説明

中継装置および通話制御システム

【課題】携帯電話機の電話通信を容易に中継する。
【解決手段】記憶装置20は、電話帳変換データ21と、公開電話番号データ22と、を記憶する。発信手段11は、発信元が第1の通信端末2の電話番号で、サブアドレスとして顧客の識別子が指定された中継装置1の電話番号宛の第1の発信データを受信すると、電話帳変換データ21から、第1の発信データに含まれる第1の通信端末2の電話番号および顧客の識別子に対応づけられる第2の通信端末3の電話番号を抽出するとともに、公開電話番号データ22から第1の発信データに含まれる第1の通信端末2の電話番号に対応づけられた公開電話番号を抽出し、抽出した第2の通信端末3の電話番号宛に、発信元が抽出した公開電話番号の第2の発信データを生成して第2の通信端末3に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、社員の所有する第1の通信端末と、顧客の所有する第2の通信端末との通話回線を制御する中継装置および通話制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、個人の顧客にビジネスをする業界において、顧客満足度(CS:Customer satisfaction)の向上は重要な課題である。その一環として、カスタマーセンターなど、顧客に電話応対する際、その通話を録音することにより、サービスの品質向上とともに、顧客満足度の向上が期待される。例えば、社内に設けられた構内回線交換機において、社員の電話機との通話の回線を制御する。この回線交換機が、社員と顧客の通話を傍受して蓄積することにより、社員と顧客の通話が録音される。
【0003】
一方、携帯電話機の普及に伴い、社員のそれぞれに携帯電話機を貸与し、社員が顧客に個別に電話をかける場合がある。しかし、社内に設置される構内回線交換機では、携帯電話機による通話を録音することはできない。
【0004】
そこで、携帯電話通信網を提供する業者が、その携帯電話通信網中に回線交換機を設ける方法がある(例えば非特許文献1参照。)。この非特許文献1に記載の方法では、所定の携帯電話番号の通話を、携帯電話通信網中に設けられた回線交換機を通すことにより、携帯電話の通話を実現している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】携帯電話通話録音システム(VOCALNET MobileWrap)、[online]、NTTアドバンステクノロジ株式会社、[平成22年12月21日検索]、インターネット<http://ngw.ntt-at.co.jp/ucs/vocalnet/application/pdf/MobileWrap.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記非特許文献1に記載の方法では、携帯電話通信会社が提供するIPセントレックスのサービスを利用することが前提となっているので、非特許文献1に記載の方法の導入にあたり、コストや運用面で、導入が困難な問題がある。
【0007】
従って本発明の目的は、携帯電話機の電話通信を容易に中継可能な中継装置および通話制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、社員の所有する第1の通信端末と、顧客の所有する第2の通信端末との通話回線を制御する中継装置に関する。本発明の第1の特徴に係る中継装置は、第1の通信端末の電話番号と、顧客の識別子と、第2の通信端末の電話番号と、を対応づけた電話帳変換データと、前記第1の通信端末の電話番号と、前記第1の通信端末を所有する社員の電話番号として、前記第2の通信端末に公開する公開電話番号と、を対応づけた公開電話番号データと、を記憶する記憶装置と、発信元が第1の通信端末の電話番号で、サブアドレスとして前記顧客の識別子が指定された前記中継装置の電話番号宛の第1の発信データを受信すると、前記電話帳変換データから、前記第1の発信データに含まれる前記第1の通信端末の電話番号および当該顧客の識別子に対応づけられる第2の通信端末の電話番号を抽出するとともに、前記公開電話番号データから前記第1の発信データに含まれる前記第1の通信端末の電話番号に対応づけられた公開電話番号を抽出し、抽出した前記第2の通信端末の電話番号宛に、発信元が抽出した前記公開電話番号の第2の発信データを生成して前記第2の通信端末に送信する発信処理手段を備える中央処理制御装置と、を備える。
【0009】
ここで発信手段は、さらに発信元が第2の通信端末の電話番号で、第1の通信端末に対応する公開電話番号宛の第3の発信データを受信すると、電話帳変換データから、第3の発信データに含まれる第2の通信端末の電話番号に対応づけられる第1の通信端末の電話番号および当該顧客の識別子を抽出するとともに、公開電話番号データから第3の発信データに含まれる公開電話番号に対応づけられた第1の通信端末の電話番号を抽出し、抽出した第1の通信端末の電話番号宛に、発信元が中継装置の電話番号で、サブアドレスとして顧客の識別子が指定された第4の発信データを生成して第1の通信端末に送信しても良い。
【0010】
本発明の第2の特徴は、社員の所有する第1の通信端末と、顧客の所有する第2の通信端末と、第1の通信端末と第2の通信端末との通話回線を制御する中継装置と、を備える通話制御システムに関する。本発明の第2の特徴に係る通話制御システムは、第1の通信端末は、発信元を当該第1の通信端末の電話番号で、発信先を中継装置の電話番号で、発信先のサブアドレスとして顧客の識別子を指定した第1の発信データを送信する手段を備え、中継装置は、第1の通信端末の電話番号と、顧客の識別子と、第2の通信端末の電話番号と、を対応づけた電話帳変換データと、第1の通信端末の電話番号と、第1の通信端末を所有する社員の電話番号として、第2の通信端末に公開する公開電話番号と、を対応づけた公開電話番号データと、を記憶する記憶装置と、第1の発信データを受信すると、電話帳変換データから、第1の発信データに含まれる第1の通信端末の電話番号および当該顧客の識別子に対応づけられる第2の通信端末の電話番号を抽出するとともに、公開電話番号データから第1の発信データに含まれる第1の通信端末の電話番号に対応づけられた公開電話番号を抽出し、抽出した第2の通信端末の電話番号宛に、発信元が抽出した公開電話番号の第2の発信データを生成して第2の通信端末に送信する発信処理手段を備える中央処理制御装置と、を備え、第2の通信端末は、第2の発信データを受信する手段を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、携帯電話機の電話通信を容易に中継可能な中継装置および通話制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る通話制御システムのシステム構成と、中継装置の機能ブロックを説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る中継装置の電話帳変換データのデータ構造とデータの一例を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る中継装置の公開電話番号データのデータ構造とデータの一例を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る第1の通信端末の電話帳データのデータ構造とデータの一例を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る通話制御システムにおいて、第1の通信端末から第2の通信端末に発信があった場合の処理を説明するシーケンス図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る通話制御システムにおいて、第1の通信端末から第2の通信端末に発信があった場合の第2の通信端末の着信画面の一例を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る通話制御システムにおいて、第2の通信端末から第1の通信端末に発信があった場合の処理を説明するシーケンス図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る通話制御システムにおいて、第2の通信端末から第1の通信端末に発信があった場合の第1の通信端末の着信画面の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。
【0014】
(実施の形態)
図1を参照して本発明の実施の形態に係る通話制御システム8を説明する。通話制御システム8は、中継装置1、第1の通信端末2、第2の通信端末3および社内端末4を備える。ここで第1の通信端末2は、例えば、社員が使用する携帯電話機である。第2の通信端末3は、例えば、顧客が使用する電話機である。図1に示す例では、第2の通信端末3は固定電話用の電話機の場合を説明するが、携帯電話機であっても良い。また、図1に示す例では、第1の通信端末2および第2の通信端末3は、それぞれ1つずつ記載しているが、複数あっても良い。
【0015】
ここで、中継装置1は、例えば社内に設置される構内回線交換機である。中継装置1が設置される会社は、不動産会社や証券会社などであって、例えば、個人の顧客と、会社の営業マンが、通話する機会のある会社である。中継装置1は、公衆回線網6に接続可能で、公衆回線網6を介して携帯電話網5にも接続可能である。中継装置1は、これらの電話網を介して、第1の通信端末2および第2の通信端末3と通話可能である。中継装置1は、中継装置1に割り当てられた番号と、個々の社員に割り当てられたダイヤルインの番号と、の両方の電話番号の着信および発信を制御する。
【0016】
また中継装置1は、社内LAN7を介して社内端末4に接続される。社内端末4は一般的なコンピュータであって、中継装置1に記録される各種データを参照更新し、また設定を変更することができる。
【0017】
中継装置1は、中央処理制御装置10、記憶装置20および通信制御装置30を備える一般的なコンピュータである。中央処理制御装置10には、所定の処理を実行するプログラムを読み出すことによって、発信処理手段11、回線交換手段12および録音手段13が実装される。また、記憶装置20には、電話帳変換データ21、公開電話番号データ22および録音データ23が記憶される。通信制御装置30は、中央処理制御装置10の指示などに基づいて、携帯電話網5および公衆回線網6を介して他の通信端末との通話を制御するとともに、社内LANを介して、他の端末との通信を制御する。
【0018】
電話帳変換データ21は、第1の通信端末2の電話番号と、顧客の識別子と、第2の通信端末3の電話番号と、を対応づけたデータである。本発明の実施の形態において中継装置1は、第1の通信端末2の電話番号および顧客の識別子と、第2の通信端末3の電話番号とを、相互に変換する。
【0019】
電話帳変換データ21は、例えば図2に示すデータ構造とデータの一例を備える。図2に示す例では、第1の通信端末2の電話番号として社員電話番号が、顧客の識別子としてIDが、第2の通信端末3の電話番号として顧客電話番号が関連づけられるとともに、さらに、顧客名も関連づけられている。一人の社員が複数の顧客を担当することが一般的であるので、顧客名、IDおよび顧客電話番号の組み合わせの複数が、1つの社員電話番号に関連づけられても良い。
【0020】
公開電話番号データ22は、第1の通信端末2の電話番号と、第1の通信端末2の公開電話番号と、を対応づけたデータである。ここで公開電話番号とは、第1の通信端末2を所有する社員の電話番号として、第2の通信端末3に公開する電話番号である。本発明の実施の形態において中継装置1は、社員電話番号と、公開番号とを、相互に変換する。ここで公開番号は、携帯電話番号に対応して、個々の社員に割り当てられる電話番号で、例えば、固定電話の電話番号である。各固定電話の電話番号は、個別の回線として契約された番号でも良いが、ダイヤルインの電話番号であっても良い。ダイヤルインの電話番号は、構内電話交換機である中継装置1において、番号情報を利用して特定の内線に着信させることが可能で、またその番号情報を発信情報として、外部の電話機に着信させることが可能である。
【0021】
公開電話番号データ22は、例えば図3に示すデータ構造とデータの一例を備える。図3に示す例では、第1の通信端末2の電話番号として社員電話番号が記載されている。公開電話番号データ22は、社員電話番号と、公開番号と、が1対1で対応づけられている。
【0022】
録音データ23は、中継装置1が回線交換した通話が録音されたデータである。後述する録音手段13によって、録音される。録音データ23には、発信者情報、着信者情報、通話時刻などの属性情報が対応づけられても良い。
【0023】
これら電話帳変換データ21および公開電話番号データ22は、有効無効フラグを備え、社内端末4から有効無効フラグが変更されても良い。例えば、営業日外や社員の休暇など、電話応対できない場合にフラグを無効とする。このような場合に顧客から当該社員宛に電話が入った場合、電話を受けられない旨のメッセージなどで自動応答することにより、顧客の不満を解消することができる。
【0024】
発信処理手段11は、第1の通信端末2から第2の通信端末3への発信を処理するとともに、第2の通信端末3から第1の通信端末2への発信を処理する。
【0025】
まず第1の通信端末2から第2の通信端末3へ発信する場合、発信手段11は、発信元が第1の通信端末2の電話番号で、サブアドレスとして顧客の識別子が指定された中継装置1の電話番号宛の第1の発信データを受信する。発信手段11は、電話帳変換データ21から、第1の発信データに含まれる第1の通信端末2の電話番号および顧客の識別子に対応づけられる第2の通信端末の電話番号3を抽出するとともに、公開電話番号データ22から、第1の発信データに含まれる第1の通信端末2の電話番号に対応づけられた公開電話番号を抽出する。発信手段11はさらに、抽出した第2の通信端末3の電話番号宛に、発信元が抽出した公開電話番号の第2の発信データを生成して第2の通信端末3に送信する。
【0026】
第2の通信端末3から第1の通信端末2へ発信する場合、発信手段11は、発信元が第2の通信端末3の電話番号で、第1の通信端末2に対応する公開電話番号宛の第3の発信データを受信する。ここで発信手段11は、電話帳変換データ21から、第3の発信データに含まれる第2の通信端末3の電話番号に対応づけられる第1の通信端末2の電話番号および顧客の識別子を抽出するとともに、公開電話番号データ22から、第3の発信データに含まれる公開電話番号に対応づけられた第1の通信端末2の電話番号を抽出する。発信手段11はさらに、抽出した第1の通信端末2の電話番号宛に、発信元が中継装置1の電話番号で、サブアドレスとして顧客の識別子が指定された第4の発信データを生成して第1の通信端末2に送信する。
【0027】
ここで、サブアドレスの指定の方法は、携帯電話キャリアの仕様などによって異なる。例えば、通信端末から番号を発信する際、発信先の番号に続いて「*」およびサブアドレスの番号を入力した後、通話ボタンを押下する方法がある。
【0028】
また、別の方法として、ポーズも考えられる。ポーズを利用する場合、番号を発信する際、発信先の番号に続いて「P」およびサブアドレスの番号を入力した後、通話ボタンを押下する。このとき、発信先の番号が中継装置1に送信され、中継装置1は、後続の番号を待機する。その後、通信端末が所定のキーを押下すると、「P」以下で入力したサブアドレスが、中継装置1に送信される。
【0029】
このように、中継装置1に発信するとともにサブアドレスを指定する方法はいろいろ考えられるが、本発明において、その方法は限定しない。また、本発明の実施の形態において、「*」およびサブアドレスの番号を入力してサブアドレスを指定する場合について説明する。
【0030】
回線交換手段12は、第1の通信端末2と第2の通信端末3との間の通話を維持するために、その回線交換を制御する手段である。
【0031】
録音手段13は、第1の通信端末2と第2の通信端末3との間の通話を録音し、録音データ23として記憶装置20に記憶する手段である。このとき録音手段23は、発信者情報、着信者情報、通話時刻などの属性情報を対応づけて録音データ23を記憶することが好ましい。
【0032】
第1の通信端末2は一般的な携帯電話であって、電話帳データ2aを備える。一般的な電話帳データと同様に、電話帳データ2aは、氏名と電話番号とが対応づけられたデータである。本発明の実施の形態において、電話帳データ2aの電話番号は、顧客の電話番号ではなく、顧客の電話番号に変換可能な番号が登録されている。
【0033】
具体的には図4に示すように、電話帳データ2aは、氏名と電話番号が対応づけられているが、この電話番号は、顧客の電話番号ではない。電話帳データ2aの電話番号は、中継装置1の電話番号にサブアドレスとして顧客のIDを付した番号である。この電話帳データ2aにより、社員は、この電話帳から顧客の氏名を選択し、中継装置1に電話するとともに、顧客のIDをサブアドレスとして中継装置1に送信する。これにより中継装置は、電話帳変換データ21を参照して、第1の通信端末2の電話番号および顧客のIDから、第2の通信端末3の電話番号、具体的には顧客の電話番号に変換して、第1の通信端末2と第2の通信端末3との通話を制御することができる。このように、顧客の電話番号を第1の通信端末2に残さないことで、社員が携帯電話を紛失した場合でも、顧客の情報が漏洩することを防ぐことができる。
【0034】
また、第2の通信端末3にも、同様に電話帳を備えも良い。その場合、第2の通信端末3の電話帳データには、社員の氏名と、社員に割り当てられた公開電話番号と、が対応づけられている。
【0035】
社内端末4は、電話帳変換データ21および公開電話番号データ22を変更することができる。例えば、各社員は、社内端末4を使用して、有効無効フラグを設定して、社員が電話を受けられる期間または受けられない期間を設定することができる。また配属変更などにより担当する顧客が変わった場合や、顧客が増えた場合なども、各社員は社内端末4から電話帳変換データ21および公開電話番号22を変更することができる。
【0036】
図5ないし図8を参照して、本発明の実施の形態に係る発信処理を説明する。サブアドレスの指定の仕方は様々だが、ここでは、宛先の電話番号の後ろに「*」マークをつけ、続けてサブアドレスをつける場合について説明する。
【0037】
図5および図6は、第1の通信端末2から第2の通信端末3への発信処理を説明する図である。ここで、第1の通信端末2の電話番号はAで、公開電話番号はDである。中継装置1の電話番号はSである。中継装置1は、第1の通信端末2の公開電話番号Dで発着信が可能である。第2の通信端末3の電話番号はCで、IDは0001である。
【0038】
ステップS1において第1の通信端末2は、社員の操作により中継装置1に向けて発信する。この発信データには、発信元として第1の通信端末2の電話番号「A」が、宛先として、中継装置1の電話番号Sに、サブアドレスとして、第2の通信端末3の顧客のID0001を指定した「S*0001」が設定される。
【0039】
ステップS1において中継装置1が発信データを受信すると、中継装置1は、ステップS2において発信元電話番号を変換するとともに、ステップS3において宛先電話番号を変換する。具体的にはステップS2において中継装置2は、公開電話番号データ22から、受信した発信データの発信元の電話番号「A」に対応する公開電話番号「D」を取得し、発信元電話番号とする。さらにステップS3において中継装置2は、電話帳変換データ21から、受信した発信データの発信元の電話番号「A」と宛先で指定されたID「0001」に対応する第2の通信端末3の電話番号「C」を取得し、宛先電話番号とする。
【0040】
ステップS2およびステップS3の変換によって新たな発信データが生成されると、ステップS4において中継装置1は、新たな発信データを、第2の通信端末3に送信する。このとき、第2の通信端末3の表示画面3aには、図6に示すような発信番号が表示される。図6の表示画面3aに表示される番号は、第1の通信端末2の公開電話番号である。
【0041】
ステップS5において第2の通信端末3に着信し、顧客が電話を取ると、第1の通信端末2と第2の通信端末3との間で通話が成立する。ステップS6において中継装置1は、第1の通信端末2と第2の通信端末3との回線交換により、通話を維持する。
【0042】
図7および図8は、第2の通信端末3から第3の通信端末2への発信処理を説明する図である。図5を参照して説明した通り、第1の通信端末2の電話番号はAで、公開電話番号はDである。中継装置1の電話番号はSである。中継装置1は、第1の通信端末2の公開電話番号Dで発着信が可能である。第2の通信端末3の電話番号はCで、IDは0001である。
【0043】
ステップS51において第2の通信端末3は、顧客の操作により、中継装置1に向けて発信する。この発信データには、発信元として第2の通信端末3の電話番号「C」が、宛先として、第1の通信端末2の公開電話番号である「D」が設定される。
【0044】
ステップS51において中継装置1が発信データを受信すると、中継装置1は、ステップS52において発信元電話番号を変換するとともに、ステップS3において宛先電話番号を変換する。具体的にはステップS52において中継装置2は、電話帳変換データ21から、受信した発信データの発信元の電話番号「C」に対応するID「0001」を取得し、中継装置1の電話番号Sに、サブアドレスとして、第2の通信端末3の顧客のID「」0001」を指定した「S*0001」を発信元電話番号とする。さらにステップS53において中継装置2は、公開電話番号データ22から、受信した発信データの宛先の電話番号「D」に対応する第2の通信端末3の電話番号「A」を取得し、宛先電話番号とする。
【0045】
ステップS52およびステップS53の変換によって新たな発信データが生成されると、ステップS54において中継装置1は、新たな発信データを、第1の通信端末2に送信する。このとき、第1の通信端末2の表示画面2bには、図8に示すような発信番号が表示される。図8の表示画面2bには、顧客の氏名と、電話番号Sに、サブアドレスとして、第2の通信端末3の顧客のID0001を指定した「S*0001」と、が表示される。第1の通信端末2の電話帳データ2aによって、発信元番号が顧客の名前に変換されて表示される。
【0046】
ステップS55において第1の通信端末2に着信し、顧客が電話を取ると、第1の通信端末2と第2の通信端末3との間で通話が成立する。ステップS56において中継装置1は、第1の通信端末2と第2の通信端末3との回線交換により、通話を維持する。
【0047】
このように本発明の実施の形態に係る通信制御システム8においては、社内に設けられた中継装置1に顧客の電話番号を保持し、各社員の通信端末2には顧客の電話番号を保持しない。従って、社員が不注意により通信端末2を紛失したとしても顧客情報が漏洩するのを防ぐことができる。また、社員は、一般的な携帯電話を扱うように、顧客に電話をかけられるので、迅速に容易に電話をかけることができる。また、社員や顧客の通信端末に特別な仕組みが不要なので、導入が容易である。
【0048】
また、中継装置1内の電話帳変換データ21および公開電話番号データ22をレコードの単位で無効/有効にすることにより、使用可否の期間を適宜設定することができる。この設定は、携帯電話会社などを通すことなくできるので、頻繁に適切に設定することができる。
【0049】
このように本発明の実施の形態に係る通信制御システム8によれば、携帯電話機の電話通信を容易に中継可能である。また中継装置において録音することにより、携帯電話機の通話も容易に録音することができる。
【0050】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなる。
【0051】
例えば、本発明の実施の形態に記載した中継装置1の録音手段13は、図1に示すように同一のハードウェア上に構成されても良いし、異なるハードウェア上に構成されても良い。
【0052】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0053】
1 中継装置
2、3 通信端末
4 社内端末
5 携帯電話網
6 公衆回線網
7 社内LAN
8 通話制御システム
10 中央処理制御装置
11 発信処理手段
12 回線交換手段
13 録音手段
21 電話帳変換データ
22 公開電話番号データ
23 録音データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
社員の所有する第1の通信端末と、顧客の所有する第2の通信端末との通話回線を制御する中継装置であって、
第1の通信端末の電話番号と、顧客の識別子と、第2の通信端末の電話番号と、を対応づけた電話帳変換データと、
前記第1の通信端末の電話番号と、前記第1の通信端末を所有する社員の電話番号として、前記第2の通信端末に公開する公開電話番号と、を対応づけた公開電話番号データと、
を記憶する記憶装置と、
発信元が第1の通信端末の電話番号で、サブアドレスとして前記顧客の識別子が指定された前記中継装置の電話番号宛の第1の発信データを受信すると、前記電話帳変換データから、前記第1の発信データに含まれる前記第1の通信端末の電話番号および当該顧客の識別子に対応づけられる第2の通信端末の電話番号を抽出するとともに、前記公開電話番号データから前記第1の発信データに含まれる前記第1の通信端末の電話番号に対応づけられた公開電話番号を抽出し、抽出した前記第2の通信端末の電話番号宛に、発信元が抽出した前記公開電話番号の第2の発信データを生成して前記第2の通信端末に送信する発信処理手段を備える中央処理制御装置と、
を備えることを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記発信手段は、さらに
発信元が前記第2の通信端末の電話番号で、前記第1の通信端末に対応する公開電話番号宛の第3の発信データを受信すると、前記電話帳変換データから、前記第3の発信データに含まれる前記第2の通信端末の電話番号に対応づけられる前記第1の通信端末の電話番号および当該顧客の識別子を抽出するとともに、前記公開電話番号データから前記第3の発信データに含まれる公開電話番号に対応づけられた前記第1の通信端末の電話番号を抽出し、抽出した前記第1の通信端末の電話番号宛に、発信元が前記中継装置の電話番号で、サブアドレスとして前記顧客の識別子が指定された第4の発信データを生成して前記第1の通信端末に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
社員の所有する第1の通信端末と、顧客の所有する第2の通信端末と、前記第1の通信端末と前記第2の通信端末との通話回線を制御する中継装置と、を備える通話制御システムであって、
第1の通信端末は、発信元を当該第1の通信端末の電話番号で、発信先を中継装置の電話番号で、発信先のサブアドレスとして顧客の識別子を指定した第1の発信データを送信する手段を備え、
前記中継装置は、
前記第1の通信端末の電話番号と、顧客の識別子と、前記第2の通信端末の電話番号と、を対応づけた電話帳変換データと、
前記第1の通信端末の電話番号と、前記第1の通信端末を所有する社員の電話番号として、前記第2の通信端末に公開する公開電話番号と、を対応づけた公開電話番号データと、
を記憶する記憶装置と、
前記第1の発信データを受信すると、前記電話帳変換データから、前記第1の発信データに含まれる前記第1の通信端末の電話番号および当該顧客の識別子に対応づけられる第2の通信端末の電話番号を抽出するとともに、前記公開電話番号データから前記第1の発信データに含まれる前記第1の通信端末の電話番号に対応づけられた公開電話番号を抽出し、抽出した前記第2の通信端末の電話番号宛に、発信元が抽出した前記公開電話番号の第2の発信データを生成して前記第2の通信端末に送信する発信処理手段を備える中央処理制御装置と、を備え、
第2の通信端末は、前記第2の発信データを受信する手段を備える
ことを特徴とする通話制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−142743(P2012−142743A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293285(P2010−293285)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(593222595)株式会社ネイクス (18)
【Fターム(参考)】