説明

中継システム、中継装置、通信方法、および通信プログラム

【課題】既存の端末装置を使用した音声通話時に発生する音声データを検索することができる中継システムを提供する。
【解決手段】通信システム1では、音声通話可能な端末装置(例えば、内線電話2)と、IP網32またはPSTN33に接続された他の端末装置(例えば、固定電話7)との間で、ルータ10が音声データを中継する。サーバ6は、ルータ10で中継される音声データに基づいて、通話データおよび検索用データを生成する。通話データはサーバ6のHDDに保存され、検索用データはルータ10のフラッシュメモリおよびサーバ6のHDDに保存される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回線網を経由した端末装置間の音声通信を中継する中継システム、中継装置、通信方法、および通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端末装置間の音声通話によって生じた通話データを検索できるようにした装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、通話データを電話機に保存し、その電話機を使用して過去の通話データを検索することが開示されている。また、電話機からコンピュータに通話データを出力して、コンピュータで通話データを管理する。電話機やパソコンを使用して、コンピュータで管理されている過去の通話データを検索することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−261883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、電話機自体に通話データの検索機能を備える必要があるため、電話機の高機能化が要求される。また、電話機に通話データを記憶するための記憶装置を設ける必要がある。しかも、通話データは蓄積すると莫大なデータ量になるおそれがあるため、記憶装置の大容量化が求められる。そうすると、このような検索機能や記憶装置を備えていない既存の電話機では、通話データの検索を実現できないという問題があった。
【0005】
本発明は、既存の端末装置を使用した音声通話時に発生する音声データを検索することができる中継システム、中継装置、通信方法、および通信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る中継システムは、音声通話可能な端末装置と電話回線網とに接続され、前記端末装置と前記電話回線網に接続された他の端末装置との間で送受信される音声データを中継する中継システムであって、音声通話時に前記音声データを中継する音声中継手段と、前記音声中継手段によって中継される前記音声データを、第一記憶装置に記録する第一記録手段と、前記第一記憶装置に記録される前記音声データに基づいて、予め定められた検索キーに対応するデータである検索用データを生成するデータ生成手段と、前記データ生成手段によって抽出された前記検索用データを、第二記憶装置に記録する第二記録手段とを備えている。
【0007】
第1態様によれば、音声通話可能な端末装置と、電話回線網に接続された他の端末装置との間で中継される音声データが、第一記憶装置に記録される。第一記憶装置に記録される音声データに基づいて検索用データが生成されて、第二記憶装置に記録される。したがって、ユーザは検索キーに基づいて、第二記憶装置から対応する検索用データを検索でき、さらに第一記憶装置から対応する音声データを検索できる。つまり、既存の端末装置を使用した音声通話時に発生する音声データを検索することができる。
【0008】
上記中継システムにおいて、前記検索キーを含む検索要求を受信した場合に、前記検索要求に含まれる前記検索キーに対応する前記検索用データを、前記第二記憶装置から抽出する第一データ抽出手段と、前記第一データ抽出手段によって抽出された前記検索用データを、前記検索要求の送信元である端末装置に送信する第一データ送信手段と、前記音声データの取得要求を受信した場合に、前記取得要求に対応する前記音声データを、前記第一記憶装置から抽出する第二データ抽出手段と、前記第二データ抽出手段によって抽出された前記音声データを、前記取得要求の送信元である端末装置に送信する第二データ送信手段とを備えてもよい。
【0009】
この場合、検索要求に含まれる検索キーに対応する検索用データが第二記憶装置から抽出されて、検索要求の送信元である端末装置に送信される。取得要求に対応する音声データが第一記憶装置から抽出されて、取得要求の送信元である端末装置に送信される。したがって、ユーザは端末装置を使用して、検索用データおよび音声データを取得することができる。
【0010】
上記中継システムにおいて、前記音声中継手段によって中継される前記音声データがアナログデータである場合に、前記音声データをデジタルデータに変換するデータ変換手段を備え、前記第一記録手段は、前記データ変換手段によって変換された前記音声データを、前記第一記憶装置に記録してもよい。この場合、アナログ回線で行われる音声通話で中継される音声データが、デジタルデータに変換されて記録される。したがって、アナログ回線を使用した音声通話時に発生する音声データを検索することができる。
【0011】
上記中継システムにおいて、前記中継システムは、前記端末装置と前記電話回線網とに接続され、前記音声中継手段と、前記第二記憶装置とを備えた中継装置と、前記中継装置に接続され、前記第一記憶装置と、前記第一記録手段と、前記データ生成手段と、前記第二記録手段とを備えたサーバとを含み、前記中継装置は、前記音声通話の種別が、通常電話および緊急電話のいずれであるか特定する種別特定手段を備え、前記音声中継手段は、前記種別特定手段によって前記通常電話であると判断された場合に、発呼側の端末装置から受信した前記音声データを、前記サーバに転送して前記第一記録手段によって記録させてから、被呼側の端末装置に送信する通常中継手段と、前記種別特定手段によって前記緊急電話であると判断された場合に、前記発呼側の端末装置から受信した前記音声データを、前記中継装置の第三記憶装置に一時的に記憶させてから前記被呼側の端末装置に送信し、前記第三記憶装置に記憶された前記音声データを、前記緊急電話が終了した後に前記サーバに転送して前記第一記録手段によって記録させる緊急中継手段とを備えてもよい。
【0012】
この場合、音声通話の種別が通常電話である場合、発呼側の端末装置から受信した音声データを、音声データを記録するサーバに転送してから被呼側の端末装置に送信する。音声通話の種別が緊急電話である場合、発呼側の端末装置から受信した音声データを、中継装置で一時的に記憶させて、通話終了後に被呼側の端末装置に一括送信する。したがって、通常電話時には音声データをリアルタイムにサーバに記録できる一方、緊急電話時には音声データの記録に起因する通話遅延を抑制することができる。
【0013】
上記中継システムにおいて、前記検索キーは、前記音声データにおいて最も出現回数の多い単語である件名を含んでもよい。この場合、ユーザは、件名をキーとして音声データを検索することができる。
【0014】
上記中継システムにおいて、前記検索キーは、前記音声通話の方式を示す使用電話を含んでもよい。この場合、ユーザは、使用電話をキーとして音声データを検索することができる。
【0015】
本発明の第2態様に係る中継装置は、音声通話可能な端末装置と、電話回線網と、サーバとに接続され、前記端末装置と前記電話回線網に接続された他の端末装置との間で送受信される音声データを中継する中継装置であって、発呼側の端末装置から受信した前記音声データを、前記サーバに転送して第一記録装置に記録させてから、被呼側の端末装置に送信する通常中継手段と、前記サーバに転送された前記音声データに基づいて生成された、予め定められた検索キーに対応するデータである検索用データを、前記サーバから受信して第二記憶装置に記録する第二記録手段とを備えている。
【0016】
第2態様によれば、音声通話可能な端末装置と、電話回線網に接続された他の端末装置との間で中継される音声データが、第一記憶装置に記録される。第一記憶装置に記録される音声データに基づいて検索用データが生成されて、第二記憶装置に記録される。したがって、ユーザは検索キーに基づいて、第二記憶装置から対応する検索用データを検索でき、さらに第一記憶装置から対応する音声データを検索できる。つまり、既存の端末装置を使用した音声通話時に発生する音声データを検索することができる。
【0017】
上記中継装置において、前記検索キーを含む検索要求を受信した場合に、前記検索要求に含まれる前記検索キーに対応する前記検索用データを、前記第二記憶装置から抽出するデータ抽出手段と、前記第一データ抽出手段によって抽出された前記検索用データを、前記検索要求の送信元である端末装置に送信する第一データ送信手段と、前記検索キーを含む取得要求を受信した場合に、前記検索キーの生成元である前記音声データを前記サーバに要求し、前記第一記憶装置から抽出された前記音声データを前記サーバから受信するデータ取得手段と、前記データ取得手段によって取得された前記音声データを、前記取得要求の送信元である端末装置に送信する第二データ送信手段とを備えてもよい。
【0018】
この場合、検索要求に含まれる検索用データが第二記憶装置から抽出されて、検索要求の送信元である端末装置に送信される。取得要求に対応する音声データが第一記憶装置から抽出されて、取得要求の送信元である端末装置に送信される。したがって、ユーザは端末装置を使用して、検索用データおよび音声データを取得することができる。
【0019】
本発明の第3態様に係る通信方法は、音声通話可能な端末装置と電話回線網とに接続され、前記端末装置と前記電話回線網に接続された他の端末装置との間で送受信される音声データを中継する中継システムによって行われる通信方法であって、音声通話時に前記音声データを中継する音声中継ステップと、前記音声中継ステップによって中継される前記音声データを、第一記憶装置に記録する第一記録ステップと、前記第一記憶装置に記録される前記音声データに基づいて、予め定められた検索キーに対応するデータである検索用データを生成するデータ生成ステップと、前記データ生成ステップによって抽出された前記検索用データを、第二記憶装置に記録する第二記録ステップとを備えている。
【0020】
本発明の第4態様に係る通信方法は、音声通話可能な端末装置と、電話回線網と、サーバとに接続され、前記端末装置と前記電話回線網に接続された他の端末装置との間で送受信される音声データを中継する中継装置によって行われる通信方法であって、発呼側の端末装置から受信した前記音声データを、前記サーバに転送して第一記録装置に記録させてから、被呼側の端末装置に送信する通常中継ステップと、前記サーバに転送された前記音声データに基づいて生成された、予め定められた検索キーに対応するデータである検索用データを、前記サーバから受信して第二記憶装置に記録する第二記録ステップとを備えている。
【0021】
本発明の第5態様に係る通信プログラムは、端末装置と回線網とに接続され、前記端末装置と前記回線網に接続された他の端末装置との間で送受信される音声データを中継する中継システムを制御する通信プログラムであって、コンピュータに、音声通話時に前記音声データを中継する音声中継ステップと、前記音声中継ステップによって中継される前記音声データを、第一記憶装置に記録する第一記録ステップと、前記第一記憶装置に記録される前記音声データに基づいて、予め定められた検索キーに対応するデータである検索用データを生成するデータ生成ステップと、前記データ生成ステップによって抽出された前記検索用データを、第二記憶装置に記録する第二記録ステップとを実行させる。
【0022】
本発明の第6態様に係る通信プログラムは、音声通話可能な端末装置と、電話回線網と、サーバとに接続され、前記端末装置と前記電話回線網に接続された他の端末装置との間で送受信される音声データを中継する中継装置を制御する通信プログラムであって、コンピュータに、発呼側の端末装置から受信した前記音声データを、前記サーバに転送して第一記録装置に記録させてから、被呼側の端末装置に送信する通常中継ステップと、前記サーバに転送された前記音声データに基づいて生成された、予め定められた検索キーに対応するデータである検索用データを、前記サーバから受信して第二記憶装置に記録する第二記録ステップとを実行させる。
【0023】
第2〜第6態様によれば、音声通話可能な端末装置と、電話回線網に接続された他の端末装置との間で中継される音声データが、第一記憶装置に記録される。第一記憶装置に記録される音声データに基づいて検索用データが生成されて、第二記憶装置に記録される。したがって、ユーザは検索キーに基づいて、第二記憶装置から対応する検索用データを検索でき、さらに第一記憶装置から対応する音声データを検索できる。つまり、既存の端末装置を使用した音声通話時に発生する音声データを検索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】通信システム1の全体構成を示す図である。
【図2】ルータ10の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】サーバ6の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】ルータ10の中継処理のフローチャートである。
【図5】通常通話処理のフローチャートである。
【図6】緊急通話処理のフローチャートである。
【図7】サーバ6の通話記録処理のフローチャートである。
【図8】ルータ10の検索処理のフローチャートである。
【図9】サーバ6のデータ提供処理のフローチャートである。
【図10】音声受信トレイ100の具体例である。
【図11】音声受信トレイ100の具体例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、単なる説明例である。
【0026】
図1および図2を参照して、本実施形態に係る通信システム1の全体構成について説明する。通信システム1は、通信機能を備えた複数の電子機器(内線電話2、IP電話3、携帯電話4、PC5、サーバ6、固定電話7)がネットワークを介して接続され、各電子機器間のデータ通信がルータ10で制御される。内線電話2は、電話線によってルータ10に接続される。IP電話3は、LANによってルータ10に接続される。携帯電話4は、無線LAN31(詳細には、Wi−Fi)によってルータ10に接続される。ルータ10は、外部のネットワークとのデータ通信を中継する装置であり、IP網32および公衆電話交換回線網(PSTN)33に接続される。IP網32には、PC5およびサーバ6がLANによって接続される。PSTN33には、固定電話7が電話線によって接続される。
【0027】
つまり、通信システム1では、音声通話可能な端末装置である内線電話2、IP電話3、携帯電話4が、ルータ10にローカル接続される。ルータ10は、ローカル接続された端末装置と、外部のネットワークに接続された音声通話可能な端末装置(すなわち、固定電話7)との音声通話時に送受信される音声データを中継する。また、ルータ10は、ローカル接続された端末装置と、外部のネットワークに接続された電子機器(すなわち、PC5、サーバ6)とで送受信される各種データ(音声データを含む。)を中継する。
【0028】
図2を参照して、ルータ10の電気的構成を説明する。ルータ10は、CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ14、アナログ回線制御部15、無線LAN制御部16、およびネットワーク制御部17を備え、これらがシステムバスを介して接続されている。ROM12には、CPU11に中継処理(図4参照)および検索処理(図8参照)を実行させるプログラムが記憶されている。アナログ回線制御部15は、アナログ回線経由の音声通話を制御するインタフェイスであり、内線電話2およびPSTN33に接続される。無線LAN制御部16は、無線LAN経由でデータ通信(音声通信を含む。)を制御するインタフェイスであり、携帯電話4に接続される。ネットワーク制御部17は、有線LAN経由でデータ通信(音声通信を含む。)を制御するインタフェイスであり、IP電話3およびIP網32に接続される。
【0029】
フラッシュメモリ14には、ルータ10によって中継された音声通話に関する各種情報を含む検索用データが記憶される。検索用データ(図10参照)は、1回の電話で行われた音声通話ごとに、発信日時、開始時間、終了時間、通話時間、使用電話、件名、発信者、受信者、通話テキストなどのデータ項目を含む。使用電話は、音声通話の方式を示すデータ項目である。例えば、PSTN33を経由する音声通話の使用電話は「アナログ」であり、IP網32を経由する音声通話の使用電話は「IP」である。件名は、通話データにおいて最も出現回数の多い単語を示すデータ項目である。通話テキストは、通話データを文字情報にテキスト化したものである。
【0030】
図3を参照して、サーバ6の電気的構成について説明する。サーバ6は、CPU61、ROM62、RAM63、ハードディスクドライブ(HDD)64、ネットワーク制御部65、および入出力部66を備え、これらがシステムバスを介して接続されている。入出力部66には、図示しないマウス、キーボード、ディスプレイなどが接続される。ネットワーク制御部65は、IP網32に接続される。HDD64には、CPU60に通話記録処理(図7参照)およびデータ提供処理(図9参照)を実行させるプログラムが記憶されている。また、HDD64には、検索用データおよび通話データが記憶される。通話データは、1回の電話で行われた音声通話を記録した音声データである。
【0031】
図4〜図11を参照して、通信システム1で音声通話時に実行される中継処理(特に、ルータ10およびサーバ6でそれぞれ実行される処理)を説明する。以下の説明では、電話の発信元の端末装置を発呼側端末といい、電話の受信先の端末装置を被呼側端末という。
【0032】
図4を参照して、ルータ10の中継処理について説明する。この中継処理は、ROM12に記憶されているプログラムに基づいて、ルータ10が電源オフとされるまで、CPU11によって継続して実行される。
【0033】
ルータ10の中継処理では、まず通話開始であるか否かが判断される(S1)。ステップS1では、発呼側端末から電話接続を要求する発呼信号を受信した場合に、通話開始であると判断される(S1:YES)。この場合、ステップS1で受信された発呼信号が示す音声通話の種別に基づいて、緊急電話であるか否かが判断される(S3)。緊急電話は、あらかじめ定められた緊急連絡先(例えば、警察、消防、病院など)との間で行われる音声通話である。本実施形態では、フラッシュメモリ14に緊急連絡先の電話番号が登録されたアドレステーブルが記録されている。ステップS3では、発呼信号が接続先として要求する電話番号がアドレステーブルに登録されている場合、発呼信号が示す音声通話の種別が緊急電話であると判断される。緊急電話では、サーバ6がダウンしていても通話できるように、サーバ6を経由せずに直接通話がなされるが、詳細は後述する。
【0034】
緊急電話でない(つまり、通常電話である)と判断された場合(S3:NO)、後述の通常通話処理が実行される(S5)。緊急電話であると判断された場合(S3:YES)、後述の緊急通話処理が実行される(S7)。ステップS5またはステップS7の実行後、つまり通常電話または緊急電話の終了後に、後述の検索用データがサーバ6から受信されて(S9)、フラッシュメモリ14に保存される(S11)。ステップS11の実行後、または通話開始でない場合(S1:NO)、処理はステップS1に戻る。
【0035】
図5を参照して、通常通話処理(S5)について説明する。通常通話処理では、まず通話開始がサーバ6に通知される(S21)。通話開始の通知は、通常電話の開始を指示する信号であり、通常電話時に実行される通信方式(例えば、アナログ、IPなど)を示すデータを含む。ステップS21の実行後、アナログ音声が発呼側端末から受信されて(S23)、デジタル変換される(S25)。ステップS25で変換されたデータ(デジタル音声)が、サーバ6に送信される(S27)。その後、デジタル音声がサーバ6から受信されて(S29)、アナログ変換される(S31)。ステップS31で変換されたデータ(アナログ音声)が、被呼側端末に送信される(S33)。
【0036】
つまり、ステップS23〜S33では、発呼側端末のマイク(図示外)で取得されたユーザの声等(つまり、アナログ音声)が、デジタル音声に変換されてサーバ6に転送される。その後、サーバ6から返信されたデジタル音声が、アナログ音声に変換されて被呼側端末に転送される。被呼側端末では、ルータ10から受信したアナログ音声(発呼側端末のユーザの声等)が、スピーカー(図示外)から出力される。
【0037】
ステップS33の実行後、アナログ音声が被呼側端末から受信されて(S35)、公知の手法によってデジタル変換される(S37)。ステップS37で変換されたデータ(デジタル音声)が、サーバ6に送信される(S39)。その後、デジタル音声がサーバ6から受信されて(S41)、公知の手法によってアナログ変換される(S43)。ステップS43で変換されたデータ(アナログ音声)が、発呼側端末に送信される(S45)。
【0038】
つまり、ステップS35〜S45では、被呼側端末のマイク(図示外)で取得されたユーザの声等(つまり、アナログ音声)が、デジタル音声に変換されてサーバ6に転送される。その後、サーバ6から返信されたデジタル音声が、アナログ音声に変換されて発呼側端末に転送される。発呼側端末では、ルータ10から受信したアナログ音声(被呼側端末のユーザの声等)が、スピーカー(図示外)から出力される。
【0039】
ステップS45の実行後、通話終了か否かが判定される(S47)。通話が終了していない場合(S47:NO)、処理はステップS23に戻る。これにより、音声通話の継続中は、ステップS23〜S45が繰り返し実行される。通話が終了した場合(S47:YES)、通話終了がサーバ6に通知される(S49)。通話終了の通知は、通常電話の終了を指示する信号である。ステップS49の実行後、処理は中継処理(図4)に戻る。
【0040】
図6を参照して、緊急通話処理(S7)について説明する。緊急通話処理では、まずアナログ音声が発呼側端末から受信されて(S51)、デジタル変換される(S53)。ステップS53で変換されたデータ(デジタル音声)が、フラッシュメモリ14に保存される(S55)。ステップS51で取得されたアナログ音声が、被呼側端末に送信される(S37)。つまり、ステップS51〜S57では、発呼側端末のマイク(図示外)で取得されたユーザの声等(つまり、アナログ音声)が、デジタル音声に変換されてフラッシュメモリ14に保存される一方、変換前のアナログ音声が被呼側端末に転送される。被呼側端末では、ルータ10から受信したアナログ音声(発呼側端末のユーザの声等)が、スピーカー(図示外)から出力される。
【0041】
ステップS57の実行後、アナログ音声が被呼側端末から受信されて(S59)、デジタル変換される(S61)。ステップS61で変換されたデータ(デジタル音声)が、フラッシュメモリ14に保存される(S63)。ステップS59で取得されたアナログ音声が、発呼側端末に送信される(S65)。つまり、ステップS59〜S65では、被呼側端末のマイク(図示外)で取得されたユーザの声等(つまり、アナログ音声)が、デジタル音声に変換されてフラッシュメモリ14に保存される一方、変換前のアナログ音声が発呼側端末に転送される。発呼側端末では、ルータ10から受信したアナログ音声(被呼側端末のユーザの声等)が、スピーカー(図示外)から出力される。
【0042】
ステップS65の実行後、通話終了か否かが判定される(S67)。通話が終了していない場合(S67:NO)、処理はステップS51に戻る。これにより、音声通話の継続中は、ステップS51〜S65が繰り返し実行される。通話が終了した場合(S67:YES)、緊急電話登録がサーバ6に通知される(S69)。緊急電話登録の通知は、緊急電話が開始および終了(つまり、完了)したことを指示する信号であり、緊急電話時に実行される通信方式を示すデータを含む。さらに、緊急電話中にフラッシュメモリ14に保存された複数のデジタル音声が一括送信される(S71)。なお、ステップS71で一括送信された複数のデジタル音声は、フラッシュメモリ14から削除される。ステップS71の実行後、処理は中継処理(図4)に戻る。
【0043】
図7を参照して、サーバ6の通話記録処理について説明する。この通話記録処理は、HDD64に記憶されているプログラムに基づいて、サーバ6が電源オフとされるまで、CPU61によって継続して実行される。
【0044】
サーバ6の通話記録処理では、まずルータ10から通話開始の通知ありか否かが判断される(S201)。通話開始の通知がある場合(S201:YES)、通常電話が開始されたことを意味する。この場合、デジタル音声がルータ10から受信されて(S203)、HDD64に保存される(S205)。さらに、ステップS203で受信されたデジタル音声が、ルータ10に送信される(S207)。つまり、ステップS203〜S207では、通常電話中にルータ10から転送されたデジタル音声が、HDD64に保存されたのち、ルータ10に返送される。
【0045】
ステップS207の実行後、通話終了の通知ありか否かが判断される(S209)。通話終了の通知がない場合(S209:YES)、通常電話が終了していないから、処理はステップS203に戻る。通話終了の通知がある場合(S209:YES)、通常電話が終了されたことを意味する。この場合、通常電話時にHDD64に保存された複数のデジタル音声が合成されて、1つの通話データが生成される(S211)。なお、通話データの生成元であるデジタル音声は、HDD64から削除される。
【0046】
一方、通話開始の通知がない場合(S201:NO)、ルータ10から緊急電話登録の通知ありか否かが判断される(S213)。緊急電話登録の通知がある場合(S213:YES)、緊急電話が完了したことを意味する。この場合、複数のデジタル音声がルータ10から一括受信されて(S215)、HDD64に保存される(S217)。ステップS217の実行後、先述と同様に通話データが生成される(S211)。
【0047】
ステップS211の実行後、通話データの声紋認識およびテキスト化が実行される(S219)。声紋認識では、公知の声紋解析技術によって、通話データに含まれる声紋が認識される。テキスト化では、公知の音声認識技術によって、通話データに含まれる通話内容が文字情報に変換されて、通話テキストが生成される。ステップS211で生成された通話データの関連情報である検索用データが生成される(S221)。
【0048】
具体的には、図10に例示する検索用データ90が生成される。図示しないが、検索用データ90は、ステップS219で生成された通話テキストを含む。発信日時、開始時間、終了時間、通話記録は、検索用データ90の生成元となるデジタル音声のタイムスタンプに基づいて設定される。使用電話は、通話開始の通知または緊急電話登録の通知が示す音声通話の方式が設定される。件名は、ステップS219で生成された通話テキストに基づいて最も出現回数の多い単語が設定される。発信者は、ステップS219で認識された声紋に基づいて特定された発呼側端末のユーザ名が設定される。受信者は、ステップS219で認識された声紋に基づいて特定された被呼側端末のユーザ名が設定される。
【0049】
本実施形態では、声紋と名称(例えば、鈴木、山田等)との対応テーブルが、HDD64に登録されている。ステップS219で認識された声紋に対応する名称がHDD64に登録されていれば、その登録された名称がユーザ名として設定される。ステップS219で認識された声紋に対応する名称がHDD64に登録されていない場合や、声紋を正確に認識できなかった場合には、ユーザを特定するための識別名(例えば、A、Bなど)が自動付与されて、ユーザ名として設定される。
【0050】
ステップS211で生成された通話データと、ステップS221で生成された検索用データとが、HDD64に対応付けて保存される(S223)。さらに、検索用データがルータ10に送信される(S225)。ステップS225の実行後、または緊急通話登録の通知がない場合(S213:NO)、処理はステップS201に戻る。
【0051】
例えば、ユーザ「鈴木」が内線電話2を用いてユーザ「Z」の固定電話7に電話した場合、ユーザ「Z」が緊急連絡先でなければ、ルータ10で通常通話処理が実行される(S1:YES、S3:YES、S5)。サーバ6では、内線電話2と固定電話7との通話音声に基づいて、通話データおよび検索用データが生成および保存される(S201:YES、S203〜S207、S209:YES、S211、S219〜S223)。また、ルータ10にも、サーバ6で生成された検索用データが保存される(S225、S9、S11)。
【0052】
一方、ユーザ「Z」が緊急連絡先であれば、ルータ10で緊急通話処理が実行される(S1:YES、S3:NO、S7)。この場合も、サーバ6では、内線電話2と固定電話7との通話音声に基づいて、通話データおよび検索用データが生成および保存される(S201:NO、S213:YES、S215〜S223)。また、ルータ10にも、サーバ6で生成された検索用データが保存される(S225、S9、S11)。
【0053】
図8を参照して、ルータ10の検索処理について説明する。この検索処理は、ROM12に記憶されているプログラムに基づいて、ルータ10が電源オフとされるまで、CPU11によって継続して実行される。
【0054】
ルータ10の検索処理では、まず検索開始か否かが判断される(S81)。本実施形態では、ユーザが検索時に使用する端末装置(以下、検索端末)で、通話データを検索するためのアプリケーション(以下、検索ソフト)が起動されると、起動された検索ソフトがルータ10にアクセス要求を発する。このアクセス要求を受信した場合、検索開始であると判断される(S81:YES)。この場合、ルータ10に保存されている検索用データの更新確認が、サーバ6に送信される(S83)。更新確認は、検索用データが最新のものに更新されているか否かを確認することを指示する信号であり、サーバ6から最後に受信した検索用データの生成日時(最新更新日時)を含む。
【0055】
ステップS83の実行後、更新データをサーバ6から受信したか否かが判断される(S85)。更新データは、フラッシュメモリ14に保存されている検索用データを更新するためのデータである。更新データを受信した場合(S85:YES)、フラッシュメモリ14に保存されている検索用データが、ステップS85で受信された更新データに基づいて更新される(S87)。ステップS87の実行後、または更新データを受信しなかった場合(S85:NO)、検索端末の検索ソフトに検索画面を表示させる(S89)。具体的には、フラッシュメモリ14に保存されている検索用データが読み出されて、検索端末に送信される。検索端末では、受信された検索用データを含む検索画面(図10参照)が検索ソフトによって生成されて、ディスプレイ(図示外)に表示される。
【0056】
図10に例示する検索画面は、ルータ10から受信した複数の検索用データ90を含む音声受信トレイ100である。音声受信トレイ100は、複数の検索用データ90が選択可能に一覧表示されるデータ表示部101と、複数の検索用データ90を対象にキーワード検索を行うための検索欄102と、データ表示領域部101で選択された検索用データ90のテキストを表示する通話内容表示部103とを含む。さらに、通話内容表示部103には、データ表示領域部101で選択された検索用データ90に対応する通話データの音声再生を指示するための音声再生ボタン104が設けられている。
【0057】
ステップS89の実行後、検索要求ありか否かが判断される(S91)。具体的には、検索端末において、音声受信トレイ100の検索欄102に検索キーが入力された場合、検索ソフトは検索キーを含む検索要求をルータ10に送信する。ルータ10は、検索端末から検索要求を受信した場合(S91:YES)、検索要求に応じた検索処理を実行する(S93)。すなわち、フラッシュメモリ14に保存されている検索用データの通話テキストを対象に、検索要求に含まれる検索キーと一致する単語を含む通話テキストが検索される。検索端末の検索ソフトに、ステップS93の検索結果を表示させる(S95)。
【0058】
図10に示す例において、検索欄102に検索キー「仕事」が入力された場合、ルータ10では検索キー「仕事」を含む通話テキストが、フラッシュメモリ14の検索用データ90から検索され、ヒットした検索用データ90が検索端末に送信される。その結果、検索端末では、受信された検索用データを含む検索画面(図11参照)が検索ソフトによって生成されて、ディスプレイ(図示外)に表示される。図11では、検索画面として、検索キー「仕事」に2件の検索用データがヒットしたことを示す音声受信トレイ100が表示されている。
【0059】
ステップS95の実行後、または検索要求がない場合(S91:NO)、音声要求ありか否かが判断される(S97)。具体的には、検索端末において、音声受信トレイ100の音声再生ボタン104がクリックされた場合、検索ソフトは音声要求をルータ10に送信する。音声要求は、検索画面で選択されている検索用データに対応する通話データを要求する信号である。検索端末から音声要求を受信した場合(S97:YES)、音声検索指示がサーバ6に送信される(S99)。音声検索指示は、音声要求によって要求された通話データの検索を指示する信号である。
【0060】
ステップS99の実行後、通話データがサーバ6から受信される(S101)。検索端末の検索ソフトに、ステップS101で受信された通話データを音声再生させる(S103)。具体的には、ステップS101で受信された通話データが検索端末に転送される。検索端末では、受信された通話データが、検索ソフトによってスピーカー(図示外)から音声出力される。
【0061】
ステップS103の実行後、または音声要求がない場合(S91:NO)、検索終了か否かが判断される(S105)。本実施形態では、検索端末で検索ソフトが動作終了されると、検索ソフトが動作終了時にルータ10に終了通知を発する。この終了通知を受信した場合、検索終了であると判断される(S105:YES)。この場合、処理はステップS81に戻る。検索終了でない場合(S105:NO)、処理はステップS89に戻る。
【0062】
図9を参照して、サーバ6のデータ提供処理について説明する。この検索処理は、ROM12に記憶されているプログラムに基づいて、ルータ10が電源オフとされるまで、CPU11によって継続して実行される。
【0063】
サーバ6のデータ提供処理では、まず更新確認をルータ10から受信したか否かが判断される(S231)。更新確認が受信された場合(S231:YES)、更新確認に含まれる最新更新日時が、HDD64に保存されている最新の検索用データの生成日時(最新更新日時)と照合される(S233)。その照合結果に基づいて、最新更新日時が一致するか否かが判断される(S235)。最新更新日時が一致しない場合(S235:NO)、ルータ10に保存されている検索用データが、HDD64に保存されている検索用データと一致するように、不足分の検索用データ(更新データ)がルータ10に転送される(S237)。
【0064】
ステップS237の実行後、音声検索指示をルータ10から受信したか否かが判断される(S239)。更新確認を受信していない場合(S231:NO)、または最新更新日時が一致した場合も(S235:YES)、音声検索指示を受信したか否かが判断される(S239)。音声検索指示が受信された場合(S239:YES)、音声検索指示が指示する通話データが、HDD64から検索される(S241)。ステップS241でヒットした通話データが、ルータ10に送信される(S243)。ステップS243の実行後、または音声検索指示を受信していない場合(S239:NO)、処理はステップS231に戻る。
【0065】
例えば、ユーザがPC5で検索ソフトを起動した場合、PC5のディスプレイ(図示外)に音声受信トレイ100(図10参照)が表示される(S81:YES、S83〜S89)。このとき、ルータ10に保存されている検索用データ90が最新のものでなければ、サーバ6とのデータ通信によってルータ10の検索用データ90が更新される(S85:YES、S87、S231:YES、S233、S235:YES、S237)。先述したように、ユーザが音声受信トレイ100を操作することで、通話データの検索および再生が実行される(S91〜S103、S239〜S243)。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、音声通話可能な端末装置(例えば、内線電話2)と、IP網32またはPSTN33に接続された他の端末装置(例えば、固定電話7)との間で、ルータ10が音声データを中継する。サーバ6は、ルータ10で中継される音声データに基づいて、通話データおよび検索用データを生成する。通話データはHDD64に保存され、検索用データはフラッシュメモリ14およびHDD64に保存される。したがって、ユーザは検索キーに基づいて、フラッシュメモリ14またはHDD64から対応する検索用データを検索でき、さらにHDD64から対応する通話データを検索できる。つまり、既存の端末装置(例えば、内線電話2や固定電話7など)を使用した音声通話時に発生する音声データを検索することができる。
【0067】
また、ルータ10は、検索端末(例えば、PC5)から送信された検索要求に含まれる検索キーに対応する検索用データをフラッシュメモリ14から抽出して、検索端末に送信する。ルータ10は、検索端末(例えば、PC5)から送信された音声要求に対応する通話データを、サーバ6によってHDD64から抽出させて、検索端末に送信する。したがって、ユーザは検索端末を使用して、通話データおよび検索用データを取得することができる。
【0068】
また、ルータ10は、アナログ回線で行われる音声通話で中継されるアナログ音声をデジタル音声に変換して、サーバ6によってHDD64に保存させる。したがって、アナログ回線を使用した音声通話時に発生する音声データを検索することができる。
【0069】
また、ルータ10は、音声通話の種別が通常電話である場合、発呼側端末から受信した音声データを、サーバ6に転送してから被呼側端末に送信する。音声通話の種別が緊急電話である場合、発呼側端末から受信した音声データを、ルータ10で一時的に記憶して、通話終了後に被呼側端末に一括送信する。したがって、通常電話時には音声データをリアルタイムにサーバ6に記録できる一方、緊急電話時には音声データの記録に起因する通話遅延を抑制することができる。
【0070】
また、検索用データはデータ量が小さいため、ルータ10(詳細には、フラッシュメモリ14)に保存するようにした。これにより、検索用データの検索時には、サーバ6に問い合わせることなく、検索用データの検索結果を迅速に提供することができる。一方、通話データはデータ量が大きいため、サーバ6(詳細には、HDD64)に保存するようにした。これにより、ルータ10のハードウエア資源に与える負担を小さくしつつ、通話データを必要なときだけ検索端末に提供することができる。さらに、サーバ6(詳細には、HDD64)に検索用データを保存したことで、必要に応じてルータ10に保存されている検索用データを更新することができる。
【0071】
上記実施形態において、通信システム1が本発明の「中継システム」に相当する。ステップS5、S7を実行するCPU11が、本発明の「音声中継手段」に相当する。フラッシュメモリ14が、本発明の「第一記憶装置」に相当する。ステップS205、S217を実行するCPU61が、本発明の「第一記録手段」に相当する。ステップS219〜S221を実行するCPU61が、本発明の「データ生成手段」に相当する。HDD64が、本発明の「第二記憶装置」に相当する。ステップS223を実行するCPU61が、本発明の「第二記録手段」に相当する。
【0072】
ステップS93を実行するCPU11が、本発明の「第一データ抽出手段」に相当する。ステップS95を実行するCPU11が、本発明の「第一データ送信手段」に相当する。ステップS99を実行するCPU11、およびステップS241を実行するCPU61が、本発明の「第二データ抽出手段」に相当する。ステップS101〜S103を実行するCPU11、およびステップS243を実行するCPU61が、本発明の「第二データ送信手段」に相当する。ステップS25、S37、S53、S61を実行するCPU11が、本発明の「データ変換手段」に相当する。ルータ10が、本発明の「中継装置」に相当する。ステップS3を実行するCPU11が、本発明の「種別特定手段」に相当する。ステップS5を実行するCPU11が、本発明の「通常中継手段」に相当する。ステップS7を実行するCPU11が、本発明の「緊急中継手段」に相当する。ステップS99〜S101を実行するCPU11が、本発明の「データ取得手段」に相当する。
【0073】
ステップS5、S7が、本発明の「音声中継ステップ」に相当する。ステップS5が、本発明の「通常中継ステップ」に相当する。ステップS205、S217が、本発明の「第一記録ステップ」に相当する。ステップS219〜S221が、本発明の「データ生成ステップ」に相当する。ステップS223が、本発明の「第二記録ステップ」に相当する。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更が可能である。ルータ10およびサーバ6で実行される各処理の一部は、他の装置において実行されてもよい。具体的には、ルータ10で実行される中継処理(図4参照)または検索処理(図8参照)のうち、通話音声の中継以外の処理の一部または全部を、ルータ10以外の装置上で実行してもよい。サーバ6で実行される通話記録処理(図7参照)またはデータ提供処理(図9参照)の一部または全部を、サーバ6以外の装置上で実行してもよい。さらに、ルータ10は、協働して動作する複数の装置から構成されてもよい。
【0075】
例えば、上記実施形態では、検索用データおよび通話データがサーバ6で生成されているが、ルータ10で検索用データおよび通話データの少なくとも一方が生成されてもよい。この場合、緊急電話時には、ルータ10で検索用データおよび通話データが生成されて、フラッシュメモリ14に検索用データが保存されるとともに、サーバ6に検索用データおよび通話データが転送されて、HDD64に保存されるようにしてもよい。また、ルータ10がサーバ6の機能を備えることで、ルータ10にて通話記録処理(図7参照)およびデータ提供処理(図9参照)に相当する処理が実行されてもよい。
【0076】
また、サーバ6で生成された通話データが、検索用データと同様に、ルータ10に保存されるようにしてもよい。ルータ10が検索用データを保存するための記憶装置(フラッシュメモリ14)は、ルータ10が保持していなくてもよく、ネットワークに接続された外部の記憶装置であってもよい。サーバ6が検索用データおよび通話データを保存するための記憶装置(HDD64)は、サーバ6が保持していなくてもよく、ネットワークに接続された外部の記憶装置であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 通信システム
2 内線電話
3 IP電話
4 携帯電話
5 PC
6 サーバ
7 固定電話
10 ルータ
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 フラッシュメモリ
15 アナログ回線制御部
16 無線LAN制御部
17 ネットワーク制御部
32 IP網
33 PSTN
61 CPU
62 ROM
63 RAM
64 HDD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声通話可能な端末装置と電話回線網とに接続され、前記端末装置と前記電話回線網に接続された他の端末装置との間で送受信される音声データを中継する中継システムであって、
音声通話時に前記音声データを中継する音声中継手段と、
前記音声中継手段によって中継される前記音声データを、第一記憶装置に記録する第一記録手段と、
前記第一記憶装置に記録される前記音声データに基づいて、予め定められた検索キーに対応するデータである検索用データを生成するデータ生成手段と、
前記データ生成手段によって抽出された前記検索用データを、第二記憶装置に記録する第二記録手段と
を備えたことを特徴とする中継システム。
【請求項2】
前記検索キーを含む検索要求を受信した場合に、前記検索要求に含まれる前記検索キーに対応する前記検索用データを、前記第二記憶装置から抽出する第一データ抽出手段と、
前記第一データ抽出手段によって抽出された前記検索用データを、前記検索要求の送信元である端末装置に送信する第一データ送信手段と、
前記音声データの取得要求を受信した場合に、前記取得要求に対応する前記音声データを、前記第一記憶装置から抽出する第二データ抽出手段と、
前記第二データ抽出手段によって抽出された前記音声データを、前記取得要求の送信元である端末装置に送信する第二データ送信手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の中継システム。
【請求項3】
前記音声中継手段によって中継される前記音声データがアナログデータである場合に、前記音声データをデジタルデータに変換するデータ変換手段を備え、
前記第一記録手段は、前記データ変換手段によって変換された前記音声データを、前記第一記憶装置に記録することを特徴とする請求項2に記載の中継システム。
【請求項4】
前記中継システムは、
前記端末装置と前記電話回線網とに接続され、前記音声中継手段と、前記第二記憶装置とを備えた中継装置と、
前記中継装置に接続され、前記第一記憶装置と、前記第一記録手段と、前記データ生成手段と、前記第二記録手段とを備えたサーバとを含み、
前記中継装置は、前記音声通話の種別が、通常電話および緊急電話のいずれであるか特定する種別特定手段を備え、
前記音声中継手段は、
前記種別特定手段によって前記通常電話であると判断された場合に、発呼側の端末装置から受信した前記音声データを、前記サーバに転送して前記第一記録手段によって記録させてから、被呼側の端末装置に送信する通常中継手段と、
前記種別特定手段によって前記緊急電話であると判断された場合に、前記発呼側の端末装置から受信した前記音声データを、前記中継装置の第三記憶装置に一時的に記憶させてから前記被呼側の端末装置に送信し、前記第三記憶装置に記憶された前記音声データを、前記緊急電話が終了した後に前記サーバに転送して前記第一記録手段によって記録させる緊急中継手段と
を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の中継システム。
【請求項5】
前記検索キーは、前記音声データにおいて最も出現回数の多い単語である件名を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の中継システム。
【請求項6】
前記検索キーは、前記音声通話の方式を示す使用電話を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の中継システム。
【請求項7】
音声通話可能な端末装置と、電話回線網と、サーバとに接続され、前記端末装置と前記電話回線網に接続された他の端末装置との間で送受信される音声データを中継する中継装置であって、
発呼側の端末装置から受信した前記音声データを、前記サーバに転送して第一記録装置に記録させてから、被呼側の端末装置に送信する通常中継手段と、
前記サーバに転送された前記音声データに基づいて生成された、予め定められた検索キーに対応するデータである検索用データを、前記サーバから受信して第二記憶装置に記録する第二記録手段と
を備えたことを特徴とする中継装置。
【請求項8】
前記検索キーを含む検索要求を受信した場合に、前記検索要求に含まれる前記検索キーに対応する前記検索用データを、前記第二記憶装置から抽出するデータ抽出手段と、
前記第一データ抽出手段によって抽出された前記検索用データを、前記検索要求の送信元である端末装置に送信する第一データ送信手段と、
前記音声データの取得要求を受信した場合に、前記取得要求に対応する前記音声データを前記サーバに要求し、前記第一記憶装置から抽出された前記音声データを前記サーバから受信するデータ取得手段と、
前記データ取得手段によって取得された前記音声データを、前記取得要求の送信元である端末装置に送信する第二データ送信手段と
を備えたことを特徴とする請求項7に記載の中継装置。
【請求項9】
音声通話可能な端末装置と電話回線網とに接続され、前記端末装置と前記電話回線網に接続された他の端末装置との間で送受信される音声データを中継する中継システムによって行われる通信方法であって、
音声通話時に前記音声データを中継する音声中継ステップと、
前記音声中継ステップによって中継される前記音声データを、第一記憶装置に記録する第一記録ステップと、
前記第一記憶装置に記録される前記音声データに基づいて、予め定められた検索キーに対応するデータである検索用データを生成するデータ生成ステップと、
前記データ生成ステップによって抽出された前記検索用データを、第二記憶装置に記録する第二記録ステップと
を備えたことを特徴とする通信方法。
【請求項10】
音声通話可能な端末装置と、電話回線網と、サーバとに接続され、前記端末装置と前記電話回線網に接続された他の端末装置との間で送受信される音声データを中継する中継装置によって行われる通信方法であって、
発呼側の端末装置から受信した前記音声データを、前記サーバに転送して第一記録装置に記録させてから、被呼側の端末装置に送信する通常中継ステップと、
前記サーバに転送された前記音声データに基づいて生成された、予め定められた検索キーに対応するデータである検索用データを、前記サーバから受信して第二記憶装置に記録する第二記録ステップと
を備えたことを特徴とする通信方法。
【請求項11】
端末装置と回線網とに接続され、前記端末装置と前記回線網に接続された他の端末装置との間で送受信される音声データを中継する中継システムを制御する通信プログラムであって、
コンピュータに、
音声通話時に前記音声データを中継する音声中継ステップと、
前記音声中継ステップによって中継される前記音声データを、第一記憶装置に記録する第一記録ステップと、
前記第一記憶装置に記録される前記音声データに基づいて、予め定められた検索キーに対応するデータである検索用データを生成するデータ生成ステップと、
前記データ生成ステップによって抽出された前記検索用データを、第二記憶装置に記録する第二記録ステップと
を実行させることを特徴とする通信プログラム。
【請求項12】
音声通話可能な端末装置と、電話回線網と、サーバとに接続され、前記端末装置と前記電話回線網に接続された他の端末装置との間で送受信される音声データを中継する中継装置を制御する通信プログラムであって、
コンピュータに、
発呼側の端末装置から受信した前記音声データを、前記サーバに転送して第一記録装置に記録させてから、被呼側の端末装置に送信する通常中継ステップと、
前記サーバに転送された前記音声データに基づいて生成された、予め定められた検索キーに対応するデータである検索用データを、前記サーバから受信して第二記憶装置に記録する第二記録ステップと
を実行させることを特徴とする通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−160805(P2012−160805A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17508(P2011−17508)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】