説明

中空ガイド軸体ユニット、空気紡績装置及び紡績機

【課題】中空ガイド軸体の位置決めをスムーズに行えるとともに、当該中空ガイド軸体の交換の作業性を向上できる空気紡績装置を提供する。
【解決手段】紡績装置9が備えるスピンドルユニット35は、スピンドル24と、ホルダ本体152と、ロック部材153と、バネ部183と、を備える。スピンドル24は、撚られた繊維束が挿入される先端部30と、前記先端部30から挿入された繊維束が通過する繊維通路85と、を有する。ホルダ本体152は、スピンドル24を支持する。ロック部材153は、スピンドル24をホルダ本体152に対して機械的に連結する。バネ部183は、スピンドル24がロック部材153によりホルダ本体152に対して機械的に連結された状態で、当該スピンドル24の先端部30が移動できる範囲である可動範囲において当該先端部30を一側に変位させるように、スピンドル24に作用させる力を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、空気流の作用により繊維束を撚って紡績糸を生成する空気紡績装置において用いられる中空ガイド軸体ユニットの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、この種の空気紡績装置を開示する。この特許文献1の空気紡績装置は、ドラフト装置から送り出されてくるスライバを中空スピンドル(中空ガイド軸体)に導入し、旋回空気流を作用させることで紡績糸を製造する構成となっている。特許文献1の空気紡績装置は、旋回空気流を発生させるための空気噴射孔が穿設されたノズルを備えており、中空スピンドルは、その先端を前記ノズル内に挿入した状態で、スピンドルユニットのフレームに非回転状態に取り付けられている。中空スピンドルのスピンドルユニットに対する固定にあたっては、ボルト等の適当な固着具が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−126924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような空気紡績装置において、生成される紡績糸の品質を向上させるには、中空スピンドルを正確な位置に配置することが重要である。一方で、空気紡績装置では、多種類の糸を製造できるようにするために、中空スピンドルを交換可能にしたいというニーズがある。
【0005】
しかし、上記特許文献1の構成では、中空スピンドルは固着具で単純に固定されていた。従って、中空スピンドルの位置決めの容易さ、及び、中空スピンドルの交換の容易さを実現することが難しく、この点で改善の余地が残されていた。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、中空ガイド軸体の位置決めをスムーズに行えるとともに、当該中空ガイド軸体の交換の作業性を向上できる空気紡績装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の中空ガイド軸体ユニットが提供される。即ち、この中空ガイド軸体ユニットは、中空ガイド軸体と、ベース部と、連結部と、変位力発生部と、を備える。前記中空ガイド軸体は、撚られた繊維束が挿入される先端部と、前記先端部から挿入された前記繊維束が通過する繊維束通過路と、を有する。前記ベース部は、前記中空ガイド軸体を支持する。前記連結部は、前記中空ガイド軸体を前記ベース部に対して機械的に連結できるように構成されている。前記変位力発生部は、前記中空ガイド軸体が前記連結部により前記ベース部に対して機械的に連結された状態で、当該中空ガイド軸体の先端部が移動できる範囲である可動範囲において当該先端部を一側に変位させるように、前記中空ガイド軸体に作用させる力を発生させる。
【0009】
これにより、連結部によって中空ガイド軸体をベース部に対して機械的に連結し、この状態で、中空ガイド軸体の先端部の位置が移動の自由度をある程度持った状態でベース部により中空ガイド軸体を保持することができる。従って、上記の機械的な連結状態を解除せずに、中空ガイド軸体の先端部を改めて高精度に位置決めして、紡績される糸の品質を向上させることができる。また、上記の高精度な位置決めが行われない状態でも、中空ガイド軸体の先端部が可動範囲内で一側に変位するように変位力発生部の力が加えられているので、例えば小さな振動の影響で中空ガイド軸体の先端部の位置が大きく振られることがない。従って、中空ガイド軸体の先端部の過剰なバタつきを防ぐことができ、メンテナンス時の作業性を向上させることができる。
【0010】
前記の中空ガイド軸体ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記中空ガイド軸体が前記連結部により前記ベース部に対して機械的に連結された状態で、前記中空ガイド軸体の周囲には遊びが形成されている。前記遊びにより、前記中空ガイド軸体の前記先端部が移動可能になっている。
【0011】
これにより、遊びを設ける簡単な構成により、中空ガイド軸体の先端部を移動可能にすることができる。
【0012】
前記の中空ガイド軸体ユニットにおいては、前記変位力発生部は、弾性復元力を発生させる弾性体であることが好ましい。
【0013】
これにより、弾性体による安定した力で、中空ガイド軸体の先端部を一側に変位させることができる。従って、中空ガイド軸体の先端部の位置を確実に安定させることができる。
【0014】
前記の中空ガイド軸体ユニットにおいては、前記中空ガイド軸体と前記ベース部との間に、前記中空ガイド軸体の移動に抗する力を発生させる移動制限部を備えることが好ましい。
【0015】
これにより、中空ガイド軸体の動きを移動制限部により制限できるので、中空ガイド軸体の先端部の位置を確実に安定させることができる。
【0016】
前記の中空ガイド軸体ユニットにおいては、前記移動制限部は、弾性変形可能な部材として構成されていることが好ましい。
【0017】
これにより、中空ガイド軸体が例えば振動等の影響で移動しようとした場合でも、その勢いを移動制限部の弾性変形により吸収できる。この結果、中空ガイド軸体の先端部の位置を確実に安定させることができる。
【0018】
前記の中空ガイド軸体ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記移動制限部は、第1制限部と、第2制限部と、を有している。前記第1制限部は、前記中空ガイド軸体の前記繊維束通過路に略直交する方向の移動を制限する。前記第2制限部は、前記中空ガイド軸体の前記繊維束通過路に略平行な方向の移動を制限する。
【0019】
これにより、中空ガイド軸体の過剰なバタつきを効果的に防止することができる。
【0020】
前記の中空ガイド軸体ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1制限部及び前記第2制限部は、前記ベース部に対して接触可能に設けられている。前記移動制限部は、前記ベース部との間に空隙が形成されるように構成された凹部を有している。前記中空ガイド軸体及び前記移動制限部は、前記ベース部に対して着脱可能に設けられている。
【0021】
これにより、移動制限部とベース部との間の接触面積を凹部の分だけ減らすことができるので、移動制限部をベース部に対して容易に着脱することができる。
【0022】
前記の中空ガイド軸体ユニットにおいては、前記移動制限部は、前記中空ガイド軸体の外周面の全周にわたって設けられていることが好ましい。
【0023】
これにより、中空ガイド軸体の径方向のバタつきを良好かつ確実に抑制することができる。
【0024】
前記の中空ガイド軸体ユニットにおいては、前記中空ガイド軸体が前記連結部により前記ベース部に対して機械的に連結された状態をワンアクションで解除可能にするための連結解除操作部を備えることが好ましい。
【0025】
これにより、ワンアクションの簡単な操作により、中空ガイド軸体をベース部から取り外すことができる。
【0026】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の空気紡績装置が提供される。即ち、この空気紡績装置は、前記中空ガイド軸体ユニットと、繊維案内部と、支持部と、位置決め部と、ノズル部材と、を備える。前記繊維案内部は、前記中空ガイド軸体に対向するように配置されて、前記繊維束通過路に前記繊維束を案内する。前記支持部は、前記繊維案内部及び前記中空ガイド軸体のうち少なくとも何れか一方を支持するとともに、前記繊維案内部に対して前記中空ガイド軸体が近づいた第1状態と、前記繊維案内部に対して前記中空ガイド軸体が離れた第2状態と、を切換可能にする。前記位置決め部は、前記第1状態における前記中空ガイド軸体の前記先端部を前記繊維案内部に対して位置決めする。前記ノズル部材は、前記第1状態において前記中空ガイド軸体との間で紡績室を形成するとともに、前記紡績室内に開口する1つ以上のノズル孔から圧縮空気を噴射して、前記繊維束に作用させる旋回気流を前記紡績室内に発生させる。
【0027】
これにより、第2状態では、中空ガイド軸体の先端部の位置が移動の自由度をある程度持った状態でベース部は中空ガイド軸体を保持することができる。一方で、第1状態では、位置決め部により、中空ガイド軸体の先端部を繊維案内部に対して精度良く位置決めして、空気紡績装置により紡績される糸の品質を向上させることができる。
【0028】
前記の空気紡績装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記支持部は、前記中空ガイド軸体が前記繊維案内部に対して円弧状の軌跡を描くように前記中空ガイド軸体と前記繊維案内部の少なくとも何れか一方を移動させることで、前記第1状態と前記第2状態とを切り換えるように構成されている。前記変位力発生部は、前記中空ガイド軸体の前記先端部を、前記可動範囲内において前記円弧状の軌跡の中心に近づく側に変位させるように、当該中空ガイド軸体に加えられる力を発生させる。
【0029】
これにより、第1状態と第2状態との間の切換時において中空ガイド軸体が繊維案内部に対して円弧状の軌跡で移動するのに伴い、当該中空ガイド軸体の先端部を他の部材に干渉することなくスムーズに移動させることができる。
【0030】
前記の空気紡績装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ベース部は、前記中空ガイド軸体を基端部側から所定の傾斜角度で支持する支持面を備えている。前記ベース部は、前記支持面の傾斜角度が異なる他のベース部と交換可能に構成されている。
【0031】
これにより、空気紡績装置において要求される中空ガイド軸体の様々なレイアウトを容易に実現することができる。
【0032】
本発明の第3の観点によれば、以下の構成の空気紡績装置が提供される。即ち、この空気紡績装置は、中空ガイド軸体ユニットと、ノズル部材と、を備える。前記中空ガイド軸体ユニットは、中空ガイド軸体と、ベース部と、連結部と、連結解除操作部と、変位力発生部と、移動制限部と、を備える。前記中空ガイド軸体は、撚られた繊維束が挿入される先端部と、前記先端部から挿入された前記繊維束が通過する繊維束通過路と、を有する。前記ベース部は、前記中空ガイド軸体を支持する。前記連結部は、前記中空ガイド軸体を前記ベース部に対して機械的に連結する。前記連結解除操作部は、前記中空ガイド軸体が前記連結部により前記ベース部に対して機械的に連結された状態をワンアクションで解除可能にする。前記変位力発生部は、前記中空ガイド軸体が前記連結部により前記ベース部に対して機械的に連結された状態で、当該中空ガイド軸体の先端部が移動できる範囲である可動範囲において当該先端部を一側に変位させるように、前記中空ガイド軸体に作用させる力を発生させる弾性体である。前記移動制限部は、前記中空ガイド軸体と前記ベース部との間に配置されるとともに前記中空ガイド軸体の外周面の全周にわたって設けられ、前記中空ガイド軸体の移動に抗する力を発生させる弾性変形可能な部材である。前記ノズル部材は、前記中空ガイド軸体ユニットが備える前記中空ガイド軸体との間で紡績室を形成するとともに、前記紡績室内に開口する1つ以上のノズル孔から圧縮空気を噴射して、前記繊維束に作用させる旋回気流を前記紡績室内に発生させる。
【0033】
これにより、連結部によって中空ガイド軸体をベース部に対して機械的に連結し、この状態で、中空ガイド軸体の先端部の位置が移動の自由度をある程度持った状態でベース部により中空ガイド軸体を保持することができる。従って、上記の機械的な連結状態を解除せずに、中空ガイド軸体の先端部を改めて高精度に位置決めして、空気紡績装置により紡績される糸の品質を向上させることができる。また、上記の高精度な位置決めが行われない状態でも、中空ガイド軸体の先端部が可動範囲内で一側に変位するように変位力発生部の弾性力が安定して加えられているので、例えば小さな振動の影響で中空ガイド軸体の先端部の位置が大きく振られることがない。更に、中空ガイド軸体の径方向の移動は、移動制限部の弾性変形によっても良好かつ確実に抑制される。従って、中空ガイド軸体の先端部の過剰なバタつきを防ぐことができ、メンテナンス時の作業性を向上させることができる。更には、連結解除操作部をワンアクションで操作することで、中空ガイド軸体をベース部から容易に取り外すことができる。
【0034】
本発明の第4の観点によれば、以下の構成の紡績機が提供される。即ち、この紡績機は、前記の空気紡績装置と、巻取部と、を備える。前記巻取部は、前記空気紡績装置により紡績された紡績糸をパッケージに巻き取る。
【0035】
これにより、中空ガイド軸体の交換作業が簡単で、品質の高い糸が得られる紡績機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る精紡機の全体的な構成を示す正面図。
【図2】精紡機の縦断面図。
【図3】紡績装置においてスピンドルをニードルホルダに近接させた状態で位置決めした通常状態を示す断面図。
【図4】スピンドルと当該スピンドルを支持する構成を示す断面斜視図。
【図5】スピンドルをニードルホルダから離したメンテナンス状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、本発明の一実施形態に係る繊維機械としての精紡機(紡績機)について、図面を参照して説明する。なお、本明細書において「上流」及び「下流」とは、紡績時での糸又は繊維の走行方向における上流及び下流を意味するものとする。図1は、本発明の一実施形態に係る精紡機1の全体的な構成を示した正面図である。図2は、精紡機1の縦断面図である。
【0038】
図1に示す繊維機械としての精紡機1は、直線状に並べて設置された多数の紡績ユニット(糸処理ユニット)2と、機台制御装置60と、糸継台車3と、ブロアボックス4と、原動機ボックス5と、を備えている。
【0039】
紡績ユニット2は、供給されたスライバ15に対して紡績を行い、紡績糸10を巻いたパッケージ45を形成する。図1に示すように、それぞれの紡績ユニット2は、上流から下流へ向かって順に配置された、ドラフト装置7と、紡績装置(空気紡績装置)9と、糸弛み取り装置12と、巻取装置(巻取部)13と、を主要な構成として備えている。
【0040】
ドラフト装置7は、精紡機1が備えるフレーム6の上端近傍に設けられている。このドラフト装置7は、複数のローラの回転により、スライバ15を細く引き伸ばして繊維束8にするように構成されている。紡績装置9は、ドラフト装置7から送られてくる繊維束8に旋回気流を作用させることで撚りを加え、紡績を行う。紡績装置9で生成された紡績糸10は、紡績糸10の欠陥を検出するためのヤーンクリアラ52を通過した後、糸弛み取り装置12に送られる。糸弛み取り装置12を通過した紡績糸10は巻取装置13によって巻き取られ、パッケージ45を形成する。なお、紡績ユニット2の詳細な構成については後述する。
【0041】
機台制御装置60は、精紡機1が備える各構成を集中的に管理するためのものであって、ディスプレイ61と操作部62とを備える。オペレータは、各紡績ユニット2の状態をディスプレイ61により確認したり、操作部62の操作により一部あるいは全部の紡績ユニット2に対して紡績パラメータの変更を指示したりすることができる。また、機台制御装置60は、紡績ユニット2以外にも、例えば糸継台車3やブロアボックス4等の制御及び管理を行うことができるように構成されている。
【0042】
糸継台車3は、スプライサ(糸継装置)43と、サクションパイプ44と、サクションマウス46と、を備えている。また、精紡機1は図示しないレールを備えており、糸継台車3は当該レールに沿って、紡績ユニット2が並べられる方向と平行な向きに移動することができる。この構成で、ある紡績ユニット2で紡績中に糸切れや糸切断が発生すると、糸継台車3は当該紡績ユニット2まで走行してその位置で停止する。そして、糸継台車3は、サクションパイプ44で紡績装置9側の糸端を捕捉するとともにサクションマウス46で巻取装置13側の糸端を捕捉し、サクションパイプ44及びサクションマウス46をそれぞれ回動させることで、捕捉した紡績装置9側の糸端と巻取装置13側の糸端をスプライサ43に案内する。スプライサ43に案内された紡績装置9側の糸端及び巻取装置13側の糸端は、当該スプライサ43によって糸継ぎされる。これによって、紡績装置9側の糸端と巻取装置13側の糸端とが繋げられるので、紡績ユニット2は巻取作業を再開することができる。
【0043】
ブロアボックス4には、図示しない負圧源としてのブロアが配置されている。このブロアは、図示しないダクトを通じて各紡績ユニット2に接続されており、紡績ユニット2で発生する糸屑や風綿等を吸引して除去することができるようになっている。
【0044】
原動機ボックス5には、並べて配置される複数の紡績ユニット2において共通の駆動源とされる電動モータが配置される。この電動モータが発生させる動力は、例えば、ドラフト装置7の一部のローラを駆動したり、巻取装置13における後述のトラバースロッド77を駆動したりするのに用いられる。
【0045】
また、精紡機1は、満巻きとなったパッケージ45を玉揚げするための玉揚台車(図面において省略)を備えている。この玉揚台車は、糸継台車3とは独立に走行可能に構成されている。
【0046】
次に、紡績ユニット2について詳細に説明する。上述したように、紡績ユニット2は、ドラフト装置7と、紡績装置9と、糸弛み取り装置12と、巻取装置13と、を備える。
【0047】
ドラフト装置7は、図2に示すように、バックローラ対16、サードローラ対17、エプロンベルト18が取り付けられたミドルローラ対19、及びフロントローラ対20の4対のローラを備えている。これらのローラは、原動機ボックス5からの動力、又はそれぞれの紡績ユニット2に設置された図示しない電動モータの動力により駆動される。それぞれのローラ対は回転速度を異ならせて駆動され、この結果、上流側から供給されたスライバ15を引き伸ばして繊維束8にし、下流側の紡績装置9に送ることができる。
【0048】
紡績装置9はいわゆる空気紡績装置として構成されており、繊維束8の経路の周囲に配置された旋回流発生ノズルを備えている。この構成で、旋回流発生ノズルから圧縮空気を吹き付けることで繊維束8の周囲に旋回気流を発生させ、これにより繊維束8に撚りを加えて、紡績糸10を高速で生成することができる。なお、紡績装置9の詳細な構成については後述する。
【0049】
紡績装置9の若干下流側の位置にはヤーンクリアラ52が設けられており、紡績装置9で紡出された紡績糸10は、糸弛み取り装置12に巻き取られる前に前記ヤーンクリアラ52を通過するように構成されている。ヤーンクリアラ52は、走行する紡績糸10の太さを監視することで、紡績糸10の糸欠点を検出することができる。また、ヤーンクリアラ52の近傍には、当該ヤーンクリアラ52が糸欠点を検出したときに紡績糸10を切断するためのカッタ57が設けられている。
【0050】
糸弛み取り装置12は、紡績装置9と巻取装置13との間の紡績糸10の弛みを除去し、紡績糸10に適切な張力を付与できるように構成されている。前記糸弛み取り装置12は、弛み取りローラ21と、糸掛け部材22と、を主に備えている。糸弛み取り装置12の詳細な構成については説明を省略するが、前記弛み取りローラ21の外周に紡績糸10を巻き付けて貯留し、貯留した紡績糸10をバッファとして機能させることで、紡績糸10の張力の変動を吸収して紡績糸10の弛みを防止するものである。
【0051】
巻取装置13は、クレードルアーム71と、巻取ドラム72と、トラバース装置75と、を備えている。
【0052】
クレードルアーム71は、支軸70のまわりに揺動可能に支持されている。このクレードルアーム71は、紡績糸10を巻き取るためのボビンを回転可能に支持することができる。前記巻取ドラム72は、前記ボビンやそれに紡績糸10を巻き取って形成されるパッケージ45の外周面に接触して駆動できるように構成されている。トラバース装置75は、紡績糸10を引っ掛けることが可能なトラバースガイド76を備えている。このトラバースガイド76は、複数の紡績ユニット2に跨って水平に配置されるトラバースロッド77に固定されている。この構成で、トラバースロッド77を往復動させながら巻取ドラム72を図略の電動モータによって駆動することで、巻取ドラム72に接触するパッケージ45を回転させ、紡績糸10を綾振りしつつ巻き取ることができる。
【0053】
次に、図3から図5までを参照して、紡績装置9の構成について詳細に説明する。図3は、紡績装置9においてスピンドル24をニードルホルダ25に近接させた状態で位置決めした通常状態を示す断面図である。図4は、スピンドル24と当該スピンドル24を支持する構成を示す断面斜視図である。図5は、スピンドル24をニードルホルダ25から離したメンテナンス状態を示す断面図である。
【0054】
図3に示すように、本実施形態の紡績装置9は、紡績ノズル23と、スピンドルユニット(中空ガイド軸体ユニット)35と、を主要な構成として備えている。
【0055】
紡績ノズル23は、ニードルホルダ(繊維案内部)25と、このニードルホルダ25が取り付けられるノズルブロック(ノズル部材)26と、を備える。ニードルホルダ25及びノズルブロック26は、精紡機1のフレーム6に取り付けられたノズル支持アーム91(図2を参照)によって支持されている。図3に示すように、ニードルホルダ25には、上流側のドラフト装置7でドラフトされた繊維束8を導入する案内孔27が形成されている。また、ニードルホルダ25はニードル28を保持しており、このニードル28の先端は、前記案内孔27から下流へ排出された繊維束8が送られる経路に位置している。
【0056】
ニードルホルダ25より下流側の位置において、ノズルブロック26には円形孔29が設けられている。この円形孔29には、スピンドルユニット35が備えるスピンドル(中空ガイド軸体)24の先端部30が、軸心を一致させた状態で挿入されている。スピンドル24の先端部30の端面とニードルホルダ25との間には所定の隙間が形成されており、この部分に紡績室31が形成される。紡績室31にはニードル28の先端が突出されており、このニードル28の先端がスピンドル24の先端部30と対向している。また、円形孔29と先端部30との間には、略円筒状の旋回流発生室32が形成される。
【0057】
ノズルブロック26には、その端部が紡績室31に開口される複数の旋回流発生ノズル41が設けられる。旋回流発生ノズル41は、紡績室31の内壁に接線方向で接続するように、かつ、糸送り下流側に傾斜するように、ノズルブロック26に形成された細長い孔(ノズル孔)からなる。
【0058】
旋回流発生ノズル41は、図示しない圧縮空気源から供給を受けた圧縮空気を紡績室31に噴射し、繊維束8の進行方向で見たときに例えば反時計回りとなるような旋回気流を紡績室31に発生させる。これにより、繊維束8に撚りが加えられる。この旋回気流は、スピンドル24の先端部30の周囲に形成された旋回流発生室32に沿って螺旋状に流れる。その後、旋回気流は、ノズル支持アーム91の内部に形成された排気路を経由して、紡績装置9の外部に排出される。
【0059】
スピンドルユニット35は、前記スピンドル24と、当該スピンドル24を支持するホルダアタッチメント151と、を備えて構成されている。スピンドル24には、当該スピンドル24の軸心に沿うようにして繊維通路(繊維束通過路)85が細長く形成されている。また、スピンドル24の先端部30には、前記繊維通路85に接続される孔が開口されている。この構成で、撚られた繊維束8は先端部30の孔に挿入された後、下流へ送られて繊維通路85の内部を通過する。
【0060】
スピンドル24は、当該スピンドル24の位置決めを行うための円錐状の軸体保持部材87に挿入された状態で固定されている。
【0061】
図4に示すように、軸体保持部材87は軸孔を有する円錐状の部材として形成されており、その外周にはフランジ部88が形成されている。フランジ部88の部分には、リング状の第1当て面95が形成されている。また、軸体保持部材87には、前記第1当て面95に対して垂直となるように配置された円筒状の第2当て面96が形成されている。一方で、図3に示すように、ノズル支持アーム91の先端部分の下流側端面には、平坦な第1位置決め面97がリング状に形成されるとともに、その内側には装着穴94が形成されている。装着穴94の内周面には、円筒状の第2位置決め面98が形成されている。上記の第1位置決め面97及び第2位置決め面98は、スピンドル24の先端部30をニードルホルダ25に対して高精度に位置決めするための位置決め部として機能する。
【0062】
この構成で、軸体保持部材87の円錐状部分をノズル支持アーム91の装着穴94に下側から差し込むようにして、第1当て面95を第1位置決め面97に、第2当て面96を第2位置決め面98に、それぞれ接触させる。これにより、紡績ノズル23(ニードルホルダ25及びノズルブロック26)に対してスピンドル24を正確に位置決めすることができる。
【0063】
なお、軸体保持部材87はノズル支持アーム91に対してボルト等で固定されているのではなく、円錐状の部分が単に前記装着穴94に差し込まれているだけである。従って、装着穴94から軸体保持部材87を引き抜くことで、スピンドル24をノズル支持アーム91から簡単に取り外すことができる(図5を参照)。この結果、紡績室31又は旋回流発生室32等に詰まった繊維を除去したり、スピンドル24を取り外して新しいものに交換したりするメンテナンス作業が容易となっている。
【0064】
スピンドル24には、繊維通路85に圧縮空気を導くための圧空導入孔102が形成される。この圧空導入孔102は、スピンドル24に接続される供給管103を通じて、圧縮空気の供給源(図示せず)に接続される。
【0065】
前記繊維通路85は、スピンドル24の中心部を軸方向に貫くように形成されている。この繊維通路85を通過した繊維束8は、紡績糸10としてスピンドル24から排出される。
【0066】
また、前記軸体保持部材87よりやや下流側の位置において、スピンドル24の外側には、受けゴム(移動制限部)65が固定されている。この受けゴム65はゴム部材として構成されており、適宜弾性変形することができる。受けゴム65はリング状に構成されているが、その一部には、圧縮空気の供給管103を通過させる切欠きが設けられている。受けゴム65は、スピンドル24の外周面に密着するようにして、当該スピンドル24の外側に360°全周にわたって配置される。
【0067】
受けゴム65は、径方向外側へ突出するように構成された第1制限部としての第1リング部66及び第2リング部67と、下流側へ突出するように構成された第2制限部としての第3リング部68と、が一体的に形成されたような形状になっている。第1リング部66及び第2リング部67は互いに平行な向きに突出しており、その間にはリング状の溝が形成されている。
【0068】
次に、スピンドル24を支持するための構成について説明する。スピンドル24は、精紡機1のフレーム6に取り付けられたスピンドルアーム(支持部)92に装着されている。このスピンドルアーム92の先端部には、図4に示すように、略円筒状のアタッチメント装着部111が形成されている。アタッチメント装着部111は中空状に形成されており、その底部には大きな孔が貫通状に形成されている。
【0069】
アタッチメント装着部111の内部には、スピンドル24を取り付けるための前記ホルダアタッチメント151が装着されている。ホルダアタッチメント151は、ホルダ本体(ベース部)152と、このホルダ本体152の底部にスライド可能に取り付けられたロック部材(連結部)153と、を備えている。
【0070】
なお、前記スピンドルアーム92の基端部は、図2に示す回転軸93を中心として回転可能となるように前記フレーム6に支持されている。従って、スピンドルアーム92の先端部にホルダアタッチメント151を介してスピンドル24を取り付けた状態において、スピンドルアーム92を回転させることにより、ニードルホルダ25に対してスピンドル24が近づいた通常状態(第1状態、図3)と、ニードルホルダ25に対してスピンドル24が離れたメンテナンス状態(第2状態、図5)と、を切り換えることができる。この切換えの際、スピンドル24は、スピンドルアーム92の支軸である回転軸93を中心とした円弧状の軌跡を描いて移動することになる。なお、上記のようなスピンドルアーム92の回転(通常状態とメンテナンス状態との切換え)は、例えばバネ力を用いたり、エアシリンダ等を駆動することで実現することができる。
【0071】
図4に示すように、ホルダ本体152は上流側に開放されたカップ状に形成されており、その内部には円形の収納凹部160が形成されている。収納凹部160には、スピンドル24に取り付けられた状態の前記受けゴム65を収納することができる。ホルダ本体152の底部は二重底となっており、その間に形成される隙間へ、ロック部材153が有する平板状のロック本体181が差し込まれている。
【0072】
更に、ホルダ本体152の底部には円形の差込孔161が貫通状に形成されており、この差込孔161に、前記スピンドル24の下流側の端部(以下、差込部170と呼ぶことがある)を挿入できるようになっている。この差込部170の外周面には、リング溝171が環状に形成されている。
【0073】
ロック部材153は合成樹脂を素材としており、平板状のロック本体181に対して、押しボタン部(連結解除操作部)182と、バネ部(変位力発生部)183と、を一体的に形成した構成となっている。
【0074】
ロック本体181は、所定のストロークで往復移動可能となるように、ホルダ本体152の底部に取り付けられている。また、ロック本体181には、前記差込孔161とほぼ対応する位置に、ロック孔184が貫通状に形成されている。このロック孔184の周縁部は、スピンドル24の差込部170に形成されているリング溝171の内部に差し込むことができる。
【0075】
押しボタン部182及びバネ部183は、何れも、ロック本体181の長手方向の端部近傍の上面(上流側表面)から垂直に立ち上げたリブとして構成されている。押しボタン部182の表面は外部に露出しており、オペレータは当該押しボタン部182を押すことで、ロック部材153をスライドさせることができる。また、バネ部183は、若干薄肉状に形成された合成樹脂製のリブとして形成されており、その上端部に横向き(繊維束走行方向に対して垂直方向)の力を加えることによって弾性変形させることができる。バネ部183の上端部(上流側端部)は、ホルダ本体152の外周面に接触している。
【0076】
以上の構成で、ロック部材153をホルダ本体152に組み付けた状態では、バネ部183は、その上端部がホルダ本体152の外周面によって図3及び図4におけるA方向に押されることで弾性変形している。これによりバネ部183には弾性復元力が発生し、この弾性復元力は、ロック部材153を矢印A方向に移動させる付勢力として作用する。この付勢力は、オペレータが押しボタン部182を押したときの戻し力として用いられる。また、当該付勢力は、スピンドル24の先端部30を一側に変位させるための力としても用いられる(詳細は後述する)。
【0077】
次に、ホルダアタッチメント151へのスピンドル24の取付作業について説明する。ホルダアタッチメント151にスピンドル24を取り付ける場合、オペレータは先ずスピンドルアーム92を回転させ、当該スピンドルアーム92がノズル支持アーム91から離れた状態にする。次に、オペレータは押しボタン部182を指で押してロック部材153を矢印Aとは反対の方向に移動させ、ロック本体181に形成されているロック孔184の縁部が差込孔161の内壁から突出しない状態にする。次に、オペレータは、押しボタン部182を指で押さえたまま、スピンドル24の差込部170を差込孔161及びロック孔184へ上方(上流側)から挿入するとともに、受けゴム65を収納凹部160の内部に差し込む。
【0078】
なお、この工程では、受けゴム65が有する第1リング部66、第2リング部67、及び第3リング部68の何れもが収納凹部160の内壁面に確実に密着するように、受けゴム65をしっかりと押し込むことが必要である。ただし、受けゴム65において第1リング部66と第2リング部67との間にはリング状の溝が形成されているので、受けゴム65と収納凹部160の内壁面との接触面積がその分だけ大きく減少しており、収納凹部160に対する受けゴム65の抜差しが容易になっている。
【0079】
その後、オペレータが押しボタン部182から指を離すと、バネ部183の復元力によってロック部材153が矢印A方向に移動し、ロック本体181に形成されているロック孔184の縁部が差込孔161の内壁から突出して、差込部170に形成されているリング溝171に入り込む。
【0080】
こうして、図5に示す状態が実現される。この状態では、スピンドル24はロック部材153によってホルダ本体152に対し機械的に連結されているので、例えばスピンドル24を上(上流側)へ引き抜こうとしても当該スピンドル24がホルダ本体152から外れることはない。
【0081】
ただし、ホルダ本体152に形成される差込孔161の内径は、当該差込孔161に挿入されるスピンドル24の下流側の端部(差込部170)の外径よりも若干大きく形成され、ある程度の径方向の遊びが確保されている。また、差込部170に形成されるリング溝171の幅は、当該リング溝171に差し込まれるロック本体181の厚みよりも若干大きく形成されており、軸方向の遊びも確保されている。更には、ホルダ本体152とスピンドル24との間に配置されるリング状の受けゴム65は、適宜弾性変形することができる。
【0082】
従って、図5に示すようにスピンドル24がホルダアタッチメント151(スピンドルアーム92の先端部)に装着された状態においても、当該スピンドル24は完全に拘束(位置決め)される訳ではなく、上記の遊びの範囲内でホルダ本体152に対して移動することができる(緩やかな拘束)。即ち、スピンドル24は、若干のストロークではあるが、径方向に移動することも軸方向に移動することも許容されているほか、軸を傾けるような移動も可能になっている。これに伴い、スピンドル24の先端部30も、一定の範囲内で移動したり向きを傾けたりすることができる。
【0083】
なお、スピンドル24とホルダ本体152の間に配置された受けゴム65は、スピンドル24が上記のように移動すると、それに応じて弾性変形し、当該スピンドル24の移動を元に戻そうとする復元力を発生させる。具体的には、スピンドル24が径方向(繊維束8の走行方向に略直交する方向)に移動したときには、主に第1リング部66及び第2リング部67が当該移動を元に戻す弾性力を発生させ、軸方向(繊維束8の走行方向に略平行な方向)に移動したときには、主に第3リング部68が当該移動を元に戻す弾性力を発生させる。このような受けゴム65の弾性的な移動制限作用により、スピンドル24に何も力が加わっていない状態では、当該スピンドル24は、ホルダ本体152の収納凹部160と軸心がほぼ一致する位置に保持されることになる。
【0084】
一方で、ロック部材153におけるバネ部183の弾性変形は、図5のようにスピンドル24がホルダアタッチメント151に装着された状態においても完全に解除されてはいないので、当該バネ部183の弾性復元力は失われていない。このバネ部183の弾性復元力によりロック本体181が引っ張られるので、スピンドル24の基端部は、前記ロック本体181に形成されているロック孔184の内周面により矢印A方向に押される。即ち、図5の状態では、バネ部183の弾性復元力がスピンドル24の差込部170に矢印A方向の力として作用することになる。従って、スピンドル24は、その軸方向中途部(受けゴム65が配置されているあたり)を支点にしてシーソーのように傾き、その先端部30を図5の太線矢印の向きに若干の距離だけ変位させる。このように、バネ部183は、スピンドル24の先端部30を所定の方向に変位させるための力を発生させる機能を有している。
【0085】
そして、上記のバネ部183が発生させる力により、スピンドル24の先端部30の位置を効果的に安定させることができる。即ち、仮にこのバネ力をスピンドル24に全く作用させないとした場合、当該スピンドル24が例えば振動等の影響でバタつく等して、先端部30の位置が不安定になるおそれがある。なお、振動等によるスピンドル24のバタつきは上記の受けゴム65によって一定程度弱めることができるが、受けゴム65が殆ど弾性変形しない範囲でのスピンドル24の細かいバタつきを防止することはやはり困難である。一方で、本実施形態では、バネ部183の力で先端部30が所定の方向に変位するようにスピンドル24を常時押さえ付けており、その力の向きも大きさも殆ど一定である。従って、ホルダ本体152は、スピンドル24のバタつきを効果的に抑え、スピンドル24の先端部30を、変位した位置で極めて安定的に保持することができる。
【0086】
特に、本実施形態では、スピンドル24の先端部30を、図2に示す回転軸93に近づく側に変位させている。この構成は、本実施形態のように、スピンドル24を紡績ノズル23(ニードルホルダ25)に対して位置決めする際に、(直線状の軌跡でなく)上記の回転軸93を中心とする円弧状の軌跡を描くようにスピンドル24を移動させなければならない構成において、極めて有利である。即ち、図5に示すように、スピンドル24の先端部30が紡績ノズル23側に近づくように変位しているので、スピンドル24が円弧状の軌跡で移動する場合にも、当該スピンドル24の先端部30をノズルブロック26に衝突させることなくその内部にスムーズに差し込んで、図3の状態へ円滑に移行することができる。
【0087】
その後、スピンドルアーム92をノズル支持アーム91に近づくように回転させることで、スピンドル24に固定されている軸体保持部材87の円錐状部分が、ノズル支持アーム91に形成されている装着穴94に挿入される。なお、このとき、スピンドル24の先端部30のバタつきは上述のとおり効果的に防止できているので、スピンドル24の移動の際に先端部30が他の部材(例えば、ノズルブロック26)に衝突すること等もなく、スピンドル24を装着穴94にスムーズに挿入することができる。
【0088】
やがて、第1当て面95と第1位置決め面97が接触するとともに、第2当て面96と第2位置決め面98が接触するので、スピンドル24は紡績ノズル23(ニードルホルダ25)に対して精度良く位置決めされる。こうして図3の状態が実現され、紡績装置9は紡績が可能な状態になる。
【0089】
次に、スピンドル24をホルダアタッチメント151から取り外す場合について簡単に説明する。最初に図3の状態からスピンドルアーム92を回転させることで、スピンドル24の位置決めを解除して図5の状態にする。次に、押しボタン部182を押すことでロック部材153を移動させ、ロック本体181がリング溝171に引っ掛かっている状態を解除する。この状態でスピンドル24を持って上方へ引き抜くことで、スピンドル24を、スピンドルアーム92の先端のホルダアタッチメント151から取り外すことができる。このように、本実施形態では、押しボタン部182を押すだけのワンアクションでスピンドル24とホルダ本体152との機械的な連結状態が解除されるので、メンテナンス作業性に優れる。
【0090】
次に、ホルダアタッチメント151の交換について説明する。即ち、ホルダ本体152に形成される前記収納凹部160の内底面(以下、支持面と呼ぶことがある)は、スピンドル24を基端部側から支持するように構成されている。この内底面には所定の傾斜が付けられており、スピンドル24を支持したときの当該スピンドル24が所定の角度で傾斜するようになっている。そして、スピンドルアーム92の先端に備えられるアタッチメント装着部111は、上記で説明したホルダアタッチメント151のほかに、収納凹部160の形成される向き(言い換えれば、前記支持面の向き)が若干異なる他の種類のホルダアタッチメントを取り付けることもできるようになっている。従って、上記の支持面の傾斜角度が異なるホルダアタッチメントに交換することで、図5の状態においてスピンドル24が支持される向き(更に言えば、スピンドル24の先端部30の可動範囲)を種々異ならせることができるので、紡績したい糸の種類に応じて必要とされるスピンドル24の様々なレイアウトを容易に実現することができる。
【0091】
以上に説明したように、本実施形態の紡績装置9が備えるスピンドルユニット35は、スピンドル24と、ホルダ本体152と、ロック部材153と、バネ部183と、を備える。スピンドル24は、撚られた繊維束8が挿入される先端部30と、前記先端部30から挿入された繊維束8が通過する繊維通路85と、を有する。ホルダ本体152は、スピンドル24を支持する。ロック部材153は、スピンドル24をホルダ本体152に対して機械的に連結できるように構成されている。スピンドル24がロック部材153によりホルダ本体152に対して機械的に連結された状態(以下、連結状態という。)において、スピンドル24の先端部30は、所定の可動範囲内で移動することができる。バネ部183は、前記連結状態において、スピンドル24の先端部30を前記可動範囲内において一側(即ち、図5の太線矢印で示す側)に変位させるように、スピンドル24の下部(差込部170)に加えられる矢印A方向の力を発生させる。
【0092】
これにより、ロック部材153によってスピンドル24をホルダ本体152に対して機械的に連結し、この状態で、スピンドル24の先端部30の位置が移動の自由度をある程度持った状態でホルダ本体152はスピンドル24を保持することができる。従って、この機械的な連結状態を解除せずに、スピンドル24を第1当て面95及び第2当て面96(第1位置決め面97及び第2位置決め面98)で位置決めすることにより(図3を参照)、当該スピンドル24の先端部30を改めて高精度に位置決めして、紡績糸10の品質を向上させることができる。また、上記の位置決めが行われていない図5の状態でも、スピンドル24の先端部30が一側に変位するようにバネ部183の力が加えられているので、例えば小さな振動の影響でスピンドル24の先端部30の位置が大きく振られることがない。従って、スピンドル24の先端部30の過剰なバタつきを防ぐことができ、メンテナンス時の作業性を向上させることができる。
【0093】
また、本実施形態のスピンドルユニット35においては、スピンドル24がロック部材153によりホルダ本体152に対して機械的に連結された状態で、スピンドル24の周囲には、上記した径方向の遊び及び軸方向の遊びが形成されている。この遊びにより、スピンドル24の先端部30が移動可能になっている。
【0094】
これにより、遊びを設ける簡単な構成で、スピンドル24の先端部30を移動可能にすることができる。
【0095】
また、本実施形態のスピンドルユニット35において、バネ部183は、弾性復元力を発生させる弾性体として機能する。
【0096】
これにより、弾性体による安定した力で、スピンドル24の先端部30を一側に変位させることができる。従って、スピンドル24の先端部30の位置を確実に安定させることができる。
【0097】
また、本実施形態のスピンドルユニット35は、スピンドル24とホルダ本体152との間に、スピンドル24の移動に抗する力を発生させる受けゴム65を備える。
【0098】
これにより、スピンドル24の動きを受けゴム65により制限できるので、スピンドル24の先端部30の位置を確実に安定させることができる。
【0099】
また、本実施形態のスピンドルユニット35において、受けゴム65は、弾性変形可能な部材として構成されている。
【0100】
これにより、スピンドル24が例えば振動等の影響で移動しようとした場合でも、その勢いを、受けゴム65の弾性変形により吸収できる。この結果、スピンドル24の先端部30の位置を確実に安定させることができる。
【0101】
また、本実施形態のスピンドルユニット35において、受けゴム65は、第1リング部66及び第2リング部67と、第3リング部68と、を有している。第1リング部66及び第2リング部67は、スピンドル24の、繊維束8の走行方向に略直交する方向(径方向)の移動を制限する。第3リング部68は、スピンドル24の、繊維束8の走行方向に略平行な方向(軸方向)の移動を制限する。
【0102】
これにより、スピンドル24の過剰なバタつきを効果的に防止することができる。
【0103】
また、本実施形態のスピンドルユニット35において、スピンドル24と受けゴム65は、ホルダ本体152に対して着脱可能に設けられている。また、受けゴム65が備える第1リング部66、第2リング部67、及び第3リング部68は、何れもホルダ本体152に対して接触可能に設けられている。受けゴム65において、第1リング部66と第2リング部67との間には、ホルダ本体152に対して空隙が形成されるように構成された凹部(リング状の溝)が形成されている。
【0104】
これにより、受けゴム65とホルダ本体152との間の接触面積を凹部の分だけ減らすことができるので、受けゴム65をホルダ本体152に対して容易に着脱することができる。
【0105】
また、本実施形態のスピンドルユニット35において、受けゴム65は、スピンドル24の外周面の全周にわたってリング状に設けられている。
【0106】
これにより、スピンドル24の径方向のバタつきを良好かつ確実に抑制することができる。
【0107】
また、本実施形態のスピンドルユニット35は、ロック部材153によりスピンドル24がホルダ本体152に対して機械的に連結された状態をワンアクションで解除するための押しボタン部182を備える。
【0108】
これにより、押しボタン部182を押すだけの簡単な操作により、スピンドル24をホルダ本体152から取り外すことができる。
【0109】
また、本実施形態の紡績装置9は、スピンドルユニット35と、ニードルホルダ25と、スピンドルアーム92と、第1位置決め面97及び第2位置決め面98と、ノズルブロック26と、を備える。ニードルホルダ25は、スピンドル24に対向するように配置されて、繊維通路85に繊維束8を案内する。スピンドルアーム92は、スピンドル24を支持するとともに、ニードルホルダ25に対してスピンドル24が近づいた通常状態(図3)と、ニードルホルダ25に対してスピンドル24が離れたメンテナンス状態(図5)と、を切換可能にする。第1位置決め面97及び第2位置決め面98は、通常状態におけるスピンドル24の先端部30をニードルホルダ25に対して位置決めする。ノズルブロック26は、通常状態(図3)においてスピンドル24との間で紡績室31を形成するとともに、紡績室31内に開口するノズル孔(旋回流発生ノズル41の孔)から圧縮空気を噴射して、繊維束8に作用させる旋回気流を紡績室31内に発生させる。
【0110】
これにより、メンテナンス状態(図5)では、スピンドル24の先端部30の位置が移動の自由度をある程度持った状態でホルダ本体152はスピンドル24を保持することができる。一方で、通常状態(図3)では、スピンドル24を第1位置決め面97及び第2位置決め面98で位置決めすることにより、当該スピンドル24の先端部30をニードルホルダ25に対して精度良く位置決めして、紡績糸10の品質を向上させることができる。
【0111】
また、本実施形態の紡績装置9においてスピンドルアーム92は、スピンドル24がニードルホルダ25に対して円弧状の軌跡を描くようにスピンドル24とニードルホルダ25の少なくとも一方を移動させることで、通常状態(図3)とメンテナンス状態(図5)とを切り換えるように構成されている。バネ部183は、スピンドル24の先端部30を、上記した可動範囲内において前記円弧状の軌跡の中心(即ち、図2に示す回転軸93)に近づく側に変位させるように、スピンドル24の下部(差込部170)に加えられる力を発生させる。
【0112】
これにより、通常状態とメンテナンス状態との間の切換時においてスピンドル24がニードルホルダ25に対して円弧状の軌跡で移動するのに伴い、スピンドル24の先端部30を他の部材に干渉することなくスムーズに移動させることができる。
【0113】
また、本実施形態の紡績装置9において、ホルダ本体152における収納凹部160の内底面は、スピンドル24が概ね所定の角度となるように基端部側から支持する支持面として構成されている。そして、ホルダ本体152(ホルダアタッチメント151)は、支持面の傾斜角度が異なる他のホルダ本体152と交換可能に構成されている。
【0114】
これにより、紡績装置9において要求されるスピンドル24の様々なレイアウトを容易に実現することができる。
【0115】
また、本実施形態の精紡機1は、前記のように構成された紡績装置9と、巻取装置13と、を備える。巻取装置13は、紡績装置9により紡績された紡績糸10をパッケージ45に巻き取る。
【0116】
これにより、スピンドル24の交換作業が簡単で、品質の高い紡績糸10のパッケージ45が得られる精紡機1を提供することができる。
【0117】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0118】
ロック部材153においては、押しボタン部182に代えて、例えば引き操作が可能なレバー等を備える構成に変更することができる。
【0119】
ニードルホルダ25に代えて、ニードル28を省略した構成の部材(例えば、案内孔27が形成されたブロック状の部材)を繊維案内部として採用することもできる。
【0120】
紡績装置9の下流側の位置において、前記糸弛み取り装置12に代えて、又はそれに加えて、回転駆動されるデリベリローラと、デリベリローラに押し付けられるニップローラと、を備え、デリベリローラとニップローラとの間で紡績糸10を挟んで下流へ送るように構成することもできる。
【0121】
上記実施形態において、バネ部183及び押しボタン部182はロック部材153と一体的に形成されているが、これらをロック部材153とは別の部材として構成することもできる。また、合成樹脂製でない金属製のバネ(例えば、コイルバネや板バネ)を、前記バネ部183の代わりに使用することもできる。
【0122】
上記実施形態で、スピンドル24は、スピンドルアーム92の先端部に取り付けられたホルダアタッチメント151に装着される。しかしながら、スピンドルアーム92の先端部にスピンドル24を直接装着できるように変更することもできる。
【0123】
上記実施形態において、図3の通常状態と図5のメンテナンス状態との切換えは、スピンドルアーム92の回転によりスピンドル24を移動させることによって行われている。しかしながらこれに代えて、ノズル支持アーム91の回転によりニードルホルダ25側(ノズルブロック26側)を移動させることによっても、上記の状態の切換えを実現することができる。
【0124】
上記実施形態において、ロック部材153、押しボタン部182、バネ部183等は、ホルダアタッチメント151の一部として構成されている。しかしながら、ロック部材153及び押しボタン部182等をスピンドルアーム92側に備えるようにし、ホルダ本体152だけを当該スピンドルアーム92に交換して装着できるように構成することもできる。
【0125】
上記実施形態では、ニードルホルダ25とノズルブロック26とは別の部品として構成されている。これを、繊維案内部とノズル部材とが一体となった1つの部品で構成されるように変更することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 精紡機(紡績機)
9 紡績装置(空気紡績装置)
13 巻取装置(巻取部)
24 スピンドル(中空ガイド軸体)
25 ニードルホルダ(繊維案内部)
26 ノズルブロック(ノズル部材)
30 先端部
31 紡績室
35 スピンドルユニット(中空ガイド軸体ユニット)
65 受けゴム(移動制限部)
66 第1リング部(第1制限部)
67 第2リング部(第1制限部)
68 第3リング部(第2制限部)
85 繊維通路(繊維束通過路)
92 スピンドルアーム(支持部)
97 第1位置決め面(位置決め部)
98 第2位置決め面(位置決め部)
152 ホルダ本体(ベース部)
153 ロック部材(連結部)
182 押しボタン部(連結解除操作部)
183 バネ部(変位力発生部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撚られた繊維束が挿入される先端部と、前記先端部から挿入された前記繊維束が通過する繊維束通過路と、を有する中空ガイド軸体と、
前記中空ガイド軸体を支持するベース部と、
前記中空ガイド軸体を前記ベース部に対して機械的に連結できるように構成された連結部と、
前記中空ガイド軸体が前記連結部により前記ベース部に対して機械的に連結された状態で、当該中空ガイド軸体の先端部が移動できる範囲である可動範囲において当該先端部を一側に変位させるように、前記中空ガイド軸体に作用させる力を発生させる変位力発生部と、
を備えることを特徴とする中空ガイド軸体ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の中空ガイド軸体ユニットであって、
前記中空ガイド軸体が前記連結部により前記ベース部に対して機械的に連結された状態で、前記中空ガイド軸体の周囲には遊びが形成されており、
前記遊びにより、前記中空ガイド軸体の前記先端部が移動可能になっていることを特徴とする中空ガイド軸体ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の中空ガイド軸体ユニットであって、
前記変位力発生部は、弾性復元力を発生させる弾性体であることを特徴とする中空ガイド軸体ユニット。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の中空ガイド軸体ユニットであって、
前記中空ガイド軸体と前記ベース部との間に、前記中空ガイド軸体の移動に抗する力を発生させる移動制限部を備えることを特徴とする中空ガイド軸体ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の中空ガイド軸体ユニットであって、
前記移動制限部は、弾性変形可能な部材として構成されていることを特徴とする中空ガイド軸体ユニット。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の中空ガイド軸体ユニットであって、
前記移動制限部は、
前記中空ガイド軸体の前記繊維束通過路に略直交する方向の移動を制限する第1制限部と、
前記中空ガイド軸体の前記繊維束通過路に略平行な方向の移動を制限する第2制限部と、
を有していることを特徴とする中空ガイド軸体ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の中空ガイド軸体ユニットであって、
前記第1制限部及び前記第2制限部は、前記ベース部に対して接触可能に設けられており、
前記移動制限部は、前記ベース部との間に空隙が形成されるように構成された凹部を有しており、
前記中空ガイド軸体及び前記移動制限部は、前記ベース部に対して着脱可能に設けられていることを特徴とする中空ガイド軸体ユニット。
【請求項8】
請求項4から7までの何れか一項に記載の中空ガイド軸体ユニットであって、
前記移動制限部は、前記中空ガイド軸体の外周面の全周にわたって設けられていることを特徴とする中空ガイド軸体ユニット。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載の中空ガイド軸体ユニットであって、
前記中空ガイド軸体が前記連結部により前記ベース部に対して機械的に連結された状態をワンアクションで解除可能にするための連結解除操作部を備えることを特徴とする中空ガイド軸体ユニット。
【請求項10】
請求項1から9までの何れか一項に記載の中空ガイド軸体ユニットと、
前記中空ガイド軸体に対向するように配置されて、前記繊維束通過路に前記繊維束を案内する繊維案内部と、
前記繊維案内部及び前記中空ガイド軸体のうち少なくとも何れか一方を支持するとともに、前記繊維案内部に対して前記中空ガイド軸体が近づいた第1状態と、前記繊維案内部に対して前記中空ガイド軸体が離れた第2状態と、を切換可能にする支持部と、
前記第1状態における前記中空ガイド軸体の前記先端部を前記繊維案内部に対して位置決めするための位置決め部と、
前記第1状態において前記中空ガイド軸体との間で紡績室を形成するとともに、前記紡績室内に開口する1つ以上のノズル孔から圧縮空気を噴射して、前記繊維束に作用させる旋回気流を前記紡績室内に発生させるノズル部材と、
を備えることを特徴とする空気紡績装置。
【請求項11】
請求項10に記載の空気紡績装置であって、
前記支持部は、前記中空ガイド軸体が前記繊維案内部に対して円弧状の軌跡を描くように前記中空ガイド軸体と前記繊維案内部の少なくとも何れか一方を移動させることで、前記第1状態と前記第2状態とを切り換えるように構成されており、
前記変位力発生部は、前記中空ガイド軸体の前記先端部を、前記可動範囲内において前記円弧状の軌跡の中心に近づく側に変位させるように、当該中空ガイド軸体に加えられる力を発生させることを特徴とする空気紡績装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の空気紡績装置であって、
前記ベース部は、前記中空ガイド軸体を基端部側から所定の傾斜角度で支持する支持面を備えており、
前記ベース部は、前記支持面の傾斜角度が異なる他のベース部と交換可能に構成されていることを特徴とする空気紡績装置。
【請求項13】
撚られた繊維束が挿入される先端部と、前記先端部から挿入された前記繊維束が通過する繊維束通過路と、を有する中空ガイド軸体と、
前記中空ガイド軸体を支持するベース部と、
前記中空ガイド軸体を前記ベース部に対して機械的に連結できるように構成された連結部と、
前記中空ガイド軸体が前記連結部により前記ベース部に対して機械的に連結された状態をワンアクションで解除可能にするための連結解除操作部と、
前記中空ガイド軸体が前記連結部により前記ベース部に対して機械的に連結された状態で、当該中空ガイド軸体の先端部が移動できる範囲である可動範囲において当該先端部を一側に変位させるように、前記中空ガイド軸体に作用させる力を発生させる弾性体である変位力発生部と、
前記中空ガイド軸体と前記ベース部との間に配置されるとともに前記中空ガイド軸体の外周面の全周にわたって設けられ、前記中空ガイド軸体の移動に抗する力を発生させる弾性変形可能な部材である移動制限部と、
を備える中空ガイド軸体ユニットと、
前記中空ガイド軸体ユニットが備える前記中空ガイド軸体との間で紡績室を形成するとともに、前記紡績室内に開口する1つ以上のノズル孔から圧縮空気を噴射して、前記繊維束に作用させる旋回気流を前記紡績室内に発生させるノズル部材と、
ことを特徴とする空気紡績装置。
【請求項14】
請求項10から13までの何れか一項に記載の空気紡績装置と、
前記空気紡績装置により紡績された紡績糸をパッケージに巻き取る巻取部と、
を備えることを特徴とする紡績機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−2023(P2013−2023A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136687(P2011−136687)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】