説明

乗員検知装置

【課題】電極と検出回路との間を同軸ケーブルを使用することなく接続し、かつその接続電線部分で測定される容量を極力小さくする。
【解決手段】座席に配置される検出電極2からの信号によって乗員の着座を検知する乗員検知装置において、絶縁フィルム5の上に、前記検出電極2と、該検出電極2を検出回路部4に接続する信号用導体6と、該信号用導体6よりも大きい面積を有し信号用導体6上に電気的絶縁状態で重ね合わせられるシールド電極7とが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員の座席への着座状態を判別するための乗員検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員検知装置、特に自動車の助手席用の検知装置については、歪ゲージによる重量センサを用いたものや、微弱電界(EF:ElectricField)技術を使ったもの等が知られている(例えば、特許文献1参照)。この内、EF技術を使用したものについては、次のようなものがある。図13に示すように、座席上に電極61を配置し、交流電圧を印加する。この電極61の上に着座する人体を誘電体(以下Loadと称す)とみなし、電極61とLoadとの間に形成される容量CLを測定する。このとき、容量CLが発生していれば、座席に乗員が座っていることを示し、Loadの大きさ、すなわち誘電体の大きさが大きいほど容量CLの値は大きくなるので、測定された容量CLの値から、座席上の乗員の着座状態が予想される。
【0003】
従来の技術においては、座席上の電極61に対して、発振器62と、電流制限抵抗63と、電流検出回路64などとからなる検出回路65がケーブル66により接続されているが、このケーブル66に誘電体が近づくと、その分、測定容量が増加することになる。ところが、電極61で測定されている容量か、あるいは電極61と検出回路65を結ぶケーブル66によって測定されている容量かを区別する有効な手段はなく、そのため、従来技術では、ケーブル66による容量変化を極力小さくするため、該ケーブル66に同軸ケーブルを使用していた。
【特許文献1】特開2004−123087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ケーブル66に同軸ケーブルを用いると、ケーブル66と検出回路65とを接続するためのコネクタ端子へケーブル66を接続する場合、1本のケーブル66の芯線部分と、シールド部分、双方に対して端子処理の作業を行う必要があり、その作業性が悪いものとなっていた。
【0005】
本発明はかかる課題を解決するためになされたもので、電極と検出回路との間を同軸ケーブルを使用することなく接続し、かつその接続線部分で測定される容量を極力小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の乗員検知装置は、座席に配置される検出電極からの信号によって乗員の着座を検知する乗員検知装置において、絶縁フィルムの上に、前記検出電極と、該検出電極を検出回路部に接続する信号用導体と、該信号用導体よりも大きい面積を有し信号用導体上に電気的絶縁状態で重ね合わせられるシールド電極とが形成されてなることを特徴とする。
すなわち、信号用導体とシールド電極とを絶縁フィルムの上に形成して重ね合わせるという簡単な構造により、信号用導体のシールド構造を構築することができる。
【0007】
この重ね合わせ構造としては、前記絶縁フィルムの一方の面に前記信号用導体が形成され、他方の面に前記シールド電極が形成されている構成としてもよく、誘電体が接近する可能性のある面にシールド電極を配置すればよい。
また、前記絶縁フィルムの一方の面に前記信号用導体及び前記シールド電極が形成されるとともに、前記信号用導体に平行な折り曲げ線から絶縁フィルムが折り畳まれることにより前記信号用導体にシールド電極が重ね合わせられている構成としてもよい。
この構成では、絶縁フィルムの一方の面に信号用導体とシールド電極とが形成されているので、これら信号用導体及びシールド電極を絶縁フィルムの片面からの印刷等によって容易に製造することができ、また、単に絶縁フィルムを折り畳む作業でシールド構造とすることができ、作業性が良い。
【0008】
また、本発明の乗員検知装置において、前記シールド電極は、前記絶縁フィルムの展開状態において前記信号用導体の両側に該信号用導体に沿ってそれぞれ形成され、この信号用導体と各シールド電極との間の折り曲げ線から絶縁フィルムが折り畳まれるとともに、その一方の折り曲げ線は谷折りとされ、他方の折り曲げ線は山折りとされていることにより、絶縁フィルムが折り畳まれた状態で前記信号用導体の表面及び裏面にそれぞれシールド電極が配置されていることを特徴とする。
この構成の場合は、絶縁フィルムの片面に印刷等によって信号用導体及びシールド電極を形成した後、信号用導体の両側で絶縁フィルムを折り畳むことにより、信号用導体の表裏両面をシールドすることができる。
【0009】
また、本発明の乗員検知装置において、前記シールド電極は、前記絶縁フィルムの展開状態において前記信号用導体の一方の側に並んで複数配置され、前記絶縁フィルムは、信号用導体にシールド電極を重ねながら該シールド電極を巻き込むように折り畳まれることにより、信号用導体の表面及び裏面にそれぞれシールド電極が配置されていることを特徴とする。
この構成の場合も、絶縁フィルムの片面に印刷等によって信号用導体及びシールド電極を形成した後、信号用導体の両側で絶縁フィルムを折り畳むことにより、信号用導体の表裏両面をシールドすることができる。
【0010】
また、前記信号用導体の両側に、該信号用導体に平行に配置されたシールド用導体が形成されている構成としてもよく、シールド電極による信号用導体の表裏面からのシールドに加え、信号用導体の左右方向にもシールドすることができる。
【0011】
なお、信号用導体にシールド電極を電気的絶縁状態で重ね合わせる構造とする場合、信号用導体が形成されている面を山折り状態として信号用導体の裏側にシールド電極を重ね合わせるように絶縁フィルムを折り畳む構造の場合は、信号用導体とシールド電極との間に絶縁フィルムが介在して電気的絶縁状態とすることができるが、谷折り状態として信号用導体の表側にシールド電極を重ね合わせるように絶縁フィルムを折り畳む構造の場合は、折り曲げ線の両側に信号用導体とシールド電極とが配置されていると、そのまま重ね合わせたのでは電気的絶縁状態とすることはできないので、信号用導体の表面に絶縁被覆する、あるいは、信号用導体及びシールド導体の両方に絶縁被覆する等の構造とするか、折り畳んだ間に絶縁シートを差し込むなどの方法により、電気的絶縁状態とすることが行われる。
また、信号用導体の側方にシールド電極が存在しないブランク部を形成しておき、このブランク部を信号用導体に重ね合わせた後に、その上からシールド導体を重ね合わせる構成とすることも可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の乗員検知装置によれば、信号用導体とシールド電極とを絶縁フィルムの上に形成して重ね合わせるという簡単な構造により、信号用導体のシールド構造を構築することができるので、この信号用導体によって検出電極と検出回路部とを従来のような同軸ケーブルを使用することなく接続し、かつその接続導体部分で測定される容量を極力小さくすることができ、
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1から図3は第1実施形態の乗員検知装置を示している。この乗員検知装置1は、座席に配置される検出電極2を備えるセンサ部3と、その検出電極2からの信号によって乗員の着座状態を検知する検出回路部4とから構成されている。
【0014】
前記センサ部3は、図3に示すように、1枚の絶縁フィルム5上に、検出電極2と、該検出電極2を検出回路部4に接続する信号用導体6と、該信号用導体6と並んで配置されたシールド電極7とが形成され、信号用導体6とシールド電極7との間の折り曲げ線から絶縁フィルム5が折り畳まれることにより、信号用導体6の上にシールド電極7が重ね合わせられた構成とされている。
【0015】
前記絶縁フィルム5は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂からなり、数十μm〜150μm程度の厚さに設定されている。図3(a)に第1実施形態のセンサ部3の展開状態を示しているが、その絶縁フィルム5は、やや長尺な短冊部8A・8Bを直角に一体化して、平面視L字状に形成した構成とされている。
前記検出電極2、信号用導体6及びシールド電極7は、絶縁フィルム5上に貼り付けた銅箔をエッチングする、あるいは、絶縁フィルム5上に銀等からなる導電性ペーストを印刷する、などの方法によって形成される。
【0016】
そして、L字状をなしている絶縁フィルム5の一方の短冊部8Aに、その周辺部を除いて前記検出電極2がほぼ全面に形成され、他方の短冊部8Bには、検出電極2の端部から引き出された細幅の前記信号用導体6が該短冊部8Bの長さ方向に沿って形成されている。この場合、信号用導体6は、短冊部8Bの幅方向の中心位置に対して若干一側部寄りに配置されており、その中心位置を介して反対側の側部には、信号用導体6の平面視での面積よりも大きい面積、この例では短冊部8Bの幅の半分より若干小さい幅寸法の前記シールド電極7が信号用導体6と間隔をおいて該信号用導体6の長さ方向に沿って形成されている。
【0017】
そして、信号用導体6を覆うように絶縁被覆9が施されるとともに、前記短冊部8Bの幅方向の中心位置、つまり信号用導体6とシールド電極7との間の中間位置を谷折りの折り曲げ線Xとして、該短冊部8Bが図3(b)の矢印で示すように二つに折り畳まれることにより、信号用導体6の上にシールド電極7が重ね合わせられている。
また、この折り畳み状態で絶縁フィルム5から突出するように信号用導体6及びシールド電極7から引き出し線11・12が設けられており、これら引き出し線11・12に前記検出回路部4が接続されている。
【0018】
この検出回路部4は、ECU、電子制御ユニットとも称され、図1に示すように、高周波の交流信号を出力する発振器15の出力端に電流制限抵抗16が接続され、電流制限抵抗16の他端に信号用導体6からの引き出し線11が接続されるとともに、この信号用導体6にバッファ17が接続され、該バッファ17の出力端にCPU(中央処理装置)18が接続された構成とされている。また、電流制限抵抗16の前記他端には、増幅率1のアンプ19の入力部が接続されるとともに、該アンプ19の出力部に前記シールド電極7からの引き出し線12が接続されており、信号用導体6と同位相で同じ振幅の高周波が印加されることにより、信号用導体6とシールド電極7との間に容量が発生しないようになっている。
【0019】
このように構成した乗員検知装置1において、発振器15から出力された交流信号は、電流制限抵抗16を経由してバッファ17に伝送されるが、その途中で信号用導体6を介して接続されている検出電極2から乗員を通って大地に流れる。このときの検出電極2、乗員、大地の関係は、図13で示した電極61、乗員(Load)、大地GNDの関係と同じであり、以下では、本実施形態における検出電極2、人員、大地の関係の部分については、図13の電極61を検出電極2に置き換えてこの図13を参照することとする。
【0020】
この検出システムにおいては、検出電極2と乗員(Load)との間の容量CL、乗員(Load)と大地GNDとの間の容量Cg(以上、図13参照)、及び前記電流制限抵抗16が1次ローパスフィルタとして構成されることになり、この1次ローパスフィルタによって発振器15の出力信号がバッファ17の入力端においては減衰された状態となる。この減衰レベルは、前記容量CLと容量Cgとの合成容量Ctの値によって変化する。
ここで、バッファ17の入力端における電圧をVout、電流制限抵抗16の抵抗値をR、発振器15の発振周波数をω、出力電圧をVinとすると、
Vout=1/(1+jωCtR)×Vin
ω=2πf (ただし、fは交流の周波数)
の関係式が得られる。
よって、減衰レベルを求めることで合成容量Ctを求めることができる。
この合成容量はCt=(CL×Cg)/(CL+Cg)であり、乗員(Load)と大地GNDとの間の容量Cgの変化が小さいことから、合成容量Ctは、検出電極2と乗員(Load)との間の容量CLの変化によってのみ変化すると考えてよいので、乗員検知のための判断指標として使用することができる。
【0021】
このような乗員検知のシステムにおいて、検出電極2と検出回路部4とを接続している信号用導体6は、シールド電極7によって覆われ、これら信号用導体6とシールド電極7とに同位相の交流信号が流れていることから、両者の間で検出される容量はほぼ0になる。また、この信号用導体6の付近に他の導体が接近したとしても、シールド電極7によって覆われているため、このシールド電極7との間でのみ容量を形成することになり、信号用導体6は影響を受けることはない。
【0022】
したがって、この乗員検知装置1においては、検出電極2に接続されている信号用導体6がシールド電極7によってシールドされ、検出電極2に対する乗員(Load)を正確に検出することができる。そして、そのシールド構造が絶縁フィルム5に形成したシールド電極7を信号用導体6に重ねるようにして絶縁フィルム5を折り畳むだけの簡単な構造であり、その製作も容易であるとともに、同軸ケーブルのような煩雑な端末処理も不要で、組立作業性が著しく向上するものである。
【0023】
次に、図4から図6は第2実施形態の乗員検知装置を示している。以下の各実施形態において、第1実施形態と共通する部分には同一符号を付して説明を省略する。
この乗員検知装置21は、そのセンサ部22において、絶縁フィルム5の信号用導体6が形成されている短冊部8Bが図6(a)に示すように第1実施形態のものより幅広に形成され、該短冊部8Bに二つのシールド電極7・23が形成されている。両シールド電極7・23ともほぼ同じ大きさ、形状に形成されているが、そのうちの一方のシールド電極7は第1実施形態のものと同様に、信号用導体6の一側方に間隔をおいて形成され、他方のシールド電極23は、前記一方のシールド電極7に対して信号用導体6を介して反対側に形成されている。
【0024】
そして、前記一方のシールド電極7と信号用導体6との間、及び信号用導体6と他方のシールド電極23との間にそれぞれ折り曲げ線X・Yが設定され、両折り曲げ線X・Yから絶縁フィルム5が折り畳まれている。この場合、前記他方のシールド電極23と信号用導体6との間隔は、一方のシールド電極7と信号用導体6との間隔よりも大きく設定され、両折り曲げ線X・Yの間隔が他方のシールド電極23の幅寸法よりわずかに大きい寸法に設定されている。また、この他方のシールド電極23が形成されている絶縁フィルム5の部分では、検出電極2が形成されている短冊部8Aとの間に、短冊部8Bの側縁から折り曲げ線Yまで達するスリット24が形成されており、該折り曲げ線Yからの折り畳みの支障とならないようにされている。
【0025】
前記両折り曲げ線X・Yのうち、図6(a)の平面視で信号用導体6の左側に配置されている折り曲げ線Xは谷折りとされ、右側に配置されている折り曲げ線Yは山折りとされており、左側に配置されたシールド電極7が信号用導体6の上側に、一方、右側に配置されたシールド電極23が信号用導体6の下側にそれぞれ折り畳まれている。
そして、これら両シールド電極7・23に接続された引き出し線23・25が検出回路部4において発振器15に接続され、信号用導体6と同位相の交流信号が付与されるようになっている。
【0026】
このように構成した乗員検知装置21においては、信号用導体6は図5に示すように一対のシールド電極7・23によって表裏両面が覆われた状態となるので、表裏いずれの方向から誘電体が接近したとしても容量に影響を与えることはない。
【0027】
図7及び図8は第3実施形態の乗員検知装置におけるセンサ部を示している。この実施形態の乗員検知装置において、そのセンサ部31は、前記第2実施形態と同様に、信号用導体6の両側にシールド電極7・23が配置されているが、信号用導体6が両折り曲げ線X・Yの間の中央位置に配置され、該信号用導体6と両折り曲げ線X・Yとの間にそれぞれシールド導体32・33が信号用導体6と平行に形成されたものである。
【0028】
すなわち、この実施形態の乗員検知装置におけるセンサ部31では、その絶縁フィルム5は第2実施形態の図6に示す例と同様に折り畳まれるが、その折り畳み状態においては、図8に示すように、信号用導体6の表裏両面がシールド電極7・23によって覆われるとともに、信号用導体6の左右にもシールド導体32・33が配置されることになるから、信号用導体6の周囲が両シールド電極7・23及びシールド導体32・33によって囲まれた状態となり、いずれの方向から誘電体が接近しても容量への影響を抑制することができるものである。
【0029】
なお、両シールド導体32・33は絶縁フィルム5に印刷により形成され、これらシールド導体32・33に引き出し線34・35が接続されており、この引き出し線34・35も両シールド電極7・23の引き出し線12・25と同様に発振器(図1、図4参照)に接続され、信号用導体6と同位相の交流信号が付与されるようになっている。また、シールド電極7と対向状態となる信号用導体6、両シールド導体32・33の表面は絶縁被覆36により覆われている。
【0030】
図9及び図10は第4実施形態を示している。この実施形態の乗員検知装置においては、そのセンサ部41は、前記絶縁フィルム5の展開状態において前記信号用導体6の一方の側(図示例では右側)に並んで複数のシールド電極7・23が配置され、信号用導体6に近い方のシールド電極7と信号用導体6との間には、このシールド電極7の幅寸法より大きい間隔が開けられており、これらの間隔のうちのシールド電極7に近い位置に折り曲げ線Xが設定されている。
また、二つのシールド電極7・23の間にも折り曲げ線Yが設定されており、絶縁フィルム5の両短冊部8A・8Bの間のスリット24が、短冊部8Bの側縁から折り曲げ線Xまで到達するように形成されている。そして、両折り曲げ線X・Yとも図8(b)で示すように山折りとされており、図9で示すように、信号用導体6の表裏両面にシールド電極7・23が配置された状態となっている。
【0031】
このように構成したセンサ部41の場合は、図10に示す折り畳み状態においては、信号用導体6と両シールド電極7・23との間に絶縁フィルム5が介在した状態となっており、このため、前記第1実施形態から第3実施形態のものにおいて必要であった信号用導体6の表面の絶縁被覆9・36は不要になる。
【0032】
図11及び図12は本発明の第5実施形態を示している。この実施形態の乗員検知装置においては、そのセンサ部51は、前記絶縁フィルム5の展開状態において図11(a)に示すように前記信号用導体6の一方の側(図示例では右側)に並んで複数のシールド電極7・23が配置されている点は前記第4実施形態と同じであるが、信号用導体6に近い方のシールド電極7と信号用導体6との間に、絶縁フィルム5が露出し導体が存在しないブランク部52が形成されているものである。
このブランク部52は、シールド電極7・23の幅寸法より若干大きい幅寸法を有しており、該ブランク部52の両側縁及び両シールド電極7・23の間にそれぞれ折り曲げ線X・Y・Zが設定されている。これら折り曲げ線X・Y・Zを境界として短冊部8Bがほぼ4等分された状態とされているが、最も左側に位置する折り曲げ線Xと短冊部8Bの左側縁との距離、折り曲げ線Xと折り曲げ線Yとの間隔、折り曲げ線Yと折り曲げ線Zとの間隔、折り曲げ線Zと短冊部8Bの右側縁との距離は、この順にわずかずつ大きく形成されている。また、両短冊部8A・8Bの間のスリット24は短冊部8Bの右側縁から最も左側に位置する折り曲げ線Xまで形成されている。
【0033】
そして、図11の(a)から(d)の順に示すように、まず折り曲げ線Xを谷折りにして、該折り曲げ線Xから右側部分を折り畳んで信号用導体6の上に前記ブランク部52を重ね合わせ、次いで、折り曲げ線Yを谷折りにすることにより、信号用導体6の裏側にシールド電極7を重ね合わせ、さらに、折り曲げ線Zを谷折りにすることにより、シールド電極23を信号用導体6の表側に重ね合わせる。つまり、折り曲げ線X〜Zを順次谷折りしていくことにより、信号用導体6を最も内側に巻き込むようにして折り畳んでいくものである。
【0034】
このようにして折り畳んだ状態においては、図12に示すように、信号用導体6の表裏両面にシールド電極7・23が配置され、しかも、信号用導体6と各シールド電極7・23との間、及び両シールド電極7・23の間には、絶縁フィルム5が必ず介在した状態となって電気的絶縁状態が確保されているものである。
また、前記各実施形態のうち、第2実施形態から第4実施形態のように、絶縁フィルムを折り畳んだ後にシールド電極が外面に露出する構成の場合、座席への取り付けに際しては、シールド電極を絶縁被覆することが必要であるが、この第5実施形態の場合には、図12で示すように、最外面も絶縁フィルム表面となってシールド電極が露出していないので、座席への取り付け等も容易になる。
【0035】
なお、第1実施形態や第2実施形態のように、信号用導体6が形成されている面で折り曲げ線Xを谷折り状態として絶縁フィルム5を折り畳む場合、その折り曲げ線Xの両側に信号用導体6とシールド電極7とが配置されている場合は、そのまま重ね合わせたのでは電気的絶縁状態とすることはできないので、信号用導体6に絶縁被覆9を施すか、シールド電極7に絶縁被覆を施しておく必要があるが、第5実施形態のようにブランク部52を信号用導体6の上に直接重ね合わせることにより、シールド電極7との電気的絶縁状態を確保することができる。
また、折り曲げ線を谷折り状態とする場合、その折り曲げ線の両側に信号用導体とシールド電極とが配置されている場合でも、折り畳んだ間に絶縁シートを差し込むなどの方法によっても電気的絶縁状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる乗員検知装置の構成を示す一部を回路図にした模式図である。
【図2】図1におけるA−A線に沿う折り畳んだ状態の横断面図である。
【図3】図1におけるセンサ部の組み立て方法を示しており、(a)が展開状態を示す正面図、(b)が折り畳む途中の状態を示す正面図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる乗員検知装置の構成を示す一部を回路図にした模式図である。
【図5】図4におけるB−B線に沿う折り畳んだ状態の横断面図である。
【図6】図4におけるセンサ部の組み立て方法を示しており、(a)が展開状態を示す正面図、(b)が折り畳む途中の状態を示す正面図である。
【図7】本発明の第3実施形態にかかる乗員検知装置のセンサ部を示す展開状態の正面図である。
【図8】図7におけるセンサ部の折り畳んだ状態の横断面図である。
【図9】本発明の第4施形態にかかる乗員検知装置のセンサ部を示しており、(a)は展開状態を示す正面図、(b)は折り畳む途中の状態を示す正面図である。
【図10】図9におけるセンサ部の折り畳んだ状態の横断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態にかかる乗員検知装置のセンサ部を示しており、(a)は展開状態を示す正面図、(b)〜(d)が折り畳んでいる状態を順に示す正面図である。
【図12】図11におけるセンサ部の折り畳んだ状態の横断面図である。
【図13】従来の乗員検知装置を示す回路図である。
【符号の説明】
【0037】
1…乗員検知装置 2…検出電極 3…センサ部 4…検出回路部 5…絶縁フィルム 6…信号用導体 7…シールド電極 8A・8B…短冊部 9…絶縁被覆 11・12…引き出し線 15…発振器 16…電流制限抵抗 17…バッファ 18…CPU 21…乗員検知装置 22…センサ部 23・24…シールド電極 25…引き出し線 31…センサ部 32・33…シールド導体 34・35…引き出し線 41…センサ部 51…センサ部 52…ブランク部 X〜Z…折り曲げ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席に配置される検出電極からの信号によって乗員の着座状態を検知する乗員検知装置において、絶縁フィルムの上に、前記検出電極と、該検出電極を検出回路部に接続する信号用導体と、該信号用導体よりも大きい面積を有し信号用導体上に電気的絶縁状態で重ね合わせられるシールド電極とが形成されてなる乗員検知装置。
【請求項2】
前記絶縁フィルムの一方の面に前記信号用導体が形成され、他方の面に前記シールド電極が形成されていることを特徴とする請求項1記載の乗員検知装置。
【請求項3】
前記絶縁フィルムの一方の面に前記信号用導体及び前記シールド電極が形成されるとともに、前記信号用導体に平行な折り曲げ線から絶縁フィルムが折り畳まれることにより前記信号用導体にシールド電極が重ね合わせられていることを特徴とする請求項1記載の乗員検知装置。
【請求項4】
前記シールド電極は、前記絶縁フィルムの展開状態において前記信号用導体の両側に該信号用導体に沿ってそれぞれ形成され、この信号用導体と各シールド電極との間の折り曲げ線から絶縁フィルムが折り畳まれるとともに、その一方の折り曲げ線は谷折りとされ、他方の折り曲げ線は山折りとされていることにより、絶縁フィルムが折り畳まれた状態で前記信号用導体の表面及び裏面にそれぞれシールド電極が配置されていることを特徴とする請求項1又は3記載の乗員検知装置。
【請求項5】
前記シールド電極は、前記絶縁フィルムの展開状態において前記信号用導体の一方の側に並んで複数配置され、前記絶縁フィルムは、信号用導体にシールド電極を重ねながら該シールド電極を巻き込むように折り畳まれることにより、信号用導体の表面及び裏面にそれぞれシールド電極が配置されていることを特徴とする請求項1又は3記載の乗員検知装置。
【請求項6】
前記信号用導体の両側に、該信号用導体に平行に配置されたシールド用導体が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の乗員検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−26069(P2008−26069A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197079(P2006−197079)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(300052246)株式会社ホンダエレシス (105)
【Fターム(参考)】