説明

中継器及び医療画像通信制御システム

【課題】 優先順位の高い医療画像を遅延なく通信することが可能な中継器を提供する。
【解決手段】中継器は、個々の画像データ(ID)に対し、通信の優先順位を第1順位の画像データ又は第1順位の次の第2順位の画像データとして設定する優先順位設定部(12)と、第1通信回線及び第2通信回線に対して予め使用する回線条件を設定する通信条件設定部(13)と、第1通信回線及び第2通信回線に対し遅延又は帯域を監視する通信回線監視部(15)と、優先順位設定部で設定された画像データの優先順位、及び通信回線監視部による遅延又は帯域の監視結果に基づいて、複数の画像データの通信に第1通信回線と第2通信回線とを切り替える通信回線切替部(14)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療画像を病院内から病院外へ通信する中継器及び医療画像通信制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病院等の医療機関(以下は施設と称する)に設置される医療画像装置(モダリティ)は高度化している。高度化するに伴い、医療画像装置から発生する医療画像は電子化されている。また、さらに1検査ごとに発生する画像枚数及び容量が増加することにより、記憶するデータ量は増加する一方である。施設内に設置する医療画像サーバ(PACS)は、増加するデータ容量を見込んで5、6年ごとに更新されている。医療画像サーバの更新の際には、アーカイブされた過去画像の移行の問題、増加するデータ量の予測しなければならない。このため、施設内に設置する医療画像サーバの大型化、メンテナンスコスト、使用しない不稼動容量などの問題がある。そこで、施設外に記憶する方法として医療画像データセンタ(ホスティングサービス)が使用されるようなってきている。施設外の医療画像データセンタが利用されると、施設内と施設外との通信量(トラフィック)が増加し、通信設備が重要となってくる。
【0003】
特許文献1では通信内容によって優先順位(Priority)を変更し、音声や動画のリアルタイム配信(ラジオ・テレビ型のサービス)やテレビ電話など、通信の遅延や停止が許されないサービスにとって重要なQOS(Quality of Service)を保っている。
【0004】
医療画像も同様に動画及び静止画があり、さらには緊急性の高い医療画像、又は緊急性の低い過去の医療画像の通信などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−027316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1においては通信サービスに対して優先順位を変更しているが、医療画像のように緊急度を指標とすることができない。また、特許文献1においては1つの通信回線の帯域の使用割合を変更させているが、他の通信回線を使用することまで考慮されていない。
【0007】
本発明は、優先順位の高い医療画像を遅延なく通信することが可能な中継器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の観点の中継器は、第1通信回線と前記第1通信回線と異なる第2通信回線とを使用して、第1医療関連施設と別の第2医療関連施設又はデータセンタとの間で画像データを通信する通信ネットワークにおいて、アプリケーション層に設けられ、前記第1通信回線と前記第2通信回線との使用を制御する。
第2の観点の中継器は、個々の画像データに対し、通信の優先順位を、少なくとも第1順位の画像データ又は第1順位の次の第2順位の画像データとして設定する優先順位設定部と、第1通信回線及び第2通信回線に対して、予め使用する回線条件を設定する通信条件設定部と、第1通信回線及び第2通信回線に対し遅延及び/又は帯域を監視する通信回線監視部と、優先順位設定部で設定された画像データの優先順位、及び通信回線監視部による遅延及び/又は帯域の監視結果に基づいて、複数の画像データの通信に第1通信回線と第2通信回線とを切り替える通信回線切替部と、を備える。
【0009】
第3の観点においては、第1医療関連施設は、患者の医療画像を取得する第1医用画像取得装置及び第2医用画像取得装置を有している。そして、第2の観点の中継器の優先順位設定部は、第1医用画像取得装置で取得された医療画像を第1順位の画像データとして設定し、第2医用画像取得装置で取得された医療画像を第2順位の画像データとして設定する。
【0010】
第4の観点の中継器が使用する第1通信回線と第2通信回線とは、画像データを通信する通信コスト及び/又は通信品質が異なる。そして中継器の通信条件設定部は、通信コスト及び/又は通信品質に基づいて、使用する回線の使用を設定する。
【0011】
第5の観点の中継器の通信条件設定部が、通信コスト及び通信品質に基づいて第1通信回線を設定し、且つ通信回線監視部により通信が遅延なし又は通信の帯域が広いと監視された際に、第1順位の画像データ及び第2順位の画像データは、通信回線切替部によって切り替えられた第1通信回線で通信される。また、通信回線監視部により通信が遅延している又は通信の帯域が狭いと監視された際には、第1順位の画像データが通信回線切替部によって切り替えられた第1通信回線で通信され、第2順位の画像データが通信回線切替部によって切り換えられた第2通信回線で通信される。
【0012】
第6の観点の中継器では、通信回線切替部は、画像データが第1通信回線又は第2通信回線で通信し始めると、画像データの通信が完了するまでその通信回線で通信する。
第7の観点の中継器では、画像データは、HTTP規格で扱われる汎用規格の画像データであり、通信回線切替部は、汎用規格の画像データを分割して、第1通信回線及び第2通信回線をそれぞれ使って通信する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の中継器により、優先順位の高い医療画像を遅延なく通信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】施設50の内外のネットワークを示したブロック図である。
【図2】(a)は、第1通信回線CL1のコストCと使用帯域割合Bとを示した図である。 (b)は、第2通信回線CL2のコストCと使用帯域割合Bとを示した図である。
【図3】第1医療画像装置MD1とデータ記憶センタ20とにおける医療画像DIの通信規格の模式図である。
【図4】医療画像装置の優先順位に応じた中継器10の動作のフローチャートである。
【図5】(a)は、第1通信回線CL1の帯域の使用帯域割合Bを示した図である。 (b)は、第2通信回線CL2の帯域の使用帯域割合Bを示した図である。
【図6】タグ情報の優先順位における中継器10の動作のフローチャートである。
【図7】参照医療画像IMをデータ記憶センタ20と4チャンネルで受信する際のブロック図である。
【図8】参照医療画像IMを取得する際の中継器10の動作のフローチャートである。
【図9】(a)は、第1通信回線CL1の帯域の使用帯域割合Bを示した図である。 (b)は、第2通信回線CL2の帯域の使用帯域割合Bを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示されるように、医療通信システムは、施設50及びデータ記憶センタ20もしくは他施設の医療画像サーバ30を有する。医療画像DIは、施設50から、この施設50の外のデータ記憶センタ20又は他施設の医療画像サーバ30へ転送される。医療画像DIは、医療画像装置、例えばMRI(magnetic resonance imaging)、CT(Computed Tomography)、RI(RadioIsotope)、又はCR(computed radiography)の装置等から作成される。医療画像DIは、これら医療画像装置内の画像記憶装置又はこれら医療画像装置に付随した画像記憶装置に一時的に記憶される。
【0016】
医療画像装置が作成した医療画像DIは、デジタル化されたデータで記憶され、他の装置と通信する際にはDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格の通信プロトコルに基づいて通信が行われる。第1実施形態で説明する医療画像DIは、DICOM規格の画像を前提として説明する。医療画像DIは、動画像又は静止画像があり、1検査あたり数枚から数千枚の医療画像DIで構成されている。また、医療画像DIは、画像データとタグ情報とが同包されて記憶されている。タグ情報には施設名、装置名又は患者名など多種の情報が記録されている。
【0017】
施設50とデータ記憶センタ20もしくは他施設の医療画像サーバ30とは、インターネット回線網で接続される。インターネットの接続には複数のインターネット接続業者(以下はプロバイダーと称する)があり、そのプロバイダーとの契約方法も複数存在する。プロバイダーとの契約方法として、定額制の接続契約、従量制の接続契約がある。さらには帯域重視の契約、価格重視の契約があり、利用者の要望に応じた契約が可能となっている。
【0018】
本実施形態の施設50は、複数のプロバイダーと異なる接続条件で契約している。施設50は、複数のプロバイダーと契約することにより通信の冗長化を図る。こうして施設50は、通信の安全性を増している。例えば、施設50は、通信回線に異常がない場合には、優先順位の低い医療画像DIに関しては価格重視(低コスト)で契約した通信回線を用い、優先順位の高い医療画像DIに関しては帯域重視で契約した通信回線を使う。
【0019】
低コストで通信回線を利用するため、本発明の中継器10は、施設50で発生する医療画像DIをできるだけ定額制の通信回線を用いて通信し、定額制の通信回線の帯域に余裕がなく、優先順位の高い医療画像DIの通信に遅延が発生する場合に、その優先順位の高い医療画像DIを従量制の通信回線で通信する。
【0020】
以下、通信回線の使用状況に応じ、優先順位の高い医療画像DIに対して通信回線を切り替える中継器10の実施形態について説明する。
【0021】
通常、インターネットにおける通信プロトコルは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が用いられる。TCP/IPは、はあらゆるベンダーのコンピュータや、全く異なるOS(Operating System)で相互に通信することを可能にしている。TCP/IP群は4つの階層で構成されている。第1層は、リンク層であり、PPP(Point-to-Point Protocol:ポイントトゥポイントプロトコル)、MAC(Media Access Control:メディアアクセス制御)等の通信プロトコルがある。第2層は、ネットワーク層でありリンク層の上位にある。ネットワーク層はIP等の通信プロトコルがある。第3層は、トランスポート層でありネットワーク層の上位にある。トランスポート層は、TCP、UDP(User Datagram Protocol)等の通信プロトコルがある。第4層は、アプリケーション層であり、トランスポート層の上位にある。アプリケーション層はDICOM、FTP(File Transfer Protocol)、HTTP(HyperText Transfer Protocol)等の通信プロトコルがある。
【0022】
以下に説明する第1及び第2実施形態の中継器10は、第4層のアプリケーション層において接続する通信回線を選択している。
【0023】
(第1実施形態)
第1実施形態の中継器10は、医療画像装置毎に優先順位を設定し、優先順位の高い医療画像装置に遅延が発生する可能性がある場合に通信回線を切り替える。
【0024】
図1は、施設50の内外のネットワークを示したブロック図である。図示されるように、施設50には、第1医療画像装置MD1から第3医療画像装置MD3が設置されている。第1医療画像装置MD1ないし第3医療画像装置MD3は、中継器10と施設50の中のネットワークで接続されている。中継器10は、施設50の外のインターネット回線網に複数の通信回線で接続されている。
【0025】
施設50からの通信先は、データ記憶センタ20であり、もう1箇所は他施設の医療画像サーバ30である。図示しないが二以上のデータ記憶センタ20及び他施設の医療画像サーバ30があってもよい。データ記憶センタ20は、施設50と第3通信回線CL3を介して医療画像DIなどの大量の画像データを通信(送受信)している。他施設の医療画像サーバ30は、画像診断センタ又は提携病院などであり、主に第4通信回線CL4を介して施設50の医療画像DIの通信をしている。
【0026】
施設50には、例えば3台の医療画像装置がある。第1医療画像装置MD1は、救急用撮影装置、第2医療画像装置MD2は、検診用撮影装置、第3医療画像装置MD3は、一時記憶用医療画像サーバである。救急用撮影装置である第1医療画像装置MD1は、緊急度の高い医療画像DIを撮影する。検診用撮影装置である第2医療画像装置MD2は、緊急度が低い医療画像DIを撮影する。一時記憶用医療画像サーバである第3医療画像装置MD3は、短期で使用される医療画像DIを記憶しておく装置であり、例えば、来院又は入院した患者の過去画像、又は最近発生した医療画像DIを記憶しておく医療画像サーバである。
【0027】
中継器10は、ハードウエア及びソフトウエアで構成され、通信単価設定部11、優先順位設定部12、通信条件設定部13、通信回線切替部14及び通信回線監視部15を有している。また、中継器10は、医療画像DI等のデータを入出力する不図示のポートが複数設置されている。
【0028】
通信単価設定部11は、施設50が契約する通信回線の契約情報を入力することで、通信回線ごとの通信単価が設定される。
優先順位設定部12は、接続する医療画像装置毎に優先順位を設定する。また、変形例として後述するように、優先順位設定部12は、通信する医療画像毎に優先順位を設定することも可能である。
【0029】
通信条件設定部13は、通信単価に応じて通信回線を切り替える条件を設定する。また通信条件設定部13は、使用する通信回線の使用帯域割合B(図2を参照)に閾値を設定して、閾値以下又は閾値を超える際の通信回線の使用条件を設定する。
【0030】
通信回線切替部14は、優先順位設定部12で設定された優先順位及び通信条件設定部13で設定された使用帯域割合Bの閾値に基づいて、接続する通信回線を切り替える。
通信回線監視部15は、契約する通信回線の遅延及び帯域を定期的に監視し、その監視内容を記憶している。
【0031】
中継器10は、上記構成により、低コストで医療画像DIの通信を行い、緊急性のある医療画像DIに対しては、遅延のない通信を行う。
【0032】
インターネット網と中継器10とは、施設50が契約する第1通信回線CL1と第2通信回線CL2とで接続される。第1通信回線CL1は、常時接続の定額制の通信回線で、第2通信回線CL2は、従量制の通信回線である。中継器10は、第1通信回線CL1を優先的に選択し、必要度に応じて第2通信回線CL2を選択する。
【0033】
図2は、第1通信回線CL1と第2通信回線CL2とにおけるコストCを示した図である。図2(a)は、第1通信回線CL1を使用した場合を示している。このグラフは、Y軸に使用帯域割合BとコストCとを示しX軸に日数を示している。使用帯域割合Bは、棒グラフで示され、使用帯域割合Bは、一日当たりの通信量Mと相関している。通信量Mが多ければ使用帯域割合Bも増加する。図2(a)のグラフでは、使用帯域割合Bは、一日の平均を表示している。ひと月あたりのコストCは、コストc1で一定であり、通信量Mにかかわらず定額料金である。このため、施設50は、第1通信回線CL1における通信の稼働率(使用帯域割合B)を上げることがコスト削減となる。なお、第1通信回線CL1は、第1通信回線CL1を利用する他の施設の影響も受け、時間帯により第1通信回線CL1自体の帯域幅が狭くなることがあり、通信量Mが同じでも使用帯域割合Bが異なることがある。
【0034】
図2(b)は、第2通信回線CL2を示した図であり、Y軸に通信量MとコストCとを示し、X軸に日数を示している。第2通信回線CL2は、通信量Mに伴いコストCが上昇する。このため、施設50は、第2通信回線CL2における通信の通信量を下げることがコスト削減となる。第2通信回線CL2は、従量制のため使用帯域割合Bは、常に低く高速の通信品質が保証されている。
【0035】
第1通信回線CL1及び第2通信回線CL2を使用した医療画像DIの通信は、一旦、第1通信回線CL1又は第2通信回線CL2と接続すると一連の医療画像DIの通信が終了するまで接続を維持する。
【0036】
図3は、第1医療画像装置MD1とデータ記憶センタ20とにおける医療画像DIの通信規格の模式図である。図3で示されるように、第1医療画像装置MD1で撮影された医療画像DIは、で構成され、第1医療画像装置MD1に記憶されている。通常、インターネット網とデータ記憶センタ20とは、帯域の広い第3通信回線CL3で接続されている。操作者が施設50からデータ記憶センタ20に通信を開始させると、複数枚の医療画像di(1)〜di(n)は、順番に、中継器10、第1通信回線CL1又は第2通信回線CL2、インターネット網及び第3通信回線CL3を介してデータ記憶センタ20に通信される。第1医療画像装置MD1は、第1通信回線CL1を介してデータ記憶センタ20と接続すると複数枚の医療画像di(1)〜di(n)の通信が終了するまで接続し続ける。つまり、医療画像DIは、通信規格により、第1通信回線CL1を介する通信開始後、医療画像di(m)(1<m<n)だけが第2通信回線CL2を介して通信されることはない。
【0037】
図4は、医療画像装置の優先順位に応じた中継器10の動作のフローチャートである。
ステップS10において、操作者は、中継器10に契約する通信回線の通信単価、及び施設50の医療画像装置毎の優先順位を設定する。通信単価は、通信単価設定部11で設定され、優先順位は、優先順位設定部12に設定される。通信単価は、契約内容の変更がなければ基本的に初回のみの設定である。医療画像装置の優先順位も基本的に初回のみの設定であるが、医療画像装置の優先順位は、月単位、又は曜日単位などで変更可能である。第1実施形態では、第1医療画像装置MD1が緊急性の高い医療画像DIであるため第1優先を設定し、第2医療画像装置MD2及び第3医療画像装置MD3を第1優先より優先順位に劣る第2優先を設定する。これにより、第1医療画像装置MD1で扱う医療画像DIは、第1優先の医療画像DIとなる。第2医療画像装置MD2及び第3医療画像装置MD3で扱う医療画像DIは、第2優先の医療画像DIとなる。
【0038】
ステップS11において、中継器10の通信条件設定部13は、通信回線の通信条件を設定する。通信条件設定部13は、通信回線ごとの通信単価、及び第1優先の通信回線における使用帯域割合の閾値を設定する。通信単価の安い第1通信回線CL1が第1優先に選択される通信回線と設定されている。通信条件設定部13は、第1通信回線CL1の使用帯域割合Bの閾値も設定する。例えば以下の通りである。通信条件設定部13は、使用帯域割合Bの閾値を60%と設定する。通信条件設定部13は、第1優先で通信する必要のある第1医療画像装置MD1の医療画像DIを第1通信回線CL1の帯域が使用帯域割合Bの60%未満の場合には、第1通信回線CL1を使用し、60%より大いい場合には、第2通信回線CL2を使用するように設定する。通信条件設定部13は、第2優先の第2医療画像装置MD2及び第3医療画像装置MD3の医療画像DIの場合には、使用帯域割合Bに関係なく第1通信回線CL1を使用するように設定する。
【0039】
ステップS12において、中継器10は、第1医療画像装置MD1〜MD3からの医療画像DIの通信要求を受ける。
【0040】
ステップS13において、中継器10の通信回線監視部15は、通信回線の回線品質を監視する。回線品質は、通信回線の遅延及び使用帯域割合Bである。図5(a)は、第1通信回線CL1の帯域の使用帯域割合Bを示した図である。図5(a)では、X軸に時間を示し、Y軸に帯域の使用帯域割合B(%)を示す。図示されるように、時間t0からt1までは、第3医療画像装置MD3が使用帯域割合Bの60%を使用し、時間t1からt2までは、第2医療画像装置MD2及び第3医療画像装置MD3が一時的に使用帯域割合Bの100%を使用している。再び、時間t2からt3までは、第3医療画像装置MD3が使用帯域割合Bの60%を使用し、時間t3からt4までは、使用帯域割合Bが0%で使用されていなく、時間t4からt5までは、第1医療画像装置MD1が使用帯域割合Bの60%を使用している。
【0041】
図4にもどり、ステップS14において、中継器10は、医療画像装置MD1〜MD3より、その配信元の情報を取得する。医療画像装置MD1〜MD3にアドレス(IPアドレス又はMACアドレスなど)が設定されているため、中継器10は、送られてきた医療画像DIの通信元が分かる。
【0042】
ステップS15において、中継器10の通信回線切替部14は、通信する医療画像DIが第1医療画像装置MD1で撮影されたものかを判断する。第1医療画像装置MD1の医療画像DIは第1優先であり、ステップS16に進む。第2医療画像装置MD2及び第3医療画像装置MD3の医療画像DIは第2優先であり、ステップS17に進む。
【0043】
ステップS16において、中継器10の通信回線切替部14は、通信回線監視部15が監視した使用帯域割合Bに基づいて、第1通信回線CL1の使用帯域割合Bが閾値以上かを判断する。第1通信回線CL1の第1通信回線CL1の使用帯域割合Bが閾値以下の場合は、ステップS17に進み、第1通信回線CL1の使用帯域割合Bが閾値より大きい場合は、ステップS18に進む。つまり、第1優先の医療画像DIは、第1通信回線CL1の使用帯域割合Bが60%以下であると、第1通信回線CL1で通信され、60%より大きいと第2通信回線CL2で通信される。
【0044】
ステップS17は、通信単価の安い第1通信回線CL1が選ばれた場合である。ステップS17では、中継器10は、第1通信回線CL1を使用した通信を行う。図5(a)に示されたように、第1通信回線CL1は、時間t0からt3までの第2優先の医療画像DIと、時間t4からt5までの第1優先の医療画像DIの通信が行われている。中継器10は、一旦、第1通信回線CL1と接続すると一連の医療画像DIの通信が終了するまで接続を維持する。
【0045】
ステップS18は、従量制の第2通信回線CL1が選ばれた場合である。ステップS18では、中継器10は、第1通信回線CL1の使用帯域割合Bが閾値より大きい場合に、第1優先の医療画像DIに対して第2通信回線CL2を使用した通信を行う。図5(b)は、第2通信回線CL2の帯域の使用帯域割合Bを示した図である。図5(b)においても(a)と同様にX軸に時間を示し、Y軸に使用帯域割合Bの使用帯域割合B(%)を示す。図5(b)に示されたように、第1医療画像装置MD1から時間t1からt2の間に通信要求があった。ステップS16において通信回線切替部14が第1通信回線CL1の閾値が60%より大きいと判断したため、第2通信回線CL2を使用している。中継器10は、一旦、第2通信回線CL2と接続すると一連の医療画像DIの通信が終了するまで接続を維持する。
【0046】
ステップS19において、中継器10は、次の医療画像装置からの通信要求があるかを判断する。通信要求がある場合には、ステップS12に進み、通信要求がない場合は、ステップS20に進む。
【0047】
ステップS20において、中継器10の通信回線監視部15は、所定の間隔で通信回線の回線品質を監視する。中継器10は、通信が終了した待機状態においても通信回線の遅延及び使用帯域割合Bを監視することで通信回線のトラブルを検知して知らせることができる。
【0048】
(変形例)
上述した第1実施形態では、優先順位設定部12は、医療画像装置毎にあらかじめ優先順位を設定していた。しかし、優先順位設定部12は、医療画像DIに付帯するタグ情報を用いて、医療画像DI毎に優先順位を設定してもよい。例えば、緊急度の低い第2医療画像装置MD2でも、緊急度のある医療画像DIを通信することがある。以下は、第2優先で設定されている第2医療画像装置MD2で撮影した医療画像DIに対して優先順位を上げる場合を説明する。
【0049】
第2医療画像装置MD2は、接続先のアドレスで第2優先として設定されているが、一連及び1枚ごとの医療画像DIにタグ情報が付帯されて記憶される。中継器10は、タグ情報から優先順位の情報を取得することで優先順位を上げる。タグ情報は、タグ番号、タグ名及び値から構成され、被検体の患者情報、装置情報、医療画像DIの詳細な撮影情報などが記録されている。操作者が第2医療画像装置MD2において優先順位を示すコメントを入力することで、タグ情報に優先順位が記録される。中継器10は、タグ情報に入力された優先順位を示すコメントをフラグとして、第2医療画像装置MD2で撮影した医療画像DIに対して優先順位を上げる。
【0050】
図6は、タグ情報の優先順位における中継器10の動作のフローチャートである。図6では、図4で示されたフローチャートにステップT10からT12が追加される。追加された場所が分かるよう図4で示されたフローチャートと同じステップは、破線で示してある。以下、追加されたステップについて説明する。
【0051】
図4のステップS10の後にステップT10が配置される。
ステップT10において、操作者は、優先順位設定部12で、タグ情報の所定のタグ番号及びタグ名の値が優先順位を設定する。例えば、タグ番号が「1100」、タグ名が「comment1」、その値が「emergency」である場合は、優先順位を第1優先に上げると設定する。
【0052】
ステップT11において、中継器10は、第2医療画像装置MD2の医療画像DIのタグ情報を取得する。
【0053】
ステップT12において、中継器10の通信回線切替部14は、医療画像DIのタグ情報の所定のタグ番号及びタグ名に第1優先を示す値が入力されているかを判断する。第1優先の情報が入力されている場合には、ステップS16に進み、第2優先の情報が入力されていれば、ステップS17に進む。
【0054】
図4のステップS16において、例えば、ステップT12において第1優先の情報が入力されているために、第1優先とされた医療画像DIは、第1通信回線CL1の使用帯域割合Bが60%以下であると第1通信回線CL1を使用し、60%より大きいと第2通信回線CL2を使用する。これにより、第2医療画像装置MD2で撮影された緊急性の高い医療画像DIは、通信速度を優先して第2通信回線CL2を介して通信される。
【0055】
図4のステップS17において、中継器10は、第1通信回線CL1を使用した通信を行う。図5(a)に示されたように、第1通信回線CL1の使用帯域割合Bが閾値以下である場合、第2医療画像装置MD2で撮影された緊急性の高い医療画像DIであっても第1通信回線CL1を使用する。
【0056】
図4のステップS18において、中継器10は、第1通信回線CL1の使用帯域割合Bが閾値より大きい場合に、第2通信回線CL2を使用した通信を行う。中継器10は、一旦、第2通信回線CL2と接続すると一連の医療画像DIの通信が終了するまで接続を維持する。
【0057】
上述した処理により、中継器は、第2優先で設定されている第2医療画像装置MD2で撮影した医療画像DIに対しても、緊急性が必要な医療画像DIに対しては、優先順位を上げて第1優先の医療画像DIとして通信することが可能となる。なお、本変形例では、第2医療画像装置MD2で撮影した医療画像DIに対して優先順位を上げる処理を示したが、同様に、第1医療画像装置MD1を撮影した医療画像DIに対して優先順位を下げる処理も可能である。
【0058】
(第2実施形態)
第2実施形態は、医療画像DIの汎用規格(jpeg規格、wavelet規格等)の画像を表示する場合である。以下、DICOM規格である医療画像DIの汎用規格の画像を参照医療画像IMと称する。参照医療画像IMは、DICOM規格である医療画像DIをjpeg変換及びwavelet変換などの処理で生成される。処理された参照医療画像IMは、DICOM規格の医療画像DIと比べデータ量が大幅に小さい。参照医療画像IMは、IE(Internet Explorer)などのウェブブラウザを使用してHTTP規格で通信される。また、ウェブブラウザは、複数の通信チャンネルを有しているため、画像サーバが許可すると複数のファイルを複数の通信チャンネルで同時に受信可能である。これにより、ウェブブラウザは高速な参照医療画像IMの表示が可能となる。
【0059】
ウェブブラウザを利用した参照医療画像IMは、施設50の中に設置されたパソコン等の端末(以下は、診療端末40と称する)に高速に表示される。診療端末40は、DICOM表示ソフトをインストールする必要がなく、診療端末40のOS(Operating System)に依存しないで高速に参照医療画像IMを表示できる。このため、施設50内では、操作者は、医療画像DIを参照する場合に診療端末40のウェブブラウザを使用する。なお、本実施形態の中継器10は、第1実施形態と同じ構成であり、同じ符号を用いる。以下は、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0060】
診療端末40から一時記憶用医療画像サーバである第3医療画像装置MD3にない画像が検索された際に、診療端末40は、検索された画像をデータ記憶センタ20から通信(受信)する。参照医療画像IMの受信の際、データ記憶センタ20は、DICOM規格画像でなく汎用規格画像で通信する。データ記憶センタ20は、医療画像DIだけでなく汎用規格画像も同時に記憶していてもよいし、通信する際に汎用規格に変換して通信してもよい。
【0061】
図7は、参照医療画像IMをデータ記憶センタ20と4回線チャンネルで通信(受信)する際のブロック図である。図示されるようにインターネット網を介してデータ記憶センタ20と診療端末40がある。データ記憶センタ20に記憶された一連の参照医療画像IMは、複数枚の参照医療画像im(1)〜im(n)で構成されている。通常、インターネット網とデータ記憶センタ20とは、使用帯域割合Bの広い第3通信回線CL3で接続されている。また、インターネット網と中継器10とは、施設50が契約する第1通信回線CL1と第2通信回線CL2とで接続される。
【0062】
データ記憶センタ20は、複数の通信チャンネルの通信機能を有し、診療端末40のウェブブラウザも複数の通信チャンネルの受信機能を有する。例えば、図7に示されるように、データ記憶センタ20は、第1回線チャンネルCH1から第4回線チャンネルCH4の4チャンネルの通信機能を有している。この4チャンネルは第3通信回線CL3を利用し、その第3通信回線CL3の帯域の中に分配される。同様に、診療端末40のウェブブラウザも第1チャンネルCH1から第4チャンネルCH4の4チャンネルの通信機能を有している。中継器10は第1チャンネルCH1から第4チャンネルCH4で使用する通信回線の分配を選択する。中継器10は、例えば、第1チャンネルCH1と第2チャンネルCH2と第3チャンネルCH3とが第1通信回線CL1を使用し、第4チャンネルCH4が第2通信回線CL2を使用している。
【0063】
データ記憶センタ20に記憶されている複数枚の参照医療画像im(1)〜im(n)は、第3通信回線CL3の第1チャンネルCH1から第4チャンネルCH4を用いて通信する。例えば、参照医療画像im(1)が第1チャンネルCH1で通信され、参照医療画像im(2)が第2チャンネルCH2で通信され、参照医療画像im(3)が第3チャンネルCH3で通信され、参照医療画像im(4)が第4チャンネルCH4で通信される。
【0064】
中継機10は、第1通信回線CL1の第1チャンネルCH1を介して参照医療画像im(1)を通信し、第1通信回線CL1の第2チャンネルCH2を介して参照医療画像im(2)を通信し、第1通信回線CL1の第3チャンネルCH3を介して参照医療画像im(3)を通信する。また、第2通信回線CL2の第4チャンネルCH1を介して参照医療画像im(4)を通信する。
【0065】
診療端末40は施設内の通信回線(LAN等)で第1チャンネルCH1から第4チャンネルCH4を用いて通信し、複数枚の参照医療画像im(1)〜im(n)を順に取得する。
【0066】
中継器10は、第1通信回線CL1の使用帯域割合Bに応じて、使用する通信チャンネルを選択する。第1通信回線CL1の使用帯域割合Bが低いと、中継器10は、第1通信回線CL1に第1チャンネルCH1から第4チャンネルCH4を割り当てることも可能である。このようにして、中継器10は、コスト低下につながる効率のよい通信を行うことができる。
【0067】
次に、第2実施形態の中継器10の動作について説明する。診療端末40は、一時記憶用医療画像サーバである第3医療画像装置MD3へ、参照医療画像IMを問い合わせる。そして、診療端末40は、所望の参照医療画像IMが存在しない場合に施設50の外のデータ記憶センタ20へ参照医療画像IMを要求する。
【0068】
図8は、参照医療画像IMを取得する際の中継器10の動作のフローチャートである。
【0069】
ステップS50において、第1実施形態同様に、操作者は、中継器10に契約する通信回線の通信単価、及び施設50の医療画像装置ごとに優先順位を設定する。第2実施形態も、第1医療画像装置MD1の医療画像DIに対して第1優先を設定し、第2医療画像装置MD2及び第3医療画像装置MD3の医療画像DIに対して第2優先を設定する。そして第2実施形態では、操作者は、第3医療画像装置MD3の参照医療画像IMに対して第1優先を設定する。
【0070】
ステップS51において、中継器10の通信条件設定部13(図1を参照。)は、通信回線の通信条件を設定する。第2実施形態では、第1通信回線CL1に対して通信条件設定部13に複数の閾値を設定する。通信条件設定部13は、第1通信回線CL1に第1閾値を使用帯域割合Bの60%と設定し、第2閾値を80%と設定する。通信条件設定部13は、新たな通信要求に対して、第1閾値である第1通信回線CL1の使用帯域割合Bが60%以下までは、第1通信回線CL1を使用し、使用帯域割合Bが60%を超えて第2閾値の80%以下までは、第1通信回線CL1と第2通信回線CL2とを併用し、使用帯域割合Bが第2閾値の80%を超える場合には、第2通信回線CL2を使用するよう設定する。
【0071】
ステップS52において、中継器10は、操作者から参照医療画像IMの通信要求を受けると、外部のデータ記憶センタ20へ参照医療画像IMを要求する。
【0072】
ステップS53において、中継器10の通信回線監視部15は、接続されている通信回線の回線品質、すなわち通信回線の遅延及び使用帯域割合B、を監視する。図9(a)は、第1通信回線CL1の使用帯域割合Bを示し、(b)は、第2通信回線CL2の使用帯域割合Bを示した図である。図9では、X軸に時間を示し、Y軸に使用帯域割合(%)を示す。図9(a)で示されるように、時間t0からt1までは、第3医療画像装置MD3によるDICOM規格の医療画像DIと参照医療画像IMとで使用する使用帯域割合Bが60%である。時間t1から時間t11までは、第2医療画像装置MD2の医療画像DI及び第3医療画像装置MD3の医療画像DIと参照医療画像IMとで使用する使用帯域割合Bが60〜80%である。時間t11から時間t12までは、第2医療画像装置MD2及び第3医療画像装置MD3の医療画像DIで使用する使用帯域割合Bが80〜100%である。時間t12から時間t2までは、第2医療画像装置MD2の医療画像DI及び第3医療画像装置MD3の医療画像DIと参照医療画像IMとで使用する使用帯域割合Bが60〜80%である。時間t2からt3までは、第3医療画像装置MD3による医療画像DIと参照医療画像IMとで使用する使用帯域割合Bが60%である。時間t3からt5までは、第3医療画像装置MD3による参照医療画像IMで使用する使用帯域割合Bが20%である。
【0073】
図8にもどり、ステップS54において、中継器10の通信回線切替部14は、第1通信回線CL1の使用帯域割合Bが第1閾値以下かを判断する。中継器10は、ステップS50で設定された参照医療画像IMの優先順位に従い、第1通信回線CL1の使用帯域割合Bが第1閾値以下の場合は、ステップS56に進み、第1閾値より大きい場合は、ステップS55に進む。
【0074】
ステップS55において、中継器10の通信回線切替部14は、第1通信回線CL1の使用帯域割合Bが第2閾値以下かを判断する。中継器10は、ステップS50で設定された参照医療画像IMの優先順位に従い、第2通信回線CL2の使用帯域割合Bが第2閾値以下の場合は、ステップS57に進み、第2閾値より大きい場合は、ステップS58に進む。
【0075】
ステップS56において、中継器10は、参照医療画像IMの通信に対して第1通信回線CL1を使用した通信を行う。本ステップの通信は、図9(a)に示された時間t0からt1、時間t2からt5に相当する。
【0076】
ステップS57において、中継器10は、参照医療画像IMの通信に対して第1通信回線CL1及び第2通信回線CL2を使用する。本ステップの通信は、図9(a)及び(b)に示された時間t1からt11、時間t12からt2に相当する。参照医療画像IMは、複数の通信チャンネルで通信されるため、中継器10は、第1通信回線CL1を使用する参照医療画像IMの通信量を減らし、第2通信回線CL2の通信に振り分ける。例えば中継器は、ウェブブラウザにおける4チャンネルある接続に対して3回線チャンネルを第1通信回線、残りの1回線チャンネルを第2通信回線で分割して通信する。中継器10は、回線チャンネルを分割する割合を可変することもできる。
【0077】
ステップS58において、中継器10は、第1通信回線CL1が第2閾値である80%を超える場合に第2通信回線CL2を使用した通信を行う。本ステップの通信は、図9(a)及び(b)に示された時間t11から時間t12に相当する。第2通信回線CL2の通信は、一連の参照医療画像IMを構成する参照医療画像im(1)〜im(n)ごとに通信するため、必ずしも一連の参照医療画像IMの全てを第2通信回線CL2で行うわけでなく、使用帯域割合Bが第2閾値以下になるまで一連の参照医療画像IMを構成する参照医療画像im(1)〜im(n)の通信を行う。
【0078】
ステップS59において、中継器10は、次の医療画像装置からの通信要求があるかを判断する。通信要求がある場合には、ステップS52に進み、通信要求がない場合は、ステップS60に進む。
【0079】
ステップS60において、中継器10の通信回線監視部15は、所定の間隔で通信回線の回線品質を監視する。中継器10は、通信が終了した待機状態においても通信回線の遅延及び使用帯域割合Bを監視することで通信回線のトラブルを検知して知らせることができる。回線のトラブルの際には、アラームを鳴らして操作者に知らせてもよい。
【0080】
第2実施形態の中継器10は、参照医療画像IMを4つの通信チャンネルに分割することで、第2通信回線CL2を使用する通信量を必要最低限に抑制することが可能となる。
【0081】
第1実施形態及び第2実施形態では、通信回線CLの使用帯域割合Bに基づいて、通信回線を選択する内容について説明した。しかし、本発明は、これらの実施形態に限定されない。例えば、複数の通信回線CLのうち1つの通信回線に回線のトラブルが発生して一切の画像通信ができない場合にも、中継器10は、使用する通信回線CLを選択することができる。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、第1通信回線CL1と第2通信回線CL2との使用を制御する例について説明したが、使用する通信回線は2つ以上でもよい。例えば、それぞれのコスト係数が1000、50、100、50である通信回路A、B、C、Dの4つを使用し、通常はコストの安いB、Dの通信回線を交互に使用し、それらの帯域が不十分な場合に、コストが倍のCの通信回路が使用されるようにする。また、Bに障害が発生した場合はDが使用され、緊急時にはAが使用されるようにする、といった例も考えられる。
尚、本発明の中継器は、別装置として接続されるものであっても、ソフトウエアとしてコンピュータに組み込まれるものであってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 … 中継器
11 … 通信単価設定部
12 … 優先順位設定部、 13 … 通信条件設定部
14 … 通信回線切替部、 15 … 通信回線監視部
20 … データ記憶センタ
30 … 医療画像サーバ
40 … 診療端末、50 … 病院施設
B … 使用帯域割合
C … コスト
CL1 … 第1通信回線、 CL2 … 第2通信回線
CL3 … 第3通信回線、 CL4 … 第4通信回線
DI … 医療画像
IM … 参照医療画像
M … 通信量
MD … 医療画像装置
MD1 … 第1医療画像装置、MD2 … 第2医療画像装置
MD3 … 第3医療画像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信回線と前記第1通信回線と異なる第2通信回線とを使用して、第1医療関連施設と別の第2医療関連施設又はデータセンタとの間で画像データを通信する通信ネットワークにおいて、アプリケーション層に設けられ、前記第1通信回線と前記第2通信回線との使用を制御する中継器。
【請求項2】
個々の前記画像データに対し、通信の優先順位を、少なくとも第1順位の画像データ又は前記第1順位の次の第2順位の画像データとして設定する優先順位設定部と、
前記第1通信回線及び前記第2通信回線に対して、予め使用する回線条件を設定する通信条件設定部と、
前記第1通信回線及び前記第2通信回線に対し遅延及び/又は帯域を監視する通信回線監視部と、
前記優先順位設定部で設定された画像データの優先順位、及び前記通信回線監視部による前記遅延及び/又は帯域の監視結果に基づいて、前記複数の画像データの通信に前記第1通信回線と前記第2通信回線とを切り替える通信回線切替部と、
を備える請求項1に記載の中継器。
【請求項3】
前記第1医療関連施設は、前記患者の医療画像を取得する第1医用画像取得装置及び第2医用画像取得装置を有しており、
前記優先順位設定部は、前記第1医用画像取得装置で取得された医療画像を前記第1順位の画像データとして設定し、前記第2医用画像取得装置で取得された医療画像を前記第2順位の画像データとして設定する請求項2に記載の中継器。
【請求項4】
前記第1通信回線と前記第2通信回線とは、前記画像データを通信する通信コスト及び/又は通信品質が異なり、
前記通信条件設定部は、前記通信コスト及び/又は前記通信品質に基づいて、使用する回線を設定する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の中継器。
【請求項5】
前記通信条件設定部が、前記通信コスト及び前記通信品質に基づいて前記第1通信回線を設定し、且つ前記通信回線監視部により前記通信が遅延なし又は前記通信の帯域が広いと監視された際に、前記第1順位の画像データ及び前記第2順位の画像データは、前記通信回線切替部によって切り替えられた前記第1通信回線で通信され、
前記通信回線監視部により前記通信が遅延している又は前記通信の帯域が狭いと監視された際には、前記第1順位の画像データが前記通信回線切替部によって切り替えられた前記第1通信回線で通信され、前記第2順位の画像データが前記通信回線切替部によって切り換えられた前記第2通信回線で通信される請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の中継器。
【請求項6】
前記通信回線切替部は、前記画像データが前記第1通信回線又は前記第2通信回線で通信し始めると、前記画像データの通信が完了するまでその通信回線で通信する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の中継器。
【請求項7】
前記画像データは、HTTP規格で扱われる汎用規格の画像データであり、
前記通信回線切替部は、前記汎用規格の画像データを分割して、前記第1通信回線及び前記第2通信回線をそれぞれ使って通信する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の中継器。
【請求項8】
第1通信回線と前記第1通信回線と異なる第2通信回線とを使用して、第1医療関連施設から別の第2医療関連施設又はデータセンタに画像データを通信するための医療画像通信制御システムであって、
請求項1から7のいずれか一項に記載の中継器を備えた医療画像通信制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−111137(P2013−111137A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258381(P2011−258381)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】