説明

乗用型草刈機

【課題】集草容器内での搬送草の堆積状況を直接把握でき、かつ、視認しやすい構成を備える乗用型草刈機を提供する。
【解決手段】運転操縦席13を備えた走行機体1の後方に集草容器30を配置し、集草容器30の上面を後上がり傾斜面に形成し、傾斜面に集草容器30の内部を視認することができる覗き窓31Bを形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転操縦席を備えた走行機体の後方に集草容器を配置してある乗用型草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用型草刈機において、前後車輪間に位置するミッドマウント型のモーアと、走行機体の後方に位置する集草容器とに亘って配置してある誘導ダクトの側面に覗き窓(公報内名称:内部透視窓57)を設けて、誘導ダクトでの搬送草の詰まり具合を見分けて、集草容器内での搬送草の堆積状況を推定する構成を採っていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平5−4042号公報(公報第3頁第5欄第29行目から第34行目、第2図、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した構成においては、誘導ダクト内での搬送草の詰まり具合を視認でき、それによって集草容器内の搬送草の堆積具合を推定することはできる。しかし、直接、集草容器内の堆積状況を見て把握することはできなかった。
【0005】
本発明の目的は、集草容器内での搬送草の堆積状況を直接把握でき、かつ、視認しやすい構成を備える乗用型草刈機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、運転操縦席を備えた走行機体の後方に集草容器を配置し、前記集草容器の後上がり傾斜状態にある上面に、前記集草容器の内部を視認することができる覗き窓を形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用〕
集草容器の上面に覗き窓を形成したので、その覗き窓を通して集草容器内での搬送草の堆積状況を直接視認することができる。
しかも、その覗き窓を設けてある集草容器の上面が後上がりの傾斜状態にあるので、作業者が無理に上から覗き込む必要がなく、運転操縦席に座った状態等の楽な姿勢で視認することができる。
【0008】
〔効果〕
したがって、集草容器内の堆積状況を確実に把握でき、かつ、その確認姿勢も楽なものにできる乗用型草刈機を提案できるに至った。
【0009】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記運転操縦席と前記集草容器の間にロプスを立設し、前記ロプスを上下向き姿勢と後倒れ姿勢とに切換可能に構成し、前記後倒れ姿勢において、前記ロプスを前記集草容器の前記上面に沿った姿勢に切換えるべく構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】
〔作用効果〕
果樹園等で草刈作業を行う場合は、樹木の枝等との接触を回避する観点よりロプスを後倒れ姿勢に倒伏させる必要がある。その場合に、ロプスを集草容器の傾斜状態にある上面に沿った後倒れ姿勢に切換えることができるので、ロプス高さを低くして樹木の枝等との接触を回避しながら作業を行うことが可能になる乗用型草刈機を提案できるに至った。
【0011】
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記ロプスを、左右から立設する脚部と前記脚部の上端同士を連結する横部分で門型に形成し、前記ロプスを前記上面に沿った後倒れ姿勢に切換えた状態において、前記両脚部と前記横部分で囲む空間内に前記覗き窓が位置するように構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】
〔作用効果〕
ロプスが集草容器の上面に沿った後倒れ姿勢に設定された場合に、ロプスを構成する両脚部と横部分とが囲む空間内に覗き窓が位置するので、ロプスを後倒れ姿勢に切換えて作業を行う場合に、ロプスの両脚部や横部分に遮られることなく集草容器内の刈草の堆積状況を視認することが容易に行える乗用型草刈機を提案できるに至った。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】乗用型草刈機の全体側面図である。
【図2】乗用型草刈機の全体平面図である。
【図3】ロプスと集草容器の取付状態を示す側面図である。
【図4】ロプスを後倒れ姿勢に切換えた状態を示す側面図である。
【図5】集草容器の蓋体部を開き姿勢に切換えた状態を示す側面図である。
【図6】容器本体部と蓋体部とのラビリンス構造を示し、(a)は蓋体部を閉じた姿勢に切換えた状態を示し、(b)は蓋体部を開いた姿勢に切換えた状態を示す側面図である。
【図7】ブレード径の異なるモーアに切換える際に、ブロア位置を移動調節できる構造を示す平面図である。
【図8】集草容器に差し込まれたダクトを示す縦断側面図である。
【図9】自立脚を示す側面図である。
【図10】ロプスを後倒れ姿勢に切換えた状態での、ロプスと覗き窓との関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔乗用型草刈機の全体構成〕
図1に、本発明に係る乗用型草刈機の全体側面が、また、図2にその全体平面がそれぞれ示されている。この乗用型草刈機は、機体フレーム10の前端側にキャスタ式の遊転輪に構成された左右一対の前輪11を備え、機体フレーム10の後端側に左右一対の駆動輪で構成された後輪12を備えて走行機体1を構成し、この走行機体1の前後輪間に、バーブレード型のモーア4が昇降自在に吊り下げ支持された、いわゆるミッドマウント仕様に構成されている。
【0015】
走行機体1の後部にはエンジンボンネット20内に水冷式ディーゼルエンジン21及びラジエータ27を収容した原動部2が、機体フレーム10の後側フレーム部分に配備されるとともに、走行機体1の前後中間部位には運転操縦席13が配備されている。
機体フレーム10における前側フレーム部分には、運転操縦席13の足元に位置するステップ15が搭載装着されるとともに、運転操縦席13の左右にはフェンダ16が配備されている。運転操縦席13の後方には、モーア4からの搬送草を収容する集草容器30が設けてあり、この集草容器30の両側面に自立脚43が装着してある。
【0016】
運転操縦席13と集草容器30との間には門形のロプス14が上下向き姿勢に立設固定されている。図1、図3〜図5、図10に示すように、ロプス14は、フェンダ16を貫通して上方に突出する左右の基端部14Aと、左右基端部14Aの上端に支点X1周りに
後方に折り畳み可能に連設された門形フレーム部14Bとで構成されている。
【0017】
門型フレーム部14Bは、上下向き姿勢の立ち姿勢と後倒れ姿勢とに切換えられる。門型フレーム部14Bを、後倒れ姿勢に切換えることによって、樹木の幹回りの草刈り時に張出した枝に引っ掛かけることなく作業ができる。
左右基端部14Aの上端には、位置決め用のピン孔14aが形成されており、門型フレーム部14Bの下端位置には、円形の位置決めディスク14Cが取り付けてあり、位置決めディスク14Cの二箇所に位置決め用のピン孔14bが形成してある。
【0018】
このような構成によって、図3に示すように、門型フレーム部14Bを上下姿勢に設定すると、位置決めディスク14Cの一方のピン孔14bと基端部14Aのピン孔14aとが同一軸芯上に位置し、位置決め固定ピン14cを両ピン孔14a、14bに貫通させて差込装着することによって、門型フレーム部14Bを上下姿勢に維持する。
【0019】
この上下姿勢より、位置決め固定ピン14cを取り外し、図4及び図10に示すように、門型フレーム部14Bを後倒れ姿勢に切換え、位置決めディスク14Cの他方のピン孔14bと基端部14Aのピン孔14aとが同一軸芯上に一致した場合に、位置決め固定ピン14cを両ピン孔14a、14bに貫通させて差込装着することによって、門型フレーム部14Bを後倒れし姿勢に維持することができる。
【0020】
後記するように、門型フレーム部14Bが後倒れ姿勢に切換えられた状態で、門型フレーム部14Bは、集草容器30の容器本体部31における後上がり傾斜状態となっている上面に沿った姿勢となっている。
【0021】
〔モーア等への伝動構造〕
左右の後輪12を駆動する静油圧式無段変速装置25は、運転操縦席13の左右両脇に前後揺動操作可能に配備された左右一対の走行レバー17を各別に揺動操作することで、左右の後輪12をそれぞれ独立して無段階に前後進変速するよう構成されている。
図1に示す中立停止の状態から、左右の走行レバー17の同時同方向の操作で直進前後進、左右各別の操作でピボットターン、および、スピンターンを任意に行うことができるようになっている。
【0022】
〔モーアの構成〕
モーア4は、四連リンク構造のリンク機構18を介して吊り下げ支持された構造となっている。モーア4は、下向きに開放されたモーアデッキ40の内部に、縦軸心周りに回転駆動される3枚の回転ブレード41が、中央の回転ブレード41が少し前方に偏位するよう平面視で三角配置されて軸支された構造となっており、走行機体1が直進移動した際に、隣接する回転ブレード41同士の先端回動軌跡の左右端が部分的に重複して、刈残しの無い草刈が行えるようになっている。
【0023】
モーア4の右側端には、支持フレーム26を介してブロワ28が取付配置してある。ブロワ28の後端排出口側には誘導ダクト29が接続されており、誘導ダクト29の後端送出部29Aを集草容器30の前面に接続して、モーア4で刈り取った刈草を集草容器30内に投入すべく構成してある。
【0024】
次に、モーア4の仕様を変更した場合の対応について説明する。図7に示すように、ブレード径の異なる大型のモーア4に切換える場合には、従来は、モーア4のブロワ28に対する排出口が異なる位置になるので、ブロワ28を支持する支持フレーム26を専用のものに取り換えていた。
【0025】
これに対して、本願発明においては、支持フレーム26等に改造を施すことによって対応することとした。支持フレーム26自体は次のような構成になっている。
つまり、支持フレーム26はパイプフレームをU字型に曲げ形成したものであり、U字型パイプフレームの一端26Aをモーアデッキ4Aのボス部4a内に差込み装着し、他端26Bにブラケット26bを取り付けてモーアデッキ4A側のブラケット4bにボルト連結してある。
【0026】
一方、ブロワ28のケース28Aには前端部と横右側端部とに、前ブラケット28aと、横ブラケット28bとが設けてある。前ブラケット28aを支持フレーム26の前フレーム部26Aに載置し、横ブラケット28bを支持フレーム26の横フレーム部26Bに載置し、ボルト止め固定してある。
この状態から大型のモーア4に切換える場合には、図に示す位置から仮想線で示すようにモーア4を後方に位置変更させて、前ブラケット28aと横ブラケット28bのボルト止め位置を変更する。これによって、支持フレーム26を取り換えることなく、モーア4のサイズの変更に対応することができる。
【0027】
以上の構成は、モーア4のサイズを切換える場合に、支持フレーム26に対してブロワ28を移動調節する構成を示したが、支持フレーム26自体を調節する構成を採ってもよい。図示はしていないが、前記したU字型パイプフレームの中間位置を伸縮自在に構成して、支持フレーム26を伸縮自在な二部材で構成する。モーア4のサイズを変更する場合には、支持フレーム26を構成する二部材のうちの一方をブロワ28とともに移動させて、モーア4の排出口位置と一致するように移動調節を施す構成を採ってもよい。
【0028】
なお、支持フレーム26の一端26Aをモーアデッキ4Aのボス部4a内に差込む量を変更し、他端26Bのブラケット26bをモーアデッキ4A側のブラケット4aに対するボルト連結位置を変更することによって、モーア4の機体左右方向での取付位置を調節することが可能である。
【0029】
〔誘導ダクト〕
図2及び図8に示すように、誘導ダクト29はブロワ28との接続部29Bから集草容器30の前面右側部分おいて連結される後端送出部29Aまで、略一定の傾斜を維持しながら、直線的に形成されている。誘導ダクト29は集草容器30内において、その容器内放出部29Cが集草容器30の左右中心位置に向かって曲げ形成されており、その左右中心位置近くまで延出されている。
ただし、誘導ダクト29の集草容器20内に位置する部分は、円筒状のダクトの内下半分が切りかかれており、この切欠き部分から搬送刈り草が集草容器30内に落下供給されるようになっている。
【0030】
従来は、集草容器30に接続する直前において略直角に曲げ形成し、ダクトの接続部を左右方向に姿勢変更した状態で集草容器30内に差し入れることとしていた。これに対して、誘導ダクト29を曲げずに直線的に集草容器30内に差し入れてあるので、搬送途中での詰まりを抑制できる。
【0031】
〔集草容器の構成〕
集草容器30は、図3〜図5に示すように、機体フレーム10に取付固定される容器本体部31と、容器本体部31の後端に横軸芯X2周りで揺動可能に取り付けられた蓋体部
32とで構成されている。
容器本体部31は、横側面視で断面が略逆三角形状を呈する箱状体を呈しており、角材等からなる枠フレーム31Aを組み合わせ配置して構成されている。枠フレーム31Aの外側面には、通風用の孔を多数形成した多孔体31Dを被せている。容器本体部31の上端における前面から前方に向けて連結アーム31bが延出してあり、連結アーム31bの先端をロプス14の基端部14Aにボルト連結してある。一方、容器本体部31の下端位置に連結ブラケット31dを設け、連結ブラケット31dを、エンジン支持フレーム10Aから後向きに延出されたブラケット10aに連結して、集草容器30が機体フレーム10に支持される。
【0032】
連結用のボルト31eは連結アーム31bに取り付けてあるボス部に保持されており、ボス部にはボルト31eを連結方向に付勢するバネを収納してある。
このような構成によって、連結アーム31bとロプス14の基端部14Aとのボルト連結を解除すれば、集草容器30を取り外すことができる。
【0033】
図1及び図2に示すように、容器本体部31の上面は後上りの傾斜姿勢となっており、上面の中央位置に横長の開口部を形成して、容器本体部31の内部を覗くことのできる覗き窓31Bを形成してある。覗き窓31Bには開口部を塞ぐように、透明の樹脂板がはめ込んである。
このように、傾斜面に覗き窓31Bを形成してあるので、運転操縦席13から振り向くことによって、運転操縦席13から離れることなく、覗き見ることが容易になった。
【0034】
覗き窓31Bは、誘導ダクト29の容器内放出部29Cにおける先端部の直上方に位置する状態で(図8参照)、平面視で容器内放出部29Cの先端部が覗き窓31Bの右側部後部に位置しかつ容器内放出部29Cの先端部の放出箇所(放出される刈草)が視認できる状態で(図2参照)、容器本体部31の上面に形成されている。これにより、容器内に放出される刈草の放出状態やつまり具合を容易に確認できる。また、覗き窓31Bは運転操縦席13の左右中央より左右一方側(本実施形態の例では右側)に位置ずれした状態で配置されているので(図2参照)、運転操縦席13から後方に振り向いての覗き窓31Bの確認が更に行い易いものとなる。
【0035】
また、図4及び図10に示すように、ロプス14の門型フレーム部14Bは、左右から立設する脚部14Dと脚部14Dの上端同士を連結する横部分14Eで門型に形成されている。
図10に示すように、ロプス14を上面に沿った後倒れ姿勢に切換えた状態において、両脚部14Dと横部分14Eで囲む空間内に覗き窓31Bが位置するように構成してある。
このように構成してあるので、運転操縦席13から後方視した場合にも、ロプス14の両脚部14Dと横部分14Eに遮られることなく、覗き窓31Bを視認できる。
【0036】
〔蓋体部〕
蓋体部32は、図3〜図5に示すように、略矩形状の断面を有するように、パイプ材を曲げ形成して構成した蓋本体部32Aと、蓋本体部32Aを覆う多孔体32Dとで構成してある。容器本体部31の上面と蓋体部32の上面とに亘って設けてあるヒンジ34によって、蓋体部32は、揺動開閉自在に容器本体部31に取付構成してある。
蓋体部32の上半部分には、その部分を更に覆うカバー体33が設けてある。
【0037】
蓋体部32と容器本体部31との合わせ部分におけるラビリンス構造について説明する。図6に示すように、容器本体部31の下端位置に、枠フレーム31Aの内、左右の前端部に位置する左右前端枠フレーム部31aの下端部に亘って、後方に向けて突出する断面山形状のスライドガイド部31Eが設けてある。
したがって、容器本体部31に貯留された刈草は、蓋体部32を揺動開放すると、このスライドガイド部31Eを滑って放出される。
【0038】
図6(a)(b)に示すように、蓋体部32には、蓋本体部32Aの下向き傾斜姿勢にある下端パイプ部32aを左右に設けてある。左右に配置した下端パイプ部32aの下面に亘って受止板32Bが装着してあり、受止板32Bの下端が下端パイプ部32aより斜め下方に突出する状態で装着してある。
【0039】
尚、スライドガイド部31Eの下端位置は、左右前端枠フレーム部31aの下端位置より上方に位置している。このような構成によって、図6(a)に示すように、蓋体部32を閉じ姿勢に設定した場合には、蓋体部32の下端パイプ部32aの下端がスライドガイド部31Eのガイド面に近接する状態になるとともに、受止板32Bがスライドガイド部31Eの下向き面31cの下方に回り込み近接する状態で配置される。
このような構成によって、受止板32Bの下端上向き面32bとスライドガイド部31Eの下向き面31cとの間に、微小な間隙が形成され、ラビリンス構造を形成している。
【0040】
蓋体部32の開閉操作構造について説明する。図2から図5に示すように、容器本体部31の上面の左右端にブラケット35を立設し、左ブラケット35に開閉操作レバー36を軸支してある。開閉操作レバー36の揺動操作軸芯位置に連動アーム37を軸支してあり、開閉操作レバー36と一体で揺動作動すべく構成してある。
【0041】
開閉操作レバー36は、先端に握り部36aを取り付けた操作ロッド36Aと、操作ロッド36Aを自身の軸線方向にスライド移動自在に保持する保持ケース36Bとからなり、保持ケース36Bを前記したブラケット35に軸支して、上下揺動作動すべく構成してある。
ブラケット35の後方で容器本体部31の上面には、操作ロッド36Aの後端部を挿入する保持ボス部31Fが固着されており、図3及び図4に示すように、この保持ボス部31F内に操作ロッド36Aの後端を差込装着することによって、開閉操作レバー36が揺動することを阻止している。この状態では、蓋体部32が閉塞状態にある。
【0042】
蓋体部32を開放操作するには、まず、操作ロッド36Aを保持ケース36Bに対してスライド操作して前方に移動させて、保持ボス部31F内に保持されていた操作ロッド36Aの後端部を引き出して、保持状態を解除する。図5に示すように、その解除状態から操作ロッド36Aを押し下げ操作すると、操作ロッド36Aと保持ケース36Bとが一体でブラケット35の軸芯Y周りに揺動作動する。この操作ロッド36A等の揺動作動を受けて、下記のリンク構造によって蓋体部32は揺動開放される。
【0043】
リンク構造は以下のようになっている。連動アーム37の下方で容器本体部31の下端位置にベルクランク状のロックアーム39が設けてある。連動アーム37とロックアーム39とが上下向き姿勢の第1連動リンク40で連係してある。一方、連動アーム37と蓋体部32の上端部とが斜め姿勢の第2連動リンク42で連係してある。ロックアーム39には付勢バネ38が係止してあり、ロックアーム39をロック方向に付勢すべく構成してある。
【0044】
他方、図2に示すように、容器本体部31の上面の右端にもブラケット35を立設して、左右のブラケット35同士に亘って横向きの連動軸44を架設し、左側に設けた操作機構と同様に、右側にも、連動アーム37、ロックアーム39、第1連動リンク40、第2連動リンク42を配置してある。
以上のような構成によって、図5に示すように、開閉操作レバー36を引き出して保持ボス部31Fでの保持状態を解除して、左手で握って押し下げ操作すると、左右の連動アーム37が回転して、ロックアーム39のロック作用を解除しながら、蓋体部32を第2連動リンク42で後方に押し開き操作する。
【0045】
〔自立脚〕
集草容器30を取り外した場合の自立用の自立脚43について説明する。図2に示すように、自立脚43は、容器本体部31の両横側面に取り付けられて左右に配置してあり、パイプ材を略L字型に組み合わせ構成したものである。
自立脚43は、図9に示すように、上下向き姿勢の支柱部43Aと支柱部43Aの下端に直交する状態で取り付けてある前後向き姿勢の接地脚部43Bとからなる。支柱部43Aには、支柱部43Aの軸線方向に沿った上下二箇所に、かつ、その上下二箇所における円周方向二箇所においても係合凹部43aを複数段に亘って設けてある。
一方、接地脚部43Bには前後端に横外向きに踏ん張り部43bが設けてある。
【0046】
図9に示すように、自立脚43を容器本体部31の枠フレーム31Aにおける前端横側フレーム部31aから後向きにブラケット45が立設され、ブラケット45の先端に保持ボス46が固定してある。保持ボス46には、弾性変形可能な係合保持具47が取り付けてあり、この係合保持具47の弾性突起部(図示せず)を支柱部43Aに形成してある係合凹部43aに係合させることによって、自立脚43を容器本体部31に取付保持することができる。
【0047】
つまり、自立脚43を使用しない場合には、図9に示すように、支柱部43Aを保持ボス46内に差込み装着し、下側の係合凹部43aに弾性突起部を嵌合させて、自立脚43を容器本体部31に保持するように構成してある。
集草容器30を取り外して自立させる場合には、図示してはいないが、自立脚43の支柱部43Aを下方に押し下げて、上側の係合凹部43aを保持ボス46内に位置させて、弾性突起部で支柱部43Aを保持して、接地脚部43Bを接地状態に保持することができる。
【0048】
自立脚43を保持する構成として、支柱部43Aの係合凹部43aと弾性突起部47aとを係合させることによって行っているが、止ネジ等をネジ込む構成を採ってもよい。
【0049】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、集草容器30の上面が後上がり傾斜面に形成してある点について記載したが、集草容器30を乗用型草刈機に搭載した状態で、集草容器30の上面が後上がり傾斜面に設定されていればよい。
(2)上記実施形態では、ロプス14を装備する乗用型草刈機に適用した形態を説明したが、ロプス14を装備しない乗用型草刈機に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の乗用型草刈機は、果樹園等の作業のみならず、ゴルフ場や公園の芝刈りに使用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 走行機体
13 運転操縦席
14 ロプス
14D 脚部
14E 横部分
30 集草容器
31B 覗き窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転操縦席を備えた走行機体の後方に集草容器を配置し、前記集草容器の後上がり傾斜状態にある上面に、前記集草容器の内部を視認することができる覗き窓を形成してある乗用型草刈機。
【請求項2】
前記運転操縦席と前記集草容器の間にロプスを立設し、前記ロプスを上下向き姿勢と後倒れ姿勢とに切換可能に構成し、前記後倒れ姿勢において、前記ロプスを前記集草容器の前記上面に沿った姿勢に切換えるべく構成してある請求項1記載の乗用型草刈機。
【請求項3】
前記ロプスを、左右から立設する脚部と前記脚部の上端同士を連結する横部分で門型に形成し、前記ロプスを上面に沿った後倒れ姿勢に切換えた状態において、前記両脚部と前記横部分で囲む空間内に前記覗き窓が位置するように構成してある請求項2記載の乗用型草刈機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate