説明

乗用田植機

【課題】サイドマーカ装置のマーカ部を走行機体の幅方向外方と幅方向内方とに回転操作できるマーカ格納操作手段を提供する。
【解決手段】乗用田植機に取付けられて圃場に走行基準線を引くサイドマーカ装置30にはマーカ格納操作手段40、60が設けられており、マーカ部31を走行機体1の幅方向外方Aと幅方向内方Bとに回転操作して走行機体1の横幅を抑えることができる。マーカ格納操作手段40、60は、マーカアーム32の先端32aに固設された被係合部41、62と、マーカ部31に固設された係合部42b、67aと、被係合部41、62と係合部42b、67aとを付勢するスプリング43、68とを有しており、スプリング43、68の付勢に抗してマーカ部31を回転操作することにより幅方向外方Aと幅方向内方Bとに姿勢変更できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用田植機等の移植機に係り、詳しくは乗用田植機の側方から延出して次移植作業時の走行基準線を線引きするサイドマーカ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、圃場に苗を植付ける乗用田植機等の移植機には、走行機体の左右両側に次の苗植付け作業走行時に基準となる走行基準線(マーカライン)を線引くサイドマーカ装置を備えたものがある。係るサイドマーカ装置は、左右交互に繰出して線引きを行うが、苗植付け作業完了などにより乗用田植機を移送する際には、左右のサイドマーカ装置を共に植付装置の上方に向けて格納することができ、走行機体の横幅の拡がりを防ぐことができる。また、サイドマーカ装置の先端部にはマーカ部を連結ピンなどにより回転自在に連結しており、上記移送などする際に係合ピンを抜挿し操作することによって、マーカ部を植付装置の内方へ収容して走行機体の横幅を抑えることができる(特許文献1)。
【0003】
さらに、上記サイドマーカ装置とは別に、マーカ部を回転して走行機体の内方に格納する回動調節部を設けたサイドマーカ装置がある(特許文献2)。係る回動調節部は、円弧状の連結孔が形成されたプレートを介してマーカアームとマーカ部とを連結しており、連結孔の任意の位置でマーカ部を固定して走行機体の横幅を抑えることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−158217号公報
【特許文献2】特開2003−174805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載されるサイドマーカ装置は、一度マーカアームから係合ピンを抜取り、マーカ部を180度回転をさせた後、マーカ部及びマーカアームに形成されたピン孔どうしの位置を合わせ、再び係合ピンをピン孔に差込む操作が必要であり、係合ピンの抜差し操作、及びピン孔どうしの位置合わせに時間を要していた。
【0006】
また、特許文献2に記載される回動調節部が設けられたサイドマーカ装置にあっては、マーカ部に設けられた係合突起が連結孔内を移動するので、マーカ部の回動範囲が規制されると共に、格納位置にあるマーカ部が機体の走行などの振動により元の位置に戻る場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、スプリングの付勢に抗してマーカ部を植付装置の幅内方位置と外方位置とに切換えることにより、上記課題を解決した乗用田植機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、走行機体(1)に連結した植付装置(20)に、次走行時の走行基準となるマーカラインを線引きするサイドマーカ装置(30)を取付けた乗用田植機において、
前記サイドマーカ装置(30)は、前記マーカラインを線引きするマーカ部(31)と、
先端(32a)に前記マーカ部(31)を回動自在に支持して、前記植付装置(20)の上方に向けて格納した状態にある姿勢と植付装置の側方に張り出して線引き作業状態にある姿勢とに揺動自在に取付けられたマーカアーム(32)と、
前記マーカアーム(32)に回転不能に設けられた被係合部(41、62)と、前記マーカ部(31)に連結されて前記被係合部(41、62)と複数の係合位置にて係合自在な係合部(42b、67a)と、該係合部(42b、67a)を前記被係合部(41、62)に係合する方向に付勢するスプリング(43,68)と、を有し、前記スプリング付勢力に抗して前記マーカ部(31)を前記植付装置(20)の幅方向内方位置(B)と幅方向外方位置(A)とに切換え可能に回転し得るマーカ格納操作手段(40、60)と、を備える、
ことを特徴とする乗用田植機にある。
【0009】
請求項2に係る本発明は、前記マーカ部(31)を前記マーカアーム(32)に対して一方向に付勢する揺動付勢手段(61)を備え、
前記マーカ格納操作手段(60)を、前記揺動付勢手段(61)と前記マーカ部(31)との間に介在する、
請求項1記載の乗用田植機にある。
【0010】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するものであり、これにより特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る本発明によると、植付装置の上方に向けて格納した状態にあるサイドマーカ装置は、マーカ格納操作手段によりマーカ部を植付装置の幅方向内方位置と幅方向外方位置とに切換え可能に回転できるので、マーカ部の回転操作が容易となる。また、マーカアームには回転不能に被係合部が設けられており、マーカ部に連結した係合部がスプリングにより付勢されて係合するので、スプリングの付勢力に抗してマーカ部を操作すれば、マーカアームとマーカ部との係合を容易に解除できる。
【0012】
請求項2に係る本発明によると、マーカ格納操作手段は、マーカ部と該マーカ部をマーカアームに対して一方向に付勢する揺動付勢手段との間に介在しているので、マーカ格納操作手段を掴持などして容易に回転操作できると共に、揺動付勢手段は回転しないので、マーカ部を少ない力で操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。図1ないし図7は、サイドマーカ装置を装着した乗用田植機、及びサイドマーカ装置部分を拡大して示す図である。
【0014】
乗用田植機は、図1及び図2に示すように、走行機体1の後方に植付装置20を昇降自在に連結しており、植付装置20の上部に設けた苗のせ台21に搭載した苗を田面に植付けることができる。走行機体1の前方部には、ボンネット3で覆われたエンジンが搭載されており、該エンジンを動力源として走行車輪5F、5R、植付装置20が駆動される。ボンネット3の左右側方には、苗補給時などに作業者が足を載せるフロントステップ6が配置しており、フロントステップ6から繋がるボンネット3の後方には運転台8が設けられている。
【0015】
運転台8の前方部には操行操舵用のステアリングハンドル10が立設していると共に、運転台8の床面は各種の操作ペダルなどを配設したステップ9により覆われており、運転台8に着座した作業者がステアリングハンドル10及び操作ペダルを操作して走行機体1が操行操舵される。さらに、運転台8の後方は、ステップ9より一段高い位置で平坦に形成した機体カバー11により覆われており、機体カバー11の上面には運転者が着座する座席7が配置している。機体カバー11の左右両側からは、機体後方へ向けて機体カバー11と略面一に形成した苗供給用ステップ12が配置しており、作業者はステップ9から苗供給用ステップ12へと亘りながら苗載せ台21に苗を供給できる。走行機体1の前方左右側(フロントステップ6の左右外側位置)には、苗載せ台21に供給する予備苗を一時的に載置できる苗供給装置14が複数段に重ねられて配置している。この場合に、苗供給装置14は、走行機体1の前方から後方に亘る長尺のコンベヤなどによる苗搬送台を用いることもできる。
【0016】
さらに、走行機体1の後部には、昇降リンク機構13を介して植付装置20が昇降自在に連結している。植付装置20は、幅方向に横設した植付装置主フレーム23と、該植付装置主フレーム23の左右位置から立設して苗のせ台21の上部を左右往復動自在に支持する苗のせ台支持フレーム22、22とを有している。苗のせ台支持フレーム22、22の後方側には、苗のせ台21上に載置したマット苗を苗のせ台21の下方に向けて搬送する不図示の苗縦送り装置が配置している。
【0017】
植付装置主フレーム23には、苗縦送り装置より搬送されたマット苗から一株分の苗を掻き出す植付杆26が設けられたプランターケース24が取付けられており、また、プランターケース24の下方には、田面を滑走しながら植付装置20の姿勢を一定に保つフロート25が所定の間隔で横一列に配置している。さらに、植付装置主フレーム23の両側端部には、図3に示すように、サイドマーカ装置30を連結する取付けブラケット27が固設しており、取付けブラケット27に架設した棒状部材27aにサイドマーカ装置30が揺動自在に連結されている。
【0018】
サイドマーカ装置30を植付装置20の上方に向けて格納した状態にある姿勢を図1及び図3の破線で示すと共に、サイドマーカ装置30を植付装置20の側方に張り出して線引き作業状態にある姿勢を図2及び図3の実線で示す。サイドマーカ装置30は、図3に示すように、田面にマーカラインを引くマーカ部31と、マーカ部31を支持して走行機体1の側方へ連結する棒杆状のマーカアーム32とを有している。マーカアーム32の基端側には、補強プレート28bにより補強された取付けプレート28aが固定しており、取付けブラケット27の棒状部材27aと結合ピンなどにより揺動自在に連結している。また、マーカアーム32の他端側には、次述するマーカ格納操作手段を介してマーカ部31が連結しており、マーカ部31を図中の幅方向外方位置Aと幅方向内方位置Bとに切換えることができる。
【0019】
マーカ部31は、図4に示すように、マーカ部摺動アーム31aとディスクマーカ31cとにより構成されており、マーカ部摺動アーム31aの先端部には回転軸31bを介してディスクマーカ31cが回転自在に軸支されている。この場合に、ディスクマーカ31cの軸中心にはベアリングが装着されていることが好ましく、ベアリングによりディスクマーカ31cの回転抵抗を減らして、田面に対してディスクマーカ31cを滑らかに転動させることができる。
【0020】
ついで、本発明に係る2つのマーカ格納操作手段40、60について説明する。
【0021】
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態に係るマーカ格納操作手段40は、図4に示すように、マーカアーム32の先端部32aに、マーカ部31から延出する先端軸42が摺動自在に嵌挿して構成される。先端部32aには被係合部41が固設しており、先端軸42が該被係合部41を挿通してマーカアーム32内に挿入されている。また、マーカアーム32内にある先端軸42の周上には、凸状の止め部42aが形成されており、該止め部42aと被係合部41の間に配置した圧縮スプリング43により、先端軸42をマーカアーム32に挿入する方向に付勢している。
【0022】
被係合部41は、平面視を図5に示すように、略中央部に先端軸42を挿通する丸孔41aが穿孔された矩形部材であり、丸孔41aを中心とする対称位置には先端軸42の回動位置を規制する係合溝41b、41bが形成されている。なお、本実施の形態による被係合部41は一対の係合溝41b、41bを配置した構成としたが、被係合部41を略正方形状、或いは円形状に形成して複数対の係合溝41bを設けることもできる。
【0023】
一方、先端軸42には、係合溝41b、41bに挿入して被係合部41と係合する係合部42bが固設している(図4参照)。係合部42bは略U字形状に形成されており、前記圧縮スプリング43の付勢により、先端軸42をマーカアーム32の内方に挿入する際、係合部42bの先端が係合溝41b、41b内に嵌合して被係合部41と係合できる(図4参照)。この場合に、係合部42bを略L字形状に形成して、係合部42bの片側のみを係合溝41bと係合させることもできる。
【0024】
先端軸42とマーカ部31との間には、ディスクマーカ31cを田面に一定の力で押さえつける揺動付勢手段35が設けられている。揺動付勢手段35は、先端軸42に揺動自在に挿入されたケース35aと、ケース35aを一方向に付勢する付勢スプリング35bとを有しており、ケース35aに取り付けられたマーカ部摺動アーム31aを田面方向に付勢している。この場合に、付勢スプリング35bの一端側は先端軸42から突設したストッパ35cと当接し、付勢スプリング35bの他端側はケース35aと当接しており、図4に示すディスクマーカ31cを紙面手前側に付勢している。本揺動付勢手段35により、田面を走行する走行機体1の走行抵抗を吸収して田面に対して一定の深さのマーカラインを引くことができる。
【0025】
<第2の実施の形態>
ついで、本発明に係る第2の実施の形態であるマーカ格納操作手段60について説明する。なお、上記マーカ格納操作手段40と重複する部位については同一の番号を付して説明を省略する。
【0026】
マーカアーム32の先端部32aには、図6及び図7に示すように、先端軸42が挿通しており、先端32a及びに先端軸42に穿孔した係合孔32b、32bが位置を合わせて係合Rピン32cにより抜け止め固定されている。この場合に、先端軸42に複数の係合孔が穿孔されている場合には(図中の破線)、任意の係合孔と先端32aの係合孔32bとを合わせて先端軸42の挿通位置を調節できる。
【0027】
先端軸42には固定プレート51が固着しており、該固定プレート51には、マーカ部31に一定の付勢力を与えながら揺動する揺動付勢手段61が連結している。また、揺動付勢手段61には、マーカ部31を回転するマーカ格納操作手段60が連結している。
【0028】
揺動付勢手段61は、先端軸42を挿通できる挿通孔61aが形成された略U字形状の挿通プレート61bと、該挿通プレート61bのU字先端に固着されて挿通プレート61bの幅方向に延出する被係合部62とを有している。被係合部62の挿通孔61aを投影した位置には挿通孔62aが穿孔しており、また、被係合部62の両端近傍には、マーカ格納操作手段60を係止する係合孔62bが穿孔している。挿通プレート61bと被係合部62との間にある先端軸42には、付勢スプリング64が遊嵌しており、該付勢スプリング64の一端が挿通プレート61bに当接すると共に、他端が固定プレート51から突設する固定プレートピン51aと当接して、マーカ格納操作手段60を介してマーカ部31を田面方向に付勢している。また、固定プレートピン51aは、被係合部62と接触して揺動付勢手段61の揺動範囲を規制している。
【0029】
次に、マーカ格納操作手段60は、中央部に係合プレート挿通孔65aが穿孔されて被係合部62と対向して配置する係合プレート65と、該係合プレート65の一側縁から立設してマーカ部31を支持するマーカ固定プレート66とを有している。係合プレート挿通孔65aには、先端軸42を案内するスリーブ65bが固設していると共に、係合プレート65の両端付近で係合孔62bを投影した位置には、掴持可能なハンドルを兼ねた係合ハンドル67が配置しており、係合ハンドル67の先端が係合プレート65から突設して係合部67aを形成している。なお、スリーブ65bには圧縮スプリング68が遊嵌しており、圧縮スプリング68の一方を先端軸42にRピンなどにより抜け止め固定したワッシャ69により係止されて、係合プレート65を被係合部62方向に付勢している。
【0030】
即ち、マーカ格納操作手段60は、揺動付勢手段61とマーカ部31との間に介在しており、係合ハンドル67を掴持などしてマーカアーム32の軸方向外方に引出し操作すれば被係合部62と係合部67aとの係合を解除でき、容易にマーカ部31の位置を切換えることができる。
【0031】
ついで、以上の構成によるサイドマーカ装置30を備えた乗用田植機の作用について説明する。
【0032】
圃場にある乗用田植機は、エンジン動力により植付装置20を駆動して苗のせ台21上に載置したマット苗から一株分の苗を掻き取りながら、予定した経路を自走して苗植付け作業が進行する。本乗用田植機では、走行目標の無い圃場を、例えば直線状に走行することは困難であるので、次の走行基準となるマーカラインを引きながら走行する。マーカラインは、植付装置20の左右両側方で折畳み自在に取付けられたサイドマーカ装置30により引かれるが、必要に応じて左右のいずれか、または、左右両方のサイドマーカ装置30が用いられる。
【0033】
植付装置20の側方から張り出して線引き作業状態にあるサイドマーカ装置30は、マーカアーム32の先端に連結したマーカ部31が田面と略垂直に位置して田面と接触して、走行機体1と共に移動しながらマーカラインが線引きされる。この場合に、田面を移動するサイドマーカ装置30に泥土塊や切藁屑などと接触して大きな負荷が掛かると、揺動付勢手段35、61に配置した付勢スプリング35b、64の作用によりマーカ部31が進行方向後方に傾倒作動して泥土塊などを乗越えることができる。
【0034】
以上のように、圃場を走行する走行機体1の側方にはマーカラインが引かれ、次に植付け走行する際にマーカラインを基準にして走行機体1を操行操舵すれば田面に苗を等間隔に植えつけることができる。
【0035】
次に、苗植付け作業の完了などした乗用田植機は格納庫などに収容されるが、格納庫までトラックなどの搬送機に載せ、或いは公道など自走して戻る。その際、乗用田植機の左右側から大きく張り出したサイドマーカ装置30が邪魔となるので、取付けブラケット27に連結した取付けプレート28aにより、マーカアーム32を植付装置20の上方に向けて格納した状態にして機体幅を抑える。この時のマーカ部31は、マーカアーム32からL字状に屈曲して植付装置20の側方から飛び出した幅方向外方位置Aにあるので、マーカ格納操作手段40、60を回動操作してマーカ部31を植付装置20の幅方向内方位置Bに向けた姿勢に切換える。
【0036】
第1の実施の形態に示したマーカ格納操作手段40によりマーカ部31を回転操作するには、マーカ部31を掴持などして、圧縮スプリング43の付勢力に抗してマーカアーム32の軸方向に引き出す。すると、先端軸42に固設した係合部42bが係合溝41b、41bから外れ、マーカアーム32に対してマーカ部31の回動が可能となる。本状態にてマーカ部31を180度回転させ、係合部42bを係合溝41b、41bに挿入して再び係合させる。マーカ格納操作手段40によれば、マーカ部31を圧縮スプリング43の付勢力に抗して引出すことによりマーカアーム32との係合を解除できるので、マーカ部31の回転操作が容易となる。また、係合溝41b、41bに係合した係合部42bは圧縮スプリング43により常に係合方向に付勢されているので、マーカ部31は幅方向外方位置A及び幅方向内方位置Bにて確実に固定できる。
【0037】
同様に、第2の実施の形態に示したマーカ格納操作手段60によりマーカ部31を回転操作するには、マーカ部31に設けた係合ハンドル67を掴持などして圧縮スプリング68の付勢力に抗してマーカ部31をマーカアーム32の軸外方向に引き出し操作すると、係合部67aが係合孔62bから外れ、被係合部62に対して係合プレート65の回動が可能となる。本状態にてマーカ部31を180度回転させて係合部67aと係合孔62bとの位置を合わせ、係合部67aを係合孔62bに挿入して再び係合状態を形成する。本マーカ格納操作手段60によれば、マーカ部31を回動させるには圧縮スプリング68の付勢力に抗してマーカ部31を引出すことにより係合解除できるので、マーカ部31の回動操作が容易であり、また、係合孔62bに係合した係合部67aは、圧縮スプリング68により常に係合方向に付勢されているので、マーカ部31を幅方向外方位置A及び幅方向内方位置Bにて確実に固定できる。
【0038】
最後に、上記に示した本発明による実施の形態は、乗用田植機に使用することができるサイドマーカ装置30の最良の形態を一実施の形態として記載したものであり、本発明の思想は広く圃場にて使用される水田作業機へ転用可能であり、例えば歩行田植機などに転用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】格納した状態にあるサイドマーカ装置を備えた乗用田植機の側面図である。
【図2】作業状態にあるサイドマーカ装置を備えた乗用田植機の側面図である。
【図3】格納した状態を示すサイドマーカ装置の正面図である。
【図4】第1の実施の形態に係るマーカ格納操作手段を拡大して示す図である。
【図5】第1の実施の形態に係るマーカ格納操作手段の係合部を拡大して示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係るマーカ格納操作手段を拡大して示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係るマーカ格納操作手段の係合部を拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 走行機体
20 植付装置
30 サイドマーカ装置
31 マーカ部
32 マーカアーム
32a 先端部
40、60 マーカ格納操作手段
41、62 被係合部
42b、67a 係合部
43、68 スプリング
A 幅方向外方位置
B 幅方向内方位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に連結した植付装置に、次走行時の走行基準となるマーカラインを線引きするサイドマーカ装置を取付けた乗用田植機において、
前記サイドマーカ装置は、前記マーカラインを線引きするマーカ部と、
先端に前記マーカ部を回動自在に支持して、前記植付装置の上方に向けて格納した状態にある姿勢と植付装置の側方に張り出して線引き作業状態にある姿勢とに揺動自在に取付けられたマーカアームと、
前記マーカアームに回転不能に設けられた被係合部と、前記マーカ部に連結されて前記被係合部と複数の係合位置にて係合自在な係合部と、該係合部を前記被係合部に係合する方向に付勢するスプリングと、を有し、前記スプリング付勢力に抗して前記マーカ部を前記植付装置の幅方向内方位置と幅方向外方位置とに切換え可能に回転し得るマーカ格納操作手段と、を備える、
ことを特徴とする乗用田植機。
【請求項2】
前記マーカ部を前記マーカアームに対して一方向に付勢する揺動付勢手段を備え、
前記マーカ格納操作手段を、前記揺動付勢手段と前記マーカ部との間に介在する、
請求項1記載の乗用田植機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−22832(P2008−22832A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202593(P2006−202593)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】