説明

乗客コンベア

【課題】ハンドレールの据付け作業を容易なものとすることのできる乗客コンベアの提供。
【解決手段】無端状に連結され枠体に沿って移動する踏段と、踏板の移動方向に沿った両側で枠体に立設された欄干と、ハンドレール駆動機により駆動され、欄干の周囲を踏段と同期して走行するハンドレールと、ハンドレールの帰路側にあってハンドレールを案内するハンドレール帰路側案内手段10とを備えた乗客コンベアにおいて、ハンドレール帰路側案内手段10は、帰路側を走行するハンドレール9Kの底面に摺接するローラ10aと、このローラ10aの両側部に取付けられ、ハンドレール9Kの左右側面に摺接する円盤状のガイド10b、10cとからなり、ハンドレール9Kの底面および左右側面のそれぞれに摺接するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレーターや動く歩道などの乗客コンベアに係わり、特にその移動手摺の案内装置の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、エスカレーターや動く歩道などの乗客コンベアには、横向きのC字形状の断面を有するとともに、無端状に連結され、踏段と同期して欄干の周囲を走行するハンドレールが備えられている。そして、帰路側のハンドレールの移動を案内する手段として、従来、ハンドレールが弛まないようにする為のローラと、幅方向の蛇行を防止する為、C字形状の断面を有するハンドレールの内側に嵌入されるガイドとを設けたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04−371485(段落番号0011〜0013、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のものは、ハンドレールの内側にガイドを嵌入し、ハンドレールの内側側面とガイドの外側側面が摺動する事で、ハンドレールの蛇行を防止するものである。この為、ハンドレール内側の幅寸法と略同一の幅寸法を有するガイドをハンドレールの内側に嵌め込む必要があり、ハンドレールの据付け作業に多大な労力と時間を要するという問題があった。
【0005】
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、ハンドレールの据付け作業を容易なものとすることのできる乗客コンベアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、建築構造物に設置された枠体と、この枠体に案内され無端状に連結された踏段と、この踏板の移動方向に沿った両側で前記枠体に立設された欄干と、ハンドレール駆動機により駆動され、前記欄干の周囲を前記踏段と同期して走行するハンドレールと、前記ハンドレールの帰路側にあって前記ハンドレールを案内するハンドレール帰路側案内手段とを備えた乗客コンベアにおいて、前記ハンドレール帰路側案内手段は、前記ハンドレールの底面および左右側面のそれぞれに摺接することを特徴としている。
【0007】
このように構成した本発明では、ハンドレール帰路側案内手段を、ハンドレールの底面および左右側面の3面に摺接する構造とすることで、従来のようなハンドレールの内側に嵌入するガイドを設けることを要せずに、帰路側走行時にハンドレールが蛇行することを防ぎつつ案内することができる。これによって、ハンドレール据付け時に、ガイドをハンドレールの内側に嵌入するといった煩雑な作業を要することがないことから、ハンドレールの据付け作業を容易に行うことができる。
【0008】
また、本発明は、前記ハンドレール帰路側案内手段は、前記ハンドレールの底面に摺接するローラと、このローラの両側部に取付けられ、前記ハンドレールの左右側面に摺接する円盤状のガイドとからなることを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明では、帰路側を走行するハンドレールは、その底面がローラにより案内されるとともに、左右側面がローラの両側部に取付けられた円盤状のガイドにより案内される。このように、ハンドレール帰路側案内手段をローラ、およびローラの両側部に取付けられるガイドといった一体構造とすることで、その据付け作業をより容易なものとするとともに、製作コストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ハンドレールの据付け作業を容易なものとし、作業労力および作業時間の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明が適用される乗客コンベアの全体構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す図1のI−Iに沿う要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る乗客コンベアの実施例を図に基づき説明する。
【0013】
乗客コンベア、例えばエスカレーターは、図1に示すように、建築構造物A、Bに設置された枠体1と、この枠体1の長手方向両端部に設けられた乗降床2A、2Bと、これら乗降床2A、2Bの近傍に配置された主スプロケット3Aおよび従スプロケット3Bと、乗降床2A、2B間を無端状に連結されて循環移動する踏段チェーン4および踏段5と、踏段チェーン4を駆動する駆動装置6と、踏段の移動方向(回転方向)に沿った両側で枠体1に立設され左右に対向する欄干7と、欄干7の内部に設けられるハンドレール駆動機8により駆動され、欄干7の周囲を踏段5と同期して走行するハンドレール9と、枠体1に沿って複数配置され、ハンドレール9の帰路側にあってハンドレール9を案内するハンドレール帰路側案内手段10とを備えている。
【0014】
ハンドレール帰路側案内手段10は、図2に示すように、帰路側のハンドレール9Kの底面に摺接するローラ10aと、このローラ10aの両側部に取付けられ、ハンドレール9Kの左右側面に摺接する円盤状のガイド10b、10cとからなっている。また、ローラ10aはブラケット11を介して枠体1に回動自在に支持されている。
【0015】
本実施例にあっては、ハンドレール9は、ハンドレール駆動機8により駆動され、欄干7の周囲を踏段5と同期して走行する。そして、帰路側を走行するハンドレール9Kは、その底面がローラ10aにより案内されるとともに、左右側面がローラ10aの両側部に取付けられた円盤状のガイド10b、10cにより案内され、蛇行することなく円滑に走行する。
【0016】
本実施例によれば、ハンドレールの据付け作業を容易なものとし、作業労力および作業時間の低減を図ることができる。また、ハンドレール帰路側案内手段10をローラ10a、およびローラ10aの両側部に取付けられるガイド10b、10cといった一体構造とすることで、その据付け作業をより容易なものとするとともに、製作コストの低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0017】
1 枠体
2A、2B 乗降床
3A 主スプロケット
3B 従スプロケット
4 踏段チェーン
5 踏段
6 駆動装置
7 欄干
8 ハンドレール駆動機
9 ハンドレール
10 ハンドレール帰路側案内手段
10a ローラ
10b、10c ガイド
11 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造物に設置された枠体と、この枠体に案内され無端状に連結された踏段と、この踏板の移動方向に沿った両側で前記枠体に立設された欄干と、ハンドレール駆動機により駆動され、前記欄干の周囲を前記踏段と同期して走行するハンドレールと、前記ハンドレールの帰路側にあって前記ハンドレールを案内するハンドレール帰路側案内手段とを備えた乗客コンベアにおいて、
前記ハンドレール帰路側案内手段は、前記ハンドレールの底面および左右側面のそれぞれに摺接することを特徴とした乗客コンベア。
【請求項2】
前記ハンドレール帰路側案内手段は、前記ハンドレールの底面に摺接するローラと、このローラの両側部に取付けられ、前記ハンドレールの左右側面に摺接する円盤状のガイドとからなることを特徴とした請求項1記載の乗客コンベア。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−62151(P2012−62151A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206716(P2010−206716)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】