説明

乗客コンベアの移動手すりの異常検出装置

【課題】面倒な作業を要することなく、エスカレータの稼働中でも、移動手すりの内幅寸法が、規定の寸法範囲外に変化しても認識可能なエスカレータの移動手すりの異常検出装置を得る。
【解決手段】移動手すり20の一端に当てられる第1接触体42Aを有する第1可動体41Aと、移動手すり20の他端に当てられる第2接触体42Bを有する第2可動体41Bと、第1接触体42A及び第2接触体42Bが互いに離間する方向の付勢力を第1可動体41A及び第2可動体41Bに付与するコイルばね45と、一部を第1可動体41Aに連結され、他部を第2可動体41Bの他方の第2接触体42B側と規定隙間をあけて配置される検出アーム50とを備え、検出アーム50の他部は、移動手すり20の内幅寸法が許容寸法より広がった場合に移動手すり20の外周面に接触されて、接触した移動手すり20の部位にマーキングを施すマーキング部材54により構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動手すりの走行方向に垂直な断面において、C字状の移動手すりの両端間の寸法の異常を検出する乗客コンベアの移動手すりの異常検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエスカレータは、多数の踏段を回転せしめる駆動機器を有するエスカレータ本体の左右上部に長手方向に亘り欄干が立設され、欄干に設けられた移動手すりが踏段と同期して回転駆動されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−20497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には詳細には記載されていないが、移動手すりは、断面C字状に形成されるのが一般的である。欄干の長手方向の一方の側部から上部を介して他方の側部に至る部位は、移動手すりを案内するための案内レールとして構成されている。
そして、移動手すりは、断面C字状の内側により表される空間に案内レールを嵌合させて、欄干の周囲を巡るように設けられて、踏段の駆動に連動して循環移動される。
【0005】
ここで、移動手すりの走行方向に直交する断面における両端間の寸法(以下、内幅寸法とする)は、予め仕様に定められる許容の寸法範囲に予め設定されているが、経年変化により、許容の寸法範囲外になることがある。
【0006】
そして、従来のエスカレータの保守者は、移動手すりの内幅寸法が、許容される寸法範囲外に変化していたことを認識するのに、例えば、メンテナンスを実施する際に、移動手すりの内幅寸法を、ノギス等を用いて測定するなどの面倒な作業を行う必要があった。
また、従来のエスカレータが通常に稼働しているときには、移動手すりの内幅寸法が、規定の寸法範囲外に変化しても認識できず、メンテナンス時でなければ、移動手すりの内幅寸法が、規定の寸法範囲外に変化したことを認識できない。
【0007】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、面倒な作業を要することなく、エスカレータの稼働中でも、移動手すりの内幅寸法が、規定の寸法範囲外に変化しても認識可能な乗客コンベアの移動手すりの異常検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の乗客コンベアの移動手すりの異常検出装置は、乗り口と降り口との間に架設される主枠と、主枠の上部に立設される欄干と、欄干の外周縁部に沿って、乗り口と降り口との間を循環走行する断面C字状の移動手すりとを備えるエスカレータに設けられ、移動手すりの断面における一端及び他端間の幅である内幅寸法の異常を検出する乗客コンベアの移動手すりの異常検出装置であって、移動手すりの断面における一端に当てられる第1接触体を有する第1可動体と、移動手すりの断面における他端に当てられ、第1接触体と互いに相対するように配置される第2接触体を有する第2可動体と、第1接触体及び上記第2接触体が互いに離間する方向の付勢力を第1可動体及び第2可動体に付与する付勢部材と、一部を第1可動体及び第2可動体の一方に連結され、他部を、上記第1接触体42A及び上記第2接触体42Aのうち、第1可動体及び第2可動体の他方に対応する接触体側に位置する移動手すりの外周面に対して規定隙間をあけて配置される異常検出体とを備え、第1可動体及び第2可動体は、互いに相対する方向に移動可能に設けられ、異常検出体の他部は、移動手すりの内幅寸法が許容寸法より広がった場合に移動手すりの外周面に接触されて、接触した移動手すりの部位にマーキングを施すマーキング部材により構成されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る乗客コンベアの移動手すりの異常検出装置によれば、移動手すりの内幅寸法が、許容される寸法の範囲外に変化すると、自動的にマーキング部材により、該当する移動手すりの部位にマーキングされる。保守者は、ノギス等を用いて内幅寸法を測定するなどの面倒な作業を行う必要なく、移動手すりの内幅寸法が、許容される寸法の範囲外に変化したことを認識できる。また、移動手すりの外周面にマーキングが施されるので、保守者は、エスカレータの稼働中でも、移動手すりの内幅寸法が、許容される寸法範囲外に変化したことを認識可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の一実施の形態に係るエスカレータの移動手すりの異常検出装置が設けられるエスカレータの模式図である。
【図2】図1のII−II矢視断面図である。
【図3】図2のIII−III矢視断面図である。
【図4】この発明の一実施の形態に係るエスカレータの移動手すりの異常検出装置の動作を説明する断面図であり、移動手すりの内幅寸法が増大してマーキング部材に移動手すりが接触した様子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1はこの発明の一実施の形態に係るエスカレータの移動手すりの異常検出装置が設けられるエスカレータの模式図、図2は図1のII−II矢視断面図、図3は図2のIII−III矢視断面図、図4はこの発明の一実施の形態に係るエスカレータの移動手すりの異常検出装置の動作を説明する断面図であり、移動手すりの内幅寸法が増大してマーキング部材に移動手すりが接触した様子を示している。
【0013】
乗客コンベアの移動手すりの異常検出装置としてのエスカレータの移動手すりの異常検出装置の説明に先立って、エスカレータの構成について説明する。
図1において、乗客コンベアとしてのエスカレータ1は、上下階床間に架設された主枠2と、主枠2の上下階側のそれぞれに設置された上部機械室3及び下部機械室4のそれぞれと、上部機械室3に配設された駆動手段としての電動機5と、上部機械室3に配設された駆動スプロケット6と、電動機5と駆動スプロケット6とを連結し、電動機5の駆動に連動させて駆動スプロケット6を回転せしめる駆動鎖8と、駆動スプロケット6と同軸に配設された上部スプロケット10と、下部機械室4に配設された下部スプロケット11とを備えている。
【0014】
また、エスカレータ1は、上部スプロケット10及び下部スプロケット11に無端状に巻き掛けられた踏段鎖12と、踏段鎖12に連結されて無端状に連なり、上階側に設けられる乗り口15aと下階側に設けられる降り口15bとの間を電動機5の駆動に連動して循環移動する複数の踏段16と、踏段16を挟むように主枠2の上部に互いに対向して立設された一対の欄干18と、一対の欄干18のそれぞれに支持されて、欄干18の周部を巡るように踏段16と同期して循環移動する一対の移動手すり20とを備えている。
【0015】
また、エスカレータ1は、上部スプロケット10に同軸に固定された第1動力伝達用スプロケット21と、第1動力伝達用スプロケット21より下階側よりに設けられた第2動力伝達用スプロケット22と、第1及び第2動力伝達用スプロケット21,22に無端状に巻き掛けられ、第1動力伝達用スプロケット21の回転力を第2動力伝達用スプロケット22に伝達する動力伝達用鎖23とを備えている。
また、エスカレータ1は、電動機5の駆動に伴って回転される第2動力伝達用スプロケット22の回転に連動して移動手すり20を駆動する手すり駆動装置30と、上部機械室3に配設され、エスカレータ1のシステム全般を制御するエスカレータ制御盤25とを備えている。
【0016】
移動手すり20の形状は、図2に示されるように、移動手すり20の走行方向に垂直な断面においてC字状であり、両端に丸みを帯びた耳部20aを有している。
詳細には図示しないが、欄干18の長手方向の一方の側部から上部を介して他方の側部に至る部位は、移動手すり20を案内するための案内レールとして構成されている。さらに、欄干18の下部の内側にも、移動手すり20を案内するための案内レールが設けられている。
なお、欄干18の下部に配置される案内レールは、手すり駆動装置30の配置箇所の他、乗り口15aから降り口15bに至るまでに、ところどころで配設を省略されている。
【0017】
移動手すり20は、断面C字の内側に案内レールを嵌合させて、欄干18の周囲を巡ることが可能になっている。そして、移動手すり20は、案内レールに案内されて乗り口15aと降り口15b間を踏段16の循環移動と同期して循環移動する。
【0018】
エスカレータ制御盤25は、各種演算を行うCPU(図示せず)、各種データを一時的に記憶する記憶領域を有し、CPUの演算処理時にワーキングスペースに使用されるRAM(図示せず)、及びCPUに演算させる各種プログラムが格納されたROM(図示せず)等により構成される。
エスカレータ制御盤25は、電動機5の駆動を制御することで、踏段16及び移動手すり20の移動を制御する。
【0019】
次いで、エスカレータの移動手すりの異常検出装置40について説明する。
エスカレータの移動手すりの異常検出装置40は、移動手すり20の走行方向に直交する断面において、C字形状を有する移動手すり20の一端及び他端間の幅である内幅寸法の異常を検出するためのものである。
以下、移動手すり20の一端及び他端は、移動手すり20の走行方向に直交する断面における形状の一端及び他端であるものとする。
【0020】
エスカレータの移動手すりの異常検出装置40は、欄干18の下部内部に位置する移動手すり20の循環経路のうち、案内レールの配設を省略されて、案内レールにガイドされずに走行する所定部位に対応する位置に設けられる。
【0021】
エスカレータの移動手すりの異常検出装置40は、移動手すり20の一端に当てられる第1接触体42Aを有する第1可動体41Aと、移動手すり20の他端に当てられて第1接触体42Aと相対する第2接触体42Bを有する第2可動体41Bと、第1接触体42A及び第2接触体42Bが互いに離間する方向の付勢力を第1可動体41A及び第2可動体41Bに付与する付勢部材としてのコイルばね45と、移動手すり20の一端と他端の離間方向に、第1可動体41A及び第2可動体41Bの移動をガイドするガイド部材47とを備えている。
【0022】
また、エスカレータの移動手すりの異常検出装置40は、一部を第1可動体41Aに取り付けられて、第2接触体42B側に位置する移動手すり20の耳部20aの外側の表面(外周面)に対して、移動手すり20の内幅寸法が許容間隔より広がった場合に接触されるように隙間をあけて配置されるマーキング部材54(他部)を有する異常検出体としての検出アーム50を備えている。
【0023】
第1可動体41Aは、第1接触体42A、及び第1接触体42Aに連結棒43Aを介して連結される第1摺動体44Aを備えている。
第1接触体42Aは、おおよそ直方体に形成されている。
第1接触体42Aの一面が、移動手すり20の断面C字の一端に当てられる当接面42aをなし、当接面42aに直交する面のうちの一つの面に連結棒の一端が突設される。
当接面42aは、中央に向かって凹んだ湾曲面として形成されている。
また、第1摺動体44Aは、所定の厚みを有する扁平な直方体に形成され、厚み方向の一面に連結棒43Aの他端が連結されている。
【0024】
第2可動体41Bは、第2接触体42B、及び第2接触体42Bに連結棒43Bを介して連結される第2摺動体44Bを備えている。
第2接触体42Bは、おおよそ直方体に形成されている。
第2接触体42Bの一面が、移動手すり20の断面C字の他端に当てられる当接面42bをなし、当接面42bに直交する面のうちの一つの面に連結棒43Bの一端が突設される。
当接面42bは、中央に向かって凹んだ湾曲面として形成されている。
また、第2摺動体44Bは、所定の厚みを有する扁平な直方体に形成され、厚み方向の一面に連結棒の他端が連結されている。
【0025】
ガイド部材47は、図3に示されるように、底壁48及び底壁から延出して相対する一対の側片49を有する断面コ字状に形成され、一対の側片49の間の距離が、第1摺動体44A及び第2摺動体44Bの短辺の長さより僅かに長く設定されている。
また、底壁48には、長手方向に延在する長穴48aが形成されている。
【0026】
検出アーム50は、一端を第1接触体42Aに取り付けられるアーム本体51、及びアーム本体51の他端に取り付けられるマーキング部材54を有する。
アーム本体51は、第1接触体42Aに取り付けられる一端部を有する第1アーム52、及び第1アーム52の他端から第1アーム52に鋭角に延在する第2アーム53を有する。
マーキング部材54は、インク等の塗料を含浸可能な部材であり、マーキング部材54には、予めインクを含浸させてある。
【0027】
以下、エスカレータの移動手すりの異常検出装置40のエスカレータへの取付構造について説明する。
ガイド部材47は、一端を主枠2等に固定され、他端が、欄干18下部を走行する移動手すり20の所定部位の上方に至るように、長手方向を移動手すり20の一端及び他端の離間方向に一致させて配置されている。
【0028】
そして、第1摺動体及び第2摺動体が、長手方向をガイド部材47の長手方向に一致させ、厚み方向をガイド部材47の底壁48に直交させて底壁48に互いに離間して載置されている。
連結棒43A,43Bのそれぞれの他端が、底壁48に形成された長穴48aに挿通されて、第1摺動体44A及び第2摺動体44Bのそれぞれに連結されている。
また、連結棒43A,43Bのそれぞれの一端は、第1接触体42A及び第2接触体42Bのそれぞれに連結されている。
このとき、第1接触体42A及び第2接触体42Bは、それぞれの当接面42a,42bを移動手すり20の一端及び他端のそれぞれに向けて配置される。
【0029】
以上のように第1可動体41A及び第2可動体41Bは、ガイド部材47に第1及び第2摺動体44A,44Bを摺動自在に支持され、ガイド部材47の長手方向に一致する長穴の延在する方向、言い換えれば、移動手すり20の断面C字の一端及び他端が離間する方向に移動可能に設けられている。
【0030】
コイルばね45は、相対する第1摺動体44A及び第2摺動体44Bの壁面間に縮設され、第1摺動体44A及び第2摺動体44Bを互いに離間する方向に付勢している。これにより、第1接触体42A及び第2接触体42Bのそれぞれの当接面42a,42bが、移動手すり20の一端及び他端に当てられる。
このとき、移動手すり20との接触部を含む第1接触体及び上記第2接触体の表面、言い代えれば、当接面42a,42bは、移動手すり20との接触部からみて凹となる壁面形状に形成されている。
なお、コイルばね45の付勢力は、移動手すり20を変形させない程度の付勢力で、第1接触体42A及び第2接触体42Bを移動手すり20に押し当てている。
【0031】
検出アーム50は、アーム本体51の一端を第1接触体42Aに取り付けられて、その他端が、第2接触体42B側に位置する移動手すり20の耳部20aの外周面に対して規定隙間Dをあけて配置されている。即ち、検出アーム50の他端を構成するマーキング部材54が、移動手すり20の外周面の所定部位に対して規定隙間Dをあけて配置されている。
【0032】
次いで、エスカレータの移動手すりの異常検出装置40の動作について説明する。
初期状態では、移動手すり20の内幅寸法は、規定の範囲に収まるように設定されている。
また、図に示されるマーキング部材54と移動手すり20の間の規定隙間Dは、例えば、以下のように設定される。
仕様などで規定される移動手すり20の内幅寸法の範囲の最大値を許容寸法とする。
規定隙間Dは、移動手すり20の内幅寸法が増大して、許容寸法より広くなったときに、マーキング部材54が移動手すり20に接触するように設定されている。
なお、通常、製造直後においては、移動手すり20の内幅寸法は、規格値の範囲の中央に来るように製造され、使用前の移動手すり20を欄干18に装着した直後では、マーキング部材54と移動手すり20の外周面との間に規定隙間Dが形成される。
【0033】
エスカレータ1の運転中であれば、移動手すり20は、第1接触体42A及び第2接触体42Bに接触しながら循環移動される。
そして、内幅寸法が所定間隔だけ広がると、マーキング部材54に、移動手すり20の耳部20aの外周面が接触する。
【0034】
これにより、マーキング部材54の塗料が接触された付着し、マーキング部材54が接触された移動手すり20の部位にマーキングが施される。
エスカレータ1の運転中であれば、移動手すり20が循環移動されるので、内幅寸法が許容寸法より大きくなった移動手すり20の部位の全域にマーキングが施されることになる。
エスカレータ1の保守者は、エスカレータ1の通常に運転しているときに、移動手すり20が1周するまで、欄干18の外側を走行する移動手すり20の部位を目視することで、移動手すり20の全域に亘って、移動手すり20に内幅寸法の異常が無いか否かを確認できる。
【0035】
この実施の形態のエスカレータの移動手すりの異常検出装置40は、移動手すり20の断面C字の一端に当てられる第1接触体42Aを有する第1可動体41Aと、移動手すり20の断面C字の他端に当てられて第1接触体42Aと相対する第2接触体42Bを有する第2可動体41Bと、第1接触体42A及び第2接触体42Bが互いに離間する方向の付勢力を第1可動体41A及び第2可動体41Bに付与するコイルばね50と、一部を第1可動体41Aに取り付けられ、他部を第2接触体42B側に位置する移動手すり20の外周面に対して規定隙間をあけて配置される検出アーム50とを備えている。
そして、第1可動体41A及び上記第2可動体41Bは、移動手すり20の断面における一端及び他端が離間する方向に移動可能に設けられ、検出アーム50の他部は、移動手すり20の内幅寸法が許容寸法より広がった場合に移動手すり20の外周面に接触されて、接触した移動手すり20の部位にマーキングを施すマーキング部材54により構成されている。
【0036】
この発明のエスカレータの移動手すりの異常検出装置40によれば、移動手すり20の内幅寸法が、許容される寸法の範囲外に変化すると、自動的にマーキング部材54により該当する移動手すりの部位にマーキングされる。保守者は、ノギス等を用いて内幅寸法を測定するなどの面倒な作業を行う必要なく、移動手すり20の内幅寸法が、許容される寸法の範囲外に変化したことを認識できる。また、移動手すり20の外周面にマーキングが施されるので、保守者は、エスカレータ1の稼働中でも、移動手すりの内幅寸法が、許容される寸法範囲外に変化したことを認識可能である。
【0037】
また、移動手すり20との接触部を含む第1接触体42A及び第2接触体42Bの表面は、移動手すり20との接触部に対して凹となる壁面形状に形成されているので、移動手すり20の先端が第1接触体42A及び第2接触体42Bから外れることが確実に防止される。
【0038】
なお、エスカレータ1は、乗り口15aを上階側に、降り口15bを下階側に設けるものとして説明したが、乗り口15aを下階側に、降り口15bを上階側に設けるものでもよい。
また、検出アーム50は、アーム本体51の一端(一部)を第1可動体41Aに取り付け、マーキング部材54を第2可動体41Bの第2接触体42B側に位置する移動手すり20の外周面に対して規定隙間を空けて配置して設けるものとして説明したが、アーム本体51の一端(一部)を第1可動体41Aの第1接触体42Aに取り付けられ、マーキング部材54を第1可動体41Aの第1接触体42A側に位置する移動手すり20の外周面に対して規定隙間をあけて配置して設けるものでもよい。
【0039】
また、異常検出体は、検出アーム50であるものとして説明したが、このものによらず、ブロック状のものであったりしてもよい。異常検出体は、一部を第1可動体41A及び第2可動体41Bの一方に連結され、他部を、第1接触体42A及び第2接触体42Bのうち、第1可動体41A及び第2可動体41Bの他方に対応する接触体側に位置する移動手すり20の外周面に対して規定隙間をあけて配置されるものであればよい。
【0040】
また、乗客コンベアの移動手すりの異常検出装置は、エスカレータに設けられるエスカレータの移動手すりの異常検出装置40であるものとして説明したが、動く歩道の移動手すりの異常検出用に設けられるものでもよい。
【符号の説明】
【0041】
2 主枠、15a 乗り口、15b 降り口、18 欄干、20 移動手すり、40 エスカレータの移動手すりの異常検出装置(乗客コンベアの移動手すりの異常検出装置)、42A 第1接触体、42B 第2接触体、45 コイルばね、50 検出アーム(異常検出体)、54 マーキング部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り口と降り口との間に架設される主枠と、上記主枠の上部に立設される欄干と、上記欄干の外周縁部に沿って、上記乗り口と上記降り口との間を循環走行する断面C字状の移動手すりとを備えるエスカレータに設けられ、上記移動手すりの断面における一端及び他端間の幅である内幅寸法の異常を検出する乗客コンベアの移動手すりの異常検出装置であって、
上記移動手すりの断面における一端に当てられる第1接触体を有する第1可動体と、
上記移動手すりの断面における他端に当てられ、上記第1接触体と互いに相対するように配置される第2接触体を有する第2可動体と、
上記第1接触体及び上記第2接触体が互いに離間する方向の付勢力を上記第1可動体及び上記第2可動体に付与する付勢部材と、
一部を上記第1可動体及び上記第2可動体の一方に連結され、他部を、上記第1接触体及び上記第2接触体のうち上記第1可動体及び上記第2可動体の他方に対応する接触体側に位置する上記移動手すりの外周面に対して規定隙間をあけて配置される異常検出体とを備え、
上記第1可動体及び上記第2可動体は、互いに離間する方向に移動可能に設けられ、
上記異常検出体の他部は、上記移動手すりの内幅寸法が許容寸法より広がった場合に上記移動手すりの外周面に接触されて、接触した上記移動手すりの部位にマーキングを施すマーキング部材により構成されている
ことを特徴とする乗客コンベアの移動手すりの異常検出装置。
【請求項2】
上記移動手すりとの接触部を含む上記第1接触体及び上記第2接触体の表面は、上記移動手すりとの接触部に対して凹となる壁面形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベアの移動手すりの異常検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−43713(P2013−43713A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180523(P2011−180523)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】