説明

不良品排出装置

【課題】不良品を正確かつ効率良く排出することができ、不良品排出装置を設置する場合の設備コストを低減し、簡便な機構で小スペースな不良品排出装置を提供する。
【解決手段】切断および筋付けされたブランクを順次搬送ライン上に供給し、少なくても、糊付け、折り込み、糊接着の各工程を持つ折り畳み箱の自動製箱装置において、不良品となるブランクを検知する少なくとも1つ以上の不良検査センサーと、該不良品を良品ラインから排除するために、該不良品の進路を良品ラインから、排出口を起点とした排出ラインへ導くための装置とを有し、前記ブランクが搬送される、エンドレスベルトを用いた搬送ベルトの中間に、不良品を排出する排出口を設け、前記搬送ベルトを、前記排出口から不良品が通過する排出ライン上で排出の妨げにならない位置に迂回させて配置することにより、前記搬送ベルトが排出の妨げにならないで、前記不良検査センサーで異常を検出した不良品を排出できることを特徴とする不良品排出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙やプラスチックなどからなる切断および筋付けされたブランクを順次枚葉で搬送ラインへ供給し、糊付け、折り込み、糊接着等の複数工程を持つ折り畳み箱の自動製箱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第2753600号公報において、自動製箱装置の不良品の識別装置が考案されている。この特許によると、自動製箱機上で発生した不良品をバッティング装置で変位させて、良品との相対位置をずらし、それを目印にすることによって、不良品を作業者が取り出している。
しかし、この方法では不良品は作業者が手作業で抜き取らなくてはならず、抜き忘れが発生する可能性は否定できなかった。
特に、近年、製品の箱詰め工程の自動化が進んでいるため、製品を詰める折り畳み箱に不良品が混在すると、箱詰めライン全体が休止してしまうことから、折り畳み箱の不良品を機械内で自動的に正確かつ効率良く排出する簡便な装置が望まれていた。
【0003】
一方、自動製箱装置に不良品排出装置を設置する場合には、すでに存在している各セクションで区切られるベルトの隙間を排出口とする手法もあるが、排出口の設置位置はブランクがすでに折り畳まれた状態が望ましく、また不良検査センサーが設置される場所以降のライン上にある必要があるので、一般的な自動製箱装置では各工程で区切られるベルトの隙間を排出口として使用できる場所はほぼ限定されている。その位置は図1に示す本折部とトロンボーン部と呼ばれる各セクションの間を排出口として利用するが、この位置には折り畳まれたブランクの左右罫線部分をプレスするためのシャフトまたはコロが中間に位置している場合が多い。つまり本折部の搬送ベルトとこの前記シャフトやコロの隙間、または前記シャフトやコロとトロンボーンの搬送ベルトの隙間を排出口として利用することになるが、この場所に排出口を設けることはいくつかの問題点を持っている。
【0004】
ひとつは、前記シャフトやコロが排出口より排出される不良品の妨げになってしまうことである。これは、前記シャフトやコロの外径の大きさによるものであり、この問題を解決するために、排出口を良品ライン方向に広げるベルト伸縮機能を設けることなどの対策をする必要があるが、その一方では動作速度、複雑な構造であるなどの問題を残している。
またひとつは、排出口から不良品が排出される時に必要な搬送力が得られ難いことがある。これは、本折部が通常はブランクの左右に位置する罫線を折込するためのセクションであるために、一般にはブランクを挟持する力が弱く、不良品を排出口から送り出す時の搬送力の低さに問題を残してしまう。
さらに、排出に適した条件を持つ場所に新たに排出口を設けるためには、搬送ベルトの追加によって得られる搬送ベルト間の隙間を排出口として利用する方法が良いが、この方法では、新たに追加する搬送ベルトの駆動装置が当然必要であり、その設備費用は高コストであり、構造点数が多く、省スペース化が難しいという問題点があった。
しかし、従来の考え方では、エンドレスベルト内で排出口を設けることはできなかった。
【特許文献1】特許第2753600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、ブランクが搬送されるエンドレスベルトの搬送ライン上の中間に排出口を作り、排出される不良品が搬送ベルトに妨げられることがなく、不良品を正確かつ効率良く排出することができる。同時に、不良品排出装置を設置する時の設備の費用を低減し、簡便な機構で不良品の排出装置を供給することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述の課題を解決するために鋭意検討の結果なされたものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)切断および筋付けされたブランクを順次搬送ライン上に供給し、少なくても、糊付け、折り込み、糊接着の各工程を持つ折り畳み箱の自動製箱装置において、
不良品となるブランクを検知する少なくとも1つ以上の不良検査センサーと、該不良品 を良品ラインから排除するために、該不良品の進路を良品ラインから、排出口を起点と した排出ラインへ導くための装置とを有し、
前記ブランクが搬送される、エンドレスベルトを用いた搬送ベルトの中間に、不良品を排出する排出口を設け、
前記搬送ベルトを、前記排出口から不良品が通過する排出ライン上で排出の妨げにならない位置に迂回させて配置することにより、前記搬送ベルトが排出の妨げにならないで、前記不良検査センサーで異常を検出した不良品を排出できることを特徴とする不良品排出装置。
(2)前記排出口から不良品が通過する排出ラインの進行方向延長線上に搬送ベルトが位置しているときに、前記排出口から前記迂回配置された搬送ベルトまでの距離が不良品の進行方向長さ以上あり、排出口から該迂回配置された搬送ベルトのスペースに不良品が収まることで不良品排出機能を持つことを特徴とする(1)に記載の不良品排出装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブランクが搬送されるエンドレスベルトの搬送ライン上の中間に排出口を設け、不良品が搬送ベルトに妨げられることがなく、不良品を正確かつ効率良く排出することができ、不良品排出口の前後の搬送ベルトを同じ駆動装置を用いて駆動することができるので装置が簡便であり、設備コストを著しく低減することができる自動製箱装置の不良品排出装置を提供する、産業上有用な著しい効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
発明を実施するための最良の形態について図1、図2、図3を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明における自動製箱装置の実施形態を例示する全体平面図である。
図1において、1は不良検査センサー、2は不良品の進路を良品ラインから、排出口を起点とした排出ラインへ導く装置、3は搬送ベルト、5はブランク、6は排出口を示す。
本実施形態における自動製箱装置は、図1の右側から、給紙部、折ぐせ部、底折部、本折部、トロンボーン部、圧着コンベア部のセクションで構成されており、あらかじめ切断および筋付けされたブランク5が給紙部に積み重ねられており、給紙装置によって、ライン上に順次枚葉で繰り出され、図1の右から矢印の方向に、搬送される過程で、折ぐせ、糊付け、折込み、圧着コンベヤーでの糊接着などの各工程が行われ、折り畳み箱を製造することができる。またひとつのセクションは複数の前記工程を処理する場合もある。
【0009】
まず、給紙部に供給されたブランク5は、搬送ベルトライン上を右から左に搬送され、折ぐせ部(1)、(2)によって、箱を組立て易くするための折ぐせがつけられる。
次に底折部では主に底貼り形式と呼ばれる箱の底部にあたる部分の折込みをおこない、ブランク搬送ラインの上側に設けられた糊付け装置(上糊装置)により糊付けされる。
次に本折り部にはブランク搬送ラインの下側に設けられ糊付け装置(下糊装置)があり糊付けされ、ブランクの左右罫線を折込する。
【0010】
1の不良検査センサーは、ブランクを不良判別する検査装置であり、異常が検知された場合には、不良検査センサー1から異常信号が送られ、該異常信号を基に適時タイミングを取って、不良品の進路を良品ラインから、排出口を起点とした排出ラインへ導くための装置2を動作させることによって、不良品を排出口から排出する。
本発明では不良検査センサー1の内容は問わないが、一般的な検査の内容は糊付けの位置や形状、糊量、折れ状態、バーコードリーダーなどによる異種混入、給紙から繰り出される際の2枚の重なり、などであり、本発明では自動製箱装置の工程で不良品となるブランクを検知する不良検査センサーが1つ以上取付けられている必要がある。また不良検査センサー1の設置位置は検査の内容によって、決められるものであり、本図はあくまでも一例を示すものである。
【0011】
さらに、次セクションは、トロンボーン部であり、上下搬送ベルトで挟持されたブランクはトロンボーン部の最後端で解放される。
トロンボーン部に不良品の進路を良品ラインから、排出口を起点とした排出ラインへ導く装置2を排出口6に合わせて設置して、不良検査センサー1が異常を検出した不良品は排出口6から、良品ライン外へ排出される。
さらに、次セクションの圧着コンベヤーでは、前のセクションであるトロンボーン部の搬送ベルトよりも減速設定することで、その速度差を利用して、前記トロンボーン部搬送ベルトから送り出され解放されたブランクを圧着コンベヤーの下側ベルトの上でブランクを刺身状にラップさせます。刺身状にラップしたブランクの状態を保ちながら、上下ベルトで構成されるプレス構造を持つ圧着コンベヤー内でブランク上に吐出、塗布されている糊の接着、乾燥を行う。
これらの折り畳み箱の製造工程はごく一般的なものであるが、本発明においては、ブランクを搬送ライン上に供給し、少なくとも、糊付け、折り込み、糊接着の各工程を持つ折り畳み箱の自動製箱装置であれば、これらの工程順序や、工程数、各工程内容の詳細は問わない。
【0012】
図1、図2では本発明をトロンボーン部に設けることを想定し、不良品の進路を良品ラインから、排出口を起点とした排出ラインへ導く装置2を設け、ブランクが搬送されるエンドレスベルトの搬送ライン上の中間に排出口を設け、不良検査センサー1により異常を検出されたブランク5を、排出口6から排出させることによって、正常なブランク5の搬送ラインから排出している。
以下、本発明の特徴について、第1および第2の実施形態を用いて説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
図2は、本発明の自動製箱装置における第1の実施形態を例示する図であり、上段は平面図、下段は側面図を示す。
図2において、1は不良検査センサー、2は不良品の進路を良品ラインから、排出口を起点とした排出ラインへ導く装置、3は搬送ベルト、5はブランク、6は排出口を示す。
図2に示すように、不良品であるブランクを排出する排出口6から不良品が通過する位置を避けて、搬送ベルトを良品ブランクの通過ラインに対して、横方向に搬送ベルトを迂回して配置する部分を設けることで不良品は搬送ベルトに妨げられることなく、良品ライン外へ排出することができる。前記ベルト迂回の経路については不良品が排出される際に、その不良品の進路を妨げない経路であれば特に限定されることはない。不良品センサー1で異常を検知されたブランク5の異常信号は、該異常信号を基に、不良品の進路を良品ラインから、排出口を起点とした排出ラインへ導くための装置2に設けられたエアーシリンダーなどのアクチェーターを不良品の進行位置に合わせて適時に動作させて、前記アクチェーターに連動するレバーなどで不良品の進路を排出ラインへと規制することで不良品を排出口6から送り出して搬送ベルト3の下方外部に排出することができる。
【0014】
<第2の実施形態>
図3は、本発明の箱製造装置における第2の実施形態を例示する図である。
図3において、1は不良検査センサー、2は不良品の進路を良品ラインから、排出口を起点とした排出ラインへ導く装置、3は搬送ベルト、4は不良品溜め、5はブランク、6は排出口を示す。
図3に示すようにエンドレスベルトの搬送ライン上の中間に排出口6を設け排出口6から排出される不良品の進行方向延長線上に迂回配置された搬送ベルトを配置し、排出口6から前記迂回配置された搬送ベルトまでの距離を不良品の進行方向長さ以上にした時に、不良品センサー1で異常を検知されたブランク5の異常信号は、該異常信号を基に、不良品の進路を良品ラインから、排出口を起点とした排出ラインへ導くための装置2に設けられたエアーシリンダーなどのアクチェーターを不良品の進行位置に合わせて適時に動作させて、前記アクチェーターに連動するレバーなどで不良品の進路を排出ラインへと規制することで不良品を排出口6から送り出して排出ラインへ導き、排出口6から迂回配置された搬送ベルトの間、つまり不良品溜まり4に不良品が収まることで良品ラインからの不良品排出としている。前記搬送ベルトの経路については排出口6から迂回配置された搬送ベルト、その不良品の進路を妨げない経路であれば特に限定されることはない。さらに、一旦不良品溜め4に蓄積された不良品は不良品溜め4内に設けられた不良品の送り出し機能によって、不良品溜め4の外部に送り出されることが望ましい。
【0015】
これらによって、不良品を正確かつ効率良く排出することができ、ブランクが搬送されるエンドレスベルトの搬送ライン上の中間に排出口を作り、排出される不良品が搬送ベルトに妨げられることがなく、不良品を正確かつ効率良く排出することができる。同時に、不良品排出装置を設置する時の設備の費用を低減し、簡便な機構で不良品の排出装置を供給することができ、産業上有用な著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明における箱製造装置の実施形態を例示する全体平面図である。
【図2】本発明の箱製造装置における第1の実施形態を例示する側面図である。
【図3】本発明の箱製造装置における第2の実施形態を例示する側面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 不良検査センサー
2 不良品の進路を良品ラインから、排出口を起点とした排出ラインへ導くための装置
3 搬送ベルト
4 不良品溜め
5 ブランク
6 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断および筋付けされたブランクを順次搬送ライン上に供給し、少なくても、糊付け、折り込み、糊接着の各工程を持つ折り畳み箱の自動製箱装置において、
不良品となるブランクを検知する少なくとも1つ以上の不良検査センサーと、該不良品を良品ラインから排除するために、該不良品の進路を良品ラインから、排出口を起点とした排出ラインへ導くための装置とを有し、
前記ブランクが搬送される、エンドレスベルトを用いた搬送ベルトの中間に、不良品を排出する排出口を設け、
前記搬送ベルトを、前記排出口から不良品が通過する排出ライン上で排出の妨げにならない位置に迂回させて配置することにより、前記搬送ベルトが排出の妨げにならないで、前記不良検査センサーで異常を検出した不良品を排出できることを特徴とする不良品排出装置。
【請求項2】
前記排出口から不良品が通過する排出ラインの進行方向延長線上に搬送ベルトが位置しているときに、前記排出口から前記迂回配置された搬送ベルトまでの距離が不良品の進行方向長さ以上あり、排出口から該迂回配置された搬送ベルトのスペースに不良品が収まることで不良品排出機能を持つことを特徴とする請求項1に記載の不良品排出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−62106(P2006−62106A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244492(P2004−244492)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000106210)サンエンヂニアリング株式会社 (5)
【Fターム(参考)】