説明

中栓付塗布ノズル

【課題】コーキング塗布ノズル硬化防止策。
【解決手段】容器排出口4に装着する固定中栓部材2に可動ノズル部材3を前後進摺動可能に被嵌した中栓付塗布ノズルであって、下部を容器排出口4に装着し、中部に雄螺子6を設けた筒体5の上端部に、筒体に連通する通過穴8を下部外周に設け、且つ上部に中栓9を設けた円錐形部を立設した固定中栓部材2と、下部に雌螺子11と上部内周に摺動部12を設けた筒体の上端部に円錐形塗布ノズル14を立設した可動ノズル部材3とを具備し、円錐形塗布ノズル14の外形は円錐形で且つ容易にナイフなどで切断できる程度の肉厚で形成した特徴と、中栓9に切断容易手段の環状溝15を複数設けたことを特徴とし、注出口開口部口径と形状が様々に切断されたコーキング材等の塗布ノズルをノズル内の中栓により栓をする中栓付塗布ノズル。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ又はカートリッジ型容器等に充填されたコーキング材の排出口に装着する中栓付塗布ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
排出口に装着する塗布ノズル内部でのコーキング材の硬化を防ぐ対策として容器あるいは塗布ノズル外側よりキャップ等を被せ外気を遮断して硬化防止対策を施したものがある(特開平9−255055、特開2004−308119、特開平8−207944、特開平10−277471、登録実用新案第3084482)、ノズル先端をゼリー状物質に浸漬して外気を遮断する方法もある(特開平9−234411)、また中栓付注出栓として注出キャップあるいは中栓を前後進して注出口の開閉を行うものもある(実開平06−054554、実開昭62−58355、実開平1−177156、特開2000−289765)、またテーパー形状のキャップを同じくテーパー形状の中栓体が当接することにより栓をするとともに円筒形注出部を切断して使用するものもある。(特開2006−224986)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コーキング材の塗布ノズルの外側よりキャップ等を被せ外気を遮断して硬化対策を施したものがあるが、塗布ノズルをキャップ等で被嵌することにより硬化時間は延びるがキャップ等が脱落することもあり、また別場所に保管をして紛失するおそれも多くなる。中栓付注出栓としては(実開平06−054554、実開平1−177156、特開2000−289765)に提案されているように、固定された中栓に注出キャップを前後進摺動可能に外嵌し、中栓が当接して注出口を塞ぐように形成してある、また(実開昭62−58355)は中栓が前後進することにより注出口に当接してこれを塞ぐように形成してある。上記構造の注出栓においては、注出口付近にある注出物質を中栓により吐出して栓をする事で容器内の物質を外気に晒すことが無いため、外気に触れる事で硬化を始めるシリコンコーキング材の注出栓として用いる事は非常に優れた利点がある。しかし注出ノズル開口部口径は当初より定まっており、また注出口外側形状はドーム状でも角型でも、また厚い肉厚でも栓をする機能には支障がないが、塗布ノズルとして狭い箇所あるいは入角等の多様な形状の工作物に直接ノズルを当接し塗布作業等をともなうコーキング作業には、注出口外側形状も狭い箇所の塗布作業等に適した形状が求められ、またコーキング作業を開始するのにあたり工作物等の形状を観察し、そのコーキング塗布作業に最も適合した注出ノズル開口部の口径と形状をその場所で切断して作る事が求められる。しかし提案されている注出口は薄い肉厚で開口部口径の大小及び直交切断、傾斜切断など作業要求に応じ多様な形状にナイフ等でその場で簡単に切断して使用するようには特定はされてなく、また注出口外形も同様に特定はされてなく塗布ノズルとして上述のコーキング作業等に使用するには非常に不便である。また(特開2006−224986)に提案されているノズルキャップの注出ノズル開口部口径は上述と同じく当初より定まっており注出口開口部口径を変える構成にはなっていない。
【0004】
一般的にコーキング材は塗布を行う建材等の色調に応じて様々な色があり、1本のコーキング材を使い切る事が稀であるためにどうしても使用中断したコーキング材が生じる、従来チューブ又はカートリッジ型容器に充填されたコーキング材の排出口に装着する円錐形塗布ノズルを使用して塗布する場合、途中で使用を中断し直ちに先端をノリ付きテープなどで封をした場合にも先端部のコーキング材から硬化が始まる、使用目的にあわせて円錐形塗布ノズル先端部寄りを切断すると注出口開口部口径は細くなり、基部寄りを切断するに従い注出口開口部口径は太くなってゆく、また斜めに切断する事も多くあり塗布ノズルの注出口開口部の形状がまちまちの為適切な栓が無く、夏季テープをしない状態ではシリコンコーキング材の場合は5時間程で塗布ノズル先端部のコーキング材が硬化するので仕方なくノリ付きテープなどで封をしていたが、これとて完全ではなく、外気温の高い夏では24時間程で塗布ノズル先端部のコーキング材は硬化し固形化する、塗布ノズル形状が筒型あるいは先広がりの筒型であれば固形化しても容器に押圧すれば容易に押し出されるが、塗布ノズル注出口部口径の大小を使用目的にあわせて切断使用出来るように塗布ノズルは先細りの円錐形をなしているために、先端より3mm程の固形化でもコーキング材カートリッジ容器に押圧しても、塗布ノズル先端から基部に向け円錐型に硬化したコーキング材が障害となりそのままではコーキング材は注出されない、このような場合コーキング材容器より塗布ノズルを外し、塗布ノズル先端より針金状の物を硬化した部分に差し込み、注出する時とは逆の方向に押し出し塗布ノズル入口の部分より硬化したコーキング材を取り除く、この時に固形化した小型のコーキング材がまだ硬化をしていないノズル基部付近のコーキング材に紛れるために塗布ノズル内のコーキング材すべてを取り除かなければならずコーキング材が粘着質のために手などに付着して非常に煩わしく、付着したコーキング材が他に付着するのを防止するためにティッシュペーパー等できれいに拭き取らなければならず作業能率が著しく悪い。
【0005】
本発明は、コーキング作業等などに用いる注出口開口部の口径を細くあるいは太くなど任意の口径で直交切断傾斜切断等の作業要求に応じ多様な形状に切断して使用する円錐形塗布ノズルの、上述したキャップが紛失する恐れがあるキャップを被せる方式や、ノリ付きテープで封をしても確実に硬化防止ができないなどの塗布ノズルの従来技術の硬化防止策の問題点に鑑みて、多様な形状に切断した塗布ノズル使用後の操作も簡単であるとともに優れた硬化防止策の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
素材はポリプロピレンなどシリコンコーキング材等が接着しない材料の使用が好ましい、容器排出口に装着する固定中栓部材に可動ノズル部材を液密に前後進摺動可能に被嵌した中栓付塗布ノズルであって、下部を容器排出口に装着し、中部に雄螺子を設けた筒体の上端部に、前記筒体に連通する通過穴を下部外周に設け、且つ上部に中栓を設けた円錐形部を立設した固定中栓部材と、下部に雌螺子と上部内周に摺動部を設けた筒体の上端部に円錐形塗布ノズルを立設した可動ノズル部材とを具備し、前記円錐形塗布ノズルは外形も円錐形をなし、且つ容易にナイフなどで切断できる程度の肉厚で形成したことを特徴とする中栓付塗布ノズルとして構成した。
【0007】
また中栓外周に切断容易手段の環状溝を設けたことを特徴とする中栓付塗布ノズルとして構成した。
【発明の効果】
【0008】
例えばコーキング材として非常に便利でどこのホームセンター等でも販売をしているシリコンコーキング材は、塗布ノズルは付属しているが、開封すると直ちに硬化を始めるにもかかわらず蓋あるいは栓は付属してはいない。これは既述したように塗布ノズルの口径と形状が使用目的に合わせて様々な為適切な栓が無いことが原因のひとつと思われる。本発明の中栓付塗布ノズルは、注出口開口部口径を細くあるいは太くなど任意の口径で直交切断傾斜切断等多様な形状にナイフ等で切断して使用する円錐形塗布ノズルを、可動ノズル部材の前後進摺動のみで栓をして塗布ノズル内部のコーキング材の硬化防止ができる。また栓とノズルが一体化しているため、キャップ等を被せて硬化防止を図る方式でのキャップを紛失することもなく、またノリ付きテープで封をするよりも密封度が格段に高いため、より確実に硬化防止ができる他、既述した中栓付注出栓において注出口付近にある注出物質を中栓により吐出して栓をする事で容器内の物質を外気に晒すことが無いという中栓の優れた利点も生かすことにより、簡単な取り扱い操作で確実な硬化防止策を実現できる。
【0009】
除去清掃の煩わしさがないために再び作業を開始するのが容易である。
【0010】
また中栓の全長を円錐形塗布ノズル注出口開口部口径の大小に合わせ短く切断することで、コーキング材が中栓と円錐形塗布ノズルとの狭い間隙部を通過する距離が短くなり注出に加える力が軽減できるが、中栓の切断断面積を少なくする環状溝を設けることによりその切断作業が容易になる。
【0011】
また栓をすることを忘れてコーキング材が塗布ノズル内部で硬化をした場合に可動ノズル部材を螺動し強制的に前進させることにより固定中栓部材と可動ノズル部材が分離して硬化したコーキング材の内容物を除去することが極めて容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
つぎに本発明の実施例の形態を図示に基づいて説明する。
【0013】
本発明の中栓付塗布ノズルは容器1の排出口4に装着するもので、固定中栓部材2と可動ノズル部材3を備え、素材はポリプロピレンなどシリコンコーキング材が接着しないとともに、ナイフなどで簡単に切断できる素材で形成されるのが好ましい。
【0014】
図2で示される固定中栓部材2は、下部を容器1の排出口4に装着するとともに中部外周に雄螺子6を設けた筒体5の上端部に、下部に通過穴8を設け、上部に中栓支持柱24に支持された複数の環状溝15を備える中栓9を設けた円錐形部10を立設した構成にしている。
【0015】
図1他に示される可動ノズル部材3は、下部に雌螺子11を設け上部内周に摺動部12を設けた筒体13の上端部に円錐形塗布ノズル14を有する。その可動ノズル部材3を固定中栓部材2に、液密に前後進摺動可能に被嵌し、円錐形塗布ノズル14の外形は円錐形をなし、且つ容易にナイフなどで切断できる0.2mmから5mm程度の肉厚で形成すると好ましい。 図1は上述した部材を組み立てた縦断面図である。
【0016】
中栓9は切断容易手段として図2他に示されるように環状溝15を複数設ける仕様、あるいは図7、図8に図示されるように切断容易手段としては中空部16を設けてもよい、また切断容易手段の環状溝15や中空部16を設けない円錐形の中栓でもよい、チューブあるいはカートリッジの排出口4と固定中栓部材2は一体で形成されてもよい。
【0017】
図1は初期使用前のチューブ又はカートリッジ容器に装着された中栓付塗布ノズルを示している。次に図3から図6に基づいて説明をする。中栓9が栓として機能する目印手段の切断目印環状突部17より先端部寄りを中栓9及び円錐形塗布ノズル14を図3図5に一例を示す任意の形状等に使用目的にあわせてナイフ等で直交切断あるいは傾斜切断等開口する。この時に円錐形塗布ノズル14の先端部寄りを切断すると図5に図示される様に注出口開口部口径は細く、円錐形塗布ノズル14基部寄りでは図3に図示される様に太くなる。次に固定中栓部材回転防止凸部18を指で固定し可動ノズル部材3を螺動前進させ、厚肉部19が環状突部20に達して厚肉の為に拡張しづらくなり螺動前進が容易でなくなる時に螺動前進を停止させる。図4図6は上述の螺動前進を停止した図である。
【0018】
次にコーキング材が充填されたチューブ又はカートリッジ容器を押圧することにより、容器排出口より排出されたコーキング材は、筒体5と通過穴8及び間隙部21を通過し注出口開口部22より注出される、この時に上述の螺動前進により厚肉部19は環状突部20を強く締め付けている状態であるために、間隙部21内の圧力が高まる押圧時に螺子部への逆流は阻止され、且つ可動ノズル部材3のぐら付きも防止される、次に直接工作物等にあてがいコーキング材のコーキング作業を行う。
【0019】
作業終了後可動部ノズル材3を螺動後進すると、間隙部21および中栓切断部23と注出口開口部22に残置されたコーキング材は押し出され同時に栓がされる。次回使用時は可動ノズル部材3を螺動前進することによりコーキング材のコーキング作業を再び行える。
【0020】
可動ノズル部材3の栓を締め忘れ円錐形塗布ノズル内部でコーキング材が硬化したときに分解をするには、可動ノズル部材3の厚肉部19が環状突部20に達し螺動前進が容易でなくなるとき強制的にさらに螺動前進させて可動ノズル部材3を固定中栓部材2より分離させ円錐形塗布ノズル内部のコーキング材を除去する。
【0021】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は図示したもののみに限定されるものではなく、円錐形塗布ノズル外形は円錐形に限られず容易にナイフなどで切断できる程度の肉厚で形成した多角錐形でも、また可動ノズル部材の前後進摺動は螺動に限られず直線的前後進摺動でも適用が可能であり、また注出物質はコーキング材に限らず接着剤等でも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 本発明の中栓付塗布ノズルの注出部の切断前縦断面図
【図2】 固定中栓部材の正面図と平面図
【図3】 中栓付塗布ノズルの注出口開口部口径を太く切断後の断面図
【図4】 中栓付コーキング塗布ノズルの注出口開口部口径を太く切断後の使用状態断面図
【図5】 中栓付塗布ノズルの注出口開口部口径を細く切断後断面図
【図6】 中栓付塗布ノズルの注出口開口部口径を細く切断後の使用状態断面図
【図7】 中栓付塗布ノズルの注出口開口部を切断後の中栓中空仕様の断面図
【図8】 中栓付塗布ノズルの注出口開口部を切断後の使用状態の中栓中空仕様の断面図
【符号の説明】
【0020】
1…チューブ又はカートリッジ型容器 4…排出口
21…間隙部
固定中栓部
2…固定中栓部材 5…筒体
6…雄螺子 8…通過穴
9…中栓 10…円錐形部
15…環状 16…中空部
18…固定部材回転防止凸部 20…環状突部
23…中栓切断部 24…中栓支持柱
可動ノズル部
3…可動ノズル部材 11…雌螺子
12…摺動部 13…筒体
14…円錐形塗布ノズル 17…切断目印環状突部
19…厚肉部 22…注出口開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器排出口に装着する固定中栓部材に可動ノズル部材を液密に前後進摺動可能に被嵌した中栓付塗布ノズルであって、下部を容器排出口に装着し、中部に雄螺子を設けた筒体の上端部に、前記筒体に連通する通過穴を下部外周に設け、且つ上部に中栓を設けた円錐形部を立設した固定中栓部材と、下部に雌螺子と上部内周に摺動部を設けた筒体の上端部に円錐形塗布ノズルを立設した可動ノズル部材とを具備し、前記円錐形塗布ノズルは外形も円錐形状をなし、且つ容易にナイフなどで切断できる程度の肉厚で形成したことを特徴とする中栓付塗布ノズル。
【請求項2】
前記中栓の外周に切断容易手段の環状溝を設けたことを特徴とする請求項1記載の中栓付塗布ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−125742(P2009−125742A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326525(P2007−326525)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(507414269)
【Fターム(参考)】