不正防止機能を備えるパチンコ遊技機
【課題】釣り糸を用いた不正行為(いわゆる釣り糸ゴト行為)を防止し、当該行為による不正遊技者の不正な利益の獲得を防止し得るパチンコ遊技機を提供すること。
【解決手段】パチンコ遊技機1は、遊技球が入る入球口22に近接配置された可動部材27a,27bと、上記入球口22を開放する動作と閉塞する動作とを上記可動部材27a,27bに実行させる開閉制御手段101とを備え、上記可動部材27a,27bには糸状物を捕捉可能な切れ込みが形成される。
【解決手段】パチンコ遊技機1は、遊技球が入る入球口22に近接配置された可動部材27a,27bと、上記入球口22を開放する動作と閉塞する動作とを上記可動部材27a,27bに実行させる開閉制御手段101とを備え、上記可動部材27a,27bには糸状物を捕捉可能な切れ込みが形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。具体的には、本発明は、不正防止機能を備えるパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パチンコ遊技機(例えば、特許文献1に記載のもの)において、釣り糸を取り付けた不正遊技球を上皿から遊技領域へ送り込んで不正に賞球を得たり、あるいは不正に抽選を始動させたりといった不正行為(いわゆる、釣り糸ゴト行為)の発生が問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−110528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの場合、上記釣り糸ゴト行為には、視認され難い透明な釣り糸が使用されるため、ホールの店員が釣り糸ゴト行為を発見するのは容易ではない。また、不正遊技球が排出口を介して遊技領域の外に排出されてしまうと、釣り糸ゴト行為を行った不正遊技者を特定することは困難である。
【0005】
さらに、パチンコ遊技機の中には、遊技球が電動チューリップ(いわゆる、電チュー)の直下に配置された始動口に入賞すると、遊技球が他の入賞口や始動口に入賞する場合よりも遊技者にとって有利な遊技状態を創出するものが多い。このため、このようなパチンコ遊技機において、電チューの直下に配置された始動口への不正入賞を狙った釣り糸ゴト行為が行われると、他の入賞口や始動口を狙った釣り糸ゴト行為が行われる場合に比べて不正遊技者が不正な利益を獲得しやすくなる。この結果、ホール(パチンコ店)の被害が大きくなるといった問題がある。
【0006】
それ故に、本発明の目的は、上記した釣り糸ゴト行為を防止し、当該行為による不正遊技者の不正な利益の獲得を防止するパチンコ遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために以下の構成を採用した。なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0008】
本実施形態に係るパチンコ遊技機(1)は、遊技球が入る入球口(22)に近接配置された可動部材(27a、27b)と、上記入球口(22)を開放する動作と閉塞する動作とを上記可動部材(27a、27b)に実行させる開閉制御手段(101)とを備え、上記可動部材(27a、27b)には糸状物を捕捉可能な切れ込みが形成される。
【0009】
また、上記開閉制御手段(101)は、上記可動部材(27a、27b)を回動軸を中心に回動させることによって上記入球口(22)を開放及び閉塞させてもよい。
【0010】
また、上記回動軸は、上記可動部材(27a、27b)の基端部近傍に設けられ、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)の先端部に形成されてもよい。
【0011】
また、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)の先端部から基端部に向かう方向(図3のY軸正方向)に形成されてもよい。
【0012】
また、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)の先端部から基端部(図3のY軸正方向)に向かうほど当該切れ込みの開口幅が狭くなる形状を有してもよい。
【0013】
また、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)が回動する方向(図3、図7のZ軸方向)に当該可動部材(27a、27b)を貫通して形成されてもよい。
【0014】
また、上記切れ込みは、上記開閉制御手段(101)によって上記入球口(22)を閉塞させた上記可動部材(27a、27b)が当該入球口(22)を開放させるために回動する向き(図3、図10のZ軸正方向)に向かうほど当該切れ込みの開口幅が狭くなる形状を有してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記した釣り糸ゴト行為を防止し、当該行為による不正遊技者の不正な利益の獲得を防止するパチンコ遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】パチンコ遊技機1の一例を示す概略正面図
【図2】パチンコ遊技機1の制御装置の構成の一例を示すブロック図
【図3】開姿勢にある電動チューリップ27の一例を示す概略図
【図4】閉姿勢にある電動チューリップ27の一例を示す概略図
【図5】羽根部材27aの先端部の拡大斜視図
【図6】電動チューリップ27が姿勢変化する様子を示す模式図
【図7】釣り糸が切れ込み形成部に捕捉される様子を示す模式図
【図8】釣り糸が切れ込み形成部に捕捉された後の様子を示す模式図
【図9】変形例における切れ込み形成部の一例を示す概略図
【図10】変形例における切れ込み形成部の一例を示す概略図
【図11】変形例における切れ込み形成部の一例を示す概略図
【図12】変形例における切れ込み形成部の一例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0017】
(パチンコ遊技機の概略構成)
まず、図1を参照しつつ、パチンコ遊技機1の概略構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1の概略正面図である。図1に示されるように、パチンコ遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材3とを備えている。枠部材3は、遊技盤2の表面側(図1の紙面手前側)に遊技盤2と所定の間隔を隔てて平行に配置された透明なガラス板(図示省略)を支持する部材であり、遊技盤2に対して開閉可能に構成されている。
【0018】
枠部材3に支持されたガラス板と遊技盤2との間には、遊技球が移動する遊技領域20が形成されている。遊技者がハンドル31を握ってレバー32を時計回りに回転させると、皿39に溜められた遊技球がハンドル31の回転角度に応じた打球力で発射装置(図示省略)から発射される。発射された遊技球は、遊技領域20の上部位置へ案内され、遊技領域20に配置された遊技クギ(図示省略)や風車(図示省略)等に接触することでその移動方向を変化させながら遊技盤2に沿って落下する。
【0019】
遊技盤2または枠部材3には、各種演出を行う液晶表示器5、盤ランプ8、枠ランプ36、可動役物7、およびスピーカ部35などが設けられている。
【0020】
遊技領域20には、入賞や抽選に関する役物として、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、普通入賞口24、およびゲート25が設けられている。パチンコ遊技機1では、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、または普通入賞口24に遊技球が入賞すると、入賞した場所に応じた個数の賞球が皿39に払い出される。なお、入賞しなかった遊技球は、排出口26を介して遊技領域20の外に排出される。
【0021】
第1始動口21は、常時開放されている始動口である。この第1始動口21に遊技球が入賞すると、大当たり抽選としての第1特別図柄抽選が実行される。一方の第2始動口22は、通常は遊技球の進入経路が閉塞されており、普通電動役物としての電動チューリップ27が作動している間だけ開放される始動口である。この第2始動口22に遊技球が入賞すると、大当たり抽選としての第2特別図柄抽選が実行される。これらの第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選に当選することで大入賞口23が開放され、遊技者が多量の賞球を得ることが可能な大当たり遊技を楽しむことができる。なお、以下の説明では、第1特別図柄抽選と第2特別図柄抽選とを総称して「特別図柄抽選」と呼称するものとする。
【0022】
遊技領域20の所定位置(本実施形態では遊技盤2を正面から見て液晶表示器5の左側の位置)に、ゲート25が設けられている。このゲート25を遊技球が通過すると、電動チューリップ27の開閉抽選(普通図柄抽選)が実行される。電動チューリップ27は、左右対称の一対の羽根部材27a、27b(図3参照)からなり、これらの羽根部材27a、27bの間に形成された第2始動口22を閉塞する閉姿勢(図4参照)と、当該第2始動口22を開放して第2始動口22に遊技球を案内する開姿勢(図3参照)との間で姿勢変化可能に構成されている。普通図柄抽選に当選することで、この電動チューリップ27が作動して第2始動口22が一時的に開放される。
【0023】
ところで、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、特別図柄抽選や普通図柄抽選の当選確率を上昇させず、普通図柄の変動時間の短縮も行わない通常遊技状態において普通図柄抽選に当選した場合に、電動チューリップ27に第1動作又は第2動作を行わせることとしている。ここで、第1動作は、第2始動口22に遊技球が入賞可能に第2始動口22を開放する動作であり、本実施形態では、第2始動口22を開放した開姿勢を0.1秒間維持した後に閉姿勢に戻る動作を2回繰り返す動作である。また、第2動作は、第1動作が行われた場合よりも多くの遊技球が第2始動口22に入賞可能に第2始動口22を開放する動作であり、本実施形態では、第2始動口22を開放した開姿勢を5秒間維持した後に閉姿勢に戻る動作を1回行う動作である。
【0024】
一方、パチンコ遊技機1は、例えば、第1始動口21に入賞した遊技球で大当たりした場合の35%が16R(ラウンド)確変大当たりとなるのに対して、第2始動口22に入賞した遊技球で大当たりした場合の65%が16R確変大当たりとなるというように、第1始動口21に遊技球が入賞するよりも第2始動口22に遊技球が入賞した方が遊技者にとって有利になるように構成されている。
【0025】
このように、電動チューリップ27の第2動作が行われた場合には第1動作が行われる場合に比べて第2始動口22がより長い期間開放され、更に、第2始動口22に遊技球が入賞して第2特別図柄抽選が行われると、第1特別図柄抽選が行われるときよりも大当たりとなった場合に遊技者にとって有利になるという状況がある。したがって、このようなパチンコ遊技機1においては、不正遊技者が釣り糸ゴト行為によって、不正遊技球を第2始動口22に不正に入賞させると、ホールの被害がより大きくなることがある。
【0026】
[パチンコ遊技機1の制御装置の構成]
次に、図2を参照しつつ、パチンコ遊技機1の制御装置について説明する。ここで、図2は、パチンコ遊技機1の制御装置の構成例を示すブロック図である。パチンコ遊技機1の制御装置は、遊技盤2の裏面側(図1の紙面奥側)に設けられ、図2に示されるように、遊技制御部100、演出制御部130、画像音響制御部140、ランプ制御部150等を備えている。
【0027】
[遊技制御部100の構成]
遊技制御部100は、CPU101、ROM102、及びRAM103を備えている。CPU101は、ROM102に記憶されたプログラムに基づいて、内部抽選や当選の判定等の払い出し賞球数に関連する各種の演算処理を行う。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
【0028】
この遊技制御部100には、第1始動口スイッチ(SW)111、第2始動口スイッチ(SW)112、電動チューリップ開閉部113、ゲートスイッチ(SW)114、大入賞口スイッチ(SW)115、大入賞口制御部116、及び普通入賞口スイッチ(SW)117が接続されている。
【0029】
第1始動口スイッチ111は、遊技球が第1始動口21に入賞したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。第2始動口スイッチ112は、遊技球が第2始動口22に入賞したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。電動チューリップ開閉部113は、普通図柄抽選に当選した場合の遊技制御部100からの指示に基づいて、電動チューリップ27の一対の羽根部材27a、27bを姿勢変化させるための電動ソレノイドを作動させる。ゲートスイッチ114は、遊技球がゲート25を通過したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。大入賞口スイッチ115は、遊技球が大入賞口23に入賞したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。大入賞口制御部116は、特別図柄抽選に当選した場合の遊技制御部100からの指示に基づいて大入賞口23を開放してから閉塞するラウンドを繰り返す。この大入賞口制御部116は、大入賞口23のプレートを作動させる電動ソレノイド等を有して構成されている。普通入賞口スイッチ117は、遊技球が普通入賞口24に入賞したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。
【0030】
遊技制御部100のCPU101は、第1始動口スイッチ111からの検出信号が入力されたタイミングで取得した乱数を用いて第1特別図柄抽選を実行し、第2始動口スイッチ112からの検出信号が入力されたタイミングで取得した乱数を用いて第2特別図柄抽選を実行する。そして、特別図柄抽選に当選すると、大入賞口制御部116を介して大入賞口23の開閉を制御する。また、CPU101は、特別図柄抽選の結果に応じて決定した特別図柄抽選の当選確率の変動設定や、特別図柄の変動時間の短縮設定を示すデータ、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞したことを通知するための情報等を演出制御部130へ送信する。
【0031】
CPU101は、ゲートスイッチ114から入力されたタイミングで取得した乱数を用いて普通図柄抽選を実行する。そして、この普通図柄抽選に当選すると、電動チューリップ開閉部113を介して電動チューリップ27の動作を制御する。具体的には、CPU101は、パチンコ遊技機1が通常遊技状態又は潜伏遊技状態のときに普通図柄抽選に当選した場合、第2始動口22を開放した開姿勢を0.1秒間維持してから閉姿勢に戻る動作を2回繰り返す第1動作、又は第2始動口22を開放した開姿勢を5秒間維持してから閉姿勢に戻る動作を1回行う第2動作を電動チューリップ開閉部113を介して電動チューリップ27に実行させる。一方、パチンコ遊技機1が確変遊技状態又は時短遊技状態のときに普通図柄抽選に当選した場合、第2始動口22を開放した開姿勢を1.8秒間維持してから閉姿勢に戻る動作を3回繰り返す第3動作を電動チューリップ開閉部113を介して電動チューリップ27に実行させる。なお、パチンコ遊技機1が確変遊技状態又は時短遊技状態のときは、通常遊技状態の時に比べて、普通図柄の変動時間が短縮されると共に、普通図柄抽選に当選する確率が上昇する。このように、パチンコ遊技機1の遊技状態が確変遊技状態又は時短遊技状態である場合には電動チューリップ27が頻繁に開姿勢に姿勢変化されて第2始動口22への遊技球の入賞がサポートされる。このため、確変遊技状態又は時短遊技状態のときの電動チューリップ27の動作は、「電チューサポート」或いは「電サポ」と呼ばれる。
【0032】
CPU101は、第1始動口スイッチ111、第2始動口スイッチ112、大入賞口スイッチ115、又は普通入賞口スイッチ117からの検出信号が入力されると、遊技球が入賞した場所に応じた所定数の賞球の払い出しを不図示の払出制御部に指示し、払出制御部からの情報に基づいて、払い出す賞球の個数を管理する。
【0033】
[演出制御部130の構成]
演出制御部130は、遊技制御部100から送られる特別図柄抽選の結果等を示すデータや、電動チューリップ27の動作パターンを示す情報等に基づいて、演出内容を設定する。また、演出制御部130は、設定した演出内容の演出の実行を指示するコマンドを画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信する。
【0034】
[画像音響制御部140の構成]
画像音響制御部140は、演出制御部130からの指示に基づいて演出内容を表現する画像を制御する際の演算処理を行う。画像音響制御部140は、液晶表示器5に表示される演出画像を生成、出力し、スピーカ35から出力される音響データを生成、出力する。
【0035】
[ランプ制御部150の構成]
ランプ制御部150は、盤ランプ8や枠ランプ36、及び可動役物7の動作を制御する際の演算処理を行う。演出制御部130からの指示に対応する発光パターンデータを読み出して、盤ランプ8、枠ランプ36、及び役物ランプの発光を制御する。また、演出制御部130からの指示に対応する動作パターンデータを読み出して、可動役物7の動作を制御する。
【0036】
(遊技機における不正防止機構)
次に、本実施形態における電動チューリップ27の構造について詳細に説明する。ところで、前述したように、本実施形態に係る遊技機1では、電動チューリップ27の直下に配置された第2始動口22に不正に入賞すると、通常遊技状態であっても他の入賞口や始動口に入賞する場合よりも遊技者にとって有利な遊技状態が創出されることがある。したがって不正遊技者は、電動チューリップ27が開姿勢の状態になったタイミングを狙って、釣り糸が取り付けられた不正遊技球を第2始動口22に入賞させようとする。さらに、一度第2始動口22に入賞させた後、釣り糸の一端を操作して釣り糸に取り付けられた不正遊技球を上下に動かすことで当該不正遊技球を第2始動口22に出し入れし、不正入賞(不正行為)を繰り返す。電動チューリップ27が開姿勢の状態であれば、上記不正行為がなくても第2始動口22への遊技球の入賞は可能となるが、電動チューリップ27が閉姿勢の状態であり、通常の遊技球は入賞不可能であるにもかかわらず、上記不正行為によって第2始動口22への入賞が検知され有利な遊技状態が不正に創出された結果、大当たりに発展してしまうと、ホールにとっては大きな被害となる。このため、電動チューリップ27が閉姿勢の状態において上記不正行為を防止できることが重要となる。
【0037】
本実施形態に係る電動チューリップ27は、上記した不正行為を防止する不正防止機構を備えた構造体として実装される。前述したように、電動チューリップ27は、開姿勢と閉姿勢との間でその姿勢が変化することによって、遊技球の第2始動口22への入賞を可能にしたり、その入賞を抑止したりする。本実施形態に係る電動チューリップ27は、この姿勢変化と、電動チューリップ27が有する不正防止機構によって、釣り糸ゴト行為を防止する。
【0038】
図3は、開姿勢(第2始動口22を開放する姿勢)にある電動チューリップ27の一例を示し、図3(a)はその概略正面斜視図であり、図3(b)はそれを上側から見た概略図である。図4は、閉姿勢(第2始動口22を閉塞する姿勢)にある電動チューリップ27の一例を示し、図4(a)はその概略正面斜視図であり、図4(b)はそれを上側から見た概略図である。なお、本発明と直接関係しない機構については、その図示等を省略している。
【0039】
図3(a)に示されるように、電動チューリップ27は、左右一対の羽根部材27a、27bを備える。また、羽根部材27a、27bは、遊技球が通過可能な間隔を置いて左右に対向した状態で配置され、相反する方向に支軸28a、28bを中心に回動して開く(電動チューリップ27が開姿勢になる)とともに、元の位置まで回動して閉じる(電動チューリップ27が閉姿勢になる;図4(a)参照)ことが可能に構成されている。具体的には、これらの羽根部材27a、27bの基端部近傍には、基端部を貫通する軸孔(図示せず)が設けられており、この軸孔の直径よりもやや小さい円筒状の支軸28a、28bが当該軸孔に挿し込まれる。このことにより、羽根部材27a、27bは支軸28a、28bを介して遊技盤2に取り付けられ、当該支軸28a、28bを中心に回動可能に構成される。なお、羽根部材27a、27bは、遊技制御部100からの指示に基づいて電動ソレノイドが作動されることによって、回動可能となる。
【0040】
電動チューリップ27が開姿勢(図3参照)にあるときには、第2始動口22は開放されているため、遊技球は入賞可能となり、電動チューリップ27が閉姿勢(図4参照)にあるときには、第2始動口22は、羽根部材27a、27bによって閉塞されているため、遊技球の第2始動口22への入賞は抑止される。
【0041】
次に電動チューリップ27の不正防止機構について図3及び図5を参照しつつ説明する。ここで図5は、図3に示される羽根部材27aの先端部を拡大した拡大斜視図である。電動チューリップの羽根部材27a、27bは本実施形態では左右対称に配置される同一の構成品であるため、左に配置された羽根部材27aについてのみ説明をする。図3(b)に示されるように、羽根部材27aの先端には切れ込み形成部が形成されている。ここで説明の便宜のため、羽根部材27aに固定されたローカル座標軸X、Y、Z軸を設定する。具体的には、図3(a)、図3(b)に示されるように、羽根部材27aの奥側(遊技者の正面から見えない側)から手前側(遊技者の正面に見える側)に向かう方向にX軸を設定し、羽根部材27aの先端部から基端部に向かう方向にY軸を設定し、羽根部材27aの開姿勢の上面から下面に向かう方向にZ軸を設定する。
【0042】
羽根部材27aの切れ込み形成部は、羽根部材27aの先端部に形成される。切れ込み形成部には複数の切れ込みが形成され、その切れ込みは、羽根部材27aの開姿勢の上面から見て(XY平面において)Y軸正方向に切れ込んだV字型の形状を有し、羽根部材27aの開姿勢の上面から下面の方向(Z軸方向)に貫通するように形成される。詳細には後述するが、羽根部材27aの先端に形成されるV字型の切れ込みは、釣り糸を取り付けた不正遊技球を用いた不正操作が行われた際、当該釣り糸を食い込ませて不正遊技者による当該不正操作を防止するために設けられている。
【0043】
図5に示されるように、羽根部材27aの先端に形成された切れ込み形成部におけるV字型の切れ込みは、羽根部材27aの先端が最も広い開口幅となるように形成され、基端に向かうにつれ(Y軸正方向に向かうにつれ)、その開口幅がV字型に狭くなるように形成される。また、この先端の最も広い開口幅には、不正に用いられる釣り糸の想定されている直径よりも大きな値である最広開口幅Wが設定される。また、V字型の切れ込みのV字開口角度θは、できるだけ小さな鋭角にすることによって上記釣り糸が当該V字型の切れ込み内に食い込みやすくすることが望ましい。このような最広開口幅WおよびV字開口角度θと羽根部材27aのサイズとを考慮して、羽根部材27aの先端の切れ込み形成部に形成されるV字型の切れ込みの数を設定すればよい。なお、本実施形態においては、1つの切れ込みの開口幅はZの値に依存せず同じ値であり(羽根部材27aの開状態の上面から下面にかけて同じ開口幅である)、切れ込みの深さ(Y軸方向の切れ込みの長さ)もZの値に依存せず同じ値である(羽根部材27aの開状態の上面から下面にかけて同じ深さである)。また、本実施形態では、前述した切れ込みと同一形状の切れ込みがX軸方向に所定の間隔を隔ててZ軸と略平行になるように複数並んで羽根部材27aの切れ込み形成部を形成している。この場合、同一の型で複数の切れ込みを形成することができるので切れ込みの形成が容易になる。ただし、羽根部材27aの切れ込み形成部は、異なる形状のV字型の切れ込みを複数形成することによって形成されてもよい。
【0044】
次に、前述のような構成を有する電動チューリップ27が、不正防止機構として機能する際の動作例を説明する。図6は、不正防止機構を備えた電動チューリップ27が姿勢変化をすることによって釣り糸が切れ込み形成部に食い込む様子を模式的に描いた図である。また、図7は、釣り糸が切れ込みの1つに食い込む様子を拡大して描いた拡大図である。図6(a)に示されるように、電動チューリップ27(ここでは、一方の羽根部材27aのみを記載)が開姿勢の状態であるときに、不正遊技者は釣り糸に取り付けられた不正遊技球を第2始動口22に不正に入賞させる。一般に、第2始動口22の直上には第1始動口21が配置されているため、不正遊技者が第2始動口22に不正遊技球を入賞させるためには、遊技領域20に配置された遊技クギなどの障害物との接触を経て、第2始動口22の左上方又は右上方から入賞させることとなり、第2始動口22の直上から入賞させることはできない。したがって、不正遊技球を第2始動口22に入賞させるように釣り糸によって誘導した場合には、不正遊技球の誘導の経路(すなわち、釣り糸の移動経路)は、第2始動口22の直上から左又は右に偏ったものとなる。図6(a)は、不正遊技球が左上方から誘導されて第2始動口22に不正入賞している一例を示している。
【0045】
その後、所定のタイミングで、電動チューリップ27が閉姿勢に姿勢変化するために、羽根部材27aが支軸28aを中心に時計回りに回動を開始する。このとき、釣り糸は第2始動口22の左上方に延びているため、羽根部材27aの先端部に形成された切れ込み形成部が釣り糸に接触する(図6(b)、図7(a)参照)。そして、切れ込み形成部に設けられた1つのV字型の切れ込みの先端部(釣り糸の直径よりも広い開口部を有する部分)において、釣り糸は切れ込みの内部に嵌る。この際、釣り糸には遊技球の重力による下向きの力と、不正遊技者が遊技球を上下に動かすために釣り糸の一端を押し引きして加えた上向きの力との両者の力により、一定のテンション(張力)が加わっている。そのため、釣り糸は弛んだ状態よりも切れ込みの内部に嵌りやすい状態となっている。また、切れ込みは、Y軸方向に開口を有するとともに先端部においてZ軸方向にも貫通して開口しているため、釣り糸が最初に羽根部材27aに接触したときに、より嵌り易い構造となっている。
【0046】
さらに回動が進むと、羽根部材27aは、第2始動口22から左上方に延びて配置された釣り糸を横切るように回動する。このとき、釣り糸は右方に行くほど下方に配置されているので、羽根部材27aが、回動することによって右方に変位すると、釣り糸は、より切れ込みの開口幅が狭くなる方向(Y軸正方向)に誘導され、例えば図7(b)に示される食い込み箇所Aにおいて切れ込みに食い込み固定される。このことにより、釣り糸が切れ込み形成部の内部で捕捉される(図6(c)、図7(b)参照)。
【0047】
前述した釣り糸が切れ込みに食い込んで捕捉された状態は、当該釣り糸の一端を押し引きしても解消することは難しい。例えば、前述した釣り糸が切れ込みに食い込んだ状態で当該釣り糸の一端を押して当該釣り糸を弛ませるような操作をしたとしても、釣り糸が切れ込みから外れるような力が当該釣り糸の食い込み箇所Aに伝わるようなことがないため、上記食い込んだ状態が解消することはできない。また、不正遊技球を第2始動口22に入賞させるときの釣り糸が遊技領域20上で描く移動経路は、遊技クギ等の障害物との接触を経た後に第2始動口22に入賞する複雑な経路となることが多い。そのため、釣り糸の一端を引いたとしても、その力の方向は、切れ込みの開口幅が大きくなる方向(すなわちY軸負方向)に100%伝わることはなく、食い込み箇所AにおいてY軸負方向に大きな力を加えることが難しい。また、あまりに大きな力を加えると、釣り糸が食い込み箇所によって切れる場合がある。この場合には、不正遊技球は釣り糸から切れて落下することになり、その後不正行為を継続することが不可能になる。また、釣り糸が首尾よく食い込み箇所Aから抜けたとしても、電動チューリップ27は閉姿勢の状態であるため、不正遊技球は閉じた電動チューリップ27と第2始動口22によって囲まれる領域から外に出ることはできない(図8(a)参照)。また、この状態においても、釣り糸は切れ込みの内部に嵌っているため、釣り糸を弛ませて、第2始動口22に不正入賞させようとすると、遊技球の重力によって釣り糸は下方に誘導されて結局食い込み箇所Aに食い込んでしまう(図8(b)参照)。したがって、いずれにしても不正遊技者は、不正行為を継続することができない。
【0048】
なお、電動チューリップ27が開姿勢から閉姿勢になる時には、釣り糸にテンションをかけないで(弛ませて)切れ込みに釣り糸が捕捉されることを逃れるということも考えられる。しかし、電動チューリップ27が閉姿勢であるときに、釣り糸の一端を押し引きして、その他端に取り付けられた不正遊技球を上下に動かして第2始動口22へ継続的に不正入賞させようとするときには釣り糸にはテンションがかかる。このときには、前述したように、第2始動口22の直上から左右のいずれかに偏った方向にテンションがかかるため、当該不正操作を行おうとすれば、釣り糸は、羽根部材27a、27bのいずれかの切れ込み形成部に捕捉され、不正行為を継続することができない。
【0049】
このように、本発明の不正防止機構を有する電動チューリップ27によれば、釣り糸が取り付けられた不正遊技球を用いた不正が行われた場合、当該釣り糸が、回動する電動チューリップ27の先端部に設けられた切れ込み形成部に食い込むため、当該不正を防止することができる。
【0050】
また、本発明の不正防止機構を有する電動チューリップ27によれば、少なくとも電動チューリップ27が閉姿勢の状態であるときに不正入賞させることを防止することができる。したがって、前述したように第2始動口22に不正に入賞すると、他の入賞口や始動口に入賞する場合よりも遊技者にとって有利な遊技状態が創出されるパチンコ遊技機1において、ホールの被害をより効果的に防止することができる。
【0051】
[変形例1]
上記実施形態では、1つの切れ込みの深さ(Y軸方向の切れ込みの長さ)はZに依存せず同じ値であるとした。しかし、これに代え、例えば図9に示されるように、1つの切れ込みの深さはZが大きくなるほど浅くなる(羽根部材27aの開状態の上面から下面にかけて浅くなる)として、その分開口幅のY軸方向の漸減率を高くしてもよい。この場合、切れ込みの開口幅はZが大きくなる程、切れ込みの深さに比して開口幅が狭くなる。このため、釣り糸は、羽根部材27aの回動によって、最初に食い込み箇所Aにおいて切れ込みに食い込んだ後に、さらに切れ込み箇所Bにおいても切れ込みに食い込むことがある(あるいは、その順序は反対であってもよい)。したがって、食い込み箇所が1つであるときよりも、釣り糸がより強固に切れ込み形成部に捕捉されるという効果を奏することが期待される。
【0052】
[変形例2]
上記実施形態では、1つの切れ込みの開口幅はZの値に依存せず同じ幅であるとし、Y軸正方向に開口幅が狭くなるV字型の切れ込みであるとした。しかし、これに代え、例えば図10に示されるように、1つの切れ込みの開口幅はZの値が大きくなるほど狭くなる(羽根部材27aの開状態の上面から下面にかけて狭くなる)V字型の切れ込みであり、Z軸方向に貫通せず、Y軸方向には同じ開口幅を有する切れ込みとしてもよい。この場合、釣り糸は、羽根部材27aの回動によって、例えば食い込み箇所Cにおいて切れ込みに食い込んで切れ込み形成部に捕捉される。このとき、釣り糸は第2始動口22の左上方に延びているため、不正遊技者が釣り糸の一端を引いても、その力の大半は食い込み箇所Cにおいて左上方の向きに働き、さらに釣り糸が食い込み箇所Cに食い込むことになる。このことにより、釣り糸が不正遊技者の操作によっても抜けにくく、より強固に切れ込み形成部に捕捉されるという効果を奏することが期待される。
【0053】
[変形例3]
変形例2において、切れ込みは、さらにYの値が大きくなるほど狭くなる(羽根部材27aの先端部から基端部にかけて狭くなる)V字型の切れ込みであるとしてもよい。すなわち、切れ込みはY軸正方向及びZ軸正方向の両方向においてV字型の切れ込み形状を有する。この場合、釣り糸は、羽根部材27aの回動によって、最初に食い込み箇所Cにおいて切れ込みに食い込んだ後に、さらに食い込み箇所Aにおいても切れ込みに食い込むことがある(あるいは、その順序は反対であってもよい)。また、釣り糸は第2始動口22の左上方に延びているため、不正遊技者が釣り糸の一端を引いても、その力の大半は食い込み箇所Cにおいて左上方の向きに働き、さらに釣り糸が食い込み箇所Cに食い込むことになる。このことから、食い込み箇所が1つであるときよりも、釣り糸がより強固に切れ込み形成部に捕捉されるとともに、不正遊技者の操作によっても抜けにくいという効果を奏することが期待される。
【0054】
[その他の変形例]
なお、上記実施形態では、前述した不正行為には釣り糸が用いられるものとしたが、これに限られるものではなく、ピアノ線などの糸状の物が用いられるものとしても本発明が成立することは言うまでもない。
【0055】
また、上記実施形態では、切れ込み形成部における切れ込みの形状はV字型であるとしたが、釣り糸を捕捉できる形状であればこれに限られるものではない。例えば、図11に示されるように、所定の深さまでは一定の開口幅であり、当該所定の深さを超えてから先鋭形状となる(鉛筆型の)形状であってもよい。この場合、V字型の切れ込みよりも釣り糸に接触する際の開口幅が大きいため、釣り糸が最初に切れ込み形成部に嵌り易いという利点がある。
【0056】
また、上記実施形態では、電動チューリップ27の先端部の形状は多角形型の形状として例示(図示)したが、先端部に切れ込み形成部が形成される電動チューリップ27であれば、このような形状に限られるものではない。例えば、電動チューリップ27の先端部の形状は曲面形状であり、この先端部に切れ込みが形成されるものとしてもよい。この場合、多角形型の形状の場合よりも遊技球との接触によって電動チューリップが摩耗しにくいという利点がある。
【0057】
また、上記実施形態では、電動チューリップ27は左右対称の同一の羽根部材(羽根部材27a、27b)からなるとしたが、それぞれの羽根部材に切れ込み形成部が形成されていればこれに限られるものではなく、左右で異なる羽根部材が用いられてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、パチンコ遊技機1は、通常遊技状態であっても、第1始動口21に遊技球が入賞するよりも第2始動口22に遊技球が入賞した方が遊技者にとって有利になるように構成されているものとした。このような場合、本実施形態に係る電動チューリップ27は第2始動口22への不正入賞を狙った不正行為による不正な利益獲得を防止するのに特に効果を奏するが、このような構成を有しないパチンコ遊技機1に本発明が適用されてもよい。このような場合であっても、電動チューリップ27が閉姿勢であるにもかかわらず不正遊技球が継続して不正入賞するという不正行為を防止することができるので、不正遊技者が不正な利益を獲得することを防止することができる。
【0059】
また、上記実施形態では、電動チューリップ27の羽根部材の先端に切れ込み形成部が形成されるとした。しかし、電動チューリップ27の羽根部材に限られず、所定のタイミングで可動する可動部材に切れ込み形成部が形成されるものとしてもよい。例えばアタッカーに本発明が適用されてもよい。
【0060】
また、前述したパチンコ遊技機1に設けられている各構成要素の形状、数、および設置位置等は、単なる一例に過ぎず他の形状、数、および設置位置であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。
【0061】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。また、当業者は、本発明の具体的な実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0062】
[上記実施形態における作用効果]
以下、上記実施形態における作用効果について説明する。なお、特許請求の範囲の記載を解釈する際に、特許請求の範囲の記載によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解され、特許請求の範囲の記載と本作用効果の記載とが矛盾する場合には、特許請求の範囲の記載が優先する。また、本作用効果における括弧内の記載は、本発明の理解を助けるために上記実施形態との対応関係を示したものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0063】
本実施形態に係るパチンコ遊技機(1)は、遊技球が入る入球口(22)に近接配置された可動部材(27a、27b)と、上記入球口(22)を開放する動作と閉塞する動作とを上記可動部材(27a、27b)に実行させる開閉制御手段(101)とを備え、上記可動部材(27a、27b)には糸状物を捕捉可能な切れ込みが形成される。この構成によれば、入球口(例えば第2始動口22)に近接配置された可動部材(例えば羽根部材27a、27b)が可動させられることによって、この可動部材に形成された切れ込みが、糸状物(例えば不正遊技球に取り付けられた釣り糸)に接触し、当該釣り糸を捕捉することができる。このことにより、釣り糸が取り付けられた不正遊技球を第2始動口22に継続的に不正入賞させる不正行為を防止することができる。
【0064】
また、上記開閉制御手段(101)は、上記可動部材(27a、27b)を回動軸を中心に回動させることによって上記入球口(22)を開放及び閉塞させてもよい。この構成によれば、可動部材(例えば羽根部材27a、27b)が回動することによって当該可動部材に形成された切れ込みも回動し、回動する切れ込みが釣り糸を補足することにより、釣り糸による上記不正行為を防止することができる。
【0065】
また、上記回動軸は、上記可動部材(27a、27b)の基端部近傍に設けられ、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)の先端部に形成されてもよい。この構成によれば、可動部材(例えば羽根部材27a、27b)の基端部に比べて可動(回動)領域の大きい先端部に切れ込みが形成されているので、不正遊技球に取り付けられた釣り糸と当該切れ込みとが接触可能な領域が大きくなる。このことにより、可動部材の先端部に形成された切れ込みが、釣り糸をより捕捉しやすくなり、釣り糸による上記不正行為を防止することができる。
【0066】
また、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)の先端部から基端部に向かう方向(図3のY軸正方向)に形成されてもよい。この構成によれば、可動部材(例えば羽根部材27a)が、開姿勢(例えば第2始動口22を開放する姿勢;図3参照)から閉姿勢(例えば第2始動口22を閉塞する姿勢;図4参照)に戻る途中で、可動部材の周辺に配置された釣り糸の一部の方向と、可動部材に形成された切れ込みの方向とが略平行になる。このことにより、可動部材が更に閉姿勢に戻ると、釣り糸は、当該可動部材に形成された切れ込み内に嵌りやすくなる。したがって、切れ込みが釣り糸をより捕捉しやすくなり、釣り糸による上記不正行為を防止することができる。
【0067】
また、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)の先端部から基端部(図3のY軸正方向)に向かうほど当該切れ込みの開口幅が狭くなる形状を有してもよい。この構成によれば、切れ込みの開口幅は可動部材(例えば羽根部材27a)の先端部よりも基端部に向かうほど狭くなる。このことにより、釣り糸は、可動領域が大きく、開口部も大きな可動部材の先端部の切れ込みに最初に接触して当該切れ込みの内部に嵌った後に、可動部材の回動(閉姿勢に戻る姿勢変化)に伴って当該切れ込み内部において基端部側に誘導され、開口幅の狭くなった切れ込み内部において捕捉されて固定される。したがって、切れ込みが釣り糸をより抜けにくい状態で捕捉することができ、釣り糸による上記不正行為を防止することができる。
【0068】
また、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)が回動する方向(図3、図7のZ軸方向)に当該可動部材(27a、27b)を貫通して形成されてもよい。この構成によれば、可動部材(例えば羽根部材27a)が、開姿勢(例えば第2始動口22を開放する姿勢;図3参照)から閉姿勢(例えば第2始動口22を閉塞する姿勢;図4参照)に戻る途中で釣り糸と接触する切れ込みの開口面積が大きいため、最初に釣り糸を切れ込みの内部に嵌り込ませることが容易となる。したがって、釣り糸をより捕捉しやすくなり、釣り糸による上記不正行為を防止することができる。
【0069】
また、上記切れ込みは、上記開閉制御手段(101)によって上記入球口(22)を閉塞させた上記可動部材(27a、27b)が当該入球口(22)を開放させるために回動する向き(図3、図10のZ軸正方向)に向かうほど当該切れ込みの開口幅が狭くなる形状を有してもよい。釣り糸は、可動部材(例えば羽根部材27a)が、開姿勢(例えば第2始動口22を開放する姿勢;図3参照)から閉姿勢(例えば第2始動口22を閉塞する姿勢;図4)に戻る途中で、可動部材の回動の前方から後方に向かって接触していく。したがって、この構成によれば、釣り糸は可動部材の回動の前方にある開口部の大きな切れ込みに最初に接触して当該切れ込みの内部に嵌った後に、可動部材の回動(閉姿勢に戻る姿勢変化)に伴って当該切れ込み内部において可動部材の回動の後方側に誘導され、開口幅の狭くなった切れ込み内部において捕捉されて固定される。したがって、切れ込みが釣り糸をより抜けにくい状態で捕捉することができ、釣り糸による上記不正行為を防止することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 パチンコ遊技機
21 第1始動口
22 第2始動口
25 ゲート
27 電動チューリップ
27a,27b 羽根部材
101 CPU
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。具体的には、本発明は、不正防止機能を備えるパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パチンコ遊技機(例えば、特許文献1に記載のもの)において、釣り糸を取り付けた不正遊技球を上皿から遊技領域へ送り込んで不正に賞球を得たり、あるいは不正に抽選を始動させたりといった不正行為(いわゆる、釣り糸ゴト行為)の発生が問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−110528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの場合、上記釣り糸ゴト行為には、視認され難い透明な釣り糸が使用されるため、ホールの店員が釣り糸ゴト行為を発見するのは容易ではない。また、不正遊技球が排出口を介して遊技領域の外に排出されてしまうと、釣り糸ゴト行為を行った不正遊技者を特定することは困難である。
【0005】
さらに、パチンコ遊技機の中には、遊技球が電動チューリップ(いわゆる、電チュー)の直下に配置された始動口に入賞すると、遊技球が他の入賞口や始動口に入賞する場合よりも遊技者にとって有利な遊技状態を創出するものが多い。このため、このようなパチンコ遊技機において、電チューの直下に配置された始動口への不正入賞を狙った釣り糸ゴト行為が行われると、他の入賞口や始動口を狙った釣り糸ゴト行為が行われる場合に比べて不正遊技者が不正な利益を獲得しやすくなる。この結果、ホール(パチンコ店)の被害が大きくなるといった問題がある。
【0006】
それ故に、本発明の目的は、上記した釣り糸ゴト行為を防止し、当該行為による不正遊技者の不正な利益の獲得を防止するパチンコ遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために以下の構成を採用した。なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0008】
本実施形態に係るパチンコ遊技機(1)は、遊技球が入る入球口(22)に近接配置された可動部材(27a、27b)と、上記入球口(22)を開放する動作と閉塞する動作とを上記可動部材(27a、27b)に実行させる開閉制御手段(101)とを備え、上記可動部材(27a、27b)には糸状物を捕捉可能な切れ込みが形成される。
【0009】
また、上記開閉制御手段(101)は、上記可動部材(27a、27b)を回動軸を中心に回動させることによって上記入球口(22)を開放及び閉塞させてもよい。
【0010】
また、上記回動軸は、上記可動部材(27a、27b)の基端部近傍に設けられ、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)の先端部に形成されてもよい。
【0011】
また、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)の先端部から基端部に向かう方向(図3のY軸正方向)に形成されてもよい。
【0012】
また、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)の先端部から基端部(図3のY軸正方向)に向かうほど当該切れ込みの開口幅が狭くなる形状を有してもよい。
【0013】
また、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)が回動する方向(図3、図7のZ軸方向)に当該可動部材(27a、27b)を貫通して形成されてもよい。
【0014】
また、上記切れ込みは、上記開閉制御手段(101)によって上記入球口(22)を閉塞させた上記可動部材(27a、27b)が当該入球口(22)を開放させるために回動する向き(図3、図10のZ軸正方向)に向かうほど当該切れ込みの開口幅が狭くなる形状を有してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記した釣り糸ゴト行為を防止し、当該行為による不正遊技者の不正な利益の獲得を防止するパチンコ遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】パチンコ遊技機1の一例を示す概略正面図
【図2】パチンコ遊技機1の制御装置の構成の一例を示すブロック図
【図3】開姿勢にある電動チューリップ27の一例を示す概略図
【図4】閉姿勢にある電動チューリップ27の一例を示す概略図
【図5】羽根部材27aの先端部の拡大斜視図
【図6】電動チューリップ27が姿勢変化する様子を示す模式図
【図7】釣り糸が切れ込み形成部に捕捉される様子を示す模式図
【図8】釣り糸が切れ込み形成部に捕捉された後の様子を示す模式図
【図9】変形例における切れ込み形成部の一例を示す概略図
【図10】変形例における切れ込み形成部の一例を示す概略図
【図11】変形例における切れ込み形成部の一例を示す概略図
【図12】変形例における切れ込み形成部の一例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0017】
(パチンコ遊技機の概略構成)
まず、図1を参照しつつ、パチンコ遊技機1の概略構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1の概略正面図である。図1に示されるように、パチンコ遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材3とを備えている。枠部材3は、遊技盤2の表面側(図1の紙面手前側)に遊技盤2と所定の間隔を隔てて平行に配置された透明なガラス板(図示省略)を支持する部材であり、遊技盤2に対して開閉可能に構成されている。
【0018】
枠部材3に支持されたガラス板と遊技盤2との間には、遊技球が移動する遊技領域20が形成されている。遊技者がハンドル31を握ってレバー32を時計回りに回転させると、皿39に溜められた遊技球がハンドル31の回転角度に応じた打球力で発射装置(図示省略)から発射される。発射された遊技球は、遊技領域20の上部位置へ案内され、遊技領域20に配置された遊技クギ(図示省略)や風車(図示省略)等に接触することでその移動方向を変化させながら遊技盤2に沿って落下する。
【0019】
遊技盤2または枠部材3には、各種演出を行う液晶表示器5、盤ランプ8、枠ランプ36、可動役物7、およびスピーカ部35などが設けられている。
【0020】
遊技領域20には、入賞や抽選に関する役物として、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、普通入賞口24、およびゲート25が設けられている。パチンコ遊技機1では、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、または普通入賞口24に遊技球が入賞すると、入賞した場所に応じた個数の賞球が皿39に払い出される。なお、入賞しなかった遊技球は、排出口26を介して遊技領域20の外に排出される。
【0021】
第1始動口21は、常時開放されている始動口である。この第1始動口21に遊技球が入賞すると、大当たり抽選としての第1特別図柄抽選が実行される。一方の第2始動口22は、通常は遊技球の進入経路が閉塞されており、普通電動役物としての電動チューリップ27が作動している間だけ開放される始動口である。この第2始動口22に遊技球が入賞すると、大当たり抽選としての第2特別図柄抽選が実行される。これらの第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選に当選することで大入賞口23が開放され、遊技者が多量の賞球を得ることが可能な大当たり遊技を楽しむことができる。なお、以下の説明では、第1特別図柄抽選と第2特別図柄抽選とを総称して「特別図柄抽選」と呼称するものとする。
【0022】
遊技領域20の所定位置(本実施形態では遊技盤2を正面から見て液晶表示器5の左側の位置)に、ゲート25が設けられている。このゲート25を遊技球が通過すると、電動チューリップ27の開閉抽選(普通図柄抽選)が実行される。電動チューリップ27は、左右対称の一対の羽根部材27a、27b(図3参照)からなり、これらの羽根部材27a、27bの間に形成された第2始動口22を閉塞する閉姿勢(図4参照)と、当該第2始動口22を開放して第2始動口22に遊技球を案内する開姿勢(図3参照)との間で姿勢変化可能に構成されている。普通図柄抽選に当選することで、この電動チューリップ27が作動して第2始動口22が一時的に開放される。
【0023】
ところで、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、特別図柄抽選や普通図柄抽選の当選確率を上昇させず、普通図柄の変動時間の短縮も行わない通常遊技状態において普通図柄抽選に当選した場合に、電動チューリップ27に第1動作又は第2動作を行わせることとしている。ここで、第1動作は、第2始動口22に遊技球が入賞可能に第2始動口22を開放する動作であり、本実施形態では、第2始動口22を開放した開姿勢を0.1秒間維持した後に閉姿勢に戻る動作を2回繰り返す動作である。また、第2動作は、第1動作が行われた場合よりも多くの遊技球が第2始動口22に入賞可能に第2始動口22を開放する動作であり、本実施形態では、第2始動口22を開放した開姿勢を5秒間維持した後に閉姿勢に戻る動作を1回行う動作である。
【0024】
一方、パチンコ遊技機1は、例えば、第1始動口21に入賞した遊技球で大当たりした場合の35%が16R(ラウンド)確変大当たりとなるのに対して、第2始動口22に入賞した遊技球で大当たりした場合の65%が16R確変大当たりとなるというように、第1始動口21に遊技球が入賞するよりも第2始動口22に遊技球が入賞した方が遊技者にとって有利になるように構成されている。
【0025】
このように、電動チューリップ27の第2動作が行われた場合には第1動作が行われる場合に比べて第2始動口22がより長い期間開放され、更に、第2始動口22に遊技球が入賞して第2特別図柄抽選が行われると、第1特別図柄抽選が行われるときよりも大当たりとなった場合に遊技者にとって有利になるという状況がある。したがって、このようなパチンコ遊技機1においては、不正遊技者が釣り糸ゴト行為によって、不正遊技球を第2始動口22に不正に入賞させると、ホールの被害がより大きくなることがある。
【0026】
[パチンコ遊技機1の制御装置の構成]
次に、図2を参照しつつ、パチンコ遊技機1の制御装置について説明する。ここで、図2は、パチンコ遊技機1の制御装置の構成例を示すブロック図である。パチンコ遊技機1の制御装置は、遊技盤2の裏面側(図1の紙面奥側)に設けられ、図2に示されるように、遊技制御部100、演出制御部130、画像音響制御部140、ランプ制御部150等を備えている。
【0027】
[遊技制御部100の構成]
遊技制御部100は、CPU101、ROM102、及びRAM103を備えている。CPU101は、ROM102に記憶されたプログラムに基づいて、内部抽選や当選の判定等の払い出し賞球数に関連する各種の演算処理を行う。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
【0028】
この遊技制御部100には、第1始動口スイッチ(SW)111、第2始動口スイッチ(SW)112、電動チューリップ開閉部113、ゲートスイッチ(SW)114、大入賞口スイッチ(SW)115、大入賞口制御部116、及び普通入賞口スイッチ(SW)117が接続されている。
【0029】
第1始動口スイッチ111は、遊技球が第1始動口21に入賞したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。第2始動口スイッチ112は、遊技球が第2始動口22に入賞したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。電動チューリップ開閉部113は、普通図柄抽選に当選した場合の遊技制御部100からの指示に基づいて、電動チューリップ27の一対の羽根部材27a、27bを姿勢変化させるための電動ソレノイドを作動させる。ゲートスイッチ114は、遊技球がゲート25を通過したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。大入賞口スイッチ115は、遊技球が大入賞口23に入賞したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。大入賞口制御部116は、特別図柄抽選に当選した場合の遊技制御部100からの指示に基づいて大入賞口23を開放してから閉塞するラウンドを繰り返す。この大入賞口制御部116は、大入賞口23のプレートを作動させる電動ソレノイド等を有して構成されている。普通入賞口スイッチ117は、遊技球が普通入賞口24に入賞したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。
【0030】
遊技制御部100のCPU101は、第1始動口スイッチ111からの検出信号が入力されたタイミングで取得した乱数を用いて第1特別図柄抽選を実行し、第2始動口スイッチ112からの検出信号が入力されたタイミングで取得した乱数を用いて第2特別図柄抽選を実行する。そして、特別図柄抽選に当選すると、大入賞口制御部116を介して大入賞口23の開閉を制御する。また、CPU101は、特別図柄抽選の結果に応じて決定した特別図柄抽選の当選確率の変動設定や、特別図柄の変動時間の短縮設定を示すデータ、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞したことを通知するための情報等を演出制御部130へ送信する。
【0031】
CPU101は、ゲートスイッチ114から入力されたタイミングで取得した乱数を用いて普通図柄抽選を実行する。そして、この普通図柄抽選に当選すると、電動チューリップ開閉部113を介して電動チューリップ27の動作を制御する。具体的には、CPU101は、パチンコ遊技機1が通常遊技状態又は潜伏遊技状態のときに普通図柄抽選に当選した場合、第2始動口22を開放した開姿勢を0.1秒間維持してから閉姿勢に戻る動作を2回繰り返す第1動作、又は第2始動口22を開放した開姿勢を5秒間維持してから閉姿勢に戻る動作を1回行う第2動作を電動チューリップ開閉部113を介して電動チューリップ27に実行させる。一方、パチンコ遊技機1が確変遊技状態又は時短遊技状態のときに普通図柄抽選に当選した場合、第2始動口22を開放した開姿勢を1.8秒間維持してから閉姿勢に戻る動作を3回繰り返す第3動作を電動チューリップ開閉部113を介して電動チューリップ27に実行させる。なお、パチンコ遊技機1が確変遊技状態又は時短遊技状態のときは、通常遊技状態の時に比べて、普通図柄の変動時間が短縮されると共に、普通図柄抽選に当選する確率が上昇する。このように、パチンコ遊技機1の遊技状態が確変遊技状態又は時短遊技状態である場合には電動チューリップ27が頻繁に開姿勢に姿勢変化されて第2始動口22への遊技球の入賞がサポートされる。このため、確変遊技状態又は時短遊技状態のときの電動チューリップ27の動作は、「電チューサポート」或いは「電サポ」と呼ばれる。
【0032】
CPU101は、第1始動口スイッチ111、第2始動口スイッチ112、大入賞口スイッチ115、又は普通入賞口スイッチ117からの検出信号が入力されると、遊技球が入賞した場所に応じた所定数の賞球の払い出しを不図示の払出制御部に指示し、払出制御部からの情報に基づいて、払い出す賞球の個数を管理する。
【0033】
[演出制御部130の構成]
演出制御部130は、遊技制御部100から送られる特別図柄抽選の結果等を示すデータや、電動チューリップ27の動作パターンを示す情報等に基づいて、演出内容を設定する。また、演出制御部130は、設定した演出内容の演出の実行を指示するコマンドを画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信する。
【0034】
[画像音響制御部140の構成]
画像音響制御部140は、演出制御部130からの指示に基づいて演出内容を表現する画像を制御する際の演算処理を行う。画像音響制御部140は、液晶表示器5に表示される演出画像を生成、出力し、スピーカ35から出力される音響データを生成、出力する。
【0035】
[ランプ制御部150の構成]
ランプ制御部150は、盤ランプ8や枠ランプ36、及び可動役物7の動作を制御する際の演算処理を行う。演出制御部130からの指示に対応する発光パターンデータを読み出して、盤ランプ8、枠ランプ36、及び役物ランプの発光を制御する。また、演出制御部130からの指示に対応する動作パターンデータを読み出して、可動役物7の動作を制御する。
【0036】
(遊技機における不正防止機構)
次に、本実施形態における電動チューリップ27の構造について詳細に説明する。ところで、前述したように、本実施形態に係る遊技機1では、電動チューリップ27の直下に配置された第2始動口22に不正に入賞すると、通常遊技状態であっても他の入賞口や始動口に入賞する場合よりも遊技者にとって有利な遊技状態が創出されることがある。したがって不正遊技者は、電動チューリップ27が開姿勢の状態になったタイミングを狙って、釣り糸が取り付けられた不正遊技球を第2始動口22に入賞させようとする。さらに、一度第2始動口22に入賞させた後、釣り糸の一端を操作して釣り糸に取り付けられた不正遊技球を上下に動かすことで当該不正遊技球を第2始動口22に出し入れし、不正入賞(不正行為)を繰り返す。電動チューリップ27が開姿勢の状態であれば、上記不正行為がなくても第2始動口22への遊技球の入賞は可能となるが、電動チューリップ27が閉姿勢の状態であり、通常の遊技球は入賞不可能であるにもかかわらず、上記不正行為によって第2始動口22への入賞が検知され有利な遊技状態が不正に創出された結果、大当たりに発展してしまうと、ホールにとっては大きな被害となる。このため、電動チューリップ27が閉姿勢の状態において上記不正行為を防止できることが重要となる。
【0037】
本実施形態に係る電動チューリップ27は、上記した不正行為を防止する不正防止機構を備えた構造体として実装される。前述したように、電動チューリップ27は、開姿勢と閉姿勢との間でその姿勢が変化することによって、遊技球の第2始動口22への入賞を可能にしたり、その入賞を抑止したりする。本実施形態に係る電動チューリップ27は、この姿勢変化と、電動チューリップ27が有する不正防止機構によって、釣り糸ゴト行為を防止する。
【0038】
図3は、開姿勢(第2始動口22を開放する姿勢)にある電動チューリップ27の一例を示し、図3(a)はその概略正面斜視図であり、図3(b)はそれを上側から見た概略図である。図4は、閉姿勢(第2始動口22を閉塞する姿勢)にある電動チューリップ27の一例を示し、図4(a)はその概略正面斜視図であり、図4(b)はそれを上側から見た概略図である。なお、本発明と直接関係しない機構については、その図示等を省略している。
【0039】
図3(a)に示されるように、電動チューリップ27は、左右一対の羽根部材27a、27bを備える。また、羽根部材27a、27bは、遊技球が通過可能な間隔を置いて左右に対向した状態で配置され、相反する方向に支軸28a、28bを中心に回動して開く(電動チューリップ27が開姿勢になる)とともに、元の位置まで回動して閉じる(電動チューリップ27が閉姿勢になる;図4(a)参照)ことが可能に構成されている。具体的には、これらの羽根部材27a、27bの基端部近傍には、基端部を貫通する軸孔(図示せず)が設けられており、この軸孔の直径よりもやや小さい円筒状の支軸28a、28bが当該軸孔に挿し込まれる。このことにより、羽根部材27a、27bは支軸28a、28bを介して遊技盤2に取り付けられ、当該支軸28a、28bを中心に回動可能に構成される。なお、羽根部材27a、27bは、遊技制御部100からの指示に基づいて電動ソレノイドが作動されることによって、回動可能となる。
【0040】
電動チューリップ27が開姿勢(図3参照)にあるときには、第2始動口22は開放されているため、遊技球は入賞可能となり、電動チューリップ27が閉姿勢(図4参照)にあるときには、第2始動口22は、羽根部材27a、27bによって閉塞されているため、遊技球の第2始動口22への入賞は抑止される。
【0041】
次に電動チューリップ27の不正防止機構について図3及び図5を参照しつつ説明する。ここで図5は、図3に示される羽根部材27aの先端部を拡大した拡大斜視図である。電動チューリップの羽根部材27a、27bは本実施形態では左右対称に配置される同一の構成品であるため、左に配置された羽根部材27aについてのみ説明をする。図3(b)に示されるように、羽根部材27aの先端には切れ込み形成部が形成されている。ここで説明の便宜のため、羽根部材27aに固定されたローカル座標軸X、Y、Z軸を設定する。具体的には、図3(a)、図3(b)に示されるように、羽根部材27aの奥側(遊技者の正面から見えない側)から手前側(遊技者の正面に見える側)に向かう方向にX軸を設定し、羽根部材27aの先端部から基端部に向かう方向にY軸を設定し、羽根部材27aの開姿勢の上面から下面に向かう方向にZ軸を設定する。
【0042】
羽根部材27aの切れ込み形成部は、羽根部材27aの先端部に形成される。切れ込み形成部には複数の切れ込みが形成され、その切れ込みは、羽根部材27aの開姿勢の上面から見て(XY平面において)Y軸正方向に切れ込んだV字型の形状を有し、羽根部材27aの開姿勢の上面から下面の方向(Z軸方向)に貫通するように形成される。詳細には後述するが、羽根部材27aの先端に形成されるV字型の切れ込みは、釣り糸を取り付けた不正遊技球を用いた不正操作が行われた際、当該釣り糸を食い込ませて不正遊技者による当該不正操作を防止するために設けられている。
【0043】
図5に示されるように、羽根部材27aの先端に形成された切れ込み形成部におけるV字型の切れ込みは、羽根部材27aの先端が最も広い開口幅となるように形成され、基端に向かうにつれ(Y軸正方向に向かうにつれ)、その開口幅がV字型に狭くなるように形成される。また、この先端の最も広い開口幅には、不正に用いられる釣り糸の想定されている直径よりも大きな値である最広開口幅Wが設定される。また、V字型の切れ込みのV字開口角度θは、できるだけ小さな鋭角にすることによって上記釣り糸が当該V字型の切れ込み内に食い込みやすくすることが望ましい。このような最広開口幅WおよびV字開口角度θと羽根部材27aのサイズとを考慮して、羽根部材27aの先端の切れ込み形成部に形成されるV字型の切れ込みの数を設定すればよい。なお、本実施形態においては、1つの切れ込みの開口幅はZの値に依存せず同じ値であり(羽根部材27aの開状態の上面から下面にかけて同じ開口幅である)、切れ込みの深さ(Y軸方向の切れ込みの長さ)もZの値に依存せず同じ値である(羽根部材27aの開状態の上面から下面にかけて同じ深さである)。また、本実施形態では、前述した切れ込みと同一形状の切れ込みがX軸方向に所定の間隔を隔ててZ軸と略平行になるように複数並んで羽根部材27aの切れ込み形成部を形成している。この場合、同一の型で複数の切れ込みを形成することができるので切れ込みの形成が容易になる。ただし、羽根部材27aの切れ込み形成部は、異なる形状のV字型の切れ込みを複数形成することによって形成されてもよい。
【0044】
次に、前述のような構成を有する電動チューリップ27が、不正防止機構として機能する際の動作例を説明する。図6は、不正防止機構を備えた電動チューリップ27が姿勢変化をすることによって釣り糸が切れ込み形成部に食い込む様子を模式的に描いた図である。また、図7は、釣り糸が切れ込みの1つに食い込む様子を拡大して描いた拡大図である。図6(a)に示されるように、電動チューリップ27(ここでは、一方の羽根部材27aのみを記載)が開姿勢の状態であるときに、不正遊技者は釣り糸に取り付けられた不正遊技球を第2始動口22に不正に入賞させる。一般に、第2始動口22の直上には第1始動口21が配置されているため、不正遊技者が第2始動口22に不正遊技球を入賞させるためには、遊技領域20に配置された遊技クギなどの障害物との接触を経て、第2始動口22の左上方又は右上方から入賞させることとなり、第2始動口22の直上から入賞させることはできない。したがって、不正遊技球を第2始動口22に入賞させるように釣り糸によって誘導した場合には、不正遊技球の誘導の経路(すなわち、釣り糸の移動経路)は、第2始動口22の直上から左又は右に偏ったものとなる。図6(a)は、不正遊技球が左上方から誘導されて第2始動口22に不正入賞している一例を示している。
【0045】
その後、所定のタイミングで、電動チューリップ27が閉姿勢に姿勢変化するために、羽根部材27aが支軸28aを中心に時計回りに回動を開始する。このとき、釣り糸は第2始動口22の左上方に延びているため、羽根部材27aの先端部に形成された切れ込み形成部が釣り糸に接触する(図6(b)、図7(a)参照)。そして、切れ込み形成部に設けられた1つのV字型の切れ込みの先端部(釣り糸の直径よりも広い開口部を有する部分)において、釣り糸は切れ込みの内部に嵌る。この際、釣り糸には遊技球の重力による下向きの力と、不正遊技者が遊技球を上下に動かすために釣り糸の一端を押し引きして加えた上向きの力との両者の力により、一定のテンション(張力)が加わっている。そのため、釣り糸は弛んだ状態よりも切れ込みの内部に嵌りやすい状態となっている。また、切れ込みは、Y軸方向に開口を有するとともに先端部においてZ軸方向にも貫通して開口しているため、釣り糸が最初に羽根部材27aに接触したときに、より嵌り易い構造となっている。
【0046】
さらに回動が進むと、羽根部材27aは、第2始動口22から左上方に延びて配置された釣り糸を横切るように回動する。このとき、釣り糸は右方に行くほど下方に配置されているので、羽根部材27aが、回動することによって右方に変位すると、釣り糸は、より切れ込みの開口幅が狭くなる方向(Y軸正方向)に誘導され、例えば図7(b)に示される食い込み箇所Aにおいて切れ込みに食い込み固定される。このことにより、釣り糸が切れ込み形成部の内部で捕捉される(図6(c)、図7(b)参照)。
【0047】
前述した釣り糸が切れ込みに食い込んで捕捉された状態は、当該釣り糸の一端を押し引きしても解消することは難しい。例えば、前述した釣り糸が切れ込みに食い込んだ状態で当該釣り糸の一端を押して当該釣り糸を弛ませるような操作をしたとしても、釣り糸が切れ込みから外れるような力が当該釣り糸の食い込み箇所Aに伝わるようなことがないため、上記食い込んだ状態が解消することはできない。また、不正遊技球を第2始動口22に入賞させるときの釣り糸が遊技領域20上で描く移動経路は、遊技クギ等の障害物との接触を経た後に第2始動口22に入賞する複雑な経路となることが多い。そのため、釣り糸の一端を引いたとしても、その力の方向は、切れ込みの開口幅が大きくなる方向(すなわちY軸負方向)に100%伝わることはなく、食い込み箇所AにおいてY軸負方向に大きな力を加えることが難しい。また、あまりに大きな力を加えると、釣り糸が食い込み箇所によって切れる場合がある。この場合には、不正遊技球は釣り糸から切れて落下することになり、その後不正行為を継続することが不可能になる。また、釣り糸が首尾よく食い込み箇所Aから抜けたとしても、電動チューリップ27は閉姿勢の状態であるため、不正遊技球は閉じた電動チューリップ27と第2始動口22によって囲まれる領域から外に出ることはできない(図8(a)参照)。また、この状態においても、釣り糸は切れ込みの内部に嵌っているため、釣り糸を弛ませて、第2始動口22に不正入賞させようとすると、遊技球の重力によって釣り糸は下方に誘導されて結局食い込み箇所Aに食い込んでしまう(図8(b)参照)。したがって、いずれにしても不正遊技者は、不正行為を継続することができない。
【0048】
なお、電動チューリップ27が開姿勢から閉姿勢になる時には、釣り糸にテンションをかけないで(弛ませて)切れ込みに釣り糸が捕捉されることを逃れるということも考えられる。しかし、電動チューリップ27が閉姿勢であるときに、釣り糸の一端を押し引きして、その他端に取り付けられた不正遊技球を上下に動かして第2始動口22へ継続的に不正入賞させようとするときには釣り糸にはテンションがかかる。このときには、前述したように、第2始動口22の直上から左右のいずれかに偏った方向にテンションがかかるため、当該不正操作を行おうとすれば、釣り糸は、羽根部材27a、27bのいずれかの切れ込み形成部に捕捉され、不正行為を継続することができない。
【0049】
このように、本発明の不正防止機構を有する電動チューリップ27によれば、釣り糸が取り付けられた不正遊技球を用いた不正が行われた場合、当該釣り糸が、回動する電動チューリップ27の先端部に設けられた切れ込み形成部に食い込むため、当該不正を防止することができる。
【0050】
また、本発明の不正防止機構を有する電動チューリップ27によれば、少なくとも電動チューリップ27が閉姿勢の状態であるときに不正入賞させることを防止することができる。したがって、前述したように第2始動口22に不正に入賞すると、他の入賞口や始動口に入賞する場合よりも遊技者にとって有利な遊技状態が創出されるパチンコ遊技機1において、ホールの被害をより効果的に防止することができる。
【0051】
[変形例1]
上記実施形態では、1つの切れ込みの深さ(Y軸方向の切れ込みの長さ)はZに依存せず同じ値であるとした。しかし、これに代え、例えば図9に示されるように、1つの切れ込みの深さはZが大きくなるほど浅くなる(羽根部材27aの開状態の上面から下面にかけて浅くなる)として、その分開口幅のY軸方向の漸減率を高くしてもよい。この場合、切れ込みの開口幅はZが大きくなる程、切れ込みの深さに比して開口幅が狭くなる。このため、釣り糸は、羽根部材27aの回動によって、最初に食い込み箇所Aにおいて切れ込みに食い込んだ後に、さらに切れ込み箇所Bにおいても切れ込みに食い込むことがある(あるいは、その順序は反対であってもよい)。したがって、食い込み箇所が1つであるときよりも、釣り糸がより強固に切れ込み形成部に捕捉されるという効果を奏することが期待される。
【0052】
[変形例2]
上記実施形態では、1つの切れ込みの開口幅はZの値に依存せず同じ幅であるとし、Y軸正方向に開口幅が狭くなるV字型の切れ込みであるとした。しかし、これに代え、例えば図10に示されるように、1つの切れ込みの開口幅はZの値が大きくなるほど狭くなる(羽根部材27aの開状態の上面から下面にかけて狭くなる)V字型の切れ込みであり、Z軸方向に貫通せず、Y軸方向には同じ開口幅を有する切れ込みとしてもよい。この場合、釣り糸は、羽根部材27aの回動によって、例えば食い込み箇所Cにおいて切れ込みに食い込んで切れ込み形成部に捕捉される。このとき、釣り糸は第2始動口22の左上方に延びているため、不正遊技者が釣り糸の一端を引いても、その力の大半は食い込み箇所Cにおいて左上方の向きに働き、さらに釣り糸が食い込み箇所Cに食い込むことになる。このことにより、釣り糸が不正遊技者の操作によっても抜けにくく、より強固に切れ込み形成部に捕捉されるという効果を奏することが期待される。
【0053】
[変形例3]
変形例2において、切れ込みは、さらにYの値が大きくなるほど狭くなる(羽根部材27aの先端部から基端部にかけて狭くなる)V字型の切れ込みであるとしてもよい。すなわち、切れ込みはY軸正方向及びZ軸正方向の両方向においてV字型の切れ込み形状を有する。この場合、釣り糸は、羽根部材27aの回動によって、最初に食い込み箇所Cにおいて切れ込みに食い込んだ後に、さらに食い込み箇所Aにおいても切れ込みに食い込むことがある(あるいは、その順序は反対であってもよい)。また、釣り糸は第2始動口22の左上方に延びているため、不正遊技者が釣り糸の一端を引いても、その力の大半は食い込み箇所Cにおいて左上方の向きに働き、さらに釣り糸が食い込み箇所Cに食い込むことになる。このことから、食い込み箇所が1つであるときよりも、釣り糸がより強固に切れ込み形成部に捕捉されるとともに、不正遊技者の操作によっても抜けにくいという効果を奏することが期待される。
【0054】
[その他の変形例]
なお、上記実施形態では、前述した不正行為には釣り糸が用いられるものとしたが、これに限られるものではなく、ピアノ線などの糸状の物が用いられるものとしても本発明が成立することは言うまでもない。
【0055】
また、上記実施形態では、切れ込み形成部における切れ込みの形状はV字型であるとしたが、釣り糸を捕捉できる形状であればこれに限られるものではない。例えば、図11に示されるように、所定の深さまでは一定の開口幅であり、当該所定の深さを超えてから先鋭形状となる(鉛筆型の)形状であってもよい。この場合、V字型の切れ込みよりも釣り糸に接触する際の開口幅が大きいため、釣り糸が最初に切れ込み形成部に嵌り易いという利点がある。
【0056】
また、上記実施形態では、電動チューリップ27の先端部の形状は多角形型の形状として例示(図示)したが、先端部に切れ込み形成部が形成される電動チューリップ27であれば、このような形状に限られるものではない。例えば、電動チューリップ27の先端部の形状は曲面形状であり、この先端部に切れ込みが形成されるものとしてもよい。この場合、多角形型の形状の場合よりも遊技球との接触によって電動チューリップが摩耗しにくいという利点がある。
【0057】
また、上記実施形態では、電動チューリップ27は左右対称の同一の羽根部材(羽根部材27a、27b)からなるとしたが、それぞれの羽根部材に切れ込み形成部が形成されていればこれに限られるものではなく、左右で異なる羽根部材が用いられてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、パチンコ遊技機1は、通常遊技状態であっても、第1始動口21に遊技球が入賞するよりも第2始動口22に遊技球が入賞した方が遊技者にとって有利になるように構成されているものとした。このような場合、本実施形態に係る電動チューリップ27は第2始動口22への不正入賞を狙った不正行為による不正な利益獲得を防止するのに特に効果を奏するが、このような構成を有しないパチンコ遊技機1に本発明が適用されてもよい。このような場合であっても、電動チューリップ27が閉姿勢であるにもかかわらず不正遊技球が継続して不正入賞するという不正行為を防止することができるので、不正遊技者が不正な利益を獲得することを防止することができる。
【0059】
また、上記実施形態では、電動チューリップ27の羽根部材の先端に切れ込み形成部が形成されるとした。しかし、電動チューリップ27の羽根部材に限られず、所定のタイミングで可動する可動部材に切れ込み形成部が形成されるものとしてもよい。例えばアタッカーに本発明が適用されてもよい。
【0060】
また、前述したパチンコ遊技機1に設けられている各構成要素の形状、数、および設置位置等は、単なる一例に過ぎず他の形状、数、および設置位置であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。
【0061】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。また、当業者は、本発明の具体的な実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0062】
[上記実施形態における作用効果]
以下、上記実施形態における作用効果について説明する。なお、特許請求の範囲の記載を解釈する際に、特許請求の範囲の記載によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解され、特許請求の範囲の記載と本作用効果の記載とが矛盾する場合には、特許請求の範囲の記載が優先する。また、本作用効果における括弧内の記載は、本発明の理解を助けるために上記実施形態との対応関係を示したものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0063】
本実施形態に係るパチンコ遊技機(1)は、遊技球が入る入球口(22)に近接配置された可動部材(27a、27b)と、上記入球口(22)を開放する動作と閉塞する動作とを上記可動部材(27a、27b)に実行させる開閉制御手段(101)とを備え、上記可動部材(27a、27b)には糸状物を捕捉可能な切れ込みが形成される。この構成によれば、入球口(例えば第2始動口22)に近接配置された可動部材(例えば羽根部材27a、27b)が可動させられることによって、この可動部材に形成された切れ込みが、糸状物(例えば不正遊技球に取り付けられた釣り糸)に接触し、当該釣り糸を捕捉することができる。このことにより、釣り糸が取り付けられた不正遊技球を第2始動口22に継続的に不正入賞させる不正行為を防止することができる。
【0064】
また、上記開閉制御手段(101)は、上記可動部材(27a、27b)を回動軸を中心に回動させることによって上記入球口(22)を開放及び閉塞させてもよい。この構成によれば、可動部材(例えば羽根部材27a、27b)が回動することによって当該可動部材に形成された切れ込みも回動し、回動する切れ込みが釣り糸を補足することにより、釣り糸による上記不正行為を防止することができる。
【0065】
また、上記回動軸は、上記可動部材(27a、27b)の基端部近傍に設けられ、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)の先端部に形成されてもよい。この構成によれば、可動部材(例えば羽根部材27a、27b)の基端部に比べて可動(回動)領域の大きい先端部に切れ込みが形成されているので、不正遊技球に取り付けられた釣り糸と当該切れ込みとが接触可能な領域が大きくなる。このことにより、可動部材の先端部に形成された切れ込みが、釣り糸をより捕捉しやすくなり、釣り糸による上記不正行為を防止することができる。
【0066】
また、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)の先端部から基端部に向かう方向(図3のY軸正方向)に形成されてもよい。この構成によれば、可動部材(例えば羽根部材27a)が、開姿勢(例えば第2始動口22を開放する姿勢;図3参照)から閉姿勢(例えば第2始動口22を閉塞する姿勢;図4参照)に戻る途中で、可動部材の周辺に配置された釣り糸の一部の方向と、可動部材に形成された切れ込みの方向とが略平行になる。このことにより、可動部材が更に閉姿勢に戻ると、釣り糸は、当該可動部材に形成された切れ込み内に嵌りやすくなる。したがって、切れ込みが釣り糸をより捕捉しやすくなり、釣り糸による上記不正行為を防止することができる。
【0067】
また、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)の先端部から基端部(図3のY軸正方向)に向かうほど当該切れ込みの開口幅が狭くなる形状を有してもよい。この構成によれば、切れ込みの開口幅は可動部材(例えば羽根部材27a)の先端部よりも基端部に向かうほど狭くなる。このことにより、釣り糸は、可動領域が大きく、開口部も大きな可動部材の先端部の切れ込みに最初に接触して当該切れ込みの内部に嵌った後に、可動部材の回動(閉姿勢に戻る姿勢変化)に伴って当該切れ込み内部において基端部側に誘導され、開口幅の狭くなった切れ込み内部において捕捉されて固定される。したがって、切れ込みが釣り糸をより抜けにくい状態で捕捉することができ、釣り糸による上記不正行為を防止することができる。
【0068】
また、上記切れ込みは、上記可動部材(27a、27b)が回動する方向(図3、図7のZ軸方向)に当該可動部材(27a、27b)を貫通して形成されてもよい。この構成によれば、可動部材(例えば羽根部材27a)が、開姿勢(例えば第2始動口22を開放する姿勢;図3参照)から閉姿勢(例えば第2始動口22を閉塞する姿勢;図4参照)に戻る途中で釣り糸と接触する切れ込みの開口面積が大きいため、最初に釣り糸を切れ込みの内部に嵌り込ませることが容易となる。したがって、釣り糸をより捕捉しやすくなり、釣り糸による上記不正行為を防止することができる。
【0069】
また、上記切れ込みは、上記開閉制御手段(101)によって上記入球口(22)を閉塞させた上記可動部材(27a、27b)が当該入球口(22)を開放させるために回動する向き(図3、図10のZ軸正方向)に向かうほど当該切れ込みの開口幅が狭くなる形状を有してもよい。釣り糸は、可動部材(例えば羽根部材27a)が、開姿勢(例えば第2始動口22を開放する姿勢;図3参照)から閉姿勢(例えば第2始動口22を閉塞する姿勢;図4)に戻る途中で、可動部材の回動の前方から後方に向かって接触していく。したがって、この構成によれば、釣り糸は可動部材の回動の前方にある開口部の大きな切れ込みに最初に接触して当該切れ込みの内部に嵌った後に、可動部材の回動(閉姿勢に戻る姿勢変化)に伴って当該切れ込み内部において可動部材の回動の後方側に誘導され、開口幅の狭くなった切れ込み内部において捕捉されて固定される。したがって、切れ込みが釣り糸をより抜けにくい状態で捕捉することができ、釣り糸による上記不正行為を防止することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 パチンコ遊技機
21 第1始動口
22 第2始動口
25 ゲート
27 電動チューリップ
27a,27b 羽根部材
101 CPU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が入る入球口に近接配置された可動部材と、
前記入球口を開放する動作と閉塞する動作とを前記可動部材に実行させる開閉制御手段とを備え、
前記可動部材には糸状物を捕捉可能な切れ込みが形成される、パチンコ遊技機。
【請求項2】
前記開閉制御手段は、前記可動部材を回動軸を中心に回動させることによって前記入球口を開放及び閉塞させる、請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
前記回動軸は、前記可動部材の基端部近傍に設けられ、
前記切れ込みは、前記可動部材の先端部に形成される、請求項2に記載のパチンコ遊技機。
【請求項4】
前記切れ込みは、前記可動部材の前記先端部から前記基端部に向かう方向に形成される、請求項3に記載のパチンコ遊技機。
【請求項5】
前記切れ込みは、前記可動部材の前記先端部から前記基端部に向かうほど当該切れ込みの開口幅が狭くなる形状を有する、請求項4に記載のパチンコ遊技機。
【請求項6】
前記切れ込みは、前記可動部材が回動する方向に当該可動部材を貫通して形成される、請求項2乃至5のいずれかに記載のパチンコ遊技機。
【請求項7】
前記切れ込みは、前記開閉制御手段によって前記入球口を閉塞させた前記可動部材が当該入球口を開放させるために回動する向きに向かうほど当該切れ込みの開口幅が狭くなる形状を有する、請求項2乃至5のいずれかに記載のパチンコ遊技機。
【請求項1】
遊技球が入る入球口に近接配置された可動部材と、
前記入球口を開放する動作と閉塞する動作とを前記可動部材に実行させる開閉制御手段とを備え、
前記可動部材には糸状物を捕捉可能な切れ込みが形成される、パチンコ遊技機。
【請求項2】
前記開閉制御手段は、前記可動部材を回動軸を中心に回動させることによって前記入球口を開放及び閉塞させる、請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
前記回動軸は、前記可動部材の基端部近傍に設けられ、
前記切れ込みは、前記可動部材の先端部に形成される、請求項2に記載のパチンコ遊技機。
【請求項4】
前記切れ込みは、前記可動部材の前記先端部から前記基端部に向かう方向に形成される、請求項3に記載のパチンコ遊技機。
【請求項5】
前記切れ込みは、前記可動部材の前記先端部から前記基端部に向かうほど当該切れ込みの開口幅が狭くなる形状を有する、請求項4に記載のパチンコ遊技機。
【請求項6】
前記切れ込みは、前記可動部材が回動する方向に当該可動部材を貫通して形成される、請求項2乃至5のいずれかに記載のパチンコ遊技機。
【請求項7】
前記切れ込みは、前記開閉制御手段によって前記入球口を閉塞させた前記可動部材が当該入球口を開放させるために回動する向きに向かうほど当該切れ込みの開口幅が狭くなる形状を有する、請求項2乃至5のいずれかに記載のパチンコ遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−9905(P2013−9905A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145768(P2011−145768)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
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