。
但し、実施例1〜4において、C1による印刷面積のうち、C2の下になっている比率が高い程、C1による絵柄をより単純なもの、例えば、単なるバツ印や丸印などの幾何学模様にして評価した場合でも上記の爪楊枝による操作での絵柄の推認は困難となった。
なお、上記の爪楊枝による操作をしないと実施例1〜4及び比較例1の不可視性は良好であり、読取り環境を明るくしても視認出来なかった。これより、実施例及び比較例の不可視情報印刷シートは一般的用途においての実用性があることを確認出来た。
【0046】
上記の結果から、実施例1〜4及び比較例1は可読性が実用レベルであるが、特に、実施例1〜4において、不可視性評価、可読性評価が良好であり、不正読み取りを行った場合にその痕跡を残すため、不正読み取りを抑制する効果もあることがわかった。特に実施例1が、各特性が好ましかった。
一方、比較例1では不可視性評価、可読性評価が良好であるが、木製の爪楊枝の先端でごく軽くこすり発色させると情報部分を直に推測又は読み取ることができたことから、不正に情報部分を読み取ることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の不可視情報印刷シートは、特別の用具(コイン等)を用いることなく、不可視情報の可視化が可能であり、活用例として、子供の手を汚すことがなく、削りカスの発生も無いので特に乗り物内での使用にも有効である。また、スクラッチ前の不正な読み取りを抑制できるため、高額なくじ類、金券、証券などにも有効である。もちろん、コイン等を用いても削りカスは発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】情報部分の一例 「当」の文字を製図した例。可視化して示した。
【図2】非情報部分の一例 可視化して示した。
【図3】図1と図2とを合成し製図して得た印刷部分を可視化したものの例
【図4】図3の断面図
【図5】情報部分の一部を露出したときの断面図の例
【符号の説明】
【0049】
1.情報部分 (「当」の字)
2.非情報部分 (正方形のベタ)
3.支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の同一面上に、電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物及びワニスを含有するスクラッチ発色用インキ2種以上をそれぞれ用いて印刷される部分が設けられていることを特徴とする不可視情報印刷シート。
【請求項2】
発色色相が異なる2種以上のスクラッチ発色用インキをそれぞれ用いて印刷される部分が設けてあり、かつ、少なくとも1種のスクラッチ発色用インキによる印刷部分が他のスクラッチ発色用インキによる印刷部分の下に印刷されていることを特徴とする請求項1記載の不可視情報印刷シート。
【請求項3】
少なくとも1種のスクラッチ発色用インキによる印刷部分の30%以上が他のスクラッチ発色用インキによる印刷部分の上に接して印刷されていることを特徴とする請求項2記載の不可視情報印刷シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−178973(P2009−178973A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20929(P2008−20929)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】