中空成形機における金型交換方法およびそれに使用する金型交換台車
【課題】吹込装置近傍に他の装置を設置する必要があるいわゆるダブルステーション型中空成形機において、当該他の装置が阻害となって金型交換ができないという問題があった。
【解決手段】交換すべき成形金型３をヘッド２下方にずらし、空いた吹込装置５の下方空間に金型交換台車３０を中空成形機前方から進入させ、取り外した成形金型３を一対のプラテン１２，１３のガイドローラ１８，２０にて転動させて金型交換台車３０の第３ローラ８０まで案内し、第２ローラ７０、昇降支持体５０およびスライド盤４３によって方向転換して、第１ローラ６０に成形金型３を移動させて中空成形機外に搬出し、新たに取り付ける成形金型３’を金型交換台車３０の第１ローラ６０に載せて吹込装置５の下方空間に進入させ、新たな金型３’を方向変換して第３ローラ８０からガイドローラ１８，２０へ移動し、成形金型３’を一対のプラテン１２，１３に取り付ける。
【解決手段】交換すべき成形金型３をヘッド２下方にずらし、空いた吹込装置５の下方空間に金型交換台車３０を中空成形機前方から進入させ、取り外した成形金型３を一対のプラテン１２，１３のガイドローラ１８，２０にて転動させて金型交換台車３０の第３ローラ８０まで案内し、第２ローラ７０、昇降支持体５０およびスライド盤４３によって方向転換して、第１ローラ６０に成形金型３を移動させて中空成形機外に搬出し、新たに取り付ける成形金型３’を金型交換台車３０の第１ローラ６０に載せて吹込装置５の下方空間に進入させ、新たな金型３’を方向変換して第３ローラ８０からガイドローラ１８，２０へ移動し、成形金型３’を一対のプラテン１２，１３に取り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、金型交換作業を容易に行える中空成形機における金型交換方法およびそれに使用する金型交換台車に関する。
【背景技術】
【０００２】
中空成形機は、加熱溶融した熱可塑性樹脂をヘッドから押し出して垂下したパリソンを成形金型の一対の割型にて挟みこみ、吹込装置から圧縮エアを吹込んで、閉じた一対の割型内で膨張させて中空成形品を成形する。
【０００３】
かかる中空成形機において、従来の金型交換方法としては、特許文献１に示すように、金型交換時に一対の取付プレート（プラテンともいう）から取り外した成形金型を上方からクレーンにて吊り下げて専用の交換台に保管し、代わりに新たな成形金型をクレーンにて吊り下げて前記一対の取付プレート間に位置させて、取付プレートそれぞれに成形金型を成す一対の分割型を取り付ける第１の方法がある。
【０００４】
また、他の金型交換方法として、特許文献２に示すように、金型交換時に一対のプラテンから取り外した金型装置をその側方に配置した金型交換台車上に移動させ、ついでこの台車を移動させて所定の保管位置に取り外した金型装置を保管する。一方、新たな金型装置を金型交換台車上に載せて一対プラテンの側方に移動させ、これらプラテンの側方からプラテン間に金型装置を移動させ、ついでこれらプラテンのそれぞれに金型装置を成す左側金型および右側金型を取り付ける第２の方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開平７−３０８７３６号
【特許文献２】特開２０００−２７１９９４号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
いわゆるダブルステーション型の中空成形機すなわち一対の割型から成す成形金型を２個設け、パリソンを垂下させるヘッドの両側に吹込装置を設けたものにおいて、従来はクレーンで金型を吊り上げたり吊り下げたりするため、交換すべき成形金型側の一方の吹込装置をヘッドおよび両側の吹込装置の配置空間からさらに外側にずらし、空いた空間に金型を横ずらし、上述の第１の方法のように、交換すべき金型をクレーンにて吊り上げて成形機外に移動させていた。そして新たな成形金型を空いた空間にクレーンにて移動してきて取り付けていた。しかし、吹込装置近傍に他の装置たとえば製品取出装置を設置する必要がある場合、吹込装置を上述のように外側にずらすことができないという恐れがあった。
【０００７】
また、ダブルステーション型の中空成形機において、上述の第２の方法のように、金型を成形機側方から取り出し・取り入れするタイプのものにおいても、その外側に別の装置たとえば製品取出装置などを設置する場合、成形機側方から成形金型の出し入れができないという恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、上記の課題を解消し、金型のクレーンによる吊り下げのための吹込装置の横移動するためのスペースの制限がある場合や、金型の側方からの取り出し・取り入れができない形態のダブルステーション型成形機において、容易に金型交換できることを目的とする。
【０００９】
本発明は、上記目的を達成するため、ヘッドの両側にエア吹込装置を設け、一対の割型からなる成形金型を少なくとも２個、前記ヘッドと前記吹込装置との併設方向に配設した中空成形機において、交換すべき成形金型をヘッド下方にずらして空いた一方の前記吹込装置の下方空間に金型交換台車を前記併設方向と直交する中空成形機前方から進入させ、一対のプラテンから取り外した前記交換すべき成形金型を前記一対のプラテンに設けた複数のガイドローラにて前記併設方向に移動させて前記金型交換台車の進入部に配設した方向変換手段まで案内し、該方向変換手段にて方向変換した前記成形金型を前記ガイドローラの配設方向と直交する方向に並行に前記金型交換台車上に配設した複数のローラに移動させて中空成形機外に搬出し、新たに取り付ける成形金型を前記金型交換台車の前記ローラ上に載せて前記吹込装置の下方空間に進入させ、前記新たな金型を前記方向変換手段に案内し、該方向変換手段にて方向変換した前記新たな金型を前記ガイドローラまで移動し、ついで前記新たな金型を前記一対のプラテンに取り付けることを特徴とする中空成形機の金型交換方法である。
【００１０】
また、第２の課題解決手段は、車輪付き車体と、該車体の進行方向に並行に配設した複数の第１ローラと、該第１ローラと間隔を空けてこれらローラの配設方向と同方向に並行に配設した複数の第２ローラと、該第２ローラと前記第１ローラとの間を滑動するスライド盤と、該スライド盤が前記第２ローラ上に位置したときスライド盤を持ち上げる昇降支持体と、前記第２ローラの両側に第２ローラの配設方向と直交する方向に並行に配設した複数の第３ローラとからなり、前記第２ローラ上に位置した前記スライド盤の上面が前記第３ローラの頂部から下方にあるようにしたことを特徴とする金型交換台車である。
【００１１】
上記第１の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、いわゆるダブルステーション型中空成形機において、吹込装置近傍に該吹込装置の横ずらしを阻害する他の装置があったとしても、交換すべき成形金型をヘッド下方にずらして一方の吹込装置下方空間に金型交換台車を進入させ、取り外した成形金型をガイドローラ、方向変換手段そして金型交換台車上のローラへと方向転換させながら転動させて、金型交換台車を成形機外に搬出することにより成形金型を容易に搬出することができる。一方、新たな成形金型を金型交換台車上のローラに載せ、前記下方空間に再び金型交換台車を進入させて、方向変化手段そしてガイドローラへと方向転換・転動をさせて、新たな成形金型を中空成形機に容易に取り付けることができる。
【００１２】
金型交換台車上のローラからガイドローラへの成形金型の移しは、上記第２の課題解決手段の第２ローラ、第３ローラ、昇降支持体およびスライド盤を使用して行えるが、その他に、上記第２の課題解決手段における第３ローラおよび昇降支持体を排除して、スライド盤上に滑りやすい材質のシートを使用しまたは滑りやすいようコーティングなどを施し、当該スライド盤を使用して成形金型を第２ローラから直接ガイドローラに乗り移らせるようにすることでも良い。
【００１３】
第２の課題解決手段の作用は、第１ローラ、第２ローラ、第３ローラと順にスライド盤を円滑に移動させることによって、上記第１の課題解決手段を確実に実行することができる新規な金型交換台車であることができる。
【発明の効果】
【００１４】
上述したような本発明に係る金型交換方法およびそれに使用する金型交換台車によれば、吹込装置近
傍に他の装置を設置する必要があるいわゆるダブルステーション型中空成形機において、簡易かつ効率的に金型交換をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】図１は本発明の一実施形態に使用する中空成形機の正面図である。
【図２】図２は図１に示した中空成形機の縮小した側面図である。
【図３】図３は図１に示した中空成形機の成形金型およびその周辺部を示す拡大図である。
【図４】図４は図１に示した中空成形機の後方側割型およびその周辺部を示す拡大図である。
【図５】図５は図１に示した中空成形機の前方側割型およびその周辺部を示す拡大図である。
【図６】図６は図１に示した中空成形機の前方から進入した一部切欠き金型交換台車および中空成形機を示す側面図である。
【図７】図７は図６に示した金型交換台車と中空成形機との結合状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
本発明の一実施形態に使用する中空成形機は、図１および図２に示すように、成形作動部として、樹脂組成物を溶融して押し出す押出機１、ダイヘッド２、パリソン切断装置（図示略）、左右２個の成形金型３，４、圧縮エアの吹込装置５，６、金型３，４の開閉および型締を行う型締装置７，８、金型３，４をそれらの併設方向へ横移動させる成形金型移動装置などを具備したいわゆるダブルステーション型のものである。成形金型４は、成形金型３に対し図２の紙面上背後に配設されている。
【００１７】
押出機１は、樹脂組成物の投入用ホッパ１ａ、および押出機内部に樹脂組成物の移送・混練・溶融・
吐出を行うための図示を省略したスクリュを設けている。
【００１８】
ダイヘッド２は、双頭用のものであり、押出機１の先端に接続して押出機１から供給された溶融した
樹脂組成物から２本の筒状パリソンを形成するようになっている。
【００１９】
図示を省略したパリソン切断装置は、ダイヘッド２下端から垂下する筒状パリソンの上部を切断するものであり、電熱カッタを有するカッタホルダを設けている。
【００２０】
成形金型３，４はそれぞれ、一対の割型３ａ，３ｂ，４ａ，４ｂを具備し、図３ないし図５に示すよ
うに、これら割型にパリソンを挿入させるキャビティ３ｃ，４ｃを形成している。成形金型３，４は、付帯する金型移動用電動機を備えた成形金型移動装置によって、ダイヘッド２の直下の位置および吹込装置５，６の左右の打込ノズル５ａ，５ｂ，６ａ，６ｂの直下位置間にて、横方向に延びる一対のレール９上を水平方向に交互に往復動することができるようになっている。
【００２１】
吹込装置５，６は、成形金型３，４それぞれの左右のキャビティの上方からパリソン内に挿入して圧縮エアを吹き込むものであり、左右一対の打込ノズル５ａ，５ｂ，６ａ，６ｂを上昇・下降させる打込ノズル駆動装置５ｃ、６ｃを設けている。
【００２２】
型締装置７，８は、金型３，４を型閉・型締および型開するものであり、レール９上を移動する架台１０，１１と、前方プラテン１２および後方プラテン１３と、プラテンをパーティングラインに対し相互に近接離反させて金型３，４を型締させる機構とを設けている。図１ないし図５中、符号１４，１５は上方の左右の一対のタイバー、符号１６は下方のタイバー１６を示す。
【００２３】
前方プラテン１２は、図３および図５に示すように、金型３，４の前方割型３ａ，４ａを支持するものであり、割型の背側に固定した前方割型取付板１７をボルトによって留めている。さらに、複数のガイドローラ１８をプラテン下部に回転自在に設け、前方割型取付板１７を下方から支持し、かつ金型交換時にこの取付板を水平方向に滑動させるようになっている。
【００２４】
後方プラテン１３も、図３および図４に示すように、金型３，４の後方割型３ｂ，４ｂを支持するものであり、割型の背側に固定した後方割型取付板１９をボルトによって留めている。さらに、複数のガイドローラ２０をプラテン下部に回転自在に設け、後方半型取付板１９を下方から支持し、かつ金型交換時にこの取付板を水平方向に滑動させるようになっている。
【００２５】
かかる中空成形機において、金型交換時に、図６および図７に示すような金型交換台車３０を使用する。金型交換台車３０は、市販の車輪付き手押し車体３１に成形金型に合わせた高さ調整用のＸ脚４１を設け、車体３１上に設けた金型交換架台４０をボルトで固定している。金型交換架台４０は、複数の第１ローラ６０と複数の第２ローラ７０と複数の第３ローラ８０とを具備しており、第１ローラ６０上には、金型を載せて滑動するスライド盤４３を設けている。
【００２６】
金型交換架台４０の先端に乗り継ぎ架台４２をボルトで固定し、複数の第３ローラ８０を回転自在に設けている。これら第３ローラ８０は、第１ローラ６０の配列方向と直交する方向に並行に２列に配設されている。
【００２７】
２列の第３ローラ８０間に、ボルトなどによって上下させることができるようにした昇降支持体５０を配設している。昇降支持体５０は、第２ローラ７０を、第１ローラ６０の配列方向と同一方向に２列回転自在に設けている。
【００２８】
スライド盤４３は、先端から四辺形の切欠き４３ａを形成して上から見てコ字形を成し、昇降支持体５０の２つの凸部５０ａ，５０ｂが昇降時に切欠き４３ａ内を挿通するようになっている。昇降支持体５０は、エアシリンダの駆動や図示例のボルトなどの作用によって昇降して、ガイドローラ１８，２０から第３ローラ８０上に転動した交換すべき成形金型を、第１ローラ６０から乗継架台４２の２ケ所の切欠き４２ａ，４２ｂを通って進入したスライド盤４３上に載せ、その状態で上昇させて持ち上げ、スライド盤４３上に成形金型３を移し、第１ローラ６０へ滑動させるようになっている。第２ローラ７０上に位置したスライド盤４３の上面は、第３ローラ８０の頂部から下方にあるようになっている。
【００２９】
他方、交換する新しい成形金型を載せたスライド盤４３を第１ローラ６０から第２ローラ７０へ滑動させ、昇降支持体５０をエアシリンダの駆動や図示例のボルトなどの作用によって下降させて新しい成形金型をスライド盤４３から第３ローラ８０上に移し、第３ローラ８０からガイドローラ１８，２０へ滑動させるようになっている。
【００３０】
金型交換台車３０は、図６において車体３１の４つのゴム車輪３１ａに代えて電車等の４つの鋼製車輪を使用し、かつ成形装置前方から吹込装置５，６の下方まで延びる対のレールを敷設し、対のレール上を４つの鋼製車輪が案内されて、金型交換台車３０が成形装置に対して搬入・搬出できるようにしてもよい。
【００３１】
次に、かかる成形装置における金型交換時の方法を述べる。まず、図１に示すように、２個の成形金型の最初に交換すべき成形金型３をダイヘッド２の下方にずらし、図中右側の吹込装置５の下方に所望の空間を形成する。
【００３２】
この状態にて中空成形機前方から、図６に示すように、金型交換台車３０上に固定した金型交換架台４０の乗継架台４２を先端にして吹込装置５下方の上記空間に進入させる。
【００３３】
しかる後、割型取付板１７，１９をそれぞれ、対応するプラテン１２，１３から交換すべき成形金型３とともに取り外し、図７中二点鎖線に示すように、割型取付板１７，１９をガイドローラ１８，２０から第３ローラ８０まで滑動させ、第３ローラ８０上にて止める。
【００３４】
ついで、スライド盤４３を第１ローラ６０から第２ローラ７０上に滑動させて第２ローラ７０上にて止める。その状態にて、昇降支持体５０を上昇させ、成形金型３を取り付けた割型取付板１７，１９をスライド盤４３上に載せ、スライド盤４３を第１ローラ６０上へと滑動させる。
【００３５】
第１ローラ６０上に割型取付板１７，１９および交換する成形金型３を載せた金型交換台車３０を中空成形機から後方にずらし、交換すべき成形金型３を移動させて所定の保管場所に保管する。
【００３６】
そして、新しい成形金型３’を保管場所から移動させて、図６に示すように金型交換台車３０のスライド盤４３上に載せ、図１にて形成した吹込装置５下方の空間に進入させる。
【００３７】
図７に示すように、スライド盤４３を第１ローラ６０から第２ローラ７０まで滑動させ、第２ローラ７０上にて止める。その状態にて昇降支持体５０を下降させて成形金型３’を下げ、割型取付板１７，１９を第３ローラ８０上に移し、第３ローラ８０からガイドローラ１８，２０上に滑動させてガイドローラ１８，２０上に止める。
【００３８】
ついで、割型取付板１７，１９を対応するプラテン１２，１３に取り付ける。これによって新しい成形金型３’の交換が完了することになる。
【００３９】
さらに、交換すべき次の成形金型４を交換する場合も上述と同様にして交換することになる。この場合まず、成形金型４をダイヘッド２の下方にずらして行う。
【符号の説明】
【００４０】
２…ダイヘッド
３，４…成形金型
３’…新しい成形金型
５，６…吹込装置
１２，１３…プラテン
１８，２０…ガイドローラ
３０…金型交換台車
３１…車体
５０…昇降支持体
６０…第１ローラ
７０…第２ローラ
８０…第３ローラ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、金型交換作業を容易に行える中空成形機における金型交換方法およびそれに使用する金型交換台車に関する。
【背景技術】
【０００２】
中空成形機は、加熱溶融した熱可塑性樹脂をヘッドから押し出して垂下したパリソンを成形金型の一対の割型にて挟みこみ、吹込装置から圧縮エアを吹込んで、閉じた一対の割型内で膨張させて中空成形品を成形する。
【０００３】
かかる中空成形機において、従来の金型交換方法としては、特許文献１に示すように、金型交換時に一対の取付プレート（プラテンともいう）から取り外した成形金型を上方からクレーンにて吊り下げて専用の交換台に保管し、代わりに新たな成形金型をクレーンにて吊り下げて前記一対の取付プレート間に位置させて、取付プレートそれぞれに成形金型を成す一対の分割型を取り付ける第１の方法がある。
【０００４】
また、他の金型交換方法として、特許文献２に示すように、金型交換時に一対のプラテンから取り外した金型装置をその側方に配置した金型交換台車上に移動させ、ついでこの台車を移動させて所定の保管位置に取り外した金型装置を保管する。一方、新たな金型装置を金型交換台車上に載せて一対プラテンの側方に移動させ、これらプラテンの側方からプラテン間に金型装置を移動させ、ついでこれらプラテンのそれぞれに金型装置を成す左側金型および右側金型を取り付ける第２の方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開平７−３０８７３６号
【特許文献２】特開２０００−２７１９９４号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
いわゆるダブルステーション型の中空成形機すなわち一対の割型から成す成形金型を２個設け、パリソンを垂下させるヘッドの両側に吹込装置を設けたものにおいて、従来はクレーンで金型を吊り上げたり吊り下げたりするため、交換すべき成形金型側の一方の吹込装置をヘッドおよび両側の吹込装置の配置空間からさらに外側にずらし、空いた空間に金型を横ずらし、上述の第１の方法のように、交換すべき金型をクレーンにて吊り上げて成形機外に移動させていた。そして新たな成形金型を空いた空間にクレーンにて移動してきて取り付けていた。しかし、吹込装置近傍に他の装置たとえば製品取出装置を設置する必要がある場合、吹込装置を上述のように外側にずらすことができないという恐れがあった。
【０００７】
また、ダブルステーション型の中空成形機において、上述の第２の方法のように、金型を成形機側方から取り出し・取り入れするタイプのものにおいても、その外側に別の装置たとえば製品取出装置などを設置する場合、成形機側方から成形金型の出し入れができないという恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、上記の課題を解消し、金型のクレーンによる吊り下げのための吹込装置の横移動するためのスペースの制限がある場合や、金型の側方からの取り出し・取り入れができない形態のダブルステーション型成形機において、容易に金型交換できることを目的とする。
【０００９】
本発明は、上記目的を達成するため、ヘッドの両側にエア吹込装置を設け、一対の割型からなる成形金型を少なくとも２個、前記ヘッドと前記吹込装置との併設方向に配設した中空成形機において、交換すべき成形金型をヘッド下方にずらして空いた一方の前記吹込装置の下方空間に金型交換台車を前記併設方向と直交する中空成形機前方から進入させ、一対のプラテンから取り外した前記交換すべき成形金型を前記一対のプラテンに設けた複数のガイドローラにて前記併設方向に移動させて前記金型交換台車の進入部に配設した方向変換手段まで案内し、該方向変換手段にて方向変換した前記成形金型を前記ガイドローラの配設方向と直交する方向に並行に前記金型交換台車上に配設した複数のローラに移動させて中空成形機外に搬出し、新たに取り付ける成形金型を前記金型交換台車の前記ローラ上に載せて前記吹込装置の下方空間に進入させ、前記新たな金型を前記方向変換手段に案内し、該方向変換手段にて方向変換した前記新たな金型を前記ガイドローラまで移動し、ついで前記新たな金型を前記一対のプラテンに取り付けることを特徴とする中空成形機の金型交換方法である。
【００１０】
また、第２の課題解決手段は、車輪付き車体と、該車体の進行方向に並行に配設した複数の第１ローラと、該第１ローラと間隔を空けてこれらローラの配設方向と同方向に並行に配設した複数の第２ローラと、該第２ローラと前記第１ローラとの間を滑動するスライド盤と、該スライド盤が前記第２ローラ上に位置したときスライド盤を持ち上げる昇降支持体と、前記第２ローラの両側に第２ローラの配設方向と直交する方向に並行に配設した複数の第３ローラとからなり、前記第２ローラ上に位置した前記スライド盤の上面が前記第３ローラの頂部から下方にあるようにしたことを特徴とする金型交換台車である。
【００１１】
上記第１の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、いわゆるダブルステーション型中空成形機において、吹込装置近傍に該吹込装置の横ずらしを阻害する他の装置があったとしても、交換すべき成形金型をヘッド下方にずらして一方の吹込装置下方空間に金型交換台車を進入させ、取り外した成形金型をガイドローラ、方向変換手段そして金型交換台車上のローラへと方向転換させながら転動させて、金型交換台車を成形機外に搬出することにより成形金型を容易に搬出することができる。一方、新たな成形金型を金型交換台車上のローラに載せ、前記下方空間に再び金型交換台車を進入させて、方向変化手段そしてガイドローラへと方向転換・転動をさせて、新たな成形金型を中空成形機に容易に取り付けることができる。
【００１２】
金型交換台車上のローラからガイドローラへの成形金型の移しは、上記第２の課題解決手段の第２ローラ、第３ローラ、昇降支持体およびスライド盤を使用して行えるが、その他に、上記第２の課題解決手段における第３ローラおよび昇降支持体を排除して、スライド盤上に滑りやすい材質のシートを使用しまたは滑りやすいようコーティングなどを施し、当該スライド盤を使用して成形金型を第２ローラから直接ガイドローラに乗り移らせるようにすることでも良い。
【００１３】
第２の課題解決手段の作用は、第１ローラ、第２ローラ、第３ローラと順にスライド盤を円滑に移動させることによって、上記第１の課題解決手段を確実に実行することができる新規な金型交換台車であることができる。
【発明の効果】
【００１４】
上述したような本発明に係る金型交換方法およびそれに使用する金型交換台車によれば、吹込装置近
傍に他の装置を設置する必要があるいわゆるダブルステーション型中空成形機において、簡易かつ効率的に金型交換をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】図１は本発明の一実施形態に使用する中空成形機の正面図である。
【図２】図２は図１に示した中空成形機の縮小した側面図である。
【図３】図３は図１に示した中空成形機の成形金型およびその周辺部を示す拡大図である。
【図４】図４は図１に示した中空成形機の後方側割型およびその周辺部を示す拡大図である。
【図５】図５は図１に示した中空成形機の前方側割型およびその周辺部を示す拡大図である。
【図６】図６は図１に示した中空成形機の前方から進入した一部切欠き金型交換台車および中空成形機を示す側面図である。
【図７】図７は図６に示した金型交換台車と中空成形機との結合状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
本発明の一実施形態に使用する中空成形機は、図１および図２に示すように、成形作動部として、樹脂組成物を溶融して押し出す押出機１、ダイヘッド２、パリソン切断装置（図示略）、左右２個の成形金型３，４、圧縮エアの吹込装置５，６、金型３，４の開閉および型締を行う型締装置７，８、金型３，４をそれらの併設方向へ横移動させる成形金型移動装置などを具備したいわゆるダブルステーション型のものである。成形金型４は、成形金型３に対し図２の紙面上背後に配設されている。
【００１７】
押出機１は、樹脂組成物の投入用ホッパ１ａ、および押出機内部に樹脂組成物の移送・混練・溶融・
吐出を行うための図示を省略したスクリュを設けている。
【００１８】
ダイヘッド２は、双頭用のものであり、押出機１の先端に接続して押出機１から供給された溶融した
樹脂組成物から２本の筒状パリソンを形成するようになっている。
【００１９】
図示を省略したパリソン切断装置は、ダイヘッド２下端から垂下する筒状パリソンの上部を切断するものであり、電熱カッタを有するカッタホルダを設けている。
【００２０】
成形金型３，４はそれぞれ、一対の割型３ａ，３ｂ，４ａ，４ｂを具備し、図３ないし図５に示すよ
うに、これら割型にパリソンを挿入させるキャビティ３ｃ，４ｃを形成している。成形金型３，４は、付帯する金型移動用電動機を備えた成形金型移動装置によって、ダイヘッド２の直下の位置および吹込装置５，６の左右の打込ノズル５ａ，５ｂ，６ａ，６ｂの直下位置間にて、横方向に延びる一対のレール９上を水平方向に交互に往復動することができるようになっている。
【００２１】
吹込装置５，６は、成形金型３，４それぞれの左右のキャビティの上方からパリソン内に挿入して圧縮エアを吹き込むものであり、左右一対の打込ノズル５ａ，５ｂ，６ａ，６ｂを上昇・下降させる打込ノズル駆動装置５ｃ、６ｃを設けている。
【００２２】
型締装置７，８は、金型３，４を型閉・型締および型開するものであり、レール９上を移動する架台１０，１１と、前方プラテン１２および後方プラテン１３と、プラテンをパーティングラインに対し相互に近接離反させて金型３，４を型締させる機構とを設けている。図１ないし図５中、符号１４，１５は上方の左右の一対のタイバー、符号１６は下方のタイバー１６を示す。
【００２３】
前方プラテン１２は、図３および図５に示すように、金型３，４の前方割型３ａ，４ａを支持するものであり、割型の背側に固定した前方割型取付板１７をボルトによって留めている。さらに、複数のガイドローラ１８をプラテン下部に回転自在に設け、前方割型取付板１７を下方から支持し、かつ金型交換時にこの取付板を水平方向に滑動させるようになっている。
【００２４】
後方プラテン１３も、図３および図４に示すように、金型３，４の後方割型３ｂ，４ｂを支持するものであり、割型の背側に固定した後方割型取付板１９をボルトによって留めている。さらに、複数のガイドローラ２０をプラテン下部に回転自在に設け、後方半型取付板１９を下方から支持し、かつ金型交換時にこの取付板を水平方向に滑動させるようになっている。
【００２５】
かかる中空成形機において、金型交換時に、図６および図７に示すような金型交換台車３０を使用する。金型交換台車３０は、市販の車輪付き手押し車体３１に成形金型に合わせた高さ調整用のＸ脚４１を設け、車体３１上に設けた金型交換架台４０をボルトで固定している。金型交換架台４０は、複数の第１ローラ６０と複数の第２ローラ７０と複数の第３ローラ８０とを具備しており、第１ローラ６０上には、金型を載せて滑動するスライド盤４３を設けている。
【００２６】
金型交換架台４０の先端に乗り継ぎ架台４２をボルトで固定し、複数の第３ローラ８０を回転自在に設けている。これら第３ローラ８０は、第１ローラ６０の配列方向と直交する方向に並行に２列に配設されている。
【００２７】
２列の第３ローラ８０間に、ボルトなどによって上下させることができるようにした昇降支持体５０を配設している。昇降支持体５０は、第２ローラ７０を、第１ローラ６０の配列方向と同一方向に２列回転自在に設けている。
【００２８】
スライド盤４３は、先端から四辺形の切欠き４３ａを形成して上から見てコ字形を成し、昇降支持体５０の２つの凸部５０ａ，５０ｂが昇降時に切欠き４３ａ内を挿通するようになっている。昇降支持体５０は、エアシリンダの駆動や図示例のボルトなどの作用によって昇降して、ガイドローラ１８，２０から第３ローラ８０上に転動した交換すべき成形金型を、第１ローラ６０から乗継架台４２の２ケ所の切欠き４２ａ，４２ｂを通って進入したスライド盤４３上に載せ、その状態で上昇させて持ち上げ、スライド盤４３上に成形金型３を移し、第１ローラ６０へ滑動させるようになっている。第２ローラ７０上に位置したスライド盤４３の上面は、第３ローラ８０の頂部から下方にあるようになっている。
【００２９】
他方、交換する新しい成形金型を載せたスライド盤４３を第１ローラ６０から第２ローラ７０へ滑動させ、昇降支持体５０をエアシリンダの駆動や図示例のボルトなどの作用によって下降させて新しい成形金型をスライド盤４３から第３ローラ８０上に移し、第３ローラ８０からガイドローラ１８，２０へ滑動させるようになっている。
【００３０】
金型交換台車３０は、図６において車体３１の４つのゴム車輪３１ａに代えて電車等の４つの鋼製車輪を使用し、かつ成形装置前方から吹込装置５，６の下方まで延びる対のレールを敷設し、対のレール上を４つの鋼製車輪が案内されて、金型交換台車３０が成形装置に対して搬入・搬出できるようにしてもよい。
【００３１】
次に、かかる成形装置における金型交換時の方法を述べる。まず、図１に示すように、２個の成形金型の最初に交換すべき成形金型３をダイヘッド２の下方にずらし、図中右側の吹込装置５の下方に所望の空間を形成する。
【００３２】
この状態にて中空成形機前方から、図６に示すように、金型交換台車３０上に固定した金型交換架台４０の乗継架台４２を先端にして吹込装置５下方の上記空間に進入させる。
【００３３】
しかる後、割型取付板１７，１９をそれぞれ、対応するプラテン１２，１３から交換すべき成形金型３とともに取り外し、図７中二点鎖線に示すように、割型取付板１７，１９をガイドローラ１８，２０から第３ローラ８０まで滑動させ、第３ローラ８０上にて止める。
【００３４】
ついで、スライド盤４３を第１ローラ６０から第２ローラ７０上に滑動させて第２ローラ７０上にて止める。その状態にて、昇降支持体５０を上昇させ、成形金型３を取り付けた割型取付板１７，１９をスライド盤４３上に載せ、スライド盤４３を第１ローラ６０上へと滑動させる。
【００３５】
第１ローラ６０上に割型取付板１７，１９および交換する成形金型３を載せた金型交換台車３０を中空成形機から後方にずらし、交換すべき成形金型３を移動させて所定の保管場所に保管する。
【００３６】
そして、新しい成形金型３’を保管場所から移動させて、図６に示すように金型交換台車３０のスライド盤４３上に載せ、図１にて形成した吹込装置５下方の空間に進入させる。
【００３７】
図７に示すように、スライド盤４３を第１ローラ６０から第２ローラ７０まで滑動させ、第２ローラ７０上にて止める。その状態にて昇降支持体５０を下降させて成形金型３’を下げ、割型取付板１７，１９を第３ローラ８０上に移し、第３ローラ８０からガイドローラ１８，２０上に滑動させてガイドローラ１８，２０上に止める。
【００３８】
ついで、割型取付板１７，１９を対応するプラテン１２，１３に取り付ける。これによって新しい成形金型３’の交換が完了することになる。
【００３９】
さらに、交換すべき次の成形金型４を交換する場合も上述と同様にして交換することになる。この場合まず、成形金型４をダイヘッド２の下方にずらして行う。
【符号の説明】
【００４０】
２…ダイヘッド
３，４…成形金型
３’…新しい成形金型
５，６…吹込装置
１２，１３…プラテン
１８，２０…ガイドローラ
３０…金型交換台車
３１…車体
５０…昇降支持体
６０…第１ローラ
７０…第２ローラ
８０…第３ローラ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ヘッドの両側にエア吹込装置を設け、一対の割型からなる成形金型を２個、前記ヘッドと前記吹込装置との併設方向に配設した中空成形機において、交換すべき成形金型を前記ヘッド下方にずらして空いた一方の前記吹込装置の下方空間に金型交換台車を前記併設方向と直交する中空成形機前方から進入させ、一対のプラテンから取り外した前記交換すべき成形金型を前記一対のプラテンに設けた複数のガイドローラにて前記併設方向に移動させて前記金型交換台車の進入部に配設した方向変換手段まで案内し、該方向変換手段にて方向変換した前記成形金型を前記ガイドローラの配設方向と直交する方向に並行に前記金型交換台車上に配設した複数のローラに移動させて中空成形機外に搬出し、新たに取り付ける成形金型を前記金型交換台車の前記ローラに載せて前記吹込装置の下方空間に進入させ、前記新たな成形金型を前記方向変換手段に案内し、該方向変換手段にて方向変換した前記新たな金型を前記ガイドローラまで移動し、ついで前記新たな金型を前記一対のプラテンに取り付けることを特徴とする中空成形機の金型交換方法。
【請求項２】
車輪付き車体と、該車体の進退方向に並行に配設した複数の第１ローラと、前記ローラと間隔を空けてこれらローラの配設方向と同方向に並行に配設した複数の第２ローラと、該第１ローラと前記第２ローラとの間を滑動するスライド盤と、該スライド盤が前記第２ローラ上に位置したときスライド盤を持ち上げる昇降支持体と、前記第２ローラの両側に第２ローラの配設方向と直交する方向に並行に配設した複数の第３ローラとからなり、前記第２ローラ上に位置した前記スライド盤の上面が前記第３ローラの頂部から下方にあるようにしたことを特徴とする金型交換台車。
【請求項１】
ヘッドの両側にエア吹込装置を設け、一対の割型からなる成形金型を２個、前記ヘッドと前記吹込装置との併設方向に配設した中空成形機において、交換すべき成形金型を前記ヘッド下方にずらして空いた一方の前記吹込装置の下方空間に金型交換台車を前記併設方向と直交する中空成形機前方から進入させ、一対のプラテンから取り外した前記交換すべき成形金型を前記一対のプラテンに設けた複数のガイドローラにて前記併設方向に移動させて前記金型交換台車の進入部に配設した方向変換手段まで案内し、該方向変換手段にて方向変換した前記成形金型を前記ガイドローラの配設方向と直交する方向に並行に前記金型交換台車上に配設した複数のローラに移動させて中空成形機外に搬出し、新たに取り付ける成形金型を前記金型交換台車の前記ローラに載せて前記吹込装置の下方空間に進入させ、前記新たな成形金型を前記方向変換手段に案内し、該方向変換手段にて方向変換した前記新たな金型を前記ガイドローラまで移動し、ついで前記新たな金型を前記一対のプラテンに取り付けることを特徴とする中空成形機の金型交換方法。
【請求項２】
車輪付き車体と、該車体の進退方向に並行に配設した複数の第１ローラと、前記ローラと間隔を空けてこれらローラの配設方向と同方向に並行に配設した複数の第２ローラと、該第１ローラと前記第２ローラとの間を滑動するスライド盤と、該スライド盤が前記第２ローラ上に位置したときスライド盤を持ち上げる昇降支持体と、前記第２ローラの両側に第２ローラの配設方向と直交する方向に並行に配設した複数の第３ローラとからなり、前記第２ローラ上に位置した前記スライド盤の上面が前記第３ローラの頂部から下方にあるようにしたことを特徴とする金型交換台車。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図６】
【図７】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図６】
【図７】
【図５】
【公開番号】特開２０１３−８６４９２（Ｐ２０１３−８６４９２Ａ）
【公開日】平成２５年５月１３日（２０１３．５．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２３２３０９（Ｐ２０１１−２３２３０９）
【出願日】平成２３年１０月２２日（２０１１．１０．２２）
【出願人】（７１１０１１３８６）株式会社タハラ (5)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年５月１３日（２０１３．５．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１０月２２日（２０１１．１０．２２）
【出願人】（７１１０１１３８６）株式会社タハラ (5)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]