説明

両面窓あきを有する多層紙及びその製造方法並びに製造装置

【課題】 本発明は、紙幣や諸証券などの偽造防止を必要とする用紙及びその製造方法並びに製造装置に関するものであり、さらには、抄紙機において、上層、中層及び下層を有する3層以上に抄き合わされた多層抄き合わせ紙の一部の上層と下層を除去して、中層を露出させるための窓を生成する両面窓あきを有する多層紙及びその製造方法並びに製造装置に関するものである。
【解決手段】 中層にあらかじめトリガマークを設け、設けたトリガマークをセンサで読み取り、読み取ったトリガマークの位置をもとに下層及び上層の紙料を除去し、中層を露出させるための窓を生成した両面窓あきを有する多層紙及びその製造方法並びに製造装置を提供することを目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣や諸証券等の偽造防止を必要とする用紙及びその用紙の製造方法並びに製造装置に関するものであり、さらには、抄紙機において、上層、中層及び下層を有する3層以上にすき合わされた多層紙の上層と下層の一部を除去して、中層を露出させるための窓を生成する両面窓あきを有する用紙及びその製造方法並びに製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
偽造防止効果が望まれている紙幣及び諸証券等は、印刷による偽造防止対策が施されると共に、紙による偽造防止対策を施すことが望まれている。
【0003】
紙による偽造防止対策の一例として、スレッドが埋設された用紙におけるスレッド上の紙層を一部除去して、スレッドを露出させるための窓を生成する技術があり、長網抄紙機による窓あき、円網抄紙機による窓あき及びウエットパートの組み合わせによる窓あきがそれぞれ提案されている。
【0004】
長網抄紙機における片面窓あきを有する用紙の製造方法及び製造装置として、紙料懸濁液が脱水されてスレッドが紙層中に固定されるまでの間に、長網抄紙機上の所定の箇所に設置された液体吐出ノズルから、スレッドが挿入された紙料懸濁液層の上に液体を吐出し、吐出した液体によりスレッドの上に存在する紙料懸濁液を排除して、スレッドが用紙の表面に露出する窓あき用紙を形成する製造方法及び製造装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
長網抄紙機における片面窓あきを有する用紙の製造方法及び製造装置として、長網抄紙機のワイヤー上において、紙料懸濁液層中の水分がワイヤーから下方に脱水されて紙層が形成される時点で、圧縮空気によりあらかじめ紙料懸濁液層に挿入したスレッド上の紙料懸濁液層を周辺の紙料懸濁液層方向へ移動させると、スレッドの上には紙料懸濁液層が存在しなくなり、用紙表面に窓部を形成する窓あき用紙の製造方法及び製造装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
円網抄紙機における片面窓あきを有する用紙の製造方法として、第1の円網表面の同一円周上に、あらかじめ仮に1cm×1cmの形のテープで1cmの一定間隔で連続して網目をふさぐと、そのテープ部分だけパルプ繊維が存在しなくなり、1cm×1cmのテープ部分が窓となって、その窓の位置にスレッドを挿入し、第二の円網で全面を抄くことにより、紙の片面において、スレッドが露出と埋没を交互に繰り返して成る用紙の製造方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
円網抄紙機における両面窓あきを有する用紙として、針金又は薄板(金属その他)を切り抜いて作った型をワイヤーパート上に固定するか、高分子樹脂又はハンダ等の金属を溶かして、ワイヤーパート上に固定させたものを抄き網として使い、この部分にスレッドを当てて用紙の表面開口部と裏面開口部の位置を合わせながら抄き合わせる偽造防止用紙が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2001−303493号公報
【特許文献2】特許第3256735号公報
【特許文献3】特許第3289274号公報
【特許文献4】特開2000−017598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特開2001−303493号公報のように、長網抄紙機上の所定の箇所に設置された液体吐出ノズルから、スレッドが挿入された紙料懸濁液層の上に液体を吐出し、吐出した液体によりスレッドの上に存在する紙料懸濁液を排除する方法の場合、紙層中に埋設されたスレッドの片面にしか窓を設けることができず、両面の窓を生成できる方法ではない。
【0010】
また、特許第3256735号公報のように、長網抄紙機ワイヤー上に設置された圧縮空気により、あらかじめ紙料懸濁液層に挿入した糸状の紙料懸濁液層を、周辺の紙料懸濁液層方向へ移動させることにより窓を生成する方法の場合も、上述した液体吐出方法と同様、紙層中に埋設されたスレッドの片面にしか窓を設けることができず、両面の窓を生成できる方法ではない。
【0011】
また、特許第3289274号公報のように、円網抄紙機の網上にあらかじめ仮に1cm×1cmの形のテープで1cmの一定間隔で連続して網目をふさぐと、そのテープ部分だけパルプ繊維が存在しなくなり、1cm×1cmのテープ部分が窓となる方法の場合、網にテープを貼り付けるためワイヤーの寿命が低下するといった問題がある。
【0012】
また、特開2000−017598号公報のように、円網抄紙機の網上に針金又は薄板(金属その他)を切り抜いて作った型をワイヤーパート上に固定するか、高分子樹脂又はハンダ等の金属を溶かしてワイヤーパート上に固定してその部分が窓となる方法の場合も、テープを貼り付ける方法と同様、ワイヤーの寿命が低下するといった問題がある。
【0013】
さらに、長網抄紙機による窓開け方法は、いずれも流れ方向については中層の挿入速度の問題があるため用紙の定位置への窓明けが困難であり、また、幅方向についてもワイヤーの蛇行による影響があるため用紙の定位置への窓開けが困難である。
【0014】
また、背景技術に記載した方法により両面窓あきを生成する場合、多層に抄いた用紙における下層の窓あき部と上層の窓あき部との位置合わせが困難であり、また、中層の一部を加工することで透明層を設け、その部分を両面窓あきにする場合には、下層、中層及び上層の三つの層の位置合わせが必要となり、更に困難を極める。
【0015】
本発明は、上記課題の解決を目的とするものであり、具体的には、中層にあらかじめトリガマーク等のマークを設け、設けたマークをセンサで読み取り、読み取ったマークの位置をもとに下層及び上層の紙料を除去し、中層を露出させるための窓を生成する両面窓あきを有する用紙及びその製造方法並びに製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の両面窓あきを有する用紙の製造方法は、下層繊維マット、中層シート及び上層繊維マットを有する多層紙に対し、下層繊維マットに下層窓あき加工部を施すと共に、上層繊維マットに上層窓あき加工部を施すための製造方法であって、あらかじめ中層シートに形成された中層シート加工部と同期するように、中層シートにおける幅方向の片端又は両端に形成した位置検出用マークを位置検出手段によって順次検出し、検出した位置検出用マークの時間間隔を制御手段に送信して位置検出信号に変換し、位置検出信号と、あらかじめ設定されている第1設定条件をもとに、制御手段によって、下層繊維マットに形成する下層窓あき加工部の窓あき加工時間及び窓あき加工間隔を算出し、位置検出信号と、あらかじめ設定されている第2設定条件をもとに、制御手段によって、上層繊維マットに形成する上層窓あき加工部の窓あき加工時間及び窓あき加工間隔を算出し、算出した下層窓あき加工部の窓あき加工時間及び窓あき加工間隔を、前記制御手段によって制御しながら下層用窓あき加工手段に供給すると共に、算出した上層窓あき加工部の窓あき加工時間及び窓あき加工間隔を制御手段によって制御しながら上層用窓あき加工手段に供給し、下層用窓あき加工手段によって、下層繊維マットに対して下層窓あき加工部を施し、上層用窓あき加工手段によって、上層繊維マットに対して上層窓あき加工部を施して、下層繊維マット及び上層繊維マットの両面に窓あき加工を施すことを特徴とする。
【0017】
本発明の両面窓あきを有する用紙の製造方法は、第1設定条件が、位置検出用マークを検出する位置から下層繊維マットと中層シートを抄き合わす位置までの距離と、下層繊維マットに窓あき加工する位置から下層繊維マットと中層シートを抄き合わす位置までの距離と、抄紙機の抄速であることを特徴とする。
【0018】
本発明の両面窓あきを有する用紙の製造方法は、第2設定条件が、位置検出用マークを検出する位置から下層繊維マットと中層シートを抄き合わす位置までの距離と、下層繊維マットに窓あき加工する位置から下層繊維マットと中層シートを抄き合わす位置までの距離と、下層繊維マットと中層シートを抄き合わす位置から上層繊維マットに窓あき加工する位置までの距離と、抄紙機の抄速であることを特徴とする。
【0019】
本発明の両面窓あきを有する用紙の製造装置は、下層繊維マット、中層シート及び上層繊維マットを有する多層紙に対し、下層繊維マットに下層窓あき加工部を施すと共に、上層繊維マットに上層窓あき加工部を施すための製造装置であって、中層シートにあらかじめ形成されている中層シート加工部と同期するように、中層シートおける幅方向の片端又は両端に形成した位置検出用マークを検出する位置検出手段と、検出された位置検出用マークを位置検出信号に変換し、位置検出信号と、あらかじめ設定されている第1設定条件をもとに、下層繊維マットに下層窓あき加工部を施すための窓あき加工時間及び窓あき加工間隔を算出し、位置検出信号と、あらかじめ設定されている第2設定条件をもとに、上層繊維マットに上層窓あき加工部を施すための窓あき加工時間及び窓あき加工間隔を算出する制御手段と、制御手段によって算出された下層窓あき加工部を施すための窓あき加工時間及び窓あき加工間隔をもとに、下層繊維マットに下層窓あき加工部を施す、少なくとも一つの下層用窓あき加工手段と、制御装置によって算出された上層窓あき加工部を施すための窓あき加工時間及び窓あき加工間隔をもとに、上層繊維マットに上層窓あき加工部を施す、少なくとも一つの上層用窓あき加工手段とを有することを特徴とする。
【0020】
本発明の両面窓あきを有する用紙の製造装置は、位置検出手段が、長網抄紙機におけるロール状の中層シートが供給される位置から中層シートと下層繊維マットが抄き合わされる位置までの間に、中層シートに接触しないように配置されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の両面窓あきを有する用紙の製造装置は、下層用窓あき加工手段が、長網抄紙機における下層用スライスの抄紙下流側において、下層繊維マットと接触しないように配置されていることを特徴とする。
【0022】
本発明の両面窓あきを有する用紙の製造装置は、上層用窓あき加工手段が、長網抄紙機における上層用スライスの抄紙下流側において、下層繊維マットと接触しないように配置されていることを特徴とする。
【0023】
本発明の両面窓あきを有する用紙の製造装置は、位置検出手段が、円網抄紙機におけるロール状の中層シートが供給される位置から中層シートと下層繊維マットが抄き合わされる位置までの間に、中層シートと接触しないように配置されていることを特徴とする。
【0024】
本発明の両面窓あきを有する用紙の製造装置は、下層用窓あき加工手段が、円網抄紙機における下層用抄紙円網と上層用抄紙円網の間に配置され、下層繊維マットと接触しないように配置されていることを特徴とする。
【0025】
本発明の両面窓あきを有する用紙の製造装置は、上層用窓あき加工手段が、円網抄紙機における上層用抄紙円網の抄紙下流側に配置され、上層繊維マットと接触しないように配置されていることを特徴とする。
【0026】
本発明の両面窓あき部有する多層紙は、上部紙層、中間層及び下部紙層の少なくとも3層から成り、上部紙層及び下部紙層は、繊維から成り、上部紙層及び下部紙層における所定の領域に窓あき加工部が形成されて成り、中間層は、不織布から成ることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の両面窓あき部有する多層紙は、上部紙層の窓あき加工部の領域上の一部に、下部紙層の窓あき加工部の領域を有して成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
多層に抄いた用紙における下層の窓あき部と上層の窓あき部との位置合わせが容易に行え、正確な両面窓あきが生成できる。
【0029】
中層の一部を透明に加工した層を設け、その透明層部分を両面窓あきにする場合、下層の窓あき部、透明部分が付与された中層及び上層の窓あき部の三つの層の位置合わせが容易に行え、正確な両面窓あきが生成できる。
【0030】
透明フィルムやホログラムなど、機能性を有する材料を用紙の表面及び裏面に貼付した場合と比べて用紙の嵩を均一にできるため、用紙を積み重ねた際の形状安定性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0032】
図1は、本発明における長網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の製造装置を示す図である。図2は、本発明における長網抄紙機による中層シート繰り出し部分の正面図である。図3は、本発明における長網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の制御構成を示す図である。図4は、本発明における長網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の製造方法(製造手順)を示す図である。図5は、本発明における円網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の製造装置を示す図である。図6(a)は、本発明における円網抄紙機による中層シート繰り出し部分の側面図であり、(b)は正面図を示す図である。図7は、本発明における円網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の制御構成を示す図である。図8は、本発明における円網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の製造方法(製造手順)を示す図である。
【0033】
まず、長網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の製造装置について図1、図2及び図3を参照して説明する。
【0034】
図1は、本発明における製造装置の全体図を示すものである。多層紙を抄造するための構成として、サクションクーチロール(20)の駆動とワイヤー用ロール(19a、19b、19c)及びブレストロール(15)の構成によって周回する抄紙網(18)があり、抄紙網(18)の上流に、下層繊維マット(26)を抄くための下層用ヘッドボックス(3)が設置されており、下層用ヘッドボックス(3)より下流に上層繊維マット(24)を抄く上層用ヘッドボックス(11)が設置されている。さらに、下層用ヘッドボックス(3)と上層用ヘッドボックス(11)の間にロール状中層シート(5)が配置されており、上層繊維マット(24)と下層繊維マット(26)との間に中層シート(25)を挿入して多層紙を抄造する構成となっている。
【0035】
下層用ヘッドボックス(3)には、下層用原料配管(1)から供給された下層用原料(2)が貯留されており、抄紙網(18)上に下層用原料(2)を整流して吐出する。下層用ヘッドボックス(3)の下流側には、板スライス(4a、4b)が配置されており、吐出された下層用原料(2)は板スライス(4a、4b)によって地合を形成され、下層繊維マット(26)となる。
【0036】
ロール状中層シート(5)の繰り出し部分には、中層シート繰り出し用ニップロール(7a、7b)が配置されており、中層シート繰り出し用ニップロール(7a、7b)によって繰り出されたロール状中層シート(5)は、下層繊維マット(26)の上に重ねられる。
【0037】
上層用ヘッドボックス(11)には、上層用原料配管(9)から供給された上層用原料(10)が貯留されており、抄紙網(18)上に形成されている下層繊維マット(26)と中層シート(25)から成る2層の繊維マットの上に、上層用原料(10)を整流して吐出する。上層用ヘッドボックス(11)の下流側には、板スライス(12a、12b)が配置されており、吐出された上層用原料(10)は板スライス(12a、12b)によって地合を形成されて上層繊維マット(24)となる。
【0038】
3層構造となった下層繊維マット(26)、中層シート(25)及び上層繊維マット(24)を搾水するため、上層用ヘッドボックス(11)の下流に多層用サクションボックス(17a、17b)が配置されている。また、多層用サクションボックス(17a、17b)の下流には、表面を滑らかに整えるためのダンディロール(14)が配置されており、更に下流には、再び搾水するためのサクションボックス(17c)、サクションクーチロール(20)、脱水するためのプレス手段及び乾燥するための乾燥手段が配置されている。
【0039】
多層紙を両面窓あきにするための構成として、下層繊維マット(26)に下層窓あき加工部(27)を施すための下層用窓あき加工手段と、上層繊維マット(24)に上層窓あき加工部(31)を施すための上層用窓あき加工手段と、中層シート(25)の中層シート透明加工部(23)と幅方向に同期する位置に付与された位置検出用マークを検出する位置検出手段とで構成されている。本実施の形態では、下層用窓あき加工手段として下層用ブローノズル(6)、上層用窓あき加工手段として上層用ブローノズル(13)、位置検出用マークとしてトリガマーク(21)、位置検出手段としてトリガセンサ(22)を用いた例で説明をするが、これらに限定されるものではなく、本発明における特許請求の範囲に記載される技術的思想の範囲内であれば良い。
【0040】
下層用ブローノズル(6)は、抄紙網(18)上の下層用ヘッドボックス(3)と上層用ヘッドボックス(11)の間に配置する下層用スライス(4a、4b)の抄紙下流側において、下層繊維マット(26)と接触しない上方位置で下向きにエアブローするように配置されている。また、抄紙幅方向に複数の中層シート透明加工部(23)がある場合は、抄紙幅方向に中層シート透明加工部(23)と同数の下層用ブローノズル(6)を下層用繊維マット(26)と接触しない上方位置で下向きにブローするように配置されている。なお、長網抄紙機の仕様によって上向きにブローするように配置しても良い。
【0041】
上層用ブローノズル(13)は、上層用ヘッドボックス(11)とダンデロール(14)の間に配置する上層用スライス(12a、12b)の抄紙下流側において、上層繊維マット(24)と接触しない上方位置で下向きにエアブローするように配置されている。また、抄紙幅方向に複数の中層シート透明加工部(23)がある場合は、抄紙幅方向に中層シート透明加工部(23)と同数の上層用ブローノズル(13)を上層用繊維マット(24)と接触しない上方位置で下向きにブローするように配置されている。なお、長網抄紙機の仕様によって上向きにブローするように配置しても良い。
【0042】
トリガセンサ(22)は、長網抄紙機におけるロール状中層シート(5)が供給される位置から中層シートと下層繊維マットが抄き合わされる位置までの間に、トリガセンサ(22)が中層シート(25)と接触しない位置に配置されている。なお、最適に検出するためには、中層シート(25)に対して垂直に配置されているのが好ましい。
【0043】
トリガセンサの種類としては、ファイバセンサを用いる。センサは反射型と透過型があり、本装置は反射型を用いる。反射型は中層用ペーパロール(8a)及び中層シート(25)の上方に配置して中層シート(25)に付与されたトリガマーク(21)を反射式に検出する。
【0044】
一方、透過型を用いる場合、ペーパロール(8a)と(8b)の間の位置に配置して、下方の光源部から発せられた光をマークが通過することによって遮ることが可能な位置の上方に受光部を配置する。トリガマーク(21)が通過することで変化する光量を利用して、中層シート透明加工部(23)の通過タイミングを検出する。
【0045】
図2は、長網抄紙機による中層シート繰り出し部分の正面図である。ロール状中層シート(5)から中層シート繰り出し用ニップロール(7a、7b)で繰出された中層シート(25)を、中層シート用ペーパロール(8a、8b、8c)で幅方向の挿入位置及び挿入角度を調整し、下層繊維マット(26)と上層用繊維マット(24)の間に挿入するものである。ロール状中層シート(5)から繰出される中層シート(25)に施された中層シート透明加工部(23)と、中層シート透明加工部(23)と幅方向に同期する位置に付与されたトリガマーク(21)が付与されており、トリガマーク(21)を検出するためのトリガセンサ(22)が設置されている。中層シート透明加工部(23)は、所定の間隔で形成されていてもよく、また任意の間隔でランダムに形成されていても良い。
【0046】
図3は、本発明における長網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の制御構成を示す図である。中層シート(25)のトリガマーク(21)をトリガセンサ(22)で読み取り、トリガマーク(21)と同期する中層シート透明加工部(23)が通過するタイミングを制御装置に送信し、位置検出信号とする。本実施の形態では、位置検出信号はトリガ信号として説明する。
【0047】
制御装置によって、トリガ信号とあらかじめ設定されている第1設定条件を基に下層窓あき加工部(27)の窓あき加工時間及び窓あき加工間隔を算出し、さらにトリガ信号とあらかじめ設定されている第2設定条件を基に、上層窓あき加工部(31)の窓あき加工時間及び窓あき加工間隔を算出する。この際の第1設定条件とは、図3におけるac間の距離、bc間の距離及び抄紙機の抄速である。また、第2設定条件とは、図3におけるac間の距離、bc間の距離、cd間の距離及び抄紙機の抄速である。なお、本実施の形態では、窓あき加工時間はエア吹き出し時間とし、窓あき加工間隔はエア吹き出し間隔として説明する。
【0048】
算出した下層窓あき加工部(27)のエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を下層用窓あき加工調節器に送信し、上層窓あき加工部(31)のエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を上層用窓あき加工調節器に送信する。なお、本実施の形態では、下層用窓あき加工調節器は下層用ブロー調節器とし、上層用窓あき加工調節器は上層用ブロー調節器として説明する。
【0049】
下層繊維マット(26)に下層窓あき加工部(27)を行う装置構成は、下層用コンプレッサから連続供給されるエアを、下層用ブロー調節器で間欠的(または連続的)に下層用減圧弁に供給し、任意の圧力に調整して下層用ブローノズル(6)で任意の位置(b)に任意のタイミングでエアを吹き付ける。
【0050】
一方、上層繊維マット(24)に上層窓あき加工部(31)を施す装置構成は、上層用コンプレッサから連続供給されるエアを、上層用ブロー調節器で間欠的(または連続的)に上層用減圧弁に供給し、任意の圧力に調整して上層用ブローノズル(6)で任意の位置(d)に任意のタイミングでエアを吹き付ける。
【0051】
以上の装置構成によって、(a)地点で検出した信号を基に(b)地点でブローすると、(c)地点で(a)の透明加工部分と(b)の窓あき加工部分が重なり合う。次に、(a)地点で検出した信号を基に(d)地点でブローすると、(a)の透明加工部分と(b)の窓あき加工部分と(d)の窓あき加工部分が重なり合う。
【0052】
長網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の製造方法(製造手順)について図4を参照して説明する。
【0053】
第一段階として、両面窓あきを有する多層紙の中間層となる中層シートの加工を行う(STEP1)。
【0054】
最初に、ロール状の中層シートを繰り出しながら、中層シートにおける透明加工部分と同期するようにトリガマークを付与する。付与する位置としては、中層シートの繰り出し方向に対する幅方向の両端において、どちらか一方の端に付与することとする。透明加工部の形成方法は、特に限定しないが、例えば、樹脂フィルムを金属製の熱凸子で溶融する方法や、超音波発生器の金属製凸子で中層シートを上下から挟み込み、繊維を超音波で溶融する方法等が挙げられる。
【0055】
次に、トリガマークが付与された中層シートをロール状に巻き取り、抄紙機上にセットする。
【0056】
第二段階として、下層繊維マット及び上層繊維マットに窓あきを形成するためのエアブローのタイミングを算出する(STEP2)。
【0057】
最初に、図3におけるa地点の中層シートのトリガマークをトリガセンサ(22)で検出し、検出した信号を制御装置に送信する。
【0058】
次に、信号が送信された制御装置は、ac間(aはトリガマークを検出する地点、cは下層繊維マットと中層シートを抄き合わせる地点)の距離、抄速及び中層シート繰り出し速度によって、下層用エアブローの吹き出し時間や吹き出し間隔のタイミングを算出する。
【0059】
同様に、ad間(aはトリガマークを検出する地点、dは下層繊維マットと中層シートと上層繊維マットを抄き合わせる地点)の距離及び抄速によって、上層用エアブローの吹き出し時間や吹き出し間隔のタイミングを算出する。
【0060】
次に、算出したエアブローのタイミングを、それぞれ上層用ブロー調整器と下層用ブロー調整器に送信する。
【0061】
第三段階として、下層繊維マット、中層シート及び上層繊維マットの同期化を行う(STEP3)。
【0062】
最初に、下層用ブロー調整器で調整されたエアを下層用ブローノズルに供給する。
【0063】
次に、図3におけるb地点で下層用ブローノズルからエアをブローし、下層繊維マットの所定の位置に窓あき加工を行う。
【0064】
窓あき加工された下層繊維マットは抄造流れ方向に運ばれ、図3におけるc地点で、下層繊維マットの窓あき加工部分と中層シートの透明加工部分が同期して2層構造の繊維マットが生成される。
【0065】
次に、上層用ブロー調整器で調整されたエアを上層用ブローノズルに供給する。
【0066】
図3におけるd地点で上層用ブローノズルからエアをブローし、この地点で下層繊維マットの窓あき加工部分と、中層シートの透明加工部分と、上層繊維マットの窓あき加工部分が同期され、3層構造の繊維マットが生成される。
【0067】
第四段階として、3層構造に窓あき加工が施された用紙の最終仕上げを行う(STEP4)。
【0068】
最初に、窓あき加工が施された3層構造の繊維マットをサクションボックスで搾水する。
【0069】
次に、ダンディロールで表面を整える。
【0070】
次に、サクションボックス及びサクションクーチロールで搾水する。
【0071】
次に、プレスロールで脱水する。
【0072】
次に、ドライヤ乾燥装置で乾燥する。
【0073】
次に、カレンダ加工を行う。
【0074】
次に、リール装置で巻き取ってロール状の3層紙を完成させる。
【0075】
次に、円網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の製造装置について図5、図6及び図7を参照して説明する。
【0076】
図5は、本発明における製造装置の全体図を示すものである。多層紙を抄造するための構成として、下層用抄紙円網(32)と下層用クーチロール(33)及びプレスロールの駆動によって周回する毛布(34)があり、下層用抄紙円網(32)の下流にロール状中層シート(41)があり、更にその下流に上層用抄紙円網(35)と上層用クーチロール(36)が配置されており、下層繊維マット(52)と上層繊維マット(50)との間に中層シート(51)を挿入して多層紙を抄造する構成となっている。
【0077】
下層原料槽(37)内には、下層用原料配管(38)から供給された下層用原料(39)が貯留されており、下層用抄紙円網(32)上に下層用原料(37)を紙層形成し、下層用クーチロール(33)で搾水されて下層繊維マット(52)となる。
【0078】
ロール状中層シート(41)の繰り出し部分には、中層シート繰り出し用ニップロール(42a、42b)が配置されており、中層シート繰り出し用ニップロール(42a、42b)によって繰り出されたロール状中層シート(41)は、下層繊維マット(52)の下に重ねられる。
【0079】
上層用原料槽(46)内には、上層用原料配管(47)から供給された上層用原料(48)が貯留されており、毛布(34)背面に形成されている下層繊維マット(52)と中層シート(51)から成る2層の繊維マットの下に、上層用原料(48)を紙層形成し、上層用クーチロール(36)で搾水されて上層繊維マット(50)となる。
【0080】
3層構造となった下層繊維マット(52)、中層シート(51)及び上層繊維マット(50)は、上層用抄紙網(35)の下流に配置されたプレス手段で脱水され、その後工程に配置される乾燥手段で乾燥される。
【0081】
多層紙を両面窓あきにするための構成として、下層繊維マット(52)に下層窓あき加工部(53)を施すための下層用ブローノズル(40)と、上層繊維マット(50)に上層窓あき加工部(54)を施すための上層用ブローノズル(49)と、中層シート(51)の中層シート透明加工部(55)と幅方向に同期する位置に付与されたトリガマーク(43)を検出するトリガセンサ(44)とで構成されている。
【0082】
下層用ブローノズル(40)は、下層用抄紙円網(32)と上層用抄紙円網(35)の間に配置され、下層繊維マット(52)と接触しない下方位置で上向きにエアブローするように配置されている。また、抄紙幅方向に複数の中層シート透明加工部(55)がある場合は、抄紙幅方向に中層シート透明加工部(55)と同数の下層用ブローノズル(40)を下層繊維マット(52)と接触しない下方位置で上向きにブローするように配置されている。なお、円網抄紙機の仕様によって下向きにブローするように配置しても良い。
【0083】
上層用ブローノズル(49)は、上層用抄紙円網(35)の下流に配置され、上層繊維マット(50)と接触しない下方位置で上向きにエアブローするように配置されている。また、抄紙幅方向に複数の中層シート透明加工部(55)がある場合は、抄紙幅方向に中層シート透明加工部(55)と同数の上層用ブローノズル(49)が上層用繊維マット(50)と接触しない下方位置で上向きにブローするように配置されている。なお、円網抄紙機の仕様によって下向きにブローするように配置しても良い。
【0084】
トリガセンサ(44)は、円網抄紙機における中層シート(51)が供給される位置から中層シート(51)と下層繊維マット(52)が抄き合わされる位置までの間に、トリガセンサ(44)が中層シート(51)と接触しないように配置されている。なお、最適に検出するためには、中層シート(25)に対して垂直に配置されているのが好ましい。
【0085】
トリガセンサの種類としては、ファイバセンサを用いる。センサは反射型と透過型があり、本装置は反射型を用いる。反射型は中層用ペーパロール(45a)及び中層シート(51)の上流側に配置して中層シート(51)に付与されたトリガマーク(43)を反射式に検出する。
【0086】
一方、透過型を用いる場合は中層用ペーパロール(45a及び45b)の間に配置して、上流側に設置した光源部から発せられた光をトリガマーク(43)が通過することによって遮ることが可能な位置の下流側に受光部を配置する。トリガマーク(21)が通過することで変化する光量を利用して、中層シート透明加工部(55)の通過タイミングを検出することができる。
【0087】
図6(a)は、円網抄紙機による中層シート繰り出し部分の側面図であり、図6(b)は、その正面図である。ロール状中層シート(41)から中層シート繰り出し用ニップロール(42a、42b)で繰り出された中層シート(51)は、中層シート用ペーパロール(45a、45b)で幅方向の挿入位置及び挿入角度を調整し、下層繊維マット(52)と上層用繊維マット(50)の間に挿入される。ロール状中層シート(41)から繰り出される中層シート(51)に施された中層シート透明加工部(55)と、中層シート透明加工部(55)と幅方向に同期する位置に付与されたトリガマーク(43)が付与されており、トリガマーク(43)を検出するためのトリガセンサ(44)が設置されている。
【0088】
図7は、本発明における円網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の制御構成を示す図である。中層シート(51)のトリガマーク(43)をトリガセンサ(44)で検出し、トリガマーク(43)と同期する中層シート透明加工部(55)が通過するタイミングを制御装置に送信してトリガ信号とする。
【0089】
制御装置によって、トリガ信号とあらかじめ設定されている第1設定条件を基に、下層窓あき加工部(53)のエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を算出し、さらに、トリガ信号とあらかじめ設定されている第2設定条件を基に、上層窓あき加工部(54)のエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を算出する。この際の第1設定条件とは、図7におけるac間の距離、bc間の距離及び抄紙機の抄速である。また、第2設定条件とは、図7におけるac間の距離、bc間の距離、cd間の距離及び抄紙機の抄速である。
【0090】
算出した下層窓あき加工部(53)のエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を下層用ブロー調節器に送信し、上層窓あき加工部(54)のエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を上層用ブロー調節器に送信する。
【0091】
下層繊維マット(52)に下層窓あき加工部(53)を施す装置構成は、下層用コンプレッサから連続供給されるエアを下層用ブロー調節器で間欠的(または連続的)に下層用減圧弁に供給し、任意の圧力に調整して下層用ブローノズル(40)で任意の位置(b)に任意のタイミングでエアを吹き付ける。
【0092】
一方、上層繊維マット(50)に上層窓あき加工部(54)を施す装置構成は、上層用コンプレッサから連続供給されるエアを上層用ブロー調節器で間欠的(または連続的)に上層用減圧弁に供給し、任意の圧力に調整して上層用ブローノズル(49)で任意の位置(d)に任意のタイミングでエアを吹き付ける。
【0093】
以上の装置構成によって、(a)地点で検出した信号を基に(b)地点でブローすると、(c)地点で(a)の透明加工部分と(b)の窓あき加工部分が重なり合う。次に、(a)地点で検出した信号を基に(d)地点でブローすると、(a)の透明加工部分と(b)の窓あき加工部分と(d)の窓あき加工部分が重なり合う。
【0094】
円網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の製造方法(製造手順)について図8を参照して説明する。
【0095】
第一段階として、両面窓あきを有する多層紙の中間層となる中層シートの加工を行う(STEP1)。
【0096】
最初に、ロール状の中層シートを繰り出しながら、中層シートにおける窓あきとなる部分と同期するようにトリガマークを付与する。付与する位置としては、中層シートの繰り出し方向に対する幅方向の両端において、どちらか一方の端に付与することとする。
【0097】
次に、トリガマークが付与された中層シートをロール状に巻き取り、抄紙機上にセットする。
【0098】
第二段階として、下層繊維マット及び上層繊維マットに窓あきを形成するためのエアブローのタイミングを算出する(STEP2)。
【0099】
最初に、図7におけるa地点の中層シートのトリガマークをトリガセンサ(22)で検出し、検出した信号を制御装置に送信する。
【0100】
次に、信号が送信された制御装置は、ac間(aはトリガマークを検出する地点、cは下層繊維マットと中層シートを抄き合わせる地点)の距離、抄速及び中層シート繰り出し速度によって、下層用エアブローの吹き出し時間や吹き出し間隔のタイミングを算出する。
【0101】
同様に、ad間(aはトリガマークを検出する地点、dは下層繊維マットと中層シートと上層繊維マットを抄き合わせる地点)の距離及び抄速によって、上層用エアブローの吹き出し時間や吹き出し間隔のタイミングを算出する。
【0102】
次に、算出したエアブローのタイミングを、それぞれ上層用ブロー調整器と下層用ブロー調整器に送信する。
【0103】
第三段階として、下層繊維マット、中層シート及び上層繊維マットの同期化を行う(STEP3)。
【0104】
最初に、下層用ブロー調整器で調整されたエアを下層用ブローノズルに供給する。
【0105】
次に、図7におけるb地点で下層用ブローノズルからエアをブローし、下層繊維マットの所定の位置に窓あき加工を行う。
【0106】
窓あき加工された下層繊維マットは抄造流れ方向に運ばれ、図7におけるc地点で、下層繊維マットの窓あき加工部分と中層シートの透明加工部分が同期して2層構造の繊維マットが生成される。
【0107】
次に、上層用ブロー調整器で調整されたエアを上層用ブローノズルに供給する。
【0108】
図7におけるd地点で上層用ブローノズルからエアをブローし、この地点で下層繊維マットの窓あき加工部分と、中層シートの透明加工部分と、上層繊維マットの窓あき加工部分が同期され、3層構造の繊維マットが生成される。
【0109】
第4段階として、3層構造に窓あき加工が施された用紙の最終仕上げを行う(STEP4)。
【0110】
最初に、窓あき加工が施された3層構造の繊維マットをプレスロールで脱水する。
【0111】
次に、ドライヤ乾燥装置で乾燥する。
【0112】
次に、カレンダ加工を行う。
【0113】
次に、リール装置で巻き取ってロール状の3層紙を完成させる。
【実施例1】
【0114】
長網抄紙機における両面窓あきを有する多層紙の製造方法を以下に示す。
【0115】
中層シートについては、あらかじめロール状シートを繰り出しながら任意の位置にトリガマークを印刷した後にロール状に巻き取った。このとき、中層シートは、目付け10〜15g/mのPVA繊維製不織布を用いた。印刷はフレキソ印刷機で行い、インキは通常のフレキソ用インキの黒色を用いた。トリガマークは、長さ1.0mm×幅0.2mmでも印刷が可能であるが、抄紙機上でのシートの蛇行等を考慮すると、長さ10.0mm×幅0.5mm以上が好ましい。
【0116】
次に、ロール状中層シートを繰り出しながらトリガマークの位置にあわせて透明加工部を形成し、ロール状に巻き取った。このとき、中層シートは芯鞘構造のPVA繊維製不織布で、溶解温度は主体繊維が100℃、バインダが70℃のものを用いた。透明加工部の形成は、樹脂フィルムを熱凸子で溶融する方法で行った。樹脂フィルムは、溶解温度200℃で厚さ50μmのPET製フィルムを用い、表面温度230℃の金属製凸子でPETフィルムを不織布繊維と共に溶融し、透明層を形成した。
【0117】
透明層及びトリガマークを付与したロール状中層シートを長網抄紙機にセットし、その後、長網抄紙機を運転してワイヤーを周回させておく。このとき、長網抄紙機の抄速は30m/分で運転した。なお、長網部にはワイヤーが蛇行しないように自動ガイド装置が取り設けてある。
【0118】
多層に抄造する手順として、まず、下層原料をワイヤー上に吐出して下層繊維マットを形成する。このとき、下層用原料は、木材繊維、靱皮繊維、又は木材繊維と靱皮繊維の混合原料を用いた。下層繊維マットは、ワイヤー上に吐出した下層用原料を通常の長網抄紙法で形成した。
【0119】
次に、中層シートをニップロールで繰出しながらワイヤー上に形成した下層繊維マットの上に送り込んだ。このとき、中層シートの挿入速度は、ワイヤーの駆動装置から発せられるパルス信号とニップロールの駆動用サーボモータのパルス信号を同期させて、ワイヤーと同速の30m/分で挿入した。中層シートのトリガマークをトリガセンサで読み取り、中層シートの透明層と同期する位置のトリガマークが通過するタイミングを制御装置に送信し、トリガ信号とした。このとき、マークセンサは反射式のファイバセンサを用いた。抄き合わせは、下層繊維マットの上部に中層シートを抄き合わせた時点で2層の多層紙となる。
【0120】
制御装置によって、トリガ信号とあらかじめ設定されている第1設定条件を基に、下層紙料のエアブローのエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を算出し、さらに、トリガ信号とあらかじめ設定されている第2設定条件を基に上層紙料のエアブローのエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を算出した。この際の第1設定条件とは、図3におけるac間の距離、bc間の距離及び抄紙機の抄速である。また、第2設定条件とは、図3におけるac間の距離、bc間の距離、cd間の距離及び抄紙機の抄速である。
【0121】
本実施例では、ac間、bc間及びcd間の距離を1,000mmとし、ad間の距離を2,000mmとし、抄紙機の抄速を30m/分とした。抄速30m/分で運転している状況下で、トリガマークaがc地点で下層紙料と抄き合わされるまでの時間は、ac間の距離を抄速で除した値、すなわち1,000mm/(30,000mm/60秒)で求めることができ2秒となる。また、トリガマークaが中層シート及び下層紙料と抄き合わされるまでの時間は、ad間の距離を抄速で除した値、すなわち2,000mm/(30,000mm/60秒)で求めることができ、すなわち4秒となる。
【0122】
制御装置で算出した下層窓あき加工部のエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を、下層紙料用ブロー調節器に送信する。このとき、a地点の窓あき加工をMa1とし、このMa1に同期する位置に付与されたトリガマークをTa1とする。ここで、a地点でTa1を検出した2秒後に,b地点の下層用ブローノズルで下層紙料マットに窓あき加工Mb1を形成すると、Mb1はMa1の2秒後に送り込まれる窓あき加工Ma2とc地点で抄き合わされることとなる。
【0123】
下層用ブロー調節器によって、コンプレッサから送られるエア圧力と、下層用ブローノズルに供給するエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を制御する。このとき、コンプレッサは最高元圧力1.0Mpaのものを用いた。下層用ブロー調節器で調整した操作圧力は、窓あき加工の大きさ及び下層用ブローノズルから下層繊維マットまでの吹出距離10〜50mmに応じて、50〜150kPaに調整した。なお、実施例では、吹出距離25mmにおいて95kPaで行った。吹き出し時間は、窓あき加工の大きさ、形状及び下層用ブローノズルから下層繊維マットまでの距離に応じて、0.01〜0.1秒に調整した。なお、実施例では0.04秒間で行った。この時点で、下層繊維マットに形成した窓あき加工部分と、中層シートに形成した透明加工部分とが同期する形となる。
【0124】
次に、ワイヤー上に形成した下層繊維マット及び中層シート上に上層用原料を吐出して上層繊維マットを形成した。このとき、上層用原料は、木材繊維、靱皮繊維又は木材繊維と靱皮繊維の混合原料を用いた。上層繊維マットは、下層及び中層シート上に吐出した上層用原料を通常の長網抄紙法で形成した。抄き合わせは、ワイヤー上に形成した下層繊維マット及び中層シート上に上層繊維マットを形成した時点で3層の多層紙となる。
【0125】
制御装置で算出した上層窓あき加工部のエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を、上層紙料用ブロー調節器に送信する。このとき、a地点でTa1を検出した4秒後にd地点の上層用ブローノズルで紙料除去すると、先に抄き合わされたMb1及びMa2と同期する位置に窓あき加工Md1を形成することができる。
【0126】
下層用ブローと同様の手法で、上層用ブロー調節器でコンプレッサから送られるエア圧力と、上層用ブローノズルに供給するエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を制御する。このとき、コンプレッサは最高源圧力1.0Mpaのものを用いた。下層用ブロー調節器で調整した操作圧力は、窓あき加工の大きさ及び上層用ブローノズルから下層繊維マットまでの距離に応じて、50〜150kPaに調整した。なお、実施例は、95kPaに調整した。吹き出し時間は、窓あき加工の大きさ、形状及び上層用ブローノズルから下層繊維マットまでの距離に応じて、0.01〜0.1秒に調整した。なお、実施例では、0.04秒で行った。
【0127】
上層繊維マットに窓あき加工終了した時点で、下層繊維マットに形成した窓あき加工部分と、中層シートに形成した透明加工部分と、上層繊維マットに形成した窓あき加工部分とが同期する形となり、多層紙における両面窓あきが完成される。
【0128】
次に、3層構造となった多層紙をサクションボックスで搾水した。
【0129】
次に、ダンディロールで表面を整えた。
【0130】
次に、サクションボックス及びサクションクーチロールで搾水した。
【0131】
次に、プレスロールで脱水した。
【0132】
次に、多筒式ドライヤ乾燥装置で乾燥した。
【0133】
次に、カレンダ加工を行った。
【0134】
次に、リール装置で巻き取ってロール状の3層紙とした。
【0135】
本実施例において、3層紙となったそれぞれの層の坪量は、上層繊維マット37g/m、中層シート12g/m、下層繊維マット37g/mとし、多層紙としての坪量は85g/mとした。したがって、実施例中で算出したブロー調節器の操作圧力や吹き出しのタイミング等は、本実施例における場合であり、坪量や抄紙機の抄速によって変動する。
【実施例2】
【0136】
円網抄紙機における両面窓あきを有する多層紙の製造方法を以下に示す。
【0137】
中層シートについては、あらかじめロール状シートを繰り出しながら任意の場所にトリガマークを印刷した後にロール状に巻き取った。このとき、中層シートは、目付け10〜15g/mのPVA繊維製不織布を用いた。印刷は、フレキソ印刷機で行い、インキは通常のフレキソ用インキの黒色を用いた。トリガマークは、長さ1.0mm×幅0.2mmでも印刷が可能であるが、抄紙機上でのシートの蛇行等を考慮すると、長さ10.0mm×幅0.5mm以上が好ましい。
【0138】
次に、ロール状中層シートを繰り出しながらトリガマークの位置に合わせて透明加工部を形成し、ロール状に巻き取った。このとき、中層シートは、芯鞘構造のPVA繊維製不織布で、溶解温度は主体繊維が100℃、バインダが70℃のものを用いた。透明加工部の形成は、超音波で融着する方法で行った。樹脂フィルムは、溶解温度200℃で厚さ50μmのPET製フィルムを用い、超音波発生器の金属製凸子で不織布を上下から挟み込み、不織布繊維を超音波で溶融することによって透明層を形成した。
【0139】
透明層及びトリガマークを付与したロール状中層シートを円網抄紙機にセットする。
【0140】
多層に抄造する手順として、まず、下層原料を下層用原料配管から下層用原料槽に吐出して回流させておく。また、上層原料を上層用原料配管から上層用原料槽に吐出して回流させておく。
【0141】
次に、下層用抄紙円網を回転させて下層繊維マットを形成する。次に、下層繊維マットを毛布と共に下層用クーチロールで搾水し、毛布に転移した状態で次工程へ送り込む。このとき、円網抄紙機の抄速は30m/分で運転した。また、下層用原料は、木材繊維、靱皮繊維又は木材繊維と靱皮繊維の混合原料を用いた。下層繊維マットは、下層用原料槽に吐出した下層用原料を下層用抄紙円網で通常の円網抄紙法により形成した。
【0142】
次に、中層シートをニップロールで繰出しながら毛布下に形成した下層繊維マットの下面に送り込んだ。このとき、中層シートの挿入速度は、ワイヤーの駆動装置から発せられるパルス信号とニップロールの駆動用サーボモータのパルス信号を同期させて、ワイヤーと同速の30m/分で挿入した。中層シートのトリガマークをトリガセンサで読み取り、中層シートの透明層と同期する位置のトリガマークが通過するタイミングを制御装置に送信し、トリガ信号とした。このとき、マークセンサは反射式のファイバセンサを用いた。抄き合わせは、下層繊維マットの下部に中層シートをすき合わせた時点で2層の多層紙となる。
【0143】
制御装置によって、トリガ信号とあらかじめ設定されている第1設定条件を基に、下層紙料のエアブローのエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を算出し、さらに、トリガ信号とあらかじめ設定されている第2設定条件を基に、上層紙料のエアブローのエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を算出した。この際の第1設定条件とは、図3におけるac間の距離、bc間の距離及び抄紙機の抄速である。また、この際の第2設定条件とは、図3におけるac間の距離、bc間の距離、cd間の距離及び抄紙機の抄速である。
【0144】
本実施例では、ac間、bc間及びcd間の距離を1,000mmとし、ad間の距離を2,000mmとし、抄紙機の抄速を30m/分とした。抄速30m/分で運転している状況下で、トリガマークaがc地点で下層紙料と抄き合わされるまでの時間は、ac間の距離を抄速で除した値、すなわち1,000mm/(30,000mm/60秒)で求めることができ2秒となる。また、トリガマークaが中層シート及び下層紙料と抄き合わされるまでの時間は、ad間の距離を抄速で除した値、すなわち2,000mm/(30,000mm/60秒)で求めることができ、すなわち4秒となる。
【0145】
制御装置で算出した下層窓あき加工部のエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を、下層紙料用ブロー調節器に送信する。このとき、a地点の窓あき加工をMa1とし、このMa1に同期する位置に付与されたトリガマークをTa1とする。ここで、a地点でTa1を検出した2秒後にb地点の下層用ブローノズルで下層紙料マットに窓あき加工Mb1を形成すると、Mb1はMa1の2秒後に送り込まれる窓あき加工Ma2とc地点で抄き合わされることとなる。
【0146】
下層用ブロー調節器によって、コンプレッサから送られるエア圧力と、下層用ブローノズルに供給するエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を制御する。このとき、コンプレッサは最高元圧力1.0Mpaのものを用いた。下層用ブロー調節器で調整した操作圧力は、窓あき加工の大きさ及び下層用ブローノズルから下層繊維マットまでの吹出距離10〜50mmに応じて、50〜150kPaに調整した。なお、実施例では、吹出距離25mmにおいて95kPaで行った。吹き出し時間は、窓あき加工の大きさ、形状及び下層用ブローノズルから下層繊維マットまでの距離に応じて、0.01〜0.1秒に調整した。なお、実施例では、0.04秒間で行った。この時点で、下層繊維マットに形成した窓あき加工部分と、中層シートに形成した透明加工部分とが同期する形となる。
【0147】
次に、上層用抄紙円網を回転させて上層繊維マットを形成する。次に、上層繊維マットを毛布、下層繊維マット及び中層シートと共に上層用クーチロールで搾水し、毛布に転移した状態で次工程へ送り込む。このとき、円網抄紙機の抄速は30m/分で運転した。上層用原料は木材繊維、靱皮繊維又は木材繊維と靱皮繊維の混合原料を用いた。上層繊維マットは、下層及び中層シート上に吐出した上層用原料を通常の長網抄紙法で形成した。上層繊維マットは、上層用原料槽に吐出した上層用原料を上層用抄紙円網で通常の円網抄紙法により形成した。抄き合わせは、毛布下に形成した下層繊維マット及び中層シート下面に上層繊維マットを形成した時点で3層の多層紙となる。
【0148】
制御装置で算出した上層窓あき加工部のエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を、上層紙料用ブロー調節器に送信する。このとき、a地点でTa1を検出した4秒後にd地点の上層用ブローノズルで紙料除去すると、先に抄き合わされたMb1及びMa2と同期する位置に窓あき加工Md1を形成することができる。
【0149】
下層用ブローと同様の手法で、上層用ブロー調節器でコンプレッサから送られるエア圧力と、上層用ブローノズルに供給するエア吹き出し時間及びエア吹き出し間隔を制御する。このとき、コンプレッサは最高源圧力1.0Mpaのものを用いた。下層用ブロー調節器で調整した操作圧力は、窓あき加工の大きさ及び上層用ブローノズルから下層繊維マットまでの距離に応じて、50〜150kPaに調整した。なお、実施例は、95kPaに調整した。吹き出し時間は、窓あき加工の大きさ、形状及び上層用ブローノズルから下層繊維マットまでの距離に応じて、0.01〜0.1秒に調整した。なお、実施例では、0.04秒で行った。
【0150】
上層繊維マットに窓あき加工が終了した時点で、下層繊維マットに形成した窓あき加工部分と、中層シートに形成した透明加工部分と、上層繊維マットに形成した窓あき加工部分とが同期する形となり、多層紙における両面窓あきが完成される。
【0151】
次に、3層構造となった多層紙をプレスロールで脱水した。
【0152】
次に、多筒式ドライヤ乾燥装置で乾燥した。
【0153】
次に、カレンダ加工を行った。
【0154】
次に、リール装置で巻き取ってロール状の3層紙とした。
【0155】
本実施例において、3層紙となったそれぞれの層の坪量は、上層繊維マット37g/m、中層シート12g/m、下層繊維マット37g/mとし、多層紙としての坪量は85g/mとした。したがって、実施例中で算出したブロー調節器の操作圧力や吹き出しのタイミング等は、本実施例における場合であり、坪量や抄紙機の抄速によって変動する。
【0156】
なお、前述したいずれの実施例においても、下層用窓あき加工手段のブローノズルは、中層シートと下層繊維マットが抄き合わされるまでの位置に配置されているが、これは下層用のワイヤーにより下層繊維マットの下方から窓あき加工を施すことが困難なためであり、仮に下層用のワイヤーの下方から窓あき加工を施せる場合においては、上層用窓あき加工手段を上層繊維マットの上方から、下層用窓あき加工手段を下層繊維マットの下方から同時に施せる位置に配置しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明における長網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の製造装置を示す。
【図2】本発明における長網抄紙機による中層シート繰り出し部分の正面図を示す。
【図3】本発明における長網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の制御構成を示す。
【図4】本発明における長網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の製造方法を示す。
【図5】本発明における円網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の製造装置を示す。
【図6】(a)は、本発明における円網抄紙機による中層シート繰り出し部分の側面図であり、(b)は正面図を示す。
【図7】本発明における円網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の制御構成を示す。
【図8】本発明における円網抄紙機による両面窓あきを有する用紙の製造方法を示す。
【符号の説明】
【0158】
1 下層用原料配管
2 下層用原料
3 下層用ヘッドボックス
4 下層用スライス
5 ロール状中層シート
6 上層用ブローノズル
7 中層シート繰り出し用ニップロール
8a、8b、8c 中層シート用ペーパロール
9 上層用紙料配管
10 上層用原料
11 上層用ヘッドボックス
12 上層用スライス
13 上層用ブローノズル
14 ダンディロール
15 ブレストロール
16 下層用ヘッドボックス
17a、17b、17c 多層用サクションボックス
18 抄紙網
19a、19b、19c ワイヤー用ロール
20 サクションクーチロール
21 トリガマーク
22 トリガセンサ
23 中層シート透明加工部
24 上層繊維マット
25 中層シート
26 下層繊維マット
27 下層窓あき加工部
28 下層ブロー位置
29 2層同期位置
30 3層同期位置
31 上層窓あき加工部
32 下層用抄紙円網
33 下層用クーチロール
34 毛布
35 上層用抄紙円網
36 上層用クーチロール
37 下層用原料槽
38 下層用原料配管
39 下層用原料
40 下層用ブローノズル
41 ロール状中層シート
42a、42b 中層シート繰り出し用ニップロール
43 トリガマーク
44 トリガセンサ
45a、45b 中層シート用ペーパロール
46 上層用原料槽
47 上層用原料配管
48 上層用原料
49 上層用ブローノズル
50 上層繊維マット
51 中層シート
52 下層繊維マット
53 下層窓あき加工部
54 上層窓あき加工部
55 中層シート透明加工部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下層繊維マット、中層シート及び上層繊維マットを有する多層紙に対し、前記下層繊維マットに下層窓あき加工部を施すと共に、前記上層繊維マットに上層窓あき加工部を施すための製造方法であって、
あらかじめ中層シートに形成された中層シート加工部と同期するように、前記中層シートにおける幅方向の片端又は両端に形成した位置検出用マークを位置検出手段によって順次検出し、検出した位置検出用マークの時間間隔を制御手段に送信して位置検出信号に変換し、
前記位置検出信号と、あらかじめ設定されている第1設定条件をもとに、前記制御手段によって、前記下層繊維マットに形成する下層窓あき加工部の窓あき加工時間及び窓あき加工間隔を算出し、
前記位置検出信号と、あらかじめ設定されている第2設定条件をもとに、前記制御手段によって、前記上層繊維マットに形成する上層窓あき加工部の窓あき加工時間及び窓あき加工間隔を算出し、
算出した前記下層窓あき加工部の窓あき加工時間及び窓あき加工間隔を、前記制御手段によって制御しながら下層用窓あき加工手段に供給すると共に、算出した前記上層窓あき加工部の窓あき加工時間及び窓あき加工間隔を前記制御手段によって制御しながら上層用窓あき加工手段に供給し、
前記下層用窓あき加工手段によって、前記下層繊維マットに対して前記下層窓あき加工部を施し、
前記上層用窓あき加工手段によって、前記上層繊維マットに対して前記上層窓あき加工部を施して、前記下層繊維マット及び前記上層繊維マットの両面に窓あき加工を施すことを特徴とする両面窓あきを有する多層紙の製造方法。
【請求項2】
前記第1設定条件は、前記位置検出用マークを検出した位置から前記下層繊維マットと前記中層シートを抄き合わす位置までの距離と、前記下層繊維マットに窓あき加工する位置から前記下層繊維マットと前記中層シートを抄き合わす位置までの距離と、抄紙機の抄速であることを特徴とする請求項1記載の両面窓あきを有する多層紙の製造方法。
【請求項3】
前記第2設定条件は、前記位置検出用マークを検出した位置から前記下層繊維マットと前記中層シートを抄き合わす位置までの距離と、前記下層繊維マットに窓あき加工される位置から前記下層繊維マットと前記中層シートを抄き合わす位置までの距離と、前記下層繊維マットと前記中層シートを抄き合わす位置から前記上層繊維マットに窓あき加工する位置までの距離と、抄紙機の抄速であることを特徴とする請求項1及び2記載の両面窓あきを有する多層紙の製造方法。
【請求項4】
下層繊維マット、中層シート及び上層繊維マットを有する多層紙に対し、前記下層繊維マットに下層窓あき加工部を施すと共に、前記上層繊維マットに上層窓あき加工部を施すための製造装置であって、
前記中層シートにあらかじめ形成されている中層シート加工部と同期するように、前記中層シートおける幅方向の片端又は両端に形成した位置検出用マークを検出する位置検出手段と、
検出された前記位置検出用マークを位置検出信号に変換し、前記位置検出信号と、あらかじめ設定されている第1設定条件をもとに、前記下層繊維マットに下層窓あき加工部を施すための窓あき加工時間及び窓あき加工間隔を算出し、前記位置検出信号と、あらかじめ設定されている第2設定条件をもとに、前記上層繊維マットに上層窓あき加工部を施すための窓あき加工時間及び窓あき加工間隔を算出する制御手段と、
前記制御手段によって算出された前記下層窓あき加工部を施すための窓あき加工時間及び窓あき加工間隔をもとに、前記下層繊維マットに前記下層窓あき加工部を施す、少なくとも一つの下層用窓あき加工手段と、
前記制御手段によって算出された前記上層窓あき加工部を施すための窓あき加工時間及び窓あき加工間隔をもとに、前記上層繊維マットに前記上層窓あき加工部を施す、少なくとも一つの上層用窓あき加工手段とを有することを特徴とする両面窓あきを有する多層紙の製造装置。
【請求項5】
前記位置検出手段は、長網抄紙機におけるロール状の中層シートを供給する位置から前記中層シートと前記下層繊維マットを抄き合わす位置までの間に、前記中層シートと接触しないように配置されていることを特徴とする請求項4記載の両面窓あきを有する多層紙の製造装置。
【請求項6】
前記下層用窓あき加工手段は、前記長網抄紙機における下層用スライスの抄紙下流側において、前記下層繊維マットと接触しないように配置されていることを特徴とする請求項4及び5記載の両面窓あきを有する多層紙の製造装置。
【請求項7】
前記上層用窓あき加工手段は、前記長網抄紙機における上層用スライスの抄紙下流側において、前記下層繊維マットと接触しないように配置されていることを特徴とする請求項4、5及び6記載の両面窓あきを有する多層紙の製造装置。
【請求項8】
前記位置検出手段は、円網抄紙機におけるロール状の中層シートを供給する位置から前記中層シートと前記下層繊維マットを抄き合わす位置までの間に、前記中層シートと接触しないように配置されていることを特徴とする請求項2記載の両面窓あきを有する多層紙の製造装置。
【請求項9】
前記下層用窓あき加工手段は、前記円網抄紙機における前記下層用抄紙円網と前記上層用抄紙円網の間に配置され、前記下層繊維マットと接触しないように配置されていることを特徴とする請求項4及び8記載の両面窓あきを有する多層紙の製造装置。
【請求項10】
前記上層用窓あき加工手段は、前記円網抄紙機における前記上層用抄紙円網の抄紙下流側に配置され、前記上層繊維マットと接触しないように配置されていることを特徴とする請求項4、8及び9記載の両面窓あきを有する多層紙の製造装置。
【請求項11】
上部紙層、中間層及び下部紙層の少なくとも3層から成る多層紙において、
前記上部紙層は、繊維から成り、前記上部紙層における所定の領域に窓あき加工部が形成されてなり、
前記中間層は、不織布から成り、
前記下部紙層は、繊維から成り、前記下部紙層における所定の領域に窓あき加工部が形成されて成ることを特徴とする両面窓あきを有する多層紙。
【請求項12】
前記上部紙層の窓あき加工部の領域上の一部に、前記下部紙層の窓あき加工部の領域を有していることを特徴とする請求項11記載の両面窓あき部を有する多層紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−13530(P2009−13530A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176819(P2007−176819)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】