説明

不定形の球状木材塊の製造方法および装置

【課題】本発明の目的は、短時間で安全で簡易に不定形球状の木材塊を切削加工することができる製造方法及び装置を提供することである。
【解決手段】本発明は、木取りされた木片50から不定形球状の木材塊51を製造する方法であって、円筒体10の底面開口に対向するように配置された、表面に切削具23が取り付けられた円形底板21を、円筒体10とは独立して回転させることにより、木片50を回転する円形底板21の切削具23で切削しつつ弾き飛ばし、弾き飛ばされた木片50を、円筒体10の内周面により弾き返し、円形底板21による弾き飛ばしと、円筒体10による弾き返しの繰り返しにより木片50を切削加工する、不定形球状の木材塊51を製造する方法及びその装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木片を不定形球状に加工製造する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊具として木球が知られる。木球とは木片を球状に切削したもので、木の持つ自然の風合いに子供たちが触れることができる遊具として、人気がある。木球を作るには、木工旋盤等が用いられることが多い。その製造方法は、まず、木取りした角材を、荒削り加工で円柱にした上で木工旋盤により球状に仕上げてゆき、最後に余分なところを切り落とすことによって、木球を得るのである。また、別の製造方法としては、木工旋盤を用いずに、丸棒の先端を丸面ピットで削って半球を作り、同じ半球を二つ貼り合わせて木球を作ることもできる。また、丸く切り抜いた板をトリマーテーブルにセットし、ピットの出具合を調節しながら板を削って木球を作る方法もある。
【0003】
しかし、上記方法では木球を量産することはできない。木球を量産する従来の製造装置については、肉厚な円筒内面にヤスリを貼り付け、該円筒の円形底面上にもヤスリを貼り付け、円筒と円形底面を分離した構造の装置がある。
【0004】
一方、特許文献1では、密閉可能な切削ボックス内に端材としての木材塊を投入し、次いで該切削ボックス内で木材塊を回転させることにより切削ボックスの内部に設けてある多数の切削具と接触させ、該切削具によって木材塊を切削させながら順次球形状にする発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−315204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の木工旋盤を使用した木球を作る方法では、木球を量産できないし、手指を切る等の事故につながりかねない。また、前述した木球の製造装置ならびに特許文献1による木球の製造方法においては、木球の製造に長い時間がかかるという問題と、切削により産出される大量のおがくずによりヤスリの目が詰まりやすくなり、木球成形の効率性が劣るという問題がある。
【0007】
それゆえ、本発明の目的は、短時間で安全で簡易に不定形球状の木材塊を切削加工することができる製造方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、木取りされた木片から不定形球状の木材塊を製造する方法であって、円筒体の底面開口に対向するように配置された、表面に切削具が取り付けられた円形底板を、円筒体とは独立して回転させることにより、木片を回転する円形底板の切削具で切削しつつ弾き飛ばし、弾き飛ばされた木片を、円筒体の内周面により弾き返し、円形底板による弾き飛ばしと、円筒体による弾き返しの繰り返しにより木片を切削加工することを特徴とする、不定形球状の木材塊を製造する方法である。
【0009】
円形底板は取り換え可能に装着されることが好ましい。なお、所定の時間ごとに、研磨の粗い切削具を装着した円形底板から、研磨の細かい切削具の装着した円形底板に順次取り換えられるようにするとよい。より丸みを帯びた不定形の木材塊を得ることができるからである。
【0010】
さらに、切削具は、ヤスリ又はサンドペーパであるとよいが、切削が可能な治具であれば限定されない。なお、切削具は円形底板の周縁部に装着されることが好適である。木片は、遠心力により製造装置の内壁方向にはじかれ、円形底板の周縁側に落ちることが多いからである。
【0011】
また、切削加工により生じたおがくずを円筒体から排出する集塵工程を含むとより生産効率が改善し、当該集塵工程は、切削工程と同時に行われると好適である。
【0012】
本発明に係る木材塊は、上述の製造方法により製造される不定形球状の木材塊である。
【0013】
本発明に係る製造装置は、木片から不定形球状の木材塊を製造する木材塊製造装置であって、円筒体と、円筒体の底面開口に対向する円形底板と、円形底板を回転させる回転駆動部とを備え、円形底板面の少なくとも一部領域に切削具を設けるとともに、円形底板を円筒体とは独立して回転可能とし、内部に投入された木片を切削具で切削して不定形球状の木材塊に加工することができる。
【0014】
円形底板は取り換え可能に装着されることが好ましい。なお、所定の時間ごとに、研磨の粗い切削具を装着した円形底板から、研磨の細かい切削具の装着した円形底板に順次取り換えられるようにするとよい。より丸みを帯びた不定形の木材塊を得ることができるからである。なお、切削具は円形底板の周縁部に装着されることが好適である。木片は、遠心力により製造装置の内壁方向にはじかれ、円形底板の周縁側に落ちることが多いからである。
【0015】
別の本発明に係る木材塊製造装置は、円形底板に対応する円板状の落とし蓋体を備えてもよい。木片を円筒体の内部に投入後に落とし蓋体を当該木片の上に載せおけば、切削具による切削を促進せしめることができる。
【0016】
また本発明において、円形底板はすり鉢状の傾斜面を備えたものであってよい。当該木材塊製造装置においても、円形底板のすり鉢状の傾斜面に対応する凸状底面を備えた落とし蓋体を備えてもよい。
【0017】
さらに別の本発明に係る木材塊製造装置は、円形底板が傘状の傾斜を備えたものであってよい。当該木材塊製造装置においても、円形底板の傘状の傾斜面に対応する凹状底面を備えた落とし蓋体を備えたものであってもよい。
【0018】
切削加工の効率を上げるため、落とし蓋体は、円形底板に対向する面に切削具を備えることもできる。
【0019】
さらに、切削具は、ヤスリ又はサンドペーパであるとよいが、切削が可能な治具であれば限定されない。
【0020】
また、木材塊製造装置は、円筒体に、切削加工により生じるおがくずを排出するための排出口を備え、集塵機構をも備えると生産効率が改善し好適である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、不定形状の木材塊を大量にかつ能率的に生産することができる。木材の種類により、味わいのある丸みを帯びた不定形の木材塊を生産することができる。
【0022】
また、製造装置には、排出口があり集塵装置を装着することにより、ヤスリ等の目におがくずが挟まらず、作業能率が向上する。また、製造装置内の掃除も容易となる。
【0023】
本発明のこれら、および他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1に係る木材塊製造装置1を模式的に示す部分破断斜視図である。
【図2】図1に係る木材塊製造装置1について、(a)は蓋部11が円筒体10から外れた状態の平面図であり、(b)はA―A線断面図である。
【図3】本発明の実施例に係る、不定形球状の木材塊を製造する方法を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る不定形球状の木材塊を製造する方法の全体説明図であり、(a)は、木取りされた木片50が木材塊製造装置1に投入される状態を示す図であり、(b)は密閉された木材塊製造装置1内において、底板支持部材20が回転して木片50が切削されている状態を示す図である。
【図5】本発明の実施例2に係る木材塊製造装置100について、集塵機160が取り付けられた状態を示し、図2(b)に相当する断面図である。
【図6】本発明の実施例3に係る木材塊製造装置200を示し、図2(b)に相当する断面図である。
【図7】本発明の実施例4について、(a)は、実施例1の変形形態に係る木材塊製造装置300を示す図であり、(b)は、別の変形形態に係る木材塊製造装置400を示す図である。
【図8】図7(a)及び(b)に係る木材塊製造装置300、400は、それぞれ落とし蓋361を備えることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。各図において、同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は、本発明を理解するために誇張して表現している場合もあり、必ずしも縮尺どおり精緻に表したものではないことに留意されたい。なお、本発明は下記に示される実施の形態に限られるものではない。
【実施例1】
【0026】
実施例1を図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施例1に係る木材塊製造装置1を模式的に示す部分破断斜視図である。該木材塊製造装置1により、本発明に係る不定形球状の木材塊51を製造することができる。図1において、木材塊製造装置1は、円筒体10の正面を破断して円筒体10の内部が見えるように示されている。図1に示すとおり、木材塊製造装置1は、円筒体10と蓋部11と円形底板21と回転駆動部40(図に示されない)とを備える。
【0028】
円筒体10は好ましくは肉厚の円筒体であり、円筒支持体30の上に戴置されている。円形底板21は円筒体10から分離した円盤状の部材であり、円筒体10の底面内部で回転可能に配置されている。円形底板21は、底板支持部材20の上に戴置され、アダプタ22が円形底板21を底板支持部材20に固定する。なお、底板支持部材20の底面下側中央に回転駆動部40(図に示されない)が取り付けられている。
【0029】
図1において、円形底板21の周縁部は網目で示しており、周縁部には切削具23を備える。
【0030】
蓋部11は取り外し可能に円筒体10の開口部を覆って、木材塊製造装置1を密閉する。これにより、後述する木片50は飛び出ない。
【0031】
次に図2を参照する。図1に係る木材塊製造装置1について、(a)は蓋部11が円筒体10から外れた状態の平面図であり、(b)は(a)のA―A線断面図である。
【0032】
図2(a)に示されるとおり、平面図において、円形底板21は底板支持部材20に戴置され、アダプタ22により固定されている。また、円形底板21の周縁部に切削具23が装着されている。
【0033】
次に、図2(b)を参照する。前述したとおり、円形底板21は円筒体10から分離した部材であり、円筒体10の底面内部で回転可能に配置されている。底板支持部材20の底面下側中央に回転駆動部40が取り付けられ、回転可能となっている。円形底板21は、底板支持部材20の上に戴置され、アダプタ22が円形底板21を底板支持部材20に固定する。ここで、切削具23が円形底板21の周縁部に装着されているのは、木片50が該木材塊製造装置1に投入された後に円形底板21が回転すると、木片50は該木材塊製造装置1の内部で回転しながら円形底板21に接触するが、遠心力により円形底板21の周縁部方向に落下することが多いことから、円形底板21の周縁部に切削具23を装着することで、切削の効率を高めることが可能になる。しかし、切削具23は円形底板21の全面に装着されてもよい。
【0034】
切削具23は、ヤスリ又はサンドペーパであるとよいが、切削が可能な治具であれば限定されない。なお、切削具23は、円筒体10の内面側部に備えてもよい。
【0035】
図3と図4を参照する。図3は、本発明の実施例1に係る、不定形球状の木材塊を製造する工程を簡単に説明した図である。図4は、本発明の実施例1に係る不定形形状の木材塊を製造する方法の全体説明図であり、(a)は、木取りされた木片50が木材塊製造装置1に投入される状態を示す図であり、(b)は密閉された木材塊製造装置1内において、円形底板21が回転して木片50が切削されている状態を示す図である。
【0036】
図3を参照すると、不定形球状の木材塊を製造する工程は、木取工程と切削工程からなる。さらに、該工程について、図4を参照しながら詳細に説明する。まず、木取工程において、任意の木材を木取りし、所定の大きさの多角体の木片50を得る。次に、木取工程で得た該多角体の木片50を、木材塊製造装置1内に投入する。実施例1において、多角体の木片50を投入して蓋部11を円筒体10の開口部に置き密閉する。円形底板21を回転させると、多角体の木片50は木材塊製造装置1の内部で回転しながら切削具23と接触し木片50の角が切削される。その結果、不定形球状の木材塊51が製造される。
【0037】
実施例1において、切削具23が装着された円形底板21は、着脱自在に底板支持部材20に取り付けることができる。したがって、木材の種類、木取りされた多角形の木片50の大きさに応じて、所定の時間ごとに研磨の粗い切削具23の装着された円形底板21から細かい切削具23の装着された円形底板21に順次取り替えて使用すると効率よく、不定形球状の木材塊51を製造することができる。また、木材塊製造装置1を複数並列し、各底板支持部材20には、研磨の目の異なる切削具23を装着した円形底板21を戴置することにより、木片50を切削すればより効率がよい。
【0038】
次に、実施例1における実験例を示す。実験では、木材として、欅、えんじゅ、アユースを使用し、それぞれ好適な大きさに木取りして使用している。また、それぞれ50個程度の木片50を木材塊製造装置1に投入した。
【0039】
まず、欅の場合を下記に示す。欅の場合、円形底板21を3回、切削具23の異なるものに取り替える。第1の円形底板21は、荒削りをするため、目並は茨状の鬼目、形状は平形の普通鋼のヤスリを切削具23として用いた。これに限定されず、炭素鋼のヤスリでもよいし、形状は丸形、半丸形であってもよい。本工程では、円形底板21を25rpmで15分間回転する。次に第2の円形底板21は、サンドペーパを切削具23として用いた。該サンドペーパはペーパ番数24で、円形底板21を38rpmで15分間回転する。最後に、第3の円形底板21は、ペーパ番数60のサンドペーパを切削具23として用い、円形底板21を38rpmで15分間回転する。このように、欅を材料とした場合、切削時間は45分間で所望の不定形球状の木材塊51を得ることができた。
【0040】
次に、アユースの場合を示す。アユースの場合も欅の場合と同様に、円形底板21を3回、切削具23の異なるものに取り替える。アユースの場合は、3つの切削具23はすべてサンドペーパを用いた。第1の円形底板21の切削具23にはペーパ番数24のサンドペーパ、第2の円形底板21の切削具23にはペーパ番数60のサンドペーパ、第3の円形底板21の切削具23にはペーパ番数180のサンドペーパで各々円形底板21を25rpmで15分間回転する。このように、アユースを材料とした場合、切削時間は45分間で所望の不定形球状の木材塊51を得ることができた。
【0041】
最後に、えんじゅの場合を示す。えんじゅの場合、円形底板21を4回、切削具23の異なるものに取り替える。第1の円形底板21の切削具23には、荒削りをするため、目並は茨状の鬼目、形状は平形の普通鋼のヤスリを用いた。これに限定されず、炭素鋼のヤスリでもよいし、形状は丸形、半丸形であってもよい。本工程では、底板支持部材20を25rpmで10分間回転する。次に第2の円形底板21の切削具23にはサンドペーパを用いた。該サンドペーパはペーパ番数24で、円形底板21を38rpmで15分間回転する。第3の円形底板21の切削具23にはペーパ番数60のサンドペーパを用い、円形底板21を38rpmで15分間回転する。最後に、第4の円形底板21の切削具23にはペーパ番数180のサンドペーパを用い、円形底板21を38rpmで15分間回転する。このように、えんじゅを材料とした場合、切削時間は55分間で所望の不定形球状の木材塊51を得ることができた。
【0042】
上述の実験において、欅、アユース、えんじゅの3種類の木材を使用した実施状況を説明したが、本発明は、これらの木材に限定されず、広葉樹、針葉樹のあらゆる種類の木材を使用することができる。また、廃材を使用することも可能である。なお、木材の硬さの程度に応じて、切削具23を変更してよい。また、木材の硬さに応じて、切削工程の所要時間も変更されてよい。さらに、切削工程の後に、研磨工程を備えてもよい。
【実施例2】
【0043】
実施例2を図面を参照して詳細に説明する。
【0044】
図5を参照する。本発明の実施例2に係る木材塊製造装置100について、集塵機160が取り付けられた状態を示す、図2(b)に相当する断面図である。
【0045】
図5に示すとおり、本発明の実施例2に係る木材塊製造装置100は、集塵機160の吸気部161が取り付けられる排出口111を除いて、実施例1に係る木材塊製造装置1の構造と同一であってよい。
【0046】
上述したとおり、本発明の実施例2に係る木材塊製造装置100は排出口111を備える。木片50を切削する工程において、大量のおがくずが発生するため、切削具123の目を詰まらせることがあり、生産効率が劣化する可能性がある。したがって、木材塊製造装置100は切削具123の目詰まりを防ぐため、おがくずを排出する排出口111を備える。排出口111には、集塵機160の吸気部161が取り付けられる。排出口111の寸法は、投入される木片50が集塵機160によって吸い出されない寸法であればよい。なお、集塵効率を高めるために排出口111をより大きな寸法としてもよいが、大きな排出口111にはフィルタが装着されてもよい。
【0047】
おがくずの排出は、円形底板121が回転する切削工程中に集塵工程も同時に行うとよい。円形底板21の回転中に、木片50は回転かつ移動するため木片50が排出口111に詰まる可能性は少ないからである。しかし、集塵工程は、切削工程とは別に設けられてもよい。
【実施例3】
【0048】
実施例3を図面を参照して詳細に説明する。
【0049】
図6を参照する。図6は、本発明の実施例3に係る木材塊製造装置200を示し、図2(b)に相当する断面図である。
【0050】
図6に示すとおり、木材塊製造装置200は、円形底板221に対応する円板状の落とし蓋261を備えてもよい。木片50を円筒体210の内部に投入後に落とし蓋261を木片50の上に載せ置いて、切削具223により切削を促進することができる。また、落とし蓋261は、円形底板221に対向する面に切削具223を装着してもよい。より切削を促進することができるからである。
【実施例4】
【0051】
実施例4を図面を参照して詳細に説明する。
【0052】
図7を参照する。図7は、本発明の実施例4について、(a)は、実施例1の変形形態に係る木材塊製造装置300を示す図であり、(b)は、別の変形形態に係る木材塊製造装置400を示す図である。なお、木材塊製造装置300、400は、円形底板321、421とアダプタ322、422と切削具323、423が異なるのみで、他の構成は同一であるため、同一の符号を付している。
【0053】
図7(a)を参照すると、木材塊製造装置300において、円形底板321はすり鉢状の傾斜面を備えた構成となっている。円筒体310の内周面に弾き飛ばされた木片50は、すり鉢状の傾斜を有する円形底板321の中心方向に落下するため、効率よく切削加工をすることが可能になる。切削具323はすり鉢状の傾斜面の全面に装着されてもよいし、一部であってもよい。
【0054】
図7(b)を参照すると、木材塊製造装置400において、円形底板421は傘状の傾斜を備えた構成となっている。円筒体310の内周面に弾き飛ばされた木片50は、傘状の傾斜を有する円形底板421の周縁部に落下するため、効率よく切削加工をすることが可能になる。したがって、切削具423は円形底板421の周縁部に装着されると効率がよいが、限定されない。
【0055】
図8を参照する。図8は、図7(a)及び(b)に係る木材塊製造装置300、400は、それぞれ落とし蓋361を備える図である。
【0056】
図8(a)及び(b)に示すとおり、木材塊製造装置300、400は、円形底板321、421に対応する円板状の落とし蓋361を備えてもよい。木片50を円筒体310の内部に投入後に落とし蓋361を木片50の上に載せ置いて、切削具323、423により切削を促進することができる。また、落とし蓋361は、円形底板321、421に対向する面に切削具を装着してもよい。より切削を促進することができるからである。
【0057】
実施例3及び4において、図では示していないが、木材塊製造装置200、300、400は、実施例2のような集塵機構を備えた構成としてもよい。
【0058】
以上、本発明に係る不定形球状の木材塊を製造する方法及び装置における好ましい実施形態を図示して詳細に説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る不定形球状の木材塊を製造する方法は、効率よく大量の不定形球状の木材塊を製造することできる方法であり、製造された不定形球状の木材塊は木の自然の風合いを残しているので、幼児・子供用の木製玩具、神社仏閣のお守り・縁起物等に加工することができ、産業上広く利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1、100、200、300、400 木材塊製造装置
10、110、210、310 円筒体
11 蓋部
21、121、221、321、421 円形底板
23、123、223、323、423 切削具
40、140、240、340 回転駆動部
50 木片
51 不定形球状の木材塊
160 集塵機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木取りされた木片から不定形球状の木材塊を製造する方法であって、
円筒体の底面開口に対向するように配置された、表面に切削具が取り付けられた円形底板を、前記円筒体とは独立して回転させることにより、前記木片を前記回転する前記円形底板の前記切削具で切削しつつ弾き飛ばし、
弾き飛ばされた前記木片を、前記円筒体の内周面により弾き返し、
前記円形底板による弾き飛ばしと、前記円筒体による弾き返しの繰り返しにより前記木片を切削加工する、不定形球状の木材塊を製造する方法。
【請求項2】
前記円形底板は取り換え可能に装着されることを特徴とする請求項1に記載の不定形球状の木材塊を製造する方法。
【請求項3】
所定の時間ごとに、研磨の粗い前記切削具を装着した前記円形底板から、研磨の細かい前記切削具の装着した前記円形底板に順次取り換えられることを特徴とする、請求項2に記載の不定形球状の木材塊を製造する方法。
【請求項4】
前記切削具はヤスリ又はサンドペーパであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の不定形球状の木材塊を製造する方法。
【請求項5】
前記切削具は前記円形底板の周縁部に装着されることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の不定形球状の木材塊を製造する方法。
【請求項6】
切削加工により生じたおがくずを前記円筒体から排出する集塵工程を含むことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の不定形球状の木材塊を製造する方法。
【請求項7】
前記集塵工程は、前記切削加工と同時に行われることを特徴とする、請求項6に記載の不定形球状の木材塊を製造する方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかの製造方法により製造される不定形球状の木材塊。
【請求項9】
木片から不定形球状の木材塊を製造する木材塊製造装置であって、
円筒体と、前記円筒体の底面開口に対向する円形底板と、前記円形底板を回転させる回転駆動部とを備え、
前記円形底板の面の少なくとも一部領域に切削具を設けるとともに、前記円形底板を前記円筒体とは独立して回転可能とし、内部に投入された前記木片を前記切削具で切削して不定形球状の木材塊に加工する木材塊製造装置。
【請求項10】
前記円形底板は取り換え可能に装着されることを特徴とする請求項9に記載の木材塊製造装置。
【請求項11】
所定の時間ごとに、研磨の粗い前記切削具を装着した前記円形底板から、研磨の細かい前記切削具の装着した前記円形底板に順次取り換えられることを特徴とする、請求項10に記載の木材塊製造装置。
【請求項12】
前記切削具は前記円形底板の周縁部に装着されることを特徴とする、請求項9ないし11のいずれかに記載の木材塊製造装置。
【請求項13】
前記円形底板に対応する円板状の落とし蓋体を備え、
前記木片を前記円筒体の内部に投入後に前記落とし蓋体を当該木片の上に載せおいて、前記切削具による切削を促進せしめることを特徴とする、請求項9ないし12のいずれかに記載の木材塊製造装置。
【請求項14】
前記円形底板がすり鉢状の傾斜面を備えたものであることを特徴とする、請求項9に記載の木材塊製造装置。
【請求項15】
前記円形底板の前記すり鉢状の傾斜面に対応する凸状底面を備えた落とし蓋体を備え、
前記木片を前記円筒体の内部に投入後に前記落とし蓋体を当該木片の上に載せおいて、前記切削具による切削を促進せしめることを特徴とする、請求項14に記載の木材塊製造装置。
【請求項16】
前記円形底板が傘状の傾斜を備えたものであることを特徴とする、請求項9に記載の木材塊製造装置。
【請求項17】
前記円形底板の前記傘状の傾斜面に対応する凹状底面を備えた落とし蓋体を備え、
前記木片を前記円筒体の内部に投入後に前記落とし蓋体を当該木片の上に載せおいて、前記切削具による切削を促進せしめることを特徴とする、請求項16に記載の木材塊製造装置。
【請求項18】
前記落とし蓋体は、前記円形底板に対向する面に切削具を備えることを特徴とする、請求項13、15、17のいずれかに記載の木材塊製造装置。
【請求項19】
前記切削具はヤスリ又はサンドペーパであることを特徴とする、請求項9ないし18のいずれかに記載の木材塊製造装置。
【請求項20】
さらに、集塵機構を備える木材塊製造装置であって、前記円筒体は、切削加工により生じるおがくずを排出するための排出口を備えることを特徴とする請求項9ないし19のいずれかに記載の木材塊製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−254532(P2012−254532A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127333(P2011−127333)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(511138238)
【Fターム(参考)】