説明

不織布、タフタ、ポンジ、等を基布とした熱圧着型マーク

【課題】 タフタ、ポンジ、不織布の表面にインクジェットプリント方式、或はインクリボンプリント方式による印刷適性面を形成するとともに、前記布地の裏面に、剥離剤に反応しない介在層とその介在層面に熱圧着接着層を形成する構成したマーク
【解決手段】 タフタ、ポンジ、不織布を以てインクジェットプリント方式、インクリボンプリント方式による印刷適性を備え、且つ一度ユニホーム等に貼着した後、必要に応じて、ユニホーム等から剥離出来るマークを提供しようとするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風合いの柔らかい不織布、タフタ、ポンジ等を基布とする熱圧着型マークに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
これまでの熱圧着型マークは、織物、編物を基布とし、その基布にホットメルト系の熱可塑性合成樹脂による接着層を形成したマーク用生地を作り、そのマーク用生地から所望の形状に切り取ってマークとしていた。そして、そのマークを作るのに貼着対象物との関係を考慮して前記した基布の選択、前記した接着層を構成するホットメルト系熱可塑性合成樹脂の選択について種々研究がなされていた。最近では、貼着対象物に適応したマーク材料を使ったマークの開発ばかりでなく貼着対象物に貼着したマークを剥がし取るのに如何にして奇麗に剥がし取ることが出来るマークとするかについて研究がなされている。本発明の出願人は、前者については特許第2675326号公報に開示された発明を開発し、後者については既に特開2004−100050、特願2004−174458として出願した。
【0003】
ところで、熱圧着型マークを作るのに基布を織物、編物とすると言う考え方はこれまでにも存在していたが、不織布は繊維がほつれやすく、現実には、不織布を基布とするマークは、商品としては出回っていなかった。ところが、最近では不織布についての研究開発がすすみ、例えば、三菱製紙株式会社から商品名スパンレースと称する和紙と同じように薄手で、しかも、ほつれにくいだけでなく風合いの柔らかい不織布が商品として販売されるようになった。しかし、前記した不織布、タフタ、ポンジ等はインクジェットプリント方式、インクリボンプリント方式による印刷適性に欠ける欠点がある。
従って、前記プリント方式を以てプリントした不織布、タフタ、ポンジを基布とするマークは存在していなかった。
【特許文献1】特開2004−100050
【特許文献2】特願2004−174458
【特許文献3】特許第2675326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、不織布やタフタ、ポンジ等のもつ風合いの柔らかさに着目し、この不織布等を以て前記したプリント方式による印刷適性を備えたマークを作る基布とし、更に、その基布を使ったマークは貼着対象物に貼着した後の剥離機能も兼ね備えた熱圧着型マークを作ろうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記したタフタ、ポンジ、不織布等の一方の面にインクジェットプリント方式、或はインクリボンプリント方式による印刷適性を備えた熱可塑性合成樹脂による薄膜を形成して、マークを構成する基布とし、前記した基布であるタフタ、ポンジ、不織布等の他方の面には合成樹脂を以て剥離剤には反応しない熱可塑性合成樹脂から成る薄膜である介在層を形成する。前記した介在層の面にはホットメルト系の熱可塑性合成樹脂による接着層を形成すると言う構成から成るマークとすると言うものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、前記の構成から成っているので、本来インクジェットプリント方式、インクリボンプリント方式による印刷適性に欠ける不織布、タフタ、プンジであっても印刷適性を備えたマーク基布とすることができ、しかも、ユニホーム等に貼着した後の剥がし機能も発揮できるマークとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を構成するマークの基布としては、タフタ或はポンジ或は不織布を用いる。その中不織布について1例を示すと三菱製紙株式会社製の商品名スパンレースとして販売されている不織布がある。前記した不織布は、和紙と同じように薄手に出来ていて、しかも、柔らかい感触を示すだけでなくほつれないように出来ている。本件発明を構成するマークの基布として用いる不織は前記商品と同効機能をもつ不織布であれば、前記商品に限らないことは言うまでもない。以下、本発明を構成するマークの基布の中、前記したような不織布を例にとって説明する。
【0008】
本発明は、前記したような特性をもつ不織布に着目したものである。まず、不織布1の一方の面にインクジェットプリント方式、或はインクリボンプリント方式による印刷適性を備えた合成樹脂薄膜2を構成する。この薄膜形成手段は、熱可塑性合成樹脂溶剤をコーティング法で塗布してもよければ、熱可塑性合成樹脂極薄フィルムを貼り付けるラミネート法でもよい。
【0009】
前記した不織布1の他方の面に、所望の厚さで、剥離溶剤には反応しない熱可塑性合成樹脂による薄膜3を接着層4との介在層として形成する。
【0010】
上記した介在層として形成した薄膜3面に、ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂による接着層4を形成する。
【0011】
この面を剥離紙(図示しない)で裏打ちする。
【0012】
上記した介在層として形成する薄膜3は、貼着対象物そのもの或は貼着対象物を部分的に着色した染料、塗料の着色の透視防止剤を混入するとか、又は、貼着対象物そのもの或は貼着対象物を部分的に着色した昇華性染料の再昇華による透過を防止する透過剤を混入した熱可塑性合成樹脂を以て作ることがある。
【0013】
前記した手順によってマーク用生地を作る。
【0014】
前記した手順によって作られたマーク用生地の印刷可能な合成樹脂薄膜面に、該薄膜を作る合成樹脂と親和性のあるインクを選定して、そのインクを以て所望の図柄、模様をインクジェットプリント方式、或はインクリボンプリント方式によって印刷する。これを乾燥する。
この操作によって、不織布1面に形成された印刷可能な合成樹脂薄膜2面に所望の図柄模様を印刷したマーク用生地が出来上がる。
【0015】
このマーク用生地を常法によって所望の形状に切り取り、所望の形状のマーク5とする。
【0016】
このマーク6を貼着対象物に貼着するには、剥離紙を剥がし取った後プレス台上に貼着対象物であるユニホーム等を常法に従って載せ、ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂から成る接着層を貼着対象物であるユニホーム等の所望個所に置いて、前記接着層を融化させる温度で所要時間をかけて加熱加圧機(例えばアイロン)等で加熱加圧する。
【0017】
この操作によって、前記接着層4の構成剤である合成樹脂は溶融して、その成分が貼着対象物であるユニホーム等の生地(図示しない)に浸み込む。また、融化した合成樹脂は、前記加熱加圧により、前記操作によって介在層を形成する薄膜に融着する。前記介在層3を形成する熱可塑性合成樹脂は、ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂ではないので、溶融はしない。
【0018】
前記操作によって、前記した構成から成るマーク5はユニホーム等に貼着する。
【0019】
前記した操作によってユニホーム等に貼着したマーク5は、介在層3に昇華性染料の透過防止剤を混入してあるので、前記した操作を行う過程で、ユニホーム等の着色或はユニホーム等に施す図柄が昇華性染料を用いたものであっても、その面にマークを重ねて加熱加圧する作業により、前記した昇華性染料が再昇華したマークのマーク地を変色することはない。それだけでなく前記介在層3にユニホーム等の着色或はユニホーム等に施す図柄の色料の透過防止剤を混入してあるので、ユニホーム等の着色、ユニホーム等に施した図柄の着色がマークのマーク地から透き通ることを阻止できる。
【0020】
本発明にかかるマークは、前記の構成となっているから、本来、インクジェット方式、インクリボン本式による印刷適性のない不織布を印刷適性を有するマークの基布とすることができ、また、この基布を以て構成したこのマークをユニホーム等に貼着した後、何らかの理由により剥がし取ろうとするときは、マークを貼着したユニホーム等の裏地から剥離剤を浸み込ませる。この操作によって、剥離剤は、ユニホーム等の裏地から接着層に浸透し、接着層の構成成分がユニホーム等の生地に浸み込んで発揮している投錨機能を減殺する。従って、マークを剥離可能とすることができる。
しかし、前記剥離剤は接着層4と介在層3との接着機能を減殺しない。また、マークのマーク地とである不織布1等の基布と介在層3とは、前記剥離剤の影響は受けない。従って、マークをユニホーム等から剥がし取ろうとするときは、マークをユニホーム等から引き離すことにより、マークのマーク地と介在層が一体となりユニホーム等から投錨機能を減殺された接着層が、前記介在層とともに奇麗に引き剥がされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を構成するマークの斜視図
【符号の説明】
【0022】
1 タフタ、ポンジ、不織布等の中から選んだ基布
2 印刷適性を有する合成樹脂薄膜
3 剥離剤に反応しない合成樹脂による薄膜として形成した介在層
4 ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂を構成成分とした接着層
5 マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タフタ、ポンジ、不織布等の一方の面にインクジェットプリント方式、或はインクリボンプリント方式による印刷適性を備えた熱可塑性合成樹脂による薄膜を形成して、マークを構成する基布とし、前記した基布であるタフタ、ポンジ、不織布等の他方の面には合成樹脂を以て剥離剤には反応しない熱可塑性合成樹脂から成る薄膜である介在層を形成する。前記した介在層の面にはホットメルト系の熱可塑性合成樹脂による接着層を形成することを特徴とするマーク。

【図1】
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【公開番号】特開2006−152453(P2006−152453A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340182(P2004−340182)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(399132386)株式会社宝來社 (12)
【Fターム(参考)】