説明

中間転写ベルト及び画像形成装置

【課題】表面が凹凸状態の記録媒体に転写された画像に濃度ムラなどが生じることなく良好な転写性を得ることができる中間転写ベルト、及び、その中間転写ベルトを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】基材である基層11上に形成された弾性層12の表面に粒子13を付着させた、画像形成装置に用いられる中間転写ベルトにおいて、10[℃]15[%]RH環境下でのマイクロゴム硬度が40[°]以下であり、前記粒子13が球形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いられる中間転写ベルト、及び、その中間転写ベルトを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中間転写体として中間転写ベルトを使用した画像形成装置は、カラー画像情報や多色画像情報の複数の色成分画像を順次積層転写してカラープリントを出力するカラー画像形成装置あるいは多色画像形成装置として有用である。この種の画像形成装置としては、従来、ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂などの樹脂で形成した中間転写ベルトを使用した画像形成装置が多く提供されてきた。
【0003】
しかし、樹脂で形成された中間転写ベルトは一般に硬度が高い。このため、例えば、像担持体としての感光体から中間転写ベルトへのトナー画像の一次転写工程、及び、中間転写ベルトから記録媒体へのトナー画像の二次転写工程において、トナー画像(特に文字の中央部)が応力集中を受けて、いわゆる文字の中抜け現象といわれる転写不良が発生し易くなる。
【0004】
上述の文字の中抜け現象を改善する方法の一つとして、中間転写ベルト表面の弾性化が提案されている。つまり、中間転写ベルトの表面が弾性化されることにより、トナー画像の厚みに対応して中間転写ベルトの表面が自在に変形されるので、トナー画像に対する応力集中が低減され前記転写不良が改善される。したがって、このような転写不良を解消するために、中間転写ベルトとして基材上にゴムなどの柔軟な素材からなる弾性層を形成させたものが用いられている。
【0005】
ところが、中間転写ベルト表面が弾性層であることで弾性層の粘着性により、感光体から中間転写ベルト表面に転写されたトナーの最下層部分が中間転写ベルト表面に粘着し、この粘着したトナーが記録媒体へ転写されずに中間転写ベルト表面に残ってしまう。そのため、中間転写ベルトから記録媒体へのトナーの転写効率低下による画像濃度不足や、画像の中抜けによる画像欠陥が発生してしまう。
【0006】
特許文献1に記載の画像形成装置では、基材上に形成された弾性層の表面に粒子を付着させた中間転写ベルトを備えている。中間転写ベルトの弾性層表面に粒子を付着させることで、弾性層表面の露出面積が小さくなり弾性層の粘着性を低下させることができので、転写時に中間転写ベルトに残るトナーが低減し転写効率を向上させることができるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、中間転写ベルトの弾性層の硬さや弾性層に付着させる粒子の形状などによっては、充分な柔軟性が得られなかったり、弾性層の粘着性を充分に低下させることができなかったりして、良好な転写性が得られない虞がある。特に、近年、通常の平滑な用紙だけではなく、表面に凹凸がある凹凸紙が使用されることが増えてきており、中間転写ベルトの弾性層に充分な柔軟性がないと、凹凸紙の凹凸状態に対して弾性層の追従性が悪くなってしまう。すると、中間転写ベルトから凹凸紙に転写された画像の濃度が凸部よりも凹部が薄くなってしまい、凹凸状の濃度ムラが発生してしまうといった問題が生じる。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、表面に凹凸がある記録媒体に転写された画像に濃度ムラなどが生じることなく良好な転写性を得ることができる中間転写ベルト及びその中間転写ベルトを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、基材上に形成された弾性層の表面に粒子を付着させた、画像形成装置に用いられる中間転写ベルトにおいて、前記弾性層の10[℃]15[%]RH環境下でのマイクロゴム硬度が40[°]以下であり、前記粒子が球形状であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の中間転写ベルトにおいて、弾性層側における中間転写ベルト表面の10[℃]15[%]RHでの表面抵抗率と23[℃]50[%]RHでの表面抵抗率との差が1.5桁以内であり、前記弾性層の23[℃]50[%]RHでのマイクロゴム硬度が35[°]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の中間転写ベルトにおいて、水酸化金属化合物及び赤燐化合物を含有し、UL94−V燃焼試験またはUL94−VTM燃焼試験においてV−0もしくはVTM―0を示す難燃性アクリルゴムによって上記弾性層が形成されることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の中間転写ベルトにおいて、上記水酸化金属化合物の添加量がアクリルゴム100部に対して10部〜40部であり、上記赤燐化合物の添加量がアクリルゴム100部に対して10部〜25部であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3または4の中間転写ベルトにおいて、上記水酸化金属化合物が水酸化アルミニウムであることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の中間転写ベルトにおいて、上記粒子がシリコーン球形微粒子であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の中間転写ベルトにおいて、上記粒子の体積平均粒径が0.5[μm]〜5.0[μm]であることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の中間転写ベルトにおいて、シームレスベルトであることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、潜像が形成されトナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、前記中間転写体として、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の中間転写ベルトを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項9の画像形成装置において、複数色のトナーの各色毎に対応させて現像手段及び潜像担持体をそれぞれ複数備えており、各色の前記潜像担持体それぞれを上記中間転写ベルトに沿って配置したフルカラー画像形成装置であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明においては、基材上に形成された弾性層の表面に粒子を付着させた、画像形成装置に用いられる中間転写ベルトにおいて、前記弾性層の10[℃]15[%]RH環境下でのマイクロゴム硬度が40[°]以下であり、前記粒子が球形状であることで、後述する実験で明らかにしたように、表面に凹凸がある記録媒体に中間転写ベルトから転写された画像に濃度ムラなどが生じることなく良好な転写性を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上、本発明によれば、表面に凹凸がある記録媒体に転写された画像に濃度ムラなどが生じることなく良好な転写性を得ることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】中間転写ベルトの層構成を示す模式図。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の要部模式図。
【図3】中間転写ベルトに沿って複数の感光体ドラムが並設された画像形成装置の一構成例を示す要部模式図。
【図4】中間転写ベルト表面を真上から観察した拡大模式図。
【図5】粉体供給装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の画像形成装置は、潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
この場合、前記画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の潜像担持体を直列に配置してなるものが好ましい。
【0014】
本発明における画像形成装置に装備されるベルト構成部に用いられるシームレスベルトについて、要部模式図を参照しながら以下に詳しく説明する。なお、模式図は一例であって本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
図2は、本発明に係る製造方法により得られるシームレスベルトである中間転写ベルトを備えた画像形成装置の要部模式図である。
【0016】
図2に示すベルト部材を含む中間転写ユニット500は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト501などにより構成されている。この中間転写ベルト501の周りには、二次転写ユニット600の二次転写電荷付与手段である二次転写バイアスローラ605、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブレード504、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ505などが対向するように配設されている。
【0017】
また、位置検知用マークが中間転写ベルト501の外周面または内周面に図示しない位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト501の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニングブレード504の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがあるので、その場合には位置検知用マークを中間転写ベルト501の内周面側に設けてもよい。マーク検知用センサとしての光学センサ514は、中間転写ベルト501が架け渡されている一次転写バイアスローラ507とベルト駆動ローラ508との間の位置に設けられる。
【0018】
この中間転写ベルト501は、一次転写電荷付与手段である一次転写バイアスローラ507、ベルト駆動ローラ508、ベルトテンションローラ509、二次転写対向ローラ510、クリーニング対向ローラ511、及びフィードバック電流検知ローラ512に張架されている。各ローラは導電性材料で形成され、一次転写バイアスローラ507以外の各ローラは接地されている。一次転写バイアスローラ507には、定電流または定電圧制御された一次転写電源801により、トナー像の重ね合わせ数に応じて所定の大きさの電流または電圧に制御された転写バイアスが印加されている。
【0019】
中間転写ベルト501は、図示しない駆動モータによって矢印方向に回転駆動されるベルト駆動ローラ508により、矢印方向に駆動される。
【0020】
このベルト部材である中間転写ベルト501は、通常、半導体、又は絶縁体で、単層または多層構造となっているが、本発明においてはシームレスベルトが好ましく用いられ、これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。また、中間転写ベルト501は、感光体ドラム200上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
【0021】
二次転写手段である二次転写バイアスローラ605は、二次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501のベルト外周面に対して、後述する接離手段としての接離機構によって、接離可能に構成されている。二次転写バイアスローラ605は、二次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501との間に被記録媒体である転写紙Pを挟持するように配設されており、定電流制御される二次転写電源802によって所定電流の転写バイアスが印加されている。
【0022】
レジストローラ610は、二次転写バイアスローラ605と二次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501との間に、所定のタイミングで転写材である転写紙Pを送り込む。また、二次転写バイアスローラ605には、クリーニング手段であるクリーニングブレード608が当接している。クリーニングブレード608は、二次転写バイアスローラ605の表面に付着した付着物を除去してクリーニングするものである。
【0023】
このような構成のカラー複写機において、画像形成サイクルが開始されると、感光体ドラム200は、図示しない駆動モータによって矢印で示す半時計方向に回転され、感光体ドラム200上に、Bk(ブラック)トナー像形成、C(シアン)トナー像形成、M(マゼンタ)トナー像形成、Y(イエロー)トナー像形成が行われる。中間転写ベルト501はベルト駆動ローラ508によって矢印で示す時計回りに回転される。この中間転写ベルト501の回転に伴って、一次転写バイアスローラ507に印加される電圧による転写バイアスにより、Bkトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像の一次転写が行われ、最終的にBk、C、M、Yの順に中間転写ベルト501上に各トナー像が重ね合わせて形成される。
【0024】
例えば、上記Bkトナー像形成は次のように行われる。
図2において、帯電チャージャ203は、コロナ放電によって感光体ドラム200の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム200の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、現像装置231Bkの現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム200の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷の無い部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
【0025】
このようにして感光体ドラム200上に形成されたBkトナー像は、感光体ドラム200と接触状態で等速駆動回転している中間転写ベルト501のベルト外周面に一次転写される。この一次転写後の感光体ドラム200の表面に残留している若干の未転写の残留トナーは、感光体ドラム200の再使用に備えて、感光体ドラムクリーニング装置201で清掃される。この感光体ドラム200側では、Bk画像形成工程の次にC画像形成工程に進み、所定のタイミングでカラースキャナによるC画像データの読み取りが始まり、そのC画像データによるレーザ光書き込みによって、感光体ドラム200の表面にC静電潜像を形成する。
【0026】
そして、先のBk静電潜像の後端部が通過した後で、且つC静電潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット230の回転動作が行われ、現像装置231Cが現像位置にセットされ、C静電潜像がCトナーで現像される。以後、C静電潜像領域の現像を続けるが、C静電潜像の後端部が通過した時点で、先の現像装置231Bkの場合と同様にリボルバ現像ユニットの回転動作を行い、次の現像装置231Mを現像位置に移動させる。これもやはり次のY静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。なお、M及びYの画像形成工程については、それぞれのカラー画像データ読み取り、静電潜像形成、現像の動作が上述のBk、Cの工程と同様であるので説明は省略する。
【0027】
このようにして感光体ドラム200上に順次形成されたBk、C、M、Yのトナー像は、中間転写ベルト501上の同一面に順次位置合わせされて一次転写される。これにより、中間転写ベルト501上に最大で4色が重ね合わされたトナー像が形成される。一方、上記画像形成動作が開始される時期に、転写紙Pが転写紙カセット又は手差しトレイなどの給紙部から給送され、レジストローラ610のニップで待機している。
【0028】
そして、二次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501と二次転写バイアスローラ605によりニップが形成された二次転写部に、中間転写ベルト501上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙Pの先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ610が駆動されて、転写紙ガイド板601に沿って転写紙Pが搬送され、転写紙Pとトナー像とのレジスト合わせが行われる。
【0029】
このようにして、転写紙Pが二次転写部を通過すると、二次転写電源802によって二次転写バイアスローラ605に印加された電圧による転写バイアスにより、中間転写ベルト501上の4色重ねトナー像が転写紙P上に一括転写(二次転写)される。この転写紙Pは、転写紙ガイド板601に沿って搬送されて、二次転写部の下流側に配置した除電針からなる転写紙除電チャージャ606との対向部を通過することにより除電された後、ベルト構成部であるベルト搬送装置210により定着装置270に向けて送られる。そして、この転写紙Pは、定着装置270の定着ローラ271、272のニップ部でトナー像が溶融定着された後、図示しない排出ローラで装置本体外に送り出され、図示しないコピートレイに表向きにスタックされる。なお、定着装置270は必要によりベルト構成部を備えた構成とすることもできる。
【0030】
一方、上記ベルト転写後の感光体ドラム200の表面は、感光体ドラムクリーニング装置201でクリーニングされ、上記除電ランプ202で均一に除電される。また、転写紙Pにトナー像を二次転写した後の中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留トナーは、ベルトクリーニングブレード504によってクリーニングされる。ベルトクリーニングブレード504は、図示しないクリーニング部材離接機構によって、中間転写ベルト501のベルト外周面に対して所定のタイミングで接離されるように構成されている。
【0031】
このベルトクリーニングブレード504の中間転写ベルト501の移動方向上流側には、中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離するトナーシール部材502が設けられている。このトナーシール部材502は、上記残留トナーのクリーニング時にベルトクリーニングブレード504から落下した落下トナーを受け止めて、該落下トナーが上記転写紙Pの搬送経路上に飛散するのを防止している。このトナーシール部材502は、上記クリーニング部材離接機構によって、ベルトクリーニングブレード504とともに、中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離される。
【0032】
このようにして残留トナーが除去された中間転写ベルト501のベルト外周面には、潤滑剤塗布ブラシ505により削り取られた潤滑剤506が塗布される。潤滑剤506は、例えば、ステアリン酸亜鉛などの固形体からなり、潤滑剤塗布ブラシ505に接触するように配設されている。また、この中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留電荷は、中間転写ベルト501のベルト外周面に接触した図示しないベルト除電ブラシにより印加される除電バイアスによって除去される。ここで、潤滑剤塗布ブラシ505及び上記ベルト除電ブラシは、それぞれの図示しない接離機構により、所定のタイミングで、中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離されるようになっている。
【0033】
ここで、リピートコピーの時は、カラースキャナの動作及び感光体ドラム200への画像形成は、1枚目の4色目(Y)の画像形成工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(Bk)の画像形成工程に進む。また、中間転写ベルト501は、1枚目の4色重ねトナー像の転写紙への一括転写工程に引き続き、ベルト外周面のベルトクリーニングブレード504でクリーニングされた領域に、2枚目のBkトナー像が一次転写されるようにする。その後は、1枚目と同様動作になる。以上は、4色フルカラーコピーを得るコピーモードであったが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合は、指定された色と回数の分について、上記同様の動作を行うことになる。また、単色コピーモードの場合は、所定枚数が終了するまでの間、リボルバ現像ユニット230の所定色の現像装置のみを現像動作状態にし、ベルトクリーニングブレード504を中間転写ベルト501に接触させたままの状態にしてコピー動作を行う。
【0034】
なお、これまで感光体ドラムを一つだけ備えた複写機について説明したが、本発明は、例えば、図3に示すような、複数の感光体ドラムをシームレスベルトからなる一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置にも適用できる。
【0035】
図3は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム21Bk、21Y、21M、21Cを中間転写ベルトに沿って配置した4ドラム型のフルカラープリンタの一構成例を示したものである。
【0036】
図3において、プリンタ本体10は電子写真方式によるカラー画像形成を行うための、画像書込部17、画像形成部18、給紙部19、から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用のブラック(Bk)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部17に送信する。画像書込部17は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部18の各色毎に設けられた像坦持体である感光体ドラム21Bk、21M、21Y、21Cに各色信号に応じた画像書込を行う。
【0037】
画像形成部18はブラック(Bk)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体ドラム21Bk、21M、21Y、21Cを備えている。この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体ドラム21Bk、21M、21Y、21Cの周囲には、帯電装置、画像書込部17からのレーザ光の露光部、ブラック、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置20Bk、20M、20Y、20C、一次転写手段としての一次転写バイアスローラ23Bk、23M、23Y、23C、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置20Bk、20M、20Y、20Cには、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。ベルト構成部である中間転写ベルト22は、各感光体ドラム21Bk、21M、21Y、21Cと、各一次転写バイアスローラ23Bk、23M、23Y、23Cとの間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
【0038】
一方、転写紙Pは、給紙部19から給紙された後、レジストローラ16を介して、ベルト構成部である転写搬送ベルト50に担持される。そして、中間転写ベルト22と転写搬送ベルト50とが接触するところで、中間転写ベルト22上に転写されたトナー像が、二次転写手段としての二次転写バイアスローラ60により二次転写(一括転写)される。これにより、転写紙P上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙Pは、転写搬送ベルト50により定着装置15に搬送され、この定着装置15により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
【0039】
なお、上記二次転写時に転写されずに中間転写ベルト22上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング部材25によって中間転写ベルト22から除去される。このベルトクリーニング部材25の下流側には、潤滑剤塗布装置27が配設されている。この潤滑剤塗布装置27は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト22に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。前記導電性ブラシは、中間転写ベルト22に常時接触して、中間転写ベルト22に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト22のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
【0040】
画像形成装置においてはいくつかの部材にシームレスベルトが用いられるが、電気的特性を要求される重要な部材の一つとして中間転写体である中間転写ベルトがある。以下、本発明の中間転写ベルトについて説明する。
【0041】
本発明のシームレスベルトは、中間転写ベルト方式の画像形成装置、例えば、像担持体である感光体ドラム上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、その一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する方式の画像形成装置における中間転写ベルトとして好適に装備されるものである。
【0042】
図1には、本発明に好適に用いられる中間転写ベルトの層構成を示す。構成としては、比較的屈曲性が得られる剛性な基層11の上に柔軟な弾性層12が積層されており、その最表面には球形微粒子13が弾性層12上に面方向に独立して配列(埋没)され、一様な凹凸形状をして積層されている。本発明における球形微粒子13が単一の状態では、粒子同士の層厚方向の重なり合いや、弾性層12中への球形微粒子13の完全埋没が殆どない。
【0043】
<基層>
まず、中間転写ベルトの基材である基層11について説明する。この構成材料としては、樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(又は、添加材)、いわゆる電気抵抗調整材を含有してなるものが挙げられる。このような樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、PVDF、ETFEなどのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましく、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
【0044】
電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
【0045】
なお、本発明における電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。また、本発明のシームレスベルトの製造方法における少なくとも樹脂成分を含む塗工液には必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加材を含有してもよい。
【0046】
中間転写ベルトとして好適に装備されるシームレスベルトに使用する場合、抵抗値として、好ましくは表面抵抗率で1×10[Ω/□]〜1×1013[Ω/□]、体積抵抗率で1×10[Ω・cm]〜1×1011[Ω・cm]になる様なカーボンブラック量を含有させるが、機械強度の面から、膜が脆く割れやすくならない程度の添加量で達成できるものを選択する。つまり、中間転写ベルトとする場合には、前記樹脂成分(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体)と電気抵抗調整材の配合を適正に調整した塗工液を用いて、電気特性(表面抵抗率及び体積抵抗率)と機械強度のバランスが取れたシームレスベルトを製造して用いるのが好ましい。
【0047】
基層11の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30[μm]〜150[μm]が好ましく、40[μm]〜120[μm]がより好ましく、50[μm]〜80[μm]が特に好ましい。基層11の厚みが、30[μm]未満であると亀裂によりベルトが裂けやすくなり、150[μm]を超えると曲げによってベルトが割れることがあることがある。一方、基層11の厚みが50[μm]〜80[μm]の範囲であると耐久性の点で有利である。
【0048】
基層11の厚みを調整する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、接触式や渦電流式の膜厚計での計測や膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定する方法が挙げられる。
【0049】
本発明における電気抵抗調整材の含有量としては、カーボンブラックの場合には、塗工液中の全固形分の10[wt%]〜25[wt%]、好ましくは15[wt%]〜20[wt%]である。また、金属酸化物の場合の含有量としては、塗工液中の全固形分の1[wt%]〜50[wt%]、好ましくは10[wt%]〜30[wt%]である。含有量が前記それぞれの電気抵抗調整材の範囲よりも少ないと抵抗値の均一性が得られにくくなり、任意の電位に対する抵抗値の変動が大きくなる。また含有量が前記したそれぞれの範囲よりも多いと前記中間転写ベルトの機械強度が低下し、実使用上好ましくない。
【0050】
本発明におけるポリイミド、ポリアミドイミドとしては、東レデュポン、宇部興産、新日本理化、JSR、ユニチカ、アイ・エス・ティー、日立化成工業、東洋紡績、荒川化学等のメーカーからの一般汎用品を入手し使用することができる。
【0051】
<弾性層>
次に、基層11上に積層する弾性層12について説明する。構成する材料としては、耐オゾン性、柔軟性、球形微粒子13との接着性、難燃性付与、耐環境安定性の面からアクリルゴムが最も好ましい。
【0052】
本発明の弾性層12であるアクリルゴムは現在上市されているもので良く、特に限定されるものではない。しかし、アクリルゴムの各種架橋系(エポキシ基、活性塩素基、カルボキシル基)の中ではカルボキシル基架橋系がゴム物性(特に圧縮永久歪み)及び加工性が優れているので、カルボキシル基架橋系を選択することが好ましい。
【0053】
カルボキシル基架橋系のアクリルゴムに用いる架橋剤は、アミン化合物が好ましく、多価アミン化合物が最も好ましい。このようなアミン化合物として、具体的には脂肪族多価アミン架橋剤、芳香族多価アミン架橋剤などが挙げられる。脂肪族多価アミン架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメイト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。
【0054】
芳香族多価アミン架橋剤としては、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミン、1,3,5−ベンゼントリアミノメチルなどが挙げられる。
【0055】
上記架橋剤の配合量は、アクリルゴム100重量部に対し、好ましくは0.05重量部〜20重量部、より好ましくは0.1重量部〜5重量部である。架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋が十分に行われないため、架橋物の形状維持が困難になる。一方、含有量が多すぎると、架橋物が硬くなりすぎ、架橋ゴムとしての弾性などが損なわれる。
【0056】
本発明のアクリルゴムからなる弾性層12においては、さらに架橋促進剤を配合して上記架橋剤に組み合わせて用いてもよい。架橋促進剤も限定はないが、前記多価アミン架橋剤と組み合わせて用いることができる架橋促進剤であることが好ましい。このような架橋促進剤としては、例えば、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、第三級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。グアニジン化合物としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジオルトトリルグアニジンなどが挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。第四級オニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリ―n−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。
【0057】
多価第三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ‐ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)などが挙げられる。
【0058】
第三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。
【0059】
弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、炭酸塩などの無機弱酸塩あるいはステアリン酸塩、ラウリル酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。
【0060】
架橋促進剤の使用量は、アクリルゴム100重量部あたり、好ましくは0.1重量部〜20重量部、より好ましくは0.3重量部〜10重量部である。架橋促進剤が多すぎると、架橋時に架橋速度が早くなりすぎたり、架橋物表面ヘの架橋促進剤のブルームが生じたり、架橋物が硬くなりすぎたりする場合がある。一方、架橋促進剤が少なすぎると、架橋物の引張強さが著しく低下したり、熱負荷後の伸び変化または引張強さ変化が大きすぎたりする場合がある。
【0061】
アクリルゴムの調製にあたっては、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法が採用できる。配合順序は特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応しやすい成分あるいは分解しやすい成分として、例えば架橋剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合すればよい。
【0062】
アクリルゴムは、加熱することにより架橋物とすることができる。加熱温度は、好ましくは130[℃]〜220[℃]、より好ましくは140[℃]〜200[℃]であり、架橋時間は好ましくは30秒〜5時間である。
【0063】
加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。また、一度架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、後架橋を行ってもよい。後架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1時間〜48時間行う。後架橋を行う際の加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。
【0064】
また、弾性層12の柔軟性は10[℃]15[%]RH環境下でのマイクロゴム硬度値が40[°]以下であることが好ましい。マルテンス硬度、ビッカース硬度など、いわゆる微小硬度での計測は、測定部位のバルク方向の浅い領域、すなわち、ごく表面近傍の硬度しか測定していなので中間転写ベルト全体としての変形性能は評価できない。そのため、例えば中間転写ベルト全体としての変形性能が低い構成のものに、最表面に柔軟な材料を持ってきた場合は微小硬度値は低くなってしまう。このようなベルトは変形性能が低い、すなわち、凹凸紙への追従性が悪いので、結果として昨今求められる凹凸紙への転写性能が不十分なものとなってしまう。そのため、中間転写ベルト全体の変形性能が評価できるマイクロゴム硬度を測定することが好ましい。
【0065】
上記マイクロゴム硬度は市販のマイクロゴム硬度計を使用することができるが、例えば高分子計器株式会社の「マイクロゴム硬度計MD−1」を使用することにより求めることができる。
【0066】
弾性層12であるアクリルゴムの膜厚は300[μm]〜1000[μm]が好ましい。膜厚が300[μm]以下では表面凹凸がある紙種に対する画像品質は不充分になってしまい、膜厚が1000[μm]以上ではゴムの収縮が強くなるために、ベルト端部の反りが大きくなってしまったり、膜の重さが重くなりたわみやすくなり走行性が不安定になったり、中間転写ベルトを張架させるためのローラ曲率部での屈曲により亀裂が発生しやすくなったりするため好ましくない。なお、前記厚みの測定方法としては、断面を走査型顕微鏡(SEM)で測定することができる
【0067】
弾性層12であるアクリルゴムへの難燃性付与には環境負荷が少ないこと、安価であること、柔軟性(変形性能)を損ないにくいと言う点から、赤燐と水酸化金属化合物を使用することが好ましい。水酸化金属化合物としては、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムが挙げられる。この中でも低温低湿、高温高湿などで硬度、抵抗の環境変動が小さな水酸化アルミニウムがより好ましい。水酸化金属化合物だけで難燃性を得るには、通常ゴムに対して100部以上の添加が必要であるため柔軟性が悪化する。そこで赤燐と併用することにより、その配合量を抑えつつVTM−0を達成しながら高い柔軟性とすることができる。
【0068】
具体的には、水酸化金属化合物の添加量をゴム100部に対して10部〜40部添加、及び、赤燐の添加量をゴム100部に対して10部〜25部添加するのが好ましい。上記の添加量以下では難燃性が得られず、それ以上の添加量ではマイクロゴム硬度が40[°]よりも大きくなってしまう。微小硬度では低温低湿、高温高湿などの環境変化でのゴム柔軟性の変化が計測しきれないのでマイクロゴム硬度での評価が必要である。
【0069】
上記選択した材料に、電気特性を調整するための抵抗調整剤、必要に応じて、酸化防止剤、補強剤、充填剤、加硫促進剤などの材料を適宜含有させた配合を行う。
【0070】
中間転写ベルトに必要な抵抗率制御はアクリルゴム単体では抵抗率が高いために導電剤の添加が必要となる。抵抗率の制御としてはカーボンやイオン導電剤の添加が可能であるが、本発明ではゴム硬度が重要となるので少量添加で効果がありゴム硬度に影響を与えないイオン導電剤の使用が好ましい。
【0071】
具体的には種々の過塩素酸塩やイオン性液体をゴム100部に対して0.01部〜3部添加するのが好ましい。イオン導電剤の添加量が0.01部以下では抵抗率を下げる効果が得られず、3部以上の添加量ではベルト表面へ導電剤がブルーム又はブリードする可能性が高くなってしまう。弾性層12の抵抗値としては、表面抵抗率で1×10[Ω/□]〜1×1013[Ω/□]、体積抵抗率で1×10[Ω・cm]〜1×1012[Ω・cm]となるように調整されることが好ましい。
【0072】
<球形微粒子>
次に、弾性層12の上に付着している球形微粒子13について説明する。
ここで、球形微粒子とは、平均粒径が100[μm]以下で真球状の形状をしており、有機溶剤に不溶で3[%]熱分解温度が200[℃]以上である微粒子のことをいう。
【0073】
球形微粒子13の材料としては特に問わないが、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、などの樹脂を主成分としてなる球形粒子が挙げられる。また、これらの樹脂材料からなる粒子の表面を異種材料で表面処理を施したものでも良い。
【0074】
また、ここで言う球形微粒子13の中には、ゴム材料も含む。ゴム材料で作製された球状粒子の表面を硬い樹脂をコートしたような構成のものも適用可能である。また中空であったり多孔質であったりしても良い。
【0075】
これらの樹脂中で、滑性を有し、トナーに対しての離型性、耐摩耗性を付与できる機能の高いものとして、シリコーン球形微粒子が最も好ましい。これら樹脂を用い、重合法などにより球状の形状に作製された粒子であることが好ましく、本発明においては、真球に近いものほど好ましい。また、その粒径は、体積平均粒径が0.5[μm]〜5.0[μm]であり、単分散粒子であることが望ましい。
【0076】
ここで言う単分散粒子とは、単一粒子径の粒子という意味ではなく、粒度分布が極めてシャープなもののことを指す。具体的には、±(平均粒径×0.5)[μm]以下の分布幅のもので良い。体積平均粒径が0.5[μm]以下の場合、球形微粒子13による転写性能の効果が十分に得られず、一方、5.0[μm]以上では、表面粗さが大きくなり、粒子間の隙間が大きくなるため、トナーがうまく転写できなくなったりクリーニング不良となったりする不具合が生じる。
【0077】
さらには、球形微粒子13は絶縁性が高いものが多いため、粒径が大きすぎると球形微粒子13による帯電電位の残留により、連続画像出力時にこの電位の蓄積による画像乱れが発生する不具合も生じる。なお、球形微粒子13を弾性層12の表面に塗布するタイミングは特に限定されず、ゴムの加硫前、加硫後何れでも可能である。
【0078】
球形微粒子13としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、シリコーン粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、商品名「トスパール120」、商品名「トスパール145」、商品名「トスパール2000B」)、アクリル粒子(積水化成品工業、商品名「テクポリマーMBX−SS」)などが挙げられる。
【0079】
<中間転写ベルトの表面状態>
次に、本発明における中間転写ベルトの表面状態について説明する。
図4に、中間転写ベルト表面を真上から観察した拡大模式図を示す。このように、均一な粒径の球形微粒子13が独立して整然と配列する形態を採る。球形微粒子同士の重なり合いは殆ど観測されない。この表面を構成する各球形微粒子13の樹脂層面における断面の径も均一なほうが好ましく、具体的には、±(平均粒径×0.5)[μm]以下の分布幅となることが好ましい。
【0080】
これを形成するためにできるだけ粒径の揃った球形微粒子13を用いることが好ましいが、これを用いなくてもある粒径のものが選択的に表面に形成できる方法により表面を形成して前記粒径分布幅となる構成としても良い。
【0081】
この球形微粒子13による弾性層表面の占有面積率としては60[%]以上が好ましい。球形微粒子13による弾性層表面の占有面積率が60[%]以下では、弾性層表面の露出部が多すぎてトナーが弾性層12と接触し良好な転写性が得られなくなる。
【0082】
本発明においては、球形微粒子13が弾性層12中へ一部埋設された形態を取るが、その埋没率は50[%]を超え100[%]に満たないもの(50[%]〜100[%])が好ましく、51[%]〜90[%]であることがより好ましい。埋没率が50[%]以下では、画像形成装置での長期使用において球形微粒子13の脱離が起きやすく耐久性に劣る。一方、埋没率が100[%]では、球形微粒子13による転写性への効果が低減し好ましくない。
【0083】
なお、埋没率とは、球形微粒子13の深さ方向の径の弾性層12に埋没している率のことであるが、ここで言う埋没率は、すべての球形微粒子13が50[%]を超え100[%]に満たないという意味ではなく、ある視野で見たときの平均埋没率で表わしたときの数値が50[%]を超え100[%]に満たなければ良い。しかし、埋没率50[%]のときは、電子顕微鏡による断面観測において、弾性層12中へ完全埋没している球形微粒子13が殆ど観測されない(弾性層12中に完全に埋没している球形微粒子13の個数[%]は球形微粒子13全体のうち5[%]以下)。
【0084】
次に、上記本発明の構成の中間転写ベルトを作製する方法についての一例を説明する。
【0085】
まず、基層11の作製方法について説明する。
本発明の少なくとも樹脂成分を含む塗工液、すなわち前記ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いて基層11を製造する方法について説明する。
【0086】
円筒状の型、例えば、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、少なくとも樹脂成分を含む塗工液(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液)をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。
【0087】
その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80[℃]〜150[℃]の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。
【0088】
自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、最終的に250[℃]〜450[℃]程度の高温加熱処理(焼成)し、十分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化又はポリアミドイミド化を行う。充分に冷却後、引き続き、弾性層12を基層11上に積層する。
【0089】
弾性層12は、ゴムを有機溶剤に溶解させたゴム塗料を用い、基層11上に塗布形成し、その後、溶剤を乾燥、加硫することで製造することができる。塗布成形法としては、基層11と同じく、螺旋塗工、ダイ塗工、ロール塗工などの既存の塗工法が適用できるが、凹凸転写性を良くする為には弾性層12の厚みを厚くすることが必要であり、厚膜を形成する塗工法としては、ダイ塗工、及び螺旋塗工が優れている。ここでは、螺旋塗工について説明する。基層11を周方向に回転させながら、丸型、又は広幅のノズルによりゴム塗料を連続的に供給しながら、ノズルを基層11の軸方向に移動させて、基層11上に塗料を螺旋状に塗工する。基層11上に螺旋状に塗工された塗料は、所定の回転速度、乾燥温度を維持させることでレベリングされながら乾燥される。その後、さらに所定の加硫温度で加硫(架橋)させて形成される。
【0090】
<球形微粒子層の形成方法>
加硫された弾性層12は、その後充分に冷却し、引き続いて球形微粒子13を弾性層12上へ塗布することで球形微粒子層を形成させて所望のシームレスベルトである中間転写ベルトを得る。
【0091】
球形微粒子層の形成方法としては、図5に示すように、円筒状支持体である金型30の周面に支持された、基層11上に弾性層12が積層されたベルト32の表面、すなわち、弾性層12の表面に対向させて、粉体供給装置31と押し当て部材33とを設置し、回転させながら粉体供給装置31から球形微粒子13を弾性層12の表面に均一にまぶし、弾性層12の表面にまぶされた球形微粒子13を押し当て部材33により一定圧力にて押し当てる。この押し当て部材33により、弾性層12へ球形微粒子13を埋設させつつ、余剰な球形微粒子13を取り除く。本発明では、特に単分散の球形微粒子13を用いるために、このような押し当て部材33でのならし工程のみの簡単な工程で、均一な単一粒子層を弾性層12の表面に形成することが可能である。球形微粒子13の弾性層12中への埋没率の調整は、ここでの押し当て部材33の押し当て時間の長さにより調整する。
【0092】
なお、球形微粒子13の弾性層12中への埋没率の調整は、他の方法によっても可能であるかも知れないが、例えば、押し当て部材33の押圧力を加減することにより、容易に果たすことができる。例えば、流延塗工液の粘度、固形分、溶剤の使用量、粒子材質等にもよるが、目安として、流延塗工液の粘度100[mPa・s]〜100000[mPa・s]において、押圧力を、1[mN/cm]〜1000[mN/cm]の範囲とすることにより、前述した50[%]〜100[%]の埋没率を比較的容易に達成することができる。
【0093】
球形微粒子13を均一に弾性層12の表面に並べたのち、回転させながら所定温度、所定時間で加熱することにより硬化させ、球形微粒子13を埋設させた弾性層12を形成する。充分に冷却後、金型から基層11ごと脱離させ、所望のシームレスベルトである中間転写ベルトを得る。
【0094】
<中間転写ベルトにおける球形微粒子の埋没率を測定する方法>
中間転写ベルトにおける球形微粒子13の埋没率を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中間転写ベルトの厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、測定することができる。
【0095】
こうして作製された中間転写ベルトの抵抗は、カーボンブラック、イオン導電剤の量を可変することにより調整される。この際、球形微粒子13の大きさや占有面積率によって抵抗が変わりやすいので注意する。抵抗の測定は市販の計測器を使用できるが、たとえばダイアインスツルメンツ社のハイレスタを使用することにより測定することができる。
【0096】
[実験]
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものも本件の発明の範囲内である。なお、各実施例及び各比較例の物性評価については、以下の条件で評価を行った。
【0097】
・マイクロゴム硬度:MD−1(高分子計器社)
・難燃性:試験片はポリイミド基層に球形微粒子13が付着した弾性層12を積層したものを使用し、ASTM D3801(もしくはASTM D4804)に準拠して測定した。
・微小硬度:フィッシャーインスツルメンツ社のFisherScopeHM2000を用い、押し込み深さ10μm時のマルテンス硬度を測定した。
・表面抵抗率:ダイアインスツルメンツ社のハイレスタを使い、500V10秒印加時の値を抵抗値として採用した。
・凹凸紙の画像品質ランク:作製した中間転写ベルトを図2の画像形成装置に搭載し、凹凸紙(レザック260[kg]紙)への画像品質(シアン、マゼンタの2色ブルーベタのトナー転写性)を目視によるランク判定)で行った。
・測定環境:難燃性試験以外は10[℃]15[%]RH、23[℃]50[%]RHの2種類の環境下で評価を行った。
【0098】
[実施例1、実施例2、実施例3、実施例4]
下記により基層用塗工液を調製し、この塗工液を用いてシームレスベルト基層を製造した。
【0099】
<基層用塗工液の調製>
先ず、ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の16.7[重量%]になるように調合し、よく攪拌混合して塗工液を調製した。
【0100】
<ポリイミド基層ベルトの作製>
外径340[mm]、長さ360[mm]の外面をブラスト処理にて粗面化した金属製の円筒状支持体を型として用い、ロールコート塗工装置に取り付けた。続いて、基層用塗工液Aをパンに流し込み、塗布ローラの回転速度40[mm/sec]で塗料を汲み上げ、規制ローラと塗布ローラとのギャップを0.6[mm]として、塗布ローラ上の塗料厚みを制御した。
【0101】
その後、円筒状支持体の回転速度を35[mm/sec]に制御して塗布ローラに近づけ、塗布ローラとのギャップを0.4[mm]として塗布ローラ上の塗料を均一に円筒状支持体上に転写塗布した後、回転を維持しながら熱風循環乾燥機に投入して、110[℃]まで徐々に昇温して30分加熱、さらに昇温して200[℃]で30分加熱し、回転を停止した。その後、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320[℃]まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。充分に冷却し、ポリイミド基層ベルトAを得た。
【0102】
<ポリイミド基層ベルトへの弾性層の作製>
表1に示す各成分を同表に示す割合で配合し混練することでゴム組成物を作成した。
【0103】
【表1】

【0104】
アクリルゴム:日本ゼオン株式会社製 二ポールAR12
ステアリン酸:日油株式会社製 ビーズステアリン酸つばき
赤リン:燐化学工業株式会社製 ノーバエクセル140F
水酸化アルミニウム:昭和電工株式会社製 ハイジライトH42M
水酸化マグネシウム:協和化学工業株式会社製 キスマ5A
架橋剤:デュポン ダウ エラストマー ジャパン製 Diak.No1(ヘキサメチレンジアミンカーバメイト)
架橋促進剤:Safic alcan社製 VULCOFAC ACT55(70%1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7と二塩基酸との塩、30%アモルファスシリカ)
導電剤:日本カーリット株式会社製 QAP−01(過塩素酸テトラブチルアンモニウム)
【0105】
次に、このようにして得られたゴム組成物を有機溶剤(MIBK:メチルイソブチルケトン)に溶かして固形分35[wt%]のゴム溶液を作製した。この作製したゴム溶液を先に作製したポリイミド基層が形成された円筒状支持体を回転させながらポリイミド基層上に、ノズルよりゴム塗料を連続的に吐出しながら支持体の軸方法に移動させ螺旋状に塗工した。塗布量としては最終的な膜厚が500[μm]になるような液量の条件とした。その後、ゴム塗料が塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4[℃/分]で90[℃]まで昇温して30分加熱した。
【0106】
その後、乾燥機から取り出して冷却し、この表面に、図5の方法を用いて、球形微粒子13として、シリコーン球形微粒子(トスパール120(体積平均粒径2.0[μm]品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)をまんべんなく表面にまぶし、ポリウレタンゴムブレードの押し付け部材を、押圧力100[mN/cm]で押し当てて弾性層12に固定化した。続いて、再び熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4[℃/分]で170[℃]まで昇温して60分加熱処理し、中間転写ベルトA(実施例1)、中間転写ベルトB(実施例2)、中間転写ベルトC(実施例3)、中間転写ベルトD(実施例4)を得た。
【0107】
<実施例5>
実施例1において球形微粒子13をシリコーン球形微粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、商品名「トスパール120」(体積平均粒径2.0[μm]品))をシリコーン粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、商品名「トスパール145」(体積平均粒径4.7[μm]品))にしたこと以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトEを得た。
【0108】
<実施例6>
実施例1において、シリコーン球形微粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、商品名「トスパール120」(体積平均粒径2.0[μm]品))をシリコーン粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、商品名「トスパール2000B」(体積平均粒子6.0[μm]品))にしたこと以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトFを得た。
【0109】
<実施例7>
実施例1において、シリコーン球形粒子をアクリル球形微粒子(積水化成品工業、商品名「テクポリマーMBX−SS」(体積平均粒径1[μm]品))にしたこと以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトGを得た。
【0110】
<比較例1、比較例2>
実施例1〜4の表1に示す各成分を表2に示す割合に変更し、配合混練することでゴム組成物を作成した。
【0111】
【表2】

【0112】
その後は実施例1〜4と同様にして、中間転写ベルトH(比較例1)、中間転写ベルトI(比較例2)を得た。
【0113】
<比較例3、比較例4、比較例5>
実施例1〜4の表1に示す各成分を表3に示す割合に変更し、配合混練することでゴム組成物を作成した。
【0114】
【表3】

【0115】
その後は実施例1〜4と同様にして、中間転写ベルトJ(比較例3)、中間転写ベルトK(比較例4)、中間転写ベルトL(比較例5)を得た。
【0116】
<比較例6>
実施例1において、球形微粒子13をシリコーン不定形微粒子(トスパール240(体積平均粒径2.0[μm]品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)に変えた以外は同じとし、中間転写ベルトMを得た。
【0117】
<比較例7>
実施例1のアクリルゴム弾性層に替えて、以下に示すようなポリウレタンゴム弾性層とした。
【0118】
まずDIC社製ウレタン樹脂(ウレハイパー)の主剤RUP−1627(ブロック型イソシアネート)100部に対して、実施例記載の水酸化アルミニウム70部及び赤リン20部を添加し、粘度調整用の溶媒としてDMF(ジメチルホルムアミド)を20部加え、良く攪拌させて添加剤を分散させた。次いで、硬化剤CLH−5(アミン硬化剤)10部を添加し攪拌混合し、ウレタンゴム塗工液を作製した。
【0119】
このウレタンゴム塗工液を先に作製したポリイミド基層が形成された円筒状支持体を回転させながらポリイミド基層上に、ノズルより連続的に吐出しながら支持体の軸方法に移動させ螺旋状に塗工した。塗布量としては最終的な膜厚が500[μm]になるような液量の条件とした。その後、金型をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4[℃/分]で150[℃]まで昇温して60分加熱処理した。その後、乾燥機から取り出して冷却し、この表面に、図5に示した粉体供給装置31と押し当て部材33とを用いて、球形微粒子13として、シリコーン球形微粒子(トスパール120(体積平均粒径2.0[μm]品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)をまんべんなく表面にまぶし、ポリウレタンゴムブレードの押し付け部材33を、押圧力100[mN/cm]で押し当てて弾性層12に固定化し、中間転写ベルトNを作製した。
【0120】
上記各実施例及び各比較例の中間転写ベルトA〜Nを、図2に示した画像形成装置に搭載し、10[℃]15[%]RH(以下、LL)、23[℃]50[%]RH(以下、MM)の2種類の環境下で凹凸紙(レザック260[kg]紙)への画像品質(シアン、マゼンタの2色ブルーベタのトナー転写性)を目視によるランク判定で行った。判定は「◎」が非常に良い、「○」が実使用可能レベル、「△」が凹部の濃度が薄く不充分、「×」は使用不可とした。また各実施例及び各比較例の中間転写ベルトのマイクロゴム硬度、微小硬度、表面抵抗率、難燃性を評価した。その結果を表4及び表5に示す。なお、表4と表5とは難燃性の評価方法、すなわち、表4ではUL94−VTM燃焼試験で難燃性を評価し、表5ではUL94−V燃焼試験で難燃性を評価した点以外は同様のものである。
【0121】
【表4】

【0122】
【表5】

【0123】
以上の結果から、中間転写ベルトの構成を実施例1から実施例7の構成とすることにより、表面凹凸がある紙種への転写性が優れており、温度、湿度などの環境の変動にも転写性の劣化も無く、難燃性を兼ね備えた中間転写ベルト、及び、その中間転写ベルトを備えた画像形成装置、特にフルカラー画像形成に好適な中間転写方式の画像形成装置を提供することができるのがわかる。
【0124】
以上、本実施形態によれば、基材である基層11上に形成された弾性層12の表面に粒子である球形微粒子13を付着させた、画像形成装置に用いられる中間転写ベルトにおいて、弾性層12の10[℃]15[%]RH環境下でのマイクロゴム硬度が40[°]以下であり、球形微粒子13が球形状(真球状)であることで、上述した実験で明らかにしたように、表面が凹凸状態の記録媒体である凹凸紙(レザック260[kg]紙)に中間転写ベルトから転写された画像に濃度ムラなどが生じることなく良好な転写性を得ることができる。
また、本実施形態によれば、弾性層側における中間転写ベルト表面の10[℃]15[%]RHでの表面抵抗率と23[℃]50[%]RHでの表面抵抗率との差が1.5桁以内であり、弾性層12の23[℃]50[%]RHでのマイクロゴム硬度が35[°]以下であることで、温度や湿度などの環境の変動による転写性の劣化も無く、良好な転写性を得ることができる。
また、本実施形態によれば、水酸化金属化合物及び赤燐化合物を含有し、UL94−V燃焼試験またはUL94−VTM燃焼試験においてV−0もしくはVTM―0を示す難燃性アクリルゴムによって弾性層12が形成されることで、弾性層12であるアクリルゴムへの難燃性付与には環境負荷が少ないこと、安価であること、柔軟性(変形性能)を損ないにくいと言う点から、水酸化金属化合物と赤燐とを使用することが好ましい。
また、本実施形態によれば、上記水酸化金属化合物の添加量がアクリルゴム100部に対して10部〜40部であり、上記赤燐化合物の添加量がアクリルゴム100部に対して10部〜25部であること、前記添加量以下では難燃性が得られず、それ以上の添加量ではマイクロゴム硬度が40[°]よりも大きくなってしまうので、弾性層12の柔軟性を維持しつつ難燃性を兼ね備えた中間転写ベルトを提供することができる。
また、本実施形態によれば、上記水酸化金属化合物が水酸化アルミニウムであることで、低温低湿環境や高温高湿環境などで硬度や抵抗の環境変動が小さいので好ましい。
また、本実施形態によれば、球形微粒子13がシリコーン球形微粒子であることで、滑性を有し、トナーに対しての離型性、耐摩耗性を付与できる機能が高いので好ましい。
また、本実施形態によれば、球形微粒子13の体積平均粒径が0.5[μm]〜5.0[μm]であるのが好ましい。球形微粒子13の体積平均粒径が0.5[μm]以下の場合には、球形微粒子13による転写性能の効果が十分に得られず、球形微粒子13の体積平均粒径が5.0[μm]以上では、表面粗さが大きくなり、球形微粒子間の隙間が大きくなるため、トナーがうまく転写できなくなったりクリーニング不良となったりする不具合が生じる。
また、本実施形態によれば、中間転写ベルトがシームレスベルトであることで、耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。
また、本実施形態によれば、潜像が形成されトナー像を担持可能な像担持体である感光体ドラムと、感光体ドラム上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段である現像装置と、現像装置により現像されたトナー像が一次転写される中間転写体と、中間転写体上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、前記中間転写体として、本発明の中間転写ベルトを用いたことで、上述した実験で明らかにしたように、凹凸紙においても画像に濃度ムラなどが生じることなく、良好な画像形成を行うことができる。特に、複数色のトナーの各色毎に対応させて現像装置及び感光体ドラムをそれぞれ複数備えており、各色の感光体ドラムそれぞれを中間転写ベルトに沿って配置した中間転写方式のフルカラー画像形成装置に、本発明の中間転写ベルトを用いることが好適である。
【符号の説明】
【0125】
10 プリンタ本体
11 基層
12 弾性層
13 球形微粒子
15 定着装置
16 レジストローラ
17 画像書込部
18 画像形成部
19 給紙部
20 現像装置
21 感光体ドラム
22 中間転写ベルト
23 一次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング部材
27 潤滑剤塗布装置
30 金型
31 粉体供給装置
32 ベルト
33 押し当て部材
50 転写搬送ベルト
60 二次転写バイアスローラ
200 感光体ドラム
201 感光体ドラムクリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231 現像装置
270 定着装置
271 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
502 トナーシール部材
504 ベルトクリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 一次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 二次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバック電流検知ローラ
514 光学センサ
600 二次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 二次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 一次転写電源
802 二次転写電源
【先行技術文献】
【特許文献】
【0126】
【特許文献1】特開平7−234592号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に形成された弾性層の表面に粒子を付着させた、画像形成装置に用いられる中間転写ベルトにおいて、
前記弾性層の10[℃]15[%]RH環境下でのマイクロゴム硬度が40[°]以下であり、
前記粒子が球形状であることを特徴とする中間転写ベルト。
【請求項2】
請求項1の中間転写ベルトにおいて、
弾性層側における中間転写ベルト表面の10[℃]15[%]RHでの表面抵抗率と23[℃]50[%]RHでの表面抵抗率との差が1.5桁以内であり、
前記弾性層の23[℃]50[%]RHでのマイクロゴム硬度が35[°]以下であることを特徴とする中間転写ベルト。
【請求項3】
請求項1または2の中間転写ベルトにおいて、
水酸化金属化合物及び赤燐化合物を含有し、UL94−V燃焼試験またはUL94−VTM燃焼試験においてV−0もしくはVTM―0を示す難燃性アクリルゴムによって上記弾性層が形成されることを特徴とする中間転写ベルト。
【請求項4】
請求項3の中間転写ベルトにおいて、
上記水酸化金属化合物の添加量がアクリルゴム100部に対して10部〜40部であり、上記赤燐化合物の添加量がアクリルゴム100部に対して10部〜25部であることを特徴とする中間転写ベルト。
【請求項5】
請求項3または4の中間転写ベルトにおいて、
上記水酸化金属化合物が水酸化アルミニウムであることを特徴とする中間転写ベルト。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の中間転写ベルトにおいて、
上記粒子がシリコーン球形微粒子であることを特徴とする中間転写ベルト。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6の中間転写ベルトにおいて、
上記粒子の体積平均粒径が0.5[μm]〜5.0[μm]であることを特徴とする中間転写ベルト。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7の中間転写ベルトにおいて、
シームレスベルトであることを特徴とする中間転写ベルト。
【請求項9】
潜像が形成されトナー像を担持可能な像担持体と、
該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、
該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写体と、
該中間転写体上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
前記中間転写体として、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の中間転写ベルトを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9の画像形成装置において、
複数色のトナーの各色毎に対応させて現像手段及び潜像担持体をそれぞれ複数備えており、各色の前記潜像担持体それぞれを上記中間転写ベルトに沿って配置したフルカラー画像形成装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−198329(P2012−198329A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61390(P2011−61390)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】