説明

両親媒性ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)コポリマー

【課題】ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)の安定化できるラジカルを形成し、薬物送達系ブロックポリマーを調製する。
【解決手段】ヒドロキシ末端を有するポリ(N−ビニルピロリドン)を調整したのち、他のジブロックあるいはトリブロックコポリマーを調製する2段階の重合方法。
【効果】ブロックコポリマーは薬物送達のための担体として用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的にブロックコポリマーの調製方法、具体的には2段階の重合によるブロックコポリマーの調製方法、最も具体的には(a)ラジカル開始剤、連鎖移動剤(任意)及びアルコール溶媒の存在下でN−ビニル−2−ピロリドンのラジカル重合を実施してヒドロキシ末端を有するポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)を形成、及び(b)触媒あるいは塩基及びマクロ開始剤の存在下でのモノマーあるいはコモノマーのイオン重合であって、前記マクロ開始剤が段階(a)で形成されたヒドロキシ末端を有するポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)である重合を実施することにより、ジブロック及びトリブロックコポリマーを調製する段階を含む、前記ジブロック及びトリブロックコポリマーを調製するための方法に関する。段階(a)で形成されるポリ(N−ビニルピロリドン)は分子量1,000Dから700kDを有し、またジブロック及びトリブロックコポリマーは分子量2,000Dから700kDを有する。
【背景技術】
【0002】
鎖端の官能基を制御した精密ポリマーの合成は、ナノテクノロジーの達成にとって重要である。これらのポリマーは、潜在的な薬物送達媒体として特に重要である。最近10年間に、多様な重合制御を用いることによって多様なデザインの精密コポリマーが生成している。例えば、二酸化窒素を介した重合、ジチオコンポーネントを介した可逆的付加―断片化連鎖移動及び原子移動ラジカル重合(ATRP)は、分子量及び分子アーキテクチャ(ジブロック、グラフト化あるいはテーパー化コポリマー)に対する制御をもたらす制御プロセスである。しかし、酢酸ビニル及びN−ビニル−2−ピロリドン(VP)などどの数種類のモノマーは、共鳴及び誘起効果によって安定化できるラジカルを形成しないので、制御ラジカル重合によるこれらのモノマーの効率的重合は実施されていない。Matyjaszewskiらは(Am. Chem. Soc. Symp. Ser. 685:258 1998及びJ. Polym. Sci. Part A:Polym. Chem. 36:823-830 1998)、MeサイクラムをリガンドとしたVPのホモ重合を報告した。Matyjaszewskiらが報告した合成経路を用いて連鎖及び官能基を得ることは困難である。
【0003】
本発明者は、多様な薬物送達系におけるポリ(エチレングリコール)PEGの代替として、官能基を有する精密ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)(PVP)に関心を持っている。ジブロックあるいはトリブロックコポリマーは水溶液中でミセルを形成することができるものが多いものの、生物適合性の問題により、この中で薬物担体として真に適当なものは少ない[Alexandridis他. Current Opinion Colloid & Interface Science 2:478-489 1997; Rapoport他J Pharm. Sci. 91:157-170 2002; Kabanov他Adv. Drug Deliv. Rev. 54:223-233 2002; Nishiyama他Langmuir 15:377-383 1999; Kakizawa他Langmuir 18:4539-4543 2002; Katayose他Bioconjugate Chem.8 :702-707 1997; Yamamoto他J. Controlled Release 82:359-371 2002; Liggins他Adv. Drug Deliv. Rev. 54:191-202 2002; Kim他J. Controlled Release 72:191-202 2001; Yoo他J. Controlled Release 70:63-70 2001; Luo他Bioconjugate Chem. 13:1259-1265 2002; Lim Soo他Langmuir 18:9996-10004 2002; Gref他Science 263:1600-1603 1994及びBurt他Colloids Surf B 16:161-171 1999]。多くの研究がポリエステル−ブロック−ポリ(エチレングリコール)ブロックコポリマーの使用を報告している[Yamamoto他;Liggins他; Kim他;Yoo他;Luo他; Lim Soo他; Gref 他及びBurt他、上に引用の雑誌]。PEGはナノ粒子[Kissel他Adv. Drug Deliv. Rev. 54:99-134 2002]、リポソーム[Gabizon他Adv. Drug Deliv. Rev. 24:337-344 1997]及びポリマーミセル[Jones他Eur. 3. Pharm. Biopharm. 42:101-111 1999; Kataoka他Adv. Drug Deliv. Rev. 47:113-131 2001及びKabanov他Adv. Drug Deliv. Rev. 54:759-779 2002]の表面親水性アームとして幅広く使用されている。PEGベースの外殻は、立体化学的効果により、単核貪食系によるナノ担体の取込みを実際に防止することができる[Jones他;Kataoka他及びKabanov他、上に引用の雑誌]。この防止により、ポリマーミセルの血流中循環時間が大幅に改善する。癌の治療においては、腫瘍部位における浸透性の亢進及び血管内皮の保持効果によって、全般的にこの時間の延長により固形癌内での選択的蓄積が生じる[Yokoyama他Cancer Res. 50:1693-1700 1990; Yokoyama他Cancer Res. 51:3229-3236 1991; Kwon他J. Controlled Release 29:17-23 1994; Yokoyama他J. Controlled Release 50:79-92 1998及びYamamoto他J. Controlled Release 77:27-38 2001]。しかし、凍結乾燥時にコロナが発生するためにナノ粒子とPEGとの凝集によってある程度の制限を有する。従って、PEGは薬物送達系への効果的な使用に理想的に適しているわけではない。
【0004】
官能基化精密PVPは、薬物送達系においてPEGに替わる理想的な成分である。PVPは生体適合性であることが確認されており[Haaf他Polymer J. 17:243-152 1985]かつ医薬品産業において幅広く使用されている。特にPVPは低温保護剤[Doebb1er他Cryobiology 3:2-11 1966]及び凍結乾燥保護剤[Deluca 他J. Parent. Sci. Technol. 42:190-199 1998]として使用することができる。従って、薬物送達系内でPEGをPVPに替えることにより凍結乾燥の問題の一部を克服できるかもしれない。
【0005】
Torchilinら[J. Microencapsulation 15:1-19 1998]はリポソームの親水コロナとしてのPVPの研究に始めて取り組んだ。PVP外殻を有するポリマーミセルのデザインにより、薬学的使用に有望な性質が提供される。従って、Benahmedら[Pharm. Res. 18:323-328 2001]は分解性ジブロックコポリマーより構成されるPVPベースミセルの調製を報告した。Benahmedらの研究においては、連鎖移動剤として2−イソプロポキシエタノールを用いたPVP合成は、Ranucciらの先行研究[Macromol. Chem. Phys. 196:763-774 1995及びMacromol. Chem. Phys. 201:1219-1225 2000]に触発された。しかし、この合成法では分子量が制御されず、またDL−ラクチドの重合に不可欠なヒドロキシル末端を有するPVPを定量的に提供することができない[Benahmed他Pharm Res. 18:323-328 2001]。さらに、ポリマーから2−イソプロポキシ−エタノールを除去すると沸点が上昇し(13mmHgで42−44℃)、かつ水素結合によりPVPと結合するために困難を来す[Haaf他Polymer J. 17:143-152 1985]。アルコールをポリマーに捕捉すると、その後の反応にポリ(D,L-ラクチド)の合成のように無水性及び非プロトン条件を必要とする問題が生じるかもしれない。Sannerらは[Proceeding of the International Symposium on Povidone, University of Kentucky: Lexington, KY, 1983, pp.20]、クメンハイドロパーオキシドを開始剤として用いる、イソプロピルアルコール(IPA)中でのフリーラジカル重合によるヒドロキシル末端を有するPVPオリゴマーの合成を報告した。H−NMRスペクトルより、鎖ごとに2−ヒドロキシイソプロピル末端基が1.3個あることが示されている。一次溶媒ラジカルと伸長鎖が結合すると顕著な停止を生じることが示唆される[Liu他Macromolecules 33:1200-1207 2002]。
【0006】
米国特許第6,338,839(Leroux他)は、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)−ブロックポリマ−コポリマーの1クラスを開示する。このようなPVPブロックコポリマーはPEGを含まないが、薬物担体として適切な性質を示す新規の生体適合性でかつ分解性のポリマーミセル系を表す。PVPは非イオン性及びイオン性の共溶質に対する相互作用に著しい多様性を示す。Lerouxらの開示の前には、ランダムグラフトコポリマーであるポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)−グラフト−ポリ(L−ラクチド)のみが文献に記載されている[Eguiburu他Polymer 37:36l5-3622 1996]。
【0007】
Lerouxらが開示する両親媒性ジブロックコポリマーの合成においては、2−イソプロピルエタノールを連鎖移動剤として用いるラジカル重合によってヒドロキシ末端を有するPVPが調製される。ブロックコポリマーは陰イオン開環重合によって得られる。Lerouxらの戦略は実験室内での所望の両親媒性ジブロックコポリマーの調製に極めてよく作用したものの、スケールアップした方法を達成するにはいくつかの解決すべき問題が残っている。クラウンエーテルを使用すること、及びコポリマーの精製に透析及び超遠心分離を必要とすることは、工業スケールにとって望ましくない。その上、Lerouxらが開示した方法においてはヒドロキシル末端を有するPVPの官能基化が評価されていない。
【0008】
当技術分野に欠けているものは、ヒドロキシル末端を有するPVPの調整法、及びこのような官能基化PVPを用いて両親媒性PVP-ブロック−ポリエステルブロックコポリマー、さらにはブロックの1つとしてのPVPより構成される他のジブロックあるいはトリブロックコポリマーを調製する方法であって、PVPの分子量、多分散性指数及び官能基化を制御することができ、かつその方法が工業的スケールで実施できる方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ヒドロキシル末端を有するPVP及び両親媒性PVPブロックポリエステル、さらにはブロックの1つとしてのPVPよりなる他のジブロックあるいはトリブロックコポリマーを調製するための2段階の重合方法を提供する。当該方法はPVPの分子量、多分散性及び官能基化の制御を可能にする。本発明のジブロック及びトリブロックコポリマーは、薬物担体システムにおける利用を目的として工業スケールで合成することができる。
【0010】
本発明の方法は2段階の重合を含む。第1の段階は、ラジカル開始剤及びアルコール溶媒の存在下における、末端にヒドロキシル基を有する低分子量PVP(PVP−OH)の合成に至るVPのフリーラジカル重合を含む。この段階は連鎖移動剤の存在下あるいは非存在下で遂行することができる。新たに合成されたPVP−OHを再沈殿化により精製する。PVP−OHの分子量は、ラジカル開始剤、連鎖移動剤及びアルコールとVPとのモル比を調節することにより効率的に変更及び制御することができる。高濃度を用いることにより、ポリマー鎖の組換えが促進されるので各ポリマー鎖の両末端にヒドロキシル基を有するPVP(HO−PVP−OH)を選択的に得ることができる。ラジカル開始剤の例示的ではあるが非制限的な例は、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド(AMPAHE)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド及び1,1−アゾビス(シクロヘキサン−カルボニトリル)である。AMPAHEは特に好ましいラジカル開始剤であり、その使用は本明細書の実施例に例示されている。アルコール性溶媒の例示的ではあるが非制限的な例はメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール及び2−ペンタノールである。イソプロピルアルコール(IPA)は特に好ましいアルコール性溶媒であり、その使用は本明細書の実施例に例示されている。連鎖移動剤の例示的ではあるが非制限的な例は、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、3−メルカプト−2−プロパノール、4−メルカプト−1−ブタノール、3−メルカプト−2−ブタノール及び6−メルカプト1−ヘキサノールである。特に好ましい連鎖移動剤は2−メルカプトエタノール(MCE)であり、その使用は本明細書の実施例に例示されている。
【0011】
当該方法の第2の段階は、第1の段階で合成されたヒドロキシル末端を有する乾燥PVPをマクロ開始剤として用い、両親媒性PVP−ブロックポリエステルジブロックあるいはトリブロックコポリマー、あるいは1つのブロックとしてのPVPより構成される他のジブロック及びトリブロックコポリマーの生成に至る、モノマーあるいはコモノマーの陰イオン重合を含む。第2の段階は、不活性非プロトン溶媒中でクラウンエーテルあるいは他の錯体形成物質を使用することなく、触媒あるいは塩基を用いて遂行される。新たに形成されたブロックコポリマーは沈殿により分離し、さらに溶解及び再沈殿により精製する。精製のための透析は不要である。活性炭処理を用いて新たに形成されたブロックコポリマーから全ての色を取り除くことができる。ブロックコポリマーの分子量及びポリエステル含有百分率は、マクロ開始剤とモノマーの比率を調節することにより制御することができる。例示的ではあるが制限的でない触媒の例は、アルミニウム及びスズアルコキシドである。例示的ではあるが制限的でない塩基の例は、水素化カリウム及びナトリウムである。不活性溶媒の例示的であるが制限的でない例は、テトラヒドロフラン、トルエン、ジエチルエーテル及びtert−ブチルメチルエーテルである。テトラヒドロフランは好ましい不活性非プロトン溶媒であり、その使用は本明細書の実施例に例示されている。
【0012】
このように、本発明の目的は、PVP及び両親媒性PVP−ブロック−ポリエステルコポリマー、及びブロックの1つとしてのPVPより構成される他のジブロックあるいはトリブロックコポリマーを調製するための2段階の重合方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、ジブロック及びトリブロックコポリマーを調製するための2段階の重合方法であって、前記方法が各重合の成分の分子量、多分散性及び官能基化の制御を可能とする方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、ジブロック及びトリブロックコポリマーを調製するための2段階の重合方法であって、前記方法が工業スケールで遂行できる方法を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、薬物担体として使用するための(PVP)−ブロック−ポリエステルコポリマーを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1のNMRデータを示す(H NMR(CDCl)、δ(ppm)。NMRにおける溶媒ピークが消失するまで段階1の生成物を乾燥する。
【図2】実施例2のNMRデータを示す(H NMR(CDCl)、δ(ppm)。NMRにおける溶媒ピークが消失するまで段階2の生成物を乾燥する。
【図3】PVP−OHホモポリマー(第1の重合)及びPVP−b−PDLLAジブロックコポリマー(第2の重合)の合成を例示する。
【図4】MALDI−TOFスペクトル分析により生成したスペクトルを示す(実施例8)。MALDI−TOF分析はPVP−OHのヒドロキシル基の評価に有用である。
【図5】PVP−OHのMに対するMOE(図5A)及びIPA(図5B)とVPの比率の影響を立証するデータを示す。
【図6】CDCl3中のPVP−OH−2500のH NMRスペクトルを示す(実施例6)。
【図7】CDCl(図7A)及びDO(図7B)中のPVP−b−PDLLA(ジブロック−47)のH NMRスペクトルを示す。
【図8】PVP−PDLLAジブロックコポリマー(ジブロック−47)の熱重量プロフィールを示す。
【図9】DLSで測定した、PVP−b−PDLLA(ジブロック−47)より構成されるミセルの水中におけるサイズ分布を示す。
【図10】25℃におけるPVP−b−PDLLA(ジブロック−47)の水中におけるCAC測定データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の他の目的及び利点は、付属の図面と共に考慮する以下の記述であって、例示あるいは実施例、本発明のいくつかの実施形態によって記載される記述により明らかになるであろう。図面は本明細書の一部を構成し、かつ本発明の例示的実施形態を含み、かつその他様な目的及び性質を例示する。
【0018】
(用語の定義)
以下の一覧は本明細書の全体を通して使用される用語、語句及び略語を定義する。用語、語句及び略号は単数形で列挙されているものの、定義は全ての文法的形態を包含することを意図している。
【0019】
本明細書で使用される略語「PEG」はポリ(エチレングリコール)を指す。
【0020】
本明細書で使用される略語「PM」はポリマーミセルを指す。
【0021】
本明細書で使用される略語「VP」はN−ビニル−2−ピロリドンを指す。
【0022】
本明細書で使用される略語「PVP」はポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)を指す。
【0023】
本明細書で使用される略語「PVP−OH」は、各ポリマー鎖の一方の末端にヒドロキシル基を有するPVPを指す。
【0024】
本明細書で使用される略語「HO−PVP−OH」は、各ポリマー鎖の両端にヒドロキシル基を有するPVPを指す。
【0025】
本明細書で使用される略語「PDLLA」はポリ(D,L−ラクチド)を指す。
【0026】
本明細書で使用される略語「PVP−b−PDLLA」はポリ(N−ビニルピロリドン)−ブロック−ポリ(D,L−ラクチド)を指す。
【0027】
本明細書で使用される略語「MALDI−TOF」は、マトリクス支援レーザー/脱離/イオン化飛行時間質量分析を指す。
【0028】
本明細書で使用される略語「MW」は分子量を指す。
【0029】
本明細書で使用される略語「M」重量平均分子量を指す。
【0030】
本明細書で使用される略語「M」は数量平均分子量を指す。
【0031】
本明細書で使用される略語「NMR」は核磁気共鳴を指す。
【0032】
本明細書で使用される略語「EA」は元素分析を指す。
【0033】
本明細書で使用される略語「SEC−LS」は、光散乱検出器を組み合わせたサイズ排除クロマトグラフィを指す。
【0034】
本明細書で使用される略語「IPA」はイソプロパノールあるいはイソプロピルアルコールを指す。
【0035】
本明細書で使用される略語「AMPAHE」は2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミドを指す。
【0036】
本明細書で使用される略語「MCE」は2−メルカプトエタノールを指す。
【0037】
本明細書で使用される略語「TBME」はtert−ブチルメチルエーテルを指す。
【0038】
本明細書で使用される略語「MIBK」は4−メチル−2−ペンタノンを指す。
【0039】
本明細書で使用される略語「THF」はテトラヒドロフランを指す。
【0040】
本明細書で使用される略語「NaH」は水素化ナトリウムを指す。
【0041】
本明細書で使用される略語「LA」は(D,L−ラクチド)を指す。
【0042】
本明細書で使用される略語「ATRP」は原子移動ラジカル重合を指す。
【0043】
本明細書で使用される略語「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを指す。
【0044】
本明細書で使用される略語「TBA」はtert−ブチルアルコールを指す。
【0045】
本明細書で使用される略語「CAC」は臨界会合濃度を指す。
【0046】
本明細書で使用される略語「DLS」は動的光散乱法を指す。
【0047】
本明細書で使用される略語「TGA」は熱重量分析を指す。
【0048】
本明細書で使用される略語「CTA」は連鎖移動剤を指す。
【0049】
本明細書で使用される略語「PI」は多分散性指数を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
ジブロック及びトリブロックコポリマーの合成は、2段階の重合方法である。
【0051】
第1の段階は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール及び2−ペンタノール等のアルコール溶媒中で遂行されるVPのフリーラジカル重合である。理想的には、溶媒の沸点はラジカル開始剤のクラッキング温度付近である。好ましい溶媒はイソプロパノール(IPA)である。ラジカル開始剤の存在が必要である。ラジカル開始剤は、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド(AMPAHE)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド及び1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−カルボニトリル)からなるアゾ誘導体の群から選択される。好ましい開始剤はヒドロキシル末端基を有するものであり、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド(AMPAHE)が最も好ましい。2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、3−メルカプト−2−プロパノール、4−メルカプト−1−ブタノール、3−メルカプト−2−ブタノール及び6−メルカプト1−ヘキサノールなどのチオール誘導体は、連鎖移動剤として使用することができる。好ましい連鎖移動剤は2−メルカプトエタノール(MCE)である。分子量はMCE、AMPAHE及びIPAとVPのモル比を調節することにより制御することができる。生成した第1のブロックホモポリマーPVPはMALDI−TOF、SEC−LS、EA及びNMRなどの方法を用いて評価することができる。PVP−OHは、その溶液を当該ポリマーの溶解度が低い不活性有機溶媒中に移して沈殿させることにより分離される。溶解のための溶媒あるいは溶媒の組合せは、メタノール、エタノール、TEA、アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、ジクロロメタン及びテトラヒドロフランを含む群より選択される。溶解のための好ましい溶媒はイソプロパノール及び4−メチル−2−ペンタノンであり、その使用は本明細書の実施例に例示されている。沈殿のための不活性性有機溶媒は、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ヘキサン(誘導体)、ヘプタン(誘導体)、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン及びキシレン(誘導体)を含む群より選択される。沈殿のための好ましい溶媒はtert−ブチルメチルエーテルであり、その使用は本明細書の実施例に例示されている。
【0052】
PVP−OHの調製(本方法の第1段階)のために、いったん全ての試薬及び溶媒を装填し、加熱の前に反応混合物を脱気する。反応温度は、選択した開始剤及び溶媒に応じて60−140℃の範囲である。本発明の好ましい実施形態においては、溶媒としてのIPA、開始剤としてのAMPAHE及び連鎖移動剤としてのMCEの組合せが用いられ、かつ反応は還流下で遂行される。反応時間は選択した溶媒、開始剤及び連鎖移動剤に応じて16〜72時間の範囲である。上記の好ましい組合せにおいて、典型的な反応時間は30〜48時間である。
【0053】
次の段階の陰イオン開環重合を成功させるために、PVP−OHの乾燥を確保することが重要である。ポリマーの乾燥は、真空オーブンを用いて温度を110℃に上昇させながら実施する。これに替えて、第2の重合の前にトルエン、キシレン(誘導体)あるいはヘプタン(誘導体)などの不活性溶媒による共沸蒸留を用いてさらなる乾燥を実施してもよい。
【0054】
第2の段階は、環状エステル、他の環状ラクトン、メタクリル酸あるいはメタクリルアミドの陰イオン重合による。この重合はマクロ開始剤によって陰イオンとすることも、あるいはアルミニウムあるいはスズアルコキシドによって触媒することもできる。マクロ開始剤は、水素化ナトリウムあるいはカリウムなどの水素化金属試薬によるヒドロキシル基の脱プロトン化によって得られる金属PVP−ヒドロキシレートである。生成する第2のブロックは、反復単位がラクチド、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトンあるいは他の環状エステルであるポリ(エステル)である。生成する第2のブロックはポリ(アミノ酸)、ポリメタクリル酸、ポリメタクリルアミドあるいはそのコポリマーであってもよい。ホモポリマーのブロックは共有結合により化学結合する。ブロックホモポリマー間の化学的リンカーは、ラジカル開始剤によって発生するヒドロキシ誘導体あるいは連鎖移動剤あるいはアルコール溶媒である。反応には不活性無水非プロトン性溶媒、あるいはテトラヒドロフラン、トルエン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルなどの溶媒の組合せを使用することができるが、テトラヒドロフランが好まれる。反応温度は室温から約70℃であり、好ましい温度は20−25℃である。H NMRによって反応の終了が立証されたならば(溶媒ピークが消失)、反応混合物を濾過し、ポリマーの溶解度が低い不活性有機溶媒に注いで沈殿させることによって濾液よりブロックコポリマーを分離する。PVP−OHの沈殿と同様の溶媒系が使用され、最も好ましい溶媒はtert−ブチルメチルエーテルである。活性炭処理によりPVPブロックコポリマーよりあらゆる色を取り除いてもよく、さらに白〜オフホワイトの生成物粉末が得られる。
本発明は以下の非限定的実施例によってさらに例示される。
【実施例1】
【0055】
(末端にヒドロキシル基を有するポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)の調製(PVP−OH))
【0056】
【化1】

【0057】
VP(200g、1.8mol)、AMPAHE(5.2g、0.018mol)及びMCE(5.0mL、0.072mol)をIPA3000mLに溶解した。窒素パージにより溶液を1時間脱気した。乾燥窒素雰囲気下で撹拌しながら44時間乾留して(約89℃)ラジカル重合を遂行した。次に、室温に冷却した後、減圧下でIPAをほとんど除去し、MIBK400mLを加えた。その後徐々にTBME5000mLに加えてポリマーを沈殿させた。懸濁液を濾過した。フィルターケークをTBME200mLで2回洗浄した。このようにして得られた白色粉末を、MIBK400mL及びIPA100mLに溶解し、TBME5000mLより再沈殿して精製した。最後に、NMR上で溶媒ピークが消失するまで生成物を減圧乾燥した(室温から始めて110℃まで、1torr)(図2)。PVP−OHは122gの白色粉末として得られた。M:2060、M:2600、M/M:1.3.
【0058】
本発明人は、溶媒/VPの比率やAMPAHE及びMCEのモル百分率などのパラメータを変えて同様のPVP−OHの調製を実施した。表1は、PVP−OHの分子量(M)及び数量平均分子量(M)が効果的に変更されることを示している。また結果より、MCEが存在するとき多分散性指数(M/M)は全般的に低下することも示された。溶媒/VP比率が高くなると低いM及びMが得られる。
【0059】
表1 様々な条件下で調製されたPVP−OHのキャラクタライゼーション
【0060】
【表1】

【実施例2】
【0061】
(ジブロックコポリマーポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)−ブロック−ポリ(DLラクチド)の調製(PVP−PDLLA))
【0062】
【化2】

【0063】
PVP−OH(100g、48.5mmol、Mn=206D)を無水THF600mLに溶解し、鉱物油中の60wt%水素化ナトリウム(3.0g、75mol)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した後、LA(125g、125%w/w)を加えた。乾燥窒素雰囲気下にて室温で26時間撹拌して陰イオン重合を遂行した。濾過により過量の水素化ナトリウムを取り除いた。THEを加えて濾液の体積を900mLに調節した。その後ポリマー溶液をTBME4500mLに徐々に加えてポリマーを沈殿させた。懸濁液を濾過した。フィルターケークをTBME100mLで2回洗浄した。このようにして得られたわずかに黄色の粉末を、THF1215mLに溶解して精製し、40.5gの活性炭を加えた。黒色の懸濁液を室温で16時間撹拌した後、セライトで濾過した。TBME6000mL中でポリマーを沈殿させた。懸濁液を濾過した。フィルターケークをTBME100mLで2回洗浄し、最後にNMRによる溶媒ピークが消失するまで減圧下で乾燥させた(図2)。PVP−PDDDLAは62gの白色粉末として得られた。M:3140、M:3445、M/M:1:1.
【0064】
プロトンNMR及び元素分析によってPDLLAのモル含有百分率を評価するために、実験的方程式(方程式1)及び(方程式2)をそれぞれ生成した。
【0065】
式1:プロトンNMRによるPDLLA(モル%)含有量の測定
【0066】
【数1】

【0067】
ただしI5.2ppmは、C−10上の3級プロトンに対応する5.2ppm信号の積分を表す。I4.5−0.8PPMはPVP−OHのプロトンの信号の積分を表す。リンカーの寄与は省く。
【0068】
式2:元素分析(EA)によるPDLLA(モル%)含有量の測定
【0069】
【数2】

【0070】
PVP及びPDLLAのブロック組成物は、それぞれ反復単位CNO及びCに相当する。PDLLA含有量(%モル)は式(2)を用い、かつEAによって求められた(C)及び(N)原子の含有量に基づいて算出することができる。
表2は、本方法を用いたPDLLAモル含有百分率の再現率と狭い多分散性を示す。A:方程式1由来(プロトンNMR)、B:方程式2由来(元素分析)
【0071】
表2 実施例2によるPVP−PDLLAジブロックコポリマーの調製
【0072】
【表2】

【0073】
表3は、ジブロックコポリマー中のPDLLAのモル含有量は反応系に装填されたラクチド/PVP−OHの重量比に影響されることを示す。好ましいPDLLA%含有量を予測的に得ることができる。A:方程式1由来(プロトンNMR)、B:方程式2由来(元素分析)
【0074】
【表3】

【実施例3】
【0075】
(末端にヒドロキシル基を有するポリ(N−ビニルピロリドン)の合成(PVP−OH))
図3に示すように、PVP−OHはVPのフリーラジカル重合によって合成された。VP(30g、270mmol)、AMPAHE(0.7783g、2.7mol)及びMCE(0.844g、10.8mol)をIPA540mLに溶解した。アルゴンで溶液を15分間脱気した。重合は85℃で24時間遂行した。次に、減圧下でIPAをほぼ取り除いた。その後ポリマーをジエチルエーテル約300mLに加えて沈殿させた。ポリマーをジクロロエタン60mLに溶解し、ジエチルエーテル300mLに加えて再度沈殿させた。最後に、生成物(白色粉末)をワットマン抽出用セルロース円筒濾紙に移し、ジエチルエーテルによるソックスレー抽出で24時間精製した。ポリマーは80℃で一晩減圧乾燥した。
【実施例4】
【0076】
(ジブロックコポリマーポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)−ブロック−ポリ(D,L−ラクチド)の調製)
図3に例示されているように、PVP−OHをマクロ開始剤として用いたLAの陰イオン重合によりPVP−b−PDLLAを合成した。PVP−OH M:2500(15g、5.77mmol)をトルエン250mLに溶解した。ディーンスタークトラップを用い、トルエンを共沸溶媒として全ての生成物を乾燥した。次に減圧下蒸留によりトルエンを取り除いた。150℃、減圧下、P上でポリマーを4時間乾燥した。室温まで冷却した後、アルゴン雰囲気下で鉱物油中の水素化カリウム(KH、0.346mg、8.65mmol)をフラスコに入れた。再びフラスコを30分間減圧下に置いた。蒸留直後でかつ無水のTHF体積75mLを加えて混合物を溶解した。ポリマーを溶解した後、溶液を10分間撹拌した。LA(30g、20.8mmol)及び18−クラウン−6(2.29mg、8.65mmol)はいずれも事前に真空下、80℃で4時間乾燥し、フラスコに入れた後体積150mLのTHFに溶解した。アルゴン雰囲気下で溶液をアルコレート溶液に移し、撹拌した。重合は60℃で18時間遂行した。PVP−b−PDLLAを冷ジエチルエーテル1.2Lに加えて沈殿させた。ポリマーを捕集し、室温で減圧乾燥した。PVP−b−PDLLA(20g)をDMF100mLに溶解した。脱イオン水100mLをポリマー溶液に加えてミセル化した。ミセル溶液を透析袋(スペクトラム、MWカットオフ値:3500)に入れ、4℃の水(8L)で24時間透析した。この間、水は少なくとも4回交換した。水溶液を4℃、11600gで30分間遠心分離した後、0.2humフィルターで濾過した。濾過した溶液を捕集し、48時間凍結乾燥した。ジブロックコポリマーは、分解を防止するために−80℃で保存した。
【実施例5】
【0077】
(サイズ排除クロマトグラフィ)
SEC分析は、Waters 2410屈折計を用いたBreeze Watersシステム(ミルフォード、マサチューセッツ州)及びPrecision Detectors PD 2000 光散乱(LS)検出器で実施した。LSデータは15及び90°で収集した。SECは10MM LiBrを含有するDMF中で実施した。溶液200μL(約3%w/v)を一連のStyragel(r)Waters ET2, HT3及びHT4の3カラムにインジェクトし、MW分離範囲を10〜10とするために流量は1.0mL/分とした。カラム温度(分離)は40℃に保つと共に、屈折計/LS検出器の温度は35℃に設定した。機器は単分散ポリスチレン標準で校正した。
【実施例6】
【0078】
(核磁気共鳴)
H−及び13C−NMRスペクトルは、Varian 300及びBruker AMX 600分光分析器(ミルトン、オンタリオ州)を用いて25℃、CDCl中で記録した。PDLLA含有量(%モル)は、式1を用いて算出した(実施例2の記載通り)。ただしI5.2pprsは5.2ppmの信号の強度を表し、3級プロトン(カルボニル基のα−部分)に対応している。この信号を正規化して1とした。重水(D0)中でも25℃でH−NMRを実施し、自己集合ミセルの存在を立証した。
【実施例7】
【0079】
(元素分析)
EAは酸化性雰囲気下で1021℃で実施した。熱伝導プローブを用い、二酸化窒素、炭酸、二酸化硫黄(NO、SO及びCO)及び水の量を定量して窒素(N)、炭素(C)、水素(H)及びイオウ(S)原子の量をサンプルに提供した。PVP及びPDLLAのブロック組成物は、それぞれ反復単位C及びCのに相当する。PDLLA含有量(%モル)は式(2)を用い(実施例2の記載に同じ)、かつ(C)及び(N)原子の含有量に基づいて算出した。
【実施例8】
【0080】
(PVP分析のためのMALDI−TOF分光分析)
MALDI−TOF質量スペクトルは、Micromass TofSpec-2E質量分析(マンチェスター、イギリス)により得た。機器は、加速電位+20kVの陽イオンリフレクトロンモードで操作した。スペクトルは少なくとも100回のレーザーショットを平均して得た。ジスラノールはマトリクス、クロロホルムは溶媒として用いた。ヨウ化ナトリウムはメタノールに溶解し、イオン化剤として使用した。サンプルはポリマー溶液20μL(6〜8mg/mL)とマトリクス溶液20μL(10mg/mL)及びイオン化剤溶液10μL(2mg/mL)を混合して調製した。これらの混合液1mLをターゲットプレートに載せ、窒素気流により溶媒を除去した。外部マルチポイント校正は、ブラジキニン(1060.2g/mol)、アンジオテンシン(1265.5g/mol)、物質P(1347.6g/mol)、レニンの基質であるテトラデカペプチド(1759.0g/mol)及びインスリン(5733.5g/mol)を標準として使用することにより実施した。
【実施例9】
【0081】
(PVFの粘度−平均分子量(M)の測定)
BASFプロトコル(米国薬局方)に従い、1a型ウベローデ粘度計を用いてホモポリマーPVP−OHの制限的な粘度値である「K値」(あるいはフィケンツッシャーのK値)を測定した。Mは、K−値を用いて式M=22.22(K+0.075K1.69より直接得ることができる。
【実施例10】
【0082】
(臨界会合濃度(CAC))
CACは定常状態ピレン蛍光法により測定した(Benahmed他Pharm. Res. 18:323-328 2001)。以下に方法を簡単に記載する。ピレンを10−7M含有する数種類のポリマー水溶液を調製し、暗所、4℃で一晩撹拌した。定常状態蛍光スペクトル(λex’、390nm)は、20℃で5分間撹拌した後、Series 2 Amnico Bowman蛍光光度計(スペクトロニックインスツルメンツ社、ロシェスター、ニューヨーク州)を用いて測定した。実験はそれぞれ2回ずつ実施した。
【実施例11】
【0083】
(動的光散乱法(DLS))DLSは水中での粒子径の測定に使用した。この分析のために、ポリマーを直接水に溶解することにより、濃度0.5,1及び2mg/mLの一連のPVP−PDLLA水溶液を調製した。溶液はMalvern instrument Autosizer 4700(ミソシーガ、オンタリオ州)によって測定した。各測定は、25℃、角度90°でそれぞれ3回実施した。粒子の粒径分布及び強度平均サイズを記録した。
【実施例12】
【0084】
(熱重量分析(TGA))
TGA測定値は、TA Instrument Hi-Res TGA 2950 Thermogravimetric Analyser(ニューキャッスル、デラウェア州)で収集した。
【0085】
実験にはポリマー約1mgを使用した。温度勾配は、室温から70℃まで20℃/分とした。凍結乾燥後、水中の残留量を定量した。ジブロックコポリマー中のPDLLA及びPVP含有量(%w/w)も分析した。
【0086】
(実施例からの実験結果)
メルカプト化合物は、鎖端を官能基化し、ポリマー分子量を間接的に制御することのできる、良好な連鎖移動剤である(Ranucci他Macroml. Chem. Phys. 196:763-774 1995;Ranucci他Macromol. Chem. Phys. 201:1219-1225 2000; Sanner他Proceedings of the International Symposium on Povidone; University of Kentucky: Lexington, KY, page 20, 1983)。ヒドロキシル基は、ビニルモノマーのフリーラジカル重合においてCTAとしてMCEを用いることにより、ポリマー鎖の末端に導入することができる。しかし、メルカプト誘導体の存在下でVPをラジカル重合したところ、少量の官能基化短鎖オリゴマー分画のみが得られたことが報告された。さらに、製品中には末端に官能基を持たない大量の高MWポリマーが確認されている。これは、チオールからVPへの高い移動係数による(Ranucci他Macromol. Chem. Phys. 196:763-774 1995; Ranucci 他Macromol. Chem. Phys. 201:1219-1225 2000)。VPのフリーラジカル重合においては、ラジカルが溶媒に移動しておそらくはモノマーに転移することができる。従って、官能基化PVPは特定の溶媒(すなわちイソプロポキシエタノール)を用いて合成されていた。しかし、PVPの官能基化は定量的に制御されなかった(Ranucci他Macromol. Chem. Phys. 196:763-774 1995; Ranucci他Macromol. Chem. Phys. 201:1219-1225 2000)。ヒドロキシル末端を有するPVPホモポリマーを定量的に得、かつその分子量プロフィールも制御するために、本発明においてはIPA、MCE及びヒドロキシルを有するアゾ開始剤(AMPAHE)を全て合わせてVPをラジカル重合している(図3参照)。
【0087】
図4に示すように、MALDI−TOFスペクトル分析により、PVP鎖の大部分(>95%)はPVP鎖の一方の末端にヒドロキシル基を有することが示された。図4は、PVP−OH−2500のMALDI−TOFスペクトルを示す。大半の鎖は末端に2−ヒドロキシルイソプロピル基を有し、溶媒がポリマーの成長を開始した主な分子種であることを意味した。重合の希釈条件を用いると、MALDI−TOFデータより鎖端の質量はIPAとナトリウムイオンを加算したもののみであることから(59IPA+23NA=82、線形式においてn=0)、反応中に2分子複合による重要な終了は発生しないことが示唆される。他の2つの分布も認められ、これらはそれぞれ鎖端としてMCE及びVPを有するPVPに帰せられた。これらの分布はm/z(<1000gmol−1)の値が低い場合にのみ顕著であり、MCE−及びVP−末端を有する鎖のスペクトルの5%未満を表すに過ぎなかった。MCEはLPAよりも連鎖移動剤としての有効性が高いので全てのMCEは反応の初期に消費された。MCEを用いたこれまでの(IPAではなく)TEFにおけるPVPの合成より、ラジカルがモノマーに直接移動することもあることが示されている(Ranucci他Macromol. Chem. Phys. 196:763-774 1995; Ranucci他Macromol. Chemu. Phys. 201:l219-1225 2000)。その結果、CTAとしてIPAをMCEと組み合わせることにより、低MW PVPの合成は、の一方の鎖端にヒドロキシル基を定量的に挿入しながら達成することができた。
【0088】
PVP−OHの分子量は、SEC及び粘度測定によって判定した(表4)。多分散性指数(PI)1.5はラジカル転移が2分子複合全体にひろがっていることを示し、MALDI−TOFデータと一致した。SEC及び粘度測定の結果は良好に一致した。BASFが確立した普遍的方程式は幅広いPVM MW範囲(10−10)に当てはまるので、Mはわずかに過大評価されているかもしれない。低MWポリマーのマーク−フウィンク定数(K及びα)は非常に高いMWを有するものと異なるので、この過大評価を説明すると思われる。EAによるPVP−OHの分析により、全てのPVP−OHにおけるN/C原子の重量比は理論値(0.194)と同様であることが判明した。
【0089】
【表4】

【0090】
PVP−OHの分子量プロフィールは、MCE(CTA)及びIPAのVPモノマーとの比率を変えることにより制御された。予想されたように、CTA/VPあるいはIPA/VPの比率が上昇すると共にPVP−OHの分子量は低下した(図5A−B)。図5Aにおいては、IPA/VPは(■)18mL/g及び(●)15mLに固定されている。図5Bにおいては、MCE/VPは(▲)2.5%に固定されている。
【0091】
CDCl中のPVP−OH−2500のH NMRスペクトルを図6に示す。MCEのメチレン基の化学シフトは2.7及び3.8ppmである。S−H結合の代わりにS−C結合を形成することによりMCEをPVP−OH鎖の末端に導入したところ、スペクトルにおいて2.7ppmではなく2.7及び2.75ppmに1個のメチレン基のピークがあらわれ、3.8ppm付近にある信号がPVP−OHのピークと重なった。1.1と1.3ppmの間の信号は、2−ヒドロキシイソプロピル基のメチルプロトンに割り当てられる(IPAフラグメント)。これらの結果より、PVPラジカルがMCE及びTPAに転移し、かつこのことがMALDI−TOFスペクトル分析で得られた結果と一致することが示唆される。
【0092】
水酸化カリウム誘導体は、LAの陰イオン開環重合に幅広く使用されている(Nagasaki他Macromclecues 31:1473-1479 1998; Iijima他Macromolecules 32:1140-1146 1999; Yasugi他Macromo1ecules 32:8024-8032 1999)。本発明においては、PVP−OHの末端におけるOH基と水素化カリウムの相互作用により、LAのマクロ開始剤としてのカリウムPVP−ヒドロキシレートが生成された。反応系内の水とアルコールの分子が遊離PDLLAホモポリマーの形成を開始すると思われる。PVPと水及びプロトン溶媒中に残留したアルコールとの間に強い水素結合があり、これはポリマーと相互作用するので除去することが不可能である(Haaf他Polymer J. 17:143-152 1985)。この場合、低MW PVP−OHはIPA内で合成された。従って、ポリマーには痕跡量のIPA及び水分子が含まれているかもしれない。溶媒の除去には2段階の乾燥が必要であった。簡単に説明すると、まずPVP−OHをトルエンに溶解し、次に共沸蒸留を実施する。その後、150℃、減圧下、P上でポリマーを4時間乾燥する。実際には、ポリマーはこの条件の下で融解し、高度に乾燥した材料を生じる。
【0093】
PVP−b−PDLLAの分子量及びPIは、検出器として光散乱及び示差屈折計を用いたSECにより測定した(表5)。予想されたように、PVP−b−PDLLAのMWは対応するPVP−OHよりも大きいのに対し、PIは低下した。陰イオン重合ではPIが非常に小さくなる{Nagasaki他Macromolecules 31:1473-1479 1998; Iijima他Macromolecules 32:1140-1146 1999;Yasugi他Macromolecules 32:8024-8032 1999)。従って、第2の重合段階によってジブロックコポリマーのPIが低下する可能性があり、生成する材料はジブロックコポリマーであり、ホモポリマーの混合物ではないことが示唆される。妥当と思われるPI低下のもう1つの説明は、PVP鎖長の最も短いPVP−b−PDLLAはジエチルエーテル中で沈殿させることにより除去されるというものである。
【0094】
ジブロックコポリマー中のPDLLA含有量(%mol)は、H−NMR、EA及びSECによって測定した。CDCl中のPVP−b−PDLLA(ジブロック−47)コポリマーのH NMRスペクトルを図7Aに示す。5.2ppmピークはPDLLAの−CH−基に対応している。0.8ppm〜4.5ppmの信号は、PVPセグメントに関連する全てのプロトンに割り当てられ、PDLLAメチル基のピーク(1.4ppm)と重なり合う。式1を用いてPDLLA含有量を算出し、結果を表5に示す。PVP−b−PDLLAコポリマーの痕跡量の水によるPVP信号の積分がわずかに過大評価されているので、EAを実施して式2を用いたPDLLA含有量の算出のために窒素及び炭素原子の量を用いた。式2に示すように、EAによるPDLLA含有量の算出では、水分中の水素原子はポリマー由来であっても考慮されない。EAの結果は、H−NMR分析とは対照的に非常に一定しており、水分含有量にかかわらず再現可能であった。EA分析はPVP−b−PDLLA中のPDLLA含有量の定量に適していることが分かった。実際に、NMRデータによるPDLLA含有量は、EAで算出されるものよりも低い6〜8%であることが多い。SECではPDLLA含有量がEAよりも高くなったが(約5%)、SA、SEC及びNMRの間の整合性は非常に良好であった(表5)。A:元素分析から得られた、PVP−b−PDLLAジブロックコポリマー中のPDLLA含有量に基づくラベリング、B:方程式1由来(プロトンNMR)、C:方程式2由来(元素分析)、D:PVP−OH及び対応するPVP−b−PDLLAのM由来
【0095】
【表5】

【0096】
熱重量測定(TGA)もジブロックコポリマーのキャラクタライゼーションのためのよい方法である(Liggins他Adv. Drug Deliv. Rev. 54:191-202 2002)。図8に示すように、ジブロックポリマー中の痕跡量の溶媒(4%未満)は100℃未満で除去した。図8は、PVP−PDLLAジブロックコポリマー(ジブロック−47)の熱重量プロフィールを示す。次に、ジブロックコポリマー中のPDLLAを200〜350℃で分解した後、350〜480℃でPVPを分解した。従って、TGAによってもPDLLA含有量を測定することができた。例えば、ジブロック−45−のTGAにより、PDLLA含有量は48%molであり、EAの結果と良好な一致を示すことが判明した。
【0097】
両親媒性であることから、精密PVP−b−PDLLAジブロックコポリマーは水溶液中で自己集合してミセルを形成することができる。濃度を変えてDLSによりミセルのサイズを測定した。図9に示すように、水中の濃度2mg/mLのPVP−b−PDLLA(ジブロック−47)からなるミセルは、約40nmの狭い単峰性の粒径分布を有する。図9は、DLSで測定した、水中のPVP−b−PDLLA(ジブロック−47)より構成されるミセルの粒径分布を示す。0.5mg/mLに希釈するときミセルの粒径に変化は認められなかった。結果より、溶液中ではミセル凝集がないことが示される。対照的に、Benahinedら(C. Pharm. Res. 18:323-328 2001)はPVP−b−PDLLAミセルは二峰性サイズ分布であると報告した。母集団が大きいと、二次的オーダーの凝集によって制御される小さい個別のミセルの凝集を反映することが示唆されている。差についての妥当と思われる説明は、Benahmedらが報告した分子量、PDLLA含有量及び多分散性指数が、本明細書に記載されたポリマーよりも高かったというものである。
【0098】
ピレンを疎水性蛍光プローブとして用いた定常状態蛍光測定は、ミセルの形成を示すのによく使用される方法である(Zhao他Macromolecules 30:7143-7150 1997; Kabanov他Macromolecules 28:2303-2314 1995; Wilhelm他Macromolecules 24:1033-4040 1991)。プローブ分子の周辺環境の極性が、蛍光発光スペクトルの振動帯の一部に影響する。微小環境の極性を試験するために、発光スペクトルにおける(0,0)バンドの333から338nmへのシフトによる第1及び第3の振動数帯(1338/1333)の相対強度の変化が提案されている。ミセルのCACはこの方法によって測定することができる。ミセルの形成後、ピレンはミセル相と水相に分配される。ミセルのコアは疎水性であるので、1338/1333の強度比が変化する。蛍光強度比の主要な勾配変化の正接を外挿すると、CACが得られる。図10に例示するように、PVP−b−PDLLAコポリマーは約6mg/LのCACを示した。図10は、25℃における水中のPVP−b−PDLLA(ジブロック47)のCAC測定値を示す。
【0099】
PVP−b−PDLLAのミセル化は、DOにおけるH−NMRによっても評価することができる(Benahmed他C. Pharma. Res. 18:323-328 2001; Yamamoto他 J. Controlled Release 82:359-371 2002; Heald他Langmuir l8:3669-3675 2002)。図7Bは、DO中のPVP−b−PDLLA(ジブロック−47)のH NMRスペクトルを示す。図7Bに示すように、PDLLAのメチルプロトン(−CH)及びメチンプロトン(CH−)のピークは高度に抑制される一方で、PVPのピークはまだスペクトルに現れており、コア−シェル構造形成のエビデンスを提供している。コアにおけるPDLLA鎖の運動性は高度に制限されているため、PDLLAの信号がマスキングされる。その一方で、ミセル外殻のPVP鎖の運動性は高いのでまだH−NMRによって観察される。
【0100】
連鎖移動剤としてMCEとIPAを組み合わせることにより、本発明の方法の第1の重合段階による一方の末端に末端ヒドロキシル基を有するPVPの合成に成功した。PVPのMWは、MCEあるいはIPAとVPとの比率の変化によって効率的に制御される。本発明の方法の第2の重合段階において、D,L−ラクチドの陰イオン開環重合によって、PVP−b−PDLLAジブロックコポリマーの効率的に合成するために、末端が官能基化した低MWのPVPを用いた。PDP−b−PDLLAは水中で自己集合してミセルとなる。これらのミセルを形成するコポリマーは数mg/Lと非常に低いCACを示すので、40nmのポリマーミセルを形成する。PVPブロックの低い分子量に基づくこれらのポリマーの自己集合は、非経口投与用の薬物担体として有用である。
【0101】
本明細書において言及された全ての特許及び出版物は、本発明に関係する当業者のレベルを示す。すべての特許及び出版物は、各個別の特許及び出版物が参照文献として組み入れられることが具体的かつ個別に示されるような同程度に、本明細書に参照文献として組み入れられる。
【0102】
本発明の一定の形態が例示されると同時に、本明細書に記載されかつ示される具体的な形態あるいは部分的調節に限定されるものではないことが理解される。本発明の範囲から外れることなく様々な変更を行ってもよく、かつ本発明は本明細書に示されかつ記載されたものに限定されると見なされないことが、当業者にとって明らかとなるであろう。
【0103】
目的を遂行し、言及した最終結果及び利点、さらにそれに固有のものを得るために本発明が良好に適応されることを、当業者は容易に評価するであろう。本明細書に記載の方法、工程及び技法は、目下好ましい実施形態を代表し、例示的であることを意図し、かつ範囲に対する制限となることを意図していない。当業者には、本発明の趣旨内に包含されかつ付属の請求項の範囲によって定義されるその変更及び他の使用が着想されるであろう。本発明は具体的な好ましい実施形態と関連付けて記載されているものの、請求された本発明はこのような具体的実施形態に過度に限定されるべきでないことを理解すべきである。実際に、当業者にとって明白である本発明を実施するための記載された様態の様々な変更は、以下の請求項の範囲内であることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジブロック及びトリブロックコポリマーを調製する方法であって、
(a)ラジカル開始剤、及び、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール及び2−ペンタノールからなる群から選択されるアルコール溶媒の存在下でN−ビニル−2−ピロリドンのラジカル重合を実施してヒドロキシ末端を有するポリ(N−ビニルピロリドン)を形成する、及び
(b)触媒又は塩基、及びマクロ開始剤の存在下でのモノマーあるいはコモノマーのイオン重合であって、前記マクロ開始剤が段階(a)で形成されたヒドロキシ末端を有するポリ(N−ビニルピロリドン)である重合を実施することにより前記ジブロック及びトリブロックコポリマーを調製する段階を含む方法;又は、
ジブロック及びトリブロックコポリマーを調製する方法であって、
(a)ラジカル開始剤、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、3−メルカプト−2−プロパノール、4−メルカプト−1−ブタノール、3−メルカプト−2−ブタノール及び6−メルカプト1−ヘキサノールからなる群から選択されるチオール誘導体である連鎖移動剤、及び、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール及び2−ペンタノールからなる群から選択されるアルコール溶媒の存在下でN−ビニル−2−ピロリドンのラジカル重合を実施してヒドロキシ末端を有するポリ(N−ビニルピロリドン)を形成する、及び
(b)触媒又は塩基、及びマクロ開始剤の存在下でのモノマーあるいはコモノマーのイオン重合であって、前記マクロ開始剤が段階(a)で形成されたヒドロキシ末端を有するポリ(N−ビニルピロリドン)である重合を実施することにより前記ジブロック及びトリブロックコポリマーを調製する段階を含む方法、
によって調製されるジブロックコポリマー。
【請求項2】
請求項2に記載のジブロックコポリマーであって、前記ジブロックコポリマーがポリ(N−ビニルピロリドン)−ブロック−ポリ−(D,Lラクチド)であるジブロックコポリマー。
【請求項3】
ジブロック及びトリブロックコポリマーを調製する方法であって、
(a)ラジカル開始剤、及び、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール及び2−ペンタノールからなる群から選択されるアルコール溶媒の存在下でN−ビニル−2−ピロリドンのラジカル重合を実施してヒドロキシ末端を有するポリ(N−ビニルピロリドン)を形成する、及び
(b)触媒又は塩基、及びマクロ開始剤の存在下でのモノマーあるいはコモノマーのイオン重合であって、前記マクロ開始剤が段階(a)で形成されたヒドロキシ末端を有するポリ(N−ビニルピロリドン)である重合を実施することにより前記ジブロック及びトリブロックコポリマーを調製する段階を含む方法;又は、
ジブロック及びトリブロックコポリマーを調製する方法であって、
(a)ラジカル開始剤、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、3−メルカプト−2−プロパノール、4−メルカプト−1−ブタノール、3−メルカプト−2−ブタノール及び6−メルカプト1−ヘキサノールからなる群から選択されるチオール誘導体である連鎖移動剤、及び、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール及び2−ペンタノールからなる群から選択されるアルコール溶媒の存在下でN−ビニル−2−ピロリドンのラジカル重合を実施してヒドロキシ末端を有するポリ(N−ビニルピロリドン)を形成する、及び
(b)触媒又は塩基、及びマクロ開始剤の存在下でのモノマーあるいはコモノマーのイオン重合であって、前記マクロ開始剤が段階(a)で形成されたヒドロキシ末端を有するポリ(N−ビニルピロリドン)である重合を実施することにより前記ジブロック及びトリブロックコポリマーを調製する段階を含む方法、
によって調製されるトリブロックコポリマー。
【請求項4】
請求項3に記載のトリブロックコポリマーであって、前記トリブロックコポリマーがポリ(D,Lラクチド)−ブロック−ポリ(N−ビニルピロリドン)−ブロック−ポリ−(D,Lラクチド)であるトリブロックコポリマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−229433(P2012−229433A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−155119(P2012−155119)
【出願日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【分割の表示】特願2006−541773(P2006−541773)の分割
【原出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(504355273)ラボファーマ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】