説明

中継サーバおよび中継通信システム

【課題】中継通信システムを構築する上で、仮想ネットワークを動的に作成する。
【解決手段】中継サーバにおいて、ルーティンググループ情報共有部は、ルーティング制御ポイントをグループ化したルーティンググループ情報を、第1中継サーバと第2中継サーバとの間で、さらに第2中継サーバとクライアント端末との間で共有する。ルーティングセッション確立部は、中継グループ内の端末をルーティング端末として通信パケットがルーティング可能となるルーティングセッションを、中継サーバ情報を参照しながら、ルーティンググループ情報のグループごとに確立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに通信可能な複数の中継サーバと、複数のクライアント端末と、クライアント端末を中継サーバに接続するLANとを有する中継通信システムに関し、さらに中継通信システムに用いられる中継サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔のLANに接続されるクライアント端末が、WANを超えて通信することがある。VPN(Virtual Private Network)は、遠隔のLANが直接に接続されているかのようなネットワークを構築できる。しかし、VPNは、拡張性および柔軟性のあるネットワークを構築することが困難である。
【0003】
特許文献1が開示する中継通信システムは、VPNと同様に、遠隔のLANが直接に接続されているかのようなネットワークを構築できる。そして、中継通信システムは、VPNと異なり、拡張性および柔軟性のあるネットワークを構築することが容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−129991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の中継通信システムでは、各LANに接続されたクライアント端末の識別情報を共有することで、クライアント端末間での通信を可能としている。具体的には、中継サーバの識別情報とクライアント端末の識別情報との対応付け情報をネットワーク全体で共有することで、クライアント端末間の通信パケットを中継サーバが中継することを可能としている。
【0006】
本発明の目的は、互いに通信可能な複数の中継サーバを有する中継通信システムを構築する上で、仮想ネットワークを動的に作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一見地に係る中継サーバは、第1ネットワークに接続される第1中継サーバと通信可能であり、第2ネットワークに接続される第2中継サーバとして機能する。中継サーバは、中継グループ情報共有部と、中継サーバ情報共有部と、ルーティング情報作成部と、ルーティング情報共有部と、ルーティングセッション確立部とを備えている。中継グループ情報共有部は、第1中継サーバおよび第2中継サーバが中継グループを構成することを示す中継グループ情報を、第1中継サーバと第2中継サーバとの間で共有する。中継サーバ情報共有部は、第1中継サーバおよび第2中継サーバの起動情報と、第1中継サーバおよび第2中継サーバに接続されたクライアント端末の起動・登録情報とを含む中継サーバ情報を、第1中継サーバと第2中継サーバとの間で共有する。ルーティング情報共有部は、中継グループ内のルーティング制御ポイントとルーティング制御ポイントによって制御される端末のアドレスとを含むルーティング情報を、第1中継サーバと第2中継サーバとの間で共有する。ルーティンググループ情報作成部は、ルーティング情報を編集することで、ルーティング制御ポイントをグループ化したルーティンググループ情報を作成する。ルーティンググループ情報共有部は、ルーティング制御ポイントをグループ化したルーティンググループ情報を作成し、第1中継サーバと第2中継サーバとの間で、さらに第2中継サーバとクライアント端末との間で共有する。ルーティングセッション確立部は、中継グループ内の端末をルーティング端末として通信パケットがルーティング可能となるルーティングセッションを、中継サーバ情報を参照しながら、ルーティンググループ情報のグループごとに確立する。
【0008】
なお、端末とは、LAN内に存在する装置であって種類は限定されない。したがって、端末は、中継サーバ、クライアント端末、他の通信機器、ネットワークのいずれであってもよい。また、ルーティング制御ポイントは、LAN内に存在する装置であって、ルーティング制御機能を有する装置でありさえすればよい。したがって、ルーティング制御ポイントは、中継サーバまたはクライアント端末のいずれであってもよい。
【0009】
中継通信システムでは、第1中継サーバおよび第2中継サーバは、中継グループ情報、中継サーバ情報、ルーティング情報、ルーティンググループ情報を共有する。さらに、複数の中継サーバは、ルーティンググループ情報のグループごとにルーティングセッションを確立する。
【0010】
ルーティングセッション確立時には、中継サーバは、中継サーバ情報を参照することで、ルーティンググループ内のどの端末が通信可能となっているか否かを判断することができる。したがって、ルーティングセッションの確立が無駄なく実現される。
【0011】
中継サーバは、ルーティンググループ情報のグループごとに、ルーティング機能を有効化・無効化するルーティング機能制御部をさらに備えていてもよい。この場合、ルーティング機能制御部によって実際にルーティング機能の有効・無効が切り換えられる。
【0012】
中継サーバは、ルーティング情報を表示可能な表示装置をさらに備えていてもよい。この場合、ユーザは、ルーティング情報を見ながらルーティンググループ情報を作成することで、複数のルーティングセッションのルートを設定できる。つまり、ルーティングセッションのルートの設定が容易である。
【0013】
ルーティング情報を更新するルーティング情報更新部をさらに備えていてもよい。この場合は、この場合、最新のルーティング情報がリアルタイムで各端末に共有可能になる。
【0014】
本発明の他の見地に係る中継通信システムは、第1ネットワークと、第2ネットワークと、第1ネットワークに接続される第1中継サーバと、第2ネットワークに接続される第2中継サーバとを備えている。第1中継サーバと第2中継サーバは、中継サーバ情報共有部と、ルーティング情報共有部と、ルーティンググループ情報共有部と、ルーティングセッション確立部とを含んでいる。中継サーバ情報共有部は、第1中継サーバおよび第2中継サーバの起動情報と第1中継サーバおよび第2中継サーバに接続されたクライアント端末の起動・登録情報とを含む中継サーバ情報を、第1中継サーバと第2中継サーバとの間で共有する。ルーティング情報共有部は、中継グループ内のルーティング制御ポイントとルーティング制御ポイントによって制御される端末のアドレスとを含むルーティング情報を、第1中継サーバと第2中継サーバとの間で共有する。ルーティンググループ情報共有部は、ルーティング制御ポイントをグループ化したルーティンググループ情報を、第1中継サーバと第2中継サーバとクライアント端末との間で共有する。ルーティングセッション確立部は、中継グループ内の端末をルーティング端末として通信パケットがルーティング可能となるルーティングセッションを、中継サーバ情報を参照しながら、ルーティンググループ情報のグループごとに確立する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る中継サーバおよび中継通信システムでは、互いに通信可能な複数の中継サーバを有する中継通信システムを構築する上で、仮想ネットワークを動的に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】中継通信システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】第1中継サーバの構成を示すブロック図である。
【図3】中継グループ情報の概略構成を示す図である。
【図4】中継グループ情報の詳細構成を示す図である。
【図5】中継サーバ情報の概略構成を示す図である。
【図6】中継サーバ情報の詳細構成を示す図である。
【図7】第1中継サーバに格納されたクライアント端末情報の詳細構成を示す図である。
【図8】第2中継サーバに格納されたクライアント端末情報の詳細構成を示す図である。
【図9】第3中継サーバに格納されたクライアント端末情報の詳細構成を示す図である。
【図10】ルーティング情報の概略構成を示す図である。
【図11】ルーティング情報の詳細構成を示す図である。
【図12】ルーティンググループ情報の概略構成を示す図である。
【図13】ルーティンググループ情報の詳細構成を示す図である。
【図14】中継グループの構築に関わる処理の流れを示す図である。
【図15】交換前の中継サーバ情報の詳細構成を示す図である。
【図16】交換前の中継サーバ情報の詳細構成を示す図である。
【図17】交換前の中継サーバ情報の詳細構成を示す図である。
【図18】中継グループ情報および中継サーバ情報の共有に関わる処理の流れを示す図である。
【図19】第1中継サーバに格納されたルーティング情報の詳細構成を示す図である。
【図20】第2クライアント端末に格納されたルーティング情報の詳細構成を示す図である。
【図21】第3クライアント端末に格納されたルーティング情報の詳細構成を示す図である。
【図22】第5クライアント端末に格納されたルーティング情報の詳細構成を示す図である。
【図23】第6クライアント端末に格納されたルーティング情報の詳細構成を示す図である。
【図24】ルーティング情報およびルーティンググループ情報の共有に関わる処理を示す図である。
【図25】確立したルーティングセッションの例を示す図である。
【図26】ルーティング処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.中継通信システムの全体構成
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図1は、中継通信システムの全体構成を示す。中継通信システムは、第1LAN1と、第2LAN2と、第3LAN3と、WAN4とから構成される。第1LAN1、第2LAN2、第3LAN3は、遠隔に構築される小規模なネットワークである。WAN4は、インターネットなどの大規模なネットワークである。
この実施形態では、後に詳細に説明するが、第1LAN1の第1中継サーバAと、第2LAN2の第2中継サーバBと、第3LAN3の第3中継サーバCとが、第1中継サーバグループを構成している。
【0018】
第1LAN1は、第4LAN6と第5LAN7とを有しており、両者は第1汎用ルータ8により接続されている。第4LAN6では、第1中継サーバAと、第1クライアント端末A1と、第1通信機器9とが互いに接続されている。第5LAN7では、第2クライアント端末A2と、第2通信機器10と、第3通信機器11とが互いに接続されている。
第2LAN2では、第2中継サーバBと、第3クライアント端末B1と、第4通信機器14とが互いに接続されている。
第3LAN3は、第6LAN16と、第7LAN17と、第8LAN18とを有しており、第6LAN16と第7LAN17は第2汎用ルータ19により接続されており、第6LAN16と第8LAN18は第3汎用ルータ21により接続されている。第6LAN16には、第3中継サーバCが所属している。第7LAN17では、第4クライアント端末C1と、第5通信機器22とが互いに接続されている。第8LAN18では、第5クライアント端末C2と、第6通信機器23とが互いに接続されている。
【0019】
第1クライアント端末A1、第2クライアント端末A2、第3クライアント端末B1、第4クライアント端末C1、第5クライアント端末C2は、例えば、パーソナルコンピュータである。第1通信機器9、第2通信機器10、第3通信機器11、第4通信機器14、第5通信機器22、第6通信機器23も、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0020】
第1中継サーバA、第2中継サーバB、第3中継サーバCは、第1クライアント端末A1、第2クライアント端末A2、第3クライアント端末B1、第4クライアント端末C1、第5クライアント端末C2の相互間の通信を中継する。WAN4は、第1中継サーバA、第2中継サーバB、第3中継サーバCの相互間の通信を中継する。
【0021】
なお、第1中継サーバA、第2中継サーバB、第3中継サーバCの相互間の通信プロトコルは特に限定されない。
【0022】
2.中継サーバの構成要素
中継サーバは、LANだけでなくWANにも接続されており、同一のLANに接続されている各クライアント端末と通信可能であるとともに、他のLANに配置された中継サーバと通信可能になっている。そのため、各中継サーバには、プライベートIPアドレスに加えて、グローバルIPアドレスが付与されている。
図2は、第1中継サーバAの構成要素を示す。第1中継サーバAは、インターフェース121と、制御部122と、データベース格納部123とを有している。
【0023】
インターフェース121は、プライベートIPアドレスを利用して、第1LAN1内の端末に対して通信を実行する。インターフェース121は、グローバルIPアドレスを利用して、WAN4に対して通信を実行する。
【0024】
制御部122は、例えば、制御および演算の機能を有するCPUであり、ロードされたプログラムにより各種処理を実行可能である。制御部122は、LANインターフェース121AおよびWANインターフェース121Bを介して行う様々な通信を制御する処理部であり、TCP/IP、UDP,SIPなどのプロトコルに従った様々な通信処理を制御する。制御部122は、LANドライバ151と、LAN側IPパケット処理部152と、WAN側IPパケット処理部153と、ルーティング制御部154と、中継サーバ間コネクション処理部155と、中継サーバXコネクション部156とを有している。
【0025】
LANドライバ151は、インターフェース121を制御するドライバソフトウェアである。LAN側IPパケット処理部152は、LAN側から受信した通信パケットを処理し、ルーティング制御部154に出力する。ルーティング制御部154は、データベース格納部123に格納された情報に基づいて、通信パケットのルーティング先を決定する。中継サーバ間コネクション処理部155は、データベース格納部123に格納された情報に基づいて、通信パケットを中継すべきコネクションを決定し、中継サーバXコネクション部156に出力する。中継サーバXコネクション部156は、実際に、特定の中継サーバXとの間で構築されているコネクションを示す。中継サーバXコネクション部156は、通信パケットをWAN側IPパケット処理部153に出力する。
また、制御部122は、データベース格納部123に格納される以下の情報を作成または更新する。
【0026】
データベース格納部123は、例えば、ハードディスクまたは不揮発RAMであり、各種データを保存可能である。データベース格納部123は、中継グループ情報格納部124と、中継サーバ情報格納部125と、クライアント端末情報格納部126と、ルーティング情報格納部127と、ルーティンググループ情報格納部128とを有している。
【0027】
なお、第2中継サーバB、第3中継サーバCの構成要素は第1中継サーバAと同様であるので説明を省略する。
【0028】
クライアント端末は、ユーザが直接操作できる端末である。クライアント端末は、例えば、ユーザによって日々の業務に利用されるパーソナルコンピュータである。各クライアント端末には、同一のLAN内でユニークに管理されたプライベートIPアドレスが付与される。クライアント端末の構成要素は、中継サーバと同様に、LANインターフェースと、制御部と、データベース格納部である(図示せず)。
【0029】
3.中継グループ情報の具体例
図3は、中継グループ情報20の概略構成を示す。中継グループ情報は、中継通信システムにおける各中継グループの概要を示す情報である。図3は、第1中継グループが、第1中継サーバAと、第2中継サーバBと、第3中継サーバCとから構成されていることを示す。
【0030】
図4は、中継グループ情報20の詳細構成を示す。中継グループ情報20は、上位情報201、下位情報202から構成される。
【0031】
上位情報201は、第1中継グループ自体についての情報である。「group id」は、中継グループの識別情報を示す。「lastmod」は、中継グループ情報の最新更新時刻を示す。「name」は、中継グループの名称を示す。
【0032】
下位情報202は、第1中継サーバA、第2中継サーバB、第3中継サーバCについての情報である。「site id」は、中継サーバの識別情報を示す。
【0033】
中継グループ情報20は、各中継サーバの中継グループ情報格納部124において格納される。すなわち、中継グループ情報20は、第1中継サーバA、第2中継サーバB、第3中継サーバCとの間で共有される。さらに、中継グループ情報20は、中継サーバとクライアント端末との間でも共有される。
【0034】
4.中継サーバ情報の具体例
図5は、中継サーバ情報30の概略構成を示す。中継サーバ情報は、中継通信システムを構成する中継サーバおよびクライアント端末の概要を示す情報である。
【0035】
図5に示すように、第1中継サーバAには、第1クライアント端末A1および第2クライアント端末A2が接続されている。第2中継サーバBには、第3クライアント端末B1が接続されている。第3中継サーバCには、第4クライアント端末C1および第5クライアント端末C2が接続されている。
【0036】
図6は、中継サーバ情報30の詳細構成を示す。中継サーバ情報30は、上位情報301−1、301−2、301−3、下位情報302−1、302−2、302−3から構成される。
【0037】
上位情報301−1、301−2、301−3は、中継サーバについての情報である。「site id」は、中継サーバの識別情報を示す。「name」は、中継サーバの名称を示す。「stat」は、中継サーバが起動しているか否かについての情報を示す。
【0038】
下位情報302−1、302−2、302−3は、クライアント端末についての情報である。「div」は、クライアント端末の部署名を示す。「group」は、クライアント端末が所属する中継グループの識別情報を示す。「id」は、クライアント端末の識別情報を示す。「name」は、クライアント端末の名称を示す。「site」は、クライアント端末がログオンしている場合にログオン先の中継サーバの識別情報を示す。
【0039】
中継サーバ情報30は、中継サーバ情報格納部125において格納される。すなわち、中継サーバ情報30は、第1中継サーバA、第2中継サーバB、第3中継サーバC間で共有される。さらに、中継サーバ情報30は、中継サーバおよびクライアント端末間で共有される。
【0040】
中継サーバが起動しているときには、上位情報301−1、301−2、301−3の「stat」が「active」になっている。中継サーバが起動していないときには、「stat」が空欄になっている。これにより、中継サーバが起動しているか否かについての情報が、中継通信システム全体として共有される。
【0041】
クライアント端末が中継サーバにログオンしているときには、下位情報302−1、302−2、302−3の「site」にクライアント端末のログオン先の中継サーバの識別情報が記載されている。クライアント端末が中継サーバにログオンしていないときには、「site」は空欄になっている。これにより、クライアント端末が中継サーバにログオンしているか否かについての情報が、中継通信システム全体として共有される。
【0042】
5.クライアント端末情報
図7、図8および図9は、クライアント端末情報の具体例として、クライアント端末情報40、50、60をそれぞれ示す。クライアント端末情報は、中継通信システムを構成するクライアント端末の詳細を示す情報である。
【0043】
「addr」は、クライアント端末アドレス情報であり、具体的にはクライアント端末のIPアドレスを示す。「div」は、クライアント端末の部署名を示す。「expr」は、クライアント端末有効期限情報であり、具体的にはクライアント端末のレジスト有効期限を示す。「group」は、クライアント端末が所属する中継グループの識別情報を示す。「id」は、クライアント端末の識別情報を示す。「name」は、クライアント端末の名称を示す。「pass」は、クライアント端末のパスワードを示す。「port」は、クライアント端末ポート情報であり、具体的にはクライアント端末のポート番号を示す。
【0044】
クライアント端末情報40は、第1中継サーバAのクライアント端末情報格納部126において格納される。クライアント端末情報50は、第2中継サーバBのクライアント端末情報格納部126において格納される。クライアント端末情報60は、第3中継サーバCのクライアント端末情報格納部126において格納される。
【0045】
6.ルーティング情報
ルーティング情報は、中継グループ内のルーティング制御ポイントとして機能する端末が制御する端末のIPアドレスから構成された情報である。第1中継グループ内でルーティング制御ポイントとして機能するのは、第1中継サーバA、第2クライアント端末A2、第3クライアント端末B1、第4クライアント端末C1、第5クライアント端末C2である。ルーティング情報は、ルーティング制御ポイントが保持している制御対象である端末のIPアドレスに関する情報を合成して形成されている。
【0046】
図10は、ルーティング情報70の概略構成を示す。ルーティング情報70は、ルーティング情報70−1、ルーティング情報70−2、ルーティング情報70−3、ルーティング情報70−4、ルーティング情報70−5に分かれている。
【0047】
ルーティング情報70−1は、第1中継サーバAに保持された情報であり、第1中継サーバAのIPアドレス(192.168.1.10)と、第1通信機器9のIPアドレス(192.168.1.20)と、第1クライアント端末A1のIPアドレス(192.168.1.30)を含んでいる。
【0048】
ルーティング情報70−2は、第2クライアント端末A2に保持された情報であり、第2クライアント端末A2のIPアドレス(192.168.2.1)と、第2通信機器10のIPアドレス(192.168.2.2)と、第3通信機器11のIPアドレス(192.168.2.3)を含んでいる。
【0049】
ルーティング情報70−3は、第3クライアント端末B1に保持された情報であり、第4通信機器14のIPアドレス(192.100.1.2)を含んでいる。
【0050】
ルーティング情報70−4は、第4クライアント端末C1に保持された情報であり、第4クライアント端末C1のIPアドレス(200.1.2.1)と、第5通信機器22とのIPアドレス(200.1.2.2)を含んでいる。
【0051】
ルーティング情報70−5は、第5クライアント端末C2に保持された情報であり、第6LAN18のIPアドレス(200.1.3.0/24)を含んでいる。
【0052】
図11は、ルーティング情報70の詳細構成を示す。「router id」は、各ルーティング制御端末の識別情報を示す。「dev addr」は、端末のIPアドレスを示す。「id」は、第1中継グループにおける端末の識別情報を示す。
【0053】
7.ルーティンググループ情報
ルーティンググループ情報は、ルーティング情報内のIPアドレスを複数のグループに分けて構成した情報である。
【0054】
ルーティンググループ情報の作成について説明する。ルーティンググループ情報は中継グループ情報に関連付けられており、ユーザが端末において中継グループを選択すると、対応するルーティンググループ情報がディスプレイに表示される。ユーザは、クライアント端末または通信機器のディスプレイに表示されたルーティング情報を見ながら、ルーティング情報内のIPアドレスを複数のグループに分けることでルーティンググループ情報を作成する。具体的には、ユーザからの指示に従って、中継サーバの制御部がルーティンググループ情報を作成して、ルーティンググループ情報格納部に格納する。
【0055】
図12は、ルーティンググループ情報80の概要構成を示す。ルーティンググループ情報80は、ルーティンググループAとルーティンググループBにグループ分けされている。ルーティンググループAには、第1中継サーバAと第5クライアント端末C2が所属している。ルーティンググループBには、第2クライアント端末A2と第3クライアント端末B1と第4クライアント端末C1が所属している。
【0056】
図13は、ルーティンググループ情報80の詳細構成を示す。ルーティンググループ情報80は、上位情報801−1、801−2、下位情報802−1、802−2、802−3、802−4、802−5を有している。
【0057】
上位情報は、ルーティンググループに関する情報である。上位情報801−1、801−2において、「rtgroup id」はルーティンググループの識別情報を示す。「lastmod」は、ルーティンググループ情報の最新更新時刻を示す。「name」はルーティンググループの名称を示す。
【0058】
下位情報は、ルーティング制御ポイントに関する情報である。下位情報802−1、802−2、802−3、802−4、802−5において、「router id」は、ルーティング制御端末の識別情報を示す。「dev addr」は、端末のIPアドレスを示す。「id」は、中継グループにおける端末の識別情報を示す。
【0059】
8.初期設定
図14のシーケンス図を用いて、第1中継グループの初期設定について説明する。具体的には、図11は、中継グループ情報、中継サーバ情報、クライアント端末情報の作成に関連する処理の流れを示す。
【0060】
8−1.アカウントの作成
第1中継サーバAの管理者は、第1クライアント端末A1および第2クライアント端末A2のユーザに対して、アカウントを作成する(ステップS1、ステップS2:Create_Account())。第2中継サーバBの管理者は、第3クライアント端末B1のユーザに対して、アカウントを作成する(ステップS3、ステップS4:Create_Account())。第3中継サーバCの管理者は、第4クライアント端末C1および第5クライアント端末C2のユーザに対して、アカウントを作成する(ステップS5、ステップS6:Create_Account())。
【0061】
以上の処理において、第1中継サーバAは、中継サーバ情報(後述)を作成し保存する。第2中継サーバBは、中継サーバ情報(後述)を作成し保存する。第3中継サーバCは、中継サーバ情報(後述)を作成し保存する。また、第1中継サーバAはクライアント端末情報を作成して格納し、第2中継サーバBはクライアント端末情報を作成して格納し、第3中継サーバCはクライアント端末情報を作成して格納する。
【0062】
図15、図16、図17は、中継サーバ情報31−1、中継サーバ情報31−2、中継サーバ情報31−3をそれぞれ示す。中継サーバ情報31−1は、第1中継サーバAが作成し保存する情報である。中継サーバ情報31−2は、第2中継サーバBが作成し保存する情報である。中継サーバ情報31−3は、第3中継サーバCが作成し保存する情報である。
【0063】
図15は、中継サーバ情報31−1を示す。上位情報311−1は、第1中継サーバAについての情報である。「site id」として、「serverA@relay.net」が設定されている。「name」として、「ServerA」が設定されている。「stat」として、「active」が設定されている。
【0064】
下位情報312−1は、第1クライアント端末A1および第2クライアント端末A2についての情報である。
【0065】
第1クライアント端末A1についての情報は以下の通りである。「div」として、「dev」が設定されている。「group」として、「20070402133100@serverA.relay.net」が設定されている。「id」として、「clientA1@ServerA.relay.net」が設定されている。「name」として、「clientA1」が設定されている。なお、図15において「site」は、「serverA.relay.net」が設定されており、第1クライアント端末A1のユーザは第1中継サーバAにログオンしていることになっているが、実際は図14のステップS1〜S6の段階では「site」は空欄になっている。
【0066】
第2クライアント端末A2についての情報は以下の通りである。「div」として、「dev」が設定されている。「group」として、「20070402133100@serverA.relay.net」が設定されている。「id」として、「clientA2@serverA.relay.net」が設定されている。「name」として、「clientA2」が設定されている。なお、「site」の表記は、第1クライアント端末A1の場合と同様である。
【0067】
中継サーバ情報31−2および中継サーバ情報31−3の内容は、中継サーバ情報31−1の内容と同様であるので、説明を省略する。
【0068】
8−2.中継グループ情報の作成
図14において、第1中継サーバAは、第2中継サーバBに対して、中継通信システムのグループ構築を要求する(ステップS7:Set_Group())。第1中継サーバAおよび第2中継サーバBは、中継グループ情報を作成して格納する。次に、第1中継サーバAは、第2中継サーバBに対して中継サーバ情報の交換を要求する(ステップS8:Exchange())。これにより、第1中継サーバAは第2中継サーバに対して中継サーバ情報を送信し、第2中継サーバBは第1中継サーバAに対して中継サーバ情報を送信する。第1中継サーバAおよび第2中継サーバBは、中継サーバ情報を合成して新たな中継サーバ情報として、それを保存する。なお、図示していないが、ステップS7およびステップS8と同様の処理は、第1中継サーバAと第3中継サーバCとの間でも実行され、さらに、第2中継サーバBと第3中継サーバCとの間でも実行される。その結果、第1中継サーバA、第2中継サーバB、第3中継サーバCの間で共通の中継サーバ情報が保有される。
【0069】
8−3.ログオン動作時における中継サーバ情報の更新
第2クライアント端末A2のユーザは、第2クライアント端末A2の識別情報とパスワードを入力して、第1中継サーバAにログオンする(ステップS9:Register)。第1中継サーバAは、クライアント端末情報を参照して、第2クライアント端末A2のユーザ認証を行う。第1中継サーバAは、クライアント端末情報を更新する。
【0070】
続いて、第2クライアント端末A2は、第1中継サーバAに対して、中継グループ情報および中継サーバ情報の提供を要求する(ステップS10:get())。第1中継サーバAは、第2クライアント端末A2に対して、中継グループ情報および中継サーバ情報を送信する。第2クライアント端末A2は、中継グループ情報および中継サーバ情報を格納する。
【0071】
第1中継サーバAは、中継サーバ情報を参照し、第2中継サーバBに関する「site」が「active」になっていることを確認すれば、中継サーバ情報が更新されたことを第2中継サーバBに通知すべきと判断する。第1中継サーバAは、第2中継サーバBに対して、中継サーバ情報が更新されたことを通知する(ステップS11:Notify())。第2中継サーバBは、中継サーバ情報を更新し、それを格納する。なお、第1中継サーバAは、中継サーバ情報が更新されたことを、第3中継サーバCにも通知する(ステップS10:Notify())。
【0072】
第1クライアント端末A1、第3クライアント端末B1、第4クライアント端末C1、第5クライアント端末C2のユーザが各中継サーバにログオンすれば、同様にして中継サーバにおける中継サーバ情報が更新される。また、同様にして、各クライアント端末のユーザがログオフした場合にも中継サーバにおける中継サーバ情報が更新される。
【0073】
9.各情報の共有
9−1.中継グループ情報の共有
中継グループの情報が変更された場合の共有処理について説明する。
図18において、第1中継グループに変更が生じると、例えば、第1中継サーバAは、第2中継サーバBに対して、変更された中継グループ情報を送信する(ステップS21:Set_Group(中継グループ情報))。すると、第2中継サーバBは、第3クライアント端末B1に中継グループ情報を送信する(ステップS21.1:Set_Group(中継グループ情報))。第3クライアント端末B1からOkが返ってくると、第2中継サーバBは第1中継サーバAにOkを返す。
【0074】
さらに、第1中継サーバAは、第1クライアント端末A1に変更された中継グループ情報を送信する(ステップS22:Set_Group(中継グループ情報))。第1クライアント端末A1は第1中継サーバAにOKを返す。第1中継サーバAは、第2クライアント端末A2に変更された中継グループ情報20を送信する(ステップS23:Set_Group(中継グループ情報))。第2クライアント端末A2は第1中継サーバAにOkを返す。
【0075】
第1中継サーバAは、第3中継サーバCに対して、中継通信システムの中継グループ情報20を送信する(ステップS21.3:Set_Group(中継グループ情報))。すると、第3中継サーバCは、第4クライアント端末C1と第5クライアント端末C2に中継グループ情報20を送信する(ステップS21.3.1およびステップS21.3.2:Set_Group(中継グループ情報))。第4クライアント端末C1および第5クライアント端末C2からそれぞれOkが返ってくると、第3中継サーバCは第1中継サーバAにOkを返す。
【0076】
以上の処理により、全ての中継サーバおよびクライアント端末が中継グループ情報を共有する。
【0077】
9−2.中継サーバ情報の共有
中継サーバ情報の共有について説明する。ここでは、共有のための処理は、イベント通知のフレームワークを用いる。イベント通知において、購読者はリソースの状態通知を要求するエージェントであり、通知者はリソースの状態を通知するエージェントである。購読期間中にリソースの状態に変化があったときには、通知者から購読者に変化が通知される。
【0078】
第1中継サーバAは、第2中継サーバBに対して、中継サーバ情報の購読を申し込む(ステップS24:Subscribe())。第2中継サーバBは、中継サーバ情報が示す状態に変更があった場合には、自ら保持している中継サーバ情報を更新する。そして、第2中継サーバBは、更新した中継サーバ情報を第1中継サーバAに送信する。第1中継サーバAは、第2中継サーバBから送信されてきた中継サーバ情報を利用して、中継サーバ情報を更新する。第1中継サーバAは、中継サーバ情報が更新されたことを第1クライアント端末A1に通知し(ステップS25:Notify(中継サーバ情報))、さらに第2クライアント端末A2に通知する(ステップS26:Notify(中継サーバ情報))。
【0079】
次に、第1中継サーバAは、第3中継サーバCに対して、中継サーバ情報の購読を申し込む(ステップS27:Subscribe())。第3中継サーバCは、中継サーバ情報が示す状態に変更があった場合に、自ら保持している中継サーバ情報を更新する。そして、第3中継サーバCは、更新した中継サーバ情報を第1中継サーバAに送信する。第1中継サーバAは、第3中継サーバCから送信されてきた中継サーバ情報を利用して、中継サーバ情報を更新する。第1中継サーバAは、中継サーバ情報が更新されたことを第1クライアント端末A1に通知し(ステップS28:Notify(中継サーバ情報))、さらに第2クライアント端末A2に通知する(ステップS29:Notify(中継サーバ情報))。
【0080】
第2中継サーバBは、第1中継サーバAに対して、中継サーバ情報の購読を申し込む(ステップS30:Subscribe())。第1中継サーバAは、中継サーバ情報が示す状態に変更があった場合に、自ら保持している中継サーバ情報を更新する。そして、第1中継サーバAは、更新した中継サーバ情報を第2中継サーバBに送信する。第2中継サーバBは、第1中継サーバAから送信されてきた中継サーバ情報を利用して、中継サーバ情報を更新する。第2中継サーバBは、中継サーバ情報が更新されたことを第3クライアント端末B1に通知する(ステップS31:Notify(中継サーバ情報))。
【0081】
第2中継サーバBは、第3中継サーバCに対して、中継サーバ情報の購読を申し込む(ステップS33:Subscribe())。第3中継サーバCは、中継サーバ情報が示す状態に変更があった場合に、自ら保持している中継サーバ情報を更新する。そして、第3中継サーバCは、更新した中継サーバ情報を第2中継サーバBに送信する。第2中継サーバBは、第3中継サーバCから送信されてきた中継サーバ情報を利用して、中継サーバ情報を更新する。第2中継サーバBは、中継サーバ情報が更新されたことを第3クライアント端末B1に通知する(ステップS34:Notify(中継サーバ情報))。
【0082】
第3中継サーバCは、第2中継サーバBに対して、中継サーバ情報の購読を申し込む(ステップS36:Subscribe())。第2中継サーバBは、中継サーバ情報が示す状態に変更があった場合に、自ら保持している中継サーバ情報を更新する。そして、第2中継サーバBは、更新した中継サーバ情報を第3中継サーバCに送信する。第3中継サーバCは、第2中継サーバBから送信されてきた中継サーバ情報を利用して、中継サーバ情報を更新する。第3中継サーバCは、中継サーバ情報が更新されたことを第4クライアント端末C1に通知し(ステップS37:Notify(中継サーバ情報))、さらに第5クライアント端末C2に通知する(ステップS38:Notify(中継サーバ情報))。
【0083】
第3中継サーバCは、第1中継サーバAに対して、中継サーバ情報の購読を申し込む(ステップS39:Subscribe())。第1中継サーバAは、中継サーバ情報が示す状態に変更があった場合に、自ら保持している中継サーバ情報を更新する。そして、第1中継サーバAは、更新した中継サーバ情報を第3中継サーバCに送信する。第3中継サーバCは、第1中継サーバAから送信されてきた中継サーバ情報を利用して、中継サーバ情報を更新する。第3中継サーバCは、中継サーバ情報が更新されたことを第4クライアント端末C1に通知し(ステップS40:Notify(中継サーバ情報))、さらに第5クライアント端末C2に通知する(ステップS41:Notify(中継サーバ情報))。
【0084】
以上の処理により、第1中継サーバA、第2中継サーバB、第3中継サーバCは、中継サーバ情報が更新された場合にも、直ちに更新された中継サーバ情報を共有する。したがって、第1中継サーバA、第2中継サーバB、第3中継サーバCは、他の中継サーバの起動状態、中継サーバに接続されているクライアント端末の種類およびログオン状態を常に知ることができる。
【0085】
9−3.情報共有のまとめ
中継通信システムにおいて、LANおよびクライアント端末の増減状態および接続状態が変化した場合には、一の中継サーバは、状態変化を認識したときには、その内容に応じて、中継グループ情報、中継サーバ情報、クライアント端末情報を直ちに更新する。
【0086】
そして、一の中継サーバは、中継グループ情報および中継サーバ情報に記載されている他の中継サーバに、中継グループ情報および中継サーバ情報が更新されたことを直ちに通知する。さらに、一の中継サーバは、クライアント端末情報に記載されているクライアント端末に、中継グループ情報および中継サーバ情報が更新されたことを直ちに通知する。
【0087】
しかし、一の中継サーバは、他の中継サーバが中継グループ情報および中継サーバ情報に記載されているとしても、他の中継サーバが未接続状態にあると判断したときには、他の中継サーバに直ちに通知することはない。さらに、一の中継サーバは、クライアント端末がクライアント端末情報に記載されているとしても、クライアント端末が未接続状態にあると判断したときには、クライアント端末に直ちに通知することはない。
【0088】
これにより、LANおよびクライアント端末の増減状態および接続状態についての情報は、中継通信システム全体としてリアルタイムに共有される。
【0089】
10.ルーティング情報の作成
次に、ルーティング情報の作成について説明する。図14のステップS9において第2クライアント端末A2が第1中継サーバAにログオンする際に、第2クライアント端末A2は第1中継サーバAに対して自らが保持しているルーティング情報を送信する。その結果、第1中継サーバAは第2クライアント端末A2のルーティング情報を格納する。同様にして、第3クライアント端末B1が第2中継サーバBにログオンするときに、第3クライアント端末B1は自らが保持しているルーティング情報を第2中継サーバBに送信する。その結果、第2中継サーバBは第3クライアント端末B1のルーティング情報を格納する。同様にして、第4クライアント端末C1が第3中継サーバCにログオンする際に、第4クライアント端末C1は自らが保持しているルーティング情報を第3中継サーバCに送信する。その結果、第3中継サーバCは第4クライアント端末C1のルーティング情報を格納する。同様にして、第5クライアント端末C2が第3中継サーバCにログオンする際に、第5クライアント端末C2は自らが保持しているルーティング情報を第3中継サーバCに送信する。その結果、第3中継サーバCは第5クライアント端末C2のルーティング情報を格納する。
【0090】
図19は、ルーティング情報71−1の詳細構成を示す。ルーティング情報71−1は、第1中継サーバAがルーティング制御ポイントとして保持するルーティング情報である。
【0091】
図20は、ルーティング情報71−2の詳細構成を示す。ルーティング情報71−2は、第2クライアント端末A2がルーティング制御ポイントとして保持するルーティング情報である。
【0092】
図21は、ルーティング情報71−3の詳細構成を示す。ルーティング情報71−3は、第3クライアント端末B1がルーティング制御ポイントとして保持するルーティング情報である。
【0093】
図22は、ルーティング情報71−4の詳細構成を示す。ルーティング情報71−4は、第4クライアント端末C1がルーティング制御ポイントとして保持するルーティング情報である。
【0094】
図23は、ルーティング情報71−5の詳細構成を示す。ルーティング情報71−5は、第5クライアント端末C2のルーティング制御ポイントとして保持するルーティング情報である。
【0095】
以上より、全てのクライアント端末がログオンすれば、以下の動作が行われることになる。ルーティング情報71−1、ルーティング情報71−2が第1中継サーバAに保存され、ルーティング情報71−3が第2中継サーバBに保存され、ルーティング情報71−4、ルーティング情報71−5が第3中継サーバCに保存される。
【0096】
図24を用いて、ルーティング情報を作成・共有する処理について説明する。最初に、第1中継サーバAは、第2中継サーバBに対してルーティング情報の交換を要求する(ステップS51:Exchange())。これにより、第1中継サーバAは第2中継サーバBに対してルーティング情報を送信し、第2中継サーバBは第1中継サーバAに対してルーティング情報を送信する。第1中継サーバAおよび第2中継サーバBは、ルーティング情報を合成して新たなルーティング情報として保存する。第1中継サーバAは、第3中継サーバCに対してルーティング情報の交換を要求する(ステップS52:Exchange())。これにより、第1中継サーバAは第3中継サーバCに対してルーティング情報を送信し、第3中継サーバCは第1中継サーバAに対してルーティング情報を送信する。第1中継サーバAおよび第3中継サーバCは、ルーティング情報を合成して新たなルーティング情報として保存する。第2中継サーバBは、第3中継サーバCに対してルーティング情報の交換を要求する(ステップS53:Exchange())。これにより、第2中継サーバBは第3中継サーバCに対してルーティング情報を送信し、第3中継サーバCは第2中継サーバBに対してルーティング情報を送信する。第2中継サーバBおよび第3中継サーバCは、ルーティング情報を合成して新たなルーティング情報として保存する。
以上の処理により、第1中継サーバA、第2中継サーバB、第3中継サーバCが共通のルーティング情報(例えば、図11のルーティング情報70)を保有する。なお、ルーティング情報に基づいて、中継サーバは、IPアドレスの重複を検出することができる。
【0097】
さらに、第1中継サーバAは、ルーティング情報を第1クライアント端末A1に通知し(ステップS54:Notify())、さらに第2クライアント端末A2に通知する(ステップS55:Notify())。第2中継サーバBは、ルーティング情報を第3クライアント端末B1に通知する(ステップS56:Notify())。第3中継サーバCは、ルーティング情報を第4クライアント端末C1に通知し(ステップS58:Notify())、さらに第5クライアント端末C2に通知する(ステップS59:Notify())。
以上の結果、第1中継グループ内の全てのクライアント端末が共通のルーティング情報を保有する。
【0098】
11.ルーティンググループ情報の作成
ルーティンググループ情報の作成・共有について説明する。共通のルーティング情報(例えば、図10のルーティング情報70)は、クライアント端末のディスプレイに表示可能である。そこで、ユーザはルーティング情報を見ながら、ルーティンググループ情報を作成することができる。
【0099】
第1クライアント端末A1のユーザは、ルーティンググループ情報(例えば、図13のルーティンググループ情報80)を作成して、第1中継サーバAに保存する(ステップS60:Create_RoutingGroup)。具体的には、第1中継サーバAの制御部122が、ユーザからの指示に従ってルーティンググループ情報を作成する。次に、第1中継サーバAは、ルーティンググループ情報を第2中継サーバBに送信し(ステップS61:Notify())、さらに第3中継サーバCに送信する(ステップS62:Notify)。第1中継サーバAは、第2クライアント端末A2に通知する(ステップS64:Notify())。第2中継サーバBは、ルーティンググループ情報を第3クライアント端末B1に通知する(ステップS65:Notify())。第3中継サーバCは、ルーティンググループ情報を第4クライアント端末C1に通知し(ステップS67:Notify())、さらに第5クライアント端末C2に通知する(ステップS68:Notify())。
【0100】
以上の結果、第1中継グループ内の全ての中継サーバおよびクライアント端末が共通のルーティンググループ情報を保有する。
【0101】
この結果、ルーティンググループ内の端末同士で行われるルーティングセッションの準備が実現されたことになる。つまり、グループ内の端末同士は、直接IPアドレスを指定した通信を行うことが可能である。なお、第5クライアント端末C2がルーティング制御ポイントとして保有するアドレスは、第6LAN18のネットワークアドレスである。したがって、この場合は第6LAN18に接続されている全ての端末からの通信パケットはルーティングセッションを利用して通信可能になる。
【0102】
また、ユーザは、ルーティング情報を見ながらルーティンググループ情報を作成することで、複数のルーティングセッションのルートを設定できる。つまり、ルーティングセッションのルートの設定が容易である。
【0103】
ルーティングセッション確立時には、中継サーバは、中継サーバ情報を参照することで、ルーティンググループ内の端末が通信可能となっているか否かを判断することができる。したがって、ルーティングセッションの確立が無駄なく実現される。
【0104】
12.ルーティングセッションの例
図25は、ルーティングセッションの例を示す。
ルーティンググループAでは、第1中継サーバAと第5クライアント端末C2との間に第1ルーティングセッション401を確立することが可能である。その場合は、第1中継サーバA、第3中継サーバC、第5クライアント端末C2を通って、通信パケットが転送される。
【0105】
ルーティンググループBでは、第2クライアント端末A2と、第3クライアント端末B1と、第4クライアント端末C1との間に、複数のルーティングセッションを確立することができる。その場合は、第2ルーティングセッション402では、第2クライアント端末A2、第1中継サーバA、第2中継サーバB、第3クライアント端末B1のルートを通って、通信パケットが転送される。第3ルーティングセッション403では、第2クライアント端末A2、第1中継サーバA、第3中継サーバC、第4クライアント端末C1のルートを通って、通信パケットが転送される。第4ルーティングセッション404では、第4クライアント端末C1、第3中継サーバC、第2中継サーバB、第3クライアント端末B1のルートを通って、通信パケットが転送される。
【0106】
ルーティングセッション確立のための接続開始指示には、選択されたルーティンググループの情報が含まれている。したがって、選択されたルーティンググループにおいて、ルータ端末として選択されている中継サーバやクライアント端末間でルーティングセッションが自動的に確立され、つまりルーティングネットワークが構築される。以上のようにして、中継サーバは、ルーティンググループ情報のグループごとに、ルーティング機能を有効化・無効化するルーティング制御機能を有している。
ルーティングセッションが確立してから実際にルーティング機能が開始するには、例えば、グループ内のルーティング制御ポイントになる端末が全て起動している状態になるのを待つ。または、グループ内のルーティング制御ポイントになる端末のいくつかが起動している状態になるのを待つ。いずれの場合も、端末の起動状態は中継サーバ情報によって確認することができる。
また、切断指示が入力されると、ルーティングセッションが切断され、その結果ルーティングネットワーク機能が停止される。
【0107】
13.ルーティング処理
ルーティングが開始されると、確立されたルーティングセッションを用いて、中継通信システムの通信機能によってIPパケットのルーティング制御が行われる。このように、本実施形態で有効化されるルーティングは、アプリケーション層において実行されるルーティングであり、通常のIPルーティングとは異なる。
【0108】
図26は、ルーティングセッションが確立されている状態で、中継サーバが通信パケットを実際にルーティング処理するフローチャートである。中継サーバは、通信パケットを受信すれば、通信パケットの解析を行い(S201)、通信パケットがルーティングパケットであるか否かを判定する(ステップS202)。通信パケットがルーティングパケットでないならば(ステップS202でNO)、通信パケットの受信処理を行う(ステップS204)。
【0109】
通信パケットがルーティングパケットであるならば(ステップS202でYES)、通信パケットの送信元IPアドレスと宛先IPアドレスとを検出する(ステップS203)。そして、中継サーバは、検出した送信元IPアドレスと宛先IPアドレスとから通信パケットをルーティング可能か否かを判定する。つまり、送信元IPアドレスとおよび宛先IPアドレスが所属するルーティンググループ情報に登録されているか否かを判断する(ステップS205)。
【0110】
ルーティング可能であると判断すれば、確立されているルーティングセッションを利用して通信パケットを送出する(ステップS206)。ルーティングが可能ではないと判断すれば、送信元の端末に宛先到達不能を示す通知を行う(ステップS207)。
【0111】
図2のブロック図において、ルーティング処理の流れを説明する。第1中継サーバAは、インターフェース121、LANドライバ151を介して、通信パケットを受信する。通信パケットがLAN側から受信したものであれば、LAN側パケット処理部152を介して、ルーティング制御部154に通信パケットが出力される。ルーティング制御部154は、ルーティンググループ情報を参照し、ルーティング情報があるか否かを確認する。ルーティング情報が存在する場合には、中継サーバ間コネクション処理部155に通信パケットを出力する。
【0112】
中継サーバ間コネクション処理部155は、通信パケットの宛先IPアドレスに応じて中継すべきコネクションを決定し、生成されている中継サーバXコネクション部156に通信パケットを受け渡す。
【0113】
中継サーバXコネクション部156は、通信パケットをWAN側IPパケット処理部153に出力する。これにより、LANドライバ151、インターフェース121を介して、通信パケットがルーティングセッションを利用して相手の中継サーバまで転送される。
【0114】
14.本発明の効果
本実施の形態の中継通信システムでは、ルーティンググループ情報を構築することによって、ルーティングに必要なルーティングセッションを確立してWAN3を介して通信端末間で通信パケットをルーティングすることが可能である。ルーティンググループ情報を構築する作業は、ユーザがルーティング情報をディスプレイに表示しながら行えるので、作業性がよい。また、ルーティング情報に基づいて、IPアドレスの重複を検出することができる。
【0115】
15.他の実施形態 以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、いずれかのルーティングポイントにおいてルーティング情報が更新されることがある。具体的には、例えばクライアント端末の制御部が、ルーティング情報を更新する。この結果、更新されたルーティング情報が中継サーバ、クライアント端末間で共有される。続いて、ルーティンググループ情報も更新され、更新されたルーティング情報が中継サーバ、クライアント端末間で共有される。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、互いに通信可能な複数の中継サーバと、複数のクライアント端末と、クライアント端末を中継サーバに接続するLANとを有する中継通信システム、およびそれに用いられる中継サーバに広く適用できる。
【符号の説明】
【0117】
1 第1LAN
2 第2LAN
3 第3LAN
4 WAN
6 第4LAN
7 第5LAN
8 第1汎用ルータ
9 第1通信機器
10 第2通信機器
11 第3通信機器
14 第4通信機器
16 第6LAN
17 第7LAN
18 第8LAN
19 第2汎用ルータ
20 中継グループ情報
21 第3汎用ルータ
22 第5通信機器
23 第6通信機器
30 中継サーバ情報
40 クライアント端末情報
50 クライアント端末情報
60 クライアント端末情報
70 ルーティング情報
80 ルーティンググループ情報
A 第1中継サーバ
B 第2中継サーバ
C 第3中継サーバ
A1 第1クライアント端末
A2 第2クライアント端末
B1 第3クライアント端末
C1 第4クライアント端末
C2 第5クライアント端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ネットワークに接続される第1中継サーバと通信可能であり、第2ネットワークに接続される第2中継サーバとして機能する中継サーバであって、
前記第1中継サーバおよび前記第2中継サーバが中継グループを構成することを示す中継グループ情報を、前記第1中継サーバと前記第2中継サーバとの間で共有する中継グループ情報共有部と、
前記第1中継サーバおよび前記第2中継サーバの起動情報と、前記第1中継サーバおよび前記第2中継サーバに接続されたクライアント端末の起動・登録情報とを含む中継サーバ情報を、前記第1中継サーバと前記第2中継サーバとの間で共有する中継サーバ情報共有部と、
前記中継グループ内のルーティング制御ポイントと前記ルーティング制御ポイントによって制御される端末のアドレスとを含むルーティング情報を、前記第1中継サーバと前記第2中継サーバとの間で共有するルーティング情報共有部と、
前記ルーティング情報を編集することで、前記ルーティング制御ポイントをグループ化したルーティンググループ情報を作成するルーティンググループ情報作成部と、
前記ルーティンググループ情報を、前記第1中継サーバと前記第2中継サーバとの間で、さらに前記第2中継サーバと前記クライアント端末との間で共有するルーティンググループ情報共有部と、
前記中継グループ内の端末をルーティング端末として通信パケットがルーティング可能となるルーティングセッションを、前記中継サーバ情報を参照しながら、前記ルーティンググループ情報のグループごとに確立するルーティングセッション確立部と、
を備えている中継サーバ。
【請求項2】
前記ルーティンググループ情報のグループごとに、ルーティング機能を有効化・無効化するルーティング機能制御部をさらに備えている、請求項1に記載の中継サーバ。
【請求項3】
前記ルーティング情報を表示可能な表示装置をさらに備えている、請求項1または2に記載の中継サーバ。
【請求項4】
前記ルーティング情報を更新するルーティング情報更新部をさらに備えている、請求項1〜3のいずれかに記載の中継サーバ。
【請求項5】
第1ネットワークと、
第2ネットワークと、
前記第1ネットワークに接続される第1中継サーバと、
前記第2ネットワークに接続される第2中継サーバとを備え、
前記第1中継サーバと前記第2中継サーバは、
前記第1中継サーバおよび前記第2中継サーバの起動情報と、前記第1中継サーバおよび前記第2中継サーバに接続されたクライアント端末の起動・登録情報とを含む中継サーバ情報を、前記第1中継サーバと前記第2中継サーバとの間で共有する中継サーバ情報共有部と、
前記中継グループ内のルーティング制御ポイントと前記ルーティング制御ポイントによって制御される端末のアドレスとを含むルーティング情報を、前記第1中継サーバと前記第2中継サーバとの間で共有するルーティング情報共有部と、
前記ルーティング制御ポイントをグループ化したルーティンググループ情報を、前記第1中継サーバと前記第2中継サーバと前記クライアント端末との間で共有するルーティンググループ情報共有部と、
前記中継グループ内の端末をルーティング端末として通信パケットがルーティング可能となるルーティングセッションを、前記中継サーバ情報を参照しながら、前記ルーティンググループ情報のグループごとに確立するルーティングセッション確立部とを含んでいる、
中継通信システム。
【請求項6】
前記ルーティンググループ情報のグループごとに、ルーティング機能を有効化・無効化するルーティング機能制御部をさらに備えている、請求項5に記載の中継通信システム。
【請求項7】
前記ルーティング情報を表示可能な表示装置をさらに備えている、請求項5または6に記載の中継通信システム。
【請求項8】
前記ルーティング情報を更新するルーティング情報更新部をさらに備えている、請求項5〜7のいずれかに記載の中継通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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