説明

中立セルの抽出方法

【課題】 本発明は、接合された部品ごとの中立セルを生成する方法を提供するものである。
【解決手段】 この方法は、以下のステップを備えることにより、接合部品における中立セルを抽出する。
(1)CT計測データから、中立セルを抽出するステップ;
(2)各中立セル面上点から最も近い表裏の境界セル面上点どうしの距離に基づいて、擬似板厚を算出するステップ;
(3)前記擬似板厚に応じて、各中立セルを、少なくとも、非接合部分の領域と、接合部分の領域とに分類するステップ;
(4)前記接合部分の領域における前記中立セルと物体表面との間に、仮想中立セルを生成するステップ;
(5)前記仮想中立セルと、前記非接合部分の領域における前記中立セルとを接続することにより、連結セルを生成するステップ;
(6)前記連結セルから部品毎の前景セル集合を求めるステップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CT計測データを用いた、中立セルの抽出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のボディ等に代表される板部品のCTデータから、検査等の解析を行うためのCAD やCAE に適用可能なデータである中立面を作成するために、その中立面が通るような中立セルを抽出する方法が本発明者らにより提案されている(下記非特許文献1及び2参照)。非特許文献1では、単一の板部品を対象に、CT データから板構造部品の中立セルを抽出する手法が述べられている。また、物体の境界部まで中立セルを拡張する手法については、本発明者らにより、下記非特許文献3において述べられている。
【0003】
しかし、一般的に自動車のボディのような板部品は、溶接や蝋付けなどの手法によって他の板部品と接合されている場合が多い。このような板部品における個々の部品ごとに検査や解析を行うためには、板部品ごとに中立面を生成し、CAD モデルあるいはCAE(数値解析)用のモデルを生成しなければならない。それらのモデルに対して接合条件を付加することにより、接合を考慮した製品全体の解析を行うことが可能になる。CAD やCAE 用モデルの元となる中立面を板部品ごとに分離するには、中立面生成の元となる中立セルの抽出においても、板部品ごとに分離して抽出する必要がある。
【0004】
厚さ3.0mm の2 枚のアルミニウム板を溶接したアルミニウム溶接部品を図1 に示す。また、溶接部を持つ鉄のブラケットを図2 に示す。図1 に示すアルミニウム溶接部品のCT データから得られるボクセルモデルにおいて、各ボクセルが持つCT 値を空気とアルミニウムを分離するような閾値を用いて、CT値が閾値より大きい前景ボクセルと小さい背景ボクセルに分離して、その前景ボクセルのみを表現した前景ボクセル表現を図3(a) に示す。また、図3(a)中の実線で示した部分のCT スライス画像を図3(b) に示す。同様に、図2 で示した鉄ブラケットの前景ボクセル表現を図4(a) に示し、実線で示した部分のCT スライス画像を図4(b) に示す。
【0005】
これらの図から分かるように、複数の板部品を溶接した溶接部品をCT 計測した場合、CT 画像では、板の重なっている部分を分離して認識することができず、あたかも1 枚の板であるかのように認識してしまう。これは、2 個の板構造部品が密に接触しているため、部品間においてCT 値がほとんど低下しないためである。そのため、CT データから得られるボクセルモデルに対して、CT 値に任意の閾値を用いることで部品ごとにボクセルを分離することは不可能である。これらのボクセルモデルから、非特許文献1や2で述べた中立セル抽出手法を用いて中立セルを抽出した結果を図5 に示す。いずれの例においても2 個の板部品を分離して認識できず、部品全体を単一物体として中立セル抽出を行ってしまうため、結果として得られる中立セルは、当然板部品ごとに分離できていない。
【0006】
複数の板部品が溶接された部品(溶接部品) のCT データから、板部品ごとに中立セルを抽出するには、部品ごとに分離された前景セル集合が必要となる。図6(a)に示す、溶接部品の前景ボクセル集合から、図6(b) に示すような板部品ごとに分離された前景セル集合を抽出して、最後に図4.6(c) に示すように板部品ごとの中立セルを抽出することができれば、板部品ごとの中立面を形成することができる。
【非特許文献1】「薄板形状のCTデータからの中立面抽出(第一報)」2004年度精密工学会春季大会学術講演会論文集,2004
【非特許文献2】「Contouring Medial Surface of Thin Plate Structure using Local Marching Cubes」International Conference on Shape Modeling and Applications 2004(SMI2004) Genova, Italy, 7-9 June 2004
【非特許文献3】「薄板形状のCTデータからの中立面抽出(第三報)」2004年度精密工学会秋季大会学術講演会論文集,2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記の状況に鑑みてなされたものである。本発明は、接合された部品ごとの中立セルを生成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の、接合部品における中立セルの抽出方法は、以下のステップを備えている:
(1)CT計測データから、中立セルを抽出するステップ;
(2)各中立セル面上点から最も近い表裏の境界セル面上点どうしの距離に基づいて、擬似板厚を算出するステップ;
(3)前記擬似板厚に応じて、各中立セルを、少なくとも、非接合部分の領域と、接合部分の領域とに分類するステップ;
(4)前記接合部分の領域における前記中立セルと物体表面との間に、仮想中立セルを生成するステップ;
(5)前記仮想中立セルと、前記非接合部分の領域における前記中立セルとを接続することにより、連結セルを生成するステップ;
(6)前記連結セルから部品毎の前景セル集合を求めるステップ。
【0009】
請求項2に記載の、接合部品における中立セルの抽出装置は、以下の要素を備えている:
(1)CT計測データから、中立セルを抽出する中立セル抽出部;
(2)各中立セル面上点から最も近い表裏の境界セル面上点どうしの距離に基づいて、擬似板厚を算出する算出部;
(3)前記擬似板厚に応じて、各中立セルを、少なくとも、非接合部分の領域と、接合部分の領域とに分類する分類部;
(4)前記接合部分の領域における前記中立セルと物体表面との間に、仮想中立セルを生成する仮想中立セル生成部;
(5)前記仮想中立セルと、前記非接合部分の領域における前記中立セルとを接続することにより、連結セルを生成するグループ化部;
(6)前記連結セルから部品毎の前景セル集合を生成する生成部。
【0010】
請求項3に記載の、接合部品における中立セルの抽出用のコンピュータプログラムは、以下のステップをコンピュータに実行させる構成となっている:
(1)CT計測データから、中立セルを抽出するステップ;
(2)各中立セル面上点から最も近い表裏の境界セル面上点どうしの距離に基づいて、擬似板厚を算出するステップ;
(3)前記擬似板厚に応じて、各中立セルを、少なくとも、非接合部分の領域と、接合部分の領域とに分類するステップ;
(4)前記接合部分の領域における前記中立セルと物体表面との間に、仮想中立セルを生成するステップ;
(5)前記仮想中立セルと、前記非接合部分の領域における前記中立セルとを接続することにより、連結セルを生成するステップ;
(6)前記連結セルから部品毎の前景セル集合を求めるステップ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、接合された部品ごとの中立セルを生成する方法を提供することが可能となる。この部品ごとの中立セルを用いて、部品ごとの中立面を生成することができる。この中立面を用いて、CAD モデルあるいはCAE(数値解析)用に、部品ごとのモデルや、接合条件を加味したモデルを生成することも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る中立セルの抽出方法の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。この方法に用いる抽出装置のブロック図を図7に示す。また、この方法の全体的な流れを、図8に示す。
【0013】
まず、接合部品における中立セルの抽出装置の概略を説明する。
【0014】
この装置は、CT計測データから、中立セルを抽出する中立セル抽出部10と、
各中立セル面上点から最も近い表裏の境界セル面上点どうしの距離に基づいて、擬似板厚を算出する算出部20と、
前記擬似板厚に応じて、各中立セルを、少なくとも、部材単独の領域と、接合部分の領域とに分類する分類部30と、
前記接合部分の領域における前記中立セルと物体表面との間に、仮想中立セルを生成する仮想中立セル生成部40と、
前記仮想中立セルと、前記部材単独の領域における前記中立セルとを接続するグループ化部50とを備えている。
【0015】
これらの要素の詳細は、後述の抽出方法において説明する。また、前記した各要素は、コンピュータソフトウエアにより構成することができる。以下、本実施形態に係る、接合部品における中立セルの抽出方法について説明する。
【0016】
(ステップSa−1)
まず、中立セル抽出部10により、CT計測データから、中立セルを抽出する。必要に応じて、中立セルを拡張し、境界部まで中立セルを伸ばす。抽出及び拡張の方法は、前記非特許文献1〜3に記載されているので、詳細な説明は省略する。
【0017】
なお、本実施形態では、板部品が溶接された溶接部品をそれぞれの板部品ごとの前景セル集合に分離することを試みる。しかし、既に述べたように、CT データから得られるボクセルモデルでは、板部品が溶接されている部分と、ただ板厚が厚くなっている部分とを区別することが非常に困難である。そのため、CT データから得られるボクセルモデルのみを用いて溶接部を認識し、さらに板部品ごとに分離することは、原理的に不可能である。そこで、何らかの条件が必要となる。本実施形態では以下に述べるような前提条件を定める。
【0018】
自動車のボディ等を構成する板部品は、板厚の均一な鋼板に対してプレス加工等を施して作られることが多い。本実施形態では、このような均一な板厚を持つ板から加工される板部品を対象とする。すなわち、加工前の板厚は一定で、加工後もせいぜい曲げや伸ばし等、加工に起因する板厚変化をもつ程度の板部品を対象とする。また、溶接される板部品の板厚は等しいものとする。
【0019】
(ステップSa−2)
次に、算出部20により、各中立セルの面上点(フェイスポイント)から最も近い表裏の境界セル面上点どうしの距離を算出する。このようにして求められた距離を擬似板厚とする。擬似板厚の算出方法を以下に詳しく説明する。
【0020】
中立セルに与えられる擬似板厚の例を図9に示した。図中、黒色で表したセルを中立セル、黒色で表したセル面上点を境界セル面上点とする。セルに属する6 個のセル面上点を軸方向に3 個のグループに分けることができる。分類されたセル面上点を(x1; x2)、(y1; y2)、(z1; z2) とすると、例えばx 軸方向の測地距離GDxを、最も近い境界セル面上点を現すNBP(非特許文献1参照) を用いて、GD(NBP(x1); NBP(x2)) として求めた。そして、GDx、GDy、GDz の最大値GD が閾値θより大きければそのセルを中立セルとみなした。ある中立セルc の測地距離を最大とする軸方向をa(a = x; y; z)とし、その擬似板厚T を以下のように定義する。
【0021】

【0022】
ここで、D2(x; y) は、2 点(x; y) 間のユークリッド距離を表す。つまり、中立セルのNBP同士のユークリッド距離を擬似板厚とする。また、NBP' とは、NBPを拡張したものであり、以下で詳細を述べる。
【0023】
図9のa、b で示した中立セルの擬似板厚を、灰色の太い矢印で示した。a、b の測地距離を最大にする軸方向はy 軸となるので、y1、y2 の最も近い境界セル面上点であるNBP(y1) とNBP(y2) のユークリッド距離が擬似板厚T となる。
【0024】
この擬似板厚T は、同じ部品を対象とした場合でも、CT データから得られるボクセルモデルに対して前景ボクセルと背景ボクセルに分離する際に用いる閾値によって変化する。部品の板厚が薄くて、CT 値がその媒質のCT 値の平均であるピーク値まで達しない場合は、閾値を小さく取ることによって穴が開かないような中立セルを抽出している。自動車のボディに用いられる鋼板の厚さはたかだか0.6mm 程度なので、CT 値がピーク値まで達しない場合が多い。そのためこの場合は閾値を低くとることになる。しかしこのようにすると、実際の物体より境界部が厚くなるので、その分板厚が厚くなってしまう。
【0025】
そこで、本実施形態では、板厚を正しく評価するために、用いた閾値に対応した擬似板厚T の平均値と標準偏差が既知であるものとする。板部品の擬似板厚の平均値をT、標準偏差をσT と表す。平均値と標準偏差は、中立セルを抽出し、板部品中の溶接されていない部分をサンプリングし、その擬似板厚の平均値と標準偏差を計算することで得られる。一度求めた平均値と標準偏差は、閾値やCT 計測機器の条件を変更しない限り、同じ部品に対しては等しく適用できる。
【0026】
ここで、本実施形態の前提条件をまとめると以下のようになる
・板部品の板厚は、加工前は一定であり、加工後も曲げや伸ばし等の加工に起因する板厚変化をもつ程度である。
・前景ボクセルと背景ボクセルの分離に用いた閾値に対応した板部品の擬似板厚Tの平均値T および、標準偏差σT が既知である。
【0027】
(NBP の修正)
中立セルを抽出する手法において、ボクセルモデルのボクセル間の距離、つまりセルモデルのセルの稜線の長さは全て等しいものとして考えてきた。なぜなら中立セルを抽出するという目的においては、セルもしくはセル面上点の位相情報のみを必要とし、幾何的な情報を必要としないからである。また、稜線の長さを一定にすることにより、距離変換等の計算において距離を配列要素に持つキューを用いることができ、メモリ消費量の大幅削減が可能であった。
【0028】
しかし、本実施形態では、板厚という幾何情報を求めようとしているので、実際のセルの稜線の長さを考慮する必要がある。CT 計測機器の種類や設定にもよるが、CT 画像では、スライス画像内の隣り合うボクセル間の距離とスライス画像間の距離が等しくない場合も多い。例えば、図3 で示したアルミニウム溶接テスト部品の場合は、CT 画像から得られるボクセルモデルのボクセル間の距離がxyz 方向で(0.4mm,0.4mm,0.5mm) となっている。
【0029】
セルの稜線の長さがNBP にもたらす影響を図10を用いて2 次元の場合で説明する。図10(a)では、セルの稜線の長さが等しい場合、つまり、中立セル抽出の手法の際に用いたセルの大きさをあらわしている。図10(b) は、セルを実際の稜線の長さで表したものである。黒色で表したセルは中立セル、黒色で表したセル面上点は境界セル面上点である。
【0030】
ここで、図10(a) の中心にある中立セルに焦点を当てる。この中立セルの測地距離GD を最大とする軸方向(この場合はx 軸方向) にある2 個のセル面上点から矢印でそれぞれのNBP を示した。セルの大きさが図10(b) で表される場合、図10(a) と同じ場所にあるNBP が、中立セルに属するセル面上点から最も近い点ではなくなってしまう。最も近い境界セル面上点は図中に符号NBP'を付した点であると考えられる。この境界セル面上点をNBP'と定義する。
【0031】
今、NBP 間の距離を擬似板厚とした場合、実際の板厚よりも大きく評価されてしまう。NBP 間の距離を擬似板厚として用いると、同じ板厚を持つ物体であっても座標軸と物体の角度によって擬似板厚が異なってしまう。例えば図10(b) で示すような大きさのセルを持つ場合、同じ板がy 軸に平行に位置した場合とx 軸に平行に位置した場合を比べると、図10(a) で示すようにセルの稜線の長さが等しい空間ではy 軸に平行な板は厚く、x軸に平行な板は薄くなってしまう。
【0032】
そこで、セルの稜線の長さを実際の距離で表した図10(b) 中のNBP'間の距離を擬似板厚として用いる。あるセル面上点のNBP' を求めるためには、そのセル面上点から全ての境界セル面上点へのユークリッド距離を求め、ユークリッド距離が最も小さな値となる点を求めればよい。しかし、この方法だと、計算量が非常に大きくなってしまう。そこで、計算量削減のために、NBP' はNBP の近くに存在するという特性を利用した。ある前景セル面上点p のNBP をNBP(p) としたときに、以下のような手法で、セルの稜線の長さを考慮したNBP' (p) を求めた。
【0033】
1. bp をNBP(p) とする。
2. p とbp 間のユークリッド距離D を求める。
3. bp の18 近傍(D 近傍またはA 近傍またはP 近傍)にある境界セル面上点とp のユークリッド距離をそれぞれ求め、その最小値を

その境界面上点を

とする。
4.

であればbp を

に、D を

として、3 へ戻る。

であれば5へ進む。18 近傍(D 近傍またはA 近傍またはP 近傍)については非特許文献2に記載されているので、ここでは詳細な説明を省略する。
5. bp をNBP' (p) とする。
【0034】
1 では、セルの稜線の長さを等しいと仮定した場合のNBP をbp(Boundary Point) とする。2 でp とbp 間のユークリッド距離Dを求める。このとき、bp が最も近い境界セル面上点であるならば他の境界セル面上点とpとのユークリッド距離はD より大きいはずである。そこで、3 でbp の18 近傍にある境界セル面上点とp とのユークリッド距離を計算し、この中の最小値

とD を比べる。

が小さければ、NBP'は少なくともbp ではないので、bp をユークリッド距離が

となったセル面上点

とする。この処理を

となるまで続ければNBP' を求めることができる。
【0035】
この手法は最急降下法に似ており、NBP(p) からNBP' (p) へ向けて、境界セル面上点上を境界セル面上点とp とのユークリッド距離が小さな方向へNBP が移動すると考えられる。この操作を全ての中立セルについて行う。ただし、拡張中立セル(非特許文献3)については、NBP間の距離が意味を成さないので除外するものとする。
【0036】
(ステップSa−3)
前記までで、式(1) を用いて、板部品が溶接された溶接を一つの部品としてみた場合に得られる全ての中立セル(拡張中立セルを除く)の擬似板厚を求めることができる。この擬似板厚は溶接されて板が重なっている部分は大きく、板が単独で存在する部分は小さくなっている。この擬似板厚を元に中立セルを3 つの領域に分類する。具体的には、以下の領域である。
・溶接領域
・板領域
・接続領域
【0037】
図11にこれらの領域の概要を示す。溶接領域とは、2 枚の板が重なっている部分に存在する中立セルの集合である。板領域とは、板が他の部品の影響を受けずに単独で作る中立セルの集合のことである。接続領域とは、溶接領域と板領域の間に存在する中立セルの集合である。またこれらの領域に属する中立セルをそれぞれ、溶接中立セル、板中立セル、接続中立セルとする。ステップSa−3では、分類部30により、中立セルがどの種類の中立セルに属するかの分類を行い、同じ種類に分類された隣接する中立セルを同じグループとして、領域分けを行う。以下に、このステップにおける動作の概要を示す。
【0038】
1. 板中立セルの抽出
2. 溶接中立セルの抽出
3. 接続中立セルの抽出
4. 全ての中立セルの種類を決定
5. 中立セル領域に分類
6. 領域の修正
【0039】
1〜3 においては、擬似板厚を用いて、中立セルのうち板、溶接、接続のいずれかの種類に属するものを抽出する。このとき全ての中立セルを抽出するのではなく、条件に当てはまらない中立セルは種類付けせずに残しておき、4 の段階で種類を決める。次に、5 で中立セルの領域を分類する。最後に6 で領域の修正を行う。
【0040】
(板中立セルの抽出)
板部品が重なっていない部分の中立セルである板中立セルを抽出する。
【0041】
先に述べたように、溶接部品中において、板が重ならずに単独で存在する部分の擬似板厚の平均T と標準偏差σT は既知である。ある中立セルc の擬似板厚をT(c) とすると、板領域に属するかどうかを次の式で判断する。

【0042】
中立セルの擬似板厚と板が重なっていない部分の平均の擬似板厚との差の絶対値が、その部品の標準偏差よりも小さな場合、その中立セルを板中立セルとみなす。
【0043】
各中立セルについて、上の式を満たすものを板中立セルとする。アルミニウム溶接部品を対象に式2 を満たす中立セルを抽出して得た板中立セルを図12に示す。図中、灰色で示しているセルが中立セル全体で、長さ方向両側において濃い灰色で表わされている中立セルが板中立セルである。濃淡がまだらについているのは、式2 で示した条件に当てはまらない中立セルが存在するからである。これら中立セルは種類分けせずにそのまま残しておくものとする。
【0044】
(溶接中立セルの抽出)
次に、板が重なっている部分の中立セルである溶接中立セルを求める。このとき、CTデータから得られるボクセルモデルを前景ボクセルと背景ボクセルに分離する際に用いた閾値に注意が必要となる。
【0045】
この問題を図13を用いて説明する。図中の実線で示すような物体があるものとする。この物体においては、2枚の板が溶接されている。この物体をX 線CT で計測したCT データから前景ボクセルと背景ボクセルを分離する際に閾値を用いる。この閾値に物体のCT 値のピーク値と空気のCT 値との平均を用いた場合には、実線に示した部分が境界となる。この場合、板が重なっている溶接部の擬似板厚は、板が重なっていない部分の擬似板厚をDとすると2D 程度と考えることができる。
【0046】
しかし、物体が薄い場合に穴が開くことを防ぐために閾値を大きくした場合は異なってくる。図中の破線で示す位置を境界とするように閾値を設定したとする。溶接部と重なっていない部分の擬似板厚を破線の矢印で示した。溶接部で擬似板厚は単純に2 倍になっているわけではない。境界の位置が実際の位置よりa だけずれるとすると、板部の擬似板厚はD + 2a 程度、重なった部分の擬似板厚は2D + 2a 程度となる。
【0047】
このことを考慮して、中立セルc が以下の式を満たすときに溶接中立セルと判断する。

【0048】
ここで、a は、先ほど述べた、実際の境界との差を示している。閾値に物体と空気のCT 値の平均を用いたときはa は0 となる。a を正確に求めるのは困難であるため、この実施形態では、便宜的に、2a をセルの稜線の長さの最大値e の整数倍として、溶接中立セルを最もよく表す値を求めている。e は試行錯誤によって求める。この例は 2a=e である。
【0049】
図14に、抽出した溶接中立セルを濃い灰色で示す。
【0050】
(接続中立セルの抽出)
次に、板中立セルと溶接中立セルの間に存在する接続中立セルを求める。接続中立セルの擬似板厚は、板中立セルと溶接中立セルの擬似板厚の間にある。よって、接続中立セルの擬似板厚は、板中立セルの擬似板厚の平均

と溶接中立セルの擬似板厚の平均

の間に存在する。
【0051】
板中立セルや溶接中立セルと溶接中立セルとが重なることを防ぐため、これらの擬似板厚からセルの稜線の長さの最大値e だけ余裕を持たせ、以下2 つの式を満たすものを接続中立セルとする。

【0052】
また接続中立セルが溶接中立セルと板中立セルの間に来ることを保障するために、溶接中立セルの18近傍に存在する中立セルを一律に接続領域とする。このとき、たとえ近傍のセルが板中立セルと判定されていても接続中立セルとみなす。なお、セルの18近傍とは、そのセルに面隣接及び辺隣接しているセルの集合である。面隣接及び辺隣接については非特許文献2に記載されているので説明を省略する。
【0053】
ここで、溶接中立セルの近傍を選んだのは、図12では、板中立セルがまだらに抽出されているが、図14では溶接中立セルがまだらでないように、板中立セルに比べて溶接中立セルの抽出が容易であるからである。
【0054】
図15に、抽出した板中立セルを濃い灰色で示す。
【0055】
(全ての中立セルの分類)
図16に、これまでに種類分けされた中立セルを示す。図中濃い灰色の部分が溶接中立セルであり、まだらの灰色部分が板中立セルであり、やや濃い灰色の部分が接続中立セルである。この段階では、全てのセルを完全に種類分けできているわけではない。図17と比較すると白い粒々状に見えるセルが抽出条件に当てはまらなかった中立セルである。
【0056】
種類分けされていない中立セルは、最も近くの種類分けされている中立セルと同じ種類に分けるものとする。キューQ を用いた以下の方法によりこれを実装した。
1. 種類分けされた全ての中立セルをQ に入れる
2. Q から中立セルc を取り出し、その18 近傍にある中立セルに種類分けされていないものがあれば、そのセルをc と同じ種類の中立セルに分類し、Q に入れる。
3. Q が空になるまで2を繰り返す。
【0057】
ここで分類される中立セルには、擬似板厚を求めることができなかった拡張中立セルも含む。
【0058】
図17に、全ての中立セルの種類分けを行った状態を示す。
【0059】
(中立セル領域の導出)
ここまでで、全ての中立セル及び拡張中立セルを溶接中立セル、板中立セル、接続中立セルのいずれの状態に分類することができた。次に、これらをグループ化して領域を作り、それぞれの領域を溶接領域、板領域、接続領域とする。この実施形態では、板領域が、本明細書における非接合領域に対応する。
【0060】
グループ分けの方法はある中立セルの18 近傍について、同じ種類の中立セルを同じグループとして、徐々にグループを広げることによって行う。つまり、同じ種類の中立セルに対して、面連結成分を抽出するということになる。面連結成分については非特許文献2に記載されているので、その詳細な説明は省略する。図17には、1 個の溶接領域、2 個の板領域、2 個の接続領域がある。
【0061】
(領域の修正)
最後に領域の修正を行う。板の板厚が薄くなっている等の理由で、例えば溶接領域の中に接続領域が存在するなど、領域が正確に分類されない場合がある。そこで、次のような条件で領域の修正を行う。
・領域のセル数が小さい場合(例えば30以下)には周りの領域に吸収させる。
・接続領域のうち、板領域と溶接領域の両方に接していないものは、周りの領域に吸収させる。
【0062】
領域が小さい場合、中立セルの種類分けの段階で、何らかの原因で誤って種類わけされている可能性が高い。このような領域を周りの領域に吸収させることとする。
【0063】
また、接続領域は板領域、溶接領域の両方に必ず接するので、両方に接していない接続領域に関しては、周りの領域に吸収させるものとする。
【0064】
(ステップSa−4)
ステップSa−3までで、中立セルを溶接、板、接続のいずれかの種類に分け、そこから領域を生成した。ステップSa−4では、その中でも溶接領域に注目する。図18における最も濃い灰色の領域が溶接領域である。溶接領域は、板が重なった部分に存在するため、溶接されている個々の板部品の本来の中立セルが、図18における最も薄い灰色で示すように、溶接領域の上下の位置にあると想定される。
【0065】
この領域を仮想中立セル領域とし、その中にある中立セルを仮想中立セルとする。図18からわかるように、一つの溶接領域に対して、二つの仮想中立セル領域が存在する。仮想中立セル領域は、溶接セル領域と等しい形状を持つ領域で、その位置のみが移動したものとする。仮想中立セル領域の位置を決めるために、仮想中立セル生成部40により、以下のような操作を行う。
【0066】
溶接領域の各中立セルにおいて、中立セル抽出の際に用いた測地距離GD を最大とするような軸方向(x 軸、y 軸、z 軸)にある2 つのセル面上点からそのNBP へのベクトルを考える。図18で説明すると、ベクトルは上方向と下方向の2 種類が存在する。はじめ
に、溶接領域の全てのセルで上方向へのベクトルの平均を求める。これを

とする。同様に、下方向へのベクトルの平均

を求める。図18中の矢印がこれらのベクトルを表している。
【0067】
これらのベクトルの半分の位置、つまり

の位置へ溶接領域を移動させる。セルの位置は離散的に表現されるので、ベクトルの半分の位置に最も近い位置に移動するものとする。移動した2 個の領域を仮想中立セル領域とする。
【0068】
図19に、アルミニウム溶接部品における仮想中立セル領域を示す。図19(a)において濃い灰色とされている部分が仮想中立セル領域である。また、同図における矢印方向に見た状態を図19(b)に示す。中立セルの上下に仮想中立セル領域が生成されていることが分かる。
【0069】
(ステップSa−5及びSa−6)
このステップでは、グループ化部50により、板ごとに分離された前景セル集合を生成する。手法の流れは次のようになる。
1. 板領域と仮想中立セル領域を個々の板部品ごとにグループ化
2. 同グループの板領域と仮想中立セル領域を接続
3. それぞれの板(すなわち部品)ごとの前景セル集合を生成
【0070】
1 では、図20(a) に示すように、板領域と仮想中立セル領域のうち同じ板構造部品に属する領域同士をグループ化する。次に2 で、図20(b) に示すように同じグループの板領域と仮想中立セル領域を接続する。これにより、板部品ごとの中立セル形状を得ることができる。つまり連結セルを生成することができる。最後に3で、2で求めた中立セルに属するセル面上点から一定距離以内にある前景セル面上点を、板に属する前景セル面上点と判定し、前景セル面上点を4 個以上持つ前景セルをその板部品の前景セルとして、図20(c) のように、分離された板部品の前景セル集合を生成する。
【0071】
それぞれの手法を以下で説明する。
【0072】
(板領域と仮想中立セル領域のグループ化)
これまでに求めた仮想中立セル領域及び板領域は、いずれかの一つの板部品に属する。同一の板部品に属する板領域と仮想中立セル領域をグループ化するために、次のような操作を行う。
【0073】
1. 各仮想中立セル領域に、それを識別する番号を付与する。
2. 板領域に属する中立セルのうち接続中立セルに接する中立セルを求め、これらのセルを板エッジセルとする。
3. 各板エッジセルから最も近い仮想中立セルを求め、それが含まれる仮想中立セル領域の番号をその板エッジセルに割り当てる。
4. ある板領域の板エッジセルに割り当てられた仮想中立セル領域の番号の中に、同じ溶接領域から派生した2 つの仮想中立セル領域の番号が両方とも含まれる場合、割り当てられた番号の多い方を、その板領域とグループ化する仮想中立セル領域とする。一方だけを含む場合は、それをグループ化する仮想中立セル領域とする。
【0074】
図21で示すように、板領域と仮想中立セル領域が配置されているとする。はじめに板領域の中立セルのうち接続中立セルの6 近傍にある中立セルを板エッジセルとする。ここで6 近傍とは面隣接するセルの集合であり、これを用いるのは、板エッジセルの数を無用に増やさないためである。次にそれぞれの板エッジセルから最も近い仮想中立セルを求め、仮想中立セルの属する仮想中立セル領域を板エッジセルに記録する。
【0075】
図21の左側の板領域のように、全ての板エッジセルが同じ仮想中立セル領域の番号をもつ場合は、その板領域と仮想中立セル領域を同じグループとする。
【0076】
図21の右側の板領域のように、板領域中の板エッジセルが同じ溶接領域から派生する二つの仮想中立セル領域の番号を両方とももつ場合、数の多い方の番号の仮想中立セル領域と同じグループとする。つまり、図21では下側の仮想中立セル領域と同じグループとなる。
【0077】
全ての板領域に対してこの操作を行うと、板領域と仮想中立セル領域のグループ化が可能になる。
【0078】
(同グループの板領域と仮想中立セル領域を接続)
ここでは同じグループに属する仮想中立セル領域と板領域を接続させる。これにより、連結セルを生成する。接続は板エッジセルから最も近い同じグループの仮想中立セルを求め、それを求める過程で通った前景セルを記録しておき、それらのセルを新たに板領域に含めることで行う。
【0079】
ただし、図22のような状態の場合、矢印に示すセルに最も近い仮想中立セルが集中してしまう。このような状態を避けるため、板エッジセルから最も近いと一度判断された仮想中立セルはその後は仮想中立セルとみなさないものとする。
【0080】
図23に、板領域と仮想中立セル領域を接続させた図を示す。ここで、穴が開いている部分は、接続の過程で、その位置を板エッジセルからの仮想中立セルへ行く過程で通らなかったためである。図23(b)、(c)に板部品ごとの図を示す。
【0081】
(前景セル集合作成)
分離して接続させた中立セルに属するセル面上点から擬似板厚T の1/2以内の距離にある前景セル面上点をその分離された板部品の前景セル面上点とする。前景セルのうちその分離された板部品の前景セル面上点を4 個以上含むものをその板の前景セルとする。
【0082】
図24に前景セル集合を示す。また、板ごとの前景セル集合を図24(b)、(c) で示す。
【0083】
(ステップSa−7)
前景セル集合に対して、非特許文献1〜3などで述べられている手法を用いて中立セルを抽出すれば、板部品ごとに分離された中立セルの抽出が可能となる。図25に、板部品ごとに中立セルを抽出した結果を示す。同図(a)は、分離した板部品を同時に表示した状態であり、同図(b)及び(c)は、個々の板部品のみを表示した状態である。
【0084】
(実験例)
図26に、鉄のブラケットの前景ボクセル集合とそこから抽出した中立セルを示す。ま
た図27に、板ごとの前景セル集合を示し、図28に、本実施形態の方法によって板部品ごとに抽出した中立セルを示す。
【0085】
また、他の例として、図29のような自動車部品の一部から、本実施形態の方法によって板部品ごとの中立セルを抽出した結果を図30に示す。
【0086】
前記したような中立セルの抽出方法及び抽出装置は、コンピュータおよびコンピュータソフトウエアにより実行できる。図31に一般的なコンピュータのハードウエア構成を示す。このコンピュータは、CPU1と、メモリ2と、表示部3とを備えている。メモリ2は、処理に必要なデータ(例えば画素データ)と、処理をコンピュータに行わせるプログラムとを格納している。CPU1は、プログラムに従って、前記したような抽出方法を実行し、その結果を表示部3に出力する。使用者は、表示部3を介して結果を視認することができる。表示部3は、例えばプリンタやディスプレイである。
【0087】
なお、前記実施形態の記載は単なる一例に過ぎず、本発明に必須の構成を示したものではない。各部の構成は、本発明の趣旨を達成できるものであれば、上記に限らない。
さらに、前記した機能要素(機能ブロック)どうしは、複合して一つの機能要素に集約されても良い。また、一つの機能要素の機能が複数の機能要素の協働により実現されても良い。さらに、前記した機能要素は、機能として存在していればよく、機能実現のための手段としては、ハードウエア、コンピュータソフトウエア、これらの組み合わせなどの、任意のものを用いることができる。一つの機能要素が、物理的に離散した位置に配置されたハードウエアやコンピュータソフトウエアの協働により実現されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】アルミニウム溶接部品の一例を示す図である。
【図2】鉄ブラケットの一例を示す図である。
【図3a】アルミニウム溶接テスト部品の前景ボクセル集合を示す図である。
【図3b】アルミニウム溶接テスト部品のCTスライス画像を示す図である。
【図4a】鉄ブラケットの前景ボクセル集合を示す図である。
【図4b】鉄ブラケットのCTスライス画像を示す図である。
【図5a】溶接部品(アルミニウム溶接テスト部品)から抽出された中立セルの図である。
【図5b】溶接部品(鉄ブラケット)から抽出された中立セルの図である。
【図6】溶接部品分離の概要を説明するための説明図である
【図7】本発明の一実施形態に係る中立セルの抽出装置の概略的なブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る中立セルの抽出方法を説明するためのフローチャートである。
【図9】中立セルの擬似板厚を説明するための説明図である。
【図10】セルの稜線の長さがNBPへ与える影響を説明するための説明図である。
【図11】中立セルの領域を説明するための説明図である。
【図12】板中立セルの抽出を説明するための説明図である。
【図13】溶接部の板厚の問題点を説明するための説明図である。
【図14】溶接中立セルの抽出を説明するための説明図である。
【図15】接続中立セルの抽出を説明するための説明図である。
【図16】擬似板厚から種類分けされた中立セルを説明するための説明図である。
【図17】種類分け後の中立セルを説明するための説明図である。
【図18】仮想中立セル領域の考え方を説明するための説明図である。
【図19a】仮想中立セル領域を説明するための説明図である。
【図19b】図19aを横から見た場合の図である。
【図20】板ごとに分離された前景セルを生成する手法の流れを説明するための説明図である。
【図21】板領域と仮想中立セル領域のグループ化を説明するための説明図である。
【図22】最も近い仮想中立セルが偏る場合を説明するための説明図である。
【図23a】板領域と仮想中立セル領域の接続を説明するための説明図である。
【図23b】板領域と仮想中立セル領域の接続を説明するための説明図である。
【図23c】板領域と仮想中立セル領域の接続を説明するための説明図である。
【図24a】板部品ごとの前景セル集合を説明するための説明図である。
【図24b】板部品ごとの前景セル集合を説明するための説明図である。
【図24c】板部品ごとの前景セル集合を説明するための説明図である。
【図25a】板部品ごとの中立セルを説明するための説明図である。
【図25b】板部品ごとの中立セルを説明するための説明図である。
【図25c】板部品ごとの中立セルを説明するための説明図である。
【図26a】鉄ブラケットにおける前景ボクセル集合を示す図である。
【図26b】鉄ブラケットにおける中立セルを示す図である。
【図27a】板部品ごとの前景セル集合を示す図である。
【図27b】板部品ごとの前景セル集合を示す図である。
【図28a】板部品ごとの中立セルを示す図である。
【図28b】板部品ごとの中立セルを示す図である。
【図28c】板部品ごとの中立セルを示す図である。
【図29a】自動車部品の一部における前景ボクセル集合を示す図である。
【図29b】自動車部品の一部における中立セルを示す図である。
【図30a】板部品ごとの中立セルを示す図である。
【図30b】板部品ごとの中立セルを示す図である。
【図30c】板部品ごとの中立セルを示す図である。
【図31】本実施形態の方法に使用するコンピュータの一例を説明するための概念的なブロック図である。
【符号の説明】
【0089】
1 CPU
2 メモリ
3 表示部
10 中立セル抽出部
20 算出部
30 分類部
40 仮想中立セル生成部
50 グループ化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを備えたことを特徴とする、接合部品における中立セルの抽出方法:
(1)CT計測データから、中立セルを抽出するステップ;
(2)各中立セル面上点から最も近い表裏の境界セル面上点どうしの距離に基づいて、擬似板厚を算出するステップ;
(3)前記擬似板厚に応じて、各中立セルを、少なくとも、非接合部分の領域と、接合部分の領域とに分類するステップ;
(4)前記接合部分の領域における前記中立セルと物体表面との間に、仮想中立セルを生成するステップ;
(5)前記仮想中立セルと、前記非接合部分の領域における前記中立セルとを接続することにより、連結セルを生成するステップ;
(6)前記連結セルから部品毎の前景セル集合を求めるステップ。
【請求項2】
以下の要素を備えたことを特徴とする、接合部品における中立セルの抽出装置:
(1)CT計測データから、中立セルを抽出する中立セル抽出部;
(2)各中立セル面上点から最も近い表裏の境界セル面上点どうしの距離に基づいて、擬似板厚を算出する算出部;
(3)前記擬似板厚に応じて、各中立セルを、少なくとも、非接合部分の領域と、接合部分の領域とに分類する分類部;
(4)前記接合部分の領域における前記中立セルと物体表面との間に、仮想中立セルを生成する仮想中立セル生成部;
(5)前記仮想中立セルと、前記非接合部分の領域における前記中立セルとを接続することにより、連結セルを生成するグループ化部;
(6)前記連結セルから部品毎の前景セル集合を生成する生成部。
【請求項3】
以下のステップをコンピュータに実行させることを特徴とする、接合部品における中立セルの抽出用のコンピュータプログラム:
(1)CT計測データから、中立セルを抽出するステップ;
(2)各中立セル面上点から最も近い表裏の境界セル面上点どうしの距離に基づいて、擬似板厚を算出するステップ;
(3)前記擬似板厚に応じて、各中立セルを、少なくとも、非接合部分の領域と、接合部分の領域とに分類するステップ;
(4)前記接合部分の領域における前記中立セルと物体表面との間に、仮想中立セルを生成するステップ;
(5)前記仮想中立セルと、前記非接合部分の領域における前記中立セルとを接続することにより、連結セルを生成するステップ;
(6)前記連結セルから部品毎の前景セル集合を求めるステップ。

【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図20】
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【図31】
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【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19a】
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【図19b】
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【図21】
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【図22】
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【図23a】
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【図23b】
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【図23c】
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【図24a】
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【図24b】
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【図24c】
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【図25a】
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【図25b】
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【図25c】
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【図26a】
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【図26b】
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【図27a】
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【図27b】
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【図28a】
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【図28b】
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【図28c】
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【図29a】
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【図29b】
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【図30a】
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【図30b】
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【図30c】
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【公開番号】特開2007−87201(P2007−87201A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276482(P2005−276482)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】