不良品排紙装置
【課題】枚葉印刷機により印刷された複数の印刷紙の中から不良品を選別し、容易にかつ確実に排出する不良品排紙装置を提供することを目的とする。
【解決手段】枚葉印刷機の下流側に設けられてなる、複数の印刷紙を連続的に搬送する搬送機構により搬送された印刷紙の不良品を選別し、不良印刷紙を排出する不良品排紙装置であって、品質検査装置と、開閉自在な前当て板と、良紙集積部と、不良品排紙機構を有し、該不良品排紙機構が、サクションダクトと、エンドレスサクションベルトと、不良紙排紙部を有することを特徴とする不良品排紙装置である。
【解決手段】枚葉印刷機の下流側に設けられてなる、複数の印刷紙を連続的に搬送する搬送機構により搬送された印刷紙の不良品を選別し、不良印刷紙を排出する不良品排紙装置であって、品質検査装置と、開閉自在な前当て板と、良紙集積部と、不良品排紙機構を有し、該不良品排紙機構が、サクションダクトと、エンドレスサクションベルトと、不良紙排紙部を有することを特徴とする不良品排紙装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は不良品排紙装置に関し、さらに詳しくは、枚葉印刷機により印刷された複数の印刷紙の中から不良品を選別し、容易にかつ確実に排出する不良品排紙装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に印刷済の枚葉印刷紙は、枚葉印刷機の下流側に設けられた搬送装置により複数搬送され排紙部まで運ばれ積載される。しかし、該印刷紙に不良品が出た場合、この不良品を選別し、排出しなければならない。不良品は、従来、品質検査装置の検出結果をコンピューター処理後、良否の信号を印刷紙の搬送に沿ってシフトし、積載部で不良紙到達時、信号を受け取り、テープマーカーがテープ挿入の動作を行うことにより、選別されていた。
テープマーカーは順次降下してくる印刷紙の間を狙って不良紙の時のみ信号指令でテープを挿入カットするが、確実性に乏しいという問題があった。すなわち不良紙から若干ずれたり印刷紙の中に入り込んだり、入らなくて落ちてしまったりする。特に中に入り込むのは異物混入で重欠陥となる。
【０００３】
このような問題を解決するために、容易かつ確実に枚葉刷本から不良品を抜き取ることができ、かつ抜き取った不良品を整理することができる枚葉刷本の不良品抜取装置（例えば、特許文献１）や、容易かつ確実に枚葉刷本から不良品を抜き取ることができる枚葉印刷機の不良刷本排出装置（例えば、特許文献２参照）が開示されている。
しかしながら、これらの装置においては、印刷紙の搬送にニップローラを用いているため、印刷紙にキズや擦れによる障害が生じるのを免れないという問題がある。
また、前記の特許文献２で開示されている不良刷本排出装置においては、搬送される刷本に当接して吸引する吸引車の吸引エアーをバルブで遮断する構造であるが、これでは、現在の枚葉印刷機の処理能力に追従することができないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特許第３７３７７０３号公報
【特許文献２】特許第３７３７７０６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、このような事情のもとで、枚葉印刷機により印刷された複数の印刷紙の中から不良品を選別し、容易にかつ確実に排出することができる上、印刷紙にキズや擦れによる障害が生じない不良品排紙装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、不良印刷紙を判別するための品質検査装置と、該品質検査装置からの信号に基づき、前記搬送機構により搬送された枚葉印刷紙を停止又は通過させる開閉自在な前当て板と、該前当て板により停止された良印刷紙が落下して集積される良紙集積部と、前記前当て板の下流側に位置し、該前当て板を通過した不良印刷紙を排出する特定の機能をもつ不良品排紙機構を有する排紙装置が、その目的に適合し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【０００７】
すなわち、本発明は、
（１）枚葉印刷機の下流側に設けられてなる、複数の印刷紙を連続的に搬送する搬送機構により搬送された印刷紙の不良品を選別し、不良印刷紙を排出する不良品排紙装置であって、
不良印刷紙を判別するための品質検査装置と、該品質検査装置からの信号に基づき、前記搬送機構により搬送された枚葉印刷紙を停止又は通過させる開閉自在な前当て板と、該前当て板により停止された良印刷紙が落下して集積される良紙集積部と、前記前当て板の下流側に位置し、該前当て板を通過した不良印刷紙を排出する不良品排紙機構を有し、前記不良品排紙機構が、印刷紙を吸着するためのサクションダクトと、エアーの流通性及び吸着性を備えたエンドレスサクションベルトと、前記前当て板を通過した不良印刷紙を収納する不良紙排紙部を有することを特徴とする不良品排紙装置、
（２）前当て板を通過した不良印刷紙を停止し、不良紙排紙部に導くためのクッションベルトガイドを有する上記(１)項に記載の不良品排紙装置、
（３）サクションダクト先端の上方から、圧縮エアーを吹き出すノズルを設けてなり、該ノズルからの圧縮エアーを、品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調して吹き付ける手段を有する上記(１)又は(２)項に記載の不良品排紙装置、
（４）良紙集積部の上面に、複数の紙落とし用ファンが設けられており、かつ該紙落とし用ファンが、品質検査装置からの信号に基づき、ファンエアーを両サイドに逃がすルーバーと、該ルーバーを開閉させる駆動源を有する上記(１)〜(３)項のいずれかに記載の不良品排紙装置、
（５）良紙集積部の上面両サイドに設けられた左右紙揃え板に、ジョガー運動をさせるための伸縮自在なエアーシリンダーを設けてなり、該エアーシリンダーのジョガー運動を品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調して停止させる手段を有する上記(１)〜(４)項のいずれかに記載の不良品排紙装置、及び
（６）良紙集積部の上面上流側近傍に、ブレーキ用サクションホイールを設けてなり、該ブレーキ用サクションホイールに、品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調してエアー吸引を停止するシャッター機能を備えた上記(１)〜(５)項のいずれかに記載の不良品排紙装置、
を提供するものである。
【発明の効果】
【０００８】
本発明の不良品排紙装置は、以下に示す効果を奏する。
（１）従来の不良品排紙装置のような、コンピューターからの良、不良印刷紙の信号により、テープマーカーを挿入するだけの不確実さと異なり、不良紙だけの抜き取り作業を確実に、かつ容易に行うことができる。また、印刷結果確認のサンプリング抜き取りも、同じ不良紙排紙部に落とすことで、この作業の困難性及び危険性も解決することができる。さらに、一般的に枚葉印刷機械は特性上始業時、再起動時には品質安定化用として約３０枚程度の無駄（試し）刷りをするが、この場合もニップコロを不要とする吸着搬送方式であるので、確実に不良紙除去装置へ誘導し、不良紙集積部（ポケット）にストックすることができる。
（２）検査を必要としない場合は装置を両側（片側）に収納でき、作業者は装置取り付け以前の状態に近い作業環境で作業することが可能となる。
（３）装置は独立単体方式で、印刷機械への取り付けに大幅な改造を必要としない。
（４）不良紙排出時に印刷紙面がニップコロとの接触等が無いので印刷紙へのキズ、擦れによる障害が一切発生しない。このことにより、通常枚葉印刷機による印刷紙は１枚の用紙に複数の製品が印刷されているが、不良が発生した部分だけを取り除き、残りの良品部分を製品として救い出すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
【図１】本発明の不良品排紙装置を取り付け可能な一般的な枚葉印刷機の一例の概略図である。
【図２】従来の不良品排紙装置における排紙集積部の一例の説明図である。
【図３Ａ】本発明の不良品排紙装置の一例の側面図である。
【図３Ｂ】本発明の不良品排紙装置の一例の上面図である。
【図４】本発明の不良品排紙装置の一例における紙落とし用ファンの機能を説明するための不良紙排紙部側より見た図である。
【図５】本発明の不良品排紙装置の一例における追加機能を説明するための不良紙排紙部側より見た図である。
【図６】本発明の不良品排紙装置の一例におけるブレーキ用サクションホイールの機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
本発明の不良品排紙装置は、枚葉印刷機の下流側に設けられてなる、複数の印刷紙を連続的に搬送する搬送機構により搬送された印刷紙の不良品を選別し、不良印刷紙を排出する不良品排紙装置であって、
不良印刷紙を判別するための品質検査装置と、該品質検査装置からの信号に基づき、前記搬送機構により搬送された枚葉印刷紙を停止又は通過させる開閉自在な前当て板と、該前当て板により停止された良印刷紙が落下して集積される良紙集積部と、前記前当て板の下流側に位置し、該前当て板を通過した不良印刷紙を排出する不良品排紙機構を有し、前記不良品排紙機構が、印刷紙を吸着するためのサクションダクトと、エアーの流通性及び吸着性を備えたエンドレスサクションベルトと、前記前当て板を通過した不良印刷紙を収納する不良紙排紙部を有することを特徴とする。
【００１１】
以下、添付図面の図１、図２、図３Ａ、図３Ｂ、図４、図５及び図６を参考にしながら、本発明の不良品排紙装置について説明する。
図１は、本発明の不良品排紙装置を取り付け可能な一般的な枚葉印刷機の一例の概略図である。なお、図１は２色機の例を示す。
図１に示すように、給紙部に積載された印刷紙は１枚ずつ順次サッカー機構（図示せず）により給紙テーブル上を搬送され、印刷胴に導かれ、各胴に装備された咥え爪により咥えかえられて印刷終了後紙取り胴に受け渡される。紙取り胴からは循環式グリッパーチェーンに保持された複数のグリッパー（爪竿）に印刷紙は順次咥えられ、排紙集積部まで運ばれて、積載される。
【００１２】
図２は、従来の不良品排紙装置における排紙集積部の一例の説明図である。
図２に示すように、最終印刷終了後の印刷紙は紙取り胴から左右循環式に伸びた搬送用のグリッパーチェーンと、これに取り付くグリッパーに咥えかえられ、順次搬送される。排紙集積部３０の前縁部には前部を揃える目的で前当て板があり、紙離し位置でグリッパーから開放された印刷紙は前当て板に倣って垂直に降下して積載される。この間、印刷紙は１６０枚／毎分以上で搬送されることがあり、グリッパー開放直後はこれと同等の速度なので、印刷紙は前当て板に激突し、跳ね返り、このままでは到底揃えの目的は達し得ない。
このため印刷紙の尻部にはグリッパー開放後のブレーキ用サクションホイール（以下、単に「サクションホイール」と称することがある。）が設けられ、印刷紙の衝突速度を急激に減速させている。
【００１３】
このサクションホイールは、外周面に多数の吸引穴、又は吸引溝が設けられ、該サクションホイールの上面（印刷紙との摺動面）のみ吸引される構造となっている。外周面の周速度は搬送方向回転で、調整可能であり、搬送用紙の約１／２〜１／３程度に設定され、あとは搬送速度に比例する。
なお、このサクションホイールの効用はサクションホイール上に通過中の印刷紙の巻き癖を取り、平らに近い状態にして、その結果揃え精度を良好にさせるものでもある。排紙集積部３０上面には複数の紙落し用小型ファンが設けられ、グリッパーから放たれた印刷紙を次にくる印刷紙で蹴り上げられないよう、早く落下させるために、エアーで吹き付けている。
【００１４】
左右紙揃え板は、印刷紙の左右の揃えのため設けられており、印刷紙が進入するときはその都度約１０ｍｍ〜２０ｍｍ両側に逃げ、落下する際寄せて揃える動作を繰り返す。すなわち紙揃え板の揃え動作は印刷紙の到達タイミングと合致している。排紙集積部３０前縁の前当て板は押し釦操作による開閉式になっており、印刷紙の状態を診るべく人手にて取り出し可能である（サンプリング紙ぬきとり）。
グリッパーの開閉は、グリッパー軸に開閉のためのコロ付レバーが設けられており、印刷胴と紙取り胴との咥え替え時、及び紙放し位置での開放時に、両方に設けられたカム（図示せず）とコロ付レバーとの接触で行う。
【００１５】
図２においては印刷紙の良不良を検知し、不良品を選別するための品質検査装置用カメラとテープマーカーの一般的な取り付け例が示されている。最終印刷終了後のカメラにての検出は、印刷紙のばたつきの無い場所が要求されるので、印刷胴に巻きついた表面等で、かつメンテナンスの行いやすいところとなる。また、テープマーカーの設置場所も連続して印刷紙の落下してくる間を狙えるところで、かつ他の機械部品に障害の無いところを選ぶことになる。
品質検査装置の検出結果をコンピューター処理後、良否の信号を印刷紙の搬送に沿ってシフトし、排紙積載部３０で不良紙到達時、信号を受け取り、テープマーカーがテープ挿入の動作を行う（本の「しおり」みたいなもの）。テープマーカー（詳細省略）は順次降下してくる用紙の間を狙って不良紙の時のみ信号指令でテープを挿入カットするが、確実性に乏しいという問題があった。すなわち不良紙から若干ずれたり印刷紙の中に入り込んだり、入らなくて落ちてしまったりする。特に中に入り込むのは異物混入で重欠陥となる。
以上に加えて最大の問題は不良紙信号により、その都度不良紙のみを抜き取り、検査結果の確認を行うことは、稼働中には極めて困難である。
【００１６】
図３Ａ及び図３Ｂは、それぞれ本発明の不良品排紙装置の一例の側面図及び上面図である。
なお、不良印刷紙を判別するための品質検査装置（図示せず）の取り付け位置は、前記の図２で示したとおりである。
作業者は、通常この装置取り付けの場所で機械操作作業することが多く、不良品排紙装置もこの部分の取り付けが一番望ましい。印刷紙は紙搬送グリッパー３により紙放し位置まで搬送され、前当て板１に衝突して集積されるが、不良紙は品質検査装置からの信号により前当て板が後方に倒れ、印刷紙の先端が、吸引穴付きサクションベルト２に進入し、該ベルトに吸着され、不良紙積載部に落とされる。
また、吸引穴付きサクションベルト２の先端に不良紙が侵入するときに、サクションベルト２の表面への吸着補助のため上方からノズル１４でエアーを不良紙の上に吹き付けることができる。不良紙進入時の吹き付けは、サクションベルト２の先端に不良紙を確実に吸着させるために好ましい。ノズル１４の吹き付けは、印刷機稼働中、連続的に噴射させておくこともできるが、不良紙が発生したときだけノズルから気体が噴射するようにする方が噴射ガスの節約になる点で望ましい。
この時、品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調して圧縮エアーを吹き付けることが望ましい。不良紙がサクションベルト２の先端に届くタイミングと同調してノズル１４の噴射バルブを開き、不良紙がサクションベルト２の先端に吸着後は噴射バルブを閉じるシャッター機能をノズル１４に備えることが望ましい。
サクションベルト２の周速度は紙搬送グリッパー３の周速度より１０％程度早く設定され、不良排紙尻部を次に排紙される紙の前部で蹴られないようにして、前当て板が閉まる前に不良紙が逃げきるようにすることができる。
【００１７】
サクションダクト４はサクションポンプ（図示せず）からのサクションエアーをダクトを介してサクションベルト２に平均的、かつ一定の距離を吸引するためのものである。ダクト上面にはベルトの吸引穴に対応する吸引溝が設けられ、サクションベルトの平坦性保持と、吸引エアーの流通性が考慮されている。ダクト形状としては、放たれてくる不良紙をより完全に吸着するため、前当て板１のギリギリまでダクトを鋭角状（ナイフエッジ）に伸ばすことが好ましい。これにより、吸着面積を広げる効果がある。
【００１８】
サクションベルト２は駆動モーター５により駆動ベルト６及び対応する駆動ローラー１５を介して駆動される。サクションベルト２を通過後の不良紙は、不良紙排紙部に収納されるが、該不良紙を不良紙排紙部に導くためには、サクションベルト２を通過した不良紙を、クッションベルトガイド７で停止することによって、不良紙にキズが付くのを防止するのが望ましい。この場合、ベルトはその対応上、張力調整可能となっており、調整は調整ハンドル８で行う。紙ガイド板１６は紙が飛び出さないよう複数個が適宜設けられている。
例えば、８個取りの印刷紙の場合、１個の印刷不良の印刷面でも不良紙となり、選別されるが、これを裁断すると、７個の良好な印刷紙を取得できるので、不良紙の傷を防止することは、不良印刷の比率を低下させる点で重要である。
不良紙排紙部一式、すなわちサクションベルト２、サクションダクト４、駆動モーター５、駆動ベルト６、駆動ローラー１５、クッションベルトガイド７、調整ハンドル８、紙ガイド板１６等は不良紙排出枠１０に保持され、柱９を中心に観音開きにすることができる（片側開きも可）。観音開き構造によって、既設の印刷機に、本発明装置を付加することを容易にすることができる。
【００１９】
本発明の不良品排紙装置においては、通常、良刷紙を、強制的に良紙集積部に落とし込む紙落とし用ファン１１が設けられているが、紙落とし用ファン１１は不良紙通過時には障害となるので、該通過時には送風位置を一時変更するのがよく、したがって、紙落とし用ファン１１は、品質検査装置からの信号に基き、ファンエアーを両サイドに逃がすルーバーと、該ルーバーを開閉させる手段を有することが好ましい。
図４は、本発明の不良品排紙装置の一例における紙落とし用ファンの機能を説明するための不良紙排紙部側より見た図であって、この図４において、良紙集積部上に不良紙が到達した際、不良紙とともにシフトされた不良紙信号により、送風停止用エアーシリンダー１７のピストンが突き出し、ロッド１８が移動し、レバー１９を動かし、エアー開閉用ルーバー２０が上方に跳ね上がり、紙落とし用ファン１１から下方に向けていたエアーを左右水平方向に送風変更しエアーを逃がす。このとき、紙落とし用ファン１１の風は、不良紙の面を押しつけないので、不良紙と下方の紙との摩擦がなく、不良紙の先端がサクションベルト２の端部に届き、円滑に積層部の上から不良紙が排出される。
【００２０】
また、本発明の不良品排紙装置においては、通常紙揃えを行う目的で、良紙集積部の上面両サイドに設けられた左右紙揃え板にジョガー運動させるために、伸縮自在なエアーシリンダーが設けられているが、このジョガー運動は、不良紙通過にはブレーキとなる。
本発明では、品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調して、ジョガー運動を停止させることができる。例えば、良紙集積部の上面両サイドに設けられた左右紙揃え板が不良紙通過時に最も後退した位置で瞬間的に停止させるのが特に望ましい。
図５は、本発明の不良品排紙装置の一例における追加機能を説明するための不良紙排紙部側より見た図であって、左右紙揃え板１２と軸２１との間に、ジョガー運動させる伸縮自在なエアーシリンダー２２を介した図が示されている。
良刷紙を揃える場合は、エアーシリンダー２２のピストンが伸びた位置でジョガー運動を行い、不良紙が通過する際には、エアーシリンダー２２のピストンが縮まった状態でジョガー運動を行と、紙寄せ機能は失われ、不良紙は良紙積層部上をスムーズに通過して、サクションベルト２に到達させることができる。
【００２１】
さらに、本発明の不良品排紙装置においては、良紙集積部の上面上流側近傍に、エアー吸引を停止するシャッター機能を備えたブレーキ用サクションホイールを設けることが好ましい。ブレーキ用サクションホイールの通常の機能については、前記図２において、説明したとおりである。
図６は、本発明の不良品排紙装置の一例におけるブレーキ用サクションホイールの機能を説明するための図であって、ブレーキ用サクションホイール１３は、その上面排紙吸引部分がセグメント型シャッター２３で覆われ、エアー吸引の一時開閉をエアーシリンダー２４のピストン端と連結させて行う。シリンダーのピストンが伸びて不良紙通過用のエアーを切り、ピストンが縮んで吸引穴が通じ、良刷紙を吸引する。このブレーキ用サクションホイール１３の吸引がないと、良刷紙は、前当て板に激突して、積層が折り曲がったりして円滑な積層ができない。
しかし、不良紙が移送された場合に、単に前当て板が開いただけでは、ブレーキ用サクションホイール１３の吸引があると、不良紙は、サクションダクトまで達することができなくなる。本発明のブレーキ用サクションホイールには、品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調して、シャッター開閉エアーシリンダー２４が作動して、エアーの吸引を停止することができる。
エアーの吸引を停止することによって、印刷不良紙は、ブレーキがかからないので開いた前当て板を通過して、サクションダクトまで確実に届かせることができる。
なお、本発明において、動力としてエアーシリンダー以外に、例えば電磁ソレノイドなどを利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【００２２】
本発明の不良品排紙装置は、枚葉印刷機により印刷された複数の印刷紙の中から不良品を選別し、容易にかつ確実に排紙することができる。また、該装置は、独立単体方式で、印刷機械への取り付けに大幅な改造を必要としない上、検査を必要としない場合は装置を両側（片側）に収納でき作業者は装置取り付け以前の状態に近い作業環境で作業することが可能となる。
【符号の説明】
【００２３】
１ 前当て板
２ サクションベルト
３ 紙搬送グリッパー
４ サクションダクト
５ 駆動モーター
６ 駆動ベルト
７ クッションベルトガイド
８ 調整ハンドル
９ 柱
１０ 不良紙排出枠
１１ 紙落とし用ファン
１２ 左右紙揃え板
１３ ブレーキ用サクションホイール
１４ ノズル
１５ 駆動ローラー
１６ 紙ガイド板
１７ 送風停止用エアーシリンダー
１８ ロッド
１９ レバー
２０ エアー開閉用ルーバー
２１ 軸
２２ エアーシリンダー
２３ セグメント型シャッター
２４ エアーシリンダー
３０ 排紙集積部
【技術分野】
【０００１】
本発明は不良品排紙装置に関し、さらに詳しくは、枚葉印刷機により印刷された複数の印刷紙の中から不良品を選別し、容易にかつ確実に排出する不良品排紙装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に印刷済の枚葉印刷紙は、枚葉印刷機の下流側に設けられた搬送装置により複数搬送され排紙部まで運ばれ積載される。しかし、該印刷紙に不良品が出た場合、この不良品を選別し、排出しなければならない。不良品は、従来、品質検査装置の検出結果をコンピューター処理後、良否の信号を印刷紙の搬送に沿ってシフトし、積載部で不良紙到達時、信号を受け取り、テープマーカーがテープ挿入の動作を行うことにより、選別されていた。
テープマーカーは順次降下してくる印刷紙の間を狙って不良紙の時のみ信号指令でテープを挿入カットするが、確実性に乏しいという問題があった。すなわち不良紙から若干ずれたり印刷紙の中に入り込んだり、入らなくて落ちてしまったりする。特に中に入り込むのは異物混入で重欠陥となる。
【０００３】
このような問題を解決するために、容易かつ確実に枚葉刷本から不良品を抜き取ることができ、かつ抜き取った不良品を整理することができる枚葉刷本の不良品抜取装置（例えば、特許文献１）や、容易かつ確実に枚葉刷本から不良品を抜き取ることができる枚葉印刷機の不良刷本排出装置（例えば、特許文献２参照）が開示されている。
しかしながら、これらの装置においては、印刷紙の搬送にニップローラを用いているため、印刷紙にキズや擦れによる障害が生じるのを免れないという問題がある。
また、前記の特許文献２で開示されている不良刷本排出装置においては、搬送される刷本に当接して吸引する吸引車の吸引エアーをバルブで遮断する構造であるが、これでは、現在の枚葉印刷機の処理能力に追従することができないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特許第３７３７７０３号公報
【特許文献２】特許第３７３７７０６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、このような事情のもとで、枚葉印刷機により印刷された複数の印刷紙の中から不良品を選別し、容易にかつ確実に排出することができる上、印刷紙にキズや擦れによる障害が生じない不良品排紙装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、不良印刷紙を判別するための品質検査装置と、該品質検査装置からの信号に基づき、前記搬送機構により搬送された枚葉印刷紙を停止又は通過させる開閉自在な前当て板と、該前当て板により停止された良印刷紙が落下して集積される良紙集積部と、前記前当て板の下流側に位置し、該前当て板を通過した不良印刷紙を排出する特定の機能をもつ不良品排紙機構を有する排紙装置が、その目的に適合し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【０００７】
すなわち、本発明は、
（１）枚葉印刷機の下流側に設けられてなる、複数の印刷紙を連続的に搬送する搬送機構により搬送された印刷紙の不良品を選別し、不良印刷紙を排出する不良品排紙装置であって、
不良印刷紙を判別するための品質検査装置と、該品質検査装置からの信号に基づき、前記搬送機構により搬送された枚葉印刷紙を停止又は通過させる開閉自在な前当て板と、該前当て板により停止された良印刷紙が落下して集積される良紙集積部と、前記前当て板の下流側に位置し、該前当て板を通過した不良印刷紙を排出する不良品排紙機構を有し、前記不良品排紙機構が、印刷紙を吸着するためのサクションダクトと、エアーの流通性及び吸着性を備えたエンドレスサクションベルトと、前記前当て板を通過した不良印刷紙を収納する不良紙排紙部を有することを特徴とする不良品排紙装置、
（２）前当て板を通過した不良印刷紙を停止し、不良紙排紙部に導くためのクッションベルトガイドを有する上記(１)項に記載の不良品排紙装置、
（３）サクションダクト先端の上方から、圧縮エアーを吹き出すノズルを設けてなり、該ノズルからの圧縮エアーを、品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調して吹き付ける手段を有する上記(１)又は(２)項に記載の不良品排紙装置、
（４）良紙集積部の上面に、複数の紙落とし用ファンが設けられており、かつ該紙落とし用ファンが、品質検査装置からの信号に基づき、ファンエアーを両サイドに逃がすルーバーと、該ルーバーを開閉させる駆動源を有する上記(１)〜(３)項のいずれかに記載の不良品排紙装置、
（５）良紙集積部の上面両サイドに設けられた左右紙揃え板に、ジョガー運動をさせるための伸縮自在なエアーシリンダーを設けてなり、該エアーシリンダーのジョガー運動を品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調して停止させる手段を有する上記(１)〜(４)項のいずれかに記載の不良品排紙装置、及び
（６）良紙集積部の上面上流側近傍に、ブレーキ用サクションホイールを設けてなり、該ブレーキ用サクションホイールに、品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調してエアー吸引を停止するシャッター機能を備えた上記(１)〜(５)項のいずれかに記載の不良品排紙装置、
を提供するものである。
【発明の効果】
【０００８】
本発明の不良品排紙装置は、以下に示す効果を奏する。
（１）従来の不良品排紙装置のような、コンピューターからの良、不良印刷紙の信号により、テープマーカーを挿入するだけの不確実さと異なり、不良紙だけの抜き取り作業を確実に、かつ容易に行うことができる。また、印刷結果確認のサンプリング抜き取りも、同じ不良紙排紙部に落とすことで、この作業の困難性及び危険性も解決することができる。さらに、一般的に枚葉印刷機械は特性上始業時、再起動時には品質安定化用として約３０枚程度の無駄（試し）刷りをするが、この場合もニップコロを不要とする吸着搬送方式であるので、確実に不良紙除去装置へ誘導し、不良紙集積部（ポケット）にストックすることができる。
（２）検査を必要としない場合は装置を両側（片側）に収納でき、作業者は装置取り付け以前の状態に近い作業環境で作業することが可能となる。
（３）装置は独立単体方式で、印刷機械への取り付けに大幅な改造を必要としない。
（４）不良紙排出時に印刷紙面がニップコロとの接触等が無いので印刷紙へのキズ、擦れによる障害が一切発生しない。このことにより、通常枚葉印刷機による印刷紙は１枚の用紙に複数の製品が印刷されているが、不良が発生した部分だけを取り除き、残りの良品部分を製品として救い出すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
【図１】本発明の不良品排紙装置を取り付け可能な一般的な枚葉印刷機の一例の概略図である。
【図２】従来の不良品排紙装置における排紙集積部の一例の説明図である。
【図３Ａ】本発明の不良品排紙装置の一例の側面図である。
【図３Ｂ】本発明の不良品排紙装置の一例の上面図である。
【図４】本発明の不良品排紙装置の一例における紙落とし用ファンの機能を説明するための不良紙排紙部側より見た図である。
【図５】本発明の不良品排紙装置の一例における追加機能を説明するための不良紙排紙部側より見た図である。
【図６】本発明の不良品排紙装置の一例におけるブレーキ用サクションホイールの機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
本発明の不良品排紙装置は、枚葉印刷機の下流側に設けられてなる、複数の印刷紙を連続的に搬送する搬送機構により搬送された印刷紙の不良品を選別し、不良印刷紙を排出する不良品排紙装置であって、
不良印刷紙を判別するための品質検査装置と、該品質検査装置からの信号に基づき、前記搬送機構により搬送された枚葉印刷紙を停止又は通過させる開閉自在な前当て板と、該前当て板により停止された良印刷紙が落下して集積される良紙集積部と、前記前当て板の下流側に位置し、該前当て板を通過した不良印刷紙を排出する不良品排紙機構を有し、前記不良品排紙機構が、印刷紙を吸着するためのサクションダクトと、エアーの流通性及び吸着性を備えたエンドレスサクションベルトと、前記前当て板を通過した不良印刷紙を収納する不良紙排紙部を有することを特徴とする。
【００１１】
以下、添付図面の図１、図２、図３Ａ、図３Ｂ、図４、図５及び図６を参考にしながら、本発明の不良品排紙装置について説明する。
図１は、本発明の不良品排紙装置を取り付け可能な一般的な枚葉印刷機の一例の概略図である。なお、図１は２色機の例を示す。
図１に示すように、給紙部に積載された印刷紙は１枚ずつ順次サッカー機構（図示せず）により給紙テーブル上を搬送され、印刷胴に導かれ、各胴に装備された咥え爪により咥えかえられて印刷終了後紙取り胴に受け渡される。紙取り胴からは循環式グリッパーチェーンに保持された複数のグリッパー（爪竿）に印刷紙は順次咥えられ、排紙集積部まで運ばれて、積載される。
【００１２】
図２は、従来の不良品排紙装置における排紙集積部の一例の説明図である。
図２に示すように、最終印刷終了後の印刷紙は紙取り胴から左右循環式に伸びた搬送用のグリッパーチェーンと、これに取り付くグリッパーに咥えかえられ、順次搬送される。排紙集積部３０の前縁部には前部を揃える目的で前当て板があり、紙離し位置でグリッパーから開放された印刷紙は前当て板に倣って垂直に降下して積載される。この間、印刷紙は１６０枚／毎分以上で搬送されることがあり、グリッパー開放直後はこれと同等の速度なので、印刷紙は前当て板に激突し、跳ね返り、このままでは到底揃えの目的は達し得ない。
このため印刷紙の尻部にはグリッパー開放後のブレーキ用サクションホイール（以下、単に「サクションホイール」と称することがある。）が設けられ、印刷紙の衝突速度を急激に減速させている。
【００１３】
このサクションホイールは、外周面に多数の吸引穴、又は吸引溝が設けられ、該サクションホイールの上面（印刷紙との摺動面）のみ吸引される構造となっている。外周面の周速度は搬送方向回転で、調整可能であり、搬送用紙の約１／２〜１／３程度に設定され、あとは搬送速度に比例する。
なお、このサクションホイールの効用はサクションホイール上に通過中の印刷紙の巻き癖を取り、平らに近い状態にして、その結果揃え精度を良好にさせるものでもある。排紙集積部３０上面には複数の紙落し用小型ファンが設けられ、グリッパーから放たれた印刷紙を次にくる印刷紙で蹴り上げられないよう、早く落下させるために、エアーで吹き付けている。
【００１４】
左右紙揃え板は、印刷紙の左右の揃えのため設けられており、印刷紙が進入するときはその都度約１０ｍｍ〜２０ｍｍ両側に逃げ、落下する際寄せて揃える動作を繰り返す。すなわち紙揃え板の揃え動作は印刷紙の到達タイミングと合致している。排紙集積部３０前縁の前当て板は押し釦操作による開閉式になっており、印刷紙の状態を診るべく人手にて取り出し可能である（サンプリング紙ぬきとり）。
グリッパーの開閉は、グリッパー軸に開閉のためのコロ付レバーが設けられており、印刷胴と紙取り胴との咥え替え時、及び紙放し位置での開放時に、両方に設けられたカム（図示せず）とコロ付レバーとの接触で行う。
【００１５】
図２においては印刷紙の良不良を検知し、不良品を選別するための品質検査装置用カメラとテープマーカーの一般的な取り付け例が示されている。最終印刷終了後のカメラにての検出は、印刷紙のばたつきの無い場所が要求されるので、印刷胴に巻きついた表面等で、かつメンテナンスの行いやすいところとなる。また、テープマーカーの設置場所も連続して印刷紙の落下してくる間を狙えるところで、かつ他の機械部品に障害の無いところを選ぶことになる。
品質検査装置の検出結果をコンピューター処理後、良否の信号を印刷紙の搬送に沿ってシフトし、排紙積載部３０で不良紙到達時、信号を受け取り、テープマーカーがテープ挿入の動作を行う（本の「しおり」みたいなもの）。テープマーカー（詳細省略）は順次降下してくる用紙の間を狙って不良紙の時のみ信号指令でテープを挿入カットするが、確実性に乏しいという問題があった。すなわち不良紙から若干ずれたり印刷紙の中に入り込んだり、入らなくて落ちてしまったりする。特に中に入り込むのは異物混入で重欠陥となる。
以上に加えて最大の問題は不良紙信号により、その都度不良紙のみを抜き取り、検査結果の確認を行うことは、稼働中には極めて困難である。
【００１６】
図３Ａ及び図３Ｂは、それぞれ本発明の不良品排紙装置の一例の側面図及び上面図である。
なお、不良印刷紙を判別するための品質検査装置（図示せず）の取り付け位置は、前記の図２で示したとおりである。
作業者は、通常この装置取り付けの場所で機械操作作業することが多く、不良品排紙装置もこの部分の取り付けが一番望ましい。印刷紙は紙搬送グリッパー３により紙放し位置まで搬送され、前当て板１に衝突して集積されるが、不良紙は品質検査装置からの信号により前当て板が後方に倒れ、印刷紙の先端が、吸引穴付きサクションベルト２に進入し、該ベルトに吸着され、不良紙積載部に落とされる。
また、吸引穴付きサクションベルト２の先端に不良紙が侵入するときに、サクションベルト２の表面への吸着補助のため上方からノズル１４でエアーを不良紙の上に吹き付けることができる。不良紙進入時の吹き付けは、サクションベルト２の先端に不良紙を確実に吸着させるために好ましい。ノズル１４の吹き付けは、印刷機稼働中、連続的に噴射させておくこともできるが、不良紙が発生したときだけノズルから気体が噴射するようにする方が噴射ガスの節約になる点で望ましい。
この時、品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調して圧縮エアーを吹き付けることが望ましい。不良紙がサクションベルト２の先端に届くタイミングと同調してノズル１４の噴射バルブを開き、不良紙がサクションベルト２の先端に吸着後は噴射バルブを閉じるシャッター機能をノズル１４に備えることが望ましい。
サクションベルト２の周速度は紙搬送グリッパー３の周速度より１０％程度早く設定され、不良排紙尻部を次に排紙される紙の前部で蹴られないようにして、前当て板が閉まる前に不良紙が逃げきるようにすることができる。
【００１７】
サクションダクト４はサクションポンプ（図示せず）からのサクションエアーをダクトを介してサクションベルト２に平均的、かつ一定の距離を吸引するためのものである。ダクト上面にはベルトの吸引穴に対応する吸引溝が設けられ、サクションベルトの平坦性保持と、吸引エアーの流通性が考慮されている。ダクト形状としては、放たれてくる不良紙をより完全に吸着するため、前当て板１のギリギリまでダクトを鋭角状（ナイフエッジ）に伸ばすことが好ましい。これにより、吸着面積を広げる効果がある。
【００１８】
サクションベルト２は駆動モーター５により駆動ベルト６及び対応する駆動ローラー１５を介して駆動される。サクションベルト２を通過後の不良紙は、不良紙排紙部に収納されるが、該不良紙を不良紙排紙部に導くためには、サクションベルト２を通過した不良紙を、クッションベルトガイド７で停止することによって、不良紙にキズが付くのを防止するのが望ましい。この場合、ベルトはその対応上、張力調整可能となっており、調整は調整ハンドル８で行う。紙ガイド板１６は紙が飛び出さないよう複数個が適宜設けられている。
例えば、８個取りの印刷紙の場合、１個の印刷不良の印刷面でも不良紙となり、選別されるが、これを裁断すると、７個の良好な印刷紙を取得できるので、不良紙の傷を防止することは、不良印刷の比率を低下させる点で重要である。
不良紙排紙部一式、すなわちサクションベルト２、サクションダクト４、駆動モーター５、駆動ベルト６、駆動ローラー１５、クッションベルトガイド７、調整ハンドル８、紙ガイド板１６等は不良紙排出枠１０に保持され、柱９を中心に観音開きにすることができる（片側開きも可）。観音開き構造によって、既設の印刷機に、本発明装置を付加することを容易にすることができる。
【００１９】
本発明の不良品排紙装置においては、通常、良刷紙を、強制的に良紙集積部に落とし込む紙落とし用ファン１１が設けられているが、紙落とし用ファン１１は不良紙通過時には障害となるので、該通過時には送風位置を一時変更するのがよく、したがって、紙落とし用ファン１１は、品質検査装置からの信号に基き、ファンエアーを両サイドに逃がすルーバーと、該ルーバーを開閉させる手段を有することが好ましい。
図４は、本発明の不良品排紙装置の一例における紙落とし用ファンの機能を説明するための不良紙排紙部側より見た図であって、この図４において、良紙集積部上に不良紙が到達した際、不良紙とともにシフトされた不良紙信号により、送風停止用エアーシリンダー１７のピストンが突き出し、ロッド１８が移動し、レバー１９を動かし、エアー開閉用ルーバー２０が上方に跳ね上がり、紙落とし用ファン１１から下方に向けていたエアーを左右水平方向に送風変更しエアーを逃がす。このとき、紙落とし用ファン１１の風は、不良紙の面を押しつけないので、不良紙と下方の紙との摩擦がなく、不良紙の先端がサクションベルト２の端部に届き、円滑に積層部の上から不良紙が排出される。
【００２０】
また、本発明の不良品排紙装置においては、通常紙揃えを行う目的で、良紙集積部の上面両サイドに設けられた左右紙揃え板にジョガー運動させるために、伸縮自在なエアーシリンダーが設けられているが、このジョガー運動は、不良紙通過にはブレーキとなる。
本発明では、品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調して、ジョガー運動を停止させることができる。例えば、良紙集積部の上面両サイドに設けられた左右紙揃え板が不良紙通過時に最も後退した位置で瞬間的に停止させるのが特に望ましい。
図５は、本発明の不良品排紙装置の一例における追加機能を説明するための不良紙排紙部側より見た図であって、左右紙揃え板１２と軸２１との間に、ジョガー運動させる伸縮自在なエアーシリンダー２２を介した図が示されている。
良刷紙を揃える場合は、エアーシリンダー２２のピストンが伸びた位置でジョガー運動を行い、不良紙が通過する際には、エアーシリンダー２２のピストンが縮まった状態でジョガー運動を行と、紙寄せ機能は失われ、不良紙は良紙積層部上をスムーズに通過して、サクションベルト２に到達させることができる。
【００２１】
さらに、本発明の不良品排紙装置においては、良紙集積部の上面上流側近傍に、エアー吸引を停止するシャッター機能を備えたブレーキ用サクションホイールを設けることが好ましい。ブレーキ用サクションホイールの通常の機能については、前記図２において、説明したとおりである。
図６は、本発明の不良品排紙装置の一例におけるブレーキ用サクションホイールの機能を説明するための図であって、ブレーキ用サクションホイール１３は、その上面排紙吸引部分がセグメント型シャッター２３で覆われ、エアー吸引の一時開閉をエアーシリンダー２４のピストン端と連結させて行う。シリンダーのピストンが伸びて不良紙通過用のエアーを切り、ピストンが縮んで吸引穴が通じ、良刷紙を吸引する。このブレーキ用サクションホイール１３の吸引がないと、良刷紙は、前当て板に激突して、積層が折り曲がったりして円滑な積層ができない。
しかし、不良紙が移送された場合に、単に前当て板が開いただけでは、ブレーキ用サクションホイール１３の吸引があると、不良紙は、サクションダクトまで達することができなくなる。本発明のブレーキ用サクションホイールには、品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調して、シャッター開閉エアーシリンダー２４が作動して、エアーの吸引を停止することができる。
エアーの吸引を停止することによって、印刷不良紙は、ブレーキがかからないので開いた前当て板を通過して、サクションダクトまで確実に届かせることができる。
なお、本発明において、動力としてエアーシリンダー以外に、例えば電磁ソレノイドなどを利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【００２２】
本発明の不良品排紙装置は、枚葉印刷機により印刷された複数の印刷紙の中から不良品を選別し、容易にかつ確実に排紙することができる。また、該装置は、独立単体方式で、印刷機械への取り付けに大幅な改造を必要としない上、検査を必要としない場合は装置を両側（片側）に収納でき作業者は装置取り付け以前の状態に近い作業環境で作業することが可能となる。
【符号の説明】
【００２３】
１ 前当て板
２ サクションベルト
３ 紙搬送グリッパー
４ サクションダクト
５ 駆動モーター
６ 駆動ベルト
７ クッションベルトガイド
８ 調整ハンドル
９ 柱
１０ 不良紙排出枠
１１ 紙落とし用ファン
１２ 左右紙揃え板
１３ ブレーキ用サクションホイール
１４ ノズル
１５ 駆動ローラー
１６ 紙ガイド板
１７ 送風停止用エアーシリンダー
１８ ロッド
１９ レバー
２０ エアー開閉用ルーバー
２１ 軸
２２ エアーシリンダー
２３ セグメント型シャッター
２４ エアーシリンダー
３０ 排紙集積部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
枚葉印刷機の下流側に設けられてなる、複数の印刷紙を連続的に搬送する搬送機構により搬送された印刷紙の不良品を選別し、不良印刷紙を排出する不良品排紙装置であって、
不良印刷紙を判別するための品質検査装置と、該品質検査装置からの信号に基づき、前記搬送機構により搬送された枚葉印刷紙を停止又は通過させる開閉自在な前当て板と、該前当て板により停止された良印刷紙が落下して集積される良紙集積部と、前記前当て板の下流側に位置し、該前当て板を通過した不良印刷紙を排出する不良品排紙機構を有し、前記不良品排紙機構が、印刷紙を吸着するためのサクションダクトと、エアーの流通性及び吸着性を備えたエンドレスサクションベルトと、前記前当て板を通過した不良印刷紙を収納する不良紙排紙部を有することを特徴とする不良品排紙装置。
【請求項２】
前当て板を通過した不良印刷紙を停止し、不良紙排紙部に導くためのクッションベルトガイドを有する請求項１に記載の不良品排紙装置。
【請求項３】
サクションダクト先端の上方から、圧縮エアーを吹き出すノズルを設けてなり、該ノズルからの圧縮エアーを、品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調して吹き付ける手段を有する請求項１又は２に記載の不良品排紙装置。
【請求項４】
良紙集積部の上面に、複数の紙落とし用ファンが設けられており、かつ該紙落とし用ファンが、品質検査装置からの信号に基づき、ファンエアーを両サイドに逃がすルーバーと、該ルーバーを開閉させる駆動源を有する請求項１〜３のいずれかに記載の不良品排紙装置。
【請求項５】
良紙集積部の上面両サイドに設けられた左右紙揃え板に、ジョガー運動をさせるための伸縮自在なエアーシリンダーを設けてなり、該エアーシリンダーのジョガー運動を品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調して停止させる手段を有する請求項１〜４のいずれかに記載の不良品排紙装置。
【請求項６】
良紙集積部の上面上流側近傍に、ブレーキ用サクションホイールを設けてなり、該ブレーキ用サクションホイールに、品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調してエアー吸引を停止するシャッター機能を備えた請求項１〜５のいずれかに記載の不良品排紙装置。
【請求項１】
枚葉印刷機の下流側に設けられてなる、複数の印刷紙を連続的に搬送する搬送機構により搬送された印刷紙の不良品を選別し、不良印刷紙を排出する不良品排紙装置であって、
不良印刷紙を判別するための品質検査装置と、該品質検査装置からの信号に基づき、前記搬送機構により搬送された枚葉印刷紙を停止又は通過させる開閉自在な前当て板と、該前当て板により停止された良印刷紙が落下して集積される良紙集積部と、前記前当て板の下流側に位置し、該前当て板を通過した不良印刷紙を排出する不良品排紙機構を有し、前記不良品排紙機構が、印刷紙を吸着するためのサクションダクトと、エアーの流通性及び吸着性を備えたエンドレスサクションベルトと、前記前当て板を通過した不良印刷紙を収納する不良紙排紙部を有することを特徴とする不良品排紙装置。
【請求項２】
前当て板を通過した不良印刷紙を停止し、不良紙排紙部に導くためのクッションベルトガイドを有する請求項１に記載の不良品排紙装置。
【請求項３】
サクションダクト先端の上方から、圧縮エアーを吹き出すノズルを設けてなり、該ノズルからの圧縮エアーを、品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調して吹き付ける手段を有する請求項１又は２に記載の不良品排紙装置。
【請求項４】
良紙集積部の上面に、複数の紙落とし用ファンが設けられており、かつ該紙落とし用ファンが、品質検査装置からの信号に基づき、ファンエアーを両サイドに逃がすルーバーと、該ルーバーを開閉させる駆動源を有する請求項１〜３のいずれかに記載の不良品排紙装置。
【請求項５】
良紙集積部の上面両サイドに設けられた左右紙揃え板に、ジョガー運動をさせるための伸縮自在なエアーシリンダーを設けてなり、該エアーシリンダーのジョガー運動を品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調して停止させる手段を有する請求項１〜４のいずれかに記載の不良品排紙装置。
【請求項６】
良紙集積部の上面上流側近傍に、ブレーキ用サクションホイールを設けてなり、該ブレーキ用サクションホイールに、品質検査装置からの信号に基づき、不良紙通過のタイミングと同調してエアー吸引を停止するシャッター機能を備えた請求項１〜５のいずれかに記載の不良品排紙装置。
【図１】
【図２】
【図３Ａ】
【図３Ｂ】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３Ａ】
【図３Ｂ】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１１−７９６０３（Ｐ２０１１−７９６０３Ａ）
【公開日】平成２３年４月２１日（２０１１．４．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２３１４７７（Ｐ２００９−２３１４７７）
【出願日】平成２１年１０月５日（２００９．１０．５）
【出願人】（０００２２０２８４）東京給紙機株式会社 (4)
【出願人】（０００１０９２００）ダックエンジニアリング株式会社 (13)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年４月２１日（２０１１．４．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年１０月５日（２００９．１０．５）
【出願人】（０００２２０２８４）東京給紙機株式会社 (4)
【出願人】（０００１０９２００）ダックエンジニアリング株式会社 (13)
【Ｆターム（参考）】
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