両開き蝶番
【課題】2枚の扉が閉じられた状態においてふらつくことなく、安定感良く制止させることが可能な両開き蝶番を提供する。
【解決手段】前面が円弧状に膨らんだ形状を呈し、背面は扁平な形状を呈する左右一対のブロック2,3を2つのリンク4,5により回動自在に繋いで構成された両開き蝶番1であって、左右一対のブロック2,3を軸支して繋ぎ円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態においてX字状に交差する2つのリンク4,5の一方のリンク4において一方のブロック2側に一端が軸支されたリンク4の一端凹部4aが一方のブロック2側に一端がビス止めにて設けられた板ばね9の他端凸部9aに係合するとともに他方のブロック3側に他端が軸支されたリンク4の他端凹部4bが他方のブロック3側に一端がビス止めにて設けられた板ばね10の他端凸部10aに係合するように構成した。
【解決手段】前面が円弧状に膨らんだ形状を呈し、背面は扁平な形状を呈する左右一対のブロック2,3を2つのリンク4,5により回動自在に繋いで構成された両開き蝶番1であって、左右一対のブロック2,3を軸支して繋ぎ円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態においてX字状に交差する2つのリンク4,5の一方のリンク4において一方のブロック2側に一端が軸支されたリンク4の一端凹部4aが一方のブロック2側に一端がビス止めにて設けられた板ばね9の他端凸部9aに係合するとともに他方のブロック3側に他端が軸支されたリンク4の他端凹部4bが他方のブロック3側に一端がビス止めにて設けられた板ばね10の他端凸部10aに係合するように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前方からでも後方からでも2枚の扉を2つ折り自在に開くことができるように2枚の扉を繋ぐための両開き蝶番に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種両開き蝶番としては特許文献1に開示されているように、一対の取付部材を一対の連結アームにより連結させて蝶番を構成したものであり、殊に両連結アームは同一の長さにして、それぞれの取付部材の対称する位置に設けた連結ピンに交差させて取り付けてなるものが知られている。
【特許文献1】特開平11−30066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されている両開き蝶番は2枚の扉を前方からでも後方からでも2枚の扉を2つ折り自在に開くことができるように繋いで使用されるものであり、2枚の扉を前後どちらから押しても2枚の扉の連結部を回動させることができるものの、2枚の扉を閉じた状態において一対の取付部材の動きを制止させる機能を具備しておらず、他の制止機構を設けなければ2枚の扉が閉じられた状態においてふらつき、安定感が悪いという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、2枚の扉が閉じられた状態においてふらつくことなく、安定感良く制止させることが可能な両開き蝶番を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の両開き蝶番は、前面が円弧状に膨らんだ形状を呈し、背面は扁平な形状を呈する左右一対のブロックを2つのリンクにより回動自在に繋いで構成され、前記扁平な背面に扉の一側部端面がねじ止めされ、2つのブロックの扁平な背面に取り付けられた2枚の扉により出入り口が閉じられた状態において2つのブロックの円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態となるように構成された両開き蝶番であって、左右一対のブロックを軸支して繋ぎ円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態においてX字状に交差する2つのリンクの何れか一方もしくは両方のリンクにおいて一方のブロック側に一端が軸支されたリンクの一端にばね力をもって係合する手段を有するとともに他方のブロック側に他端が軸支されたリンクの他端にばね力をもって係合する手段を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の両開き蝶番は、左右一対のブロックの円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態において一方のブロック側に一端が軸支されたリンクの一端側部の凹部が一方のブロック側に一端がビス止めにて設けられた板ばねの他端凸部に係合するとともに他方のブロック側に他端が軸支されたリンクの他端側部の凹部が他方のブロック側に一端がビス止めにて設けられた板ばねの他端凸部に係合するように構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の両開き蝶番は、左右一対のブロックの円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態において一方のブロック側に一端が軸支されたリンクの一端近傍の上面もしくは下面の凹部が一方のブロック側にばねにて凹部との係合方向に付勢された球面体に係合するとともに他方のブロック側に他端が軸支されたリンクの他端近傍の上面もしくは下面の凹部が他方のブロック側にばねにて凹部との係合方向に付勢された球面体に係合するように構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の両開き蝶番は、円弧状に膨らんだ前面部をゴムなどの樹脂製弾性体により作られていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明の両開き蝶番は、2枚の扉により出入り口が閉じられた状態において左右一対のブロックの円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態となり、左右一対のブロックを軸支して繋ぐX字状に交差する2つのリンクの何れか一方もしくは両方のリンクにおいて一方のブロック側に一端が軸支されたリンクの一端にばね力をもって係合する手段を有するとともに他方のブロック側に他端が軸支されたリンクの他端にばね力をもって係合する手段を有することにより、円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態をばね力で保持し、2枚の扉を閉塞状態で安定感良く制止させることができる。また、円弧状に膨らんだ前面部をゴムなどの樹脂製弾性体により作られていることにより、円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合うように扉が閉じるとき、2つのブロック間での指詰めによる怪我を軽減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき具体的に説明する。
先ず、図1〜図8に示す第1の実施の形態について説明すると、1は左右一対のブロック2,3を2つのリンク4,5により回動自在に繋いで構成され全体がアルミなどの金属により作られた両開き蝶番で、各ブロック2,3は前面2a,3aが円弧状に膨らんだ形状を呈し、背面2b,3bは扁平な形状を呈し、円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態で扁平な背面2b,3bに一側部端面がねじ止めされた扉6,7により出入り口8は閉じられた状態となっている。具体的には、前記ブロック2および3には上下に適当間隔をあけて前面2aおよび3a側に開口する溝2c,2dおよび3c,3dが形成されて、上側の溝2c,3c内に一方のリンク4が設けられてリンク4の両端がブロック2,3に軸支され、下側の溝2d,3d内に他方のリンク5が設けられてリンク5の両端がブロック2,3に軸支されている。そして、上側の溝2c,3c内に設けられた一方のリンク4の一端側部の凹部4aは一方のブロック2の溝2cの奥部に一端がビス止めにて設けられた板ばね9の他端凸部9aに係合し、一方のリンク4の他端側部の凹部4bは他方のブロック3の溝3cの奥部に一端がビス止めにて設けられた板ばね10の他端凸部10aに係合して円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態をばね力で保持するようになっている。このように構成された2つの両開き蝶番1が使用されて2枚の扉6,7の上下両端における一側部端面がそれぞれ扁平な背面2b,3bにねじ止めされている。ブロック2,3の円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態において、前記2つのリンク4,5はX字状に交差した状態となっており、扁平な背面2b,3bが面一状となって円弧状に膨らんだ前面2a,3aが出入り口8の一方側に向いた状態と扁平な背面2b,3bが面一状となって円弧状に膨らんだ前面2a,3aが出入り口8の他方側に向いた状態との間で左右一対のブロック2,3は互いに回動自在となっている。つまり、2つのブロック2,3に取り付けられた2枚の扉6,7は出入り口8の一方側から押されて開かれ互いに重なった状態と出入り口8の他方側から押されて開かれ互いに重なった状態との間で自在に開閉できるようになっている。ところで、前記2枚の扉6,7において、一方の扉6の幅と他方の扉7の幅との比は2:1となっており、幅の狭い扉7の他側部は出入り口8の上枠側に取り付けられたレール部材11に内蔵する軸受部材12に上端軸部13が、出入り口8の床面に取り付けられた軸受部材14に下端軸部15がそれぞれ支持されて回転可能となっている。さらに、前記2枚の扉6,7の内、幅の広い扉6の上端には前記レール部材11の下端のレール部11aに載るガイドローラ16が取り付けられて扉6はレール部材11に吊り下げ支持されている。扉6に対するガイドローラ16の取り付け位置は前記両開き蝶番1による連結部から前記幅の狭い扉7の幅分離れた位置に設定されている。なお、上下の両開き蝶番1,1間での扉6,7の端部間の隙間を隠すために扉6,7の端部に図5における2点鎖線で示すように樹脂製弾性材からなる目隠し材17,18を設けることも可能である。
【0011】
上記構成において、2枚の扉6,7により閉じられた出入り口8を一方側または他方側から開く場合は幅の広い扉6を押すことにより幅の狭い扉7の他側部の軸支部を中心に2枚の扉6,7は回動しながら2枚の扉6,7は互いに重なった状態まで折れ曲って出入り口8が開かれる。出入り口8を閉じるときは幅の広い扉6の他側部に設けた把手(図示せず)を掴んで扉6をレール部材11に沿ってガイドローラ16による吊り下げ支持部を移動させることにより出入り口8が閉じられる。2枚の扉6,7により出入り口8が閉じられた状態において前記左右一対のブロック2,3の円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態となり、前記一方のリンク4の一端側部の凹部4aおよび他端側部の凹部4bが前記板ばね9および10の他端凸部9aおよび10aに係合して円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態をばね力で保持し、2枚の扉6,7を閉塞状態で安定感良く制止させることができる。
【0012】
ところで、図1における2点鎖線で示すように2つのブロック2,3の円弧状に膨らんだ前面部をゴムなどの樹脂製弾性体により作ることにより、円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合うように2枚の扉6,7が閉じるとき、2つのブロック2,3間での指詰めによる怪我を軽減させることができる。
【0013】
なお、上記のような2枚の扉6,7の開閉機構は特にバリアーフリーに対応させるのに好適である。また、上記の実施の形態では2枚の扉6,7の内、扉7は扉6に比べて幅が狭く作られているが、2枚の扉6,7は同じ幅の大きさであっても良い。さらに、上記の実施の形態では左右一対のブロック2,3の円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態で保持する板ばね9および10は一方のリンク4の一端側部の凹部4aおよび他端側部の凹部4bに係合するようにブロック2,3の上側の溝2c,3c内に設けられているが、下側の溝2d,3d内に設けることも可能であり、さらには上下両方の溝2c,3c、2d,3d内に設けることも可能である。
【0014】
次に、左右一対のブロック2,3の円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態を保持する機構の第2の実施の形態について図9〜図11に基づき説明すると、左右一対のブロック2,3の円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態において一方のリンク4の一端近傍の上面に形成された凹部4cは、一方のブロック2の上面より上側の溝2cに貫通するように形成された孔部2eに嵌め込まれ上方よりばね19により凹部4cとの係合方向に付勢された球面体20と係合し、一方のリンク4の他端近傍の上面に形成された凹部(図示せず)も同様に他方のブロック3の上面より上側の溝3cに貫通するように形成された孔部3eに嵌め込まれ上方よりばねにより凹部との係合方向に付勢された球面体と係合するようになっている。なお、21および22は孔部2eおよび孔部3eの上端より螺入される栓体で、球面体20やばね19の抜け外れを防止するとともに、ばね19力の調整を行なうようになっている。
【0015】
ところで、この第2の実施の形態において一方のリンク4側で球面体20を係合させるようになっているが、他方のリンク5側で球面体を係合させるようにすることも可能であり、さらには両方のリンク4,5に球面体を係合させるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態における両開き蝶番の円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態を示す斜視図である。
【図2】同両開き蝶番の扁平な背面が面一状となった状態を示す斜視図である。
【図3】同両開き蝶番の断面図である。
【図4】(A)および(B)は同両開き蝶番の動作説明図である。
【図5】同両開き蝶番を用いて2枚の扉を繋いだ扉の取り付け状態を示す正面図である。
【図6】同レール部材での扉の吊り下げ部の拡大断面図である。
【図7】同2枚の扉を出入り口の一方側より開いた状態を示す斜視図である。
【図8】同2枚の扉を出入り口の他方側より開いた状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における両開き蝶番の円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態を示す斜視図である。
【図10】同両開き蝶番の扁平な背面が面一状となった状態を示す斜視図である。
【図11】同両開き蝶番の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 両開き蝶番
2,3 ブロック
2a,3a 前面
2b,3b 背面
2c,2d,3c,3d 溝
2e,3e 孔部
4,5 リンク
4a 凹部
4b 凹部
4c 凹部
6,7 扉
8 出入り口
9,10 板ばね
9a,10a 他端凸部
11 レール部材
11a レール部
12 軸受部材
13 上端軸部
14 軸受部材
15 下端軸部
16 ガイドローラ
19 ばね
20 球面体
21,22 栓体
【技術分野】
【0001】
本発明は、前方からでも後方からでも2枚の扉を2つ折り自在に開くことができるように2枚の扉を繋ぐための両開き蝶番に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種両開き蝶番としては特許文献1に開示されているように、一対の取付部材を一対の連結アームにより連結させて蝶番を構成したものであり、殊に両連結アームは同一の長さにして、それぞれの取付部材の対称する位置に設けた連結ピンに交差させて取り付けてなるものが知られている。
【特許文献1】特開平11−30066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されている両開き蝶番は2枚の扉を前方からでも後方からでも2枚の扉を2つ折り自在に開くことができるように繋いで使用されるものであり、2枚の扉を前後どちらから押しても2枚の扉の連結部を回動させることができるものの、2枚の扉を閉じた状態において一対の取付部材の動きを制止させる機能を具備しておらず、他の制止機構を設けなければ2枚の扉が閉じられた状態においてふらつき、安定感が悪いという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、2枚の扉が閉じられた状態においてふらつくことなく、安定感良く制止させることが可能な両開き蝶番を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の両開き蝶番は、前面が円弧状に膨らんだ形状を呈し、背面は扁平な形状を呈する左右一対のブロックを2つのリンクにより回動自在に繋いで構成され、前記扁平な背面に扉の一側部端面がねじ止めされ、2つのブロックの扁平な背面に取り付けられた2枚の扉により出入り口が閉じられた状態において2つのブロックの円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態となるように構成された両開き蝶番であって、左右一対のブロックを軸支して繋ぎ円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態においてX字状に交差する2つのリンクの何れか一方もしくは両方のリンクにおいて一方のブロック側に一端が軸支されたリンクの一端にばね力をもって係合する手段を有するとともに他方のブロック側に他端が軸支されたリンクの他端にばね力をもって係合する手段を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の両開き蝶番は、左右一対のブロックの円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態において一方のブロック側に一端が軸支されたリンクの一端側部の凹部が一方のブロック側に一端がビス止めにて設けられた板ばねの他端凸部に係合するとともに他方のブロック側に他端が軸支されたリンクの他端側部の凹部が他方のブロック側に一端がビス止めにて設けられた板ばねの他端凸部に係合するように構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の両開き蝶番は、左右一対のブロックの円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態において一方のブロック側に一端が軸支されたリンクの一端近傍の上面もしくは下面の凹部が一方のブロック側にばねにて凹部との係合方向に付勢された球面体に係合するとともに他方のブロック側に他端が軸支されたリンクの他端近傍の上面もしくは下面の凹部が他方のブロック側にばねにて凹部との係合方向に付勢された球面体に係合するように構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の両開き蝶番は、円弧状に膨らんだ前面部をゴムなどの樹脂製弾性体により作られていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明の両開き蝶番は、2枚の扉により出入り口が閉じられた状態において左右一対のブロックの円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態となり、左右一対のブロックを軸支して繋ぐX字状に交差する2つのリンクの何れか一方もしくは両方のリンクにおいて一方のブロック側に一端が軸支されたリンクの一端にばね力をもって係合する手段を有するとともに他方のブロック側に他端が軸支されたリンクの他端にばね力をもって係合する手段を有することにより、円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態をばね力で保持し、2枚の扉を閉塞状態で安定感良く制止させることができる。また、円弧状に膨らんだ前面部をゴムなどの樹脂製弾性体により作られていることにより、円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合うように扉が閉じるとき、2つのブロック間での指詰めによる怪我を軽減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき具体的に説明する。
先ず、図1〜図8に示す第1の実施の形態について説明すると、1は左右一対のブロック2,3を2つのリンク4,5により回動自在に繋いで構成され全体がアルミなどの金属により作られた両開き蝶番で、各ブロック2,3は前面2a,3aが円弧状に膨らんだ形状を呈し、背面2b,3bは扁平な形状を呈し、円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態で扁平な背面2b,3bに一側部端面がねじ止めされた扉6,7により出入り口8は閉じられた状態となっている。具体的には、前記ブロック2および3には上下に適当間隔をあけて前面2aおよび3a側に開口する溝2c,2dおよび3c,3dが形成されて、上側の溝2c,3c内に一方のリンク4が設けられてリンク4の両端がブロック2,3に軸支され、下側の溝2d,3d内に他方のリンク5が設けられてリンク5の両端がブロック2,3に軸支されている。そして、上側の溝2c,3c内に設けられた一方のリンク4の一端側部の凹部4aは一方のブロック2の溝2cの奥部に一端がビス止めにて設けられた板ばね9の他端凸部9aに係合し、一方のリンク4の他端側部の凹部4bは他方のブロック3の溝3cの奥部に一端がビス止めにて設けられた板ばね10の他端凸部10aに係合して円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態をばね力で保持するようになっている。このように構成された2つの両開き蝶番1が使用されて2枚の扉6,7の上下両端における一側部端面がそれぞれ扁平な背面2b,3bにねじ止めされている。ブロック2,3の円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態において、前記2つのリンク4,5はX字状に交差した状態となっており、扁平な背面2b,3bが面一状となって円弧状に膨らんだ前面2a,3aが出入り口8の一方側に向いた状態と扁平な背面2b,3bが面一状となって円弧状に膨らんだ前面2a,3aが出入り口8の他方側に向いた状態との間で左右一対のブロック2,3は互いに回動自在となっている。つまり、2つのブロック2,3に取り付けられた2枚の扉6,7は出入り口8の一方側から押されて開かれ互いに重なった状態と出入り口8の他方側から押されて開かれ互いに重なった状態との間で自在に開閉できるようになっている。ところで、前記2枚の扉6,7において、一方の扉6の幅と他方の扉7の幅との比は2:1となっており、幅の狭い扉7の他側部は出入り口8の上枠側に取り付けられたレール部材11に内蔵する軸受部材12に上端軸部13が、出入り口8の床面に取り付けられた軸受部材14に下端軸部15がそれぞれ支持されて回転可能となっている。さらに、前記2枚の扉6,7の内、幅の広い扉6の上端には前記レール部材11の下端のレール部11aに載るガイドローラ16が取り付けられて扉6はレール部材11に吊り下げ支持されている。扉6に対するガイドローラ16の取り付け位置は前記両開き蝶番1による連結部から前記幅の狭い扉7の幅分離れた位置に設定されている。なお、上下の両開き蝶番1,1間での扉6,7の端部間の隙間を隠すために扉6,7の端部に図5における2点鎖線で示すように樹脂製弾性材からなる目隠し材17,18を設けることも可能である。
【0011】
上記構成において、2枚の扉6,7により閉じられた出入り口8を一方側または他方側から開く場合は幅の広い扉6を押すことにより幅の狭い扉7の他側部の軸支部を中心に2枚の扉6,7は回動しながら2枚の扉6,7は互いに重なった状態まで折れ曲って出入り口8が開かれる。出入り口8を閉じるときは幅の広い扉6の他側部に設けた把手(図示せず)を掴んで扉6をレール部材11に沿ってガイドローラ16による吊り下げ支持部を移動させることにより出入り口8が閉じられる。2枚の扉6,7により出入り口8が閉じられた状態において前記左右一対のブロック2,3の円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態となり、前記一方のリンク4の一端側部の凹部4aおよび他端側部の凹部4bが前記板ばね9および10の他端凸部9aおよび10aに係合して円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態をばね力で保持し、2枚の扉6,7を閉塞状態で安定感良く制止させることができる。
【0012】
ところで、図1における2点鎖線で示すように2つのブロック2,3の円弧状に膨らんだ前面部をゴムなどの樹脂製弾性体により作ることにより、円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合うように2枚の扉6,7が閉じるとき、2つのブロック2,3間での指詰めによる怪我を軽減させることができる。
【0013】
なお、上記のような2枚の扉6,7の開閉機構は特にバリアーフリーに対応させるのに好適である。また、上記の実施の形態では2枚の扉6,7の内、扉7は扉6に比べて幅が狭く作られているが、2枚の扉6,7は同じ幅の大きさであっても良い。さらに、上記の実施の形態では左右一対のブロック2,3の円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態で保持する板ばね9および10は一方のリンク4の一端側部の凹部4aおよび他端側部の凹部4bに係合するようにブロック2,3の上側の溝2c,3c内に設けられているが、下側の溝2d,3d内に設けることも可能であり、さらには上下両方の溝2c,3c、2d,3d内に設けることも可能である。
【0014】
次に、左右一対のブロック2,3の円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態を保持する機構の第2の実施の形態について図9〜図11に基づき説明すると、左右一対のブロック2,3の円弧状に膨らんだ前面2a,3a同士が互いに向き合った状態において一方のリンク4の一端近傍の上面に形成された凹部4cは、一方のブロック2の上面より上側の溝2cに貫通するように形成された孔部2eに嵌め込まれ上方よりばね19により凹部4cとの係合方向に付勢された球面体20と係合し、一方のリンク4の他端近傍の上面に形成された凹部(図示せず)も同様に他方のブロック3の上面より上側の溝3cに貫通するように形成された孔部3eに嵌め込まれ上方よりばねにより凹部との係合方向に付勢された球面体と係合するようになっている。なお、21および22は孔部2eおよび孔部3eの上端より螺入される栓体で、球面体20やばね19の抜け外れを防止するとともに、ばね19力の調整を行なうようになっている。
【0015】
ところで、この第2の実施の形態において一方のリンク4側で球面体20を係合させるようになっているが、他方のリンク5側で球面体を係合させるようにすることも可能であり、さらには両方のリンク4,5に球面体を係合させるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態における両開き蝶番の円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態を示す斜視図である。
【図2】同両開き蝶番の扁平な背面が面一状となった状態を示す斜視図である。
【図3】同両開き蝶番の断面図である。
【図4】(A)および(B)は同両開き蝶番の動作説明図である。
【図5】同両開き蝶番を用いて2枚の扉を繋いだ扉の取り付け状態を示す正面図である。
【図6】同レール部材での扉の吊り下げ部の拡大断面図である。
【図7】同2枚の扉を出入り口の一方側より開いた状態を示す斜視図である。
【図8】同2枚の扉を出入り口の他方側より開いた状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における両開き蝶番の円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態を示す斜視図である。
【図10】同両開き蝶番の扁平な背面が面一状となった状態を示す斜視図である。
【図11】同両開き蝶番の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 両開き蝶番
2,3 ブロック
2a,3a 前面
2b,3b 背面
2c,2d,3c,3d 溝
2e,3e 孔部
4,5 リンク
4a 凹部
4b 凹部
4c 凹部
6,7 扉
8 出入り口
9,10 板ばね
9a,10a 他端凸部
11 レール部材
11a レール部
12 軸受部材
13 上端軸部
14 軸受部材
15 下端軸部
16 ガイドローラ
19 ばね
20 球面体
21,22 栓体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が円弧状に膨らんだ形状を呈し、背面は扁平な形状を呈する左右一対のブロックを2つのリンクにより回動自在に繋いで構成され、前記扁平な背面に扉の一側部端面がねじ止めされ、2つのブロックの扁平な背面に取り付けられた2枚の扉により出入り口が閉じられた状態において2つのブロックの円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態となるように構成された両開き蝶番であって、左右一対のブロックを軸支して繋ぎ円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態においてX字状に交差する2つのリンクの何れか一方もしくは両方のリンクにおいて一方のブロック側に一端が軸支されたリンクの一端にばね力をもって係合する手段を有するとともに他方のブロック側に他端が軸支されたリンクの他端にばね力をもって係合する手段を有することを特徴とする両開き蝶番。
【請求項2】
左右一対のブロックの円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態において一方のブロック側に一端が軸支されたリンクの一端側部の凹部が一方のブロック側に一端がビス止めにて設けられた板ばねの他端凸部に係合するとともに他方のブロック側に他端が軸支されたリンクの他端側部の凹部が他方のブロック側に一端がビス止めにて設けられた板ばねの他端凸部に係合するように構成したことを特徴とする請求項1記載の両開き蝶番。
【請求項3】
左右一対のブロックの円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態において一方のブロック側に一端が軸支されたリンクの一端近傍の上面もしくは下面の凹部が一方のブロック側にばねにて凹部との係合方向に付勢された球面体に係合するとともに他方のブロック側に他端が軸支されたリンクの他端近傍の上面もしくは下面の凹部が他方のブロック側にばねにて凹部との係合方向に付勢された球面体に係合するように構成したことを特徴とする請求項1記載の両開き蝶番。
【請求項4】
円弧状に膨らんだ前面部をゴムなどの樹脂製弾性体により作られていることを特徴とする請求項1から3までの何れか1項記載の両開き蝶番。
【請求項1】
前面が円弧状に膨らんだ形状を呈し、背面は扁平な形状を呈する左右一対のブロックを2つのリンクにより回動自在に繋いで構成され、前記扁平な背面に扉の一側部端面がねじ止めされ、2つのブロックの扁平な背面に取り付けられた2枚の扉により出入り口が閉じられた状態において2つのブロックの円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態となるように構成された両開き蝶番であって、左右一対のブロックを軸支して繋ぎ円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態においてX字状に交差する2つのリンクの何れか一方もしくは両方のリンクにおいて一方のブロック側に一端が軸支されたリンクの一端にばね力をもって係合する手段を有するとともに他方のブロック側に他端が軸支されたリンクの他端にばね力をもって係合する手段を有することを特徴とする両開き蝶番。
【請求項2】
左右一対のブロックの円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態において一方のブロック側に一端が軸支されたリンクの一端側部の凹部が一方のブロック側に一端がビス止めにて設けられた板ばねの他端凸部に係合するとともに他方のブロック側に他端が軸支されたリンクの他端側部の凹部が他方のブロック側に一端がビス止めにて設けられた板ばねの他端凸部に係合するように構成したことを特徴とする請求項1記載の両開き蝶番。
【請求項3】
左右一対のブロックの円弧状に膨らんだ前面同士が互いに向き合った状態において一方のブロック側に一端が軸支されたリンクの一端近傍の上面もしくは下面の凹部が一方のブロック側にばねにて凹部との係合方向に付勢された球面体に係合するとともに他方のブロック側に他端が軸支されたリンクの他端近傍の上面もしくは下面の凹部が他方のブロック側にばねにて凹部との係合方向に付勢された球面体に係合するように構成したことを特徴とする請求項1記載の両開き蝶番。
【請求項4】
円弧状に膨らんだ前面部をゴムなどの樹脂製弾性体により作られていることを特徴とする請求項1から3までの何れか1項記載の両開き蝶番。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−83558(P2006−83558A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267631(P2004−267631)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000133319)株式会社ダイケン (53)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000133319)株式会社ダイケン (53)
【Fターム(参考)】
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