説明

乗用型水田作業機

【課題】 畦越えアームに人為操作具を設けるに際して、操縦者が人為的な操作を加えることで運転座席に搭座した走行状態と同様な運転状態とし、推進能力を抑制した状態にすることのできる人為操作具を用いて、操作性良く畦越えアームを利用した畦越え関連作業を行えるようにする。
【解決手段】 降車状態で走行機体の前部に押さえ込み操作力を付与可能な畦越えアーム5に備えた人為操作具51の操作系に、走行機体の推進能力が得られた状態を保持する保持手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畦越え時や車両への積み降ろし時に、降車状態で走行機体の前部に押さえ込み操作力を付与可能な畦越えアームを備えるとともに、その畦越えアームに、走行機体の推進能力を抑制および抑制解除するための人為操作具を設けた乗用型田植機や乗用型水田直播機などの乗用型水田作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の乗用型作業機においては、畦を越えて機体を圃場へ出し入れしたり、トラックの荷台へ積み降ろしする際などに、機体が大きく前後に傾動する場合がある。このため、運転者が一時的に機体から降りて地上で操縦する操縦形態を備えることが要望されている。
このような地上での操縦を可能にする構造を備えた乗用型水田作業機としては、例えば下記の構造のものが従来より知られている。
[1] 走行機体の前部に、降車状態で押さえ込み操作力を付与可能な畦越えアームを備え、この畦越えアームにクラッチおよびブレーキを操作可能な停止レバーを設け、このレバーを、クラッチ切りと同時にブレーキ操作可能であるように構成して、緊急時の機体停止を行い易くしたもの(例えば、特許文献1参照)。
[2] 走行機体の前部に、降車状態で押さえ込み操作力を付与可能な畦越えアームを備え、この畦越えアームに、クラッチ入り・制動解除位置と、クラッチ切り・制動位置とに切換操作可能な補助操作具を設けたもの(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−335453号公報(段落〔0023〕、〔0024〕、図1、図11)
【特許文献2】特開2002−154463号公報(段落〔0043〕、図5、図6、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
降車状態で走行機体の前部を押さえ込むための畦越えアームは、操縦者が運転座席に搭座した走行状態では、機体前端部で起立姿勢に姿勢維持されていて、人為的に操作されるものではない。したがって、この畦越えアームに設けられた人為操作具も、運転座席に搭座した走行状態では操作されることはなく、操縦者が走行機体から降りて降車状態で操縦する場合に限って操作されるものである。
このため、畦越えアームに設けられる人為操作具としては、所謂デッドマン機構などのように、何の操作も行わなければ自動停止するといった構造を採用し難く、一般には特許文献1に示されているように、その操作が行なわれていない状態では操縦者が搭乗した走行状態と同様に、クラッチ入りで、かつ制動解除(運転状態)の状態にあり、降車時には、前記の状態から、クラッチ切りで制動状態(停止状態)となる操作を行うように構成されていた。
【0005】
したがって、降車して地上から畦越えアームに設けられた人為操作具を操作する作業形態では、一瞬でも畦越えアームから手を離すと、操縦者が搭乗した走行状態と同様にクラッチ入りで、かつ制動解除の状態になるので、再び掴んで操作しないと勝手に動き出すことになる。このため、機体の正面に立って機体を引き上げる作業を行ったり、機体の横に回って機体上の物を動かしたり、他のレバー類を操作するなどの作業を行い難いものであった。
【0006】
また、特許文献2に記載のものでは、降車状態で走行機体の前部を押さえ込み可能な畦越えアームに、クラッチ入り・制動解除位置と、クラッチ切り・制動位置とに切換操作可能な補助操作具を設け、その補助操作具と主クラッチ・ブレーキペダルとの連動系にレリーズワイヤを利用した融通機構を設けている。このようにして、レリーズワイヤの弛みを利用して補助操作具の操作位置に干渉されずに主クラッチ・ブレーキペダルによるクラッチ切り・制動操作を行えるようにしている。
この特許文献2に記載のものにおいても、主クラッチ・ブレーキペダルによるクラッチ切り・制動操作が行われなければ、クラッチ入り・制動解除位置の補助操作具を掴む手を離したときに、やはり前記特許文献1に記載した構造のものと同様な不具合がある。
【0007】
本発明の目的は、走行機体の前部に押さえ込み操作力を付与するための畦越えアームに人為操作具を設けるに際して、操縦者の搭乗状態での走行時には、畦越えアームの人為操作具が操縦者によって操作されていない状態でありながら推進能力を制限せず、操縦者が地上に降りると、畦越えアームの人為操作具の操作に伴って推進能力を得られるようにして、畦越えアームを利用した畦越え関連作業を操作性良く行える乗用型水田作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために講じた本発明の技術手段は、次の点に構成上の特徴、及び作用効果がある。
〔解決手段1〕
本発明は、請求項1の記載のように、降車状態で走行機体の前部に押さえ込み操作力を付与可能な畦越えアームを備えるとともに、その畦越えアームに、走行機体の推進能力を抑制および抑制解除するための人為操作具を設けた乗用型水田作業機において、前記人為操作具の操作系に、走行機体の推進能力が得られた状態を保持する保持手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
〔作用及び効果〕
上記構成によれば、畦越えアームに設けた人為操作具の操作系に、走行機体の推進能力が得られた状態を保持する保持手段を備えたものであるから、操縦者が座席に搭座する搭乗運転状態では、人為操作具を、走行機体の推進能力が得られた状態に保持しておくことにより、通常の走行状態を支障なく得ることができる。
そして操縦者が機体から降りて地上で人為操作具を操作する畦越え時などには、前記保持手段による走行機体の推進能力が得られた状態であるところの保持状態と、走行機体の推進能力を抑制した状態とを任意に選択することによって、微妙な速度調節が必要な畦越え走行時などに、人為的な機体操縦操作を地上から行える利点がある。
【0010】
〔解決手段2〕
本発明は、請求項1記載の乗用型水田作業機において、請求項2の記載のように、保持手段の非保持状態では、走行機体の推進能力を抑制した状態となるように構成するとよい。
【0011】
〔作用及び効果〕
このように、保持手段の非保持状態では自動的に走行機体の推進能力を抑制した状態となるように構成すると、人為操作具の保持状態を解除するだけで走行機体の推進能力を抑制した状態となる。
したがって、畦越え作業などに際して、ただちに走行機体の推進能力を抑制したい場合に、人為操作具の保持を解除してから、推進能力を抑制する状態に切り換え操作するための特別な操作を要さず、前記保持手段による保持状態を解除する操作を行うだけで、走行機体の推進能力が抑制された状態となり、その切換操作が迅速かつ簡単に行える利点がある。
【0012】
〔解決手段3〕
本発明は、前記請求項1または2記載の乗用型水田作業機において、請求項3の記載のように、畦越えアームに設けた人為操作具とは別に、走行機体の推進能力を抑制および抑制解除するための人為操作手段を、搭乗姿勢で操作可能な走行機体上に備え、この人為操作手段による推進能力抑制状態を、畦越えアームに設けた前記人為操作具の操作によって解除可能に構成するとよい。
【0013】
〔作用及び効果〕
上記構成によれば、走行機体に搭乗した状態で、走行機体の前部箇所に備えた人為操作手段により、走行機体を推進能力抑制状態にしたまま機体を降りた場合に、その走行機体前部箇所の人為操作手段による走行機体の推進能力抑制状態を、地上で畦越えアームに装備された人為操作具の操作で解除操作することが可能となる。
したがって、地上の離れた位置から身体を伸ばして走行機体上の人為操作手段を操作したり、わざわざ機体に乗って解除操作するような手数が不要となる利点がある。
【0014】
〔解決手段4〕
本発明は、請求項4の記載のように、降車状態で走行機体の前部に押さえ込み操作力を付与可能な畦越えアームを備えるとともに、その畦越えアームに、走行機体の推進能力を抑制および抑制解除するための人為操作具を設けた乗用型水田作業機において、
前記人為操作具を操作しない状態では、推進能力を抑制する状態に自動的に切り変わるように構成してあることを特徴とする。
【0015】
〔作用及び効果〕
上記構成によれば、操縦者が機体から降りて地上で人為操作具を操作する畦越え時などには、人為操作で走行機体の推進能力が得られる状態と推進能力を抑制した状態とを任意に選択することができる。
そして、人為操作具を操作しない状態では、推進能力を抑制する状態に自動的に切り変わるものであるから、例えば畦越え作業などに際して、畦越えアームを牽引する操縦者の手が畦越えアームから離れた場合に、ただちに走行機体の推進能力が抑制される。したがって、走行機体が勝手に走行して障害物等に衝突するなどの不具合が発生することを未然に回避し易い利点がある。
【0016】
〔解決手段5〕
本発明は、請求項1、2、または4記載の乗用型水田作業機において、請求項5の記載のように、畦越えアームに設けた人為操作具とは別に、走行機体の推進能力を抑制および抑制解除するための人為操作手段を、降車状態で操作可能な走行機体の前部箇所に備えた点に特徴がある。
【0017】
〔作用及び効果〕
上記構成によれば、畦越えアームに設けた人為操作具のみならず、走行機体の前部箇所に設けた別の人為操作具によっても、走行機体の推進能力を抑制および抑制解除することができるので、地上で操作する操縦者が、最も近くの操作し易い人為操作具を操作することができ、より迅速な操作が可能となる利点がある。
【0018】
〔解決手段6〕
本発明は、請求項1〜5の何れか1項記載の乗用型水田作業機において、請求項6の記載のように、畦越えアームとその畦越えアームに設けられた人為操作具とを共握り可能に構成したものである。
【0019】
〔作用及び効果〕
上記構成によれば、畦越えアームの把持が必要な押さえ込み時に人為操作具も同時的に把持して操作することができる。したがって、人為操作具のみを、畦越えアームとは別に握り操作しなければならない構造にくらべ、畦越えアームを両手で把持して、押さえ込み操作力を加えながらの操作が行い易い状態で使用できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔乗用型水田作業機の全体構成〕
乗用型水田作業機の一例としての乗用型田植機について説明する。
図1に示すように、乗用型田植機は、駆動操向型の前車輪1A、駆動型の後車輪1Bで支持された走行機体2の前部にエンジン7、ミッションケース13、運転操縦部8を配するとともに、操縦席9の後部に肥料を貯留するホッパー16を備え、その下方近くの走行機体2後部に、リンク機構14を介して昇降自在に構成された4条植型式の苗植付装置15を連設している。
【0021】
走行伝動構造について説明する。前記エンジン7からの動力は、主クラッチ40を兼用するベルト伝動機構11を介して、主変速装置としての静油圧式無段変速装置12に伝達され、この静油圧式無段変速装置12では、中立位置、前進の高速側及び後進の高速側に無段階に変速自在に構成されている。前記静油圧式無段変速装置12は、図4に示すように、操縦ハンドル8Aの左側に配設された主変速レバー26によって前後進変速及び中立操作可能に構成されている。
前記静油圧式無段変速装置12からの動力がミッションケース13に導かれ、ミッションケース13内に導入された動力は、ミッションケース13内に配備された周知の株間変速装置、副変速装置等(図示せず)を介して左右の前車輪1A,1Aに伝達されるとともに、前記ミッションケース13からチェーン伝動機構等を介して後車輪1B,1Bに分岐伝動される。
【0022】
図1乃至図3に示すように、走行機体2の前部にエンジン7を収容したボンネット7Aを配備するとともに、その左右には予備苗のせ台18を立設してある。ボンネット7Aと予備苗のせ台18との間には、機体前端と運転部との間の歩行移動を許容するための乗降通路となる前部ステップ19を形成してある。
また、図1乃至図3に示すように、走行機体2の前端部には横軸芯X2周りで上下揺動自在な畦越えアーム5を取付てある。
【0023】
〔クラッチ操作関連〕
エンジン7から主変速装置としての静油圧式無段変速装置12への動力伝達を行う前記ベルト伝動装置11は、主クラッチ40を兼用するものであり、次のように構成されている。
すなわち、図4、図6、及び図10に示すように、エンジン7の出力軸70に設けた駆動側プーリ11Aと静油圧式無段変速装置12の入力軸12aに設けた従動側プーリ11Bとにわたってベルト11Cを巻回するとともに、伝動ベルト11Cにテンション力を付与するテンション輪11Dを揺動アーム44に取り付けたベルト伝動機構11によって構成してある。
【0024】
図4及び図6に示すように、機体フレーム10の機体左右方向の横軸芯X3周りに揺動アーム44が揺動自在に支持され、揺動アーム44にテンション輪11Dが備えられており、テンション輪11Dが伝動ベルト11Cを押圧する側に揺動アーム44を付勢するクラッチ付勢バネ43が備えられている。これにより、伝動ベルト11C及び揺動アーム44等によって、エンジン7の動力を静油圧式無段変速装置12に伝達する主クラッチ40が構成されている。図4に示すようにテンション輪11Dが伝動ベルト11Cを押圧している状態が主クラッチ40の伝動状態であり、テンション輪11Dが伝動ベルト11Cから離れている状態が主クラッチ40の遮断状態である。
【0025】
図4及び図6に示すように、揺動アーム44は、横軸芯X3を挟んでテンション輪11Dと対向する側の端部が連結ロッド45の一端部に接続されていて、その連結ロッド45の他端部が操作アーム30aと連結されている。
前記操作アーム30aは、丸棒が平面視L字状(図6参照)に折り曲げられて構成された操作ペダル30の支持杆部30Bに一体に連設固定されている。したがって、操作ペダル30の足踏み部30Aを踏み操作すると、操作アーム30aが支持杆部30Bの軸芯周りに揺動して、連結ロッド45を引き操作し、テンション輪11Dが伝動ベルト11Cから離れる側に操作され、主クラッチ40がクラッチ切り側に操作されることになる。
【0026】
また、この操作ペダル30の支持杆部30Bの基部は、機体左右方向の横軸芯X1周りで上下揺動自在にミッションケース13の上部側に支持されており、搭乗ステップ8Bの右側端部に近い部分に足踏み部30Aが配置されている(図6参照)。
また、前記支持杆部30Bの基部には、操作ペダル30を戻り側(クラッチ入り側)へ復帰付勢する復帰バネ33が設けてあり、操作ペダル30の踏み込み操作を解除すると、復帰バネ33の作用により、操作ペダル30が踏み込み前の位置に復帰し、同時にテンション輪11Dを引き操作していた連結ロッド45が、前記復帰バネ33及び前記クラッチ付勢バネ43の付勢作用により、テンション輪11Dを伝動ベルト11Cに圧接する側に復帰させて主クラッチ40をクラッチ入り状態に復元させる。
【0027】
〔ブレーキ操作関連〕
次に、走行用ブレーキ装置20の操作機構について説明する。
走行用ブレーキ装置20は、図6に示すように、ミッションケース13の内部に配備されていて、ミッションケース13外へ突出配置されたブレーキ操作軸21の軸芯まわりで揺動操作可能に設けたブレーキ操作体22の揺動操作で、制動及び制動解除可能に構成されている。
前記ブレーキ操作体22は、図2、図3、及び図6に示すように、運転操縦部8における右側足載せ部位近くに設けられた操作ペダル30に対して連結されている。つまり、前記操作ペダル30の支持杆部30Bの基部には、平板状部材30eが一体に固定されており、この平板状部材30eにブレーキ操作ロッド23の一端側が接続され、ブレーキ操作ロッド23の他端側がブレーキ操作軸21に固定されたブレーキ操作体22に挿入されて、ブレーキ操作ロッド23とブレーキ操作体22とが間にバネ24を介在させた状態で連係されている。尚、前記走行用ブレーキ装置20は、図示しないが、その内部にバネを内装して、解除側に付勢されている。
【0028】
したがって、操作ペダル30の踏み込みに伴うブレーキ操作ロッド23の押し操作がバネ24を介してブレーキ操作体22に伝達され、走行用ブレーキ装置20を制動側に操作し、操作ペダル30の踏み込み解除に伴うブレーキ操作ロッド23の引き方向の操作が、ブレーキ操作体22の逆方向の揺動によるブレーキ解除方向の操作となるように連係させてある。
このように、操作ペダル30は、前述した主クラッチ40の入り切り操作と、走行ブレーキ装置20の制動ならびに制動解除操作との、両操作を行うための操作具を兼用するものであり、その踏み込み動作で主クラッチ40の切り操作と走行ブレーキ装置20の制動操作とが行われ、踏み込み解除動作で主クラッチ40の入り操作と走行ブレーキ装置20の制動解除操作とが行われる。
【0029】
図2,3,5,6に示すように、前記操作ペダル30の足踏み部30Aよりも遊端部側には、人為操作可能な降車操作レバー31が一体に連設され、機体前方側に延出されている。この降車操作レバー31は、操縦者が機体から降りて地上での人為操作を行えるようにするためのものであり、操作ペダル30による操作と同一の操作を地上から行えるようにしたものである。
【0030】
図5及び図6に示すように、走行機体2上における右側の前部ステップ19箇所に、機体前後方向に沿う横軸芯X4周りにロックレバー46が揺動自在に設けてある。
そして、前記降車操作レバー31には、平面視コ字状の係合部材31aが機体前後方向に沿って固定されており、前記ロックレバー46を降車操作レバー31の係合部材31aの前部に係合させることにより、操作ペダル30及び降車操作レバー31を踏み位置で保持することができる。
この場合、ロックレバー46の基部には、そのロックレバー46を、降車操作レバー31の係合部材31aから離れる側に付勢するバネ46aが備えられており、単に操作ペダル30が踏み位置に操作されただけでは、ロックレバー46が降車操作レバー31の係合部材31aに係合することはなく、操作ペダル30を戻し位置に支障なく操作することができる。
前記ロックレバー46を降車操作レバー31の係合部材31aに係合させるには、降車操作レバー31を押し下げ操作(踏み位置)した状態で、前記ロックレバー46をバネ46aの付勢力に抗して係合部材31aの作動軌跡と重合する位置へ揺動操作し、降車操作レバー31の踏み込み解除側への復帰方向への移動作用力による摩擦でロックレバー46の前記バネ46aによる復帰を規制し、降車操作レバー31の押し下げ姿勢を維持するように構成してある。
【0031】
〔畦越えアーム関連〕
次ぎに、畦越え走行時での操作構造について説明する。
図1乃至図4、及び図7ならびに図8に示すように、走行機体2の前端部に横軸芯X2周りで上下揺動自在な畦越えアーム5を取付てある。この畦越えアーム5は、前記横軸芯X2周りで揺動自在なパイプ製の縦杆部5Bと、その縦杆部5Bの先端側を連結するように配設された横向きのパイプ製横杆部5Aとで、全体がアーチ型に形成されており、畦越えアーム5を機体前方に揺動倒伏させると畦越え走行時の押さえ作用姿勢に設定することができ、機体側に立ち上げ立設させると通常走行時の格納姿勢となるように姿勢切換え可能に構成されている。
【0032】
畦越えアーム5の揺動軸芯位置には、図示してはいないが、摩擦保持機構を設けてあり、人為操作力で摩擦保持力に抗して畦越えアーム5を揺動可能に構成されている。したがって、畦越えアーム5を最も機体前方側へ倒伏した姿勢では、畦越えアーム5の基端側をストッパー(図外)に接当させて機体前部に対する上方からの押さえ操作力を付与可能に構成してあり、揺動範囲内の中間位置では、前記摩擦保持機構によって任意の揺動設定位置で畦越えアーム5の姿勢が保持されるように構成してある。
【0033】
上記のように構成された畦越えアーム5には、図3、図4、及び図8に示すように、主クラッチ40及びブレーキ装置20を操作するための推進力抑制操作機構50と、苗植付装置の昇降機構17に対して上昇指令を出力する植付部上昇操作具60と、エンジン停止スイッチ72とが設けられている。
【0034】
図7及び図8に示すように、前記推進力抑制操作機構50は、畦越えアーム5の縦杆部5Bに取り付けられた人為操作可能な人為操作具としての切換操作レバー51と、走行用ブレーキ装置20及び主クラッチ40を操作する手段としての操作ペダル30と、前記切換操作レバー51による操作を操作ペダル30による操作と同様な操作として伝達するための連係操作具52とで構成されている。
【0035】
前記切換操作レバー51は、畦越えアーム5の左右の縦杆部5Bのうち、正面視で右側の縦杆部50に対して、前記畦越えアーム5の横軸芯X2とほぼ平行な左右方向に向く横軸芯P1周りで揺動操作自在に装着してある。
この切換操作レバー51には、その切換操作レバーと同じ横軸芯P1周りで揺動操作自在な第1腕杆51aが一体に形成され、この第1腕杆51aの揺動端部の連結点P2位置に、連係操作具52の弦月杆53の一端部が連結され、弦月杆53の他端側は、レリーズワイヤ54を介して前記操作ペダル30の支持杆部30Bに連係されている(図8及び図5参照)。
【0036】
そして、前記切換操作レバー51を図8の仮想線に示すように、その切換操作レバー51の先端側が横軸芯P1よりも横杆部5A側から離れる側(図中、下方)に揺動操作された推進調節状態Aでは、レリーズワイヤ54を緩み側に操作して、操作ペダル30がクラッチ入り位置(踏み込み解除側)に存在することを許し、前記主クラッチ40の揺動アーム44が入り付勢バネ43の作用で横軸芯X3周りに揺動しクラッチ入り側へ揺動操作された状態を維持している。
逆に、前記切換操作レバー51を同図に実線で示すように、その切換操作レバー51の先端側が横軸芯P1よりも横杆部5A側(図中、上方)寄りに揺動操作された推進抑制状態Bでは、レリーズワイヤ54を引き操作して、前記操作ペダル30がクラッチ切り位置(踏み込み側)に操作された状態とし、前記付勢バネ43の付勢力に抗して主クラッチ40の揺動アーム44を横軸芯X3周りに揺動操作して引き戻し、クラッチ切り側へ揺動操作された状態とする。
【0037】
前記レリーズワイヤ54は、そのアウタワイヤ端部を、図8に示すように、縦杆部5Bに設けられた固定ブラケット55によって縦杆部5Bに固定してあり、この固定ブラケット55に支持されている箇所のレリーズワイヤ54の芯線と、前記切換操作レバー51の横軸芯P1とを結ぶ仮想線分DPに対して、前記推進抑制状態B側へ操作された弦月杆53の一端部を連結する連結点P2の位置が、前記仮想線分DPを跨いで前後に移動するように設けられている。
【0038】
つまり、前記仮想線分DPがデッドポイント線となって、前記弦月杆53に連結されたレリーズワイヤ54による張力の向きがデッドポイント線の何れの側かに変化するように構成してある。したがって、上方側へ操作された切換操作レバー51が前記推進抑制状態Bに操作されると、連結点P2がデッドポイント線を越えた操作限界位置でレリーズワイヤ54の張力を受けることになるので、その姿勢が安定的に維持される。
そして、前記切換操作レバー51が逆方向に操作され、デッドポイント線を越えて前記推進調節状態A側に操作されると、前記連結点P2が切換操作レバー51の横軸芯P1よりも横軸芯X2に近づく側に移動するので、レリーズワイヤ54の張力を緩めて操作ペダル30を戻し側へ操作し、推進調節状態Aに維持する。
【0039】
このとき、前記切換操作レバー51の第1腕杆51aの揺動端部の連結点P2の動きをみると、図8に示すように、推進調節状態Aから推進抑制状態Bへの操作軌跡中で、レリーズワイヤ54が最も引き上げられるのは、連結点P2の軌跡が仮想線分DP(デッドポイント線)と交差する点(PP)に位置したときであり、この点(PP)を過ぎて推進抑制状態Bの位置に達すると、レリーズワイヤ54の張りが僅かではあるが緩み量Δdだけ緩められることになる。
【0040】
したがって、この乗用型水田作業車では、操縦者が操縦席9に搭座した状態での通常の作業走行時には、前記切換操作レバー51を推進調節状態Aに操作して作業走行を行う。このようにデッドポイント線を越えて切換操作レバー51を推進調節状態Aに維持する機構が、走行機体の推進能力が得られた状態を保持する保持手段を構成している。
そして、畦越え時など、操縦者が機体から降りて地上から操縦操作を行うときには、操縦者が機体から降りる前に、操作ペダル30を踏み込んで主クラッチ40を切り、かつ、走行ブレーキ装置20を制動状態にした後、ロックレバー46を操作して、降車操作レバー31の係合部材31aに係合させることにより、操作ペダル30及び降車操作レバー31を踏み位置で保持する。
このように操作ペダル30を踏み込み操作した状態では、前記主クラッチ40及び走行ブレーキ装置20は、連係ロッド45及びブレーキ操作ロッド23を介して操作ペダル30の動きが直接的に伝えられるので、夫々、クラッチ切り、ならびに制動作用状態となる。しかしながら、操作ペダル30と切換操作レバー51とは、前述のレリーズワイヤ54を介して連結されているので、レリーズワイヤ54が緩むことで、操作ペダル30側の動きを吸収し、前記切換操作レバー51は、推進調節状態Aに操作された位置のままで維持されるように構成してある。
【0041】
この後、操縦者が機体から降りて地上で操縦を行う際には、まず、機体を降りてから畦越えアーム5を横軸芯X2周りに回動操作し、遊端側が機体前方側へ向く前倒し姿勢とする。
その状態で、前記推進調節状態Aに操作されている前記切換操作レバー51を、横軸芯P1周りに操作して、推進抑制状態Bとなるように操作すると、その操作途中で前記第1腕杆51aの連結点P2が前記デッドポイント線を越える。
そのデッドポイント線を越えるときがレリーズワイヤ54の最大引き操作状態であるから、このデッドポイント線の前後における前記連結点P2の移動範囲を、推進抑制状態Bが設定される領域(図8における斜線部分(I)参照)となるように、前記レリーズワイヤ54の長さを設定して、切換操作レバー51と操作ペダル30とを連結してある。
【0042】
そして、レリーズワイヤ54が最も緩められるのは、弦月杆53の端部におけるレリーズワイヤ54の連結点P3が、レリーズワイヤ54のアウタワイヤ端部を固定する固定部ブラケット55に最も近接した箇所に到達したときである。
したがって、前記斜線部分(I)で表される推進抑制状態Bが設定される領域を越えて、前記レリーズワイヤ54の連結点P3が固定部ブラケット55に最も近接した箇所に到達するまでの範囲が、推進調節状態Aが設定される領域(図8における斜線部分以外の範囲となる。
ただし、この推進調節状態Aで切換操作レバー51の操作位置が安定的に維持できるのは、図8の仮想線で示すように、前記レリーズワイヤ54の連結点P3が固定部ブラケット55に最も近接した箇所に到達した箇所のみである。
【0043】
畦越えアーム5の左右の縦杆部5Bのうち、正面視で左側の縦杆部5Bには、苗植付装置の昇降機構17に対して上昇指令を出力する植付部上昇操作具60としての上昇操作レバー61が、前後方向軸心P3まわりで揺動自在に、かつ、アーチ型の畦越えアーム5の内方側、つまり、左側の縦杆部5Bから右側の縦杆部5B側に向けて突出した状態に設けてあり、畦越えアーム5の右側に位置している作業者からも手が届き易いように構成されている。
この上昇操作レバー61による上昇指令は、レリーズワイヤ54を介して機体側の切換スイッチ(図外)を入り切り操作して、苗植付装置15の制御装置(図外)に対する上昇指令信号を入力するように構成されている。
【0044】
前記畦越えアーム5のうち、横向きの横杆部5Aの中央部には、エンジン停止スイッチ72と、走行指標具71とが設けられている。
エンジン停止スイッチ72は、畦越えアーム5を操作しての作業中に、緊急にエンジン停止を行いたい場合に、わざわざ走行機体上のキースイッチを操作しなくても、エンジン停止スイッチ72を操作してエンジンを停止できるようにしたものである。
走行指標具71は、畦越えアーム5を操作しての畦越え作業時ではなく、圃場内での通常の作業走行時に使用されるものであり、前進走行方向の指標となる。
【0045】
この乗用型水田作業車では、前記操作ペダル30に降車操作レバー31を一体に連設したものであるから、畦越えアーム5に備えられた推進力抑制操作機構50を操作しないで、この降車操作レバー31を操作することによっても、前記ロックレバー46の解除、ならびに主クラッチ40や走行ブレーキ装置20の操作を行うこともできる。
【0046】
〔実施の形態の別例1〕
図9及び図10は、畦越えアーム5に設ける推進力抑制操作機構50の別の実施形態を示すものである。
【0047】
この実施形態では、前述の最良の実施の形態で示した乗用型田植機のように、操作ペダル30で主クラッチ40と走行用ブレーキ装置20の両方を操作するように構成したものではなく、図示しないが、走行用ブレーキ装置20は、別のブレーキ操作専用のペダルを用いて操作するように構成され、操作ペダル30では、主クラッチ40のみを操作するように構成されている。この点で前述の最良の実施の形態で示した乗用型田植機とは構造の相違するものであるが、その他の伝動系の操作構造に関しては同様に構成されている。
【0048】
この実施形態では、推進力抑制操作機構50は、畦越えアーム5の縦杆部5Bに取り付けられた人為操作可能な人為操作具としての切換操作レバー51と、主クラッチ40と、前記切換操作レバー51による操作を主クラッチ40の入り切り操作として伝達するための連係操作具52とで構成されている。
【0049】
この構造では、エンジン7から静油圧式無段変速装置12へ動力を伝達する主クラッチ40兼用のベルト伝動機構のテンション輪11Dに前記連係操作具52が連結されている。このテンション輪11Dは、その揺動アーム44が横支軸X3周りで揺動自在に、かつ、引っ張りバネ56を介して連係操作具52のレリーズワイヤ54と連結されており、レリーズワイヤ54の他端が前記切換操作レバー51と連結されている。
【0050】
前記切換操作レバー51のクラッチ入り側への揺動付勢力は、前記切換操作レバー51をクラッチ入り側へ揺動させた姿勢(図10中、実線で示す姿勢)での、前記引っ張りバネ56の付勢力によるものであり、前記切換操作レバー51をクラッチ切り側へ揺動させた姿勢(図10中、仮想線で示す姿勢)では、レリーズワイヤ54の緩みに伴って引っ張りバネ56も緩められ、テンション輪11Dは伝動ベルト11Cから離れる側に操作される。
【0051】
前記テンション輪11Dを横支軸X3周りで揺動自在に支持する揺動アーム44の他端側には、長孔44aによって形成される融通連結部が設けられ、その長孔44aに一端側を係入させた連結ロッド45が、操縦席9への搭乗姿勢で操作可能な操作ペダル30に連結されている。
この操作ベダル30を踏み込み操作すると、連結ロッド45を介して揺動アーム44が切り側に強制的に引き操作される。したがって、揺動アーム44が実線で示す入り位置に操作されている場合は、操作ペダル30の踏み込みによって主クラッチ40を切り操作することができ、揺動アーム44が仮想線で示す切り位置に操作されている場合は、操作ペダル30の踏み込みによって連結ロッド45が移動する空間だけ長孔44aが存在していることにより、主クラッチ40は操作ペダル30の操作に関わりなく切り操作状態に維持されている。
【0052】
前記切換操作レバー51は、常時はクラッチ切り側へ揺動付勢されていて、デッドマン機構として機能している。そして、縦杆部5Bに切換操作レバー51のクラッチ切り側への揺動を規制するフック部材57が装着してあり、このフック部材57を切換操作レバー51に対して係脱させることによって、切換操作レバー51のクラッチ切り側への揺動を許す状態と規制する状態とに切換られるように構成してある。この実施形態の例では、前記フック部材57が、走行機体の推進能力が得られた状態を保持する保持手段を構成している。
そして、前記レリーズワイヤ54は、畦越えアーム5の横軸芯X2の近くにその途中位置を支持してあり、かつ、畦越えアーム5の縦杆部5Bにほぼ沿って配設されているので、畦越えアーム5を起立させた姿勢でも、前方へ倒伏させた姿勢でも前記切換操作レバー51によるクラッチ入り切り操作を支障なく行うことができる。
【0053】
〔実施の形態の別例2〕
図11乃至図20は、畦越えアーム5に設ける推進力抑制操作機構50のさらに別の実施形態を示すものである。
この実施形態では、前述の最良の実施の形態で示した乗用型田植機と伝動系のクラッチ及びブレーキの操作機構を除く構成では、同様の構造の乗用型田植機を採用している。
【0054】
走行伝動構造について説明する。前記エンジン7からの動力は、主クラッチ40を兼用するベルト伝動機構11を介して、主変速装置としての静油圧式無段変速装置12に伝達され、静油圧式無段変速装置12からの動力がミッションケース13に導かれている。
ミッションケース13内に導入された動力は、ミッションケース13内に配備された周知の株間変速装置、副変速装置、前輪デフ機構等(図示せず)を介して左右の前車輪1A,1Aに伝達されるとともに、前輪デフ機構からチェーン伝動機構等を介して後車輪1B,1Bに分岐伝動される。
【0055】
前記静油圧式無段変速装置12は、図13に示すように、操縦ハンドル8Aの左側に配設された主変速レバー26によって前後進変速及び中立操作可能に構成されている。
つまり、主変速レバー26の基端部に扇状板26Aを一体回転自在に取付ける。扇状板26Aの上周面に歯面26aを形成するとともに、歯面26aに係合するカムフォロア26bを板バネ26Bの先端に取り付けて、主変速レバー26の変速位置を人為的に変更可能でかつ設定位置で位置決めするデテント機構を構成している。
扇状板26Aの下方に、横向き軸芯X1周りで揺動するチャンネル形状の中継アーム27を配置するとともに、中継アーム27と扇状板26Aとを第1連係ロッド28で連係する。中継アーム27の前方には、静油圧式無段変速装置12の油圧モータ12Aの上下向きトラニオン軸12bを配置し、このトラニオン軸12bを操作するアーム12aと中継アーム27とに亘って第2連係ロッド29を掛け渡して、主変速レバー26で静油圧式無段変速装置12を変速操作可能に構成してある。
【0056】
次に、走行用ブレーキ装置20の操作機構について説明する。
図12に示すように、運転操縦部8における右側足載せ部位近くに、ブレーキ操作用の操作ペダル30と降車状態で使用する降車操作レバー31とを設けている。
操作ペダル30は、板状の足踏み部30Aとその足踏み部30Aより後方下方に延出された支持杆部30Bとで構成してあり、支持杆部30Bを途中で屈曲して、屈曲基端部30bを機体フレーム10に支持させて、その屈曲基端部30bの軸芯周りで上下揺動可能に構成してある。
【0057】
一方、操作ペダル30の内側に降車操作レバー31を設けてあり、図12及び図15乃至図19に示すように、この降車操作レバー31を板状フレーム部31Bとその板状フレーム部31Bの基端部に形成したチャンネル状のブラケット部31Aとで構成し、このブラケット部31Aを操作ペダル30の屈曲基端部30bに外遊嵌して、降車操作レバー31を操作ペダル30とは独立して操作可能に構成してある。
【0058】
前記操作ペダル30の屈曲基端部30bからは、前方に向けて前操作アーム30cと後方にむけて後操作アーム30dとを延出するとともに、これらの前操作アーム30cと後操作アーム30dとに平行する状態で、ブラケット部31Aから前方に向かう前アーム部31aと後方に向かう後アーム部31bとを設けてある。
そして、操作ペダル30の前操作アーム30cと、降車操作レバー31の前アーム部31aとの揺動作動を走行用ブレーキ装置20に伝達する伝達操作機構を備えており、この伝達操作機構は、前記前操作アーム30cと前アーム部31aとの間における所定角度範囲内の相対揺動を許容する長孔などの融通部分を介在させた状態で連結するチャンネル状の受け具32Aと、受け具32Aから延出した縦向きの上下ロッド32Bとで構成されている。
【0059】
図16乃至図18に示すように、後操作アーム30dと後アーム部31bとは、それらの下方に設けてあるアングル状の受けフレーム37に上方から当接しており、上向きに付勢されている操作ペダル30と降車操作レバー31とを、操作をされる前の姿勢に維持する機能を担っている。
図12に示すように、操作ペダル30を上向きに付勢するバネ33は、機体フレーム10に支持された支持杆部30Bに装着された駆動アーム34に作用する復帰バネである。降車操作レバー31を復帰させるバネ43は、ブラケット部31Aに装着されているバネである。受けフレーム37には、リミット式のスイッチ38が設けてあり、スイッチ38はエンジン始動を許容する信号を発するように構成してある。このように、受けフレーム37は、スイッチ38の取付ブラケットであるとともに、操作ペダル30と降車操作レバー31の待機位置を設定する部材とに兼用されている。
そして、さらに、受けフレーム37は、降車操作レバー31の戻しバネを受け止めるフレーム、その他、図示していないが、植付クラッチアーム、及び、施肥クラッチアームに対する戻しバネの取付けフレームとして機能している。
【0060】
スイッチ38の前方側には、操作ペダル30の前操作アーム30cより下向きにリミットドッグ30eを設けてあり、操作ペダル30を踏み込み操作すると、リミットドッグ30eがスイッチ38を入り操作して、エンジン7の始動を許容する。
【0061】
操作ペダル30と降車操作レバー31とは相手側を連動させずに操作できるものとして説明したが、図12及び図16に示すように、降車操作レバー31の板状フレーム部31Bに連結具36を軸支してあり、この連結具36を操作ペダル30の足踏み部30Aに係合させることによって操作ペダル30と降車操作レバー31とを一体で揺動操作することが可能になっている。
【0062】
操作ペダル30と降車操作レバー31との操作状態を維持するロック機構について説明する。
図12、及び図15,図16に示すように、操作ペダル30の前方側に、運転操縦部8の搭乗ステップ8Bにロックレバー46を前後揺動自在に取付けてあり、ロックレバー46には、前方に向けて非係合方向に付勢するバネ46Bと支柱部分にロック片46Aを設けてある。このような構成において、操作ペダル30を踏み込み操作して操作ペダル30の足踏み部30Aをロック片46Aに係止させると、踏み込み状態が維持される。
また、降車操作レバー31を押し下げ操作して、ロックレバー46を弾性的に降車操作レバー31に向けて傾倒させて、ロック片46Aを降車操作レバー31の板状フレーム部31Bに係止することによって、降車操作レバー31をロックする状態に維持する。
【0063】
操作ペダル30と降車操作レバー31とは、走行ブレーキ装置20を操作するだけでなく、次に記すように、静油圧式無段変速装置12の中立位置戻し機構3や主クラッチ兼用のベルト伝動機構11を切り状態に設定するクラッチ操作機構4とに連係されている。
図12、図13に示すように、中立位置戻し機構3は、操作ペダル30の屈曲基端部30bを、平面視で操作ペダル30とは反対側の機体左側に突出させて、突出端に駆動アーム34を取付固定するとともに、静油圧式無段変速装置12用の中継アーム27の上方に中立戻しアーム41を揺動自在に設け、駆動アーム34と中立戻しアーム41とを第3連係ロッド42で連結して、静油圧式無段変速装置12をブレーキ操作に連動して中立位置に戻し操作するように構成してある。
【0064】
つまり、図14に示すように、中継アーム27は横軸芯X4周りに回動自在に構成してあり、操作ペダル30の踏み込みにともなって第3連係ロッド42を介して中立戻しアーム41が引き操作されると、中立戻しアーム41の接当縁41aが中継アーム27の上下のピン部材27a,27bに接当して、中継アーム27を横軸芯X4周りでの所定の姿勢に強制戻し操作するものであり、この所定の姿勢で、静油圧式無段変速装置12が中立位置に操作される。
このとき、中継アーム27と前記第1連係ロッド28とは、第1連係ロッド28の長手方向に長径方向を沿わせて形成した長孔28aと、その長孔28aに挿入された連係ピン27cと、連係ピン27cの両側で長孔28a内に備えられた復帰バネ28bとで構成された融通連動機構25によって連係されている。
【0065】
したがって、変速操作レバー26が変速操作されたとき、操作ペダル30による操作がなされていない状態であれば、中立戻しアーム41は中継アーム27から離れているので、変速操作レバー26の操作に伴って、扇状板26A、第1連係ロッド28、中継アーム27、第2連係ロッド29を介して静油圧式無段変速装置12を任意の変速位置に操作することができる。
そして、静油圧式無段変速装置12が任意の変速位置にある状態で操作ペダル30が踏み込み操作されると、第3連係ロッド42を介して中立戻しアーム41が引き操作され、中継アーム27の上下のピン部材27a,27bのいずれかに接当した中立戻しアーム41が、中継アーム27を横軸芯X4周りで回動させ、中立戻しアーム41に上下のピン部材27a,27bの両方が接当した所定の姿勢に強制戻し操作する。この所定の姿勢で、静油圧式無段変速装置12が中立位置に操作されるが、変速操作レバー26は、前記融通連動機構25の復帰バネ28bが変形することにより、扇状板26Aによる操作位置が維持されたままの状態となる。
【0066】
前記融通連動機構25の復帰バネ28bの変形は、操作ペダル30による踏み込み姿勢が解除されて、中立戻しアーム41が上下のピン部材27a,27bから離れると元の状態に復元する。これにともなって、中継アーム27が操作ペダル30の踏み込み前の姿勢に復帰するので、第2連係ロッド29を介して静油圧式無段変速装置12も元の変速操作位置に復帰する。
【0067】
主クラッチ40を切り状態に設定させるクラッチ操作機構4について説明する。図12及び図20に示すように、主クラッチ40は、エンジン7の出力軸に取り付けた出力プーリ11Aと、静油圧式無段変速装置12の入力軸に取り付けた入力プーリ11Bとに亘って伝動ベルト11Cを架渡すとともに、伝動ベルト11Cにテンション力を付与するテンション輪11Dを揺動アーム44に取り付けたベルト伝動機構11によって構成してある。揺動アーム44はバネ56によってテンション力付与側に付勢されている。
【0068】
クラッチ操作機構4は、揺動アーム44の機体フレーム10に枢支されている基端アーム部44Aを降車操作レバー31近くまで延出するとともに、延出端に連結アーム44Cを取付固定し、連結アーム44Cの先端に繋ぎリンク44Bを相対揺動自在に連結し、この繋ぎリンク44Bと降車操作レバー31の前アーム部31aとに亘って第4連結ロッド45を掛け渡して、降車操作レバー31の操作によってテンション輪11Dを切り位置に復帰させるように構成してある。
【0069】
また、この構造では、エンジン7から静油圧式無段変速装置12へ動力を伝達する主クラッチ40兼用のベルト伝動機構のテンション輪11Dに前記連係操作具52が連結されている。このテンション輪11Dは、その揺動アーム44が横支軸X3周りで揺動自在に、かつ、引っ張りバネ56を介して連係操作具52のレリーズワイヤ54と連結されており、レリーズワイヤ54の他端が前記切換操作レバー51と連結されている。
前記切換操作レバー51のクラッチ入り側への揺動付勢力は、前記切換操作レバー51をクラッチ入り側へ揺動させた姿勢(図10中、実線で示す姿勢)での、前記引っ張りバネ56の付勢力によるものであり、前記切換操作レバー51をクラッチ切り側へ揺動させた姿勢(図10中、仮想線で示す姿勢)では、レリーズワイヤ54の緩みに伴って引っ張りバネ56も緩められ、テンション輪11Dは伝動ベルト11Cから離れる側に操作される。
【0070】
前記テンション輪11Dを横支軸X3周りで揺動自在に支持する揺動アーム44の他端側には、長孔44aによって形成される融通連結部が設けられ、その長孔44aに一端側を係入させた連結ロッド45が、操縦席9への搭乗姿勢で操作可能な操作ペダル30に連結されている。
この操作ベダル30を踏み込み操作すると、連結ロッド45を介して揺動アーム44が切り側に強制的に引き操作される。したがって、揺動アーム44が実線で示す入り位置に操作されている場合は、操作ペダル30の踏み込みによって主クラッチ40を切り操作することができ、揺動アーム44が仮想線で示す切り位置に操作されている場合は、操作ペダル30の踏み込みによって連結ロッド45が移動する空間だけ長孔44aが存在していることにより、主クラッチ40は操作ペダル30の操作に関わりなく切り操作状態に維持されている。
【0071】
以上、纏めると次のようになっている。
(イ)操作ペダル30と降車操作レバー31とは、原則的には、各別に操作が可能である。
操作ペダル30のみを操作すると、走行ブレーキ装置20を制動操作するとともに、静油圧式無段変速装置12を中立位置にして走行機体2を停止させる。主クラッチ40は入り状態にあるので、エンジン7からの動力で油圧ポンプ7の作動は維持されており、苗植付装置15の昇降は行える。また、走行ブレーキ装置20を解除して走行状態に切換える場合にも操作ペダル30の踏み込み操作を解除するだけなので、操作が容易である。
降車操作レバー31を操作する場合は、畦越え時等に運転者が降車した状態で操作するものである。そこで、降車操作レバー31の握り部31Cを握って下向きに押し込み操作すると、走行ブレーキ装置20が制動作されると同時に、主クラッチ40が切り操作される。したがって、静油圧式無段変速装置12は中立位置Nへは戻し操作されてはないので、坂道発進する場合にも、主変速レバー26を操作する必要はなく、降車操作レバー31を戻し操作すれば、走行機体2が移動を開始する。
【0072】
(ロ) 操作ペダル30と降車操作レバー31とは、連結具36によって連結することによって、一体化されたものとして操作が可能であり、一体化すれば操作のし易い操作ペダル30でも操作することができる。そこで、発進時に連結具36によって連結した状態の操作ペダル30を踏み込めば、降車操作レバー31も操作され、主クラッチ40も切り操作されるために、油圧ポンプ等の負荷が連結を解除される。したがって、リコイル等を使用したエンジン始動操作が軽く行えるようになる。
【0073】
(ハ) 操作ペダル30をロックした状態で降車した場合にも、連結具36によって連結されている降車操作レバー31を降車位置から操作することによって、ロックを解除できる。
【0074】
次ぎに、畦越え走行時に用いる操作構造について説明する。
図11に示すように、走行機体2の前端部に横軸芯X2周りで上下揺動自在な畦越えアーム5を取付てある。この畦越えアーム5は、図3に記載した最良の実施の形態で示したものと同様に、前記横軸芯X2周りで揺動自在なパイプ製の縦杆部5Bと、その縦杆部5Bの先端側を連結するように配設された横向きのパイプ製横杆部5Aとで、全体がアーチ型に形成されており、畦越えアーム5を機体前方に揺動倒伏させると畦越え走行時の押さえ作用姿勢に設定することができ、機体側に立ち上げ立設させると通常走行時の格納姿勢となるように姿勢切換え可能に構成されている。
【0075】
畦越えアーム5の揺動軸芯位置には、図示してはいないが、摩擦保持機構を設けてあり、人為操作力で摩擦保持力に抗して畦越えアーム5を揺動可能に構成されている。したがって、畦越えアーム5を最も機体前方側へ倒伏した姿勢では、畦越えアーム5の基端側をストッパー(図外)に接当させて機体前部に対する上方からの押さえ操作力を付与可能に構成してあり、揺動範囲内の中間位置では、前記摩擦保持機構によって任意の揺動設定位置で畦越えアーム5の姿勢が保持されるように構成してある。
【0076】
上記のように構成された畦越えアーム5には、図11乃至図20に示すように、主クラッチ40及びブレーキ装置20を操作するための推進力抑制操作機構50と、苗植付装置の昇降機構17に対して上昇指令を出力する植付部上昇操作具60と、エンジン停止スイッチ70とが設けられている。
【0077】
前記推進力抑制操作機構50は、畦越えアーム5の縦杆部5Bに取り付けられた人為操作可能な人為操作具としての切換操作レバー51と、ブレーキ及び静油圧式無段変速装置を操作する手段としての操作ペダル30と、前記切換操作レバー51による操作を操作ペダル30の入り切り操作として伝達するための連係操作具52とで構成されている。
【0078】
前記切換操作レバー51は、畦越えアーム5の左右の縦杆部5Bのうち、正面視で右側の縦杆部50に対して、前記畦越えアーム5の横軸芯X2とほぼ平行な左右方向に向く横軸芯P1周りで揺動操作自在に装着してある。
この切換操作レバー51には、第1腕杆51aと、第2腕杆51bとが一体に形成され、このうち、前記第1腕杆51aの揺動端部の連結点P2位置に、連係操作具52の第1レリーズワイヤ54aの一端部が連結され、前記第2腕杆51bの揺動端部の連結点P3位置に、連係操作具52の第2レリーズワイヤ54bの一端部が連結されている。そして、前記第1レリーズワイヤ54aには、コイルバネ56を介してクラッチ操作機構4の揺動アーム44が連結されており、前記第2レリーズワイヤ54bには、コイルバネ54dを介して前記操作ペダル30が連係されている。
【0079】
したがって、前記切換操作レバー51を図11,20に示すように、その切換操作レバー51の先端側が横軸芯P1よりも横杆部5A側(図中上方)寄りに揺動操作された推進調節状態Aでは、第1レリーズワイヤ54a、及び第2レリーズワイヤ54bを引き操作して、第1レリーズワイヤ54aに連係された揺動アーム44をクラッチ入り側に揺動させる方向の力が加えられている。
このとき揺動アーム44は、降車操作レバー31もクラッチ入り位置に位置したままであるから、クラッチ入り姿勢にあって、その長孔44aの許す範囲で、前記第1レバー54aの操作に追随して姿勢変化できるように連係されている。
また、第2レリーズワイヤ54bは、踏み込み側でロックされた姿勢の操作ペダル30をそのロックされた姿勢に維持するように引っ張り操作して、ブレーキ装置20を制動状態に、かつ、静油圧式無段変速機構12を中立状態に維持している。
つまり、前記切換操作レバー51の推進調節状態Aでは、操作ペダル30が踏み込み側に位置していて、主クラッチ40の入り状態で、静油圧式無段変速装置12が中立位置にあり、ブレーキ装置20が制動状態に操作されている。
【0080】
このままでは、前記切換操作レバー51が主クラッチ40を入り状態としていても機体を進行させることはできないので、この推進調節状態Aで機体を進行させるには、前記切換操作レバー51を、図示の推進調節状態Aよりもさらに反時計回りに少し回動操作する。すると、前記第2腕杆51bの連結点P3が第2レリーズワイヤ54bを少し引き操作して、ロック姿勢にある操作ペダル30を少し下向きに揺動させ、操作ペダル30と、ロックレバー46のロック片46Aとの間に隙間が生じ、ロックレバー46が自身の復元用のバネ46Bでロック解除姿勢に復元する。これにともなって、ロック姿勢にあった操作ペダル30は、復帰バネ33の作用で上方側へ復帰揺動し、ブレーキ装置20の制動を解除するとともに、静油圧式無段変速機構12を主変速レバー26で設定されている速度まで復元させる。
その結果、この推進調節状態Aでは、主クラッチ40は入り状態であるから、機体は進行し始めることになる。
【0081】
逆に、前記切換操作レバー51を同図20に仮想線で示すように、その切換操作レバー51の先端側が横軸芯P1よりも横杆部5Aから離れる側(図中下方)に揺動操作された推進抑制状態Bでは、前記第1腕杆51aの揺動端部の連結点P2に連結された第1レリーズワイヤ54aが緩み側に操作され、主クラッチ40が切り姿勢に操作されるので、機体の推進力が消失する。
そして、前記第2腕杆51bの連結点P3に連結されている第2レリーズワイヤ54bは、最も緩んだ位置を過ぎて、前記操作ベダル30を再び引き操作し、ブレーキ装置20を制動操作するとともに、静油圧式無段変速機構12を中立位置に操作して機体を停止させる。
この状態では、前記操作ペダル30は、ロックレバー46によるロックは為されていないので、切換操作レバー51の揺動操作にともなって自由に姿勢変更される。
【0082】
このとき、図20に示すように、前記両レリーズワイヤ54a,54bのアウタワイヤ端部を縦杆部50に固定するための固定ブラケット55を縦杆部5Bに設けてある。この固定ブラケット55に支持されている箇所のレリーズワイヤ54a,54bと、前記切換操作レバー51の横軸心P1を結ぶ仮想線分DPに対して、前記第1腕杆51aの前記レリーズワイヤ54を連結した揺動端部の連結点P2位置が、前記仮想線分DPを跨いで前後に移動するように設けられている。
【0083】
つまり、前記仮想線分DPがデッドポイント線であり、前記連結点P2に連結された第1レリーズワイヤ54aに対する張力の向きが変化するように構成してある。したがって、前記切換操作レバー51が前記推進調節状態Aに操作されると、前記腕杆51aの前記第1レリーズワイヤ54aを連結した揺動端部の連結点P2位置がデッドポイント線を越えた位置で第1レリーズワイヤ54aの張力を受けることになるので、その姿勢が安定的に維持される。
このとき、切換操作レバー51の第2腕杆51bの連結点P3にも第2レリーズワイヤ54bが連結されていて、前記デッドポイント線の逆側にも引っ張り作用が働くが、この切換操作レバー51の揺動基端部には図示しない摩擦板が介在されていて、切換操作レバー51の揺動操作にある程度の揺動抵抗を与えていることも相俟って、前記切換レバー51の前記推進調節状態Aが安定的に維持されている。
【0084】
そして、前記切換操作レバー51が前記推進抑制状態Bに操作されると、前記第1腕杆51aの連結点P2と、第2腕杆51bの連結点P3とが前記デッドポイント線の両側に振り分けられ、この姿勢では両レリーズワイヤ54a,54bの何れもが緩み側に操作された状態であり、かつ切換操作レバー51の基部に摩擦板による揺動抵抗が作用していることとにより、推進抑制状態Bに維持される。
上記のデッドポイント線を越えた二位置で安定的に維持される機構によって、本発明における走行機体の推進能力がえら得た状態と、推進能力を抑制した状態となるように保持する保持手段が構成されている。
【0085】
以上のような構成を採用したことより、畦越え時においては、前上がり傾斜の畦面を登坂するように前進する走行機体2の前部が浮き気味になる場合には、畦越えアーム5を作用姿勢に倒伏させて、この畦越えアーム5を押し下げ操作して機体前部の浮き上がりを阻止しながら、走行機体2を畦上に引きあげるように駆動することができる。
そして、その畦越えアーム5を用いての畦越え作業中においても、畦越えアーム5自体に推進能力抑制用の人為操作具としての切換操作レバー51が設けられているので、その切換操作レバー51を操作して、畦越え作業中における機体推進能力の変更を容易に行えるものである。
【0086】
〔その他〕
(1) 畦越えアーム5の縦杆部5Bに取り付けられた人為操作可能な切換操作レバー51としては、上述の各実施形態に示されるように、入り位置と切り位置とに択一的に切換操作される構造、あるいは、常時切り側に付勢されていてフック部材57により入り位置を維持される構造のものに限るものではない。したがって、図示しないが、例えば、切換操作レバー51の1回目の一方向への操作で入りまたは切り状態に操作され、次ぎに同方向へ操作されると逆の切りまたは入り状態に切り換えて、その切換状態を次ぎに操作されるまで維持する、というように、交互に背反的に切換てその状態を維持する周知の切換機構によって構成してもよい。
【0087】
(2) 走行機体の推進能力を抑制するための推進力抑制操作機構50としては、クラッチ及びブレーキに限らず、エンジン回転数を低減する、あるいは変速装置を減速操作するものであってもよい。
【0088】
(3) 本発明は、乗用田植機、及び、施肥装置、薬剤散布装置等を併設した田植機、或いは、直播機等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】田植機の全体側面図
【図2】田植機の全体平面図
【図3】田植機前部の正面図
【図4】原動部近くの側面図
【図5】操作ペダルならびに降車操作レバーとロックレバーを示す概略側面図
【図6】主クラッチや走行用ブレーキ装置の操作系統を示す平面図
【図7】畦越えアームを示す側面図
【図8】推進力抑制操作機構と主クラッチ及びブレーキとの連係関係を示す説明図
【図9】別の実施形態における畦越えアーム及び主クラッチ部分を示す側面図
【図10】別の実施形態における推進力抑制操作機構と主クラッチとの連係関係を示す説明図
【図11】別の実施形態における畦越えアームと推進力抑制操作機構を示す側面図
【図12】別の実施形態における主クラッチや走行用ブレーキ装置の操作系統を示す平面図
【図13】別の実施形態における変速操作レバーと油圧式無段変速装置との連係構造を示す側面図
【図14】別の実施形態における融通連動機構を示す斜視図
【図15】別の実施形態における操作ペダルならびに降車操作レバーとロックレバーを示す概略側面図
【図16】別の実施形態における操作ペダルならびに降車操作レバーとロックレバーを示す概略側面図
【図17】別の実施形態における操作ペダルと降車操作レバーとの連係構造を示す側面図
【図18】別の実施形態における操作ペダルと降車操作レバーとの連係構造を示す側面図
【図19】別の実施形態における操作ペダルと降車操作レバーとの連係構造を示す斜視図
【図20】別の実施形態における推進力抑制操作機構と主クラッチ及びブレーキとの連係関係を示す説明図
【符号の説明】
【0090】
2 走行機体
3 中立位置戻し機構
4 クラッチ操作機構
5 畦越えアーム
11 ベルト伝動機構
12 静油圧式無段変速装置
20 走行用ブレーキ装置
30 操作ペダル
31 降車操作レバー
40 主クラッチ
50 推進力抑制操作機構
51 切換操作レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
降車状態で走行機体の前部に押さえ込み操作力を付与可能な畦越えアームを備えるとともに、その畦越えアームに、走行機体の推進能力を抑制および抑制解除するための人為操作具を設けた乗用型水田作業機であって、
前記人為操作具の操作系に、走行機体の推進能力が得られた状態を保持する保持手段を備えたことを特徴とする乗用型水田作業機。
【請求項2】
保持手段の非保持状態では、走行機体の推進能力を抑制した状態となるように構成してある請求項1記載の乗用型水田作業機。
【請求項3】
畦越えアームに設けた人為操作具とは別に、走行機体の推進能力を抑制および抑制解除するための人為操作手段を、搭乗姿勢で操作可能な走行機体上に備え、
この人為操作手段による推進能力抑制状態を、畦越えアームに設けた前記人為操作具の操作によって解除可能に構成してある請求項1または2記載の乗用型水田作業機。
【請求項4】
降車状態で走行機体の前部に押さえ込み操作力を付与可能な畦越えアームを備えるとともに、その畦越えアームに、走行機体の推進能力を抑制および抑制解除するための人為操作具を設けた乗用型水田作業機であって、
前記人為操作具を操作しない状態では、推進能力を抑制する状態に自動的に切り変わるように構成してあることを特徴とする乗用型水田作業機。
【請求項5】
畦越えアームに設けた人為操作具とは別に、走行機体の推進能力を抑制および抑制解除するための人為操作手段を、降車状態で操作可能な走行機体の前部箇所に備えた請求項1、2、または4記載の乗用型水田作業機。
【請求項6】
畦越えアームとその畦越えアームに設けられた人為操作具とは共握り可能に構成されている請求項1〜5の何れか1項記載の乗用型水田作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−45035(P2009−45035A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216238(P2007−216238)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】