説明

不織布を製造するための方法および装置

【課題】かなり規則的かあるいは均一の構造を備えた厚いかあるいは嵩高な不織布を製造することができる、連続したフィラメントから、不織布を製造するための方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一部が自然な縮れを有するフィラメント1を製造すること、フィラメント1を搬送方法の堆積領域7に堆積させ、堆積したフィラメント8を形成することと、堆積したフィラメント8をボンディング方法9の方向で搬送方法により搬送すること、および堆積したフィラメント8の搬送方向に沿って流れるガス流Gを、堆積したフィラメント8の表面上に発生させることにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続したフィラメントから不織布を製造するための方法に関する。さらに、本発明はこのような方法を実施するための装置に関する。連続したフィラメントが熱可塑性材料から成ることは本発明の範囲内にある。長さがある程度連続している結果として、連続したフィラメントは、例えば10〜60mmの実質的に長さが短いステープルフィラメントとは異なる。連続したフィラメントは通常、紡糸装置あるいは紡糸口金を使用して製造される。
【背景技術】
【0002】
基本的に実際上から、ステープルを使用している“高弾性不織布”として知られる嵩高な不織布を製造することが公知である。この場合、繊維の集合体は、通常連続フロー法を使用した高温空気ボンディングによりボンディングされる。これらの不織布は、特に(例えばディストリビュータレーヤのように)衛生産業において、およびフィルタ技術において使用されている。比較的厚いかあるいは嵩高な不織布を連続したフィラメントから作る試みがすでに行われてきており、自然な縮れを有する複合フィラメントが使用されてきた。しかしながらこの場合、繊維の集合体あるいは、不規則なまたは不均一な構造が得られる。このことの少なくとも一部は、縮れの活性化によりフィラメントの集合体あるいは不織布のリッピングを生じさせる収縮力が生じることがあるという事実に起因する。
【特許文献1】独国特許出願広告第19620379号明細書
【特許文献2】欧州特許公開公報第1340843号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、かなり規則的かあるいは均一の構造を備えた厚いかあるいは嵩高な不織布を製造することができる、連続したフィラメントから、不織布を製造するための方法を提供することである。さらに、本発明の技術的課題は、対応した装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この技術的課題を解決するために、本発明は連続したフィラメントから不織布を製造するための方法において、
少なくとも一部が自然な縮れを有するフィラメントを製造すること、
フィラメントを搬送装置の堆積領域に堆積させ、堆積したフィラメントを形成することと、堆積したフィラメントをボンディング装置の方向で搬送装置により搬送すること、
および
堆積したフィラメントの搬送方向に沿って流れるガス流を、堆積したフィラメントの表面上に発生させることを特徴とする方法を示す。
【0005】
基本的に、さらに自然な縮れを有するフィラメントから100%成る、単層あるいは多層の不織布も本発明の範囲内で製造することができる。しかしながら、さらに自然な縮れ及び縮れのないフィラメントを有するフィラメント混合体を備えた単層の不織布を製造することも本発明の範囲内にある。多層不織布において、個々の層は自然な縮れを有するフィラメント、あるいは縮れのないフィラメントもしくは自然な縮れを有するフィラメントと縮れのないフィラメントの混合体から形成されている。本発明による多層不織布は、すべて自然な縮れを有するフィラメント、あるいは縮れのないフィラメントもしくは自然な縮れを有するフィラメントと縮れのないフィラメントの混合体で構成されているのが適切である。
【0006】
連続したフィラメントは、最初に紡糸装置あるいは紡糸口金から紡がれる。次いでこれらのフィラメントは適切に冷却される。フィラメントが延伸装置において延伸されることは本発明の範囲内にある。冷却と延伸は特に組合された冷却兼延伸装置内で行われる。フィラメントが堆積領域内で堆積する前に、フィラメントは拡散装置を通って案内されるのが好ましい。次いで拡散装置は延伸装置もしくは組合させた冷却兼延伸装置と、堆積領域の間に配置されている。紡糸装置から出てくるフィラメントは、ライコフィルIII法(特許文献1)あるいはライコフィルIV法(特許文献2)により処理されるのが好ましい。
【0007】
自然な縮れを有するフィラメントは、特に縮れがドラフト後に起こる、二つの複合フィラメント/三つ以上の複合フィラメントを意味している。従って、この場合縮れは、延伸力あるいは空気遠心力がもはやフィラメントに作用しないとすぐに始まる。この場合、縮れはまず堆積する前に、すなわちドラフト装置と堆積領域の間で、特にできれば設けられた拡散装置内で行われる。フィラメントが堆積する前に行われる、この縮れは“一次縮れ”と表現される。しかしながら、自然な縮れを有するフィラメントは、特に堆積後にさらに縮れが発達することがある。堆積後に起こるこの縮れは“二次縮れ”と表現される。自然な縮れを有するフィラメントは、好ましくは応力が取り除かれた状態で搬送装置上に堆積した後、5mmよりも小さい曲率半径を有する本発明のフィラメントの範囲内にある。次いでこれらのフィラメントは、その長さのほとんどに渡って、前述の曲率半径を有する相当する縮れを呈する。本発明の好ましい実施形態によれば、自然な縮れを有するフィラメントは、好ましくは並んで配置されている、二つの複合フィラメントあるいは三つ以上の複合フィラメントである。別の好ましい実施形態によれば、中心のない(acentric)コア/クラッド配置を有する複合フィラメントは、自然な縮れを有するフィラメントとしても使用することができる。
【0008】
(自然な縮れを有する)フィラメントの縮れが、フィラメントを延伸した後、およびフィラメントが堆積する前に行われるという条件の下で、本発明による方法を実施することは本発明の範囲内にある。従って、これは前述のフィラメントの一次縮れを含んでいる。その上に、(自然な縮れを有する)フィラメントの縮れが、搬送装置上でフィラメントが堆積した後で行われることも本発明の範囲内にある。これは前述の二次縮れを含んでいる。
【0009】
搬送装置は必要に応じてコンベヤベルトあるいは多数の連続して接続したコンベヤベルトから成る。この場合、少なくとも一つのコンベヤベルトは、気体透過(空気透過)の有孔ベルトとしてフィラメントの堆積領域内に配置されている。このような有孔ベルトは、特に偏向ローラ上で案内されている連続したベルトを含む。本発明の好ましい実施形態によれば、フィラメントは搬送装置としてあるいは搬送装置の構成要素として有孔ベルト上に堆積して、堆積したフィラメントを形成し、堆積したフィラメントは有孔ベルトの吸引領域内で吸引空気に曝される。さらに、吸引領域がフィラメントのための堆積領域を、そして必要に応じて搬送方向でのこの堆積領域の後の領域を備えていることは本発明の範囲内にある。吸引空気の作用を得るために、少なくとも一つの吸引装置が有孔ベルトの下方に設けられているのが好ましい。このような吸引装置を用いて、フィラメントあるいは堆積したフィラメントが有孔ベルト上で吸引されるように、空気は有孔ベルトを通過して吸引される。これにより堆積したフィラメントの安定状態は確実になる。吸引作用の結果、堆積したフィラメントは比較的厚さが薄い(例えば約2〜3mm)。この吸引領域内において、堆積したフィラメントは(依然として)固定されており、かつ吸引空気領域内で有孔ベルト上に押さえつけられて、所望ではない転置や異物もなく堆積領域内で比較的高い空気速度に耐えている。吸引領域を出ると、堆積したフィラメントは特に二次縮れの結果として跳ね上がる。そして堆積したフィラメントは実質的にかなりの厚さを有する(例えば単位面積当たり40g/m2で3cmの厚さ)。
【0010】
本発明によれば、堆積したフィラメント表面に沿って流れるガス流は、堆積したフィラメントの搬送方向に生じる。ガス流が堆積したフィラメントの表面に沿って流れるという事実は、特にガス流が堆積したフィラメントの表面に対して平行かあるいはほぼ平行流れるか、もしくは搬送装置すなわち有孔ベルトの表面に対して平行かあるいはほぼ平行に流れることを意味している。さらにガス流が引領域の後方において、搬送方向で堆積したフィラメントの表面のそばを通り過ぎて流れることも本発明の範囲内にある。ガス流は空気流であるのが好ましい。
【0011】
前述のように、吸引領域を出るとすぐに、堆積したフィラメントは特に二次縮れの結果として跳ね上がり、次いで比較的厚い堆積したフィラメントが得られる。本発明は、第一に二次縮れから生じる収縮力が堆積したフィラメントの均一性を破壊し、第二に空気力が跳ね上がって堆積したフィラメントに作用しこの堆積したフィラメントを開くので、この堆積したフィラメントが跳ね上がった際に、あるいは跳ね上がった状態で危険に曝されるという発見に基づいている。これらの空気力は、堆積したフィラメントが持続する周囲の空気に抗して、搬送装置すなわち有孔ベルトの速度で移動するという事実からもたらされる。本発明は、堆積したフィラメントを、搬送方向で堆積したフィラメントの表面に沿って流れるガス流による前記負の効果に抗して効果的に安定させることができるという発見に基づいている。言い換えると、本発明による堆積したフィラメントは、特に強制的な空気流により吸引のない領域内で安定する。
【0012】
ガス流(空気流)の流速は少なくとも堆積したフィラメントの搬送速度の半分に、好ましくは堆積したフィラメントの搬送速度の少なくとも80%に、さらに好ましくは少なくとも90%に、すこぶる好ましくは少なくとも95%に相当する。特に好ましい実施形態によれば、ガス流(空気流)の流速は、堆積したフィラメントの搬送速度かあるいはほぼ搬送速度に相当する。本発明の一実施例によれば、ガス流(空気流)の流速は、堆積したフィラメントの搬送速度よりも幾分は速いか、堆積したフィラメントの搬送速度よりも好ましくは最大20%速いか、さらに好ましくは最大15%速いか、あるいは最大10%速い。
【0013】
本発明の範囲内にあるきわめて特に重要である推奨される実施形態によれば、堆積したフィラメントはボンディング装置において、少なくとも一つの流動媒体でもって、好ましくは少なくとも一つの高温の流動媒体でもってボンディングされる。堆積したフィラメントが搬送方向に抗してあるいはガス透過性の有孔ベルトに抗して押圧されるという条件でもって、堆積したフィラメントがボンディング装置において高温の流動媒体に曝されるのも同時に本発明の範囲内にある。同時に、堆積したフィラメントの表面は、高温の流動媒体の力による横方向の作用を適切な方法で受ける。それにより、堆積したフィラメントは搬送方向に向かってあるいは有孔ベルト上に押圧される。さらに高温の流動媒体が堆積したフィラメントとガス透過性有孔ベルトを通って流れるのも本発明の範囲内にある。このボンディングは、搬送装置すなわち有孔ベルトが堆積したフィラメントと一緒に案内されるボンディング槽内で行われるのが好ましい。高温空気ボンディングとして適切な方法で行われる。流動媒体は好ましくは堆積したフィラメントの表面に対して垂直に、好ましくは上方から堆積したフィラメント上にボンディング装置内で流れる。同時に、堆積したフィラメントの領域が流動媒体の、好ましくは高温の流動媒体の作用を受ける(すなわち単に直線的にではなく)のは本発明の範囲内にある。
【0014】
本発明のきわめて好ましい実施形態によれば、堆積したフィラメントの表面に沿って流れるガス流は、ボンディング装置内を流れる流動媒体により生じる。言い換えれば、ボンディング装置内を流れる流動媒体(好ましくは高温空気流)は、堆積したフィラメントの表面に沿って流れるガス流を作るための駆動力である。同時に、本発明による流れは、少なくとも実質的にベンチュリ効果により作られることは本発明の範囲内にある。
【0015】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、ガスは吹き込まれおよび/または吸引され、かつ堆積したフィラメントの表面に沿って流れるガス流に対して、少なくとも一つの流れ案内装置により偏向される。少なくとも一つの流れ案内装置は、フローバッフルあるいは湾曲したフローバッフルであるのが好ましい。
【0016】
さらに本発明の主たる目的は、少なくとも一部が自然な縮れを有する連続したフィラメントの不織布を製造するための装置であって、フィラメントを製造するための少なくとも一つの紡糸装置と堆積領域を有する搬送装置を備えており、この搬送装置内において、フィラメントが堆積して、堆積したフィラメントを形成する様式の装置において、
さらにボンディング装置がフィラメントをボンディングするために設けられ、少なくとも一つの発生装置が設けられており、それにより堆積したフィラメントの搬送方向で堆積したフィラメントの表面に沿って流れるガス流が、堆積領域とボンディング装置の間で発生することを特徴とする装置である。本発明によるこのガス流は、堆積したフィラメントの表面に沿って、吸引領域の後方で搬送方向に流れるのが好ましく、好ましくはボンディング装置まで流れるのが好ましい。
【0017】
フィラメントを延伸するための延伸装置が、紡糸装置と堆積領域の間に設けられていることは本発明の範囲内にある。さらに、紡糸装置と延伸装置の間に冷却装置を設けることは本発明の範囲内にある。一変形によれば、組合された冷却兼延伸装置が使用されている。本発明の特に好ましい実施形態によれば、フィラメントを堆積するための拡散装置が延伸装置と堆積領域の間に設けられている。この拡散装置は本発明の範囲内において特に重要である。拡散装置は堆積領域に向かって広がる拡散装置壁を有しているのは適切である。
【0018】
本発明は、本発明による方法と本発明による装置が、厚みがあるかあるいは嵩高な不織布製造することができ、この不織布が均一な性質と均一な構造により特徴付けられているという発見に基づいている。結果として、最適な性質と最適な品質を有する不織布を製造することができる。さらに、厚さと均質性が適切なこれらの不織布は再生可能に製造することができることを強調しておく。さらに達成すべき重要な長所を意図して、本発明による方法は、複雑さが比較的少なく、かつこの点で比較的コストがかからずに実施できることも強調しておく。現行の装置は本発明による構成部材により容易に改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明をただ一つの典型的実施形態を示す図により、この後詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
図は連続したフィラメントの不織布を製造するための方法を実施するための装置を示しており、この装置で、少なくとも一部が自然な縮れを示すフィラメント1が製造される。一実施例によれば、この不織布は単層の不織布であり、この単層の不織布は、自然な縮れを有するフィラメントか、あるいは自然な縮れを有するフィラメントと縮れしないフィラメントの混合体から構成されている。自然な縮れを有するフィラメントの重量比は好ましくは少なくとも20%であり、さらに好ましくは少なくとも30%である。さらに(前に説明した通り)少なくとも一層が自然な縮れを有するフィラメントを備えた多層不織布も、本発明による方法の範囲内で製造することができる。
【0021】
図1から、本発明による装置は、フィラメント1を製造するための紡糸装置2を、適切には、プロセス空気をフィラメント1を冷却するために導入することができる紡糸装置2の下方に設置された冷却槽3を備えている。さらにフィラメント1を空気力学的に延伸するための延伸装置4も設けられている。延伸装置4の下方には、典型的実施例では、概略的にしか示していない拡散装置5が設けられているのが好ましい。さらに、例えば延伸装置4の下方には、交互に接続した二つの拡散装置から成るレーヤが設けられていてもよい。通気性有孔ベルト6として配置された搬送装置が拡散装置5の下側に設けられている。この有孔ベルト6の堆積領域7内において、フィラメント1は堆積して堆積したフィラメント8を形成する。典型的実施例では、堆積フィラメント8は自然な縮れを備えたフィラメント1から形成されており、フィラメント1は並んだ配置の二つの複合フィラメントを備えているのが好ましい。延伸後、あるいは延伸装置4の下方において、これらのフィラメント1の第一の縮れ(一次縮れ)が拡散装置内で起こる。堆積したフィラメント8は、有孔ベルト6を使用して、ボンディング装置9の方向で図の左へ向けて搬送される。図2の拡大された断面図において、堆積したフィラメント8は砂利状の堆積物として構成されていることがわかる。新たに積まれたフィラメント1は明らかに堆積したフィラメント1上に積まれており、このようにしてスレート状の堆積物が形成される。
【0022】
有孔ベルト6の吸引領域10において、堆積したフィラメント8は吸引空気に曝される。別の言い方をすれば、空気は図示していない吸引装置を使用して有孔ベルトを通過して下方から吸引されるのが好ましく、それによりフィラメント1あるいは堆積したフィラメント8は有孔ベルト6上にあるように吸引される。これにより堆積したフィラメント8の安定性は一定になる。吸引領域10は堆積領域7の後の搬送方向に位置する領域11内へと、フィラメント1のための堆積領域7にわたり延びている。吸引空気の作用により、堆積したフィラメント8が比較的小さい厚さ(例えば2〜3mmの厚さ)を有するように、有孔ベルト6上のこの吸引領域10内で堆積したフィラメント8は定着し、かつ押さえつけられる。堆積したフィラメント8が有孔ベルト6によりさらに搬送される間に吸引領域10を離れると、堆積したフィラメント8は別の縮れ(二次縮れ)の結果として著しく跳ね上がり、実質的にかなりの厚さ(例えば約3cm)を有する堆積したフィラメント8になる。この“跳ね上がり”は図2〜4の堆積したフィラメント8の厚さが対応して増えることによって示されている。特に二つの不利な効果が堆積したフィラメント8の跳ね上がりと関連付けられている。第一に、二次縮れの縮小効果は、堆積したフィラメント8の均一構造を破壊することがある。さらに、堆積したフィラメント8が、有孔ベルトが静止している大気の方に向かう速度で移動するので、空気の力は堆積したフィラメント8を広げてしまうことがある。このように広げてしまうことは、特に図2の拡大された部分に示した砂利状の堆積の結果として生じることがある。
【0023】
本発明によれば、堆積したフィラメント8の搬送方向で堆積したフィラメント8の表面に沿って流れるガス流は、図の矢印Gで示した通り、堆積したフィラメント8が二次縮れ領域で跳ね上がる領域内で形成されている。このガス流Gは堆積したフィラメント8の表面に沿って吸引領域10の後でフィラメント8の搬送方向に流れる。本発明は、本発明によるこのガス流Gが、堆積したフィラメント8の跳ね上がりを安定化させ、かつ堆積したフィラメント8上で前に説明した負の効果を確実かつ効果的に和らげることができるという発見に基づいている。このガス流Gの流れ速度は、堆積したフィラメント8の搬送速度かあるいは有孔ベルト速度と少なくとも同等、あるいはガス流Gの流れ速度は、堆積したフィラメント8の搬送速度かあるいは有孔ベルト速度よりもいくぶん速いのが好ましい。
【0024】
堆積したフィラメント8は有孔ベルト6によりボンディング槽12内に給送され、堆積したフィラメント8と高温流動媒体とのボンディング、好ましくは高温空気ボンディングが行われる。高温流動媒体あるいは高温空気は上方から堆積したフィラメント8に対して垂直に流れ、堆積したフィラメント8は扁平になる。このことは図2〜4の適切な矢印によりが概略的に示してある。
【0025】
図3は本発明によるガス流Gを形成するための特別な実施例を示す。ここには上側カバー13が設けられており、ガス流Gはボンディング装置9の方向で、この上側カバー13と、有孔ベルト6あるいは堆積したフィラメント8の表面の間を流れる。上側カバー13は有孔ベルト6に対して、もしくは堆積したフィラメント8の表面に対して平行にあるいはほぼ平行に適切に配置されている。好ましい実施例によれば、そして図3による典型的な実施形態において、堆積したフィラメント8の表面に沿って流れるガス流Gは、ボンディング装置9内を流れる流動媒体により形成されている。言い換えれば、ボンディング槽12内を流れる流動媒体は、ガス流Gのための駆動力を形成する。
【0026】
図4は 別の好ましい実施形態を示す。ここでは空気は上方から二次縮れの領域(跳ね上がって堆積したフィラメント)内へ吹き込まれる。吹き込まれたガスは、適切に曲げられたフローバッフル14により、堆積したフィラメント8の表面に沿って流れるガス流Gに向かって偏向される。さらにガスはここでも吸引される。
【0027】
適切かつ典型的な実施形態において、ガス流Gはボンディング装置9内において、あるいはボンディング槽12内において、流動媒体の流れの方向に対して垂直にあるいはほぼ垂直に流れる。好ましい実施形態によれば、そして図による典型的な実施形態において、ただ一つの空気透過性の有孔ベルト6が設けられており、堆積したフィラメント8は堆積領域7から領域11を経由して、かつ二次縮れ領域(跳ね上がって堆積したフィラメント8の領域)を経由してボンディング槽12内に搬送される。有孔ベルト6は対応する偏向ローラにわたる連続したベルトとして通常の方法で案内される。
【0028】
図1に概略的に示した好ましい実施形態は、本発明においては特に重要である。これによれば、冷却槽3内での空気の供給と、拡散装置5の領域内での少なくとも一つのエアインレットは別にして、本装置は閉鎖されたシステムとして冷却槽3と、延伸装置4と、拡散装置5から形成されている。言い換えれば、冷却槽3と延伸装置を備えた本装置は、冷却槽3内での空気の供給は別にして閉鎖されているものとして設計されている。本装置のこの閉鎖された実施形態は、最適な不織布の品質に関して、および特にここで請求された本発明による別の特徴と組み合わされて、極めて特別に効果的であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による装置の一部の断面図である。
【図2】本発明による装置の別の部分の断面図である。
【図3】図2による主題の特別な実施例を示す図である。
【図4】図2による主題の別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 フィラメント
2 紡糸装置
5 拡散装置
4 延伸装置
6 有孔ベルト
7 堆積領域
8 堆積したフィラメント
9 ボンディング装置
10 吸引領域
G ガス流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続したフィラメントから不織布を製造するための方法において、
少なくとも一部が自然な縮れを有するフィラメント(1)を製造すること、
フィラメント(1)を搬送方法の堆積領域(7)に堆積させ、堆積したフィラメント(8)を形成することと、堆積したフィラメント(8)をボンディング方法(9)の方向で搬送方法により搬送すること、
および
堆積したフィラメント(8)の搬送方向に沿って流れるガス流(G)を、堆積したフィラメント(8)の表面上に発生させることを特徴とする方法。
【請求項2】
自然な縮れを有するフィラメント(1)が、好ましくは並んでいる配置を示す、二つあるいは三つ以上の複合フィラメントであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
フィラメント(1)が延伸した後で、かつフィラメント(1)が堆積する前に、フィラメント(1)の縮れが起こることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
フィラメント(1)が堆積した後でフィラメント(1)の縮れが起こることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
フィラメント(1)が、搬送装置または搬送装置の構成部材としての有孔ベルト(6)上に堆積されて、堆積したフィラメント(8)を形成すること、および
堆積したフィラメント(8)が有孔ベルト(6)の吸引領域(10)で吸引空気に曝されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
ガス流(G)が堆積したフィラメント(8)の表面を通り過ぎて、吸引領域(10)の後方で搬送方向に流れることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
ガス流(G)の流速が、堆積したフィラメント(8)の搬送速度の少なくとも半分に相当しており、好ましくは少なくとも堆積したフィラメント(8)の搬送速度に相当しているかあるいはほぼ堆積したフィラメント(8)の搬送速度に相当していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
堆積したフィラメント(8)が、少なくとも一つの流動媒体でもって、好ましくは少なくとも一つの高温流動媒体でもってボンディングされることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
堆積したフィラメント(8)の表面に沿って流れるガス流(G)が、ボンディング装置(9)内を流れる流動媒体により生じることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
ガスが吹き込まれ、および/または吸引され、かつ堆積したフィラメント(8)の表面に沿って流れるガス流(G)に対して、少なくとも一つの流れ案内装置により偏向されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
少なくとも一部が自然な縮れを有する連続したフィラメントの不織布を製造するための装置であって、フィラメント(1)を製造するための少なくとも一つの紡糸装置(2)と堆積領域(7)を有する搬送装置を備えており、この搬送装置内において、フィラメント(1)が堆積して、堆積したフィラメント(8)を形成する様式の装置において、
さらにボンディング装置(9)がフィラメント(1)をボンディングするために設けられ、少なくとも一つの発生装置が設けられており、それにより堆積したフィラメント(8)の搬送方向で堆積したフィラメント(8)の表面に沿って流れるガス流(G)が、堆積領域(7)とボンディング装置(9)の間で発生することを特徴とする装置。
【請求項12】
フィラメント(1)を延伸するための延伸装置(4)が、紡糸装置(2)と堆積領域(7)の間に設けられていることを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項13】
拡散装置(5)が延伸装置(4)と堆積領域(7)の間に設けられていることを特徴とする請求項11または12に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate