説明

中央開き戸を有するエレベータのドア装置

【課題】この発明は、1つの戸閉検出スイッチにより中央開き戸の確実な戸閉を検出でき、かつケーブルの配線が簡易となる中央開き戸を有するエレベータのドア装置を得る。
【解決手段】取付台11が出入り口の上部のフレーム3に出入り口の間口方向に移動可能に配設され、戸閉検出用スイッチ20が取付台11に取り付けられている。緩衝ゴム14が、第2のかごドア6の閉動作時、全閉間近位置で取付台11に接するように第2のドアハンガ8に取り付けられ、カム12が、第1のかごドア5の閉動作時、全閉間近位置でローラ28に係合するように第1のドアハンガ7に取り付けられている。レバー26が、可動接点が固定接点に当接する閉成位置と可動接点が固定接点から離反する開成位置とをとるように軸25周りに回動可能にベース21に取り付けられている。さらに、レバー26が開成位置に位置するように押しばねがレバー26を付勢している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータのドア装置に関し、特に中央開き戸の戸閉検出用のスイッチ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の中央開き戸を有するエレベータのドア装置では、2枚のかごドアが上部に固定されたドアハンガのハンガローラをドアレールに掛けて吊設され、ドアレールに案内されてかご出入り口を開閉可能に配設され、戸閉スイッチが一方のかごドアの戸閉位置への到達を検出可能に配設されていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−321608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の中央開き戸を有するエレベータのドア装置では、戸閉スイッチにより一方のかごドアの戸閉のみを検出していたので、両かごドアを連結するベルトやチェーンなどの不具合で他方のかごドアが戸閉位置にいない状態でも、エレベータ制御装置が両かごドアが戸閉したと判断してしまうという問題があった。
【0005】
この不具合を解決するために、かごドアの戸閉位置への到達を検出する戸閉スイッチを各かごドアに設けることが考えられる。この場合、2つの戸閉スイッチが必要となり、コストアップしてしまうという問題がある。また、戸閉スイッチを構成する接点対を両かごドアに分けて取り付けることも考えられる。この場合、戸閉スイッチは1つですむが、左右に移動する両かごドアに取り付けられた接点から乗りかご側の戸閉検出回路までケーブルを取り回す必要があるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、1つの戸閉検出スイッチにより中央開き戸の戸閉を確実に検出でき、かつケーブルの配線が簡易となる中央開き戸を有するエレベータのドア装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置は、出入り口の上部の固定部材に該出入り口の間口方向に移動可能に配設された取付台と、上記取付台に固定され、固定接点、該固定接点に接離可能に配設された可動接点、および該可動接点を該固定接点に当接させる作動子を備えた戸閉検出用スイッチと、上記中央開き戸の一方の戸に取り付けられ、該一方の戸の閉動作時に、該一方の戸の全閉間近位置から上記取付台に接して全閉位置まで押圧移動させ、該一方の戸の全閉時に、該取付台の該一方の戸側への移動を阻止する全閉位置規定手段と、上記中央開き戸の他方の戸に取り付けられ、該他方の戸の閉動作時に、該他方の戸の全閉間近位置から全閉位置まで上記作動子に係合し、該他方の戸の閉方向の移動力を該作動子に伝達するカムと、を備え、上記作動子は、上記全閉位置規定手段により上記取付台の上記一方の戸側への移動を阻止されているときにのみ、該カムから伝達される上記他方の戸の閉方向の移動力により上記可動接点を上記固定接点に当接させるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、戸閉検出用スイッチが出入り口の上部の固定部材に出入り口の間口方向に移動可能に配設された取付台に取り付けられているので、固定接点および可動接点と戸閉検出回路とを接続するケーブルの配線が容易となる。また、作動子が、全閉位置規定手段により取付台の一方の戸側への移動を阻止されているときにのみ、カムから伝達される他方の戸の閉方向の移動力により可動接点を固定接点に当接させるように構成されているので、中央開き戸の両方の戸が閉状態のときにのみ可動接点が固定接点に当接する。そこで、1つの戸閉検出用スイッチで、中央開き戸の両方の戸が閉状態の場合のみを戸閉として検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置の戸閉状態を昇降路側から見た正面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエレベータの乗り場ドア装置の戸開状態を昇降路側から見た正面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置における戸閉検出用スイッチの動作を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置において第1のかごドアのみが全閉状態となっている状態を昇降路側から見た正面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置において第2のかごドアのみが全閉状態となっている状態を昇降路側から見た正面図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置の戸閉状態を昇降路側から見た正面図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係るエレベータの乗り場ドア装置の戸開状態を昇降路側から見た正面図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置において第1のかごドアのみが全閉状態となっている状態を昇降路側から見た正面図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置において第2のかごドアのみが全閉状態となっている状態を昇降路側から見た正面図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置における戸閉検出用スイッチの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のエレベータのドア装置の好適な実施の形態について図面を用いて説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置の戸閉状態を昇降路側から見た正面図、図2はこの発明の実施の形態1に係るエレベータの乗り場ドア装置の戸開状態を昇降路側から見た正面図、図3はこの発明の実施の形態1に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置における戸閉検出用スイッチの動作を説明する図であり、図3の(a)は閉成状態を示し、図3の(b)は開成状態を示している。図4はこの発明の実施の形態1に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置において第1のかごドアのみが全閉状態となっている状態を昇降路側から見た正面図、図5はこの発明の実施の形態1に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置において第2のかごドアのみが全閉状態となっている状態を昇降路側から見た正面図である。
【0012】
図1および図2において、ドア装置は、乗りかご1の出入り口2の昇降路側の上部に固定された固定部材としてのフレーム3と、出入り口2の間口方向に延在するようにフレーム3に固定されたドアレール4と、それぞれ第1および第2のドアハンガ7,8が上部に取り付けられ、第1および第2ドアハンガ7,8に取り付けられたハンガローラ9をドアレール4に掛けて吊設され、ドアレール4に案内されて左右にスライドして出入り口2を開閉する第1および第2のかごドア5,6と、ドアレール4の上方に、出入り口2の間口方向に延在するようにフレーム3に固定されたガイドレール10と、ガイドレール10に取り付けられて出入り口2の間口方向に往復移動可能に配設された取付台11と、取付台11に固定された戸閉検出用スイッチ20と、第1のドアハンガ7の戸当たり側に取り付けられ、第1のかごドア5が全閉位置に到達したときに戸閉検出用スイッチ20を閉成させるカム12と、第2のドアハンガ8の戸当たり側に支持腕13を介して取り付けられ、第2のかごドア6が全閉間近位置に到達したときに取付台11に接して戸閉検出用スイッチ20を閉方向に押圧する全閉位置規定手段としての緩衝ゴム14と、を備えている。
【0013】
戸閉検出用スイッチ20は、図3に示されるように、取付台11に固定状態に取り付けられるベース21と、ベース21に取り付けられた固定接点22と、可動接点23と、一端をベース21に取り付けられ、他端に取り付けられた可動接点23を固定接点22に当接させる弾性支持部材としての板ばね24と、ベース21に軸25周りに回動可能に取り付けられ、板ばね24に係合して可動接点23を固定接点22に接離させる作動腕26aを有し、板ばね24を弾性変形させて可動接点23を固定接点22から離反させる開成位置と板ばね24を復元させて可動接点23を固定接点22に接触させる閉成位置との間を移動可能に構成されたレバー26と、作動腕26aを開成位置に位置させるようにレバー26を付勢する付勢手段としての押しばね27と、レバー26に回転可能に取り付けられ、カム12と係合して作動腕26aを閉成位置に位置させるようにレバー26を軸25周りに回動させるローラ28と、押しばね7の付勢力により軸25周りに回動するレバー26に当接してレバー26の回動を停止させ、作動腕26aを開成位置に保持するストッパ29と、固定接点22および可動接点23と戸閉検出回路(図示せず)とを電気的に接続するケーブル30と、を備えている。
【0014】
ここで、板ばね24、レバー26、押しばね27、ローラ28から作動子を構成している。
【0015】
つぎに、戸閉検出用スイッチ20の動作を図3に基づいて説明する。
まず、ローラ28がカム12と係合していない状態では、図3の(b)に示されるように、押しばね27の付勢力が作動腕26aに作用し、レバー26が軸25周りに時計回りに回動する。そして、レバー26の回動により、作動腕26aが板ばね24を図3の(b)に示されるように、下方に押圧する。これにより、板ばね24が弾性変形し、可動接点23が固定接点22から離反し、接点が開成状態となる。そして、レバー26がストッパ29に当接し、レバー26の回動が阻止され、レバー26が開成位置に保持される。
ついで、図3の(b)において、ローラ28を上方に押し上げる力が作用すると、レバー26が軸25周りに反時計回りに回動する。これにより、図3の(a)に示されるように、作動腕26aが押しばね27の付勢力に抗して軸25周りに反時計回りに回動し、板ばね24が復元し、ついには可動接点23が固定接点22に当接し、接点が閉成状態となる。このレバー26の位置が閉成位置となる。
【0016】
ここで、取付台11は、戸閉検出用スイッチ20が取り付けられた際に、全閉間近位置の第2のかごドア6に取り付けられた緩衝ゴム14に接する位置と、開成状態の戸閉検出用スイッチ20のローラ28が全閉間近位置の第1のかごドア5に取り付けられたカム12に係合する位置との間を往復移動可能にガイドレール10に取り付けられる。そして、一対のストッパ15が取付台11に当接して取付台11のガイドレール10からの抜けを防止するように配設されている。
【0017】
つぎに、ドア装置の動作について説明する。
第1および第2のかごドア5,6は、ハンガローラ9をドアレール4に掛けて、ドアレール4に案内されて左右にスライド可能に配設されている。そして、図示していないが、ドア駆動モータの回転トルクがベルトやチェーンを介して第1および第2のかごドア5,6に伝達されるようになっている。
【0018】
ドア駆動モータが順方向に駆動されると、ドア駆動モータの回転トルクがベルトやチェーンを介して第1および第2のかごドア5,6に伝達される。そこで、第1および第2のかごドア5,6は、ハンガローラ9がドアレール4上を走行し、互いに離間する方向に移動し、図2に示されるように、戸開状態となる。戸開状態では、ローラ28がカム12と係合していないので、作動腕26aが押しばね27により押圧され、レバー26が軸25周りに開成位置まで回動され、ストッパ29がレバー26に当接し、戸閉検出用スイッチ20が開成状態に維持される。
【0019】
また、ドア駆動モータが逆方向に駆動されると、第1および第2のかごドア5,6は、互いに接近する方向に移動し、図1に示されるように、戸閉状態となる。このとき、第2のかごドア6が全閉間近位置まで移動すると、緩衝ゴム14が取付台11に接する。さらに、第2のかごドア6が全閉位置側に移動すると、取付台11がガイドレール10に案内されて第1のかごドア5側に移動する。一方、第1のかごドア5が全閉間近位置まで移動すると、カム12がローラ28に接する。さらに、第1のかごドア5が全閉位置側に移動すると、第1のかごドア5の閉方向の移動力がカム12およびローラ28を介してレバー26に作用する。
【0020】
そこで、取付台11の第1のかごドア5側への移動と、カム12の第2のかごドア6側への移動とにより、ローラ28がカム12により押し上げられ、レバー26が軸25周りに閉成位置側に回動する。そして、第1および第2のかごドア5,6が全閉状態となると、ローラ28がカム12に完全に乗り上げ、レバー26が閉成位置となる。これにより、可動接点23が固定接点22に押圧され、閉成状態となる。そこで、ケーブル30を介して戸閉検出用スイッチ20に接続されている戸閉検出回路(図示せず)に電流が流れ、第1および第2のかごドア5,6が全閉されていることが電気的な信号により確認され、エレベータの上下方向の運転が可能となる。
【0021】
ついで、ベルトやチェーンの不具合で第1のかごドア5のみが全閉状態となる場合について図4を参照しつつ説明する。
第1のかごドア5が全閉直前まで移動すると、カム12がローラ28に接する。さらに、第1のかごドア5が全閉位置側に移動すると、第1のかごドア5の閉方向の移動力がカム12およびローラ28を介してレバー26に伝達され、戸閉検出用スイッチ20と取付台11とがガイドレール10に案内されて第2のかごドア6側に移動する。このとき、第2のかごドア6が閉動作していないので、取付台11は緩衝ゴム14に当接しない。そこで、第1のかごドア5の閉方向の移動力は緩衝ゴム14で受けられず、レバー26を軸25周りに回動させるように作用せず、戸閉検出用スイッチ20を第2のかごドア6側に移動させるように作用する。これにより、第1のかごドア5が全閉位置まで移動しても、戸閉検出用スイッチ20は開成状態に維持される。そこで、ケーブル30を介して戸閉検出用スイッチ20に接続されている戸閉検出回路に電流が流れず、エレベータの上下方向の運転は不能となる。
【0022】
ついで、ベルトやチェーンの不具合で第2のかごドア6のみが全閉状態となる場合について図5を参照しつつ説明する。
第2のかごドア6が全閉直前まで移動すると、緩衝ゴム14が取付台11に接する。さらに、第2のかごドア6が全閉位置側に移動すると、第2のかごドア6の閉方向の移動力が緩衝ゴム14を介して取付台11に伝達され、戸閉検出用スイッチ20と取付台11とがガイドレール10に案内されて第1のかごドア5側に移動する。このとき、第1のかごドア5が閉動作していないので、ローラ28はカム12に当接しない。そこで、戸閉検出用スイッチ20と取付台11は、第2のかごドア6とともに第1のかごドア5側に移動する。これにより、第2のかごドア6が全閉位置まで移動しても、戸閉検出用スイッチ20は開成状態に維持される。そこで、ケーブル30を介して戸閉検出用スイッチ20に接続されている戸閉検出回路に電流が流れず、エレベータの上下方向の運転は不能となる。
【0023】
このように、この実施の形態1によれば、戸閉検出用スイッチ20が出入り口2の上部に固定されたフレーム3に配設された取付台11に取り付けられているので、固定接点22および可動接点23の接点と乗りかご1側の戸閉検出回路とを接続するケーブル30の配線が容易となる。
【0024】
取付台11がフレーム3に取り付けられたガイドレール10に案内されて間口方向に移動可能に配設されている。さらに、カム12が、第1のかごドア5の戸閉動作時に、全閉間近位置からローラ28に係合するように第1のかごドア5に取り付けられ、緩衝ゴム14が、第2のかごドア6の戸閉動作時に、全閉間近位置から取付台11に接するように第2のかごドア6に取り付けられている。
【0025】
そこで、カム12がローラ28と係合していない状態では、第2のかごドア6の閉方向の移動力が緩衝ゴム14を介して取付台11に作用すると、取付台11は第2のかごドア6の閉動作に連動してガイドレール10に案内されて第1のかごドア5側に移動し、戸閉検出用スイッチ20は開成状態に保持される。また、緩衝ゴム14が取付台11と係合していない状態では、第1のかごドア5の閉方向の移動力がカム12とローラ28を介してレバー26に作用すると、取付台11は第1のかごドア5の閉動作に連動してガイドレール10に案内されて第2のかごドア6側に移動し、戸閉検出用スイッチ20は開成状態に保持される。さらに、カム12がローラ28に係合し、かつ緩衝ゴム14が取付台11に接する状態では、第1および第2のかごドア5,6の閉方向の移動力が、押しばね27の付勢力に抗してレバー26を閉成位置側に軸25周りに回動させるように作用し、戸閉検出用スイッチ20が閉成状態となる。
【0026】
このように、戸閉検出用スイッチ20は、第1および第2のかごドア5,6の一方の戸のみが戸閉されても、戸閉を検出せず、第1および第2のかごドア5,6が共に戸閉されることで、戸閉を検知できる。
【0027】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置の戸閉状態を昇降路側から見た正面図、図7はこの発明の実施の形態2に係るエレベータの乗り場ドア装置の戸開状態を昇降路側から見た正面図、図8はこの発明の実施の形態2に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置において第1のかごドアのみが全閉状態となっている状態を昇降路側から見た正面図、図9はこの発明の実施の形態2に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置において第2のかごドアのみが全閉状態となっている状態を昇降路側から見た正面図である。
【0028】
図6および図7において、取付台退避位置決め部材としてのストッパ16が、取付台11に当接して、取付台11の第2のかごドア6の開方向の移動を、全閉間近位置の第2のかごドア6に取り付けられた緩衝ゴム14と接する位置(退避位置)で停止させるように配設されている。取付台付勢手段としての戻しばね17が、取付台11を第2のかごドア6の開方向に付勢して、取付台11をストッパ16に当接させるように配設されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0029】
つぎに、このように構成されたドア装置の動作について説明する。
ドア駆動モータが順方向に駆動されると、ドア駆動モータの回転トルクがベルトやチェーンを介して第1および第2のかごドア5,6に伝達される。そこで、第1および第2のかごドア5,6は、ハンガローラ9がドアレール4上を走行し、互いに離間する方向に移動し、図7に示されるように、戸開状態となる。戸開状態では、ローラ28がカム12と係合していないので、作動腕26aが押しばね27により押圧され、レバー26が軸25周りに開成位置まで回動され、ストッパ29がレバー26に当接し、戸閉検出用スイッチ20が開成状態に維持される。また、取付台11は、戻しばね17の付勢力によりストッパ16に当接され、退避位置に保持される。
【0030】
また、ドア駆動モータが逆方向に駆動されると、第1および第2のかごドア5,6は、互いに接近する方向に移動し、図6に示されるように、戸閉状態となる。このとき、第2のかごドア6が全閉間近位置まで移動すると、緩衝ゴム14が取付台11に接する。さらに、第2のかごドア6が全閉位置側に移動すると、取付台11が戻しばね17の付勢力に抗してガイドレール10に案内されて第1のかごドア5側に移動する。一方、第1のかごドア5が全閉間近位置まで移動すると、カム12がローラ28に接する。さらに、第1のかごドア5が全閉位置側に移動すると、第1のかごドア5の閉方向の移動力がカム12およびローラ28を介してレバー26に作用する。
【0031】
そこで、取付台11の第1のかごドア5側への移動と、カム12の第2のかごドア6側への移動とにより、ローラ28がカム12により押し上げられ、レバー26が軸25周りに閉成位置側に回動する。そして、第1および第2のかごドア5,6が全閉状態となると、ローラ28がカム12に完全に乗り上げ、レバー26が閉成位置となる。これにより、可動接点23が固定接点22に押圧され、閉成状態となる。そこで、ケーブル30を介して戸閉検出用スイッチ20に接続されている戸閉検出回路(図示せず)に電流が流れ、第1および第2のかごドア5,6が全閉されていることが電気的な信号により確認され、エレベータの上下方向の運転が可能となる。
【0032】
ついで、ベルトやチェーンの不具合で第1のかごドア5のみが全閉状態となる場合について図8を参照しつつ説明する。
第2のかごドア6が全閉間近位置まで移動していないと、取付台11は退避位置に保持される。そこで、第1のかごドア5が全閉位置まで移動しても、カム12がローラ28に係合せず、戸閉検出用スイッチ20は開成状態に維持される。そこで、ケーブル30を介して戸閉検出用スイッチ20に接続されている戸閉検出回路に電流が流れず、エレベータの上下方向の運転は不能となる。
【0033】
ついで、ベルトやチェーンの不具合で第2のかごドア6のみが全閉状態となる場合について図9を参照しつつ説明する。
第2のかごドア6が全閉間近位置まで移動すると、緩衝ゴム14が取付台11に接する。さらに、第2のかごドア6が全閉位置側に移動すると、第2のかごドア6の閉方向の移動力が緩衝ゴム14を介して取付台11に伝達され、戸閉検出用スイッチ20と取付台11とが、戻しばね17の付勢力に抗して、ガイドレール10に案内されて第1のかごドア5側に移動する。このとき、第1のかごドア5が閉動作していないので、ローラ28はカム12に当接しない。そこで、戸閉検出用スイッチ20と取付台11は、第2のかごドア6とともに第1のかごドア5側に移動する。これにより、第2のかごドア6が全閉位置まで移動しても、戸閉検出用スイッチ20は開成状態に維持される。そこで、ケーブル30を介して戸閉検出用スイッチ20に接続されている戸閉検出回路に電流が流れず、エレベータの上下方向の運転は不能となる。
【0034】
したがって、この実施の形態2においても、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
実施の形態2によれば、ストッパ16が、取付台11に当接して、取付台11の第2のかごドア6の開方向の移動を、全閉間近位置の第2のかごドア6に取り付けられた緩衝ゴム14と接する退避位置で停止させるように配設され、戻しばね17が取付台11を第2のかごドア6の開方向に付勢してストッパ16に当接させるように配設されているので、第2のかごドア6の緩衝ゴム14が係合していない状態では、取付台11が退避位置に保持される。そこで、乗りかご1の振動などにより、取付台11が移動して、ローラ28がカム12に乗り上げて戸閉検出用スイッチ20が閉成状態となるような誤検出が回避される。
【0035】
実施の形態3.
図10はこの発明の実施の形態3に係る中央開き戸を有するエレベータのドア装置における戸閉検出用スイッチの動作を説明する図であり、図10の(a)は閉成状態を示し、図10の(b)は開成状態を示している。
【0036】
図10において、板ばね24がその一端をレバー26の作動腕26aに取り付けられ、可動接点23が板ばね24の他端に取り付けられている。レバー26は、軸25周りに回動可能に取り付けられ、可動接点23を固定接点22から離反させる開成位置と板ばね24を弾性変形させて可動接点23を固定接点22に接触させる閉成位置との間を移動可能に構成され、押しばね27が作動腕26aを開成位置に位置するようにレバー26を付勢している。
尚、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0037】
このように構成された戸閉検出用スイッチ20Aの動作について説明する。
ローラ28がカム12と係合していない状態では、図10の(b)に示されるように、押しばね27の付勢力が作動腕26aに作用し、レバー26が軸25周りに時計回りに回動する。これにより、可動接点23が固定接点22から離反し、接点が開成状態となる。そして、レバー26がストッパ29に当接し、レバー26の回動が阻止され、レバー26が開成位置に保持される。
ついで、図10の(b)において、ローラ28を上方に押し上げる力が作用すると、レバー26が軸25周りに反時計回りに回動する。これにより、図10の(a)に示されるように、作動腕26aが押しばね27の付勢力に抗して軸25周りに反時計回りに回動し、ついには可動接点23が固定接点22に当接し、接点が閉成状態となる。そして、板ばね24が弾性変形し、板ばね24の復元力により、可動接点23が固定接点22に押圧され、閉成状態が保持される。このレバー26の位置が閉成位置となる。
【0038】
この実施の形態3では、戸閉検出用スイッチ20に代えて戸閉検出用スイッチ20Aを用いており、上記実施の形態1と同様に動作する。
したがって、この実施の形態3においても、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0039】
なお、上記各実施の形態では、2枚戸両引きのエレベータのドア装置に適用するものとしているが、中央開き戸を有していれば、引き戸の枚数は2枚に限定されるものではなく、例えば2速度両引きでもよい。この場合、引き戸の枚数は4枚となる。
また、上記各実施の形態では、かごドア装置に適用するものとしているが、乗り場ドア装置に適用しても、同様に効果を奏する。
【符号の説明】
【0040】
2 出入り口、3 フレーム(固定部材)、5 第1のかごドア、6 第2のかごドア、10 ガイドレール、11 取付台、12 カム、14 緩衝ゴム(全閉位置規定手段)、16 ストッパ(取付台退避位置決め部材)、17 戻しばね(取付台付勢手段)、20,20A 戸閉検出用スイッチ、21 ベース、22 固定接点、23 可動接点、24 板ばね(弾性支持部材)、25 軸、26 レバー、27 押しばね(付勢手段)、28 ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入り口を開閉する中央開き戸を有するエレベータのドア装置であって、
上記出入り口の上部の固定部材に該出入り口の間口方向に移動可能に配設された取付台と、
上記取付台に固定され、固定接点、該固定接点に接離可能に配設された可動接点、および該可動接点を該固定接点に当接させる作動子を備えた戸閉検出用スイッチと、
上記中央開き戸の一方の戸に取り付けられ、該一方の戸の閉動作時に、該一方の戸の全閉間近位置から上記取付台に接して全閉位置まで押圧移動させ、該一方の戸の全閉時に、該取付台の該一方の戸側への移動を阻止する全閉位置規定手段と、
上記中央開き戸の他方の戸に取り付けられ、該他方の戸の閉動作時に、該他方の戸の全閉間近位置から全閉位置まで上記作動子に係合し、該他方の戸の閉方向の移動力を該作動子に伝達するカムと、を備え、
上記作動子は、上記全閉位置規定手段により上記取付台の上記一方の戸側への移動を阻止されているときにのみ、該カムから伝達される上記他方の戸の閉方向の移動力により上記可動接点を上記固定接点に当接させるように構成されていることを特徴とする中央開き戸を有するエレベータのドア装置。
【請求項2】
上記作動子は、上記可動接点を支持し、該可動接点を上記固定接点に当接させるように配設された弾性支持部材と、軸周りに回動可能に、かつ一端側が上記弾性支持部材に係合可能に配設され、軸周りに一側に回動して該弾性支持部材を弾性変形させて上記可動接点が上記固定接点から離反する開成位置、および軸周りに他側に回動して該弾性支持部材を復元させて該可動接点が該固定接点に当接する閉成位置をとるレバーと、上記レバーを軸周りに一側に回動させる方向に付勢して該レバーを開成位置に保持する付勢手段と、上記レバーに取り付けられ、上記カムに係合して上記付勢手段の付勢力に抗して該レバーを軸周りに他側に回動させるローラと、を備えていることを特徴とする請求項1記載の中央開き戸を有するエレベータのドア装置。
【請求項3】
上記作動子は、上記可動接点が取り付けられ、かつ軸周りに回動可能に配設され、軸周りに一側に回動して該可動接点が上記固定接点から離反する開成位置、および軸周りに他側に回動して該可動接点が該固定接点に当接する閉成位置をとるレバーと、上記レバーを付勢して該レバーを開成位置に保持する付勢手段と、上記レバーに取り付けられ、上記カムに係合して上記付勢手段の付勢力に抗して該レバーを軸周りに他側に回動させるローラと、を備えていることを特徴とする請求項1記載の中央開き戸を有するエレベータのドア装置。
【請求項4】
上記取付台に当接して、該取付台の上記一方の戸の開動作方向の移動を該一方の戸の全閉間近位置の上記全閉位置規定手段が接する退避位置で停止させる取付台退避位置決め部材と、
上記取付台を上記一方の戸の開動作方向に付勢して上記取付台退避位置決め部材に当接させる取付台付勢手段と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の中央開き戸を有するエレベータのドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−1309(P2012−1309A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137553(P2010−137553)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】