説明

中継装置

【課題】 IP over SDH/SONET技術によりSDH/SONET伝送路においてIPパケットを伝送するときに、IP網及びSDH/SONET伝送路の通信品質を向上し得る伝送装置を提供する。
【解決手段】 IP網を介して到来したIPパケットに含まれるマルチキャストアドレスをマルチキャストアドレステーブルに記憶し、SDH/SONET伝送路網を介して到来したSDH/SONETフレームに含まれるIPパケットのマルチキャストアドレスと、当該マルチキャストアドレステーブルに記憶されているマルチキャストアドレスとが一致した場合に当該SDH/SONETフレームに含まれるIPパケットを破棄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)over SDH(Synchronous Digital Hierarchy)/SONET(Synchronous Optical Network)技術によりIP網とSDH/SONET伝送路網との間でIPパケットを中継する中継装置に関し、特にマルチキャスト送信対象のIPパケットをも中継する中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IP over SDH/SONET技術によりIP網とSDH/SONET伝送路網との間でIPパケットを中継する中継装置(以下、SDH装置と称する)における従来のマルチキャストパケット配信は、パケットを複製し、これをIP網側の複数のインターフェースを介して配信するものであった、この場合、マルチキャストで配信されるパケット(以下、マルチキャストパケットと称する)及びマルチキャストの制御用のパケット(例えばマルチキャストグループへの参加/離脱情報や定期的なステータス情報を含むパケット。以下、制御パケットと称する)についても、その他のIPパケットと同様にSDHのペイロード部に挿入して中継するものであった(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−42731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のSDH装置の場合、マルチキャストパケット及び制御パケットについても、その他のIPパケットと同様にSDHのペイロード部に挿入して伝送するので、SDH伝送路の帯域を圧迫してしまうという問題があった。また、中継装置が1つのパケットをSDHの複数のフレームに分割して伝送する構成を有する場合、マルチキャストの参加/離脱情報の伝送のために複数のフレームを要するので、マルチキャストパケットを受信する端末とサーバとの間でタイムラグが生じ、この間、マルチキャストグループからの離脱の場合には不要なマルチキャストパケットがSDH伝送路上に送信されてしまうという問題があった。
【0005】
また、従来のSDH装置の場合、自身の配下に属している通信端末が要求していないマルチキャストパケットについてもIP網に送信していたので、不要なパケット送信が生じ、IP網における通信品質を低下させしてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は上記した如き問題点に鑑みてなされたものであって、IP over SDH/SONET技術によりSDH/SONET伝送路においてIPパケットを伝送するときに、IP網及びSDH/SONET伝送路の通信品質を向上し得る中継装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による中継装置は、IP網とSDH/SONET伝送路網との間でIPパケットを中継する中継装置であって、前記IP網を介して到来したIPパケットに含まれるマルチキャストアドレスをマルチキャストアドレステーブルに記憶するアドレス情報管理部と、前記SDH/SONET伝送路網を介して到来したSDH/SONETフレームに含まれるIPパケットのマルチキャストアドレスと、前記マルチキャストアドレステーブルに記憶されているマルチキャストアドレスとが一致した場合に前記SDH/SONETフレームに含まれるIPパケットを破棄するマルチキャストパケット破棄部と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明による中継装置によれば、IP網及びSDH/SONET伝送路の通信品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施例のSDH装置をIP網及びSDH伝送路網と共に表すブロック図である。
【図2】図1のSDH装置100の構成を表すブロック図である。
【図3】STM−0のSDHフレーム構成を表す図である。
【図4】STM−1のSDHフレーム構成を表す図である。
【図5】図3又は図4のSOHに含まれるD1〜D12バイトを対向側マルチキャストグループ参加状況バイトとして用いた場合のD1〜D12バイトの構成例を表す図である。
【図6】図3又は図4のペイロード部における固定領域に含まれる対向側アドレス対応情報の構成例を表す図である。
【図7】マルチキャストアドレステーブルの構成例を表す図である。
【図8】図1のSDH装置300の構成を表すブロック図である。
【図9】図1のSDH装置100によるSDH伝送路網からIP網へのデータ伝送処理ルーチンを表すフローチャートである。
【図10】図1のSDH装置100によるIP網からSDH伝送路網へのデータ伝送処理ルーチンを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施例による中継装置(以下、SDH装置と称する)100、200及び300を、IP網410、420、SDH伝送路網430、通信端末510−1〜510−n及び520−1〜520−m(n、mは2以上の整数)と共に表すブロック図である。
【0012】
SDH装置100は、IP網410とSDH伝送路網430との間でデータを中継する中継装置である。SDH装置100は、IP網410からのIPパケットをSDHフレームに収容して、SDH伝送路網430へ送信する。また、SDH装置100は、SDH伝送路網430からのSDHフレームに含まれているIPパケットを抽出し、これをIP網410へ送信する。当該抽出したIPパケットがマルチキャストパケットである場合には、SDH装置100は、IP網410に属する通信端末510−1〜510−nのうちの、マルチキャストグループのいずれかに参加している通信端末へそのグループに対応するIPパケットをマルチキャスト送信する。
【0013】
SDH装置200は、IP網420とSDH伝送路網430との間でデータを中継する中継装置であり、SDH装置100と同様にIPパケットとSDHフレームを送受信する。SDH装置300は、SDH伝送路網430内にあって、SDH装置100とSDH装置200との間でSDHフレームを中継する中継装置である。
【0014】
図2は、SDH装置100の構成を表すブロック図である。SDH装置100に含まれる各機能ブロックは、演算処理機能を有する例えばCPUによって構成された制御部140によって制御される。以下、SDH装置100を自装置、SDH200を対向装置とも称する。
【0015】
先ず、SDH伝送路網430から到来したSDHフレームに含まれているIPパケットをIP網410へ送信する場合の処理に沿って各機能ブロックについて説明する。
【0016】
受信光モジュール101は、SDH伝送路網430から光信号で送信されたSDHフレームを受信し、これを電気信号に変換する。
【0017】
S/P部(シリアル/パラレル変換部)102は、電気信号変換後のSDHフレームに対してシリアル/パラレル変換を施す。
【0018】
セクション処理部103は、当該変換後のSDHフレームからSOH(Section Over Head)を抽出し、SOHに含まれる各バイトの処理を実行する。また、セクション処理部103は、SOHに含まれるバイトのうちのD1〜D12バイト(後述する図3乃至図5)をマルチキャスト参加状況バイト判別部110へ供給する。D1〜D12バイトは、SDH装置100に対向するSDH装置200が接続しているIP網420に属する通信端末520−1〜520−mのマルチキャストグループへの参加状況を表すバイトである。以下、D1〜D12バイトを対向側マルチキャストグループ参加状況バイトと称する。
【0019】
パス処理部104は、SDHフレームからPOH(Path Over Head)を抽出し、POHに含まれる各バイトの処理を実行する。
【0020】
IPパケット抽出部105は、当該各バイトの処理後のSDHフレームに収容されているIPパケットを抽出すると共に、いわゆるチェックサム等の確認処理を行う。また、IPパケット抽出部105は、SDHフレームの固定領域(後述する図3及び図4)に含まれている情報(以下、アドレス対応情報と称する)を抽出して、これをアドレス情報管理部111へ供給する。
【0021】
マルチキャストパケット生成破棄部113は、IPパケット抽出部105によって抽出されたIPパケットを、マルチキャストアドレステーブル112(後述する図7)の設定に従って破棄するか否かを決定する。詳細には、マルチキャストパケット生成破棄部113は、当該抽出されたIPパケットのヘッダに含まれるマルチキャストアドレスが、後述するマルチキャストアドレステーブル112に記憶されている自装置に対応するマルチキャストアドレスと一致しない場合に当該IPパケットを破棄する。マルチキャストパケット生成破棄部113は、IPパケットを破棄すると決定した場合にはこれを破棄し、IPパケットを破棄しないと決定した場合にはこれをMAC処理部106に供給する。なお、マルチキャストパケット生成破棄部113は、マルチキャストパケット以外のIPパケットについては、そのままMAC処理部106に供給する。
【0022】
また、マルチキャストパケット生成破棄部113は、SDH装置100において非参加のマルチキャストグループ(対向するSDH装置200において参加のグループ)を、IP網410内に存在するルータに通知するためのマルチキャスト参加情報を含むパケット(以下、参加情報IPパケットと称する)を生成し、これをMAC処理部106に供給する。参加情報パケットは、例えばIPv4の場合にはIGMP(Internet Group Management Protocol)であり、IPv6の場合にはMLD(Multicast Listener Discovery)パケットである。また、参加情報パケットは、経路情報であるPIM(Protocol Independent Multicast)であっても良い。
【0023】
MAC処理部106は、マルチキャストパケット生成破棄部113から供給されたIPパケットに対して、OSI参照モデルのLayer2(データリンク層)についての処理を施す。
【0024】
PHY処理部107は、Layer2についての処理が施されたIPパケットに対してOSI参照モデルのLayer1(物理層)についての処理を施す。PHY処理部107は、当該処理後、IPパケットをIP網410へ送信する。
【0025】
次に、IP網410から到来したIPパケットをSDHフレームに収容してSDH伝送路網430へ送信する場合の処理に沿って各機能ブロックについて説明する。
【0026】
PHY処理部127は、IP網410から到来したIPパケットを受信し、これに対してLayer1(物理層)についての処理を施す。PHY処理部127は、当該処理後のパケットをMAC処理部126へ供給する。
【0027】
MAC処理部126は、PHY処理部127からのIPパケットに対してLayer2(データリンク層)についての処理を施し、これをマルチキャスト参加パケット判別破棄部130へ供給する。
【0028】
マルチキャスト参加パケット判別破棄部130は、MAC処理部126からIPパケットを供給される度に、そのIPパケットがマルチキャスト参加情報を表すパケット(IPv4であればIGMPパケット、IPv6であればMLDパケット、又は経路情報であるPIMパケット。以下、参加情報パケットと称する)であるか否かを判別する。参加情報パケットは、マルチキャストグループへ参加する際又はマルチキャストグループから離脱する際に、その参加又は離脱する通信端末(510−1〜510−nのいずれか)から送信されるパケットである。
【0029】
マルチキャスト参加パケット判別破棄部130は、IPパケットが参加情報パケットであると判別した場合には、各参加情報パケットに含まれるマルチキャストアドレスとソースアドレスの対応を表す情報を生成し、これをアドレス情報管理部111へ供給する。当該情報は、SDH装置100が接続しているIP網410に属する通信端末510−1〜510−nのマルチキャストグループへの参加の有無を表す情報であることから、以下、当該情報を自装置参加情報と称する。
【0030】
また、マルチキャスト参加パケット判別破棄部130は、参加情報パケットが示すマルチキャストアドレスがマルチキャストアドレステーブル112(後述する図7)に既に登録されている場合には、そのマルチキャスト参加情報を、SDH伝送路網430の伝送効率を向上させるために破棄する。また、マルチキャスト参加パケット判別破棄部130は、MAC処理部106からのIPパケットが参加情報パケットで無いと判別した場合には、当該IPパケットをそのままIPパケット挿入部125へ供給する。
【0031】
IPパケット挿入部125は、マルチキャスト参加パケット判別破棄部130から供給されたIPパケットをSDHフレームに収容し、アドレス対応情報作成部131から供給されたアドレス対応情報(詳細は後述する)をSDHフレームの固定領域(図3及び図4)に挿入する。
【0032】
パス処理部124は、SDH伝送路網430側へ送信するPOHを生成し、これをSDHフレームに挿入する。パス処理部124は、POH挿入後のSDHフレームをセクション処理部123へ供給する。
【0033】
セクション処理部123は、SDH伝送路網430側へ送信するSOHを生成し、これをパス処理部124からのSDHフレームに挿入する。また、セクション処理部123は、マルチキャスト参加状況バイト作成部132によって生成された自装置側マルチキャストグループ参加状況バイト(詳細は後述する)をSDHフレームのSOH(図3又は図4)に挿入する。
【0034】
P/S部122は、SOH挿入後のSDHフレームに対してパラレル/シリアル変換を施す。
【0035】
送信光モジュール121は、パラレル/シリアル変換後の電気信号で表されたSDHフレームを光信号に変換し、これをSDH伝送路網430へ送信する。
【0036】
次に、マルチキャストアドレステーブル112の更新処理に関連する各機能ブロックについて説明する。
【0037】
上述の通り、セクション処理部103は、シリアル/パラレル変換後のSDHフレームからSOHを抽出し、SOHに含まれるバイトのうちのD1〜D12バイト(対向側マルチキャストグループ参加状況バイト)をマルチキャスト参加状況バイト判別部110へ供給する。セクション処理部103は、例えばSTM(Synchronous Transport Module)−0(52Mbps)やSTM−1(155Mbps)のSDHフレームからSOHを抽出する。
【0038】
図3は、STM−0のSDHフレーム構成を表す図である。図4は、STM−1のSDHフレーム構成を表す図である。SDHフレームはSOHとペイロード部とからなり、D1〜D12バイトはSOHに含まれている。D1〜D12バイトは、データコミュニケーションチャンネルとして用意されているものであり、アラーム、制御、モニタリング、管理の用途に使用できることになっている。本実施例においては、D1〜D12バイトを対向側マルチキャストグループ参加状況バイトとして用いる。
【0039】
図5は、図3又は図4のSOHに含まれるD1〜D12バイトを対向側マルチキャストグループ参加状況バイトとして用いた場合のD1〜D12バイトの構成例を表す図である。D1バイトの1ビット目が更新フラグとして用いられる。更新フラグは、アドレス対応情報の更新の有無を示すフラグである。例えば更新フラグのビット値が1の場合には、対向装置(SDH装置200)側で更新があったことを表し、ビット値が0の場合には更新がなかったことを示す。
【0040】
D1バイトの2〜8ビット目及びD2〜D12バイトの全ビットは、対向装置であるSDH装置200が接続しているIP網420に属する通信端末520−1〜520−mのマルチキャストグループM(M=1〜95)への参加の有無を表す情報(以下、対向側参加情報と称する)を示す。D1バイトの2ビット目、3ビット目、・・・、D12バイトの7ビット目、8ビット目には、マルチキャストグループの番号1、2、・・・、94、95がそれぞれ割り当てられている。例えばD1バイトの2ビット目は、マルチキャストグループ1への参加の有無を表す。D1バイトのバイト値が0の場合には、通信端末520−1〜520−mのいずれもがマルチキャストグループ1へ参加していないことを示し、バイト値が1の場合には、通信端末520−1〜520−mのいずれかがマルチキャストグループ1へ参加していることを示す。
【0041】
なお、上記は、D1〜D12バイトを用いて対向側参加情報を表した例であるが、対向側参加情報を表すために例えば図4に示されるSTM−1におけるSOHの網掛け部分のバイトを用いても良い。その場合、マルチキャストグループMの値はM=1〜287まで拡張でき、D1〜D12のみを用いた場合の約3倍のマルチキャストグループへの参加の有無を判別できる。同様に考えると、STM−4(622Mbps)の場合にはM=1〜1151、STM−16(2.5Gbps)の場合にはM=1〜4607、STM−64(10Gbps)の場合にはM=1〜18431のマルチキャストグループへの参加の有無を判別できる。
【0042】
マルチキャスト参加状況バイト判別部110は、セクション処理部103から供給されたD1〜D12バイトの各ビット値を判別し、これらのビット値から得られた対向側参加情報及び更新フラグをアドレス情報管理部111へ与える。
【0043】
アドレス情報管理部111は、更新フラグ、IPパケット抽出部105から供給されたアドレス対応情報(SDHフレームの固定領域(図3及び図4)に含まれる情報)、及びマルチキャスト参加パケット判別破棄部130からの自装置参加情報に基づいて、マルチキャストアドレスに割当番号1〜N(NはM以下の整数)を割り当てる。
【0044】
図6は、図3又は図4のペイロード部における固定領域に含まれるアドレス対応情報の構成例を表す図である。「マルチキャストアドレス」は、IP網410に属する通信端末510−1〜510−n又はIP網420に属する通信端末520−1〜520−mのいずれかが参加しているマルチキャストグループに対応するマルチキャストアドレスである。「ソースアドレス」は、対応するマルチキャストアドレスが示すマルチキャストグループへIPパケットを送信する例えばサーバ(IP網410又は420に属する。図示せず)のIPアドレスである。「自装置側/対向装置側の参加状況」は、これらのアドレスに対応するマルチキャストグループに参加している通信端末が自装置(SDH装置100)及び対向装置(SDH装置200)のいずれに属しているのかを示す。
【0045】
自装置参加情報は、SDH装置100が接続しているIP網410に属する通信端末510−1〜510−nのいずれかが参加しているマルチキャストグループに対応するマルチキャストアドレスと、これに対応するソースアドレスとからなる。
【0046】
アドレス情報管理部111は、更新フラグが”1”の場合には、アドレス対応情報に含まれているマルチキャストアドレスのうちの、マルチキャストアドレステーブル112に記憶されていないマルチキャストアドレスに割当番号を新たに割り当て、これをマルチキャストアドレステーブル112に記憶する。例えばアドレス対応情報に含まれているアドレスA、アドレスBが割当番号1、2をそれぞれ割り当てられてマルチキャストアドレステーブル112に既に記憶されており、アドレスCが記憶されていない場合には、アドレス情報管理部111は、アドレスCに割当番号3を割り当て、これをマルチキャストアドレステーブル112に記憶する。
【0047】
また、アドレス情報管理部111は、更新フラグが”1”の場合には、対向側マルチキャストグループ参加状況バイトの各ビット(D1バイトの2ビット目〜8ビット目及びD2〜D12の全ビット)のビット値に基づいてマルチキャストアドレステーブル112を更新する。例えば、マルチキャストアドレス1と割当番号1とが対応付けられてマルチキャストアドレステーブル112に記憶されているときに、D1バイトの2ビット目が”0”であり、且つ対向装置側において参加(図7の「参加状況」欄が”0”)の場合、アドレス情報管理部111は、マルチキャストアドレステーブル112からマルチキャストアドレス1を削除する。自装置側において参加(図7の「参加状況」欄が”1”)の場合には、マルチキャストアドレス1を削除せず、そのまま保持する。図5に示されるようにD1バイトの2ビット目は割当番号1(マルチキャストアドレス1)に対応し、ビット値”0”は、対向側装置に属する通信端末がマルチキャストグループ1に非参加であることを示しているからである。以下、ビット値が”0”に対応するアドレスを非参加マルチキャストアドレスとも称する。
【0048】
なお、更新フラグが”0”の場合、アドレス情報管理部111は、アドレス対応情報及び対向側マルチキャストグループ参加状況バイトに基づくこのような更新を行わない。また、アドレス情報管理部111は、更新フラグが”0”の場合、対向側マルチキャストグループ参加状況バイトが示す「参加」(ビット値が”1”)のマルチキャストアドレスと、マルチキャストアドレステーブル112に記憶されているマルチアドレスとを照合して、その記憶内容の正常性を確認する。
【0049】
また、アドレス情報管理部111は、更新フラグの値にかかわらず、自装置参加情報に含まれるマルチキャストアドレスのうちで、マルチキャストアドレステーブル112に記憶されていないマルチキャストアドレスがあると判別した場合には、当該マルチキャストアドレスに割当番号を新たに割り当て、これをマルチキャストアドレステーブル112に記憶する。例えば自装置参加情報に含まれているアドレスDがマルチキャストアドレステーブル112に記憶されていない場合には、アドレス情報管理部111は、アドレスDに割当番号4を新たに割り当て、これをマルチキャストアドレステーブル112に記憶する。また、アドレス情報管理部111は、マルチキャストアドレステーブル112に記憶されている自装置(SDH装置100)側についてのマルチキャストアドレスのうち、自装置参加情報には含まれていないマルチキャストアドレスについては、自装置側において参加(図7の「参加状況」欄が”1”)の場合には、マルチキャストアドレステーブル112から削除する。対向装置側において参加(図7の「参加状況」欄が”0”)の場合には、マルチキャストアドレスを削除せず、そのまま保持する。アドレス情報管理部111は、当該割り当て又は削除を行った場合には、自装置(SDH装置100)側の参加状況の更新があった旨を示す例えばビット値”1”の更新フラグをマルチキャスト参加状況バイト作成部132へ与える。
【0050】
アドレス情報管理部111は、割当番号が割り当てられていないマルチキャストアドレスに対して、例えばアドレスの小さい順又はアドレスの取得順に割当番号1〜Nを順次割り当てる。なお、マルチキャストアドレスがM個よりも多く存在する場合には、M個を超える分のアドレスについては割当番号を割り当てない。
【0051】
アドレス情報管理部111は、当該割り当て後、当該割当番号及びマルチキャストアドレス、マルチキャストアドレスに対応するソースアドレス、マルチキャストアドレスについての自装置(SDH装置100)/対向装置(SDH装置200)の別をマルチキャストアドレステーブル112に記憶させる。
【0052】
マルチキャストアドレステーブル112は、図7に示されるように、割当番号、マルチキャストアドレス、ソースアドレス、自装置/対向装置の参加状況の情報を対応付けて記憶する例えばハードディスクなどの記憶媒体である。また、上述したようにマルチキャストパケット生成破棄部113は、IPパケット抽出部105によって抽出されたIPパケットを、マルチキャストアドレステーブル112の設定に従って破棄するか否かを決定する。
【0053】
次に、アドレス対応情報、及び自装置側マルチキャストグループ参加状況バイトの生成処理に関する各機能ブロックについて説明する。
【0054】
アドレス対応情報作成部131は、マルチキャストアドレステーブル112に記憶されているマルチキャストアドレス、ソースアドレス、自装置/対向装置の参加状況を表すアドレス対応情報を生成する。SDH装置100のアドレス対応情報作成部131が生成したアドレス対応情報の構成は、SDH装置200からのアドレス対応情報の構成(図6)と同じである。なお、上述したように、アドレス対応情報は、IPパケット挿入部125によってSDHフレームの固定領域(図3及び図4)に挿入される。
【0055】
マルチキャスト参加状況バイト作成部132は、アドレス情報管理部111から供給された割当番号1〜N、マルチキャストアドレス及び自装置側/対向装置側の参加状況(図7)の対応関係に基づいて自装置側マルチキャストグループ参加状況バイトを生成する。詳細には、マルチキャスト参加状況バイト作成部132は、供給された割当番号1〜Nのうちの自装置側(SDH装置100)に対応する割当番号を判別し、D1バイトの2ビット目から8ビット目及びD2〜D12バイトの各ビットのうちの当該割当番号に対応するビットの値を”1”に設定する。例えば割当番号4が自装置側に対応する割当番号である場合には、マルチキャスト参加状況バイト作成部132は、割当番号4に対応するD1バイトの5ビット目(図5)のビット値を”1”に設定する。これにより、自装置側に属する通信装置510−1〜510−nのうちのいずれかがマルチキャストグループ4に参加していることが示される。また、マルチキャスト参加状況バイト作成部132は、対向装置側の割当番号に対応するビット、及びマルチキャストアドレスと対応付けられていないビットについては、ビット値を”0”に設定する。
【0056】
また、マルチキャスト参加状況バイト作成部132は、自装置側の参加状況の更新があった旨を示す更新フラグをアドレス情報管理部111から受け取り、D1バイトの1ビット目のビット値をその更新フラグの値(”0”又は”1”)に設定する。なお、自装置側の参加状況の更新があった場合には更新フラグの値は”1”であり、更新が無かった場合には更新フラグの値は”0”である。このように、マルチキャスト参加状況バイト作成部132は、D1〜D12バイトの各ビット値を設定することによって自装置側マルチキャストグループ参加状況バイトを生成する。上述したように、自装置側マルチキャストグループ参加状況バイトは、セクション処理部123によって、SDHフレームのSOH(図3又は図4)に挿入される。なお、機能ブロック121〜125、131及び132からなる構成をアドレス情報送信部とも称する。
【0057】
以上、SDH装置100について説明したが、SDH装置200もSDH装置100と同じ構成である。
【0058】
図8は、図1のSDH装置300の構成を表すブロック図である。SDH装置300は、SDH伝送路網430内にあって、SDH装置100とSDH装置200との間でSDHフレームを中継する中継装置である。
【0059】
受信光モジュール301は、SDH伝送路網430からSDHフレームを受信し、これに光/電気信号変換を施す。S/P部302は、当該変換後のSDHフレームにシリアル/パラレル変換を施し、セクション処理部303へ供給する。セクション処理部303は、SDHフレームからSOHを抽出し、SOHに含まれる各バイトの処理を実行する。また、セクション処理部303は、SOHに含まれるD1〜D12バイトをマルチキャスト参加状況バイト転送部311に供給し、その後、SDHフレームをパス処理部304に与える。
【0060】
マルチキャスト参加状況バイト転送部311は、セクション処理部303から供給されたD1〜D12バイトをそのままセクション処理部308へ転送する。パス処理部304は、セクション処理部303から供給されたSDHフレームからPOHを抽出し、POHに含まれる各バイトの処理を実行する。IPパケット抽出部305は、POH抽出後のSDHフレームからIPパケットを抽出すると共に、チェックサム等の確認処理を行い、その後、SDHフレームをIPパケット挿入部306へ供給する。
【0061】
IPパケット挿入部306は、IPパケット抽出部305から供給されたSDHフレームにIPパケットを収容する。パス処理部307は、SDH伝送路網430側へ送信すべきPOHを生成し、これをIPパケット収容後のSDHフレームに挿入する。セクション処理部308は、SDH伝送路網430側へ送信すべきSOHを生成し、これをPOH挿入後のSDHフレームに挿入する。また、セクション処理部308は、マルチキャスト参加状況バイト転送部311から転送されたD1〜D12バイトもSDHフレームに挿入し、その後、SDHフレームをP/S部309へ供給する。
【0062】
P/S部309は、セクション処理部308から供給されたSDHフレームにパラレル/シリアル変換処理を施し、これを送信光モジュール310へ供給する。送信光モジュール310は、P/S部309から供給されたSDHフレームに電気信号/光信号変換処理を施し、SDH伝送路網430へ送信する。逆の経路(機能ブロック321〜331)も上記と同様の処理を行う。これらの各機能ブロックは例えばマイクロプロセッサなどの演算処理装置によって構成される制御部340によって制御される。
【0063】
図9は、SDH装置100によるSDH伝送路網430からIP網410へのデータ伝送処理ルーチンを表すフローチャートである。以下、図9を参照しつつ、SDH装置100によるデータ伝送処理ルーチンについて説明する。
【0064】
先ず、受信光モジュール101が、SDH伝送路網430からSDHフレームを受信しこれに光信号/電気信号変換処理を施す。次にS/P部102が、変換後のSDHフレームに対してシリアル/パラレル変換を施す。次にセクション処理部103が、当該変換後のSDHフレームからSOHを抽出し、SOHに含まれる各バイトの処理を実行する(以上、ステップS101)。
【0065】
セクション処理部103は、SOHに含まれるバイトのうちのD1〜D12バイト(対向側マルチキャストグループ参加状況バイト)を抽出し、これをマルチキャスト参加状況バイト判別部110へ供給する(ステップS102)。
【0066】
パス処理部104は、セクション処理部103から供給されたSDHフレームからPOHを抽出し、POHに含まれる各バイトの処理を実行する。IPパケット抽出部105は、当該処理後のSDHフレームに収容されているIPパケットを抽出すると共に、SDHフレームの固定領域に含まれているアドレス対応情報を抽出して、これをアドレス情報管理部111へ供給する(ステップS103)。
【0067】
マルチキャスト参加状況バイト判別部110は、セクション処理部103から供給されたD1〜D12バイトの各ビット値を判別し、これらのビット値から得られた対向側参加情報及び更新フラグをアドレス情報管理部111へ与える。
【0068】
アドレス情報管理部111は、アドレス情報管理部111からの更新フラグ、IPパケット抽出部105から供給されたアドレス対応情報、及びマルチキャスト参加パケット判別破棄部130からの自装置参加情報に基づいて、マルチキャストアドレスに割当番号1〜Nを割り当て、割当番号、マルチキャストアドレス、ソースアドレス、自装置/対向装置の参加状況の対応関係をマルチキャストアドレステーブル112に記憶する(ステップS104)。
【0069】
アドレス対応情報は、図6に示されるように、マルチキャストアドレス、ソースアドレス、自装置側/対向装置側の参加状況からなる。自装置参加情報は、SDH装置100が接続しているIP網410に属する通信端末510−1〜510−nのいずれかが参加しているマルチキャストグループに対応するマルチキャストアドレスと、これに対応するソースアドレスとからなる。
【0070】
アドレス情報管理部111は、マルチキャスト参加状況バイト判別部110からの更新フラグが”1”のとき、アドレス対応情報に含まれている例えばマルチキャストアドレスAが、マルチキャストアドレステーブル112に記憶されていない場合には、マルチキャストアドレスAに例えば割当番号1を新たに割り当てる。また、アドレス情報管理部111は、例えばアドレスAと割当番号1とが対応付けられてマルチキャストアドレステーブル112に記憶されているときに、その割当番号1に対応する対向側マルチキャストグループ参加状況バイトであるD1バイトの2ビット目が”0”であり、且つ対向装置側において参加(図7の「参加状況」欄が”0”)場合には、マルチキャストアドレステーブル112からアドレスAを削除する。自装置側において参加(図7の「参加状況」欄が”1”)の場合には、マルチキャストアドレス1を削除せず、そのまま保持する。なお、更新フラグが”0”の場合、アドレス情報管理部111は、アドレス対応情報及び対向側マルチキャストグループ参加状況バイトに基づくこのような更新を行わない。
【0071】
また、アドレス情報管理部111は、更新フラグの値にかかわらず、自装置参加情報に含まれる例えばマルチキャストアドレスCが、マルチキャストアドレステーブル112に記憶されていないと判別した場合には、マルチキャストアドレスCに例えば割当番号3を新たに割り当てる。また、アドレス情報管理部111は、マルチキャストアドレステーブル112に記憶されている自装置側についてのマルチキャストアドレスDが自装置参加情報に含まれておらず、且つ自装置側において参加(図7の「参加状況」欄が”1”)の場合、マルチキャストアドレステーブル112からマルチキャストアドレスDを削除する。対向装置側において参加(図7の「参加状況」欄が”0”)の場合には、マルチキャストアドレスを削除せず、そのまま保持する。アドレス情報管理部111は、当該割り当て又は削除を行った場合には、自装置側の参加状況の更新があった旨を示す例えばビット値”1”の更新フラグをマルチキャスト参加状況バイト作成部132へ与える。
【0072】
マルチキャストパケット生成破棄部113は、IPパケット抽出部105によって抽出されたIPパケットを、マルチキャストアドレステーブル112の設定に従って破棄するか否かを決定する(ステップS105)。詳細には、マルチキャストパケット生成破棄部113は、IPパケットのヘッダに含まれる例えばマルチキャストアドレスAが、マルチキャストアドレステーブル112に記憶されている自装置の例えばマルチキャストアドレスAに一致しないと判別した場合には、当該IPパケットを破棄する。また、マルチキャストパケット生成破棄部113は、IPパケットのヘッダに含まれる例えばマルチキャストアドレスAが、マルチキャストアドレステーブル112に記憶されている自装置の例えばマルチキャストアドレスB〜Gのいずれにも一致しないと判別した場合には、当該IPパケットをMAC処理部106に供給する。なお、マルチキャストパケット生成破棄部113は、マルチキャストパケット以外のIPパケットについては、そのままMAC処理部106に供給する。
【0073】
また、マルチキャストパケット生成破棄部113は、SDH装置100において非参加のマルチキャストグループを、IP網410内に存在するルータに通知するために、例えばIGMPパケットなどの参加情報IPパケットを生成し、これをMAC処理部106に供給する。
【0074】
次に、MAC処理部106が、マルチキャストパケット生成破棄部113から供給されたIPパケットに対して、OSI参照モデルのLayer2についての処理を施す。続いて、PHY処理部107が、Layer1についての処理を施しこれをIP網410へ送信する(ステップS105)。
【0075】
図10は、SDH装置100によるIP網410からSDH伝送路網430へのデータ伝送処理ルーチンを表すフローチャートである。以下、図10を参照しつつ、SDH装置100によるデータ伝送処理ルーチンについて説明する。
【0076】
先ず、PHY処理部127が、IP網410から到来したIPパケットを受信し、これに対してLayer1についての処理を施す(ステップS201)。次に、MAC処理部126が、PHY処理部127からのIPパケットに対してLayer2についての処理を施し、これをマルチキャスト参加パケット判別破棄部130へ供給する。
【0077】
マルチキャスト参加パケット判別破棄部130は、MAC処理部126からIPパケットを供給される度に、そのIPパケットがマルチキャスト参加情報を表す例えばIGMPなどのパケットであるか否かを判別する。マルチキャスト参加パケット判別破棄部130は、IPパケットが参加情報パケットであると判別した場合には、各参加情報パケットに含まれるマルチキャストアドレスとソースアドレスの対応を表す自装置参加情報を生成し、これをアドレス情報管理部111へ供給する(ステップS202)。
【0078】
また、マルチキャスト参加パケット判別破棄部130は、参加情報パケットが示すマルチキャストアドレスがマルチキャストアドレステーブル112に既に登録されている場合には、そのマルチキャスト参加情報を破棄する。また、マルチキャスト参加パケット判別破棄部130は、IPパケットが参加情報パケットで無いと判別した場合には、これをそのままIPパケット挿入部125へ供給する。
【0079】
次に、アドレス対応情報作成部131が、マルチキャストアドレステーブル112に記憶されているマルチキャストアドレス、ソースアドレス、自装置/対向装置の参加状況を表すアドレス対応情報(図6の構成と同じ構成)を生成し、IPパケット挿入部125がこれをSDHフレームの固定領域(図3及び図4)に挿入する(ステップS203)。IPパケット挿入部125は、マルチキャスト参加パケット判別破棄部130から供給されたIPパケットもSDHフレームに収容する。
【0080】
次に、パス処理部124は、SDH伝送路網430側へ送信するPOHを生成し、これをIPパケット挿入部125から供給されたSDHフレームに挿入する。パス処理部124は、POH挿入後のSDHフレームをセクション処理部123へ供給する。
【0081】
次に、マルチキャスト参加状況バイト作成部132は、アドレス情報管理部111から供給された割当番号1〜N、マルチキャストアドレス及び自装置側/対向装置側の参加状況(図7)の対応関係に基づいて自装置側マルチキャストグループ参加状況バイトを生成する(ステップS204)。 例えば割当番号4が自装置側に対応する割当番号である場合には、マルチキャスト参加状況バイト作成部132は、割当番号4に対応するD1バイトの5ビット目(図5)のビット値を”1”に設定する。また、マルチキャスト参加状況バイト作成部132は、対向装置側の割当番号に対応するビット、及びマルチキャストアドレスと対応付けられていないビットについては、ビット値を”0”に設定する。また、マルチキャスト参加状況バイト作成部132は、自装置側の参加状況の更新があった旨を示す更新フラグをアドレス情報管理部111から受け取り、D1バイトの1ビット目のビット値をその更新フラグの値(”0”又は”1”)に設定する。
【0082】
次に、セクション処理部123が自装置側マルチキャストグループ参加状況バイトをSDHフレームのSOHに挿入する。セクション処理部123は、SDH伝送路網430側へ送信するSOHを生成し、これもパス処理部124からのSDHフレームに挿入する。P/S部122は、SOH挿入後のSDHフレームに対してパラレル/シリアル変換を施す。送信光モジュール121は、パラレル/シリアル変換後の電気信号で表されたSDHフレームを光信号に変換し、これをSDH伝送路網430へ送信する(ステップS205)。
【0083】
上記したように、SDH装置100は、自装置(SDH装置100)と対向装置(SDH装置200)との間で、自装置に属する通信端末510−1〜510−nの参加するマルチキャストグループのマルチキャストアドレスと、対向装置に属する通信端末520−1〜520−mの参加するマルチキャストグループのマルチキャストアドレスと、を含むアドレス対応情報を相互に交換する。そして、これらの各マルチキャストアドレスに対して割当番号を割り当て、更に各アドレスとそのアドレスが属する側の装置(自装置側又は対向装置側)とを対応付けてマルチキャストアドレステーブル112(図7)に記憶する。マルチキャストパケット生成破棄部113は、SDH伝送路網430から到来したSDHフレームに含まれるIPパケットのうち、マルチキャストアドレステーブル112に記憶されている自装置側において非参加のマルチキャストアドレスをヘッダに含むIPパケットを破棄する。これにより、不要なIPパケットをIP網410に送信することがなくなるので、IP網410の通信品質を向上させることができる。
【0084】
また、アドレス情報管理部111が、各マルチキャストアドレスに対して割当番号1〜Nを割り振り、マルチキャスト参加状況バイト作成部132が、SOH内のD1〜D12バイト(自装置側マルチキャストグループ参加状況バイト)の各ビットのうちの、自装置に属するマルチキャストアドレスに割り当てられた割当番号に対応するビットの値を例えば”1”に設定して、対向装置に送信する。このように、自装置に属する通信端末が参加しているマルチキャストグループの情報をSOH内に収めることができるので、対向装置へ送信する情報量を削減でき、SDH伝送路網の伝送効率を向上させることができる。
【0085】
また、上述のようにアドレス対応情報をSDHフレームのペイロード部内の固定領域にのみ挿入すれば足りるので、ペイロード部の空き帯域を多く確保でき、SDH伝送路網の伝送効率を向上させることができる。更に、当該アドレス対応情報及び自装置側マルチキャストグループ参加状況バイトを1つのSDHフレームで送信できるので、IPパケット送信側のサーバと、IPパケットを受信する側の通信端末との間のタイムラグの発生を抑制できるという効果も奏する。
【0086】
上記の実施例はSDH規格の場合の例であるが、SONET(Synchronous Optical Network)規格のフレームフォーマットにおいてもSDH規格と同様にD1〜D12バイトが存在するので、SONET規格についても上記実施例と同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
100、200、300 中継装置(SDH装置)
101 受信光モジュール
121 送信光モジュール
102 S/P部(シリアル/パラレル変換部)
122 P/S部(パラレル/シリアル変換部)
103、123 セクション処理部
104、124 パス処理部
105 IPパケット抽出部
125 IPパケット挿入部
106、126 MAC処理部
107、127 PHY処理部
110 マルチキャスト参加状況バイト判別部
111 アドレス情報管理部
112 マルチキャストアドレステーブル
113 マルチキャストパケット生成破棄部
130 マルチキャスト参加パケット判別破棄部
131 アドレス対応情報作成部
132 マルチキャスト参加状況バイト作成部
311、331 マルチキャスト参加状況バイト転送部
140 制御部
410、420 IP網
430 SDH伝送路網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP網とSDH/SONET伝送路網との間でIPパケットを中継する中継装置であって、
前記IP網を介して到来したIPパケットに含まれるマルチキャストアドレスをマルチキャストアドレステーブルに記憶するアドレス情報管理部と、
前記SDH/SONET伝送路網を介して到来したSDH/SONETフレームに含まれるIPパケットのマルチキャストアドレスと、前記マルチキャストアドレステーブルに記憶されているマルチキャストアドレスとが一致した場合に前記SDH/SONETフレームに含まれるIPパケットを破棄するマルチキャストパケット破棄部と、を含むことを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記アドレス情報管理部は、前記SDH/SONETフレームのペイロード部に含まれるマルチキャストアドレスについても前記マルチキャストアドレステーブルに記憶することを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記アドレス情報管理部は、前記SDH/SONETフレームのSOHに含まれるマルチキャストグループ参加情報が示す非参加マルチキャストアドレスを前記マルチキャストアドレステーブルから削除することを特徴とする請求項1又は2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記マルチキャストアドレステーブルに記憶されているマルチキャストアドレスを含むデータを対向装置へのSDH/SONETフレームのペイロード部に挿入してこれを前記対向装置へ送信するアドレス情報送信部を更に含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の中継装置。
【請求項5】
前記アドレス情報送信部は、前記IP網を介して到来したIPパケットに含まれるマルチキャストアドレスを示すデータを前記対向装置へのSDH/SONETフレームのSOHに挿入してこれを前記対向装置へ送信する手段を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の中継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−176636(P2011−176636A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39300(P2010−39300)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】