説明

主通信装置

【課題】無線通信の電波干渉を抑えつつ、無線通信に使用する無線チャンネルを確保することができる主通信装置を提供すること。
【解決手段】MFP1によれば、89のDCLチャンネル(dch1〜dch89)において、優先順位テーブルA(優先順位テーブルB)の中のDCL優先順位リストを基準とし、優先順位の高い優先順位リストに含まれる無線LANチャンネル(wch1〜wch14)との電波干渉が抑制される複数(例えば、45)のDCLチャンネルを選択される。よって、DCL無線通信300で使用される帯域と、優先順位の高い優先順位リストに対応するLAN無線通信200で使用される帯域とが重複する可能性を低くすることができるので、優先順位の高い優先順位リストに対応するLAN無線通信200と電波干渉する可能性を低くして、DCL子機61との間でDCL無線通信300を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、所定の周波数帯域を使用してデータ通信や通話を行う通信装置が知られている。この種の通信装置では、データ通信や通話に使用される周波数帯域が重複して使用される。例えば、データ通信を目的とした無線LAN(Local Area Network)や、通話を目的としたデジタルコードレス電話(以下、「DCL(Digital Cordless)」と称する)は、いずれも2.4GHz帯という同一の周波数帯域を使用する。
【0003】
ここで、図10を参照して、無線LANおよびDCLで使用される周波数帯域及び周波数チャンネルについて説明する。図10は、無線LANおよびDCLで使用される周波数帯域及び周波数チャンネルを示した概略図である。
【0004】
図10に示すように、無線LAN、DCLの各通信方式は、いずれも2.4GHzから2.5GHzまでの周波数帯域(2.4GHz帯)を使用している。そして、無線LANやDCLの通信方式に対応して、周波数帯域内を複数分割したチャンネルが設定されている。なお、各々の通信方式におけるチャンネルを区別するために、以下、無線LANで使用されるチャンネルを無線LANチャンネルと称し、DCLで使用されるチャンネルをDCLチャンネルと称する。
【0005】
無線LANでは、2.4GHzから2.5GHzまでの周波数帯域が14の無線LANチャンネル(wch1〜wch14)に分けられている。そして、無線LANでは、14の無線LANチャンネルのうち、1つの無線LANチャンネルが継続して使用される。
【0006】
一方、DCLでは、2.4GHzから2.5GHzまでの周波数帯域が89のDCLチャンネル(dch1〜dch89)に分けられている。そして、ホッピング周期と称される所定の周期(例えば、1/100秒)毎に、89あるDCLチャンネルのうち予め選択された例えば45のDCLチャンネルの間で、使用されるDCLチャンネルが変更(ホッピング)される。
【0007】
上述したような通信方式が2以上混在するような状況下では、同一の周波数帯域が各々の通信方式によって使用されるので、各々の通信方式の間で電波干渉が生ずる恐れがある。
【0008】
これに対し、次の特許文献1では、無線通信を開始する前に、無線通信に使用可能な複数の無線チャンネルの全てについて、その無線チャンネルを使用した無線通信が行われているかを検出し、無線通信が行われていない(空いている)無線チャンネルを使用して、無線通信を開始する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2003−110572号公報(0037段落など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術では、全ての無線チャンネルにおいて無線通信が行われ、空いている無線チャンネルが存在しない場合には、無線通信に使用する無線チャンネルを決定できず、無線通信を開始することができないという問題点があった。
【0010】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、無線通信の電波干渉を抑えつつ、無線通信に使用する無線チャンネルを確保することができる主通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、請求項1記載の主通信装置は、所定の周波数帯域を複数に区分けした一の帯域を個別に示す第1無線チャンネルを複数使用して副通信装置との間で無線通信を行う第1無線通信手段を備えたものであり、外部の通信装置が無線通信に使用する無線チャンネルであって、前記所定の周波数帯域のうち連続する前記第1無線チャンネルの帯域を含んで一の無線チャンネルが構成される第2無線チャンネルであり、その第2無線チャンネルの使用状況を検出する状況検出手段と、その状況検出手段により検出される第2無線チャンネルを使用して行われる無線通信の中で、前記第1無線通信手段が行う無線通信を基準とし、その基準よりも優先度の高い無線通信を設定する第1設定手段と、その第1設定手段により設定される無線通信に基づいて、電波の相互作用の影響が少ない所定数の第1無線チャンネルを、前記複数の第1無線チャンネルの中から選定する選定手段と、その選定手段により選定された前記所定数の第1無線チャンネルの一つを第1周期毎に決定するチャンネル決定手段と、そのチャンネル決定手段により決定された第1無線チャンネルを使用して前記副通信装置との間で無線通信を実行する通信実行手段とを備えている。
【0012】
請求項2記載の主通信装置は、請求項1記載の主通信装置において、前記外部の通信装置は、前記第2無線チャンネルを使用して無線通信を行う場合に、その無線通信を識別する識別情報を含む無線信号を送信するように構成され、前記状況検出手段は、前記第2無線チャンネルの使用状況として、前記第2無線チャンネルによる無線通信で送信される識別情報を検出するものであり、前記状況検出手段により検出される識別情報に応じた表示を行う表示手段と、その表示手段に表示された識別情報に応じた表示の中から、ユーザ操作により指示された識別情報を取得する操作取得手段とを備え、前記第1設定手段は、前記第2無線チャンネルを使用して行われる無線通信の中で、前記操作取得手段により取得される識別情報により識別される無線通信を、前記基準よりも優先度の高い無線通信に設定する。
【0013】
請求項3記載の主通信装置は、請求項1または2記載の主通信装置において、前記第1設定手段は、前記第1無線通信手段が行う無線通信を基準とし、その基準よりも優先度の高い無線通信に順位を付けて設定するものであり、前記選定手段は、前記優先度の順位が高い無線通信順に、その無線通信で使用される第2無線チャンネルを取得する優先チャンネル取得手段と、その優先チャンネル取得手段により取得される第2無線チャンネルに含まれる第1無線チャンネルを、前記複数の第1無線チャンネルの中から除外する第1除外手段とを備え、前記第1除外手段により除外される場合に残存する第1無線チャンネルの中から所定数の第1無線チャンネルを選定する。
【0014】
請求項4記載の主通信装置は、請求項3記載の主通信装置において、前記第1設定手段は、前記第1除外手段により除外される場合に残存する第1無線チャンネルの残数が前記所定数以上であるかを判定する第1判定手段と、その第1判定手段により前記第1無線チャンネルの残数が前記所定数未満であると判定される場合に、その第1無線チャンネルの残数が前記所定数以上となるまで、前記基準よりも優先度の高い無線通信の中で前記優先度の順位が低い無線通信を、前記基準よりも優先度が低い無線通信に設定する第2設定手段とを備えている。
【0015】
請求項5記載の主通信装置は、請求項1から4のいずれかに記載の主通信装置において、前記状況検出手段は、前記第2無線チャンネルの使用状況を定期的に検出するものであり、前記第1設定手段は、前記状況検出手段により検出される前記第2無線チャンネルの使用状況が変化した場合に、再度、前記基準よりも優先度の高い無線通信を設定する。
【0016】
請求項6記載の主通信装置は、請求項1から5のいずれかに記載の主通信装置において、前記外部の通信装置との間で前記第2無線チャンネルを使用して無線通信を行う第2無線通信手段と、その第2無線通信手段が前記外部の通信装置との無線通信に使用する第2無線チャンネルを取得するチャンネル取得手段とを備え、前記選定手段は、前記チャンネル取得手段により取得される第2無線チャンネルに含まれる第1無線チャンネルを前記複数の第1無線チャンネルから除外する第2除外手段を備え、前記第2除外手段により除外された場合に残存する第1無線チャンネルの中から前記所定数の第1無線チャンネルを選定する。
【0017】
また、請求項6記載の主通信装置において、前記第1設定手段は、前記第2除外手段により除外される場合に残存する第1無線チャンネルの残数が前記所定数以上であるかを判定する第1判定手段と、その第1判定手段により前記第1無線チャンネルの残数が前記所定数未満であると判定される場合に、その第1無線チャンネルの残数が前記所定数以上となるまで、前記基準よりも優先度の高い無線通信の中で前記優先度の順位が低い無線通信を、前記基準よりも優先度が低い無線通信に設定する第2設定手段とを備えていても良い。
【0018】
請求項7記載の主通信装置は、請求項1から6のいずれかに記載の主通信装置において、前記第1設定手段は、前記第2無線チャンネルによる無線通信が行われているかを判定する第2判定手段と、その第2判定手段により前記第2無線チャンネルによる無線通信が行われていないと判定された無線通信を、前記基準よりも優先度が低い無線通信に設定する第3設定手段とを備えている。
【0019】
請求項8記載の主通信装置は、請求項1から7のいずれかに記載の主通信装置において、前記第1設定手段は、前記第1無線通信手段が行う無線通信を基準とし、その基準よりも優先度の低い無線通信に順位を付けて設定するものであり、前記選定手段は、前記優先度の順位が低い無線通信順に、その無線通信で使用される第2無線チャンネルを取得する低チャンネル取得手段を備え、低チャンネル取得手段により取得される第2無線チャンネルに含まれる第1無線チャンネルを優先して、前記所定数の第1無線チャンネルに選定する。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の主通信装置によれば、外部の通信装置により使用される無線チャンネルであって、第1無線チャンネルに対応する帯域を含んで構成される第2無線チャンネルの使用状況が状況検出手段により検出され、その検出された第2無線チャンネルによる無線通信の中で、副通信装置との間で行う無線通信よりも優先度の高い無線通信が第1設定手段により設定される。その設定された優先度の高い無線通信に基づいて、電波の相互作用の影響が少ない所定数の第1無線チャンネルが選定手段によって選定され、その選定された所定数の第1無線チャンネルの一つが第1周期毎にチャンネル決定手段により決定され、その決定された第1無線チャンネルにより副通信装置との間の無線通信が通信実行手段により実行される。よって、主通信装置は、優先度の高い第2無線チャンネルによる無線通信および第1無線通信手段による無線通信の電波干渉を抑えつつ、無線通信に使用する第1無線チャンネルを確保し、副通信装置との間で無線通信を行うことができるという効果がある。
【0021】
請求項2記載の主通信装置によれば、請求項1記載の主通信装置の奏する効果に加え、第2無線チャンネルの通信状況として第2無線チャンネルによる無線通信で送信される識別情報が状況検出手段により検出され、その検出された識別情報に応じた表示が表示手段により行われる。その識別情報に応じた表示の中から、ユーザ操作により指示された識別情報が操作取得手段により取得され、その取得された識別情報により識別される無線通信が副通信装置との間で行う無線通信よりも優先度の高い無線通信に第1設定手段により設定される。よって、ユーザは、表示手段に表示される識別情報に応じた表示の中から、優先度を高くしたい無線通信を識別する識別情報を指示することができるので、使い勝手が良いという効果がある。
【0022】
請求項3記載の主通信装置によれば、請求項1または2記載の主通信装置の奏する効果に加え、優先度の順位が高い無線通信順に、その無線通信で使用される第2無線チャンネルが優先チャンネル取得手段により取得され、その取得された第2無線チャンネルの帯域に含まれる第1無線チャンネルが、複数の第1無線チャンネルの中から第1除外手段により除外される。そして、第1除外手段による除外後に残存する第1無線チャンネルの中から所定数の第1無線チャンネルが選定手段により選定される。よって、優先度の順位が高い無線通信になるほど、第2無線チャンネルと第1無線チャンネルとの帯域が重複する可能性を低くすることができる。従って、主通信装置は、無線通信への電波干渉において、優先度の順位が高い無線通信ほど電波が干渉する可能性を低くして、副通信装置との間で無線通信を行うことができるという効果がある。
【0023】
請求項4記載の主通信装置によれば、請求項3記載の主通信装置の奏する効果に加え、第1除外手段により除外される場合に残存する第1無線チャンネルの残数が所定数以上であるかが第1判定手段により判定され、その第1無線チャンネルの残数が所定数未満であると判定されると、第1無線チャンネルの残数が所定数以上となるまで、基準よりも優先度の高い無線通信の中で優先度の順位が低い無線通信が、基準よりも優先度が低い無線通信に第2設定手段により設定される。よって、第1無線チャネルの残数が所定数未満である場合には、優先度の順位が低い無線通信で使用される第2無線チャンネルの帯域に含まれる第1無線チャンネルから、残存する第1無線チャンネルの中に含めることができる。従って、主通信装置は、第1無線チャネルの残数が所定数未満である場合でも、無線通信への電波干渉において、優先度の順位が高い無線通信ほど電波干渉を抑えつつ所定数の第1無線チャンネルを確保することができるという効果がある。
【0024】
請求項5記載の主通信装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の主通信装置の奏する効果に加え、第2無線チャンネルの使用状況が定期的に状況検出手段により検出され、その検出される第2無線チャンネルの使用状況が変化した場合に、再度、基準よりも優先度の高い無線通信が第1設定手段により設定される。よって、第2無線チャンネルの使用状況が変化した場合に、再度、電波の相互作用の影響が少ない所定数の第1無線チャンネルを選定することができるので、第2無線チャンネルの使用状況の変化に対応して、副通信装置との間で無線通信を行うことができるという効果がある。
【0025】
例えば、優先度の高い無線通信で使用されている第2無線チャンネルが外部の通信装置により変更されると、優先度の高い無線通信に対し電波の相互作用の影響を抑えることができなくなる場合がある。そのような場合でも、再度、基準よりも優先度の高い無線通信が第1設定手段により設定され、その設定された無線通信に基づいて、電波の相互作用の影響が少ない所定数の第1無線チャンネルが選定手段により選定されるので、外部の通信装置などにより、優先度の高い無線通信で使用されている第2無線チャンネルが変更される場合でも、主通信装置は、基準よりも優先度の高い無線通信に対し電波干渉を抑えつつ、副通信装置との間で無線通信を行うことができるという効果がある。
【0026】
請求項6記載の主通信装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の主通信装置の奏する効果に加え、外部の通信装置との間で第2無線チャンネルを使用した無線通信が第2無線通信手段により行われ、その第2無線通信手段による無線通信で使用される第2無線チャンネルがチャンネル取得手段により取得される。その取得された第2無線チャンネルの帯域に含まれる第1無線チャンネルが、複数の第1無線チャンネルの中から第2除外手段により除外され、その除外されて残存した第1無線チャンネルの中から、所定数の第1無線チャンネルが選定手段により選定される。よって、第2無線通信手段により使用される第2無線チャンネルと、残存した第1無線チャンネルとの帯域の重複が抑制されるので、主通信装置が備える第1無線通信手段および第2無線通信手段の間の電波干渉を抑えつつ、副通信装置との間で無線通信を行うことができるという効果がある。
【0027】
請求項7記載の主通信装置によれば、請求項1から6のいずれかに記載の主通信装置の奏する効果に加え、第2無線チャンネルによる無線通信が行われているかが第2判定手段により判定され、第2無線チャンネルによる無線通信が行われていないと判定された無線通信が、副通信装置との間で行う無線通信よりも優先度が低い無線通信に第3設定手段により設定される。よって、無線通信で使用されていない第2無線チャンネルの帯域に含まれる第1無線チャンネルが、残存する第1無線チャンネルの中に含まれることになるので、第2無線チャンネルへの電波干渉する可能性が低い第1無線チャンネルを増やすことができる。従って、主通信装置は、優先度の順位が高い無線通信に対し電波干渉する可能性をさらに低くして、副通信装置との間で無線通信を行うことができるという効果がある。
【0028】
請求項8記載の主通信装置によれば、請求項1から7のいずれかに記載の主通信装置の奏する効果に加え、優先度の順位が低い無線通信順に、その無線通信で使用される第2無線チャンネルが低チャンネル取得手段により取得され、その取得された第2無線チャンネルの帯域に含まれる第1無線チャンネルが優先に、所定数の第1無線チャンネルとして選定手段により選定される。よって、優先度の順位が低い無線通信になるほど、その無線通信で使用される第2無線チャンネルの帯域に含まれる第1無線チャンネルが、所定数の第1無線チャンネルに選定される可能性が高くなるので、その結果、優先度の順位が高い無線通信への電波干渉を低くして、副通信装置との間で無線通信を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態における主通信装置を有した多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称する)1と、アクセスポイント(以下、「AP」と称する)51と、DCL子機61との電気的構成を示したブロック図である。MFP1およびAP51は、LAN無線通信200を介して互いにデータ通信が可能に構成されており、MFP1(親機)およびDCL子機61は、DCL無線通信300を介して互いに通話が行えるように構成されている。
【0030】
本実施形態のMFP1は、DCL無線通信300を基準として、MFP1周辺で行われているLAN無線通信200のそれぞれに優先順位を付け、89のDCLチャンネルの中から、DCL無線通信300よりも優先順位が高いLAN無線通信200に対し、電波干渉を抑制できる複数(例えば、45)のDCLチャンネルを選択して、DCL子機61との間でDCL無線通信300を行うものである。
【0031】
次に、MFP1の電気的構成について説明する。MFP1は、CPU11、ROM12、RAM13、操作ボタン15、LCD16、無線LAN通信制御回路17、デジタルコードレス通信制御回路(以下、「DCL(Digital Cordless)通信制御回路」と称する)19、スキャナ21、プリンタ22、送受話器23、音声処理回路24、NCU25を主に有している。
【0032】
CPU11、ROM12、及びRAM13は、バスライン28を介して互いに接続されている。また、送受話器23とNCU25とは、音声処理回路24に接続されている。更に、操作ボタン15、LCD16、無線LAN通信制御回路17、DCL通信制御回路19、スキャナ21、プリンタ22、音声処理回路24、NCU25、及びバスライン28は、入出力ポート29を介して互いに接続されている。
【0033】
CPU11は、ROM12やRAM13に記憶される固定値やプログラム或いは、無線LAN通信制御回路17、DCL通信制御回路19、またはNCU25を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート29と接続された各部を制御する演算装置である。
【0034】
ROM12は、MFP1で実行される制御プログラムなどを格納した書換可能な不揮発性のメモリである。図5のフローチャートに示す優先順位設定処理、図7のフローチャートに示す通信チャンネル選定処理、および図8のフローチャートに示すDCLチャンネル選定処理を実行する各プログラムは、このROM12に格納されている。
【0035】
また、ROM12には、チャンネル対応テーブルメモリ12aが設けられている。このチャンネル対応テーブルメモリ12aは、無線LANチャンネル(wch1〜wch14)と周波数帯域が重複するDCLチャンネル(dch1〜dch89)を示すチャンネル対応テーブルが格納されるメモリである。
【0036】
ここで、図2を参照してチャンネル対応テーブルについて説明する。図2は、チャンネル対応テーブルの内容を模式的に示した模式図である。チャンネル対応テーブルは、無線LANチャンネルと、DCLチャンネルとにより構成されており、一の無線LANチャンネル毎に、その一の無線LANチャンネルと周波数帯域が重複する全てのDCLチャンネルが関連づけられている。
【0037】
例えば、無線LANチャンネル「wch1」で使用される周波数帯域は、DCLチャンネル「dch4〜dch25」で使用される周波数帯域と重複しているため、チャンネル対応テーブルにおいて、無線LANチャンネル「wch1」と、DCLチャンネル「dch4〜dch25」とが関連づけられている。
【0038】
以下同様に、無線LANチャンネル「wch2」と、DCLチャンネル「dch9〜dch30」とが関連づけられ、無線LANチャンネル「wch3」と、DCLチャンネル「dch15〜dch36」とが関連づけられている。他の無線LANチャンネル(wch4〜wch14)についても同様に、各無線LANチャンネルと、その無線LANチャンネルと周波数帯域が重複する全てのDCLチャンネルが関連づけられているので、その説明を省略する。
【0039】
ここで図1に戻り、説明を続ける。RAM13は、書き替え可能な揮発性のメモリであり、MFP1の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。このRAM13には、無線LANチャンネルメモリ13aと、SSIDメモリ13bと、
DCLチャンネルメモリ13cと、通信状況テーブルメモリ13dと、優先順位テーブルメモリ13eと、DCL順位変更フラグメモリ13fと、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13gとが設けられている。
【0040】
無線LANチャンネルメモリ13aは、無線LAN通信制御回路17がAP51との間のLAN無線通信200に使用する一の無線LANチャンネルが記憶されるメモリである。詳細については後述するが、LAN無線通信200に使用する一の無線LANチャンネルは、AP51において決定され、AP51からMFP1へ通知される。MFP1は、AP51から一の無線LANチャンネルが通知されたら、その無線LANチャンネルを無線LANチャンネルメモリ13aに記憶する。
【0041】
SSIDメモリ13bは、無線LAN通信制御回路17がAP51との間でLAN無線通信200を行う場合に、通信相手のAP51を識別するために用いるSSIDが記憶されるメモリである。
【0042】
SSIDは、複数のAP51がLAN無線通信200を行っている場合などに、無線LAN通信制御回路17およびAP51が、通信相手を識別するために用いる識別情報である。SSIDは、最大32文字までの英数字により構成されており、例えば、「AAA」という英数字が、SSIDメモリ13bに記憶される。
【0043】
詳細については後述するが、MFP1やAP51には、予めユーザなどにより予めSSIDが設定されており、MFP1やAP51はLAN無線通信200中に、互いにSSIDを送信する。そして、互いにSSIDが一致するAP51やMFP1との間でのみ、LAN無線通信200が継続して行われる。
【0044】
DCLチャンネルメモリ13cは、DCL通信制御回路19が、DCL子機61のDCL通信制御回路61aとの間のDCL無線通信300に使用する例えば45のDCLチャンネルが記憶されるメモリである。後述するDCLチャンネル選定処理(図8参照)が実行されると、DCL無線通信300に使用する45のDCLチャンネルが決定され、このDCLチャンネルメモリ13cに記憶される。また、決定された各DCLチャンネルは、DCL子機61に対して通知される。
【0045】
詳細については後述するが、DCL通信制御回路19は、ホッピング周期(例えば、1/100秒)毎に、DCLチャンネルメモリ13cに記憶される45のDCLチャンネルの中から、一のDCLチャンネルを選択してDCL子機61との間のDCL無線通信300を行う。
【0046】
通信状況テーブルメモリ13dは、MFP1周辺で行われているLAN無線通信200の通信状況を示す通信状況テーブルが記憶されるメモリである。無線LAN通信制御回路17の通信状況取得回路17aにより、無線LANチャンネルの使用状況(使用されている無線LANチャンネル、SSID、および受信電界強度)が取得されると、その内容に基づいて、MFP1周辺で行われているLAN無線通信200の通信状況を示す通信状況テーブルが作成される(図5のS2の処理)。
【0047】
ここで、図3(a)を参照して、通信状況テーブルについて説明する。図3(a)は、RAM13の通信状況テーブルメモリ13dに記憶される通信状況テーブルの内容を模式的に示した模式図である。通信状況テーブルは、MFP1周辺で行われているLAN無線通信200の通信状況を示すテーブルであり、通信状況リストにより構成されている。一の通信状況リストには、一のSSIDと、そのSSIDが送信されている一の無線LANチャンネルと、その一の無線LANチャンネルの受信電界強度とが含まれている。
【0048】
以後、説明を分かり易くするために、一の通信状況リストに含まれている内容(SSID、無線LANチャンネル、および受信電界強度)を、通信状況リスト(SSID,無線LANチャンネル,受信電界強度)と称する。
【0049】
なお、同一のSSIDが複数の無線LANチャンネルにおいて送信されている場合には、それぞれの無線LANチャンネル別に、その同一のSSIDと、その無線LANチャンネルの受信電界強度とが含まれる通信状況リストが作成される。
【0050】
そして、受信電界強度とは、測定対象となる帯域(ここでは、一の無線LANチャンネルに対応する帯域)において受信された電波の強度のことを示し、「0」から「10」までの値で示される。なお、受信電界強度が「0」に近いほど、受信した電波の強度が弱いことを示し、受信電界強度が「10」に近いほど、受信した電波の強度が強いことを示す。例えば、測定した一の無線LANチャンネルの受信電界強度が「0」であった場合は、測定した無線LANチャンネルに対応する帯域において、電波を受信しなかったことを示す。つまり、測定した無線LANチャンネルは、MFP1周辺におけるLAN無線通信200で使用されていないことを示す。
【0051】
一方、測定した一の無線LANチャンネルの受信電界強度が「10」であった場合は、測定した無線LANチャンネルに対応する帯域において、非常に強い電波を受信したことを示す。具体的には、測定した無線LANチャンネルが、MFP1周辺におけるLAN無線通信200で使用されており、その無線LANチャンネルと帯域が重複するDCLチャンネルをDCL子機61との間の無線通信300に使用すると、電波干渉が生じて通話が行えない状態を示す。なお、その他の受信電界強度(「1」〜「9」)については、受信電界強度「0」と「10」との間を等分に区切るものである。
【0052】
そして、例えば、通信状況取得回路17aにより取得された無線LANチャンネルの使用状況が、無線LANチャンネル「wch1」において、SSID「AAA」が送信され、その受信電界強度が「3」というものであったら、図3(a)に示すように、通信状況リスト(AAA,wch1,3)が作成される。
【0053】
また、通信状況取得回路17aにより取得された無線LANチャンネルの使用状況が、無線LANチャンネル「wch13」において、SSID「AAA」が送信され、その受信電界強度が「5」というものであったら、同一のSSIDであってもチャンネル別に通信状況リストが作成されるので、図3(a)に示すように、新たに、通信状況リスト(AAA,wch13,5)が作成される。
【0054】
以下同様に、通信状況取得回路17aにより取得されたSSIDや、無線LANチャンネルや、無線LANチャンネルの受信電界強度に基づいて、通信状況リストが作成されるので、その説明を省略する。
【0055】
ここで図1に戻り、説明を続ける。優先順位テーブルメモリ13eは、優先順位テーブルAおよび優先順位テーブルBが記憶されるメモリである。優先順位テーブルメモリ13eには、優先順位テーブルAが記憶される優先順位テーブルAメモリ13e1と、優先順位テーブルBが記憶される優先順位テーブルBメモリ13e2とが設けられている。優先順位テーブルAおよび優先順位テーブルBは、後述するDCLチャンネル選定処理(図8参照)において使用されるテーブルである。
【0056】
ここで、図3(b)および図4を参照して、優先順位テーブルAおよび優先順位テーブルBについて説明する。図3(b)は、RAM13の優先順位テーブルAメモリ13e1に記憶される優先順位テーブルAの内容を模式的に示した模式図である。図4は、RAM13の優先順位テーブルBメモリ13e2に記憶される優先順位テーブルBの内容を模式的に示した模式図である。
【0057】
まず、優先順位テーブルAについて説明する。優先順位テーブルAは、通信状況テーブルの各通信状況リストに対して、ユーザの入力操作(図5のS4〜S5の処理)により優先順位が設定されたテーブルであり、優先順位リストにより構成されている。一の優先順位リストには、一の優先順位と、一のSSIDと、そのSSIDが送信されている一の無線LANチャンネルと、その一の無線LANチャンネルの受信電界強度とが含まれている。
【0058】
以後、説明を分かり易くするために、一の優先順位リストに含まれている内容(優先順位、SSID、無線LANチャンネル、および受信電界強度)を、優先順位リスト(優先順位,SSID,無線LANチャンネル,受信電界強度)と称する。
【0059】
そして、ここでの優先順位とは、DCL子機61との間で行うDCL無線通信300を基準とし、MFP1周辺で行われているLAN無線通信200の中で電波干渉を優先して抑制するLAN無線通信200の順位のことを示す。つまり、優先順位が高いLAN無線通信200ほど、DCL無線通信300との電波干渉が抑制されることになる。
【0060】
具体的には、優先順位テーブルAの中に、DCL無線通信300に対応する優先順位リスト(以下、「DCL優先順位リスト」と称する)が含まれており、そのDCL優先順位リストよりも、優先順位が高い優先順位リストに対応するLAN無線通信200ほど、DCL無線通信300との電波干渉が抑制されることになる。本実施形態の優先順位テーブルA(優先順位テーブルB)では、DCL無線通信300に対応する優先順位リストを、優先順位リスト(優先順位,DCL,−,−)と称する。
【0061】
例えば、ユーザの入力操作によって、優先順位が指定されると、図3(b)に示すように、優先順位リスト(1,AAA,wch13,5)や、DCL優先順位リスト(4,DCL,−,−)が作成される。以下同様に、ユーザの入力操作に基づいて、優先順位リストが作成されるので、その説明を省略する。なお、この優先順位テーブルA(優先順位テーブルB)では、DCL優先順位リスト(4,DCL,−,−)よりも、優先順位が低い優先順位リストは、ユーザの入力操作に関係なく、受信電界強度が強い順に高い優先順位が設定される。
【0062】
次に、優先順位テーブルBについて説明する。図4は、RAM13の優先順位テーブルBメモリ13e2に記憶される優先順位テーブルBの内容を模式的に示した模式図である。
【0063】
優先順位テーブルBは、優先順位テーブルAにおいて、無線LAN通信制御回路17により送信されるSSIDと同一のSSIDが含まれている優先順位リストの優先順位を、DCL優先順位リストより下に移動させたテーブルである。
【0064】
例えば、優先順位テーブルAの内容が、図3(b)に示す状態であり、無線LAN通信制御回路17により送信されるSSIDが「AAA」である場合には、優先順位リスト(1,AAA,wch13,5)、および、優先順位リスト(2,AAA,wch1,3)の各優先順位リストが、DCL優先順位リスト(4,DCL,−,−)より下に移動させられる。
【0065】
具体的には、図4に示すように、優先順位リスト(3,EEE,wch7,4)の優先順位が「1」に設定され、DCL優先順位リスト(4,DCL,−,−)の優先順位が「2」に設定される。そして、DCL優先順位リスト(2,DCL,−,−)よりも、優先順位が低い優先順位リストは、優先順位テーブルAの場合と同様に、受信電界強度が強い順に高い優先順位が設定される。
【0066】
従って、図4に示すように、優先順位リスト(1,AAA,wch13,5)の優先順位は「7」に設定され、優先順位リスト(2,AAA,wch1,3)の優先順位は「8」に設定される。
【0067】
ここで図1に戻り、説明を続ける。DCL順位変更フラグメモリ13fは、DCL順位変更フラグが記憶されるメモリである。DCL順位変更フラグは、無線LAN通信制御回路17によりLAN無線通信200が行われていない場合に、無線LAN通信制御回路17と同一のSSIDが送信されるLAN無線通信200の電波干渉を抑制するよりも、DCL無線通信300の電波干渉を優先して抑制するかを示すフラグである。
【0068】
DCL無線通信300の電波干渉を優先して抑制する場合は、DCL順位変更フラグがオン(例えば、「1」)に設定され、それ以外では、オフ(例えば、「0」)に設定される。なお、DCL順位変更フラグがオフの場合には、後述するDCLチャンネル選定処理(図8参照)において、優先順位テーブルAが処理に用いられ、DCL順位変更フラグがオンの場合には、優先順位テーブルBが処理に用いられる。
【0069】
DCLチャンネル選定テーブルメモリ13gは、DCLチャンネル選定テーブルが記憶されるメモリである。DCLチャンネル選定テーブルは、後述するDCLチャンネル選定処理(図8参照)において使用されるテーブルであり、各DCLチャンネル(dch1〜dch89)の中で、優先順位テーブルAまたは優先順テーブルBに応じた優先順位で、MFP1周辺において行われているLAN無線通信200との電波干渉が抑制される45のDCLチャンネルを選定するためのテーブルである(図9(a)参照)。
【0070】
DCLチャンネル選定テーブルは、DCLチャンネルと、DCLチャンネルをDCL無線通信300に使用するか否かを示すステータス値とにより構成されており、一のDCLチャンネル毎に、その一のDCLチャンネルに対応するステータス値が関連づけられている。
【0071】
ステータス値とは、関連づけられているDCLチャンネルを、MFP1およびDCL子機61の間のDCL無線通信300に使用するか否かを示す値であり、使用禁止を示す値(例えば、「−1」)と、使用可能を示す値(例えば、「1」)との2つが設けられている。以後、説明を分かり易くするために、使用禁止を示すステータス値を「×」と称し、使用可能を示すステータス値を「○」と称する。
【0072】
ここで図1に戻り、説明を続ける。操作ボタン15には、MFP1周辺で行われているLAN無線通信200の優先順位の設定を行うための優先順位設定ボタン15aと、無線LANによる無線通信機能、DCLによる無線通信機能、およびプリント機能などの各機能の設定を行うためのボタンや、各種動作の指示を行うための入力ボタンや、電話番号を入力するための数字ボタンなどが設けられている。
【0073】
LCD16は、操作ボタン15の操作に応じてメニューや動作状態などを表示するための表示デバイスである。ユーザは操作ボタン15を操作することにより、その操作に対応する情報がLCD16に表示される。
【0074】
無線LAN通信制御回路17は、無線LAN用アンテナ18を有しており、AP51との間で、LAN無線通信200を行いながら、各種のデータを構成するデジタル信号を送受信する既知の回路である。MFP1やAP51には、予めユーザなどにより予めSSIDが設定されており、それぞれによりLAN無線通信200が行われる場合には、互いにSSIDが送信される。そして、互いにSSIDが一致するAP51や無線LAN制御回路17との間でのみ、LAN無線通信200が継続して行われるように構成されている。
【0075】
具体的には、無線LAN通信制御回路17は、AP51との間でLAN無線通信200を行う場合に、各種のデータと共に、RAM13のSSIDメモリ13bに記憶されているSSIDを送信すると共に、受信したLAN無線通信200の中から、SSIDメモリ13bに記憶されているSSIDと一致するデジタル信号のみを抽出して、各種のデータを構成する。
【0076】
また、無線LAN通信制御装置17は、AP51との間でLAN無線通信200を開始する場合に、AP51から通知される一の無線LANチャンネル値を無線LANチャンネルメモリ13aに記憶する。そして、その記憶した無線LANチャンネルを使用して、AP51との間でLAN無線通信200を行う。また、AP51との間のLAN無線通信200が終了した場合には、無線LANチャンネルメモリ13aに記憶した無線LANチャンネル値をクリア(削除)する。
【0077】
なお、AP51は、既に、無線LAN通信制御回路17との間でLAN無線通信200を開始している場合でも、電波干渉の状況に応じて、LAN無線通信200に使用する無線LANチャンネルを変更する。無線LAN通信制御回路17は、AP51から無線LANチャンネルの変更を通知されると、その通知された無線LANチャンネルを無線LANチャンネルメモリ13aに記憶し、その記憶した無線LANチャンネルを使用して、引き続きAP51との間でLAN無線通信200を行う。
【0078】
DCL通信制御回路19は、DCL用アンテナ20を有しており、DCL子機61のDCL通信制御回路61aとの間でDCL無線通信300を行いながら、通話の音声を構成するデジタル信号(音声データ)を送受信する回路である。
【0079】
このDCL通信制御回路19と、DCL子機61のDCL通信制御回路61aとの間では、ホッピング周期(例えば、1/100秒)毎に、DCL無線通信300に使用する一のDCLチャンネルを変更する周波数ホッピング方式によりDCL無線通信300が行われる。なお、このDCL無線通信300に使用されるDCLチャンネルは、RAM13のDCLチャンネルメモリ13cに記憶されている45のDCLチャンネルの中から一つ選択される。
【0080】
スキャナ21は、所定の読取位置(非図示)にセットされた原稿から画像の読み取りを行うと共に、その画像をLCD16に表示したりプリンタ22で印刷可能な画像データを生成するものである。このスキャナ21により読み取られた画像データは、RAM13における所定の記憶領域に記憶される。
【0081】
プリンタ22は、所定の給紙位置(非図示)にセットされた記録用紙に画像を印刷するインクジェット方式のプリンタで構成されている。プリンタ22は、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクを使用する印刷ヘッド、紙送り装置、回復装置を備えカラー印刷を行う。印刷ヘッドには複数個のノズル(インク吐出口)が設けられており、ノズルからインク吐出を行いながら、紙送り装置で記録用紙を送り画像を記録用紙に印刷する。
【0082】
送受話器23は、通話を行うための装置であり、マイクロフォンとスピーカとを有している。音声処理回路24は、アナログ音声信号をデジタル信号へ、デジタル信号をアナログ音声信号へ変換する回路であり、DCL子機61から送信されDCL通信制御回路19により受信されるデジタル信号をアナログ音声信号に変換して、送受話器23やNCU25へ出力する。
【0083】
また、送受話器23に音声が入力された時に出力されるアナログ音声信号、及び、外部装置(図示しない)から電話回線網100を介してNCU25によって受信されるアナログ音声信号をデジタル信号(音声データ)に変換して、DCL通信制御回路19へ出力する。なお、DCL通信制御回路19に入力されたデジタル信号(音声データ)は、DCL無線通信300を介してDCL子機61へ送信される。
【0084】
NCU25は、電話回線網100と接続されており、電話回線網100へのダイヤル信号の送出や、電話回線網100からの呼出信号の応答などを行って、外部装置(図示しない)との通話を制御するものである。
【0085】
次に、AP51の電気的構成について説明する。AP51は、LAN500と接続されており、LAN無線通信200を介して接続される端末装置(AP51に接続される各通信装置のこと)を、LAN500へ接続するための既知の回路を有した中継器である。
【0086】
AP51は、無線LAN用アンテナ51aを有しており、MFP1の無線LAN通信制御回路17とLAN無線通信200を可能に構成されている。AP51には、MFP1を始め、複数の端末装置が同時に接続可能であり、AP51と接続された各端末装置(MFP1や、その他の通信装置(図示しない))は、それぞれLAN500へと接続される。
【0087】
また、AP51には、予めユーザなどにより予めSSIDが設定されており、設定されたSSIDとSSIDが一致する無線LAN制御回路17との間でのみ、LAN無線通信200が継続して行われるに構成されている。
【0088】
次に、DCL子機61の電気的構成について説明する。DCL子機61は、MFP1との間で行われるDCL無線通信300を介して、MFP1や電話回線網100を介して接続される外部装置(図示しない)との間で通話を行うための装置である。DCL子機61は、主に、DCL通信制御回路61aを有している。
【0089】
DCL通信制御回路61aは、DCL用アンテナ61bを有しており、親機であるMFP1のDCL通信制御回路19との間でDCL無線通信300を行いながら、通話の音声を構成するデジタル信号を送受信する既知の回路である。DCL通信制御回路61aは、MFP1のDCL通信制御回路19から通知される45のDCLチャンネルを使用して、周波数ホッピング方式によりMFP1との間でDCL無線通信300を行う。
【0090】
次に、図5を参照して、MFP1のCPU11により実行される優先順位設定処理について説明する。図5は、MFP1の優先順位設定処理を示すフローチャートである。この優先順位設定処理は、DCL無線通信300を基準とし、MFP1周辺で行われているLAN無線通信200の中で電波干渉を優先して抑制するLAN無線通信200の順位を設定するための処理であり、操作ボタン15の優先順位設定ボタン15aが押下された場合に実行される処理である。
【0091】
この優先順位設定処理では、まず、無線LAN通信制御回路17の通信状況取得回路17aにより、無線LANチャンネルの使用状況を取得する(S1)。これにより、LAN無線通信200で使用されている無線LANチャンネル、SSID、および受信電界強度が取得される。
【0092】
次に、取得した無線LANチャンネルと、その受信電界強度とを、SSID毎に分類した通信状況テーブル(図6参照)を作成して、RAM13の通信状況テーブルメモリ13dに記憶する(S2)。そして、通信状況テーブルメモリ13dの通信状況テーブルの各SSIDに対して、仮の優先順位を付与した優先順位設定テーブルを作成し、その内容をLCD16に表示する(S3)。
【0093】
次に、ユーザの入力操作によるSSIDの優先順位の指定が終了したかを判定し(S4)、ユーザによる入力操作が継続中の場合は(S4:No)、ユーザにより指定された優先順位を優先順位設定テーブルに反映させ、LCD16に表示し(S5)、S4の処理に戻り、S4およびS5の処理を繰り返す。
【0094】
ここで、図6を参照して、優先順位設定テーブルと、ユーザによる優先順位の変更方法とについて説明する。図6は、優先順位設定テーブルの内容を模式的に示した模式図である。
【0095】
優先順位設定テーブルは、通信状況テーブルの通信状況リストをSSID毎に分類すると共に、DCL無線通信300に対応する通信状況リストを加えて、それぞれのSSIDおよびDCL無線通信300に対して仮の優先順位を付与したテーブルである。この優先順位設定テーブルがLCD16に表示されている場合に、ユーザは、ボタン操作を行うことで、SSIDの優先順位を指定することができる。
【0096】
例えば、矢印ボタンなどでSSIDが指定された順番に、各SSIDに高い優先順位が付与される。より具体的には、図6に示す優先順位設定テーブルにおいて、矢印ボタンなどでSSIDが「AAA」→「EEE」→「DCL」→「BBB」→「CCC」という順番で指定されると、SSID「AAA」の優先順位が「1」と設定され、SSID「EEE」の優先順位が「2」と設定され、「DCL」の優先順位が「3」と設定され、以後は同様に、優先順位が設定される。
【0097】
ここで図5に戻り、説明を続ける。S4の処理において、ユーザによる入力操作が終了した場合は(S4:Yes)、優先順位設定テーブルにおいて、優先順位の高いSSIDを含む通信状況リストから順番に、全ての通信状況リストに優先順位を付与した優先順位テーブルAを作成し、RAM13の優先順位テーブルAメモリ13e1に記憶する(S6)。
【0098】
次に、RAM13の優先順位テーブルAメモリ13e1に記憶される優先順位テーブルAにおいて、RAM13のSSIDメモリ13bに記憶されているSSIDを含む優先順位リストの優先順位を、DCL優先順位リストよりも低くした優先順位テーブルBを作成し、RAM13の優先順位テーブルBメモリ13e2に記憶する(S7)。
【0099】
次に、LCD16に、「自機で無線LANが使用されていない時には、自機と同一のSSIDが送信されるLAN無線通信200の電波干渉を抑制するよりも、DCL無線通信300の電波干渉を優先して抑制しますか?」と表示する(S8)。
【0100】
そして、「はい」ボタンが押下されたかを判定し(S9)、「はい」ボタンが押下された場合は(S9:Yes)、RAM13のDCL順位変更フラグメモリ13fに記憶されるDCL順位変更フラグをオンに設定し(S10)、この優先順位設定処理を終了する。
一方、その他のボタンが押下された場合は(S9:No)、RAM13のDCL順位変更フラグメモリ13fに記憶されるDCL順位変更フラグをオフに設定し(S11)、この優先順位設定処理を終了する。
【0101】
以上の図5のフローチャートの優先順位設定処理により、ユーザにより操作ボタン15の優先順位設定ボタン15aが押下された場合に、優先順位選定テーブルAまたは優先順位選定テーブルBを作成でき、ユーザのボタン操作に従ってDCL順位変更フラグの状態を設定することができる。
【0102】
また、LCD16には、MFP1周辺で行われているLAN無線通信200の通信状況が一覧表示されるので、ユーザは、その表示を見ながらDCL無線通信300よりも優先順位を高くするLAN無線通信200を指定することができ、使い勝手がよい。
【0103】
次に、図7を参照して、MFP1のCPU11により実行される通信チャンネル選定処理について説明する。図7は、MFP1の通信チャンネル選定処理を示すフローチャートである。この通信チャンネル選定処理は、DCL通信制御回路19とDCL子機61との間で無線通信300を開始するための処理であり、MFP1とDCL子機61との間、または、電話回線網100に接続される外部装置(図示しない)とDCL子機61との間で、通話が開始される場合に実行される処理である。
【0104】
この通信チャンネル選定処理では、まず、RAM13の優先順位テーブルAメモリ13e1に優先順位テーブルA、および、優先順位テーブルBメモリ13e2に優先順位テーブルBが記憶されているかを判定し(S21)、優先順位テーブルAおよび優先テーブルBが記憶されていない場合は(S21:No)、優先順位テーブルAメモリ13e1および優先順位テーブルBメモリ13e2を初期化する(S22)。より具体的には、DCL優先順位リストのみで構成される優先順位テーブルAおよび優先順位テーブルBを作成し、その作成した優先順位テーブルAを優先順位テーブルAメモリ13e1に記憶し、その作成した優先順位テーブルBを優先順位テーブルBメモリ13e2に記憶する。
【0105】
S21の処理において、優先順位テーブルAメモリ13e1に優先順位テーブルA、および、優先順位テーブルBメモリ13e2に優先順位テーブルBが記憶されている場合は(S21:Yes)、S22の処理をスキップして、S23の処理へ移行する。
【0106】
そして、DCLチャンネル選定処理を実行する(S23)。詳細については後述するが(図8参照)、DCLチャンネル選定処理(S23)は、優先順位テーブルAまたは優先順位テーブルBの優先順位に基づいて、89のDCLチャンネル(dch1〜dch89)の中から、優先順位の高い優先順位リストに含まれる無線LANチャンネル(wch1〜wch14)との電波干渉が抑制される45のDCLチャンネルを選択する処理である。このDCLチャンネル選定処理(S23)が実行されると、選択された45のDCLチャンネルが、RAM13のDCLチャンネルメモリ13cに記憶される。
【0107】
次に、RAM13のDCLチャンネルメモリ13cに記憶されている全て(45個)のDCLチャンネルをDCL子機61へ通知し(S24)、DCL子機61との間で無線通信300を開始して(S25)、この通信チャンネル選定処理を終了する。
【0108】
次に、図8および図9を参照して、MFP1のCPU11により実行されるDCLチャンネル選定処理(S23)について説明する。図8は、MFP1のDCLチャンネル選定処理(S23)を示すフローチャートである。図9(a)は、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13gに記憶されるDCLチャンネル選定テーブルの内容の一例を模式的に示した模式図である。図9(b)は、DCLチャンネルメモリ13cに記憶されるDCLチャンネルの内容の一例を模式的に示した模式図である。
【0109】
図8に示すDCLチャンネル選定処理(S23)は、優先順位テーブルAまたは優先順位テーブルBの優先順位に基づいて、89のDCLチャンネル(dch1〜dch89)の中から、優先順位の高い優先順位リストに含まれる無線LANチャンネル(wch1〜wch14)との電波干渉が抑制される45のDCLチャンネルを選択する処理である。
【0110】
このDCLチャンネル選定処理(S23)では、まず、RAM13のDCL順位変更フラグメモリ13fに記憶されているDCL順位変更フラグがオンであるかを判定し(S31)、DCL順位変更フラグメモリ13fのDCL順位変更フラグがオフである場合は(S31:No)、RAM13の優先順位テーブルAメモリ13e1から優先順位テーブルAを取得する(S33)。
【0111】
S31の処理において、DCL順位変更フラグがオンである場合は(S31:Yes)、RAM13の無線LANチャンネルメモリ13aに無線LANチャンネルが記憶されているかを判定する(S32)。ここで、無線LANチャンネルメモリ13aに無線LANチャンネルが記憶されている場合は、無線LAN通信制御回路17とAP51との間でLAN無線通信200が行われている状態であることを示し、一方、無線LANチャンネルが記憶されていない場合は、AP51との間でLAN無線通信200が行われていない状態であることを示す。
【0112】
S32の処理において、無線LANチャンネルメモリ13aに無線LANチャンネルが記憶されている場合は(S32:Yes)、S33の処理に移行する。一方、無線LANチャンネルメモリ13aに無線LANチャンネルが記憶されていない場合は(S32:No)、RAM13の優先順位テーブルBメモリ13e2から優先順位テーブルBを取得する(S34)。
【0113】
次に、RAM13のDCLチャンネル選定テーブルメモリ13gを初期化する(S35)。具体的には、DCLチャンネル選定テーブルにおいて、全ての(89の)DCLチャンネルのステータス値を「○(使用可能)」に設定する。次に、S33またはS34の処理で取得した一方の優先順位テーブルA(優先順位テーブルB)において、DCL優先順位リストよりも優先順位が高い優先順位リストを全て抽出する(S36)。
【0114】
そして、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13gのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、S36の処理で抽出した全ての優先順位リストについて、その優先順位リストに含まれている無線LANチャンネルと帯域が重複する全てのDCLチャンネルのステータス値を「×(使用不可)」に設定する(S37)。
【0115】
ここで、一例として、DCL順位変更フラグがオフである場合の処理について説明する。DCL順位変更フラグがオフである場合は、優先順位テーブルAメモリ13e1から優先順位テーブルAを取得する。取得した優先順位テーブルAの内容が、図3(b)に示す状態であれば、この優先順位テーブルAの中から、DCL優先順位リスト(4,DCL,−、−)よりも優先順位が高い優先順位リストとして、優先順位リスト(1,AAA,wch13,5)と、優先順位リスト(2,AAA,wch1,3)と、優先順位リスト(3,EEE,wch7,4)とを抽出する。
【0116】
そして、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13gのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、抽出した優先順位リストに含まれている各無線LANチャンネル(wch13、wch1、wch7)と帯域が重複するDCLチャンネルのステータス値を「×(使用不可)」に設定する。従って、無線LANチャンネル「wch13」と帯域が重複するDCLチャンネル「dch70〜dch80」のステータス値と、無線LANチャンネル「wch1」と帯域が重複するDCLチャンネル「dch4〜dch25」のステータス値と、無線LANチャンネル「wch7」と帯域が重複するDCLチャンネル「dch37〜dch58」のステータス値を、それぞれ「×(使用不可)」に設定する。
【0117】
次に、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13gのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、ステータス値が「○(使用可能)」であるDCLチャンネルの数が「45ch」以上あるかを判定する(S38)。
【0118】
S38の処理において、ステータス値が「○(使用可能)」であるDCLチャンネルの数が「45ch」未満である場合は(S38:No)、S33またはS34の処理で取得した一方の優先順位テーブルA(B)において、DCL優先順位リストの優先順位を1つ高く設定し(S39)、S35の処理に戻り、上述したS35〜S39の処理を繰り返す。
【0119】
例えば、DCLチャンネル選定テーブルにおいて、DCLチャンネル「dch4〜dch25」と、DCLチャンネル「dch37〜dch58」と、DCLチャンネル「dch70〜dch89」とのステータス値が「×(使用不可)」に設定されていれば、ステータス値が「○(使用可能)」であるDCLチャンネルの数が「25ch」となる。
【0120】
この状態では、DCLチャンネルの残数が「25ch」となり、残数が「45ch」未満であるため、抽出した優先順位テーブルAにおいて、DCL優先順位リストの優先順位を1つ高く設定し、これまでDCL優先順位リストより優先順位が1つ高かった優先順位リストの優先順位を1つ低く設定する。つまり、DCL優先順位リスト(4,DCL,−,−)を、DCL優先順位リスト(3,DCL,−,−)と設定し、優先順位リスト(3,EEE,7,4)を、優先順位リスト(4,EEE,7,4)と設定する。
【0121】
そして、再度、DCLチャンネル選定テーブルを初期化し、S35〜S37の処理を実行する。すると、図9(a)に示すように、DCLチャンネル選定テーブルは、DCLチャンネル「dch4〜dch25」のステータス値と、DCLチャンネル「dch70〜dch89」のステータス値とが「×(使用不可)」に設定されるので、ステータス値が「○(使用可能)」であるDCLチャンネルの残数が「47ch」となる。
【0122】
S38の処理において、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13gのDCLチャンネル選定テーブルにおいて、ステータス値が「○(使用可能)」であるDCLチャンネルの数が「45ch」以上である場合は(S38:Yes)、何れの無線LANチャンネル(wch1〜wch14)とも帯域が重複しない3のDCLチャンネル「dch1〜dch3」を、RAM13のDCLチャンネルメモリ13cに記憶する(S40)。
【0123】
次に、DCLチャンネル選定テーブルメモリ13gのDCLチャンネル選定テーブルにおいてステータス値が「○(使用可能)」に設定されているDCLチャンネルの中から、S33またはS34の処理で取得した一方の優先順位テーブルA(優先順位テーブルB)の中で優先順位が低い優先順位リスト順に、その優先順位リストに含まれている無線LANチャンネルに対応(重複)するDCLチャンネルを選出して、42のDCLチャンネルを決定し、既に記憶されている3のDCLチャンネルに加えて、その決定した42のDCLチャンネルをRAM13のDCLチャンネルメモリ13cに記憶する(S40)。すなわち、DCLチャンネルメモリ13cには、合計45のDCLチャンネルが記憶されることになる。そして、このDCLチャンネル選定処理を終了する。
【0124】
ここで、DCLチャンネルメモリ13cに記憶される45のDCLチャンネルについて説明する。例えば、DCLチャンネル選定テーブルが図9(a)に示す状態であるとする。また、取得した優先順位テーブルAの内容が、図3(b)に示す状態から変更され、DCL優先順位リスト(4,DCL,−,−)が、DCL優先順位リスト(3,DCL,−,−)と設定され、優先順位リスト(3,EEE,7,4)が、優先順位リスト(4,EEE,7,4)と設定された状態とする。すなわち、この状態では、DCLチャンネル選定テーブルにおいて、DCLチャンネル「dch1〜dch3,dch26〜dch69」のステータス値が「○(使用可能)」と設定される。
【0125】
そして、まず始めに、3のDCLチャンネル「dch1〜dch3」を、RAM13のDCLチャンネルメモリ13cに記憶する。次に、最も優先順位の低い優先順位リスト(8,BBB,wch1,5)を参照するが、この優先順位リストに含まれる無線LANチャンネル「wch1」と帯域が重複するDCLチャンネル「dch4〜dch25」は、全てステータス値が「×(使用不可)」と設定されているので、選出できるDCLチャンネルは存在しない。
【0126】
次に、優先順位リスト(7,CCC,wch4,6)を参照し、この優先順位リストに含まれる無線LANチャンネル「wch4」と帯域が重複するDCLチャンネル「dch20〜dch41」の中から、ステータス値が「○(使用可能)」である16のDCLチャンネル「dch26〜dch41」を選出する。
【0127】
以下同様に、優先順位リスト(6,BBB,wch7,7)を参照し、既に選出されたDCLチャンネルを除き、ステータス値が「○(使用可能)」である17のDCLチャンネル「dch42〜dch58」を選出し、優先順位リスト(5,CCC,wch9,8)を参照し、既に選出されたDCLチャンネルを除き、ステータス値が「○(使用可能)」である9のDCLチャンネル「dch59〜dch67」を選出する。
【0128】
このように、DCLチャンネル選出テーブルの内容に基づいて、42のDCLチャンネルを選出し、先に記憶された3のDCLチャンネルに加えて、合計45のDCLチャンネルを、RAM13のDCLチャンネルメモリ13cに記憶する。
【0129】
以上の図8のフローチャートのDCL通信チャンネル選定処理により、優先順位テーブルA(または、優先順位テーブルB)の中のDCL優先順位リストを基準とし、優先順位が高い優先順位リストに含まれる無線LANチャンネルが全て抽出される。そして、抽出された各無線LANチャンネルと帯域が重複するDCLチャンネルを、89のDCLチャンネル(dch1〜dch89)の中から除外し、その除外したDCLチャンネルの中から45のDCLチャンネルが選定される。よって、DCL無線通信300で使用される帯域と、優先順位の高い優先順位リストに対応するLAN無線通信200で使用される帯域とが重複する可能性を低くすることができる。従って、MFP1は、優先順位の高い優先順位リストに対応するLAN無線通信200と電波干渉する可能性を低くして、DCL子機61との間でDCL無線通信300を行うことができる。
【0130】
また、DCLチャンネル選定テーブルの中から45のDCLチャンネルが選出される場合には、始めに、DCLチャンネル選定テーブルの全てのDCLチャンネルのステータス値が「○(使用可能)」に初期化され、そして、抽出された各無線LANチャンネルと帯域が重複するDCLチャンネルのステータス値が「×(使用不可)」に設定される。
【0131】
つまり、残存するDCLチャンネルの中には、予め、LAN無線通信200において使用されていない無線LANチャンネルと帯域が重複するDCLチャンネルが含まれることになる。LAN無線通信200において使用されていない無線LANチャンネルとは、受信電界強度が検出できなかった無線LANチャンネルであるので、その帯域と重複するDCLチャンネルは、言うまでもなく電波干渉する可能性が低い。よって、MFP1は、電波干渉する可能性が低いDCLチャンネルがより多く含まれるDCLチャンネルの中から、45のDCLチャンネルを選定することができるので、優先順位の高い優先順位リストに対応するLAN無線通信200と電波干渉する可能性をさらに低くして、DCL子機61との間でDCL無線通信300を行うことができる。
【0132】
また、無線LAN通信制御回路17とAP51との間で、LAN無線通信200が行われていない場合には、無線LAN通信制御回路17により送信されるSSIDと同一のSSIDが含まれている優先順位リストの優先順位を、DCL優先順位リストより下に移動させたテーブルである優先順位テーブルBに基づいて、45のDCLチャンネルが選定される。優先順位テーブルBを使用すると、残存するDCLチャンネルの数を増加させることができるので、電波干渉する可能性が低いDCLチャンネルが、残存するDCLチャンネルの中に含まれる可能性を高くすることができる。
【0133】
また、DCLチャンネル選定テーブルの中から45のDCLチャンネルが選出される場合には、DCL優先順位リストより優先順位が低い優先順位リストの中で、優先順位の低い優先順位リスト順に、その優先順位リストに含まれる無線LANチャンネルに対応するDCLチャンネルが選出される。よって、MFP1は、DCL優先順位リストより優先順位が低い優先順位リストが複数ある場合でも、その中で優先順位の高い優先順位リストに対応するLAN無線通信200に対するほど、電波干渉する可能性を低くして、DCL子機61との間でDCL無線通信300を行うことができる。
【0134】
また、優先順位テーブルAおよび優先順位テーブルBにおいて、DCL優先順位リストより優先順位が低い優先順位リストは、受信電界強度が強い順に高い優先順位に設定されている。そして、DCLチャンネル選定テーブルの中から45のDCLチャンネルが選出される場合には、優先順位の低い優先順位リスト順に、その優先順位リストに含まれる無線LANチャンネルに対応するDCLチャンネルが、45のDCLチャンネルとして選出される。よって、MFP1は、優先順位の高い優先順位リストに対応するLAN無線通信200に対するほど、電波干渉する可能性を低くして、DCL子機61との間でDCL無線通信300を行うことができる。
【0135】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0136】
例えば、本実施形態のMFP1は、無線LAN通信制御回路17と、DCL通信制御回路19とを備えた構成であるが、無線LAN通信制御回路17の代わりに、DCL通信制御回路19と同じ周波数帯域を使用して無線通信を行うその他の通信制御回路(例えば、Bluetooth(登録商標)通信制御回路)であっても良い。もちろん、無線LAN通信制御回路17と、その他の通信制御回路と、DCL通信制御回路19とを備えた構成であっても良い。そして、このような場合でも、MFP1に、その他の通信制御回路が無線通信に使用するチャンネルの使用状況を取得する回路を設けて、取得した各無線通信に優先順位を設定することにより、優先順位の高い無線通信との電波干渉を抑制しつつ、DCL子機61との間で、DCL無線通信300を行うことができる。
【0137】
また、本実施形態は、2.4GHz帯の一部または全部を使用した無線通信の電波干渉を抑制または低下させるものであるが、例えば、5GHz帯や、2.5GHz帯など、他の周波数帯域を使用する無線通信においても適用することができる。
【0138】
また、本実施形態では、ユーザにより操作ボタン15の優先順位設定ボタン15aが押下された場合に、図5の優先順位設定処理が実行され、優先順位テーブルAおよび優先順位テーブルBが作成されるが、定期的(例えば、数分毎)にMFP1周辺で行われているLAN無線通信200の通信状況を取得し、通信状況が変化していた場合には、優先順位テーブルAおよび優先順位テーブルBが更新されるように構成しても良い。AP51は、LAN無線通信200に使用する一の無線LANチャンネルを、電波干渉の状態などに応じて変更するように構成されているので、AP51によって、優先順位の高いLAN無線通信200に使用されている無線LANチャンネルが変更されると、優先順位の高い無線LAN通信200に対して電波干渉を抑制できなくなる。そのような場合でも、通信状況の変化に対応して優先順位テーブルAおよび優先順位テーブルBを更新することで、優先順位の高い無線LAN通信200に対して、電波干渉が抑制される45のDCLチャンネルを選定することができる。
【0139】
また、本実施形態のDCLチャンネル選定処理(図8参照)の変形例として、MFP1の無線LANチャンネルメモリ13aに無線LANチャンネルが記憶されている場合に、DCLチャンネル選定テーブルにおいて、その記憶されている無線LANチャンネルと帯域が重複する全てのDCLチャンネルのステータス値を「×(使用不可)」と設定するように構成しても良い。そうすることにより、MFP1は、無線LAN通信制御回路17が行う無線LAN通信200との電波干渉を抑制する45のDCLチャンネルを選定することができるので、MFP1が有する無線LAN通信制御回路17とDCL通信制御回路19とにより電波干渉が生じることを抑制しつつ、DCL子機61との間で、DCL無線通信300を行うことができる。
【0140】
また、本実施形態では、ユーザによって指定されるSSIDの優先順位に基づいて、優先順位テーブルAおよび優先順位テーブルBが作成されるが、ユーザが直接、優先順位リストの優先順位を設定できるように構成しても良い。
【0141】
また、本実施形態では、MFP1が主通信装置の機能を有し、DCL子機61が副通信装置の機能を有しているが、DCL子機31が主通信装置の機能を有し、MFP1が副通信装置の機能を有していても良い。
【0142】
また、本実施形態の優先順位テーブルBは、優先順位テーブルAにおいて、無線LAN通信制御回路17により送信されるSSIDと同一のSSIDが含まれている優先順位リストの優先順位を、DCL優先順位リストより下に移動させたテーブルであるが、優先順位テーブルAにおいて、無線LAN通信制御回路17により行われるLAN無線通信200に対応する優先順位リストのみを、DCL優先順位リストより下に移動させたテーブルであっても良い。つまり、この優先順位テーブルBは、無線LAN通信制御回路17により行われるLAN無線通信200に対応する通信状況リストを除き、各通信状況リストの優先順位を、ユーザがボタン操作により指定したSSIDの優先順位に従って設定したテーブルとなる。よって、無線LAN通信制御回路17によりLAN無線通信200が行われない場合でも、ユーザがボタン操作により指定したSSIDの優先順位に従って、各優先順位リストの優先順位を設定ことができる。従って、ユーザがボタン操作により指定したSSIDの優先順位に従って設定された優先順位の高い無線通信との電波干渉を抑制しつつ、DCL子機61との間で、DCL無線通信300を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の実施形態における主通信装置を有したMFPと、APと、DCL子機との電気的構成を示したブロック図である。
【図2】チャンネル対応テーブルの内容を模式的に示した模式図である。
【図3】(a)は、通信状況テーブルの内容を模式的に示した模式図であり、(b)は、優先順位テーブルAの内容を模式的に示した模式図である。
【図4】優先順位テーブルBの内容を模式的に示した模式図である。
【図5】MFPの優先順位設定処理を示すフローチャートである。
【図6】優先順位設定テーブルの内容を模式的に示した模式図である。
【図7】MFPの通信チャンネル選定処理を示すフローチャートである。
【図8】MFPのDCLチャンネル選定処理を示すフローチャートである。
【図9】(a)は、DCLチャンネル選定テーブルの内容の一例を模式的に示した模式図であり、(b)は、DCLチャンネルメモリの内容の一例を模式的に示した模式図である。
【図10】無線LANおよびDCLで使用される周波数帯域及び周波数チャンネルを示した概略図である。
【符号の説明】
【0144】
dch1〜dch89 DCLチャンネル(第1無線チャンネルの一例)
wch1〜wch14 無線LANチャンネル(第2無線チャンネルの一例)
1 MFP(主通信装置の一例)
17 無線LAN通信制御回路(第2無線通信手段の一例)
17a 通信状況取得回路(状況検出手段の一例)
19 DCL通信制御回路(チャンネル決定手段の一例、第1無線通信手段の一例)
61 DCL子機(副通信装置の一例)
51 AP(外部の通信装置の一例)
S3 表示手段の一例
S4,S5 操作取得手段の一例
S6 第1設定手段の一例
S23 選定手段の一例
S25 通信実行手段の一例
S32 第2判定手段の一例
S33 第3設定手段の一例
S34 優先チャンネル取得手段の一例
S36,S37 第1除外手段の一例
S38 第1判定手段の一例
S39 第2設定手段の一例
S41 低チャンネル取得手段の一例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数帯域を複数に区分けした一の帯域を個別に示す第1無線チャンネルを複数使用して副通信装置との間で無線通信を行う第1無線通信手段を備えた主通信装置において、
外部の通信装置が無線通信に使用する無線チャンネルであって、前記所定の周波数帯域のうち連続する前記第1無線チャンネルの帯域を含んで一の無線チャンネルが構成される第2無線チャンネルであり、その第2無線チャンネルの使用状況を検出する状況検出手段と、
その状況検出手段により検出される第2無線チャンネルを使用して行われる無線通信の中で、前記第1無線通信手段が行う無線通信を基準とし、その基準よりも優先度の高い無線通信を設定する第1設定手段と、
その第1設定手段により設定される無線通信に基づいて、電波の相互作用の影響が少ない所定数の第1無線チャンネルを、前記複数の第1無線チャンネルの中から選定する選定手段と、
その選定手段により選定された前記所定数の第1無線チャンネルの一つを第1周期毎に決定するチャンネル決定手段と、
そのチャンネル決定手段により決定された第1無線チャンネルを使用して前記副通信装置との間で無線通信を実行する通信実行手段とを備えていることを特徴とする主通信装置。
【請求項2】
前記外部の通信装置は、前記第2無線チャンネルを使用して無線通信を行う場合に、その無線通信を識別する識別情報を含む無線信号を送信するように構成され、
前記状況検出手段は、前記第2無線チャンネルの使用状況として、前記第2無線チャンネルによる無線通信で送信される識別情報を検出するものであり、
前記状況検出手段により検出される識別情報に応じた表示を行う表示手段と、
その表示手段に表示された識別情報に応じた表示の中から、ユーザ操作により指示された識別情報を取得する操作取得手段とを備え、
前記第1設定手段は、
前記第2無線チャンネルを使用して行われる無線通信の中で、前記操作取得手段により取得される識別情報により識別される無線通信を、前記基準よりも優先度の高い無線通信に設定することを特徴とする請求項1記載の主通信装置。
【請求項3】
前記第1設定手段は、前記第1無線通信手段が行う無線通信を基準とし、その基準よりも優先度の高い無線通信に順位を付けて設定するものであり、
前記選定手段は、
前記優先度の順位が高い無線通信順に、その無線通信で使用される第2無線チャンネルを取得する優先チャンネル取得手段と、
その優先チャンネル取得手段により取得される第2無線チャンネルに含まれる第1無線チャンネルを、前記複数の第1無線チャンネルの中から除外する第1除外手段とを備え、
前記第1除外手段により除外される場合に残存する第1無線チャンネルの中から所定数の第1無線チャンネルを選定することを特徴とする請求項1または2記載の主通信装置。
【請求項4】
前記第1設定手段は、
前記第1除外手段により除外される場合に残存する第1無線チャンネルの残数が前記所定数以上であるかを判定する第1判定手段と、
その第1判定手段により前記第1無線チャンネルの残数が前記所定数未満であると判定される場合に、その第1無線チャンネルの残数が前記所定数以上となるまで、前記基準よりも優先度の高い無線通信の中で前記優先度の順位が低い無線通信を、前記基準よりも優先度が低い無線通信に設定する第2設定手段とを備えていることを特徴とする請求項3記載の主通信装置。
【請求項5】
前記状況検出手段は、前記第2無線チャンネルの使用状況を定期的に検出するものであり、
前記第1設定手段は、前記状況検出手段により検出される前記第2無線チャンネルの使用状況が変化した場合に、再度、前記基準よりも優先度の高い無線通信を設定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の主通信装置。
【請求項6】
前記外部の通信装置との間で前記第2無線チャンネルを使用して無線通信を行う第2無線通信手段と、
その第2無線通信手段が前記外部の通信装置との無線通信に使用する第2無線チャンネルを取得するチャンネル取得手段とを備え、
前記選定手段は、
前記チャンネル取得手段により取得される第2無線チャンネルに含まれる第1無線チャンネルを前記複数の第1無線チャンネルから除外する第2除外手段を備え、
前記第2除外手段により除外された場合に残存する第1無線チャンネルの中から前記所定数の第1無線チャンネルを選定することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の主通信装置。
【請求項7】
前記第1設定手段は、
前記第2無線チャンネルによる無線通信が行われているかを判定する第2判定手段と、
その第2判定手段により前記第2無線チャンネルによる無線通信が行われていないと判定された無線通信を、前記基準よりも優先度が低い無線通信に設定する第3設定手段とを備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の主通信装置。
【請求項8】
前記第1設定手段は、前記第1無線通信手段が行う無線通信を基準とし、その基準よりも優先度の低い無線通信に順位を付けて設定するものであり、
前記選定手段は、
前記優先度の順位が低い無線通信順に、その無線通信で使用される第2無線チャンネルを取得する低チャンネル取得手段を備え、
低チャンネル取得手段により取得される第2無線チャンネルに含まれる第1無線チャンネルを優先して、前記所定数の第1無線チャンネルに選定することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の主通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−246901(P2009−246901A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94277(P2008−94277)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】