説明

乗客コンベア及びこれに用いられるガイドシュー

【課題】安価にして耐久性に優れた乗客コンベアを提供する。また、耐久性及び踏段に対する取付容易性に優れたガイドシューを提供する。
【解決手段】踏段2の補強板19に、ガイドシュー18A,18Bの位置決め用切欠26と、ガイドシュー18A,18Bの連結孔19a,19bを形成する。ガイドシュー18A,18Bは、板状の摺接部18aと、第1及び第2のリブ24a,24bと、これら第1及び第2のリブ24a,24bの間に形成された嵌合突起25と、第1及び第2のリブ24a,24bと相平行に形成された連結部18b、18cとを一体に形成してなる。第1及び第2のリブ24a,24bを補強板19の表面及び裏面に当接し、嵌合突起25を補強板19に形成された位置決め用切欠26に嵌合する。また、補強板19に開設された連結孔19a,19bを利用して連結部18b、18cを補強板19に連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータや動く歩道等の乗客コンベアと、これに用いられるガイドシューとに係り、特に、乗客コンベアの踏段に対するガイドシューの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアは、建築構造物に設置されたフレームと、このフレームの長手方向両端部に設けられた乗降床と、無端状に連結され、両端の乗降床間を循環移動する踏段と、フレームに取り付けられ、踏段を所定の移動経路に沿って案内するレールと、同じくフレームに取り付けられ、踏段の移動方向に沿って配置されたスカートガードを有する欄干とから主に構成されている。踏段は、乗客が乗るクリートと、各踏段の段差部分を構成するライザーと、これらクリート及びライザーの側端付近(側面部分)に配置され、レール上を走行するローラを回転可能に支持するブラケット(エスカレータの場合には、特に「三角ブラケット」と呼ばれる。)と、ブラケットに取り付けられたガイドシューとを有する。ガイドシューは、スカートガードの表面に摺接されて、踏段の左右方向の動きを規制し、スカートガードと踏段との間に形成される隙間部分への異物の挟み込みを防止する部品である。一方、動く歩道の踏段は、ライザーを有しておらず、クリート、ブラケット、ローラ及びガイドシューをもって構成される。
【0003】
ところで、乗客コンベアの踏段としては、アルミダイカスト等をもって、クリートとブラケット(エスカレータの踏段については、ライザーも含む。)を一体に成形したものと、ステンレス鋼等をもってこれらの部材を別々に作製し、ボルト等の結合部材を用いて一体に組み立てるものとが従来知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図11は、アルミダイカストによって製造されるエスカレータ用の踏段を示す図であって、符号2は踏段、符号5はスカートガードを示している。また、図中の符号11はクリート、12はライザー、13は三角ブラケット、14は前ローラ、15は前ローラ14を取り付ける前軸、16は後ローラ、17は後ローラ16を取り付ける後軸、18はガイドシューを示している。この図から明らかなように、アルミダイカストによって製作されたエスカレータ用の踏段2には、三角ブラケット13の外面にガイドシュー18を取り付けるためのボス13aが一体に形成されており、ガイドシュー18は、このボス13aの先端部に、例えばボルト等を用いて取り付けられる。
【0005】
これに対して、ステンレス鋼等をもって製作された個々の部品を組み立てることによって製造される踏段2については、三角ブラケット13の外面にガイドシュー18を取り付けるためのボス13aを一体形成することがコスト的に不可能である。このため、この種の踏段2にガイドシュー18を取り付ける手段としては、三角ブラケット13とは別部材として作製されたボス13a、或いはそれに代わるガイドシュー取付部を三角ブラケット13の外面に後加工で取り付けるという手段が検討されているが、この場合も、アルミダイカストによって製造される踏段に比べて、材料費及び加工費が格段に高いものになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−161427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、踏段へのガイドシューの取り付けを容易かつ安価で確実なものにすると共に、ガイドシューは耐久性及び踏段に対する取付容易性に優れた構造とすることにより、安価にして耐久性に優れた乗客コンベアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するため、ガイドシューに関しては、乗客が乗るクリートと、前記クリートの側面部分に配置されたブラケットと、前記ブラケットに回転可能に支持されたローラと、前記クリートと前記ブラケットとの連結を補強する補強板と、前記補強板の端辺に取り付けられたガイドシューとから構成される踏段と、前記踏段の移動方向に沿って配置されたスカートガードとを備えた乗客コンベアにおいて、前記補強板は、前記踏段の幅方向の端辺に形成された前記ガイドシューの位置決め用切欠と、前記位置決め用切欠よりも内側部分に開設された前記ガイドシューと連結するための連結孔とを有し、前記ガイドシューは、片面が前記スカートガードとの摺接面である板状の摺接部と、該摺接部の他の片面に所要の間隙を介して相平行に形成された第1及び第2のリブと、これら第1及び第2のリブの間に形成された嵌合突起と、前記第1及び第2のリブと相平行に形成された連結部とを一体に形成してなり、前記第1及び第2のリブを前記補強板の表面及び裏面に当接し、前記嵌合突起を前記補強板に形成された前記位置決め用切欠に嵌合すると共に、前記補強板に開設された前記連結孔を利用して前記連結部を前記補強板に連結することを特徴とする。
【0009】
かかる構成によると、ガイドシューに形成された第1及び第2のリブが補強板の表面及び裏面に当接するので、ガイドシューを補強板に対して安定かつ強固に取り付けることができる。また、ガイドシューに加わる補強板の板厚方向の外力をこれら第1及び第2のリブで受けることができるので、連結部に加わる外力を微小にすることができ、補強板に対するガイドシューの取付け信頼性を高めることができる。さらに、嵌合突起を補強板に形成された位置決め用切欠に嵌合するので、補強板にガイドシューを取り付ける際、この嵌合突起を補強板の端辺に形成された位置決め用切欠に嵌合することにより、補強板に対するガイドシューの取付位置が一義的に定まり、補強板に対するガイドシューの取付作業を容易化することができる。また、ガイドシューに加わる補強板の端辺方向の外力をこの嵌合部で受けることができるので、この点からも連結部に加わる外力を微小にすることができて、補強板に対するガイドシューの取付け信頼性を高めることができる。
【0010】
また本発明は、前記構成の乗客コンベアにおいて、前記位置決め用切欠は、半円形又は角部に丸みをつけた四角形であることを特徴とする。
【0011】
補強板に対する位置決め用切欠の形成は、通常パンチングにより行われる。この場合において、位置決め用切欠の形状を半円形又は角部に丸みをつけた四角形にすると、シャープな角部を有する形状にする場合に比べて、加工具であるパンチに作用する応力を低減できるので、パンチの寿命を延長することができて、補強板の製造効率を高めることができる。また、シャープな角部を有する形状にする場合とは異なり、補強板に応力集中が生じないので、補強板の耐久性を改善することもできる。
【0012】
また本発明は、前記構成の乗客コンベアにおいて、前記連結部の先端に係止爪を形成し、該係止爪を前記補強板に開設された前記連結孔にスナップ結合することにより、前記ガイドシューを前記補強板に着脱可能に取り付けることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によると、補強板に開設された連結孔に係止爪をスナップ結合するだけで、補強板にガイドシューを取り付けることができるので、乗客コンベアの組立を容易化することができる。
【0014】
また本発明は、前記構成の乗客コンベアにおいて、前記連結部の先端に連結孔を開設し、当該連結孔と前記補強板に開設された連結孔とにボルトを一連に貫通し、該ボルトにナットを螺合することにより、前記ガイドシューを前記補強板に着脱可能に取り付けることを特徴とする。
【0015】
かかる構成によると、補強板とガイドシューをボルト・ナットで締結するので、補強板に対してガイドシューを強固に取り付けることができ、乗客コンベアの耐久性及び信頼性を高めることができる。
【0016】
また本発明は、前記構成の乗客コンベアにおいて、前記摺接面に、当該摺接面の摩耗度を目視によって判断するための凹溝を形成したことを特徴とする。
【0017】
かかる構成によると、凹溝の深さを磨耗限界許容値の深さにしておくことで、ガイドシューの摺接部が経年的に磨耗した際に、摺接部の残厚寸法を測定しなくても、溝の有無により交換の必要性を判断することができるので、乗客コンベアのメンテナンスの容易性を高めることができる。
【0018】
また本発明は、前記構成の乗客コンベアにおいて、前記摺接面とこれに続く前記摺接部の周面との角部に面取りを施したことを特徴とする。
【0019】
かかる構成によると、ガイドシューの摺接面が前記スカートガードの繋ぎ目等に接触した場合に、ガイドシューに加わる外力を緩和することができるので、乗客コンベアからの異音の発生を防止できると共に、ガイドシューの耐久性ひいては乗客コンベアの耐久性を高めることができる。
【0020】
一方、本発明は、ガイドシューに関して、片面がスカートガードとの摺接面である板状の摺接部と、該摺接部の他の片面に所要の間隙を介して相平行に形成された第1及び第2のリブと、これら第1及び第2のリブの間に形成された嵌合突起と、前記第1及び第2のリブと相平行に形成された連結部とを一体に形成してなることを特徴とする。
【0021】
かかる構成によると、摺接部に片面に第1及び第2のリブを形成するので、補強板にガイドシューを取り付ける際に、これら第1及び第2のリブを補強板の表面及び裏面に当接することにより、ガイドシューを補強板に対して安定かつ強固に取り付けることができる。また、ガイドシューに加わる補強板の板厚方向の外力をこれら第1及び第2のリブで受けることができるので、連結部に加わる外力を微小にすることができ、補強板に対するガイドシューの取付け信頼性を高めることができる。さらに、かかる構成によると、第1及び第2のリブの間に嵌合突起を形成するので、補強板にガイドシューを取り付ける際、この嵌合突起を補強板の端辺に形成された位置決め用切欠に嵌合することにより、補強板に対するガイドシューの取付位置が一義的に定まり、補強板に対するガイドシューの取付作業を容易化することができる。また、ガイドシューに加わる補強板の端辺方向の外力をこの嵌合部で受けることができるので、この点からも連結部に加わる外力を微小にすることができて、補強板に対するガイドシューの取付け信頼性を高めることができる。
【0022】
また本発明は、前記構成のガイドシューにおいて、前記摺接面に、当該摺接面の摩耗度を目視によって判断するための凹溝を形成したことを特徴とする。
【0023】
かかる構成によると、凹溝の深さを磨耗限界許容値の深さにしておくことで、ガイドシューの摺接部が経年的に磨耗した際に、摺接部の残厚寸法を測定しなくても、溝の有無により交換の必要性を判断することができるので、ガイドシューの交換時期を容易に知ることができる。
【0024】
また本発明は、前記構成のガイドシューにおいて、前記摺接面とこれに続く前記摺接部の周面との角部に面取りを施したことを特徴とする。
【0025】
かかる構成によると、ガイドシューの摺接面が前記スカートガードの繋ぎ目等に接触した場合に、ガイドシューに加わる外力を緩和することができるので、異音の発生を防止できると共に、ガイドシューの耐久性を高めることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の乗客コンベアは、ガイドシューに形成された第1及び第2のリブを補強板の表面及び裏面に当接すると共に、ガイドシューに形成された嵌合突起を補強板に形成された位置決め用切欠に嵌合するので、ガイドシューを補強板に対して容易、安定かつ強固に取り付けることができる。また、ガイドシューに加わる外力を第1及び第2のリブと、嵌合突起と位置決め用切欠との嵌合部によって受けるので、連結部に過大な外力が作用せず、補強板に対するガイドシューの取付け信頼性を高めることができる。
【0027】
本発明のガイドシューは、片面がスカートガードとの摺接面である板状の摺接部と、該摺接部の他の片面に所要の間隙を介して相平行に形成された第1及び第2のリブと、これら第1及び第2のリブの間に形成された嵌合突起と、前記第1及び第2のリブと相平行に形成された連結部とを一体に形成してなるので、ガイドシューに形成された第1及び第2のリブを補強板の表面及び裏面に当接すると共に、ガイドシューに形成された嵌合突起を補強板に形成された位置決め用切欠に嵌合することにより、ガイドシューを補強板に対して容易、安定かつ強固に取り付けることができる。また、ガイドシューに加わる外力を第1及び第2のリブと、嵌合突起と位置決め用切欠との嵌合部によって受けるので、連結部に過大な外力が作用せず、補強板に対するガイドシューの取付け信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態に係る乗客コンベアの要部斜視図である。
【図2】実施形態に係る踏段の側面図である。
【図3】実施形態に係る乗客コンベアの要部正面図である。
【図4】実施例1に係るガイドシューの補強板への取り付け方法を示す要部斜視図である。
【図5】図4のA方向矢視図である。
【図6】図4のB方向矢視図である。
【図7】図4のC方向矢視図である。
【図8】実施例1に係るガイドシューの補強板に対する取り付け状態を示す要部断面図である。
【図9】実施例2に係るガイドシューの補強板への取り付け方法を示す要部斜視図である。
【図10】動く歩道に適用される踏段の側面図である。
【図11】アルミダイカスト等をもって一体に成形される踏段の要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を、エスカレータ及びこれに用いられるガイドシューを例にとって説明する。
【0030】
実施形態に係るエスカレータは、図1から明らかなように、建屋の各階床の床面に設置された乗降床1と、無端状に連結され、下階の乗降床1と上階の乗降床1との間を循環移動する複数の踏段2と、踏段2の移動方向に沿って配置された欄干3と、欄干3の外周に沿って、踏段2と同一方向に循環移動する移動手摺り4と、欄干3の下部に備えられたスカートガード5とを備えている。図3に示すように、欄干3及びスカートガード5は、フレーム6に取り付けられる。フレーム6は、下階の床面と上階の床面との間に架け渡されて、エスカレータ全体を支持するものであり、このフレーム6の所要の部分には、踏段2の案内レール7a,7bが取り付けられている。
【0031】
踏段2は、図2及び図3に示すように、乗客が乗るクリート11と、各踏段2の段差部分を構成するライザー12と、これらクリート11及びライザー12の側端付近に配置された三角ブラケット13と、クリート11と三角ブラケット13とを連結する補強板19と、前軸15を介して三角ブラケット13に回転可能に支持された前ローラ14と、後軸17を介して三角ブラケット13に回転可能に支持された後ローラ16と、補強板19の端辺に取り付けられて三角ブラケット13の外面側に配置される実施例1に係るガイドシュー18Aとからなる。クリート11及びライザー12はステンレス鋼をもって形成され、三角ブラケット13及び補強板19は、薄板鋼板によって形成される。これらの各部材は、独立の別体として製作されており、クリート11とライザー12、及びクリート11と補強板19、補強板19と三角ブラケット13とは、ボルトなどの結合部材をもって一体に組み立てられる。
【0032】
補強板19は、図4に示すように、クリート11と三角ブラケット13とを連結可能な所要の形状に形成されており、その幅方向の端辺には、ガイドシュー18Aの取付位置を規制するための位置決め用切欠26が形成されている。位置決め用切欠26の形状は、加工を容易にすると共に、応力集中を抑制するために、半円形又は角部に丸みが付けられた四角形に形成される。また、位置決め用切欠26の形成位置よりも内側部分には、ガイドシュー18Aを連結するための2つの連結孔19a,19bが、上下に配置して開設されている。
【0033】
実施例1に係るガイドシュー18Aは、図4〜図7に示すように、円板状に形成された摺接部18aと、該摺接部18aの裏面側から所要の間隙dを介して相平行に形成された第1及び第2のリブ24a,24bと、これら第1及び第2のリブ24a,24bの間に形成された嵌合突起25と、片面が第2のリブ24bの内面と面一となるように第2のリブ24bと相平行に形成された2本の連結部18b,18cと、各連結部18b,18cの先端部に形成された係止爪18dとから構成されている。本例のガイドシュー18Aは、例えばポリアセタール樹脂やポリテトラフルオロエチレン樹脂等の低摩擦にして適度の弾性を有する材料をもって一体に形成される。
【0034】
摺接部18aの外面は、スカートガード5に摺接される摺接面となっており、この面には、図6に示すように、一定深さの凹溝27が形成されている。このようにすると、凹溝27の溝深さを見ることにより、ガイドシュー18Aの磨耗度を判断できるので、ガイドシュー18Aの交換時期を容易に知ることができ、乗客コンベアのメンテナンス容易性を高めることができる。また、摺接部18aの外面と周面の角部には、図6に示すように、面取り28が施されている。このようにすると、ガイドシュー19Aの摺接面がスカートガード5の繋ぎ目等を乗り越えやすくなるので、ガイドシュー18Aに加わる外力を緩和でき、異音の発生を防止できると共に、ガイドシュー18Aの耐久性を高めることができる。
【0035】
第1及び第2のリブ24a,24bは、高い剛性を有するように、それぞれブロック状に形成される。また、各リブ間の間隙dは、補強板19の板厚とほぼ同一寸法に形成される。よって、間隙d内に補強板19の端辺を挿入したとき、リブ24a,24bの内面が補強板19の表面及び裏面に当接され、補強板19に対してガイドシュー18Aが強固かつ安定に取り付けられる。
【0036】
嵌合突起25は、補強板19に形成された位置決め用切欠26内に嵌合可能な形状に形成される。即ち、位置決め用切欠26が半円形に形成される場合には、半円形に形成され、位置決め用切欠26が角部に丸みが付けられた四角形に形成される場合には、角部に丸みが付けられた四角形に形成される。かかる構成とすることにより、ガイドシュー18Aに作用した外力が位置決め用切欠26によって受けられるので、連結部18b,18cに過大な外力が作用せず、連結部18b,18cの破損を防止することができる。
【0037】
連結部18b,18cは、所要の弾性を有する板状に形成されており、その先端の第1リブ24aと対向する面には係止爪18dが形成される。係止爪18dは、正面形状が、4分割された輪状に形成されており、各分割部は、それぞれ連結部18b、18cに対して弾性変形できるように構成される。これらの各係止爪18dは、補強板19の端辺に摺接部18aの裏面を押し付けたとき、補強板19に開設された連結孔19a,19bと合致する位置に形成される。
【0038】
以下、補強板19に対するガイドシュー18Aの取付方法について説明する。まず、第1及び第2のリブ24a,24bの間に補強板19を挿入し、補強板19に形成された位置決め用切欠26に嵌合突起25を嵌め込む。次いで、補強板19に開設された連結孔19a,19b内にそれぞれ連結部18b,18cに形成された係止爪18dを挿入する。連結孔19a,19b内に挿入された係止爪18dは、挿入過程の当初においては連結孔19a,19bに押されて内向きに弾性変形し、連結孔19a,19bを通過した段階では、自身が有する弾性によって原位置に復帰し、図5に示すように連結孔19a,19bに係止される。
【0039】
実施例1に係るガイドシュー18Aは、摺接部18aの片面から同一方向に向けて突出された2本の連結部18b,18cを有し、これら2本の連結部18b,18cを補強板19に連結するので、補強板19に対するガイドシュー18Aの取付強度を高めることができ、乗客コンベアの耐久性及び信頼性を高めることができる。また、2本の連結部18b,18cのいずれか一方又はこれらの各連結部18b,18cに形成された2つの係止爪18dのいずれか一方が破損した場合にも、補強板19からのガイドシュー18Aの脱落を防止できるので、フェールセーフ性にも優れる。さらに、本例のガイドシュー18Aは、係止爪18dを備え、この係止爪18dを補強板19に開設された連結孔19a,19bにスナップ結合できるので、補強板19に対するガイドシュー18Aの取り付けが容易で、乗客コンベアの組立を容易化することができる。また、前記摺接面18aの片面に嵌合突起25を設けると共に、補強板19の端部垂直部に位置決め用切欠26を設けたので、これらを嵌合することによって補強板19に対するガイドシュー18Aの取付位置を一義的に決めることができ、連結孔19a,19bに対する係止爪18dのスナップ結合を容易化することができる。
【0040】
次に、実施例2に係るガイドシュー18Bを、図9に基づいて説明する。この図から明らかなように、本例のガイドシュー18Bは、連結部18b,18cの先端に係止爪18dを形成する構成に代えて、各連結部18b,18cの先端にそれぞれ連結孔18eを開設したことを特徴とする。本例のガイドシュー18Bは、補強板19に開設された連結孔19c,19dと2本の連結部18b,18cのそれぞれに開設された連結孔18eとを合致させた状態で、これらの各孔にボルト21を貫通し、そのねじ部にナット22を螺合することによって、補強板19に取り付けられる。本例のガイドシュー18Bは、補強板19とガイドシュート18Bをボルト21及びナット22で締結するので、補強板19に対してガイドシュー18Bを強固に取り付けることができ、乗客コンベアの耐久性及び信頼性を高めることができる。その他については、実施例1に係るガイドシュー18Aと同じであるので、対応する部分に同一の符号を付して、説明を省略する。本例のガイドシュー18Bは2本の連結部18b,18cの固定方法が異なるだけで、実施の第1例に係るガイドシュー18Aと同様の効果を有する。
【0041】
なお、前記実施形態においては、エスカレータを例にとって説明したが、本発明は動く歩道にも適用することができる。動く歩道にも適用する場合、踏段2としては、図10に示すように、ライザー12を有さず、かつ三角ブラケット13に代えて四角形のブラケット23を備えたものが用いられる。その他については、エスカレータに備えられる踏段と同じであるので、対応する部分に同一の符号を付して、説明を省略する。また、図10には前ローラ14及び後ローラ16が図示されているが、いずれか一方のローラに関しては、省略することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、エスカレータや動く歩道等の乗客コンベアに利用できる。
【符号の説明】
【0043】
1…乗降床
2…踏段
3…欄干
4…移動手摺り
5…スカートガード
6…フレーム
7a,7b…案内レール
11…クリート
12…ライザー
13…三角ブラケット
14…前ローラ
15…前軸
16…後ローラ
17…後軸
18A,18B…ガイドシュー
19a,19b…連結孔
21…ボルト
22…ナット
23…ブラケット
24a,24b…リブ
25…嵌合突起
26…位置決め用切欠
27…凹溝
28…面取り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客が乗るクリートと、前記クリートの側面部分に配置されたブラケットと、前記ブラケットに回転可能に支持されたローラと、前記クリートと前記ブラケットとの連結を補強する補強板と、前記補強板の端辺に取り付けられたガイドシューとから構成される踏段と、前記踏段の移動方向に沿って配置されたスカートガードとを備えた乗客コンベアにおいて、
前記補強板は、前記踏段の幅方向の端辺に形成された前記ガイドシューの位置決め用切欠と、前記位置決め用切欠よりも内側部分に開設された前記ガイドシューと連結するための連結孔とを有し、
前記ガイドシューは、片面が前記スカートガードとの摺接面である板状の摺接部と、該摺接部の他の片面に所要の間隙を介して相平行に形成された第1及び第2のリブと、これら第1及び第2のリブの間に形成された嵌合突起と、前記第1及び第2のリブと相平行に形成された連結部とを一体に形成してなり、前記第1及び第2のリブを前記補強板の表面及び裏面に当接し、前記嵌合突起を前記補強板に形成された前記位置決め用切欠に嵌合すると共に、前記補強板に開設された前記連結孔を利用して前記連結部を前記補強板に連結することを特徴とする乗客コンベア。
【請求項2】
前記位置決め用切欠は、半円形又は角部に丸みをつけた四角形であることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記連結部の先端に係止爪を形成し、該係止爪を前記補強板に開設された前記連結孔にスナップ結合することにより、前記ガイドシューを前記補強板に着脱可能に取り付けることを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記連結部の先端に連結孔を開設し、当該連結孔と前記補強板に開設された連結孔とにボルトを一連に貫通し、該ボルトにナットを螺合することにより、前記ガイドシューを前記補強板に着脱可能に取り付けることを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記摺接面に、当該摺接面の摩耗度を目視によって判断するための凹部を形成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
【請求項6】
前記摺接面とこれに続く前記摺接部の周面との角部に面取りを施したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
片面がスカートガードとの摺接面である板状の摺接部と、該摺接部の他の片面に所要の間隙を介して相平行に形成された第1及び第2のリブと、これら第1及び第2のリブの間に形成された嵌合突起と、前記第1及び第2のリブと相平行に形成された連結部とを一体に形成してなることを特徴とする乗客コンベアのガイドシュー。
【請求項8】
前記摺接面に、当該摺接面の摩耗度を目視によって判断するための凹部を形成したことを特徴とする請求項7に記載の乗客コンベアのガイドシュー。
【請求項9】
前記摺接面とこれに続く前記摺接部の周面との角部に面取りを施したことを特徴とする請求項7及び請求項8のいずれか1項に記載の乗客コンベアのガイドシュー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−10584(P2013−10584A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142990(P2011−142990)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】