説明

中継装置及び中継方法

【課題】近年、映像伝送が増えてマルチキャストプロトコルによる伝送の需要が増えている。そのマルチキャストデータ伝送において、簡単な伝送、明示的経路(ルート)による伝送、及び帯域保証した伝送が要求されるようになってきた。
【解決手段】本発明では、マルチキャストプロトコルによって伝送ルートを形成するにあたって、伝送ルートにある中継装置のアドレスを、参加メッセージ中(明示経路項)に明示する、もしくは各中継器のポリシーテーブルに明示し、伝送ルートにある中継器を明示することによって、伝送ルーが形成される構成とした。また、ポリシーテーブルに要求される帯域(QoS項)を確保するとともに参加メッセージに入れる構成とし、伝送品質を確保できる伝送ルート形成を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信端末と受信端末との間でマルチキャストプロトコルによってマルチキャスト・パケット(データ)の送受を行うマルチキャスト伝送ルートを形成するために使用されるネットワーク中継装置に係り、特に、マルチキャスト伝送ルートにおける送信端末側、受信端末側もしくはそれらの中継位置のいずれにも使用可能であって、マルチキャスト伝送ルートをラベルで認識できるようにしてマルチキャストデータの伝送を容易にし、伝送品質を確保し、又は明示的伝送ルートを形成することができる中継装置に関する。
【0002】
なお、マルチキャストとはIP(INTERNET PROTOCOL)ネットワーク上で複数の受信者宛にパケット(データ)を渡す形態の1つであって、ネットワーク上の全受信者に宛てて1つのパケットだけが送出され、ネットワークの中継ポイントで必要なだけパケットを複写して転送するものである。他の、いわゆる、受信希望者にデータを複製して渡すユニキャスト、ネットワークの全体にデータを転送するブロードキャストとは区別されている。
【背景技術】
【0003】
一般にデータ伝送のネットワークは中継器を用いて網状に構成されており、ある中継装置から目的のある中継装置までのデータの伝送を希望するときは、目的の中継装置までに介在する各中継装置のアドレス等を確認した上で、そのための伝送ルート(以下、トラフィックを含む概念として用いる。)が形成され、伝送される。ネットワークが大きくなるほど、かつ高速性が要求されるほど、容易に伝送ルートが形成されることが望まれる。また、ユーザ(通信業者)からすると運用上どの中継装置を介して伝送されるか明示的な、かつ帯域等で表される伝送品質QoS(Quality of Service)を確保した伝送ルート形成が望まれるようになってきた。
【0004】
(MPLSの説明)
これらの期待に応えようという方式が、従来、主にユニキャストパケットを伝送する中継装置に使用される、MPLS(MultiProtocol Label Switching)である。
【0005】
この中でも、長い宛先より簡単なラベルを付したパケットの道筋LSP(Label Swiched Path)を形成し、さらに明示的な伝送ルートを形成し、QoSの確保を図るものとして、RSVP−TE(Resource Reservation Protocol―Traffic Engineering)(非特許文献3,4)、それに類似した機能のCR−LDP(Constraint Routed―Label Distribution Protocol)がある。
【0006】
ここで、RSVP−TEは、QoSを確保するためにネットワークリソースを予約するプロトコルで、明示的なLSP確立にも用いられる。CR−LDPは、ラベルの配布機能(LDP)を拡張し、MPLSネットワークで制約ベースルーティングとQoS予約を可能にするプロトコルである。
【0007】
これらのプロトコルと、従来から中継装置/リンクに広く利用されトポロジー情報を持っているリンクステート形ルーティングプロトコルOSPF(Open Shortest Path First)を用いて、例えば、図10に示す伝送ルートが形成されていた。
【0008】
図10において、中継装置RT2がトポロジー情報(例えば、あらかじめ全ネットワークを統括するポリシーサーバから指示された情報)として、中継装置RT4までの伝送ルートとして中継装置RT3,RT7、RT9、RT4の伝送ルート順を有して、かつその伝送ルートにおける帯域(QoSを保証するパラメータの1つ)を40Mbpsとする情報を有していて、今、受信端末100から中継装置RT2を介して送信端末200が接続されている中継装置RT4に対して、送信装置200からのデータの受信を希望する意思表示としての受信要求があったとき、中継装置RT2は、自己が有するトポロジー情報にしたがって、明示的に中継装置RT3に前記伝送ルート順の情報を含むリクエストを出し40Mbpsのリソースを優先的に確保する。
【0009】
同様にして、中継装置RT7、RT9、RT4へ順にリクエストがいって、40Mbpsのリソースが確保されると、中継装置RT4からRT2へ向けラベル100,110,120,130が順に付されて返されてくる。その後に中継装置RT4がラベル100を付したパケットを予約した40Mbpsで中継装置RT9へ転送する。そうすると中継装置RT9はパケットのラベル100をラベル110に張り替えて中継装置RT7へ転送する。このようにして、ラベル100,110,120,130の順に張り替えられて、帯域を確保しながらパケットが転送される。
【0010】
しかしながら、これらの現在運用されているMPLSは主にユニキャストパケットの中継にしか用いられていない。
【0011】
(PIM−SMの説明)
一方、映像データ等の伝送要求が増え、マルチキャスト通信の需要が増加してきている。マルチキャスト通信にはPIM(Protocol Independent Multicast)プロトコル(非特許文献1及び2)がある。
【0012】
PIMプロトコルでは、次のような条件でネットワークが形成されデータが伝送される。
【0013】
(1)受信者が、受信端末から所属するネットワークの中継装置へIGMP Membership Reportを送信する。このIGMP Membership Reportは、いわば、マルチキャストグループへ参加する参加メッセージであって、そのマルチキャストデータの受信を希望する意志表示手段である。なお、マルチキャストグループとは、ネットワーク内でマルチキャストアドレスにより識別される特定のデータのグループである。送信端末は、マルチキャストアドレスの付されたデータ(マルチキャストアドレスは、データの識別情報でもある。)を転送し、受信端末がそのマルチキャストデータの受信を希望する場合は、そのマルチキャストグループへ参加を希望する必要がある。
【0014】
(2)IGMP Membership Reportを受けた中継装置が、参加グループへマルチキャストデータを送信する端末を認識している場合には、送信端末へ、認識していない場合は、後記するRP(ランデブーポイント或いは共有ポイント)へ向けて、途中介在の中継装置をホップバイホップで(近隣の中継装置へ参加を呼びかける。その呼びかけられた中継装置が次の近隣の中継装置へ参加を呼びかける順序。)マルチキャストグループへの参加を伝える。前記送信端末への参加を伝えるルートは、Shortest Path Tree(以下、「SPT」という。)、又は前記RPへの参加を伝えるルートは、Rendezvous Point Tree(以下、「RPT」という。)といわれるマルチキャスト伝送ルートが構築される。
【0015】
(3)構築されたマルチキャスト伝送ルート(以下、「伝送ルート」という。)を通して、その受信端末又はRPへ向けて、マルチキャストデータが転送される。
【0016】
上記(2)の詳細を先のMPLSの説明に使用した図10を使用して、以下に詳述する。先ずSPTについて説明する。SPTは、受信端末100から送信端末200までの伝送ルートを最短で形成(コストの低いルートを形成することもできる。)するもので、次のように行われる。
【0017】
a.受信端末100からIGMP Membership Reportを受けた中継装置RT2がユニキャストルーティングテーブルをチェックし、最短の伝送ルートを形成するために必要な近隣の中継装置RT3を見つけ、伝送ルートの形成に参加するための参加メッセージであるPIM Joinメッセージを送信する。ここで中継装置RT2(一般には全ての中継装置がもっている)のユニキャストルーティングテーブルは、近隣のネットワークはもちろん、現実に連関して接続される全ネットワークを特定するためのアドレス情報、マルチキャストアドレス及びそれらのネットワークを接続する中継装置のアドレス及び入出力ポート(インタフェース)関係の情報を記憶している。
【0018】
PIM Joinメッセージには、ユニキャストルーティングテーブルから自己が要求する当該データを得るための当該伝送ルートを探しだすため、例えば、当該マルチキャストグループのアドレス、当該送信元(送信端末)のアドレス、そこへ向かうために次へホップすべき当該中継装置のアドレス、その中継装置のネットワークでかかるコスト等が記載されている。
【0019】
b.同様に、中継装置RT3,RT4(最短を形成するために、RT7及びRT9は、この場合通過せず。)というようにホップバイホップでPIM Joinメッセージを送り、都度、各中継装置がそれぞれ保有するユニキャストルーティングテーブルをチェックしながら伝送ルートを確立していく。なお、中継装置RT4は、ユニキャストルーティングテーブルをチェックすると、受けた参加メッセージで要求されるデータを送信している送信端末200が自己に接続されていることを知る。
【0020】
c.送信端末200と同じネットワークに所属する中継装置RT4は、PIM Joinメッセージを受領後に、送信端末から転送されているマルチキャストデータを確立された伝送ルート(中継装置RT4,RT3,RT2)を通して、受信端末100に転送する。
【0021】
次に、RPTについて説明する。RPTの場合は、予めRP(ランデブーポイント或いは共有ポイント)を定める。例えば、図10で中継装置RT8をRPと定めておき、これを各ネットワーク網の中継装置に伝えておく。送信端末200からのマルチキャストデータを受け取った中継装置RT4は、データを受信する端末が分からないため、RPである中継装置RT8へ向けてマルチキャストデータを中継装置RT8のユニキャストにカプセル化して転送する。その後、受信端末100よりIGMP Membership Reportを受けた中継装置RT2が、上記a及びbの条件と同様に、中継装置RT8へ向けてPIM Joinメッセージを投げて、伝送ルート(中継装置RT2,RT3,RT7、RT8)を確立する。中継装置RT8がPIM Joinメッセージを受けると、中継装置RT4に参加メンバーがいることを伝え、中継装置RT4からRT2への伝送ルートRPTが構築される。中継装置RT2は、中継装置RT8(RP)経由で送信端末200からのデータを受信した時点で、送信端末200を認識できるので、この時点で中継装置RT8が離脱するための要求を発行し、中継装置RT4へのSPTを再構築する。
【0022】
PIM―SMによりマルチキャスト通信を行うと、最も短い伝送ルート或いは最も低いコスト(各伝送ルートに静的に設定された属性)の伝送ルートを選択して形成されるが、例えば、低いコストの伝送ルートにトラフィックが集中してしまったりする。また、ユーザからはどの伝送ルートを通っているのか感知しにくいといった問題、ユニキャストルーティングテーブルが膨大になり宛先のサーチが大変になってくる問題があった。
【0023】
(MPLSにおけるマルチキャストの提案)
これに対し新たにMPLSでマルチキャスト通信を実現する方式が提案されている(非特許文献5)。これはMPLSのラベル分配にRSVPを使用する方式である。
【0024】
図11に示すとおり、この方式では、RSVP Path メッセージ(参加メッセージに類似した情報)が送信ノードS(ノードは、中継装置に類似したもの)より、中継ノードを経由して、受信ノードLまで伝送ルートを伝って到達する。Pathメッセージを受け取った受信ノードが Resvメッセージを返送する。この Resv メッセージが中継ノードに対してMPLSラベルを伝達しながら戻ってくることでLSPができるのである。
【0025】
しかし、この方式では全ての中継ノードがRSVPをサポートする必要があり、普及に問題が残る。
【0026】
【非特許文献1】Dave Kosiur著、苅田幸雄 監訳、マスタリング TCP/IP IPマルチキャスト編、1版、株式会社オーム社、平成11年11月30日、p.119−p.123
【非特許文献2】D.Estrin、外9名、“Request for Comment 2362:Protocol Independent Multicast―Sperse Mode(PIM−SM)”、[online]、June 1998、インターネット技術標準化タスクフォース(インターネット標準策定に関する技術的検討機関)、[2002年8月29日検索]、インターネット[リンク;http://WWW.ietf.org/rfc/rfc2362.text]、p.1−p.5
【非特許文献3】R.Braden,Ed.、外4名、“Request for Comment 2205:Resouce ReSerVation Protocol(RSVP)”、September 1997、インターネット技術標準化タスクフォース(インターネット標準策定に関する技術的検討機関)、[2002年8月29日検索]、インターネット[リンク;http://WWW.ietf.org/rfc/rfc2205.text]、p.3−p.6
【非特許文献4】D.Awduce、外5名、“Request for Comment 3209、RSVP−TE:Extensions to RSVP for LSP Tunnels”、December 2001、インターネット技術標準化タスクフォース(インターネット標準策定に関する技術的検討機関)、[2002年8月29日検索]、インターネット[リンク;http://WWW.ietf.org/rfc/rfc3209.text]、p.3−P.8
【非特許文献5】Seisho Yasukawa,外3名、“Extended RSVP−TE for Multicast LSP Tunnels”、June 2002、インターネット技術標準化タスクフォース(インターネット標準策定に関する技術的検討機関)、[2002年8月29日検索]、インターネット[http://WWW.ietf.org/internet―draft/draft―yasukawa―mpls―rsvp―multicast−00.text]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
上記のような各方式の状況がある。一方、映像伝送等が多く要求され、マルチキャストの需要が増えてきている。しかし、ユニキャストルーティングテーブルは、全体が大きなネットワークであればあるほどテーブルの情報量が多く膨大になりそのチェック時間が多くなり、さらに介在中継装置が多くなればテーブルのチェック時間に加え、参加メッセージの送信回数が多くなって時間がかかる。さらには、帯域等の品質確保も重要になってくる。
【0028】
本発明の目的は、上記状況に鑑みて、マルチキャストプロトコルによる明示的な伝送ルート形成、さらにこれら伝送ルート形成時に帯域を確保して品質を保証することができる中継装置及び中継方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的を達成するために、請求項1から5においては、明示的伝送ルートを形成できる構成とした。具体的には、請求項1の発明では、送信端末又は前記送信端末からのデータを送信可能とされた上位の他の中継装置を含む送信装置と、受信端末又は前記受信端末が接続される下位の他の中継装置を含む受信装置との間でマルチキャストプロトコルによる伝送ルートを形成するために、前記受信装置の最寄に用いられる中継装置であって、前記送信装置からの当該データの受信を希望する前記受信装置との間の当該伝送ルート上にある他の中継装置を特定するための伝送ルート情報を外部から受けて記憶するポリシー記憶手段と、前記送信装置からの当該データを受信するための参加メッセージを前記受信装置から受けて、前記伝送ルート情報に上位の近隣の他の中継装置ついての特定情報が1つしかない場合は参加メッセージだけを送信し、前記伝送ルート情報に上位の複数の他の中継装置についての特定情報がある場合は、少なくとも前記伝送ルート情報のうち前記上位の近隣の他の中継装置から前記送信装置までの伝送ルート情報を含む参加メッセージを生成して送信する伝送ルート形成管理手段と、前記伝送ルート形成管理手段が参加メッセージを送信した前記近隣の他の中継装置を当該データの転送元とし、参加メッセージ受けた前記受信装置を転送先として記憶する転送情報記憶手段とを備えた。
【0030】
請求項2の発明では、送信端末又は前記送信端末からのデータを送信可能とされた上位の他の中継装置を含む送信装置と、受信端末又は前記受信端末が接続される下位の他の中継装置を含む受信装置との間でマルチキャストプロトコルによる参加メッセージを送受信して伝送ルートを形成する中継装置間として用いられる中継装置において、下位の近隣の他の中継装置から参加メッセージを受けて、前記参加メッセージに、前記送信装置からの所望の当該データを受信するために前記送信装置までの他の中継装置を特定する伝送ルート情報を含む場合は、その受けた伝送ルート情報にしたがって、選択された上位の近隣の他の中継装置へ、少なくとも受けた前記伝送ルート情報のうち前記上位の近隣の他の中継装置から前記送信装置までの伝送ルート情報とを含む参加メッセージを生成して送信する伝送ルート形成管理手段と、前記伝送ルート形成管理手段が参加メッセージを送信した前記上位の近隣の他の中継装置を当該データの転送元とし、参加メッセージを受信した下位の近隣の他の中継装置を転送先として記憶する転送情報記憶手段とを備えた。
【0031】
請求項3の発明では、自己が参加メッセージを送信すべき上位の近隣の他の中継装置を外部から指示を受けて記憶するポリシー記憶手段を有し、前記伝送ルート形成管理手段は、前記下位の近隣の他の中継装置から伝送ルート情報を受け無い場合は、前記ポリシー記憶手段が記憶する上位の近隣の他の中継装置へ参加メッセージを送信する構成とした。
【0032】
請求項4の発明では、送信端末又は前記送信端末からのデータを送信可能とされた上位の他の中継装置を含む送信装置と、受信端末又は前記受信端末が接続される下位の他の中継装置を含む受信装置との間でn個の中継装置でマルチキャストプロトコルによる伝送ルートを形成する中継方法において、受信装置最寄りのn=1番目の中継装置に、前記送信装置とその送信装置からのデータを希望する前記受信装置との間の前記伝送ルート上にある前記n個の中継装置を特定する伝送ルート情報を外部から受けてポリシー記憶手段に記憶する準備段階と、受信端末最寄りのn=1番目の中継装置が、前記送信装置からの前記データを受信するための前記伝送ルート情報を含む参加メッセージを前記受信装置から受けて、前記伝送ルート情報によって選択したn=2番目の中継装置へ、少なくとも残りのn−2個の中継装置を特定する伝送ルート情報を含む参加メッセージを生成して送信し、さらに、前記受信端末を前記データの転送先とし、前記1番目の中継装置を転送元として自己の転送情報記憶手段に記憶する段階と、k(2〜n−1)番目の中継装置が、k−1番目の中継装置から少なくともn−k個の中継装置を特定する伝送ルート情報を含む参加メッセージを受けて、前記伝送ルート情報によって選択したk+1番目の中継装置へ、残りのn−k−1個の中継装置を特定する伝送ルート情報を含む参加メッセージを生成して送信し、前記k−1番目の中継装置を前記データの転送先とし、前記k+1番目の中継装置を転送元として自己の転送情報記憶手段に記憶し、これらの動作をk=2〜k=n−1番目の中継装置で順次実施する段階と、n番目の中継装置がn−1番目の中継装置から参加メッセージを受信し、前記n−1番目の中継装置を転送先とし前記送信装置を転送元として自己の転送情報記憶手段に記憶する段階と、前記nから1番目の各中継装置が、順に前記データを受けたときに自己の転送情報記憶手段の転送情報を参照して前記データを転送する段階とを備えた。
【0033】
請求項5の発明では、送信端末又は前記送信端末からのデータを送信可能とされた上位の他の中継装置を含む送信装置と、受信端末又は前記受信端末が接続される下位の他の中継装置を含む受信装置との間で、前記送信装置からの所望の当該データを受信するためにn個の中継装置でマルチキャストプロトコルによる伝送ルートを形成する中継方法において、前記当該データを受信するため当該伝送ルートを形成するためのn=1からn−1まで各中継装置に、上位の近隣の中継装置を特定する情報を外部から受けてポリシー記憶手段に記憶する準備段階と、n=1番目の中継装置からn−1番目までの各中継装置が、順に、下位の近隣の受信装置または中継装置から参加メッセージを受けて、自己のポリシー記憶手段に記憶されている前記上位の近隣の中継装置へ参加メッセージを送り、n番目の中継装置がn−1番目の中継装置から参加メッセージを受信することによって、当該伝送ルートを形成する段階とを備えた。
【0034】
さらに、請求項6から7の発明では、LSP伝送ルート、明示的伝送ルート及び品質確保した伝送ルートのいずれもできる構成とした。具体的には、請求項6の発明では、送信端末又は前記送信端末からのデータを送信可能とされた上位の他の中継装置を含む送信装置と、受信端末又は前記受信端末が接続される下位の他の中継装置を含む受信装置との間でマルチキャストプロトコルによる伝送ルートを形成するために用いられる中継装置であって、前記送信装置とその送信装置から当該データを希望する前記受信装置との間の当該伝送ルートを形成するにあたって、外部から特定の明示された当該伝送ルートを形成する要求或いは特定の品質パラメータの伝送品質を確保する要求があればそれらの要求を満たすための情報を記憶するためのポリシー記憶手段と、近隣の及び連関するネットワーク並びにそれらを接続する他の中継装置を特定するためのルーティング情報を記憶する連関ネットワーク情報記憶手段と、前記送信装置からの当該データを特定して受信するための識別情報を含む参加メッセージを前記受信装置又は下位の近隣の他の中継装置から受けて、前記識別情報を基に、前記ポリシー記憶手段の情報及び連関ネットワーク情報記憶手段のルーティング情報を参照し、かつ前記ポリシー記憶手段が記憶する情報を優先して上位の近隣の他の中継装置を選択した場合、前記選択した上位の近隣の他の中継装置へ、前記参照したときに前記ポリシー記憶手段に前記上位の近隣の他の中継装置より上位の他の中継装置に要求する情報が含まれている場合は、その上位の他の中継装置に要求する情報及び前記識別情報を含む参加メッセージを生成して前記上位の近隣の他の中継装置へ送信する伝送ルート形成管理手段と、伝送ルート形成管理手段が参加メッセージを送信した前記上位の近隣の他の中継装置を当該データの転送元とし、参加メッセージ受けた前記受信装置又は前記下位の近隣の他の中継装置を転送先として記憶する転送情報記憶手段とを備えた。
【0035】
請求項7の発明では、前記伝送ルート形成管理手段が、前記ポリシー記憶手段の情報及び前記連関ネットワーク情報記憶手段のルーティング情報を参照して前記識別情報で特定される当該データを送信する送信装置が自己に接続されていると判断したときは、前記送信装置を送信元とし、前記転送情報記憶手段が前記参加メッセージを受けた下位の近隣の他の中継装置を転送先として記憶するようにした。
【発明の効果】
【0036】
上記のように、本発明では、マルチキャストによるデータ伝送において、LSPを形成できることから容易な伝送ができること、QoS動作を行う構成としたことから帯域を確保して品質のよい伝送ができること、明示的な伝送ルート形成を可能とする構成としたことからユーザが伝送ルートを把握できること等の効果がある。
【0037】
なお、これらの組み合わせでの構成及び効果も達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
図1は、本発明の一実施の形態を示す図であって、マルチキャストデータ伝送用の中継装置の機能構成を示す。この発明の実施の形態の説明で使用する符号が従来技術で説明した符号と同一の符号は、同一機能を示す。
【0039】
(中継装置MCRTの構成の説明)
図1を基に、本発明に係る中継装置の構成を説明する。なお、図1の各手段は、基本的に本発明に係る機能のほとんどを達成する基本構成を成すものであり、請求項の発明によっては、或いは中継装置が受信端末の最寄りに使用されるか中継装置の間に使用されるかによっては必須ではない機能部分も含まれている。ただし、製品としては通常、全手段を含むことができる。
【0040】
伝送ルート形成管理手段1では、メッセージ受付処理部1aが、受信端末100(伝送ルートを説明する図3を参照)からはIGMP Membership Report(或いはIGMP Join)を、近隣の中継装置からはPIM Joinメッセージという参加メッセージを受信して、この参加メッセージをルーティング処理部1b、ラベル割当処理部1c及び予約受付処理部1dに通知する。参加メッセージのフォーマットを図2に示す。このフォーマットはどの請求項に記載の発明にも当てはまるフォーマットになっている。ここでの参加メッセージに含まれる情報のうち各実施の形態で共通する情報(図2の1から4項)は従来技術で説明したものと同じである。特に、図2のラベル項、QoS項及び明示経路項は、本発明に係る情報である。なお、メッセージ受付処理部1aは、参加メッセージを送受信する機能を有している。以下の各部の説明において、例えば、「参加メッセージを送信する」、「参加メッセージを受信する」とした表現は、発明の説明上は実効的には何ら問題がないため、いずれもメッセージ受付処理部1aを通して送受しているのを省略した表現を採っている。
【0041】
ルーティングテーブル2は、一般に、ユニキャストルーティングテーブルとも呼ばれている。ルーティングテーブル2は、近隣のネットワークはもちろん、現実に中継装置MCRTが直接及び間接を問わず網状に連関して接続される全ネットワークを特定するためのアドレス情報、マルチキャストアドレス、並びにそれらのネットワークを接続する中継装置のアドレス及びその中継装置におけるデータの入出力ポート若しくは参加メッセージの入出力ポート(インタフェース)関係の情報をテーブル状に記憶している。このルーティングテーブル2(請求項での連関ネットワーク情報記憶手段に含まれる)の情報は、例えば最短の伝送ルートSPT又はRPT(又はコストの低い伝送ルート)を形成するのに使用される。
【0042】
ルーティング処理部1bは、受信装置又は下位の近隣の中継装置から受信した参加メッセージとルーティングテーブル2を参照して次の上位の近隣の中継装置のアドレスを探す(以下、これによって形成される伝送ルートを、ここではルーティング伝送ルートという。)。下位の中継装置又は受信端末からの参加メッセージを書き換えて新たな参加メッセージを生成して、探しだしたその中継装置へ参加メッセージを送る。上位の中継装置とは、送信装置から複数の中継装置を介して受信装置へ至る伝送ルート上の任意の中継装置に着目したときに、伝送ルート上においてその中継装置よりも送信装置寄りに位置する中継装置を指し、下位の中継装置とは、同様に、伝送ルート上においてその中継装置よりも受信装置寄りに位置する中継装置を指す。
【0043】
ラベル割当処理部1cは、受信した参加メッセージにラベルがある場合(LSPを形成する場合)は、自己が認識できるラベルを新たに生成して、前記参加メッセージのラベルを新たに生成したラベルに付け替える。一方、ラベル割当部処理部1cは、転送情報記憶手段4のラベルテーブル4a(図4のフォーマット例を参照)の転送先ラベルに下位の中継装置から受けたラベルを、転送元ラベルに自己が生成して上位へ送信したラベルを、それぞれ参加メッセージを受信したポート及び出力したポートを示す入出力インタフェース(伝送ルートが形成された後に、実際にデータが伝送されるときの入出力ポートとなる。以下、IFという。)番号を付して記憶させる。ラベルテーブル4aは、データを転送するときの転送元の中継装置、転送先の中継装置をラベルで表したものである。なお、ここでは、ラベルとは値や符号等で表される、一種の識別情報を意味する。
【0044】
なお、図4のラベルテーブル例は、説明上必要な部分だけ記載したが、実際には、中継装置の全てのIF(ポート)分についてのラベルを持つようになる。
【0045】
ポリシーテーブル3(ポリシー記憶手段)は、図6(a)に示すような情報を有し、フィルタ部分には、Dest IPが含まれている。このDest IPは、受信端末からの参加メッセージであるIGMP Joinに含まれるマルチキャストグループアドレスに相当するものである。さらにこれに対応して要求QoS欄には、帯域等で示される品質パラメータが示されている。
【0046】
予約受付処理部1dは、受診したIGMP Joinのマルチキャストグループアドレス(請求項における当該データを特定するための識別情報)とポリシーテーブル3のフィルタ部分のDest IPを比較参照して、参加要求のあった伝送ルート(トラフィック)は、品質保証すべき対象であるかどうか判断する。つまり、参加メッセージのマルチキャストグループアドレスが図6のポリシーテーブルに記載されたグループアドレスに該当し、かつ「要求QoS」として必要な品質パラメータが記載されてあれば品質保証の対象であると判断し、その場合は、トラフィック管理データベース5cを調べ、自己が伝送する回線容量に余裕があるか、トラフィックを割り当て可能かを調べる。
【0047】
ここで、簡単に回線容量について帯域で説明すると、各中継装置が接続されている各ネットワークは周波数帯域が有限(この場合の回線容量の最大帯域にあたる)である。その1つのネットワークへ複数の所定帯域をもったデータが伝送されると前記ネットワークの帯域を越えてしまい、データの伝送品質が悪化するおそれが出てくる。そこで伝送品質を確保するためには、要求されるデータの伝送ルート形成時に当該データを伝送するためのインタフェース(リソース)を決めて予約して、伝送ルート形成後に実際に伝送するときに、前記予約されたインタフェースを通して他のデータに優先して伝送するようにすることが必要である。
【0048】
「QoSに係るトラフィックの割り当て手順」は、次のように判断され実行される。トラフィックの出力ポート(IF)をP1、P2、…、Pnとすると、例えば新しく割り当てたい最大トラフィック容量(ポリシーテーブルで要求されている最大帯域)が、[ポートP1の回線容量(使用可能な帯域の大きさ)―既に割り当てられている最大伝送レート(最大帯域)の和]より小さい場合、そのトラフィックの帯域保証ができることになる。同様に、トラフィックを形成する全てのポートについて判断し、帯域保証できれば、トラフィック管理データベース5cに品質パラメータ及びQ ID(Queue ID:キューID或いはQ IDと呼ぶ。)を記録する。つまり、Q IDで出力ポートに要求される品質(帯域)を予約したことになる(図7参照)。
【0049】
なお、ポリシーテーブル3は、明示的伝送ルート形成の場合は、予めネットワーク全体を統括するポリシーサーバ(図示しない)等から明示的伝送ルートの指示を受けて記憶するのにも使用される。この場合は、上記ルーティングによる伝送ルート形成と異なり、予約受付処理部1dが、ポリシーテーブル3に予め明示的に指定されている次の上位の近隣中継装置のアドレス(以下、これによって形成される伝送ルートを明示的伝送ルートという。)へ前記新たな参加メッセージを送信する。その新たな参加メッセージに、明示的伝送ルートの中継装置のアドレスを書き込むことによって、各中継装置へ伝える(図2の9〜13項に示される。)。なお、明示的な伝送ルートを指定したポリシーテーブル3の例としては、図6(b)のものがある。図6(b)におけるルータリストで示されるk=1,2,3の各ルータのアドレスが明示的伝送ルートを構成するルータを特定している。
【0050】
また、前記伝送ルート形成管理手段1で(つまり、上記ルーティング処理部1b、前記予約受付処理部1d或いはラベル割当処理部1cで)形成された伝送ルート情報に基づいて、転送情報記憶手段4に、例えば図5(a)に示す一般形のフローテーブルに、マルチキャストデータ(以下、データという。)の転送元、転送先の各識別情報(転送元、転送先は伝送ルートの上位の中継装置から下位の中継装置へのそれらの宛先を示す。アドレスで示される場合もあるし(図5(b))、ラベルで示される場合もある(図4)。以下、転送元、転送先は前記の意味を有するものとする。)、さらにはデータの送信元、送信先の識別情報(以下、送信端末、受信端末のアドレスを表すものとする。)等を記憶する。
【0051】
ラベルで転送する場合は、図4のように転送先、転送元のラベルが識別できるようなラベルテーブルが準備される。
【0052】
なお、転送情報記憶手段4のラベルテーブル4a、フローテーブル4b等のデータの転送に必要な情報をルーティングテーブル2と一緒にし、一体的なテーブルとしてもよい。その例を図8に示す。ルーティングテーブル2は伝送ルートを形成するときに使用し、転送情報記憶手段4の情報は、伝送ルート形成された後にデータを伝送するときに用いる情報であるから一体化が可能である。
【0053】
図1のデータ伝送管理手段5は、伝送ルート形成管理手段1によって伝送ルートが形成された後に、送信端末200の方の中継装置或いはネットワークから送信されてきたデータを受信し、受信端末100の方の中継装置或いはネットワークへ転送(伝送)するものである。図1のデータ伝送管理手段5のパケット処理部5aは、入力インタフェース(ポートも含む)を介して入力されるデータ(パケット)の分類、上記伝送ルート形成管理手段1のルーティング等で伝送ルートが形成されていくに応じて、転送情報記憶手段4のラベルテーブル4a、フローテーブル4b等のデータの転送に必要な伝送ルート情報の書き換えを行う。さらに、パケット処理部5aは、受信したデータを分類し、それがフローテーブル4b又はラベルテーブル4aに該当するものかどうか判断し、該当する場合は、Q ID(Queue ID)を付して、トラフィックマネージャー5bに送る。
【0054】
トラフィックマネージャー5bは、バッファ5d、パケットスケジューラ5e及びトラフィック管理データベース5cを備えている。トラフィックマネージャー5bは、上記予約受付処理部1dで、例えばQoS予約がなされている場合には、トラフィック管理データベース5cに予約されているトラフィックについてバッファ5dを確保してある。そこへパケット処理部5aからQ IDを付されたデータが入力されたとき、予め、予約されたものかどうか確認して、予約されたものであれば既に確保してあるバッファ5dを介してそのデータが送られ、さらにパケットスケジューラ5eがトラフィック管理データベース5cに示されるポートからQoS要求される品質を保証して、フローテーブル4b又はラベルテーブル4aに示される転送先又は送信先へデータを出力する。
【0055】
なお、図1は機能ブロックで表現されているが、具現手段としての例としては、CPU及びメモリ類(ROM及びRAM)等で構成することができる。伝送ルート形成手段1及びデータ伝送管理手段5が、ルーティングテーブル2、ポリシーテーブル3、ラベルテーブル4a及びフローテーブル4bを管理しつつ処理する機能は、予めプログラムされ記憶されていて、そのプログラムをCPUにより実行されてことによって、達成されている。図1の機能達成にあたって、使用されるCPU、メモリ及びプログラムの数、組合せ等によって、構成態様が変わることがあるが、いずれも本発明の範疇に変りはない。
【0056】
(実施の形態1)
次に図3の模式的なネットワークを例に、図9に示すフローに沿って動作を説明する。この実施の形態1では、(1)マルチキャストルーティングによるLSP(Label Switched Path)の形成 及び(2)帯域等で示される伝送品質の確保の例を合わせて説明する。
【0057】
図3のネットワークにおいて、TCP/IP 通信方式に従うマルチキャストトラフィックは、従来技術の欄でも説明したように、データの送受信の前に、受信端末100と中継装置(中継装置の一種としてルータがあり、以下では、例としてルータとして説明するので、ルータと記述する。)との間で参加メッセージであるIGMPパケット(IGMP Joinを含む)を交換することで、配信の開始と停止を行う。また、複数のルータが介在するネットワークではPIM−SM というルーティングプロトコルにより、伝送ルートの決定を行う。その際に、参加メッセージであるPIM joinが送られる。
【0058】
(実施の形態1における受信端末にルータMCRT3の動作説明)
ルータMCRT3のメッセージ受付処理部1aが、受信端末100から図2に示されるような参加メッセージ(IGMP)を受け付け、ルーティング処理部1b、ラベル割当処理部1c、予約受付処理部1dに通知する(ステップS1)。ルーティング処理部1bは、ルーティングテーブル2に、参加メッセージに含まれるマルチキャストグループアドレス、送信元(送信端末)、受信端末等を識別する情報があるかどうか確認し、無ければ新たに生成して追加し、あれば受信端末に接続されているルータMCRT3のインタフェース(ポート)番号等の不足情報を追加しておく(ステップS2)。
【0059】
一方、受けた参加メッセージにはメッセージのTYPEを記載する欄があり、この参加メッセージは受信端末100からなのでTYPEが「IGMP」であることを確認する(ステップS3)。
【0060】
予約受付処理部1dは、受けた参加メッセージ(IGMP)で、参加したいマルチキャストグループアドレス(Dest IP) を知らせるので、ポリシーテーブル3(図6参照)のフィルタ部分の検索を行う(ステップS4,S5)。検索の結果、テーブルに見つからない場合は、そのトラフィックを帯域(品質)保証しないので、ベストエフォートキューにバインド(Q ID=0とする)したフロー管理を行う(ステップS6)。この場合は、例えば、帯域に余裕があるときだけバッファ手段5dのバッファが、データ伝送のために確保され、余裕がない場合は、この限りではなくなる。その後、ラベルの割り当てを行う(ステップS17)。
【0061】
上記ポリシーテーブル3の検索の結果、参加メッセージ(IGMP)が要求するトラフィックがQoS動作(データを要求される帯域(品質)で伝送するに必要なリソースの確保・予約)を要求する場合は、トラフィック管理データベース5c(図7を参照)を調べ、回線容量に余裕がまだあり、これ以上トラフィックを割り当て可能かどうかをチェックする。具体的には、ポリシーテーブル3から要求される品質パラメータ(最大帯域、最小帯域等)を抽出して、上記した「QoSに係るトラフィックの割り当て手順」(ステップS7、S8、S9)に従って判断、実施する。
【0062】
トラフィックを形成する全ての出力ポートで帯域保証できれば、20ビットのラベルを割り当て(ラベルの値は、他に使用していないユニークな値ならなんでもよい。)、ラベルテーブル4aの転送元(受信)ラベルとして登録、同時に図7に示すようにトラフィック管理データベース5c(ここではQ ID 2)に登録する(ステップS10,S11)。ここでは例えば転送元ラベルを3とする。ラベルテーブル4a(図4(a)を参照)の転送先(送信)ラベルとしては、OXFFFFを書き込む。OXFFFFは、自己が、受信端末100が所属するネットワークと同じネットワークに接続されているため、形成しょうとするLSPの最終ルータになることを意味し、データ伝送の最後にシムヘッダ(ラベル)を抜いてから、受信端末100に向かって送信することをパケット処理部5aに指示することを意味する。さらに、ラベルテーブル4aには、送信、受信のポートとなるインタフェース番号を付しておく(図4(a)を参照)。
【0063】
ここまでで、ルータMCRT3内で、帯域を確保することが予約されたことになる。なお、ステップS9で帯域が割り当て不可能となったときは、ステップS6と同様に帯域は保証されないこととなる(ステップS9a)。
【0064】
次に、ポリシーテーブル3をサーチし、図3の中のルータMCRT3の上位の
ルータが明示されているかどうかチェックする(ステップS12)。明示されている場合は、ステップS14に沿って明示的伝送ルートを形成していく。この明示的伝送ルートの形成については、他の発明として後記する。明示されていない場合は、ルーティング処理部1bがルーティングテーブル2及び図2の受信した参加メッセージのマルチキャストグループアドレス等を参照して、次に参加メッセージを出すルータのアドレスを探す。例えば、最短の伝送ルートを探すとすると、ルータMCRT2を探す。そして新たな参加メッセージ(PIM Join)を生成してルータMCRT2へ送信する(ステップS13)。このときの参加メッセージには、自己が割り当てたラベル=3と、品質(QoS)パラメータ(最大帯域300kbps、最小帯域250kbps、最大遅延20msec)を参加メッセージのフォーマット(図2の6、7、8項のQoS項参照)に書き込んでおく。
【0065】
(実施の形態1におけるルータMCRT2の動作説明)
次にルータMCRT2の動作を図9のフローに基づいて説明する。説明中の構成要素の名称は、ルータMCRT3と同じになるが、各要素は、同じく図1で示されるルータMCRT2の要素として動作する。ルータMCRT2は、ルータMCRT3から参加メッセージ(PIM Join)を受信する(ステップS1)。この参加メッセージのTYPEは、PIM Joinなので、参加メッセージがPIMの場合の処理を行う(ステップS3―No)。まず、送信端末が自己の接続しているネットワークに接続されているかどうか判断する(ステップS20)。送信端末200が自己が接続しているネットワークに接続されていない場合(ステップS20―No)、つまり、さらに自己の上位ルータMCRT1が存在しているので、ラベルの割り当てを行う(ステップS21)。
【0066】
次に、参加メッセージ中にQoS要求があるのを見て、要求されている品質パラメータ(帯域等)を確保できるかどうか検討する作業に入る(ステップ22))。つまり、トラフィック管理データベース5cを調べ、回線容量(使用可能な帯域)に余裕がまだあり、ルータMCRT3からの参加メッセージのQoS項で要求されている品質パラメータを確保できるトラフィックを割り当て可能かどうかをチェックする。
【0067】
具体的には、上記「QoSに係るトラフィックの割り当て手順」(ステップS7、S8、S9と同じ)と同じく行う(ステップS22)。
【0068】
トラフィックを形成する全ての出力ポートで帯域保証できれば、ラベルを割り当て、割り当てたラベルをラベルテーブル4a(図4(b)参照)の転送元(受信)ラベルとして登録、同時にトラフィック管理データベース5c(ここではQID 5)に登録する(ステップS23)。ここでは、例えば転送元ラベルを9とする。ラベルテーブル4aの転送先(送信)ラベルとしては、下位のルータMCRT3から受けた参加メッセージ中のラベル 3 を書き込む。なお、ステップS22で割り当て不可能となったときは、帯域を保証しないでラベルテーブル4aに登録する(ステップS24)。
【0069】
これらのことは、自己がLSP(Label Switched Path)の中間ルータなのでシムヘッダにラベル9を付したパケット(データ)を受けたときは、ラベルを3に書き換えてルータMCRT3に向かって送信することをパケット処理部5aに指示することを意味する。さらに、ラベルテーブル4aには、送信、受信のポートとなるインタフェース番号を付しておく(図4(b)参照) (ステップS23)。ここで、ラベルテーブル4aがルーティングテーブル2と一体的にできるが、そのルータMCRT2で関係したところだけ抽出して、一体的にしたテーブル例を図8に示す。図8の1項目に図4(b)の情報が含まれている。
【0070】
なお、図8で1項目と2項目において、送信元アドレスが同じで、グループアドレス(マルチキャスト)が異なるのは、例えば同一送信装置からG1アドレスの情報とG2アドレスの情報の2種類が送信されているためであり、さらに、この実施の形態で形成する伝送ルートは、G1アドレスの情報の受信を希望していることを示している。
【0071】
また、ポリシーテーブル3には、上位ルータが明示されていないので(ステップS26)、ルーティング処理部1bが、ルーティングテーブル2及び受信した参加メッセージを参照して次に参加メッセージを出すルータを探す。例えば、ルータMCRT1を探しあてる。そして新たな参加メッセージ(PIM Join)を生成してルータMCRT1へ送信する(ステップS27)。このときの参加メッセージには、自己が割り当てたラベル=9と、品質(QoS)パラメータ(最大帯域300kbps、最小帯域200kbps、最大遅延20msec)を参加メッセージのフォーマット(図2の6、7、8項のQoS項参照)に入れておく。
【0072】
(実施の形態1におけるルータMCRT1の動作説明)
次にルータMCRT1の動作を図9のフローに基づいて説明する。説明中の構成要素の名称は、ルータMCRT2,3と同じになるが、各要素は、同じく図1で示されるルータMCRT1の要素として動作する。ルータMCRT1は、ルータMCRT2から参加メッセージを受信するが、PIM Joinなので、参加メッセージがPIMの場合の処理を行う(ステップS3―No)。まず、送信端末が自己の接続しているネットワークに接続されているかどうか判断する(ステップS20)。自己がもっているルーティングテーブル及び参加メッセージより、送信端末200が自己に接続されていることを知った場合(ステップS20―Yes)、参加メッセージ中にQoS要求があるのを見て、QoS要求の帯域確保が可能かどうかを検討する作業に入る(ステップS31)。
【0073】
つまり、トラフィック管理データベース5cを調べ、回線容量(使用可能な帯域)に余裕がまだあり、これルータMCRT2からの参加メッセージのQoS項で要求されている品質パラメータを確保できるトラフィックを割り当て可能かどうかをチェックする。
【0074】
具体的には、上記「QoSに係るトラフィックの割り当て手順」(ステップS7、S8、S9と同じ)と同じく行う。
【0075】
フローテーブル4b(図5(b)参照)には、ルータMCRT2からの参加 メッセージに含まれる送信先アドレス(192.168.30.253)と送信元アドレス(192.168.50.253)をそれぞれテーブル上の送信先アドレス、送信元アドレスに登録する。転送先(出力)ラベルには、同じくルータMCRT2からの参加 メッセージ中のラベル9 を書き込む。これは自己がLSP(Label Switched Path)の最上位ルータ(送信端末200が接続されているルータ)なので、送信元(送信端末200)から送信先へ送信されるパケットはシムヘッダ(ラベル9)を書き加えてルータMCRT2へ向かって送信することをパケット処理部5aに指示することを意味する。また、出力IFには出力インタフェースの番号2を書き込む(ステップS32)(図5(b)参照)。
【0076】
(実施の形態1におけるデータ伝送)
上記のようにして送信端末200から受信端末100までのLSPが確立するとともに、帯域が予約されたLSPが形成されたことになる。次に、ルータMCRT1は図5(b)のフローテーブルを参照してデータにラベル9を添付して帯域予約されたインタフェース2(ポート)からルータMCRT2へ転送する。ルータMCRT2は、ルータMCRT1のインタフェース2からラベル9を添付されたデータを受けて、図4(b)のラベルテーブルを参照してラベル3を添付して、帯域予約されたインタフェース3(ポート)からルータMCRT3へ転送する。同様にルータMCRT3は図4(a)のラベルテーブルを参照して受信端末へラベルを抜いて転送する。
【0077】
これらの転送は、各ルータのデータ伝送管理手段5が行う。具体的には、パケット処理部5aがラベルテーブル4a又はフローテーブル4bを参照してQ IDを付してトラフィックマネージャー5bに送ると、トラフィックマネージャー5bが、予めトラフィック管理データベース5cに予約されていたQ IDにしたがって帯域保証して送信する。
【0078】
上記のデータの転送は、データに添付するラベルを差し替えて転送することになるのが特徴である。
【0079】
(実施の形態2)
この実施の形態2では、(3)マルチキャストルーティングによってアドレスで管理される伝送ルートを形成しつつ(実施の形態1のLSP伝送ルートのようにラベルで管理するのでは無い)、帯域等で示される伝送品質を確保できる中継装置の例を、図3の模式的ネットワーク上で、図9に示すフローに沿って動作するとして、上記の実施の形態1との違いを中心に説明する。
【0080】
この例のルータMCRTでは、図1におけるラベル割当処理部1c及びラベルテーブル4aは動作しないで、フローテーブル4bを使用し、参加メッセージのフォーマット例を示す図2においては、ラベルを使用しない。その他の構成の動作は、実施の形態1と同じである。
【0081】
また、図9におけるフローでは、ステップS10及びステップS21でのラベル割当が無い。代わりに、ステップS13及びステップS27において、ルーティングによって見つけられる上位の近隣のルータMCRTのアドレスを転送元アドレス、先に参加メッセージを送信してきた下位の近隣のルータMCRTのアドレスを転送先とするフローテーブル4b(図5(a)参照)を各ルータが生成していく。結局、ルーティングにより伝送ルートが形成された後に、各ルータMCRTのデータ伝送管理手段5は、フローテーブル4bのアドレスを参照してデータを受信端末100まで転送する。つまり、転送先と転送元のアドレスを入れ替えて転送する。
【0082】
このようにマルチキャストの伝送ルートが、アドレスで管理されていても、QoS動作による品質保証ができる。
【0083】
(実施の形態3)
この実施の形態3では、(4)マルチキャストにより明示的にLSPを形成するとともに、(2)帯域等で示される伝送品質の確保の例を合わせて説明する。この実施の形態3の説明も、図3の模式的ネットワーク上で、図9に示すフローに沿って動作するとして、上記の実施の形態1及び2との違いを中心に説明する。
【0084】
明示的LSPの形成にあたっては、2つの方法が考えられる。1つは、受信端末100に最寄のルータMCRT3が自己のポリシーテーブル3に送信部200までの全ルータの識別情報を有している場合、他の1つは、各ルータが自己のポリシーテーブル3にホップすべき上位の近隣のルータが明示されている場合であって、この2つの場合がある。いずれの場合も、ネットワークを統括するポリシーサーバ(図示せず)からの指示で各ポリシーテーブル3に記憶している。その指示は、下位の受信端末100又はルータMCRTから参加メッセージを受けた後、ポリシーサーバに問い合わせると、それに回答する形で出される。ポリシーサーバへは、ユーザが明示的伝送ルートでの伝送を希望するときに設定する。
【0085】
(実施の形態3:ルータMCRT3が明示的伝送ルートの全情報保有の場合)
この場合は、ルータMCRT3のポリシーテーブル3に、例えば、ユーザがルータMCRT4を介してデータ伝送したいといったとき、その要求にしたがい、ポリシーテーブル3にルータリストとして上から順に、図3の伝送ルートの中のルータMCRT4、MCRT2,MCRT1のアドレスが記憶されている。なお、QoS動作を要求する場合も、実施の形態1と同様に品質パラメータ情報等の情報を記憶する。そのポリシーテーブル3の例を図6(b)に示す。この図6(b)では、図6(a)のポリシーテーブルの項目以外に、ルータリストが追加されている。例えば、図6(b)のルータリストを図3の伝送ルートに当てはめてみるに、このルータリストは、ルータMCRT3が保有し、これを基点とすれば、k=1,2,3の順に、ルータMCRT4、MCRT2,MCRT1の各アドレスを示している。
【0086】
ルータMCRT3は、図9のフローにおいて、ステップS14又はステップS28の動作を行うことが、実施の形態1とは異なるところである。この例では、図9におけるステップS13及びステップS27におけるルーティングによる伝送ルート形成は行わない。
【0087】
具体的には、ルータMCRT3は、ポリシーテーブル3のルータリストをチェックし、参加メッセージを出すべき上位ルータを探す(ステップS12)。探したルータリストの最初のルータMCRT4を参加メッセージを出す近隣のルータとして決定し、参加メッセージには、自己が付したラベルとともに、ルータリストの残りのルータのアドレス(上記例では、ルータMCRT2,MCRT1のアドレス)を記載してルータMCRT4へ送る(ステップS14)。なお、ルータMCRT3のルータリストを全部送ってもよいが、例えば、ルータMCRT1は、参加メッセージの送り先が無いので不要になる。
【0088】
ルータMCRT4、ルータMCRT2は、図9のステップS26及びステップS28にしたがって、自己が下位のルータから受信した参加メッセージで指定されてきた上位のルータへ、つまりこの例では、ルータMCRT4はルータMCRT2へルータMCRT1のアドレスを含む参加メッセージを送り、それを受けたルータMCRT2はルータMCRT1へ参加メッセージを送る(ステップS28)。また、各ルータが付したラベル等も参加メッセージに含めることは実施の形態1と同じである。
【0089】
このようにして形成された、ルータMCRT1、MCRT2,MCRT4及びMCRT3の順にフローテーブル及びラベルテーブルを参照しながらデータが転送されることになる。
【0090】
なお、他の動作、例えば、ラベルテーブル作成、帯域予約等の動作は、実施の形態1と同様に行う。
【0091】
(実施の形態3:各ルータがホップすべきルータの情報を保有する場合)
この場合は、例えば、ユーザが図3の伝送ルート中にルータMCRT4を介してデータ伝送したいと希望したとき、その要求にしたがい、図3の伝送ルート上にある各ルータのポリシーテーブル3内に、ルータリストとして、ルータMCRT3はルータMCRT4のアドレスを、ルータMCRT4はルータMCRT2のアドレスを、ルータMCRT2はルータMCRT1のアドレス記憶している。つまり、各ルータは、自己が次にホップすべきルータMCRTのアドレスを知っている。なお、QoS動作を要求する場合は、この例では、実施の形態1と同様に、ルータMCRT3のポリシーテーブル3にのみ要求帯域等の品質パラメータが記憶され、その動作も実施の形態1と同じである。
【0092】
以下、図9のフローをもとに上記各実施の形態との違いを中心に説明する。ルータMCRT3は、自己のポリシーテーブル3のルータリストをチェックし、参加メッセージを出すべき上位ルータを探す(ステップS12)。探しだされる上位ルータはこの例ではルータMCRT4であるから、そこへ自己が付したラベルとともに参加メッセージを送る。
【0093】
以下同様にして図9のステップS26及びステップS28にしたがって、ルータMCRT4は自己のルータリストにあるルータMCRT2のアドレスへ、ルータMCRT2は自己のルータリストにあるルータMCRT1へ参加メッセージを送る。
【0094】
このようにして形成された伝送ルート、つまり、ルータMCRT1、MCRT2,MCRT4、MCRT3の順にフローテーブル及びラベルテーブルを参照しながらデータが転送されることになる。
【0095】
(実施の形態4)
この実施の形態4では、実施の形態3において、明示的なLSPの形成、並びにQoS動作を行ってきたが、(5)明示的な伝送ルートを形成するが、アドレスで(実施の形態3のようなラベルではなく)管理する伝送ルートであって、QoS動作もしない場合の例である。言い換えると、実施の形態4は、実施の形態2において明示的な伝送ルートを形成するようにしたものである。
【0096】
図9を基に実施の形態3との違いを説明する。図9において、ラベル割当て作業するステップS10及びS21、及びQoS動作を行うステップS7,S8,S9、S11、S20、S23を実施しない。さら実施の形態3のようにポリシーテーブル3のルータリストを参照して明示的な伝送ルート形成を行うが、そのときのデータ転送に必要な転送元、転送先のアドレスはフローテーブル4bに登録して管理する。これは、ステップS14及びステップS28で参加メッセージを出すときにフローテーブル4bを作成しておけばよい。
【0097】
(実施の形態5)
実施形態の5は、請求15,16及び17の発明であって、上記実施の形態における上位概念の発明である。つまり、上記各実施の形態の発明は、単独でも動作するし、それらを組み合わせた、つまり図9のように1つのフローで表される動作を行うことができる。実施の詳細は、上記に説明されているので、ここでは省略する。
【0098】
次に、ここまで説明してきた各実施の形態に共通することであるが、本発明の利用の形態について説明する。関連するネットワーク全体に使用される中継装置(以下、本発明に係る中継装置を主に説明するが、本発明に係る中継方法でも同じく適用される。)が、本発明に係る中継装置で構成することは当然できるが、関連ネットワーク全体の一部に利用することもできる。例えば、単純な構成で説明すると、受信端末からk個の中継装置までは、本発明に係る中継装置を採用し、伝送ルート上のk+1番目からn番目までの中継装置が従来タイプの中継装置であって送信端末がそのn番目(n>k)の従来タイプの中継装置に接続されているという利用の仕方もある。この例における「k+1番目からn番目までの中継装置及びそれに接続される送信端末」は、特許請求の範囲に記載の「送信端末からのマルチキャストデータを送信可能とされた上位の他の中継装置を含む送信装置」に相当する。
【0099】
また、上記の反対に、k番目までの中継装置を従来タイプで構成し、k+1番目以降の中継装置を本発明の中継装置で構成することもできる。この場合は、「受信端末からk番目までの中継装置」が特許請求の範囲に記載の「受信端末が接続される下位の他の中継装置を含む受信装置」に相当する
【0100】
また、受信端末からk番目までの中継装置及びk+m番目(n>k+m)から送信端末に接続されるn番目までの中継装置が従来タイプの中継装置で構成され、k+1番目からk+m−1番目までの中継装置に本発明に係る中継装置を利用することもできる。これらは、単純な一筋の伝送ルートで説明したが、実際には1つの中継装置に幾つものネットワークが接続され、さらにその中継装置及びネットワークの多くが連関して接続して利用されるので、複雑なネットワーク網になるが、その場合であっても本発明に係る中継装置及び中継方法を利用することができる。
【0101】
また、これまでの実施の形態では、図3のネットワークをもとにSPTの伝送ルートを構成することで説明してきたが、従来技術の項で説明したRP(ランデブーポイント或いは共有ポイント)を用いたRPTの伝送ルートを構成する場合にも本発明を適用できる。
【0102】
また、マルチキャストプロトコルには、ここでの例に限ることなく、PIMプロトコル等を含む多くのものがあるが、それらは本発明に含まれることはもちろん、これらの変化したものであっても、技術思想が均等のものは含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の中継装置(ルータ)の機能構成の例を示す図
【図2】本発明に係るマルチキャストデータ伝送の伝送ルート形成に必要な参加メッセージのフォーマット例を示す図
【図3】本発明の中継装置(ルータ)によって形成される伝送ルートを説明するための図
【図4】本発明に係るラベルフローを示す図
【図5】本発明に係るフローテーブルを示す図
【図6】本発明に係るポリシーテーブルを示す図
【図7】本発明に係るトラフィック管理データベースを示す図
【図8】本発明におけるルーティングテーブルとラベルテーブルを一緒にした例を示す図
【図9】本発明における中継装置(ルータ)動作フローを示す図
【図10】従来技術を説明するための図
【図11】従来技術を説明するための図
【符号の説明】
【0104】
1:伝送ルート形成管理手段、1a:メッセージ受付処理部、1b:ルーティング処理部、1c:ラベル割当処理部、1d:予約受付処理部、2:ルーティングテーブル(連関ネットワーク情報記憶手段)、3:ポリシーテーブル(ポリシー記憶手段)、4:転送情報記憶手段、4a:ラベルテーブル、4b:フローテーブル、5:データ伝送管理手段、5a:パケット処理部、5b:トラフィックマネージャー、5c:トラフィック管理データベース、5d:バッファ手段、5e:パケットスケジューラ、100:受信端末、200:送信端末、MCRT1〜MCRT5:中継装置(ルータ)、RT1〜RT9:中継装置、N:中継ノード、S:送信ノード、L:受信ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信端末又は前記送信端末からのデータを送信可能とされた上位の他の中継装置を含む送信装置と、受信端末又は前記受信端末が接続される下位の他の中継装置を含む受信装置との間でマルチキャストプロトコルによる伝送ルートを形成するために、前記受信装置の最寄に用いられる中継装置であって、
前記送信装置からの当該データの受信を希望する前記受信装置との間の当該伝送ルート上にある他の中継装置を特定するための伝送ルート情報を外部から受けて記憶するポリシー記憶手段(3)と、
前記送信装置からの当該データを受信するための参加メッセージを前記受信装置から受けて、前記伝送ルート情報に上位の近隣の他の中継装置ついての特定情報が1つしかない場合は参加メッセージだけを送信し、前記伝送ルート情報に上位の複数の他の中継装置についての特定情報がある場合は、少なくとも前記伝送ルート情報のうち前記上位の近隣の他の中継装置から前記送信装置までの伝送ルート情報を含む参加メッセージを生成して送信する伝送ルート形成管理手段(1)と、
前記伝送ルート形成管理手段が参加メッセージを送信した前記近隣の他の中継装置を当該データの転送元とし、参加メッセージを受けた前記受信装置を転送先として記憶する転送情報記憶手段(4)と
を備えた中継装置。
【請求項2】
送信端末又は前記送信端末からのデータを送信可能とされた上位の他の中継装置を含む送信装置と、受信端末又は前記受信端末が接続される下位の他の中継装置を含む受信装置との間でマルチキャストプロトコルによる参加メッセージを送受信して伝送ルートを形成する中継装置として用いられる中継装置において、
下位の近隣の他の中継装置から参加メッセージを受けて、前記参加メッセージに、前記送信装置からの所望の当該データを受信するために前記送信装置までの他の中継装置を特定する伝送ルート情報を含む場合は、その受けた伝送ルート情報にしたがって、選択された上位の近隣の他の中継装置へ、少なくとも受けた前記伝送ルート情報のうち前記上位の近隣の他の中継装置から前記送信装置までの伝送ルート情報を含む参加メッセージを生成して送信する伝送ルート形成管理手段(1)と、
前記伝送ルート形成管理手段が参加メッセージを送信した前記上位の近隣の他の中継装置を当該データの転送元とし、参加メッセージを受信した下位の近隣の他の中継装置を転送先として記憶する転送情報記憶手段(4)と
を備えた中継装置。
【請求項3】
自己が参加メッセージを送信すべき上位の近隣の他の中継装置を外部から指示を受けて記憶するポリシー記憶手段(3)を有し、前記伝送ルート形成管理手段は、前記下位の近隣の他の中継装置から伝送ルート情報を受け無い場合は、前記ポリシー記憶手段が記憶する上位の近隣の他の中継装置へ参加メッセージを送信することを特徴とする請求項2に記載の中継装置。
【請求項4】
送信端末又は前記送信端末からのデータを送信可能とされた上位の他の中継装置を含む送信装置と、受信端末又は前記受信端末が接続される下位の他の中継装置を含む受信装置との間でn個の中継装置でマルチキャストプロトコルによる伝送ルートを形成する中継方法において、
受信装置最寄りのn=1番目の中継装置に、前記送信装置とその送信装置からのデータを希望する前記受信装置との間の前記伝送ルート上にある前記n個の中継装置を特定する伝送ルート情報を外部から受けてポリシー記憶手段に記憶する準備段階と、
受信装置最寄りのn=1番目の中継装置が、前記送信装置からの前記データを受信するための前記伝送ルート情報を含む参加メッセージを前記受信装置から受けて、前記伝送ルート情報によって選択したn=2番目の中継装置へ、少なくとも残りのn−2個の中継装置を特定する伝送ルート情報を含む参加メッセージを生成して送信し、さらに、前記受信端末を前記データの転送先とし、前記1番目の中継装置を転送元として自己の転送情報記憶手段に記憶する段階と、
k(2〜n−1)番目の中継装置が、k−1番目の中継装置から少なくともn−k個の中継装置を特定する伝送ルート情報を含む参加メッセージを受けて、前記伝送ルート情報によって選択したk+1番目の中継装置へ、残りのn−k−1個の中継装置を特定する伝送ルート情報を含む参加メッセージを生成して送信し、前記k−1番目の中継装置を前記データの転送先とし、前記k+1番目の中継装置を転送元として自己の転送情報記憶手段に記憶し、これらの動作をk=2〜k=n−1番目の中継装置で順次実施する段階と、
n番目の中継装置がn−1番目の中継装置から参加メッセージを受信し、前記n−1番目の中継装置を転送先とし前記送信装置を転送元として自己の転送情報記憶手段に記憶する段階と、
前記nから1番目の各中継装置が、順に前記データを受けたときに自己の転送情報記憶手段の転送情報を参照して前記データを転送する段階と、
を備えたことを特徴とする中継方法。
【請求項5】
送信端末又は前記送信端末からのデータを送信可能とされた上位の他の中継装置を含む送信装置と、受信端末又は前記受信端末が接続される下位の他の中継装置を含む受信装置との間で、前記送信装置からの所望の当該データを受信するためにn個の中継装置でマルチキャストプロトコルによる伝送ルートを形成する中継方法において、
前記当該データを受信するため当該伝送ルートを形成するためのn=1からn−1まで各中継装置に、上位の近隣の中継装置を特定する情報を外部から受けてポリシー記憶手段に記憶する準備段階と、
n=1番目の中継装置からn−1番目までの各中継装置が、順に、下位の近隣の受信装置または中継装置から参加メッセージを受けて、自己のポリシー記憶手段に記憶されている前記上位の近隣の中継装置へ参加メッセージを送り、n番目の中継装置がn−1番目の中継装置から参加メッセージを受信することによって、当該伝送ルートを形成する段階と
を備えたことを特徴とする中継方法。
【請求項6】
送信端末又は前記送信端末からのデータを送信可能とされた上位の他の中継装置を含む送信装置と、受信端末又は前記受信端末が接続される下位の他の中継装置を含む受信装置との間でマルチキャストプロトコルによる伝送ルートを形成するために用いられる中継装置であって、
前記送信装置とその送信装置から当該データを希望する前記受信装置との間の当該伝送ルートを形成するにあたって、外部から特定の明示された当該伝送ルートを形成する要求或いは特定の品質パラメータの伝送品質を確保する要求があればそれらの要求を満たすための情報を記憶するためのポリシー記憶手段(3)と、
近隣の及び連関するネットワーク並びにそれらを接続する他の中継装置を特定するためのルーティング情報を記憶する連関ネットワーク情報記憶手段(2)と、
前記送信装置からの当該データを特定して受信するための識別情報を含む参加メッセージを前記受信装置又は下位の近隣の他の中継装置から受けて、前記識別情報を基に、前記ポリシー記憶手段の情報及び連関ネットワーク情報記憶手段のルーティング情報を参照し、かつ前記ポリシー記憶手段が記憶する情報を優先して上位の近隣の他の中継装置を選択した場合、前記選択した上位の近隣の他の中継装置へ、前記参照したときに前記ポリシー記憶手段に前記上位の近隣の他の中継装置より上位の他の中継装置に要求する情報が含まれている場合は、その上位の他の中継装置に要求する情報及び前記識別情報を含む参加メッセージを生成して前記上位の近隣の他の中継装置へ送信する伝送ルート形成管理手段(1)と、
前記伝送ルート形成管理手段が参加メッセージを送信した前記上位の近隣の他の中継装置を当該データの転送元とし、参加メッセージ受けた前記受信装置又は前記下位の近隣の他の中継装置を転送先として記憶する転送情報記憶手段(4)と
を備えた中継装置。
【請求項7】
前記伝送ルート形成管理手段が、前記ポリシー記憶手段の情報及び前記連関ネットワーク情報記憶手段のルーティング情報を参照して前記識別情報で特定される当該データを送信する送信装置が自己に接続されていると判断したときは、前記送信装置を送信元とし、前記転送情報記憶手段が前記参加メッセージを受けた下位の近隣の他の中継装置を転送先として記憶するようにした請求項6記載の中継装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−238484(P2006−238484A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125434(P2006−125434)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【分割の表示】特願2002−334899(P2002−334899)の分割
【原出願日】平成14年11月19日(2002.11.19)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】