説明

中間転写ベルト及びそれを用いた画像形成装置

【課題】画像形成装置の中間転写ベルトにおいて、カーボンブラックとポリイミドの親和性に優れ、中間転写ベルトの電気特性や機械特性を向上することにより、電気特性の均一性、ベルト強度や屈曲性に優れた中間転写ベルトの提供及び中間転写ベルトを搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】表面処理されたカーボンブラックと分散剤と溶剤からなるカーボンブラック分散液を溶剤で希釈して遠心成形法により製造する画像形成装置の中間転写ベルトにおいて、前記希釈の前と後のカーボンブラックの体積平均粒径の差が±0.1μm以内であることを特徴とするポリイミド中間転写ベルトを主たる構成にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写ベルト及びそれを用いた画像形成装置に関し、特にカーボンブラック分散性に優れたカーボンブラック成膜液とそのカーボンブラック成膜液を用いて成型された中間転写ベルト及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、均一で安定な電気特性を有する無端ベルトを製造するために、カーボンブラックを分散媒中に分散したカーボンブラック分散液を作製し、更に樹脂ワニスを添加して成膜液を用いている。特に樹脂ワニスとしてポリイミドを用いて遠心成型などによって無端ベルトを得ている。このベルトの最も重要な特性は電気特性や機械特性であり、膜を半導電性に制御したり、ベルト強度や屈曲性を向上させたりすることが求められている。その為に、カーボンブラックの比表面積、給油量、揮発分等の重要特性を最適化する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、吸油量と揮発分で規定される指数を規定する方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
さらに、カーボンブラックを非常に微細化して分散性を向上する技術も知られている(例えば特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−131410号公報
【特許文献2】特開2001−152013号公報
【特許文献3】特開2004−279531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの公知技術を使用しても、中間転写ベルトの特性向上は十分なものではなかった。
【0006】
本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、カーボンブラック分散液中のカーボンブラックの体積平均粒径とカーボンブラック分散ポリイミド成膜液の体積平均粒径の差に着目し、その差を±0.1μm以内に制御するとカーボンブラックとポリイミドの親和性に優れ、中間転写ベルトの電気特性や機械特性を向上でき、これによって電気特性の均一性や、ベルト強度や屈曲性に優れた中間転写ベルトの提供及び前記中間転写ベルトを搭載した高画質の画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、表面処理されたカーボンブラックと分散剤と溶剤からなるカーボンブラック分散液を溶剤で希釈して遠心成形法により製造する画像形成装置の中間転写ベルトにおいて、前記希釈の前と後のカーボンブラックの体積平均粒径の差が0.1μm以内であるポリイミド中間転写ベルトを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記ポリイミド中間転写ベルトは、MIT試験機で測定した折り曲げ回数が1000回を超え弾性率が4GPa以上である請求項1に記載のポリイミド中間転写ベルトを特徴とする。
【0009】
また請求項3に記載の発明は、少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する帯電装置と、像担持体上に各色に応じた現像材を用いてトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を無端状に走行する中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一時転写し、該中間転写ベルト上の一時転写画像を転写材に一括して二次転写する中間転写装置と、前記転写材上のトナー像を加熱または加圧してトナー像を前記転写材上に定着する定着装置を有する画像形成装置において、前記中間転写ベルトが請求項1記載の中間転写ベルトである画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表面処理されたカーボンブラックと分散剤と溶剤からなるカーボンブラック分散液を溶剤で希釈して遠心成形法により製造する画像形成装置の中間転写ベルトにおいて、前記希釈の前と後のカーボンブラックの体積平均粒径の差が0.1μm以内であることを特徴とするポリイミド中間転写ベルトにより、溶剤で希釈前後のカーボンブラックの体積平均粒径の差が±0.1μm以内と非常に小さいので、カーボンブラックとポリイミドの親和性に優れており、その結果中間転写ベルトの電気特性の均一性や機械特性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
本発明の中間転写ベルトを成型するカーボンブラック成膜液は、カーボンブラック、ポリイミド、分散媒から構成される。各構成材料について、それぞれ説明する。
【0013】
1.カーボンブラック
本発明の中間転写ベルトに使用するカーボンブラックは、各種の炭化水素又は炭素を含む化合物を不完全燃焼して得られる微細な粒子の集合体であり、化学組成として、炭素が98%以上の純粋な炭素に近い炭素材料の総称である。
【0014】
カーボンブラックの種類は表1に示すように製法で分類するのが一般的であり、原料炭化水素の熱分解法か、不完全燃焼法かに大別され(表1参照)、更に原料の種類により細分化される。不完全燃焼法に分類されるコンタクト法は、炎を鉄や石などに接触させる製造法であり、このコンタクト法にチャンネル法やその改良法であるガスブラック法(ローラ法)等が含まれる。この前記チャンネルブラックは、コンタクト法の代表的な製品であり、チャンネル鋼の底面に炎を接触させて採取するものである。
【0015】
ファーネス法は、燃料と空気とによる燃焼熱によって原料の炭化水素を連続的に熱分解させてカーボンブラックを生成させる方法であり、ファーネス法はガスファーネス法とオイルファーネス法に分類される。
【0016】
サーマル法は、原料の炭素源として天然ガスを利用し燃焼と熱分解を周期的に繰り返す特殊な製造法であり、その特徴は大粒子径を有するカーボンブラックが得られることにある。
【0017】
アセチレンブラックもアセチレンを原料とする一種のサーマル法であるが、アセチレンの熱分解は他の原料が吸熱反応であるのに対し発熱反応であるため、サーマル法における燃焼サイクルを省略することが可能となり、連続運転が出来ることにある。アセチレンブラックの特徴は、通常のカーボンブラックに比較して結晶性が発達し、かつ、ストラクチャーが高いことにあるため導電性にすぐれ、乾電池用並びに各種ゴム、プラスチックの導電性付与剤として使用されている。
【0018】
【表1】

【0019】
表1は、カーボンブラックの製法による分類である。
(1)カーボンの基本的特性
カーボンブラックをゴムや樹脂、塗料やインキのビヒクルに配合、分散させて補強性や黒色度、導電性などの機能を付与する際の重要な因子は、粒子径とストラクチャーと粒子表面の物理化学的性質であり、これらを通常カーボンブラックの三大特性と呼んでおり、これら特性の値の様々な範囲の組み合わせで種々のカーボンブラックが製造されている。
【0020】
カーボンブラックの上記3大基本特性は、以下の(i)、(ii)、(iii)で、それぞれ以下の数値で表す。
(i)粒子径:粒子径と表面積
(ii)ストラクチャー:DBP給油量(ml/100g)とストラクチャー指数
(iii)表面の化学的特性:揮発分(%)とpH
【0021】
(2)カーボンブラックの物理的特性
(i)カーボンブラックの粒子の構造
カーボンブラックの粒子は、粒子の最小単位が、炭素六員環を網として30〜40個結合した網平面構造が3〜5層Van der Waals力でほぼ等間隔(3.5〜3.9Å)に積み重なった結晶粒子であり、粒子表面付近では同心円状にしかも緻密に配列しているが、その配列は内部(バルク)に行く程不規則となっている。このような特徴は微細な粒子ほど顕著であって、粒子の大きいサーマルブラックは、ほとんど中心部まで規則的な配向状態を保持している。この結晶粒子が1,000〜2,000個集合して1個の1次粒子を形成し、更にこの粒子が化学的、物理的に結合したものをストラクチャーと呼んでいる。
【0022】
(ii)カーボンブラックの粒子径とその分布
カーボンブラックの粒子は串に刺した団子のように粒子同志が融着した状態で存在し、個々の球状粒子は団子と団子の山と谷を特徴付けているにすぎないが、これを単一粒子と見なした粒子径は各種用途における性能、例えば補強性や黒色度などと密接に関係している。
【0023】
(iii)カーボンブラックの凝集体とその分布
カーボンブラック粒子は上記のように、串に刺した団子或いはぶどうの房に形容される凝集体構造を形成しており、これをストラクチャーとよんでいる。この凝集の発達度合いにより、ハイ(高)、ノーマル(中)、ロー(低)ストラクチャーに分類され、ゴムに配合した場合の引っ張り応力や押し出し特性、インキや塗料のビヒクル並びに樹脂に配合した場合の分散性や黒色度、粘度、導電性などに多大な影響を与える重要な因子である。
【0024】
ストラクチャーは、1,400℃以上の製造炉内で複雑な化学反応を経て生成した縮合多環芳香族炭化水素が微細液滴に凝縮し、核となる前駆体を形成すると共に、相互の衝突を経て融着固化し生成したと考えられている。ストラクチャーの制御は炉の形状や炉内の動熱力学条件の選択でも可能であるが、例えばアルカリ金属塩を微量添加する手法が有力である。
【0025】
ストラクチャーは給油量、圧縮空隙率、嵩密度、電子顕微鏡画像の形態解析などにより測定されるが、最も一般的に採用されている給油量は粒子相互の絡み合いの大きい、すなわちハイストラクチャーカーボンブラックほど多量の油を吸収するという現象を応用したもので、かつてはアマニ油を用いた手練り法で求めていたが、現在では、同原理を機械化したDBP(Dibutyl Phtalate)アブソープトメータによる測定により得られる数値で評価することが主流である。
【0026】
(iv)カーボンブラックの比表面積と非多孔比表面積
カーボンブラックの比表面積は単一粒子の大きさによってほぼ定まるが、他の固体と同様、その表面において他の物質との相互作用をもつため極めて重要な特性の一つである。カーボンブラックの表面には一般に細孔(pore)が存在し、又粒子間の融着部には微細空隙が存在すると考えられており、比表面積を測定する場合その測定原理によって、得られる値が細孔中の表面積を含むものか否かを明確に区別する必要がある。細孔中の表面積を含むものを全比表面積といい、細孔中の表面積を除外したものを非多孔比表面積という。一般に、比表面積はBETの式を用いた低温窒素吸着法やよう素吸着法などで測定し、又非多孔比表面積はCTAB吸着法や電子顕微鏡、“t”法等が用いられる。
【0027】
(3)カーボンブラックの化学的特性
(i)元素組成と不純物
カーボンブラックには少量の酸素や水素、硫黄、灰分などが含まれている。水素は原料である炭化水素の炭化過程における脱水素反応の残留物として含まれており、又硫黄は原料油や燃料油に起因したものであり、更に灰分は原料油や冷却用の水などに起因したものである。一方、酸素はカーボンブラック粒子形成後空気の接触により結合する塩基性酸化物と、二酸化窒素やオゾン、硝酸などとの反応により二次的に生成する酸性酸化物とがあるが、いずれも大部分は粒子表面に存在するものと考えられる。
【0028】
硫黄は化学的に結合しているものと遊離しているものの両方の形態で存在し、遊離硫黄は溶剤や硫化アルカリ水溶液によって抽出可能であり、他方結合硫黄は1,000℃の高温下でも完全に脱離しないといわれている。また灰分の組成はナトリウム、マグネシウムの塩化物と硫酸塩、カルシウム炭酸塩、鉄の酸化物、シリカなどであり、その化合物はチャンネルブラック(チャンネル法によるカーボンブラック)よりファーネスブラック(ファーネス法によるカーボンブラック)の方が多い傾向にある。
【0029】
(ii)表面官能基
カーボンブラックの化学反応性の大部分は表面の酸化物や活性水素などとして知られている化学的官能基に由来している。酸性酸化物の官能基としては一般にカルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基であるといわれ、これらは揮発分組成や揮発分量、pHなどで代表することが多い。
【0030】
本発明に使用されるカーボンブラック成膜液に用いるカーボンブラックは上述の何れの種類のカーボンブラックを使用することが出来る。また、本発明に使用するカーボンブラック成膜液に用いるカーボンブラックは必要に応じて表面処理をする事が出来る。
【0031】
(4)カーボンブラックの処理方法
カーボンブラックの処理方法について、以下に説明する。カーボンブラックの粒子表面は縮合芳香族環があり下記に示す各種表面処理が可能である。
【0032】
(i)表面酸化処理
カーボンブラックを酸化剤で表面処理すると、カーボンブラック粒子表面の縮合芳香族環へカルボキシル基やフェノール性水酸基が導入される。更に、カーボンブラック表面の縮合芳香族環は、次の様々な試薬と反応式1に示す反応をし、粒子表面への多彩な官能基の導入が可能である。
【0033】
【化1】

【0034】
(ii)界面活性剤分散
カーボンブラックは通常のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等により分散することが出来る。好ましい界面活性剤としては界面ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。
【0035】
(iii)高分子(樹脂)分散
カーボンブラックは高分子分散剤の立体障害反発による分散が可能である。このような高分子分散に使用可能な高分子分散剤としては、たとえばポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピぺリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の高分子分散剤を添加することができる。また、この他に本発明の目的の範囲内で、高分子材料、界面活性剤、無機塩害の分散安定化剤を用いることもできる。
【0036】
(iv)カプセル化処理
カーボンブラックが樹脂により被覆され溶剤中に分散されている。または、樹脂にカーボンブラックが含浸されたもの、即ち、表層もしくは内部、あるいは全体にカーボンブラックが存在するもの。その特徴は、分散安定性、表面濡れ性、レオロジー特性、電気特性などの特性を改良することが出来る。特に、分散安定性では、グラフト鎖の良溶媒中への分散性(分散媒中への易分散性と分散後の安定性)が著しく向上し、また、電気特性では、カーボンブラック粒子がポリマーマトリックス中へ容易に、しかも均一に分散するので、広い面積にわたって一定の抵抗値が得られるという特徴がある。
【0037】
(v)グラフト化処理
カーボンブラックのグラフト化処理は、グラフト機構に基づいて次の様に分類できる。
【0038】
(a)カーボンブラック表面へのグラフト重合
カーボンブラックの存在下で、重合開始剤を用いてビニルモノマーの重合を行い、系内で生成する生長ポリマー鎖をカーボンブラックの粒子表面で補足する方法である。
【0039】
(b)カーボンブラック表面からのグラフト重合
カーボンブラック表面へ導入した重合開始基からグラフト鎖を生長させる方法である。
【0040】
(c)カーボンブラック表面とポリマーとのグラフト反応
カーボンブラック表面の官能基と反応性ポリマーとの反応による方法である。
【0041】
このうち、上記(a)の方法は最も簡単に行なうことができるが、非グラフトポリマーの生成が優勢に起こるため、グラフト率の大きなものを得ることができない。これに対して、上記(b)の方法では、カーボンブラック表面からポリマー(グラフト鎖)が外へ向かって生長するので、グラフト率の大きなものが得られる。更に、上記(c)の方法によると、グラフト鎖の分子量や数を制御でき、しかもグラフト率の比較的大きなものが得られる。
【0042】
(vi)気相酸化法
オゾン処理やプラズマ処理など気相によるカーボンブラック表面の酸化処理方法であり、カーボンブラックにプラズマ照射してプラズマの高エネルギーあるいはオゾンと接触させることによってカーボンブラック表面に水酸基やカルボキシル基を導入する方法である。
【0043】
次に代表的なカーボンブラックの成膜液製造工程を示す。
【0044】
工程Aとして、顔料とビヒクルと溶剤を前混合(プレミキシング)した後に主分散(練合分散)し、カーボンブラック分散液を得る初期工程Aを行う。
【0045】
次に、工程Bとして、前記工程Aによって得られたカーボンブラック分散液を希釈調整して、成膜液を得る工程Bを行う。
【0046】
以下に、これらの工程AとBについてさらに説明する。
【0047】
a.前混合工程(プレミキシング)
次工程の主分散機にかけるための最適混合組成であり、最適流動状態のペーストを製造する工程であり、カーボンブラックの粒子集合体にビヒクルを浸透させ完全に表面を濡らし、粗大粒子集合体を破砕するために行う工程である。
【0048】
b.主分散工程(グラインディングディスパージョン)
ビヒクルで濡れた粒子集合体を衝撃エネルギー又はせん断エネルギーによって成膜液に要求される粒度まで分散させる工程であり、カーボンブラックを凝集体(アグリゲート)に近い状態になるまで分散させて、カーボンブラック表面にビヒクル中の樹脂成分を吸着させる工程である。
【0049】
c.希釈調整工程(レットダウン)
高顔料濃度のペーストに必要量の樹脂(ポリイミド)、溶剤、添加剤を加えて目的とする粘度、組成になるまで希釈調整する工程であり、顔料濃度の高いペーストに種々の樹脂溶液、溶剤が添加されるので、添加速度、順序、温度並びに攪拌条件等の調節で顔料が再凝集を起こさないように希釈される工程である。
【0050】
分散装置としては、分散系の粘度、溶剤の蒸発性、生産方式或いは最終分散粒子径等の理由から各種の分散機が用いられている。以下、主な分散機をあげる。
【0051】
a.ニーディング型:ニーダー、プラネタリーミキサー等;原料の粘度が大きいほど大きなせん断応力が発生するので硬いペーストの練りに広く利用されている。
【0052】
b.圧縮せん断型:3本ロールミル、2本ロールミル;ローラの間隙に圧力をかけながら大きなせん断応力を加える分散機で、高粘度(1,000Pa・s位まで可能)で接着力の大きいものに適用されている。
【0053】
c.攪拌混合型:コロイドミル、Kady Mill等;高い周速度(300〜1,200m/min)で回転するインペラーが高いせん断速度を与える。
【0054】
d.摩砕せん断型:ビーズミル、ボールミル等;ボールやビーズの衝撃とせん断応力によって分散を行なう分散機で、ボールミルで102〜103Pa、ビーズミルで104〜105Pa程度のせん断応力が加えられる。ビーズミル、ボールミルともに揮発性低粘度体(数Pa・s位まで可能)の分散に使用される。
【0055】
2.ポリイミド
次にポリイミドについて説明する。ポリイミドは、一般的には芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体と芳香族ジアミンとの縮合反応によって得られる。その剛直な主鎖構造により不溶、不融の性質を持つため、酸無水物と芳香族ジアミンからまず有機溶媒に可溶なポリアミック酸(又はポリアミド酸乃至ポリイミド前駆体)を合成し、この段階で様々な方法で成型加工が行われ、その後加熱若しくは化学的な方法で脱水環化(イミド化)することによってポリイミドが得られる(化学反応式2参照)。
【0056】
【化2】

【0057】
(式中Ar1は少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、Ar2は少なくとも1つの炭素6員環を含む2価の芳香族残基を示す。)例えば芳香族多価カルボン酸無水物としては、エチレンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して用いられる。
【0058】
また使用できる芳香族ジアミン(ジアミン成分)としては、例えばm−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,4’−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ジフェニルスルホン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を混合して使用される。
【0059】
これらの芳香族多価カルボン酸無水物成分とジアミン成分を略等モル有機極性溶媒中で重合反応させることによりポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を得ることが出来る。具体的にポリアミック酸の製造方法について説明する。
【0060】
ポリアミック酸の重合反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどをあげることができ、これらを単独或いは混合溶媒として用いるのが望ましい。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
【0061】
まず、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下において、1種あるいは、複数種のジアミンを上記の有機溶媒に溶解、あるいはスラリー状に拡散させる。この溶液に前記した少なくとも1種以上の芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体を固体の状態または有機溶媒溶液の状態あるいは、スラリー状態で添加すると、発熱を伴って開環重付加反応が起こり、急速に重合溶液の粘度の増大が見られ、高分子量のポリアミック酸溶液を得る。この時の反応温度は、−20℃から100℃、望ましくは、60℃以下である。反応時間は、30分から12時間の範囲である。
【0062】
また、この反応において、上記添加手順とは逆に、まず芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体を有機溶媒に溶解または拡散させ、この溶液中に前記ジアミンの固体もしくは有機溶媒による溶液もしくはスラリーを添加させても良い。また、同時に反応させても良く、酸二無水物成分、ジアミン成分の混合順序は限定されない。
【0063】
上記芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体と、芳香族ジアミン成分をほぼ等モル計量し、前記有機極性溶媒中に溶解する。本発明において、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの添加順序は限定されない。同時に添加してもよく、また、それぞれを溶解した有機極性溶媒を等モル量、混合してもよい。
【0064】
本発明にかかるポリアミック酸組成物は、上記のようにして、芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体と芳香族ジアミン成分とをおよそ等モル、有機極性溶媒中で重合反応により、ポリアミック酸組成物が有機極性溶媒中に均一に溶解しているポリアミック酸溶液が得られる。
【0065】
これらのポリアミック酸組成物は上記のように容易に合成することが可能であるが、簡便には有機溶媒にポリアミック酸組成物が溶解されているポリイミドワニスとして上市されているものを入手することが可能である。例えば、トレニース(東レ社製)、U−ワニス(宇部興産社製)、リカコート(新日本理化社製)、オプトマー(JSR社製)、SE812(日産化学社製)、CRC8000(住友ベークライト社製)等を代表的に挙げることが出来る。
【0066】
3.分散媒
次に本発明に用いられる分散媒について説明する。本発明に用いられる分散媒はポリアミック酸の溶媒として用いられるものを好適に使用することが出来る。例を挙げれば、NMP(N−メチルピロリドン)、DMF(N、N−ジメチルホルムアミド)、DMAc(N、N−ジメチルアセトアミド)などのアミド系溶媒、γ−ブチロラクトン等のポリアミック酸やポリイミド樹脂に対して用いられる双極子溶媒、乳酸エチル、メトキシメチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが使用され、必要な固形分、粘度を有するよう使用量を制御する。中でもNMP(N−メチル−2−ピロリドン)が最も好ましい。
【0067】
ここで、中間転写無端ベルトの製造方法について説明する。本発明のポリイミド樹脂成膜液を用いてベルト基体を作製する代表的な方法として遠心成型法がある。これは、溶剤に溶解した樹脂溶液を回転する円筒形状の成形型内部にスプレーやノズルからベルト素材としての原料溶液(以下塗布液ということがある。)を流し込んで、この成形型を高速回転させながらその遠心力により塗布液を拡げて均一な膜としてこの膜を固化させることにより無端状成形体を成形する方法(いわゆる遠心成形法)により無端ベルトを製造する方法で、この方法に従えば、塗布された塗布液は遠心力により拡げられるので、比較的均一な厚みの塗布層が得られやすい。
【0068】
この遠心成形によるベルト作製は、筒状の成形型の内面に流動性の塗布液を塗布した後、膜厚を均一にするために高速の遠心力で回転して塗布液の凝集の表面エネルギーに打ち勝つ力で塗布膜を押し広げて膜の均一化を行うものである。そして、その塗布液には原料ワニスを溶剤で希釈したものが成形型に塗布される。そのため、この塗布液は、高速回転しているときは、型の内面に均一に塗布されているが、回転を止めたり、回転数を緩くすると徐々に成形型の底部に溜まってくる。したがって、この遠心成形法によれば、一定の均一な溶液膜になった状態を保ちつつ、溶剤を除去して固化させなければならない。
【0069】
本発明に使用されるカーボンブラック成膜液を用いて成型した中間転写ベルトは、前記した工程Aから得られるカーボンブラック分散液中のカーボンブラックの体積平均粒径と工程Bから得られるカーボンブラック分散ポリイミド成膜液の体積平均粒径の差が±0.1μm以内であることを特徴としている。このようにすると、ポリイミドを添加した際のショック凝集が押さえられている。ポリイミドとカーボンブラック間の親和性が良いため、中間転写ベルトの電気特性の均一性や機械特性に優れ、このようなベルトを搭載した電子写真複写機やレーザープリンターなどの画像形成装置は、高画質な画像を安定して得ることが出来る。なお体積平均粒径の差が±0.1μmを超えると電気特性の均一性(表面抵抗、体積抵抗が1桁以内)が低下したり、ベルト強度(弾性率4GPa以上)や屈曲性(MIT試験機による耐折性(MIT回数)が1000回以上)が劣ったりして好ましくない。
【0070】
ポリイミドとカーボンブラック間の親和性を向上するために、前記したようなカーボンブラックの表面処理を行うことが好ましい。
【0071】
粒径測定は例えば、(株)日機装製のマイクロトラック超微粒子粒度分析計(UPA−EX150)を用いて行う。今日、電子写真装置では、市場からの要求にともない、カラー複写機やカラープリンタなどのカラーの装置が多くなってきている。
【0072】
カラー電子写真装置には、1つの感光体のまわりに複数色の現像装置を備え、それらの現像装置でトナーを付着させて感光体上に合成トナー画像を形成し、そのトナー画像を転写してシートにカラー画像を記録する、いわゆる1ドラム型のものと、並べて備える複数の感光体にそれぞれ個別に現像装置を備え、各感光体上にそれぞれ単色トナー画像を形成し、それらの単色トナー画像を順次転写してシートに合成カラー画像を記録する、いわゆるタンデム型のものとがある。
【0073】
1ドラム型とタンデム型の画像形成装置(電子写真装置)とを比較すると、前者には、感光体が1つであるから、比較的小型化でき、コストも低減できる利点はあるものの、1つの感光体を用いて複数回(通常4回)画像形成を繰り返してフルカラー画像を形成するから、画像形成の高速化には困難である、後者は、逆に大型化し、コスト高となる欠点はあるものの、画像形成の高速化が容易であるという利点がある。
【0074】
後者のタンデム型の電子写真装置には、図1に示すように、各感光体1上の画像を転写装置2により、シート搬送ベルト3で搬送するシートsに順次転写する直接転写方式のものと、図2に示すように、各感光体1上の画像を1次転写装置2によりいったん中間転写体4に順次転写して後、その中間転写体4上の画像を2次転写装置5によりシートsに一括転写する間接転写方式のものとがある。転写装置5は転写搬送ベルトを採用している例であるが、ローラ形状の方式を採用してもよい。
【0075】
直接転写方式と、間接転写方式とを比較すると、前者は、感光体1を並べたタンデム型画像形成装置Tの上流側に給紙装置6を、下流側に定着装置7を配置しなければならず、シート搬送方向に大型化する欠点がある。これに対し、後者の間接転写方式の転写装置は、2次転写位置を比較的自由に設置することができる。また給紙装置6および定着装置7をタンデム型画像形成装置Tと重ねて配置することができ、小型化が可能となる利点がある。
【0076】
また前者は、シート搬送方向に大型化しないために定着装置7をタンデム型画像形成装置Tに接近して配置することとなる。そのためシートsがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができず、シートsの先端が定着装置7に進入するときの衝撃(特に厚いシートで顕著となる)や,定着装置7を通過するときのシート搬送速度と、転写搬送ベルトによるシート搬送速度との速度差により、定着装置7が上流側の画像形成に影響を及ぼしやすい欠点がある。
【0077】
これに対し、後者は、シートsがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができるから、定着装置7がほとんど画像形成に影響を及ぼさないようにすることができる。以上のことを考慮して、本発明では、タンデム型電子写真装置の間接転写方式が好ましい。
【0078】
そして、この種のカラー電子写真装置では、図2に示すように、1次転写後に感光体1上に残留する転写残トナーを、感光体クリーニング装置で除去して感光体1表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えることが好ましい。また、2次転写後に中間転写体3上に残留する転写残トナーを、中間転写体クリーニング装置5で除去して中間転写体3表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えていることが好ましい。
【0079】
図3は、このようなタンデム型間接転写方式の電子写真装置である。図中符号100は複写装置本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写装置本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。
【0080】
複写装置本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写体10を設ける。図3に示すとおり、図示例では3つの支持ローラ14・15・16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。この図示例では、3つのなかで第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。
【0081】
また、3つのなかで第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、イエロー,シアン,マゼンタ,ブラックの4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成装置20を構成する。
【0082】
そのタンデム画像形成装置20の上には、図3に示すように、さらに露光装置21を設ける。一方、中間転写体10を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写体10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写体10上の画像をシートに転写する。
【0083】
2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
【0084】
上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。なお、図示例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
【0085】
このようなカラー電子写真装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットするか、または原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じつつそれで押さえる。そして、不図示のスタートスイッチが押下されると、セットされた原稿は原稿自動搬送装置400により原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動した後、他方コンタクトガラス32上にセットされた原稿は、直ちにスキャナ300が駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光が射出されるとともに原稿面からの反射光がさらに反射されて第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入射し、原稿内容が読み取られる。
【0086】
また、不図示のスタートスイッチが押下されると、不図示の駆動モータで支持ローラ14・15・16の1つが回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40が回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像が形成される。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像が順次転写して中間転写体10上に合成カラー画像が形成される。
【0087】
一方、不図示のスタートスイッチが押下されると、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つが選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートが繰り出され、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れられ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導かれ、レジストローラ49に突き当てて止められる。
【0088】
または、給紙ローラ50が回転して手差しトレイ51上のシートが繰り出され、分離ローラ52で1枚ずつ分離されて手差し給紙路53に入れられ、同じくレジストローラ49に突き当てて止められる。
【0089】
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングが合わされてレジストローラ49が回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートが送り込まれ、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像が記録される。画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込まれ、定着装置25で熱と圧力とを加えられて転写画像が定着した後、切換爪55で切り換えられて排出ローラ56で排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。または、切換爪55で切り換えられてシート反転装置28に入れられ、そこで反転して再び転写位置へと導かれ、裏面にも画像が記録されて後に排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出される。
【0090】
一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーが除去され、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加されることも可能である。
【0091】
さて、上述したタンデム型の画像形成装置20において、個々の画像形成手段18は、詳しくは、例えば図3に示すように、ドラム状の感光体40のまわりに帯電装置60、現像装置61、1次転写装置62、感光体クリーニング装置63および除電装置64などを備えている。
【0092】
次に、上述のカーボンブラック成膜液を用いた中間転写ベルトの成型例について説明する。
カーボンブラック分散液は下記の各材料を用いて作製した。
カーボンブラック(デグサ社製Special Black4) 12重量部
ポリイミドワニス(宇部興産社製UワニスS) 7重量部
ポリイミドワニス(宇部興産社製UワニスA) 7重量部
溶剤NMP(N−メチルピロリドン) 74重量部
分散剤(ソルビット系活性剤:日本油脂ユニオックスST30E)X重量部
分散は、ボールミル(ジルコニア製メディア:0.03mm径)で72時間分散した。
【0093】
(1)カーボンブラック含有ポリイミド成膜液の作製
(i)計量済みの容器にU−ワニスA、U−ワニスSを所定量投入し、
(ii)NMPを所定量入れ、
(iii)攪拌・脱泡し、
(iv)上記カーボンブラック(CB)分散液を所定量入れ、
(v)攪拌・脱泡し、
(vi)ラボローター(もしくはボールミル)で2hほど回転させ、液をなじませる。
以上の工程i〜viにより、カーボンブラック含有ポリイミド成膜液の作製を行った。
【0094】
(2)分散液及び成膜液の評価
体積平均粒径:(株)日機装製マイクロトラック超微粒子粒度分析計(UPA−EX150)を使用して体積平均粒径を求めた。
【0095】
(3)無端ベルトの成型
カーボンブラック含有ポリイミド成膜液を用いて前述した遠心成型法により無端ベルト(80μmの膜厚、平均表面抵抗値:1011Ω/□)を作製した。
【0096】
(4)無端ベルトの評価
表面抵抗:三菱化学株式会社製ハイレスター(DC500V、10秒値、10ヶ所を測定し最大log値と最小log値の差を算出)を使用して無端ベルトの表面抵抗を求めた。
【0097】
弾性率は、以下の装置を用いて下記条件下に弾性率を求めた。
オートグラフAG−IS(島津製作所)
サンプル形状 : 20mm×120mm
チャック間距離: 50mm
引張り速度 : 10mm/min
【0098】
MITは、以下の装置を用いて下記条件下にMITを求めた。
MIT試験器(東洋精機)
サンプル形状 : 15mm×120mm
曲げ角 : 135°
屈曲速度 : 175回/min
荷重 : 1kgf
【0099】
【表2】

【0100】
実施例2で作製した無端ベルトを図3に示した画像形成装置に装着し、形成するハーフトーン画像濃度がほぼ0.8になるように調整した。得られたハーフトーン画像について、斑点状の濃度ムラであるボソツキ画像の発生の度合いを評価した。得られたハーフトーン画像について、斑点状の濃度ムラであるぼそつき画像の発生の度合いを評価した。
◎:非常に良好
○:良好
△:実使用上問題なし
×:非常に悪い
実施例2で作製した無端ベルトを評価したところ、◎であり、非常に良好の結果を得た。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に係る直接転写方式タンデム型電子写真装置の概略構成断面図である。
【図2】本発明の中間転写体を使用する間接転写方式タンデム型電子写真装置の概略構成断面図である。
【図3】本発明の中間転写体を使用する間接転写方式タンデム型電子写真装置全体の構成断面図である。
【符号の説明】
【0102】
1 感光体
2 転写装置
3 シートベルト
4 中間転写体
5 転写装置
6 給紙装置
7 定着装置
10 中間転写体
14、15、16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
20 タンデム画像形成装置
21 露光装置
22 2次転写装置
23 ローラ間
24 2次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
40 感光体
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46、48 給紙路
47 搬送ローラ
49 レジストローラ
50 給紙ローラ
51 手差しトレイ
52 分離ローラ
53 給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
60 帯電装置
61 現像装置
62 1次転写装置
63 感光体クリーニング装置
64 除電装置
100 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
s シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理されたカーボンブラックと、分散剤と、溶剤とからなるカーボンブラック分散液を溶剤で希釈し、遠心成形法により製造する画像形成装置の中間転写ベルトにおいて、
前記希釈前と希釈後のカーボンブラックの体積平均粒径の差が0.1μm以内であることを特徴とするポリイミド中間転写ベルト。
【請求項2】
前記ポリイミド中間転写ベルトは、MIT試験機で測定した折り曲げ回数が1000回を超え弾性率が4GPa以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド中間転写ベルト。
【請求項3】
少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する帯電装置と、像担持体上に各色に応じた現像材を用いてトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を無端状に走行する中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一時転写し、該中間転写ベルト上の一時転写画像を転写材に一括して二次転写する中間転写装置と、前記転写材上のトナー像を加熱または加圧してトナー像を前記転写材上に定着する定着装置を有する画像形成装置であって、
前記中間転写ベルトが請求項1または2記載の中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−248786(P2007−248786A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71770(P2006−71770)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】