説明

乗用芝刈機

【課題】モアの車体からの着脱が簡単容易な乗用芝刈機の提供。
【解決手段】左右前輪2,2と左右後輪との間にモア43を配置し、前記車体に回動支点を有し相互に連結されて一体的に該支点周りに回動する前後のリンクアーム51F,51Rを吊下げて設け、前記前後のリンクアームのうち一方は、モア43側のブラケット57F,57Rに対して連結保持具60,64によって水平横軸周りに回動可能に連結され、他方のリンクアームは、その下端側に備えた支持軸部をモア43側のブラケット57Rに形成され開放部62Rを有した支点部受け溝63Rに係合させることにより水平横軸周りに回動可能に連結され、前記一方のリンクアーム51Fの連結保持具を解除することによって他方のリンクアーム51Rの支持軸部が開放部62Rから外れることを許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右前輪と左右後輪とを備え、車体に対し昇降自在に装着されるモアを有する乗用芝刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、左右前輪と左右後輪を備え、車体に対しリンク機構によって昇降自在に装着されるモアを有する乗用芝刈機が知られている。
このような乗用芝刈機のモアは前輪と後輪との間に配置され、その昇降機構は、モアデッキと車体フレームとの間に、同じ長さの4個のリンクアームを前後左右に備え、前側リンクアームは車体フレームの前部において左右に架け渡した1本のリフト軸の両端に取り付けられ、後側リンクアームは車体フレームの後寄り中間部に枢着され、各リンクアームの下端部は夫々ピンにてモアデッキ側に着脱自在に連結されている。
【特許文献1】特開2005−117966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、モアを取り外してメンテナンスを行なう場合には、着脱自在のピンを前後左右4箇所前部外すなどの煩わしさがあった。なお、ピンの挿脱構成を簡単化してもなお、前後左右において行なわざるを得ないものであった。
【0004】
このため、この発明はモアの着脱を簡単容易に行なわせようとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑み、請求項1に記載の発明は、左右前輪(2,2)と左右後輪(3,3)とを備え、車体に対し昇降自在に装着されるモア(43)を有する乗用芝刈機において、前記左右前輪(2,2)と左右後輪(3,3)との間にモア(43)を配置し、前記車体に回動支点を有し相互に連結されて一体的に該支点周りに回動する前後のリンクアーム(51F,51R)を吊下げて設け、前記前後のリンクアームのうち一方は、モア(43)側のブラケット(57F,57R)に対して連結保持具(60,64)によって水平横軸周りに回動可能に連結され、他方のリンクアームは、その下端側に備えた支持軸部をモア(43)側のブラケット(57R)に形成され開放部(62R)を有した支点部受け溝(63R)に係合させることにより水平横軸周りに回動可能に連結され、前記一方のリンクアーム(51F)の連結保持具を解除することによって他方のリンクアーム(51R)の支持軸部が開放部(62R)から外れることを許容することを特徴とする乗用芝刈機の構成とする。
【0006】
上記のように構成すると、モア(43)の着脱にあたっては、リンクアーム(51F,51R)の一方(51F)に構成された連結保持具(60、64)を取り外す。すると、該一方側のリンクアーム(51F)とモア(43)側ブラケット(57F)とは切り離される。そしてこの状態で他方のリンクアーム(51R)の支持軸部が支点部受け溝(63R)の開放部(62R)に向け移動すべくモア(43)全体を位置ずれさせると、リンクアーム(51R)はブラケット(57R)から切り離される。
【0007】
請求項2に記載の発明は、一方のリンクアーム(51F)側の連結保持具はモア(34)側のブラケット(57R)にあって常時軸方向に付勢された連結ピン(60)の挿抜による構成とした請求項1に記載の乗用芝刈機とする。従って、連結保持具としての連結ピン(60)の挿入又は抜き取りが容易となる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、モア(43)側の前後のブラケット(57F,57R)に開放部(62F、62R)を有した支点部受け溝(63F,63R)を形成し、いずれか一方のブラケット(57F)にリンクアーム(51F)の支点ピンを保持する着脱自在の連結保持具(64)を設けた請求項1に記載の乗用芝刈機とする。リンクアーム(51F,51R)の構成を、アーム部と先端側支持軸との構成とすることとなり、前後で同じくすることができ部品管理を容易化する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、車体の前部フレームにジャッキ(100)を装着しこの前部フレームをジャッキアップ可能に設け、連結保持具(60,64)を備えるブラケット(57F)側に連結されるリンクアームを前側リンクアーム(51F)とした請求項1〜請求項3に記載の乗用芝刈機の構成とする。従って、車体の前部にジャッキ(100)を装着し後輪(3,3)接地部中心に車体を揚げると、モア(43)も並行して前側が高い姿勢に持ち上げられる。この状態でモア(43)の点検整備を行なうことができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によると、リンクアーム(51F,51R)の一方(51F)から連結保持具を取り外すことで、該一方側のリンクアーム(51F)とモア(43)側ブラケットとは切り離され、この状態でモア(43)全体を位置ずれさせると、リンクアーム(51R)はブラケットから切り離されるから、連結解除を前後リンクアームの一方側のみ行なえばよく作業が簡単化できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、上記に加え、連結保持具としての連結ピン(60)の挿入又は抜き取りが容易化でき作業の効率化が図れる。
請求項3に記載の発明は、リンクアーム(51F,51R)の構成を前後で同じくすることができ部品管理を容易化する
請求項4に記載の発明は、モア(43)が高い位置に持ち上げられる前部のリンクアーム側に連結保持具を構成するものであるから、荷重が掛って容易に外れ難く、不測の落下を来たさず安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいてこの発明の実施態様について説明する。
まず、図1と図2に示すように、乗用芝刈機1は、前輪2,2と後輪3,3を備え、前輪2,2は非駆動タイプのキャスター輪で構成され、後輪3,3はエンジン4の動力によって駆動される。
【0013】
前記エンジン4は機体の後部に設けられ、前後方向に沿わせて設けられた左右一対のメインフレーム6,6の間に4個の防振具(図示省略)を介して弾性的に支持されている。なおエンジン4は横側方から見て後輪3,3の車軸3a,3aよりも後方に位置し、その上方にマフラー9とエアクリーナ10が配設されている。マフラー9のテールパイプ9aは本体部から下向に延設されて排気口部を横外側方へ向けている。
【0014】
また、エンジン4の進行方向後方には吸引ファン12、ラジエータ13、オイルクーラ14がこの順番で設けられている。
そして、前記エンジン4、マフラー9、エアクリーナ10、ラジエータ13等の外周部位は箱型のボンネット16で覆い、このボンネット16は後下部に設けた支点を中心として前側が大きく上方へ開放できるように構成している。ボンネット16の後面にはスリット状の外気取入口16aを設け、この外気取入口16aから冷たい外気をボンネット16内に取り込んでエンジン4廻りのマフラー9やエアクリーナ10といった補器類を冷却するようにしている。
【0015】
一方、エンジン4の前方には伝動ケース18を設け、伝動ケース18に設けた入力軸19とエンジン4側の出力軸20とを自在継手軸22で連結している。伝動ケース18の左右一側(図2では右側)には一対の油圧式無段変速装置(HST)24,24の可変容量式の油圧ポンプ25,25が回転軸芯を一致させた状態で前後に並べて設けられ、エンジン4の作動中は、伝動ケース18内に設けた複数個のギヤ群からなる駆動機構により油圧ポンプ25,25が常時駆動されるように構成している。
【0016】
油圧式無段変速装置(HST)24,24の油圧モータ27,27は後輪3,3の軸支部近傍に設けられ、油圧式無段変速装置(HST)24,24の斜板(図示省略)の角度を調節することによって油圧モータ27,27の回転数と回転方向が変わるようにしている。この油圧モータ部27,27はメインフレーム6,6の外側に固着されたモータブラケット23,23に着脱自在に取り付けられている。そして、操縦席28の前部に設けられた左右一対の操向レバー30,30を前後方向に操作することによって油圧式無段変速装置(HST)24,24の油圧ポンプ25,25の斜板が調節される。
【0017】
次に図4、図5を参照しながら操向レバー30,30と油圧ポンプ25,25側のトラニオン軸31,31との連動関係について説明する。筒体で構成された右側操向レバー30の回動軸32にはこれと一体で下向に突出するアーム部材34が設けられ、同じように、筒体で構成された左側操向レバー30の回動軸33にはこれと一体で上向きに突出するアーム部材35が設けられ、これらのアーム部材34,35は夫々油圧ポンプ25,25のトラニオン軸31,31に固着されたプレート37,38とロッド40,41で連動連結されている。そして、夫々の操向レバー30,30を機体が停止した中立位置から前方に倒すと夫々の油圧式無段変速装置(HST)24,24のトラニオン軸31,31が正転方向に回されて機体は前進し、反対に中立位置から後方に引き戻すとトラニオン軸31,31が逆転方向に回転させられて機体は後進するように構成している。左右の操向変速レバー30,30を互いに逆向きに操作すると、一方のトラニオン軸31は正転、他方のトラニオン軸31は逆転して、その場で芯地旋回が行なえるようにしている。
【0018】
なお、図6に示すように、前記2本の操向レバー30,30を中立位置において操作方向と直交する外方向に倒すことができるようになっており、そのように倒すと、操向レバー30,30の間隔が広がりオペレータが操向レバー30,30の間を通過できるので乗降が容易になる。
【0019】
次にモア43の構造及び駆動系について説明する。
前記伝動ケース18の前部にはPTO軸42が前方へ向けて突出軸架され、前後輪2,2,3,3間に介装されたモア43側の入力軸44と、前記PTO軸42との間には自在継手軸45が着脱自在に介装連結される。PTO軸42は伝動ケース18内に設けた油圧クラッチ(図示省略)を入切りすることによって、エンジン4側の動力が伝達されたり遮断されたりする。
【0020】
また、モア43はそのデッキ43a内に3枚の刈刃46,46,46を備えており、ギヤケース43bに軸支されたPTO軸42から動力を受けてベルト等の動力伝達部材を介してこれらの刈刃46,46,46が上方から見て全て時計方向に回転されて芝や草を刈り取るようになっている。モアデッキ43aの右外側方には刈った芝や草を排出する刈草排出口47が設けられ、刈り取られた草はこの排出口47から外側方へ排出される。排出口47の上方には上下回動自在な排出カバー48が設けられ、モアデッキ43a内で刈った草が横方向外側へのみ案内されるようにカバー全体を下向に押圧付勢している。
【0021】
次に、図1および図7〜図9に基づいて、モアデッキ43aの昇降機構について説明する。前記モアデッキ43aは前記メインフレーム6,6の前部に連結した前フレーム49にリンク機構50、50を介して昇降自在に支持され、機体前部片側に設けた単一の油圧シリンダー52に作動油を供給あるいは排出すると、モアデッキ43a全体が地面に対して略平行に上下するように構成している。
【0022】
更に詳述すると、リンク機構50は略同じ長さの4個のリンクアーム51F,51F,51R,51Rを前後左右に備え、前側リンクアーム51F,51Fは前フレーム49の前部において左右に架け渡した1本のリフト軸53の両端に取り付けられ、後側リンクアーム51R,51Rは前フレーム49の後寄り中間部に枢着され、各リンクアーム51F,51F,51R,51Rの下端部はモアデッキ43a側に立設する前後左右のブラケット57F,57F,57R,57Rに着脱自在に連結されている。前側リンクアーム51F,51Fの下端部はピン装着孔58を備え、この対応する前側ブラケット57F,57F側には水平軸心方向にバネ59で付勢された連結保持具としての連結ピン60を挿・抜自在に連結している。なおバネ59は挿通方向に保持する。
【0023】
後側リンクアーム51Rの下端部には水平ピン61Rを溶接等によって固着し、後部ブラケット57Rの適宜高さ位置において前方が開放部62Rとされた支点部受け溝63Rに係脱可能に設けられる。
【0024】
64は前部リンク51Fと後部リンク51Rとを一体的に連結する連結ロッドである。
また、前記リフト軸53左側には2個のアーム55,55が上向きに固着され、このアーム55,55の先端部に油圧シリンダー52の前端をピン56にて連結するようにしている。油圧シリンダー52の後端は前フレーム49の左側内側部にピン56で枢着される。
【0025】
従って、モア43を装着するときは、後部リンクアーム51Rをブラケット57Rの支点部受け溝63Rに係止させると共に、前部リンクアーム51Fをブラケット57Fの連結ピン60を前側リンクアーム51Fのピン装着孔58を一致させて連結する。こうしてモア43の吊下げ支持作業は完了し、アクチュエータである油圧シリンダー52に作動油を供給ないし排出させてピストンを伸縮させると、リフト軸53が回動させられてリンク機構50、50が上下回動し、モアデッキ43aを上昇あるいは下降させる。
【0026】
また、モア43を取り外すには、連結ピン60を抜いてその状態を保持させておき(例えば、バネに抗してピン60を抜き90度位相をずらせることによってピンのホルダにその抜き位置を保持するよう構成する)、モア43を後方に位置ずれさせることにより前後のリンクアーム51F,51Rから外すことができる。
【0027】
従って、前側のリンクアーム51Fの連結ピン60を抜くことによって後部リンクアーム51Rを操作することなくモア43の切り離しを行なうことができ着脱を容易化できるものである。
【0028】
図9はリンク機構50の別実施例を示す。前部リンクアーム51F及び後部リンクアーム51Rは同じ長さで下端部にはそれぞれ水平ピン61F及び水平ピン61Rを溶接等によって固着している。そしてブラケット57Fとブラケット57Rとには、後方が開放部62F及び62Rとされた支点部受け溝63F,63Rを形成し、前記水平ピン61F,61Rを受け入れ可能に設ける。前部ブラケット57F側には縦方向に挿通されて溝部63Fに係止された水平ピン61Fが開放部62Fから脱落することを阻止すべく連結保持具としての係止ピン64を設ける。従って、該ピン64を抜き、モア43を前方に位置ずれさせると、前後のリンクアーム51F,51Rの水平ピン61F,61Rを支点部受け溝63F,63Rから外すことができる。
【0029】
したがって、上記の例と同じく係止ピン64の操作によってモア43の切り離しを行なうことができるほか、リンクアーム51F,51Rは前後共に同じ構成とすることができ、部品管理を容易にする。また、係止ピン64は後部ブラケット57Rにも形成することで後部側の連結を解除すると前側が自動的に切り離される形態に変更することができる。
【0030】
次に、後輪ブレーキ装置とその操作機構について説明する。
前フレーム49の上面には図1に示すように前部が斜めに立上り、全体的には左右横方向において平坦な足乗せ部を有する1枚のステップ67が取り付けられている。このステップ67の前部にはブレーキペダル69のアーム69aが臨み、オペレータがブレーキペダル69上面を踏み込む(図1の実線)ことによって、後輪ブレーキ装置70,70が作動するように構成している。
【0031】
更に詳述すると、後輪ブレーキ装置70,70は前記油圧モータ27,27の上部に設けられ、前記ブレーキペダル69を踏み込むことによって左右の後輪ブレーキ70,70が同時に効くように構成している。
【0032】
ブレーキペダル69の踏み込み状態を維持するパーキング操作部材(操作ペダル)78はブレーキペダル69のすぐ左側横側部に近接させて設けられ、パーキング操作ペダル78は鋸歯状係止部を有する係止プレート79と一体的に構成されていて、これらは支点80を中心にして回動できるようになっている。
【0033】
係止プレート79の下面に形成した鋸歯状係止部は、ブレーキペダル69のアーム69a前部に固着した板体82上面に係合可能に構成されており、右足でブレーキペダル69を踏み込んだ状態でブレーキを掛け、ついでその状態を維持しながら左足によってパーキング操作ペダル78を踏み込めば、ブレーキペダル69と一体の板体82の上部に係止プレート79の鋸歯状係止部の歯が引っ掛かってブレーキペダル69の踏み込み状態を維持するように構成している。
【0034】
図3において、メインフレーム6,6の前部に前フレーム49が溶接若しくはボルト締め等によって一体的に固着され、ここに車体が構成される。メインフレーム6,6の前部においては、断面コ字型の2本の縦フレーム87,87が立設され、これらの縦フレーム87,87間には前後方向に沿わせてシートフレーム88を固着して設け、シートフレーム88の後上部においては安全フレーム90を立設している。安全フレーム90は機体の横転時にオペレータを保護するもので、背面から見ると逆U字状に形成され、その基部は左右方向に沿わせて設けた中空パイプやL型鋼管からなるフレーム91により連結されて安全フレーム90全体を補強している。
【0035】
次に、図1と図10に基づき走行車体の前側部を持ち上げるジャッキ装置100について説明する。
前フレーム49の前端部には、取付フレーム49aを左右方向に沿うように取り付け、同フレーム49aに前記前輪2,2の支持ブラケット101を左右ローリング自在に支持すると共に、この上方を開閉カバー102により覆う構成としている。また、取付フレーム49aの上部には、適度間隔を空けて凹状のジャッキ装置100収納用ブラケット103,103を取り付け、このブラケット103,103の凹部にジャッキ装置100を左右方向に沿わせて嵌合支持する構成としている。また、取付フレーム49aの左右中央部には、前側に向けて突出する凹状の支持用ブラケット104を取り付けている。なお、ジャッキ装置100は、ねじ嵌合している軸及び筒体により構成されていて、ハンドル100aを正逆回転することにより軸及び筒体が伸縮し、下端部には接地板100bが横方向のピンで軸支されている。
【0036】
しかして、乗用芝刈機の走行作業中には、取付フレーム49aの収納用ブラケット103の凹部にジャッキ装置100を左右方向に沿わせて嵌合支持し、開閉カバー102で閉鎖する。また、走行車体の前側部を上昇させ芝刈り装置43をメンテナンスする場合には、後輪3,3にブレーキを掛けた状態で、ジャッキ装置100を支持用ブラケット104に嵌合装着し、接地板100bを接地させた状態でジャッキ装置100を立設位置する。そして、ハンドル100aを回動操作しジャッキ装置100を伸長させて走行車体の前側部を上昇させ、芝刈り装置43を地面に対して所定角まで立ち上げた状態で点検する。
【0037】
以上のように構成した乗用芝刈機のジャッキ装置100では、走行車体の前部を持ち上げると左右の前輪2,2を同時に持ち上げるので、車体下方に広い空間が形成されメンテナンス作業が容易となる。
【0038】
また、ジャッキ装置100を使用する時には、このジャッキ装置100を連結する支持部も前記取付フレーム49aに備えられているので、同装置100の取扱操作も解り易く、操作も簡単である。またジャッキ装置100を収納する時には、同ジャッキ装置100が、取付フレーム49aに沿って収納されるので、コンパクトに収納することができる。
【0039】
さらに、前記リンク機構51のうち、リンクアーム51F側に連結保持具60,64を構成するが、ジャッキアップ中はリンクアーム51Fを支持する連結ピン60や係止ピン61Fに荷重が作用して、連結保持具60,64の挿脱が不可となって、不測のモア脱落を防止できる。
【0040】
図12は操向レバー30の参考例を示す。突合せ状に設けられる左右握り部30g,30gの一方を図のように延長させて該延長部30bを他方の握り部30gの下位近傍に配置すべくなす。こうすることによって、図のように左手で握り部30gを握って前後操作しながら、同じ手の親指で延長部30bを操作することができ、別な操作、例えばPTOオン・オフスイッチ切替やモアの昇降レバー操作で右手を使いながら、左右共に操向レバー操作を可能とするもので、従来型の突合せ形状の操向レバー30の握り部に対して疲労感少なく操作継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】乗用芝刈機の全体側面図である。
【図2】操縦席を除いた乗用芝刈機の全体平面図である。
【図3】操縦席側部の拡大側面図である。
【図4】伝動ケースの周囲を示す拡大平面図である。
【図5】操向レバーの作用を示す拡大側面図である。
【図6】操向レバーの作用を示す正面図である。
【図7】昇降リンク機構部を示す側面図である。
【図8】同上の平面図(A)、一部の拡大説明図(B)(C)である。
【図9】別実施例を示す側面図(A)(B)である。
【図10】ジャッキ使用中の側面図である。
【図11】ジャッキ収納時の平面図である。
【図12】操向レバーの参考例を示す背面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 乗用芝刈機
2 前輪
3 後輪
6 メインフレーム
43 モア
43a モアデッキ
50 リンク機構
51F 前側リンクアーム
51R 後側リンクアーム
52 油圧シリンダー
53 リフト軸
57F 前側ブラケット
57R 後側ブラケット
60 連結ピン(連結保持具)
61F 水平ピン
61R 水平ピン
62F 開放部
62R 開放部
63F 支点受け溝
63R 支点受け溝
64 係止ピン(連結保持具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
請求項1に記載の発明は、左右前輪(2,2)と左右後輪(3,3)とを備え、車体に対し昇降自在に装着されるモア(43)を有する乗用芝刈機において、前記左右前輪(2,2)と左右後輪(3,3)との間にモア(43)を配置し、前記車体に回動支点を有し相互に連結されて一体的に該支点周りに回動する前後のリンクアーム(51F,51R)を吊下げて設け、前記前後のリンクアームのうち一方は、モア(43)側のブラケット(57F,57R)に対して連結保持具(60,64)によって水平横軸周りに回動可能に連結され、他方のリンクアームは、その下端側に備えた支持軸部をモア(43)側のブラケット(57R)に形成され開放部(62R)を有した支点部受け溝(63R)に係合させることにより水平横軸周りに回動可能に連結され、前記一方のリンクアーム(51F)の連結保持具を解除することによって他方のリンクアーム(51R)の支持軸部が開放部(62R)から外れることを許容することを特徴とする乗用芝刈機。
【請求項2】
一方のリンクアーム(51F)側の連結保持具(60)はモア(34)側のブラケット(57F)にあって常時軸方向に付勢された連結ピン(60)の挿抜による構成とした請求項1に記載の乗用芝刈機
【請求項3】
モア(43)側の前後のブラケット(57F,57R)に開放部(62F,62R)を有した支点部受け溝(63F,63R)を形成し、いずれか一方のブラケット(57F)にリンクアーム(51F)の支点ピン(61F)を保持する着脱自在の連結保持具(64)を設けた請求項1に記載の乗用芝刈機。
【請求項4】
車体の前部フレームにジャッキ(100)を装着しこの前部フレームをジャッキアップ可能に設け、連結保持具(60,64)を備えるブラケット(57F)側に連結されるリンクアームを前側リンクアーム(51F)とした請求項1〜請求項3に記載の乗用芝刈機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−330229(P2007−330229A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169331(P2006−169331)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】