説明

乗客コンベヤの移動手摺移動規制装置

【課題】案内レールと非係合となっている移動手摺の部分の案内レールに対する移動が規制されるときに移動手摺の外側表面に損傷が発生することを防止することができる乗客コンベヤの移動手摺移動規制装置を得る。
【解決手段】案内レール1に係合される移動手摺2の係合部6に係合され、移動手摺2を案内する案内部11と、案内部11を支持する支持部12とを備えている。案内部11は、案内レール1の真上に配置される。支持部12は、案内レール1の幅方向に案内レール1を挟む一対の側板部15を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、案内レールと非係合となっている移動手摺の部分の移動を規制する乗客コンベヤの移動手摺移動規制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、案内レールの一部を囲む囲繞部と、この囲繞部を支持する支持部とを備えたエスカレータの移動手摺移動規制装置が知られている。囲繞部は、案内レールに係合されずに案内レールの上に載せられた移動手摺の部分が案内レールに沿って移動可能となるように、移動手摺の一部を囲むようになっている。これにより、案内レールに係合されずに案内レールの上に載せられた移動手摺の部分は、案内レールが循環移動するときに、案内レールの幅方向についての案内レールに対する移動手摺の移動が規制される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−34487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、案内レールに対する移動手摺の移動が規制されるときに移動手摺の外側表面と囲繞部とが接触するので、移動手摺の外側表面に損傷が発生してしまう恐れがあるという問題点があった。
【0005】
この発明は、案内レールと非係合となっている移動手摺の部分の案内レールに対する移動が規制されるときに移動手摺の外側表面に損傷が発生することを防止することができる乗客コンベヤの移動手摺移動規制装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る乗客コンベヤの移動手摺移動規制装置は、案内レールに係合される移動手摺の係合部に係合され、前記移動手摺を案内する案内部と、前記案内部を支持する支持部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る乗客コンベヤの移動手摺移動規制装置によれば、案内部が移動手摺の係合部に係合されることにより案内レールと非係合となっている移動手摺の部分の案内レールに対する移動が規制されるので、案内レールと非係合となっている移動手摺の部分の案内レールに対する移動が規制されるときに移動手摺の外側表面に損傷が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエスカレータを示す側面図である。
【図2】図1の案内レール、移動手摺および移動手摺移動規制装置を示す斜視図である。
【図3】図2の移動手摺移動規制装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエスカレータ(乗客コンベヤ)を示す側面図である。図において、建物の上階床と下階床との間に渡って設置された主枠には、案内レール1が主枠の長手方向に延びて設けられている。案内レール1には、ゴム製で無端状に形成された移動手摺2が循環移動可能に設けられている。また、案内レール1には、移動手摺2の移動を規制する移動手摺移動規制装置(乗客コンベヤの移動手摺移動規制装置)3が設けられている。移動手摺移動規制装置3は、移動手摺2を案内レール1に取り付けるときに、案内レール1に取り付けられる。また、移動手摺移動規制装置3は、この例では、案内レール1の往路側の部分の3箇所に取り付けられる。
【0010】
図2は図1の案内レール1、移動手摺2および移動手摺移動規制装置3を示す斜視図である。案内レール1は、溝4aが形成された基部4と、基部4から突出した一対の鍔部5とを有している。溝4aは、基部4の長手方向に延びて形成されている。また、溝4aは、移動手摺2が案内レール1に取り付けられたときに基部4の移動手摺2に対向する面に形成されている。各鍔部5は、基部4の幅方向両端部から幅方向外側に向かって突出している。鍔部5は、鍔部5の移動手摺2に対向する面と基部4の移動手摺2に対向する面とが同一面上に配置されるように形成されている。移動手摺移動規制装置3は、移動手摺移動規制装置3が案内レール1に取り付けられたときに、案内レール1に沿うように延びて形成されている。
【0011】
移動手摺2は、案内レール1と係合可能な係合部6が形成されている。移動手摺2は、案内レール1と係合することにより、案内レール1に案内される。
【0012】
図3は図2の移動手摺移動規制装置3を示す斜視図である。移動手摺移動規制装置3は、一対の移動規制部材7を張り合わせて、移動規制部材7同士が張り合わされた状態を一対の固定部材8で固定することにより組み立てられる。固定部材8は、ボルト9と、ボルト9に係合するナット10とを有している。
【0013】
組み立てられた移動手摺移動規制装置3は、平板形状に形成され移動手摺2の係合部6(図2)に係合可能な案内部11と、案内レール1に固定され案内部11を支持する支持部12とを備えている。支持部12は、案内部11から案内部11の面に垂直な方向に延びた連結部13と、連結部13の先端部に接続され案内部11と平行に配置された平板部14と、平板部14から平板部14の面に垂直な方向に延びた一対の側板部15と、各側板部15の先端部に接続され平板部14と平行に配置された突出部16とを有している。
【0014】
連結部13は、案内部11の幅方向中央部に接続されている。平板部14は、平板部14の幅方向中央部が連結部13に接続されている。各側板部15は、平板部14の幅方向両端部に接続されている。また、各側板部15は、平板部14から反案内部11側に向かって延びて形成されている。また、各側板部15は、移動手摺移動規制装置3が案内レール1に取り付けられるときに、案内レール1の幅方向に案内レール1を挟むようになっている。各突出部16は、各側板部15から互いに近づく方向に突出して形成されている。
【0015】
各突出部16の間には、案内レール1の基部4(図2)が挿入可能となるような隙間が形成されている。平板部14、側板部15および突出部16により形成される内部空間には、案内レール1の鍔部5(図2)が挿入可能となっている。移動手摺移動規制装置3は、案内レール1の鍔部5が平板部14、側板部15および突出部16により形成される内部空間に挿入されることにより、案内レール1に係合される。また、移動手摺移動規制装置3は、案内部11が移動手摺2の係合部6(図2)と係合することにより、移動手摺2を案内する。これにより、移動手摺2の案内レール1の幅方向についての移動が規制される。
【0016】
各移動規制部材7の形状は、組み立てられた移動手摺移動規制装置3の長手方向に移動手摺移動規制装置3を視たときに、案内部11、連結部13および平板部14のそれぞれの中央部を通る面で、案内部11および支持部12を切ることにより形成される各部材の形状となっている。したがって、案内部11は、移動手摺移動規制装置3が案内レール1に取り付けられたときに、案内レール1の真上に配置されるようになっている。また、支持部12の側板部15は、移動手摺移動規制装置3が案内レール1に取り付けられたときに、案内レール1の幅方向に案内レール1を挟むように配置される。
【0017】
図1に示すように、案内レール1の帰路側の部分であって、下階床側の部分には、切取部1aが形成されている。移動手摺2は、案内レール1の切取部1aにおいて、移動手摺2の係合部6が案内レール1に係合される。
【0018】
次に、移動手摺移動規制装置3を用いて移動手摺2を案内レール1に取り付ける手順について説明する。まず、移動手摺移動規制装置3を案内レール1に取り付ける。その後、移動手摺2を案内レール1に沿うように配置しながら、移動手摺2を移動手摺移動規制装置3に取り付ける。この状態で、移動手摺2を循環移動させながら、案内レール1の切取部1aで移動手摺2を案内レール1に係合させる。案内レール1に係合された移動手摺2の部分が移動手摺移動規制装置3に近づくと、移動手摺移動規制装置3を案内レール1から取り外す。移動手摺2が案内レール1に全周に渡って係合されることにより、移動手摺移動規制装置3を用いた移動手摺2の案内レール1への取付作業が終了する。
【0019】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る移動手摺移動規制装置3によれば、案内部11が移動手摺2の係合部6に係合されることにより案内レール1と非係合となっている移動手摺2の部分の案内レール1に対する移動が規制されるので、案内レール1と非係合となっている移動手摺2の部分の案内レール1に対する移動が規制されるときに移動手摺2の外側表面に損傷が発生することを防止することができる。
【0020】
また、案内部11は、案内レール1の真上に配置されるので、案内部11に係合されている移動手摺2の部分が案内レール1の真上に配置される。これにより、移動手摺2をスムーズに循環移動させることができる。
【0021】
また、支持部12は、案内レール1の幅方向に案内レール1を挟む一対の側板部15を有しているので、移動手摺移動規制装置3が案内レール1の幅方向に案内レール1に対して移動することが抑制される。これにより、案内部11に係合されている移動手摺2の部分が案内レール1の幅方向に案内レール1に対して移動することが抑制される。その結果、移動手摺2をスムーズに循環移動させることができる。
【0022】
また、移動手摺移動規制装置3は、一対の移動規制部材7の間に案内レール1が挟まれるように一対の移動規制部材7を張り合わせて、移動規制部材7同士が張り合わされた状態をボルト9およびナット10を用いて固定することにより案内レール1に取り付けられるので、移動手摺移動規制装置3を案内レール1に容易にかつ確実に固定することができる。
【0023】
また、この移動手摺移動規制装置3によれば、移動手摺移動規制装置3を用いずに、移動手摺2を案内レール1に取り付ける場合と比較して、移動手摺2が案内レール1から落下することを防止することができる。これにより、案内レール1への移動手摺2の取付作業の効率を向上させることができる。
【0024】
なお、上記実施の形態1では、乗客コンベヤとして、エスカレータを例に説明したが、動く歩道であってもよい。
【0025】
また、上記実施の形態1では、移動手摺2を案内レール1に取り付けるときに移動手摺移動規制装置3を用いる例について説明したが、移動手摺2を案内レール1から取り外すときに移動手摺移動規制装置3を用いてもよい。これにより、移動手摺2の外側表面に損傷が発生することが防止され、移動手摺2を再利用することができる。
【0026】
また、上記実施の形態1では、案内レール1の帰路側の部分であって、下階床側の部分に形成された切取部1aにおいて、移動手摺2の係合部6が案内レール1に係合される例について説明したが、案内レール1のその他の部分で移動手摺2の係合部6が案内レール1に係合されてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 案内レール、1a 切取部、2 移動手摺、3 移動手摺移動規制装置(乗客コンベヤの移動手摺移動規制装置)、4 基部、4a 溝、5 鍔部、6 係合部、7 移動規制部材、8 固定部材、9 ボルト、10 ナット、11 案内部、12 支持部、13 連結部、14 平板部、15 側板部、16 突出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内レールに係合される移動手摺の係合部に係合され、前記移動手摺を案内する案内部と、
前記案内部を支持する支持部とを備えたことを特徴とする乗客コンベヤの移動手摺移動規制装置。
【請求項2】
前記案内部は、前記案内レールの真上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベヤの移動手摺移動規制装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記案内レールの幅方向に前記案内レールを挟む一対の側板部を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乗客コンベヤの移動手摺移動規制装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−96883(P2012−96883A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245468(P2010−245468)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】