説明

串焼き具

【課題】低コストを図ることができ、使い勝手も良好な串焼き具を提供する。
【解決手段】串焼き具1は、コンロ2の焼き網21上の一短辺寄りに取り付けて、串体3を焼き網21に直接に載せることなく加熱するのに専ら使用される器具であって、コンロ2上に載せられるベース部10と、ベース部10に設けられており且つ串体3がコンロ2に対して傾斜して立った状態で加熱されるように串体3の後側端部を保持する支持穴12とを備えている。ベース部10は、先端側を焼き網21の網目に引っ掛けて係止可能なフック部13を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は肉類、魚介類等を串に刺してコンロ等に立てて焼くのに使用される串焼き具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来串物を焼く場合、炭火コンロ、ガスコンロ等に金網を載せて、その上に串物を寝かせて置いて焼くというのが一般的であるが、焼き加減が難しく、串物に金網の跡が付いてきれいに焼けない等が不評であった。そのために串物をコンロ等の周りを囲むようにして立てて焼く串焼き具が提案されている(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2003−290047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例による場合、部品点数が多く、これに伴って構成が複雑である。しかも串物の両端部分を支持する構成となっているので、コンロの熱の一部が遮蔽され、その分、熱効率が低い。そのため串焼き具自体の値段だけでなく燃料代も高くつき低コスト化を図ることが困難という問題があった。また、清掃が大変な構造であることから使い勝手が悪いという問題も指摘されている。特に、実際に串物を焼くには専用のコンロを用意することが必要不可欠であり、この面でもコスト高となり使い勝手が悪いと言える。
【0005】
本発明は上記背景に鑑みて創作されたものであり、その目的とするところは、低コストを図ることができ、使い勝手も良好である串焼き具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る串焼き具は、コンロ又はレンジ上に載せられるベース部と、前記ベース部に設けられており且つ串体が前記コンロ等に対して傾斜して立った状態で加熱されるように当該串体の後側端部を保持する保持手段とを備えている。
【0007】
上記発明の串焼き具による場合、同具をコンロ等上に載せて、串体の後側端部を保持させると、串体がコンロ等の熱により加熱される。従来に比べて部品点数が少なく、構成的に簡単であることから価格を低く抑えることが可能になる。しかも串体がコンロ等に対して傾斜して立った状態でコンロ等の上方位置で支持されることから、串体が効率的に加熱され、これに伴って燃料代を低く抑えることが可能になる。よって、コスト面で大きなメリットが得られる。コンロ等とは別体であり構成的に簡単であることから清掃が容易となり使い勝手も良好である。特に、コンロ等上に載せて使用するタイプである以上、適用可能なコンロ等につき種類上の制約が殆どなく、現在使用のコンロ等を十分に利用でき得ることから、この面で低コスト化を図ることができるだけでなく使い勝手も良好となる。
【0008】
串焼き具をコンロ等の焼き網に使用する場合、本体部と、本体部に設けられた片状部材であり且つ先端側を焼き網の網目に引っ掛けて係止可能なフック部とを有した構成のものを使用すると良い。
【0009】
上記発明による場合、コンロ等の焼き網に確実に取り付け可能であり、串体が重たいときであっても倒れることがなく、この点で使い勝手が一層良好となる。
【0010】
上記串焼き具の場合、保持手段については、串体の後側端部が挿入可能な支持穴とすると良い。
【0011】
上記発明による場合、保持手段の構成が簡単であることから、価格を一層低く抑えることが可能になる。
【0012】
上記串焼き具において、支持穴については、多角形の穴形状を有し、当該多角形の一頂点が串体傾斜方向に対応した方向に向けられた構成にすると良い

【0013】
上記発明による場合、串体を一定の傾斜方向及び傾斜角度で傾斜させることができ、これに伴って、多数の串体を均一に加熱することが容易となり、この点で使い勝手が一層良好となる。
【0014】
上記串焼き具において、串体の後側端部が支持穴に余裕を持って挿入され、この状態で串体が二点支持されている形態である場合、ベース部については、上側水平面と横側鉛直面とを有した板状折曲部材とし、支持穴については、横側鉛直面上に形成された貫通穴である出口側支持穴と、上側水平面上に形成された貫通穴である入口側支持穴とを有した構成とすると良い。
【0015】
上記発明による場合、串体を支持穴に容易に挿入することが可能であるだけでなく、支持穴が貫通していることからその周辺の清掃が容易となり、これらの点で使い勝手が一層良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の串焼き具の実施形態を説明するための図であって、串焼き具の使用状態を示す参考図である。
【図2】同串焼き具の正面図である。
【図3】同串焼き具の背面図である。
【図4】同串焼き具の平面図である。
【図5】同串焼き具の底面図である。
【図6】同串焼き具の右側面図である。
【図7】同串焼き具の図2中A−A断面図である。
【図8】同串焼き具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図8を参照して説明する。ここに例として挙げる串焼き具1は、図1に示すようにアウトドア用バーべキューコンロ2(以下単にコンロ2と称する)の周辺器具であって、コンロ2の焼き網21上の一短辺寄りに取り付けて、調理対象の魚介類や野菜等の串体3(図示例では魚32が串31に刺されている様子が示されている。)を焼き網21に直接に載せることなく加熱するのに専ら使用される器具である。なお、串焼き具1の左側面図については図5の右側面図と対称に現れるために省略している。
【0018】
串焼き具1については、コンロ2上に載せられるベース部10と、ベース部10に設けられており且つ串体3がコンロ2に対して傾斜して立った状態で加熱されるように串体3の後側端部(具体的には串31の手元側の端部)を保持する支持穴12(保持手段に相当)とを備えている。
【0019】
なお、図1中に併せて示すようにコンロ2の上下方向(鉛直方向)をx、コンロ2の長辺方向(水平方向)をyとして表している。
【0020】
ベース部10については、断面視凹状のステンレス製の板状折曲部材であって金網21上に載せられる本体部11と、本体部11に設けられた片状部材であり且つ先端側を焼き網21の網目22に引っ掛けて係止するフック部13とを有している。
【0021】
本体部11については、上側水平面112と横側鉛直面111、113とを有している。横側鉛直面111、113はx方向、上側水平面112はy方向と各々並行になっている。本体部11は平面視直方形のコンロ2に対応して平面視凹状であり、その長辺はコンロ2の短辺より若干短い長さ寸法になっている。本体部11が平面視凹状の形状にされているのは、フック部13との関係で、魚32の自重により焼き網21から浮き上がるのを防止するためである。
【0022】
支持穴12については、串体3の串31に比べて大径の寸法を有した貫通穴であって、本体部11の横側鉛直面111に等間隔で合計9つ形成された出口側支持穴121と、本体部11の上側水平面112に等間隔で合計9つ形成された入口側支持穴122とを有している。出口側支持穴121及び入口側支持穴122は、互いに同一の位置関係であり且つ多角形(本案例では三角形)の穴形状を有し、その三角形の頂点1211(図2参照)、1221(図4参照)が串体傾斜方向(本案例ではx−y平面に沿った方向)に対応した方向に向いている。具体的には、出口側支持穴121の頂点1211はx方向に向いている一方、入口側支持穴122の頂点1221はy方向に向いている。
【0023】
串体3は、図1に示されるようにその後側端部が支持穴12に挿入され、この状態で二点支持される。具体的には、図1中左寄りに示された串体3は、串31が入口側支持穴122、出口側支持穴121に順番に通され、入口側支持穴122の内壁面の一部分が支点、出口側支持穴121の内壁面の一部分が作用点となり、傾斜して立った状態で支持される。一方、図1中右寄りに示された串体3は、串31が入口側支持穴122に通され、横側鉛直面111の裏側に接触して、入口側支持穴122の内壁面の一部分が支点、横側鉛直面111の裏側一部分が作用点となり、傾斜して立った状態で支持される。
【0024】
フック部13については、本体部11の横側鉛直面111の外面上の出口側支持穴121の両側寄りの位置に各々取り付けられた断面略U状をなした片状部材であって、先端側を焼き網21の網目22に引っ掛けて係止することにより、ベース部10をコンロ2の焼き網21上に着脱自在に載せることが可能になっている。
【0025】
上記のように構成された串焼き具1は次のようにして使用される。まず、串焼き具1をコンロ2の焼き網21上の一短辺寄りに取り付け、その後、串体3の後側端部を串焼き具1の支持穴12に挿入し、串体3を傾斜して立った状態で支持させる(図1参照)。この状態でコンロ2を点火させてその熱により串体3を加熱させる。なお、必要なときには、別の串焼き具1をコンロ2の焼き網21の他の短辺寄りに取り付けて同様に使用したり、逆に必要ないときは、串焼き具1をコンロ2の焼き網21から取り外すと良い。
【0026】
よって、串体3の魚32は焼き網21に接することなく加熱され、魚32の全体をきれいに焼くことが可能になる。これは、複数の串体3を串焼き具1の各支持穴12に別々に挿入して並べて焼いたときも全く同様である。なぜなら、支持穴12の穴形状が多角形であり、且つその一頂点が上記の通り串体傾斜方向に対応し方向に向いていることから、各串体3の傾斜方向及び傾斜角度が一定となり、これに伴って各串体3の魚32の高さ位置が一定となるからである。
【0027】
串焼き具1は部品点数が少なく、構成的に非常に簡単であることから串焼き具1自体の価格を低く抑えることが可能になる。しかも串体3をコンロ2に対して傾斜して立った状態で支持することから、串体3の魚32はコンロ2の中心寄りの上方位置に位置し、コンロ2により効率的に加熱される。これに伴って、燃料代を低く抑えることが可能になり、コスト面で大きなメリットが得られる。
【0028】
更に、串焼き具1がコンロ2の焼き網21に着脱自在である点、串焼き具1が簡単な構成である点、支持穴12が貫通穴である点で、串焼き具1やコンロ2の清掃が容易となる。しかも串体3の後側端部を串焼き具1の支持穴12に余裕を持って挿入可能である点も含めて、使い勝手が良好となる。特に、串焼き具1は焼き網21に取り付けて使用するタイプであることから、市場に出回っているコンロ等の大半が適用可能であり、現在保有しているコンロ等を十分に利用でき得ることから、この面でも低コスト化を図ることができ使い勝手も良好となる。
【0029】
なお、本発明に係る串焼き具については、アウトドア用バーべキューコンロだけの適用に止まらず、ガスコンロ、オーブンレンジ、七輪等の他、焼き網を有しない電子レンジ等にも同様に適用可能である。ベース部については、コンロ等の加熱台等に載せて串体を加熱可能である限り、その形状や材質等をコンロやレンジに応じて適宜設計変更すれば良い(例えば、円筒状の形状、耐熱性の樹脂等)。フック部については、先端側を焼き網の網目に引っ掛けて係止可能な構成である限り、形状や位置等が問われず、例えば、弾性材を用いて焼き網の網目に係止する構成であっても良い。単に串焼き具をコンロやレンジに載せるだけで良いだけであるのなら省略も可能である。また保持手段については、串体がコンロ等に対して傾斜して立った状態で加熱できるように串体の後側端部を保持可能である限り、その構成が問われず、例えば、ベース部に串体が挿入可能な筒体状部材や串体を保持可能なクリップ等を設けてもかまわない。
【符号の説明】
【0030】
1 串焼き具
10 ベース部
11 本体部
111、113 横側鉛直面
112 上側水平面
12 支持穴
121 出口側支持穴
122 入口側支持穴
13 フック部
2 コンロ
21 焼き網
22 網目
3 串体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロ又はレンジ上に載せられるベース部と、前記ベース部に設けられており且つ串体が前記コンロ等に対して傾斜して立った状態で加熱されるように当該串体の後側端部を保持する保持手段とを備えたことを特徴とする串焼き具。
【請求項2】
コンロ等の焼き網に使用される請求項1記載の串焼き具において、前記ベース部は、本体部と、前記本体部に設けられており且つ先端側を当該焼き網の網目に引っ掛けて係止可能なフック部とを有していることを特徴とする串焼き具。
【請求項3】
請求項1記載の串焼き具において、前記保持手段は、前記串体の後側端部が挿入可能な支持穴であることを特徴とする串焼き具。
【請求項4】
請求項3記載の串焼き具において、前記支持穴は、多角形の穴形状を有し、当該多角形の一頂点が串体傾斜方向に対応した方向に向いていることを特徴とする串焼き具。
【請求項5】
前記串体の後側端部が前記支持穴に余裕を持って挿入され、この状態で当該串体が二点支持されている場合の請求項3記載の串焼き具において、前記ベース部については、上側水平面と横側鉛直面とを有した板状折曲部材とし、前記支持穴については、横側鉛直面上に形成された貫通穴である出口側支持穴と、上側水平面上に形成された貫通穴である入口側支持穴とを有していることを特徴とする串焼き具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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