説明

乗用草刈機

【課題】運転座席より高い位置まで延びている支持フレームに路上走行時に必要な備品を取り付けることが可能な乗用草刈機を提供すること。
【解決手段】乗用草刈機100は、前輪122と後輪123を有する車体フレーム104と、車体フレーム104の下部に配置された草刈装置120と、車体フレーム104の後方に着脱自在に連結された集草容器132と、車体フレーム104の後部にあって運転座席103より高い位置まで延びた、集草容器132を支持する支持フレーム131とを備え、集草容器132が支持フレーム131から取り外された際、支持フレーム131は車体フレーム104の後部に位置した状態が維持される構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の後部に刈草を回収する集草容器を連結して草刈りや芝刈り作業等を行う乗用草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芝や草を刈り込む作業を行う乗用草刈機として、例えば、特許文献1に記載された草刈機が提案されている。
【0003】
この従来の草刈機は、特許文献1の記載によれば、図13に示すように、左右一対の操向操作自在な前車輪1,1と左右一対の駆動自在な後車輪2,2とによって自走するよう構成されている。
【0004】
また、この従来の草刈機は、車体後部に設けた運転座席3が装備された運転部を有した乗用型の自走車と、この自走車の車体フレーム4の後部に支持フレーム31を介して支持される集草容器32が装備された刈草回収装置30とを備えている。また、この自走車の車体フレーム4の前後輪間にリンク機構10を介して連結された草刈装置20が設けられている。
【0005】
この従来の草刈機は、車体フレーム4の前部に設けたエンジン5と、このエンジン5の下方に設けた動力取り出し機構6とを備えている。動力取り出し機構6は、エンジン5の車体前方向きの出力軸5aによる出力が伝動ベルト9を介して入力軸6aに伝達され、この入力軸6aの駆動力を出力軸6bから回転伝動軸7を介して草刈装置20の刈り刃ハウジング21の上面側に位置する刈り刃駆動機構22に伝達する。
【0006】
リンク機構10は、車体フレーム4に上下揺動自在に支持された左右一対の前揺動リンク11,11と、車体フレーム4に上下揺動自在に支持された左右一対の後揺動リンク12,12と、左右一対の連動リンク13,13とを備えている。
【0007】
左右一対の前揺動リンク11,11の先端部は、草刈装置20の刈り刃ハウジング21の前部に位置する前連結部材23に連結されている。左右一対の後揺動リンク12,12の先端部は、刈り刃ハウジング21の後部に位置する後連結部材24に連結されている。左側の連動リンク13は、左側の前揺動リンク11と後揺動リンク12とを連動させ、右側の連動リンク13は、右側の前揺動リンク11と後揺動リンク12とを連動させている。左右一対の前揺動リンク11,11は、一本の回転支軸14によって連動されている。左側の前揺動リンク11にリフトシリンダ15が連動されている。
【0008】
つまり、リンク機構10は、リフトシリンダ15によって前揺動リンク11が揺動操作されることによって車体フレーム4に対して上下に揺動操作され、草刈装置20を刈り刃ハウジング21の前後側に支持された接地ゲージ輪25が地面に接地した下降作業状態と、各接地ゲージ輪25が地面から上昇した上昇非作業状態とに昇降操作する。
【0009】
草刈装置20を下降作業状態にして自走車を走行させると、草刈装置20は、刈り刃ハウジング21の内部に刈り刃ハウジング横方向に並んで位置する刈り刃26を刈り刃駆動機構22によって刈り刃ハウジング上下向きの軸芯まわりに回転駆動して、各刈り刃26によって草刈りを行い、刈り草を刈り刃26の回転によって発生した風によって刈り刃ハウジング21の上部に位置する刈り草排出ダクト27から排出する。
【0010】
刈り草排出ダクト27から排出された刈り草は、刈り刃26からの風による搬送作用と、自走車に左右一対の後車輪2,2の間を車体前後方向に通して設けてある搬送ダクト8による案内作用とによって集草容器32に送り込まれ、この集草容器32によって回収されて貯留される。
【0011】
一方、この従来の草刈機において、刈草回収装置30を取り外すには、図14に示す様に、スタンド70を下降使用姿勢に切り換え、左右一対の昇降シリンダ34,34を短縮操作して集草容器32を下降させる。前スタンド本体71と後スタンド本体72とが地面Gに接地して集草容器32がスタンド70を介して地面Gに支持された状態になると、左右一対の脱着連結ピン62,62を抜き外して左右一対の昇降シリンダ34,34を短縮操作する。昇降シリンダ34が支持フレーム31の下端側と下側の昇降リンク33bの先端側との間隔を狭くするように支持フレーム31とリンク機構33とを相対揺動操作して、支持フレーム31の下端側を集草容器32に対して後方かつ上方側に移動操作する。これにより、回収装置側連結部40が車体側連結部50に対して後方上方に離間するよう移動し、左右一対の固定連結ピン61,61が支持体51の下ピン孔52から抜け外れて回収装置側連結部40と車体側連結部50との連結機構60による連結が解除され、刈草回収装置30が自走車から外れる構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−273406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来の乗用草刈機の構成によれば、草刈機本体としての自走車から集草容器32を取り外すためには、集草容器32を支持している支持フレーム31ごと自走車から外す構成であったため、運転座席3より高い位置まで延びた部分を有する支持フレーム31において、路上走行時に必要な方向指示器等を取り付けられないという課題があった。
【0014】
本発明は、上記従来の乗用草刈機のこの様な課題に鑑み、運転座席より高い位置まで延びている支持フレームに路上走行時に必要な備品を取り付けることが可能な乗用草刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、第1の本発明は、
前輪と後輪を有する走行車体と、
前記走行車体の下部に配置された草刈部と、
前記走行車体の後方に着脱自在に連結された集草容器と、
を備えた乗用草刈機において、
前記走行車体の後部にあって運転座席より高い位置まで延びた、前記集草容器を支持する支持フレームを備え、
前記集草容器が前記支持フレームから取り外された際、前記支持フレームは前記走行車体の後部に位置した状態が維持される、乗用草刈機である。
【0016】
これにより、支持フレームから集草容器を取り外した後でも、支持フレームが走行車体の後部に残った状態であるので、運転座席より高い位置まで延びている支持フレームに、路上走行時に必要な備品(例えば、方向指示器)を取り付けることが可能であるため、路上走行がし易いという効果を発揮する。
【0017】
また、第2の本発明は、
前記集草容器の側面側に設けられた、前記集草容器を昇降可能に支持する上下一対の昇降アームを有する昇降リンク機構と、
前記昇降リンク機構の一端を取り付ける連結体とを備え、
前記昇降リンク機構は前記連結体側を支点に上下方向に回動可能とし、
前記連結体は、前記支持フレームに着脱可能である、第1の本発明の乗用草刈機である。
【0018】
これにより、集草容器を支持フレームに連結する作業が容易に行え、且つ、集草容器を支持フレームから外した時でも、昇降アームの一端側が連結体に回動可能に連結されているので、上下一対の昇降アームの一端側がばらつかないという効果を発揮する。
【0019】
また、第3の本発明は、
前記連結体は、前記支持フレームの表面に形成された連結時位置決め用突起部に嵌合可能なフックを備えている、上記第2の本発明の乗用草刈機である。
【0020】
これにより、集草容器を支持フレームに連結する際の位置決め作業が容易となり、集草容器の着脱がし易くなるという効果を発揮する。
【0021】
また、第4の本発明は、
前記連結体は、前記支持フレームとの連結に用いる連結ピンを挿入するピン連結部を前記フックの上下の位置にそれぞれ備えており、
前記連結ピンが、前記ピン連結部を介して前記支持フレームに貫通することにより、前記連結体が前記支持フレームに連結される、上記第3の本発明の乗用草刈機である。
【0022】
これにより、連結時位置決め用突起部と嵌合したフックの近くの上下位置において、連結ピンが前記ピン連結部に挿入される際に、前記支持フレーム側に形成された貫通孔に容易に挿入出来るという効果を発揮する。
【0023】
また、第5の本発明は、
前記連結体は、前記連結体を前記支持フレームに連結する際の位置合わせに用いる棒状治具を支持するための固定具を有している、上記第2〜4の何れか一つの本発明の乗用草刈機である。
【0024】
これにより、治具を梃子の様に用いて、位置合わせしながら連結体を支持フレーム側に引き寄せて、支持フレームに設けられた連結時位置決め用突起部にフックを引っかけ易くなるという効果を発揮する。
【0025】
また、第6の本発明は、
前記支持フレームは、四角柱状の支持部を有しており、前記連結時位置決め用突起部は、前記支持部の表面から突き出した円柱状の突起であり、
前記連結体は、前記支持部の4方の側面の内の3方の側面を囲む様に嵌合して前記支持フレームと連結される、断面がコの字状の嵌合部を有し、前記フックは、前記コの字状の対向する面の少なくとも一方に設けられた切欠部であり、
前記固定具は、前記切欠部を跨ぐように両端部が前記連結体の前記切欠部の上下側に固定された、中央がUの字状の湾曲部を有した湾曲部材であり、
前記連結体を前記支持フレームに連結する際に、前記棒状治具の一端が前記湾曲部に挿入されて、前記棒状治具の前記一端が前記支持フレームの前記支持部の側面に当接されて、前記当接された前記側面の位置を支点とし、前記棒状治具における前記一端と他端の間に位置する部位が前記湾曲部の内周面に押し当てられながら、前記湾曲部が前記走行車体側に引き寄せられる方向に前記棒状治具の前記他端を移動させることにより、前記切欠部が前記突起側に向けて移動し嵌合する構成である、上記第5の本発明の乗用草刈機である。
【0026】
これにより、固定具が環状に形成されているので、簡単な構成でありながら確実に棒状の治具を支持できるという効果を発揮する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、運転座席より高い位置まで延びている支持フレームに路上走行時に必要な備品を取り付けることが可能な乗用草刈機を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1における乗用草刈機の全体側面図
【図2】本発明の実施の形態1における乗用草刈機の一部断面概略平面図
【図3】本発明の実施の形態1における乗用草刈機の支持フレームの後方に刈草回収装置を配置した状態を示す側面図
【図4】本発明の実施の形態1における乗用草刈機の支持フレームと連結体との連結の手順を説明するための部分拡大斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における乗用草刈機の支持フレームと連結体との連結の手順を説明するための側面図
【図6】本発明の実施の形態1における乗用草刈機の集草容器の昇降動作を説明するための概略側面
【図7】本発明の実施の形態1における乗用草刈機の集草容器の開閉蓋の開閉動作を説明するための概略側面図
【図8】本発明の実施の形態2における乗用草刈機の支持フレームと連結体との連結の手順を説明するための部分拡大斜視図
【図9】本発明の実施の形態3における乗用草刈機の支持フレームと連結体との連結の手順を説明するための部分拡大斜視図
【図10】本発明の実施の形態3の左側のメイン支持フレームにおける支点越えロックリンクがロック状態にあることを示す概略斜視図
【図11】(a):図11(b)におけるE−E’断面矢視図、(b):本発明の実施の形態4における乗用草刈機の支持フレームと連結体との連結の手順を説明するための部分拡大側面図
【図12】(a):本実施の形態5における乗用草刈機のセンターディスチャージモーア入力伝動装置の概略平面図、(b):図12(a)のH−H’断面矢視図、(c):第1ベベルギアケースを延長して入力メタルと一体化した例を説明する概略平面図
【図13】従来の乗用草刈機の全体側面図
【図14】従来の乗用草刈機における刈草回収装置の脱着要領を示す側面図
【図15】従来の乗用草刈機のセンターディスチャージモーア入力伝動装置の概略平面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の乗用草刈機の一実施の形態の乗用草刈機についてその構成と動作を説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における乗用草刈機の全体側面図であり、図2は、本実施の形態1における乗用草刈機の一部断面概略平面図である。
【0031】
I.まず、これらの図面を用いて、本実施の形態の乗用草刈機100の構成を中心に説明する。
【0032】
図1、図2に示す通り、本実施の形態の乗用草刈機100は、左右一対の操向操作自在な前輪122と、左右一対の駆動自在な後輪123とによって自走するよう構成されている。
【0033】
この乗用草刈機100は、車体後部に運転座席103が装備された運転部を有した乗用型の自走車116と、この自走車116の車体フレーム104の後部に固定された支持フレーム131に着脱自在に連結可能な、集草容器132が装備された刈草回収装置130とを備えている。また、乗用草刈機100は、この自走車116の車体フレーム104の前後輪間にリンク機構110を介して連結された草刈装置120を備えている。
【0034】
尚、本発明の草刈部の一例が本実施の形態の草刈装置120に該当する。また、本発明の走行車体の一例が本実施の形態の車体フレーム104に該当する。
【0035】
また、支持フレーム131は、運転座席103の後方にあって自走車116の上下向きに配設された左右一対のメイン支持フレーム131R、131Lと、そのメイン支持フレーム131R、131Lの上端部を連結固定する上部固定フレーム131aと、メイン支持フレーム131R、131Lの中央部を連結固定する中央部固定フレーム131bと、メイン支持フレーム131R、131Lの下端部を連結固定する下部固定フレーム131cとを備えた略長方形状の枠体を構成している。
【0036】
支持フレーム131の上部、すなわち、左右一対のメイン支持フレーム131R、131Lの上部と、上部固定フレーム131aは運転座席103より高位置になるよう構成している。
【0037】
また、左右一対のメイン支持フレーム131R、131Lの上端部には、それぞれ方向指示器(ウインカー)133R、133Lが取り付けられている。
【0038】
更に、乗用草刈機100の自走車116のその他の構成と動作について説明する。
【0039】
即ち、乗用草刈機100の本体としての自走車116は、車体フレーム104の前部に設けたエンジン105と、エンジン105の下方に設けた動力取り出し機構(図示省略)とを備えている。動力取り出し機構により取り出されたエンジン105の出力は、伝動ベルト(図示省略)及び回転伝動軸(図示省略)等を介して草刈装置120に伝達される。
【0040】
リンク機構110は、車体フレーム104に上下揺動自在に支持された左右一対の揺動リンク111等からなり、その左右一対の揺動リンク111の先端部は、草刈装置120の後部に位置する後連結部材121に連結されている。また、揺動リンク111の先端部近傍には、運転座席103の下方に一方が固定されたリフトシリンダ115が連結されている。
【0041】
リンク機構110は、リフトシリンダ115によって左右一対の揺動リンク111が揺動操作されることによって車体フレーム104に対して上下に揺動操作される。これにより、草刈装置120を前後側において支持する支持車輪125が地面に接地した下降作業状態と、各支持車輪125が地面から上昇した上昇非作業状態とに昇降操作可能となる。
【0042】
草刈装置120を下降作業状態にして乗用草刈機100を走行させると、草刈装置120は、刈り刃ハウジング106の内部に左右横方向に並んで位置する刈り刃113を刈り刃駆動軸101,102の軸芯まわりに回転駆動して、各刈り刃113によって草刈りを行う。刈り草を刈り刃113の回転によって発生した風によって刈り刃ハウジング106の後部上方に位置する刈り草排出ダクト118から排出する。尚、この左右横方向に配置された刈り刃113は、互いに逆回転し、効率良く草が刈り取られる。
【0043】
刈り草排出ダクト118から排出された刈り草は、刈り刃113からの風による搬送作用と、左右一対の後輪123の間を自走車116の前後方向に通して設けてある搬送ダクト119による案内作用とによって集草容器132に送り込まれ、この集草容器132によって回収されて貯留される。
【0044】
次に、刈草回収装置130を中心にその構成を説明する。
【0045】
即ち、刈草回収装置130は、図1に示す通り、後述する昇降・排出口開閉リンク170に回転支軸171を介して昇降可能に支持された、刈草を貯留するための集草容器132と、集草容器132の後端側に設けられた刈草排出口135と、刈草排出口135を開閉する開閉蓋136と、集草容器132の左右両側に設けられた上下一対の昇降リンク機構140と、集草容器132の左右両側に設けられた昇降シリンダー150と、集草容器132の左右両側の後端側に設けられて集草容器132の開閉蓋136の開閉を行うダンプシリンダー160と、上下一対の昇降リンク機構140の一端を支持フレーム131に着脱自在に連結するための左右一対の連結体180(180R、180L)と、各種油圧シリンダー(150、160)に乗用草刈機100の本体側から油圧を伝達するための、着脱自在のクイックカプラを有する油圧配管系190とを備えている。連結体180には後述する集草容器132の草排出姿勢を固定するダンプ姿勢固定ピン1180aを取付けている。
【0046】
更に、上下一対の昇降リンク機構140は、図1に示す通り、集草容器132の左右両側面側にそれぞれ上下一対の昇降アーム140a、140bを設け、上下一対の昇降アーム140a、140bの前端を、上下方向に向かって回動可能に連結体180に連結している。
【0047】
左右の昇降アーム140a、140bをそれぞれ連結している連結体180は、左側の連結体180Lを左側のメイン支持フレーム131Lの上端部に、右側の連結体180Rを右側のメイン支持フレーム131Rの上端部にそれぞれ運転座席103よりも高い位置で連結している。
【0048】
また、左右における上下一対の昇降アーム140a、140bのそれぞれの後端には、左右一対の昇降・排出口開閉リンク170を連結し、昇降アーム140a、140bを上下回動可能に構成している。
【0049】
また、昇降・排出口開閉リンク170は、昇降アーム140a、140bのそれぞれの後端との連結位置の間に設けられた回転支軸171を介して、集草容器132に固定された本体フレーム132aを回動可能に支持している。
【0050】
本実施の形態では、昇降・排出口開閉リンク170と回転支軸171とを包括して連結支持部材と呼ぶ。
【0051】
更に、昇降・排出口開閉リンク170は、図1に示す通り、その上端部側において、ダンプシリンダー160のシリンダー本体の終端部160aが回動可能に連結されており、ダンプシリンダー160のピストン先端部160bが集草容器132に固定された本体サブフレーム132bに回動可能に連結されている。
【0052】
また、昇降シリンダー150は、図1に示す通り、そのピストン先端部150aが、昇降アーム140bの下面に回動自在に連結されており、そのシリンダー本体の終端部150bが、支持フレーム131の側面下端部に着脱自在に固定された連結プレート151に回動自在に連結されている。連結プレート151は、刈草回収装置130を支持フレーム131から取り外す場合には、支持フレーム131への固定を解除して、集草容器132の下端に設けられた昇降シリンダー保持プレート152に対して固定可能に構成されている。
【0053】
II.次に、上記構成のもと、本実施の形態1の乗用草刈機100において、刈草回収装置130を取り付ける手順を図面を参照しながら説明する。
【0054】
図3は、本実施の形態1における乗用草刈機の支持フレーム131の後方に刈草回収装置130を配置した状態を示す側面図であり、図4は、本実施の形態1における乗用草刈機の支持フレーム131と連結体180との連結の手順を説明するための部分拡大斜視図である。
【0055】
まず最初に図3に示す様に、前キャスター201と後キャスター202により移動可能なキャリアー200の上に載置された刈草回収装置130を、乗用草刈機の支持フレーム131の後方に配置し、矢印A方向に移動させる。
【0056】
次に、図4を参照しながら、乗用草刈機の支持フレーム131と連結体180との連結に関する構成を述べ、その後、連結の手順を説明する。
【0057】
図4に示す通り、左側の連結体180Lには、中空の四角柱形状を有する左側のメイン支持フレーム131Lの3方の外周面を囲む様に嵌合する、断面が略コの字状の連結部材181Lが固定されている。尚、右側の連結部材(図示省略)も連結部材181Lと、左右対称の構成であるので説明を省略する。
【0058】
また、連結部材181Lには、その側面の中央部に切欠部182が形成されており、その切欠部182の形状は、左側のメイン支持フレーム131Lの対応する位置に設けられた円柱形状の突起部であるガイドピン131gの外形状と嵌合可能に構成されている。
【0059】
尚、本発明の連結時位置決め用突起部の一例が、本実施の形態のガイドピン131gに該当し、また、本発明のフックの一例が、本実施の形態の切欠部182に該当する。
【0060】
また、連結部材181Lの側面には、切欠部182を跨ぐようにその両端部が当該切欠部182の上下側に固定された、中央がUの字状の湾曲部183aを有した固定具183が取り付けられており、更に、切欠部182の上下には、左側のメイン支持フレーム131Lと連結された時に、その連結状態を保持するための抜け防止部材137aを備えたセットピン137が挿入可能なピン孔181a、181bが形成されている。左側のメイン支持フレーム131Lのガイドピン131gの上下の対応する位置にも、同様のピン孔133a,138bが形成されている。
【0061】
尚、本発明の連結ピンの一例が本実施の形態のセットピン137に該当し、本発明のピン連結部の一例が本実施の形態のピン孔181a、181bに該当する。
【0062】
以上の構成の下、連結体180を支持フレーム131に連結する場合、丸棒またはプラスドライバーの先の部分を棒状治具184として用いる。
【0063】
即ち、図4に示す通り、棒状治具184の一方の先端部を固定具183の湾曲部183aに挿入し、当該棒状治具184の先端部を左側のメイン支持フレーム131Lの側面に当接した状態で、当該当接された側面の位置を支点として、梃子の原理を用いて、当該湾曲部183aが自走車116側に引き寄せる方向に当該棒状治具184の他方の端部を移動させる。キャリヤー200の下面にはキャスター201,202が取り付けられているのでスムーズに引き寄せられる。
【0064】
これにより、切欠部182をガイドピン131gに向けて容易に移動出来て、上下の位置決めも同時に行えるので、セットピン137をピン孔181a、181bに挿入することにより、連結体180を支持フレーム131に素早く連結出来る。
【0065】
尚、キャリヤー200の高さは上記嵌合がスムーズに行える様に、予め適切に調整されているか、それとも、刈草回収装置130側の高さが、支持フレーム131側の高さより低めに調整されていても良い。低めに調整されている場合は、棒状治具184で、固定具183を引き寄せる場合に、少し上方に持ち上げる様にすることで、位置ズレを解消しながら、切欠部182をガイドピン131gに嵌合させることが出来る。
【0066】
右側の連結体180Rと、右側のメイン支持フレーム131Rとの連結においても、上記と同様の手順で作業を行う。
【0067】
更に、図5に示す様に、刈草回収装置130の下方側面に取り付けられている連結プレート151は、その固定ネジ151aを外すことにより、昇降シリンダー150は回動自在状態になる。そして、その昇降シリンダー150を矢印B方向に移動させた後、連結プレート151を支持フレーム131の側面下端部に固定ネジ151aで固定する。この作業も左側と右側において同様に行う。
【0068】
次に、油圧配管系190のクイックカプラーを、本体側のカプラーに接続する。
【0069】
そして、乗用草刈機100に設けられた昇降操作レバー(図示省略)を操作して、集草容器132を少し上昇させて、集草容器132の底面とキャリヤー200との間に隙間を生じさせた後、キャリヤー200を後方向にスライドさせて取り外す。
【0070】
以上により、刈草回収装置130の連結作業が完了する。
【0071】
尚、草刈作業が終了して、乗用草刈機100から刈草回収装置130を取り外す場合は、キャリヤー200を刈草回収装置130の下方にセットした後、上記の手順と逆の手順で作業を行う。取り外した刈草回収装置130はキャリヤー200に載置したまま保管すれば、次に、取り付ける時に作業が容易になる。
【0072】
この様に、本実施の形態の乗用草刈機100の構成によれば、支持フレーム131から集草容器132を取り外した後でも、支持フレーム131が自走車116の後部に残った状態であるので、運転座席103より高い位置まで延びている支持フレーム131に、路上走行時に必要な備品(例えば、方向指示器)を取り付けることが可能であるため、路上走行がし易いという効果を発揮する。
【0073】
また、棒状治具184としてプラスドライバーなどの既存の工具が使用可能であるため、廉価な構成部品で脱着時間の短縮化(クイック脱着)が可能となる。
【0074】
また、集草容器132を支持フレーム131に連結する作業が容易に行え、且つ、集草容器132を支持フレーム131から外した時でも、昇降アーム140a、140bの一端側が連結体180に回動可能に連結されているので、上下一対の昇降アーム140a、140bの一端側がばらつかないという効果を発揮する。
【0075】
III.次に、図6,7を用いて、集草容器132の草排出のための昇降動作及び、開閉蓋136の開閉動作について説明する。
【0076】
図6は、集草容器132の昇降動作を説明するための概略側面図であり、図7は、集草容器132の開閉蓋136の開閉動作を説明するための概略側面図である。
【0077】
先ず最初に、集草容器132の昇降動作について図6を用いて説明する。
【0078】
乗用草刈機100に設けられた昇降操作レバー(図示省略)を上昇側にスライドさせることにより、左右一対の昇降シリンダー150が伸長方向への動作を開始する。左右一対の昇降シリンダー150のシリンダー本体の終端部150bは、連結プレート151を介して左右一対のメイン支持フレーム131L、131Rの側面下端部に固定されているため、昇降シリンダー150のピストン先端部150aが連結された左右一対の昇降アーム140bと、その昇降アーム140bに昇降・排出口開閉リンク170を介して連結された左右一対の昇降アーム140aが上昇する。
【0079】
一方、集草容器132は、左右一対の昇降・排出口開閉リンク170に回転支軸171を介して回動可能に支持されており、且つ、左右一対の昇降・排出口開閉リンク170に取り付けられた左右一対のダンプシリンダー160のピストン先端部160bは、集草容器132の本体サブフレーム132bに回動可能に連結されているため、昇降アーム140a、140bの上昇に合わせて図6に示す様に上昇する。
【0080】
次に、集草容器132の開閉蓋136の開閉動作について図7を用いて説明する。
【0081】
図6に示した通り、集草容器132が上昇して所定高さにて上昇動作を停止した後、乗用草刈機100に設けられた排出口開閉操作レバー(図示省略)を開放側にスライドさせることにより、左右一対のダンプシリンダー160が伸長方向への動作を開始する。
【0082】
左右一対のダンプシリンダー160は、そのシリンダー本体の終端部160aが、それぞれ左右一対の昇降・排出口開閉リンク170の上端部側に回動可能に固定されているため、集草容器132の本体サブフレーム132bに回動可能に固定されたピストン先端部160bの伸長動作に伴い、集草容器132が、回転支軸171の集草容器横方向(図6の紙面に垂直な方向)の軸芯まわりに矢印C方向に回動する。
【0083】
一方、開閉支軸132cによって集草容器132の外壁において回動可能に支持された開閉蓋136が、自重によって集草容器132の回動とともに矢印C方向に回動しようとするが、左右一対の開閉支持フレーム172によりその動きが阻止される。これによって、図7に示した通り、刈草排出口135を閉鎖していた開閉蓋136が後方に跳ね上げられた状態となり、集草容器132に貯留されていた刈草が自重で落下する。
【0084】
尚、左右一対の開閉支持フレーム172の一端は、それぞれ左右一対の昇降・排出口開閉リンク170の上端部側に回動自在に固定されており、他端は、開閉蓋136の内壁に回動自在に固定されている。
【0085】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、上記実施の形態1で説明した連結体180と支持フレーム131との連結機構の変形例について図8を用いて説明する。
【0086】
図8は、本実施の形態2における乗用草刈機の支持フレームと連結体との連結の手順を説明するための部分拡大斜視図である。
【0087】
本実施の形態2の乗用草刈機100は、上記実施の形態1の乗用草刈機100の構成と、連結体180と支持フレーム131との連結機構の部分を除いて同じであるので同じ符号を付してその説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。
【0088】
図8に示す通り、本実施の形態の連結体1180の内、左側の連結体1180Lには、図4の場合と同様に、断面が略コの字状の連結部材1181Lが固定されており、その連結体1180Lの側面には、端部が略U字状に湾曲して突き出したダンプ姿勢固定ピン1180aが設けられている。但し、図4の場合と異なり、連結部材1181Lには固定具183(図4参照)は設けられていない。
【0089】
尚、連結体1180の内、右側の連結体(図示省略)の構成も上記左側と同じであるので説明を省略する。
【0090】
また、本実施の形態の支持フレーム1131を構成する左側のメイン支持フレーム1131Lの左右両側面には、図4の場合と同じ構成のピン孔138a,138bが上下に設けられており、その中間の位置にガイドピン1131gが突き出して形成されている。ガイドピン1131gは、図4の場合の円柱形状の突起部であるガイドピン131gより首下が長く、且つ、後述する板状治具1184を引っ掛けやすくするために、突起部の先端が鍔形状になっている。
【0091】
尚、支持フレーム1131を構成する右側のメイン支持フレーム(図示省略)の構成も上記左側と同じであるので説明を省略する。
【0092】
以上の構成の下、キャリヤー200上に載置された刈草回収装置130を乗用草刈機100の後部に寄せて、左側の連結部材1181L及び右側の連結部材(図示省略)を、左側のメイン支持フレーム1131L及び右側のメイン支持フレーム(図示省略)と嵌合させるために連結可能位置まで矢印D方向に移動させて、ガイドピン1131gが切欠部182の奥まで挿入される様にする。
【0093】
次に、先端がヘの字状に曲げられて、その先端にスリット1184aを有し、握り部1184cが肉厚に形成された板状治具1184を、そのスリット1184aが、ダンプ姿勢固定ピン1180aの上側部分に挿入されて、その下面側に設けられた半円形状の切欠部1184bが、ガイドピン1131gに引っ掛ける様にセットする。この様に、本実施の形態では、ダンプ姿勢固定ピン1180aの略U字状に湾曲して突き出した部分を、板状治具1184を効果的に機能させるための部材として兼用している。
【0094】
作業者は、セットピン137の先端部をピン孔181a(181b)に押し付けながら、ガイドピン1131gを支点とする梃子の原理を利用して、セットした板状治具1184の握り部1184cを持って少し上下に動かすことにより、支持フレーム1131側のピン孔138a(138b)と、連結体1180側のピン孔181a(181b)とが重なる位置にきた時に、セットピン137がピン孔138a(138b)を通って貫通させることが出来るので、セットピン137の挿入時の位置合わせが簡単で且つ、迅速に行える。
【0095】
全てのセットピン137を挿入した後、抜け防止部材137aをセットピン137の先端に設けられた孔137bに挿入する。
【0096】
尚、右側の連結に関しても、上記左側の連結動作と同様であるので説明を省略する。
【0097】
以上の様に本実施の形態2によれば、セットピン137の挿入時の位置合わせが簡単で且つ、迅速に行えるという効果を発揮する。
【0098】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、上記実施の形態1で説明した連結体180と支持フレーム131との連結機構の変形例について図9を用いて説明する。
【0099】
図9は、本実施の形態3における乗用草刈機100の支持フレームと連結体との連結の手順を説明するための部分拡大斜視図である。
【0100】
本実施の形態3の乗用草刈機100は、上記実施の形態1の乗用草刈機100の構成と、連結体180と支持フレーム131との連結機構の部分を除いて、同じであるので同じ符号を付してその説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。
【0101】
図9に示す通り、本実施の形態の連結体2180の内、左側の連結体2180Lの、メイン支持フレーム2131L側に対向する側面の下端側において、略コの字形状のガイドプレート2181Lが固定されており、連結体2180Lの上端面において、先端が上向きに湾曲したフックバー2181が固定されたフックプレート2182が、メイン支持フレーム2131L側に張り出して取付られている。
【0102】
尚、連結体2180の内、右側の連結体(図示省略)の構成も上記左側と同じであるので説明を省略する。
【0103】
一方、本実施の形態の支持フレーム2131を構成する左側のメイン支持フレーム2131Lの左右両側面には、連結体2180側のガイドプレート2181Lに設けられた切欠部2181aと嵌合可能な位置に、ガイドピン2131が突き出して形成されている。また、メイン支持フレーム2131Lの側面の内、連結体2180Lに面する側と反対側の側面に固定された支持プレート310において、支点越えロックリンク300が、固定ピン2137により連結されている。
【0104】
尚、支持フレーム2131を構成する右側のメイン支持フレーム(図示省略)の構成も上記左側と同じであるので説明を省略する。
【0105】
支点越えロックリンク300は、ロックリンク本体305の上端側において長さ調節可能な環状の引っ掛け部材306が設けられ、その下端側においてピン302により回動可能に支持されたロックレバー301が設けられている。ロックレバー301の取っ手部301aと反対側の端部301bにおいて、上述したとおり、固定ピン2137により支持プレート310に連結されているので、ロックレバー301の取っ手部301aは、矢印α方向及びβ方向に回動自在となる。取っ手部301aをα方向に移動させると引っ掛け部材306は上方側に移動し、これとは逆に、β方向に移動させると下方側に移動して、支点越えロックリンク300はロック状態となる。
【0106】
以上の構成の下、キャリヤー200上に載置された刈草回収装置130を乗用草刈機100の後部に寄せて、左側のガイドプレート2181L及び右側の連結部材(図示省略)を、左側のメイン支持フレーム2131L及び右側のメイン支持フレーム(図示省略)と嵌合させるために連結可能位置まで矢印D方向に移動させて、ガイドピン2131が切欠部2181aの奥まで挿入される様にする。
【0107】
次に、左側のメイン支持フレーム2131Lの上端部から突き出しているフックバー2181に対して、環状の引っ掛け部材306を引っ掛けてロックレバーの取っ手部301aをβ方向に引き下ろす。
【0108】
これにより、図10に示す通り、環状の引っ掛け部材306は、先端が上方に湾曲したフックバー2181に引っ掛けられた状態のまま、下方に引き下ろされて支点越えロックリンク300はロック状態となる。図10は、左側のメイン支持フレーム2131Lにおける支点越えロックリンク300がロック状態にあることを示す概略斜視図である。
【0109】
尚、右側の連結に関しても、上記左側の連結動作と同様であるので説明を省略する。
【0110】
以上の様に本実施の形態3によれば、左右において上下2箇所のセットピン137の挿入を行う必要が無いのでピン孔の位置合わせが不要となり、しかもロックレバー301のワンタッチ操作により簡単、且つ確実にロックが出来るという効果を発揮する。
【0111】
(実施の形態4)
本実施の形態4では、上記実施の形態1で説明した連結体180と支持フレーム131との連結機構の変形例について図11(a)、(b)を用いて説明する。
【0112】
図11(b)は、本実施の形態4における乗用草刈機100の支持フレームと連結体との連結の手順を説明するための部分拡大側面図であり、図11(a)は、図11(b)におけるE−E’断面図である。
【0113】
本実施の形態4の乗用草刈機100は、上記実施の形態1の乗用草刈機100の構成と、連結体180と支持フレーム131との連結機構の部分を除いて、同じであるので同じ符号を付してその説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。
【0114】
図11(a)、(b)に示す通り、本実施の形態の連結体3180の内、左側の連結体3180Lには、図4の場合と同様に、断面が略コの字状の連結部材3181Lが固定されている。但し、図4の場合と異なり、連結部材3181Lには固定具183(図4参照)は設けられていないが、その両側面の上下の位置に、切欠部3182a、3182bが形成されており、それら切欠部3182aと3182bの間にロックピン3131rが突き出している。
【0115】
尚、連結体3180の内、右側の連結体(図示省略)の構成も上記左側と同じであるので説明を省略する。
【0116】
また、本実施の形態の支持フレーム3131を構成する左側のメイン支持フレーム3131Lの左右両側面には、左側の連結部材3181Lに形成されている切欠部3182a、3182bと嵌合可能な位置にガイドピン3131ga、3131gbが突き出している。
【0117】
尚、支持フレーム3131を構成する右側のメイン支持フレーム(図示省略)の構成も上記左側と同じであるので説明を省略する。
【0118】
更に、本実施の形態では、支持フレーム3131に連結体3180を連結してロックするために、左右一対の連結ロック部材3200を備えている。
【0119】
図11に示す様に、連結ロック部材3200は、左側の連結部材3181Lの両側面に突き出したロックピン3181rに引っ掛けるための切欠部3211が形成せれた断面が略Uの字形状の引っ掛け部材3210と、その引っ掛け部材3210の中央部に形成された貫通孔3212に対応して固定されたナット部3220と、そのナット部3220と螺合する締め付けボルト3230とから構成されている。
【0120】
また、締め付けボルト3230の一端側に形成された貫通孔3231には、その貫通孔内を移動自在に取り付けられたロックハンドル3240が設けられており、作業者が、そのロックハンドル3240を時計回りに回転させることにより、締め付けボルト3230の先端部3230aが矢印F方向に進み、反時計回りに回転させることにより、矢印F方向と反対方向に進む構成である。
【0121】
また、ロックハンドル3240の両端には、ロックハンドル3240が貫通孔3231から抜け落ちるのを防止するための抜け防止部3241が設けられており、その抜け防止部3241に隣接したロックハンドル3240の表面3240a、3240bには、貫通孔3231との嵌合をきつくするために、樹脂材料がモールドされている。
【0122】
以上の構成の下、キャリヤー200上に載置された刈草回収装置130を乗用草刈機100の後部に寄せて、左側の連結部材3181L及び右側の連結部材(図示省略)を、左側のメイン支持フレーム3131L及び右側のメイン支持フレーム(図示省略)と嵌合させるために連結可能位置まで移動させて、ガイドピン3131ga、3131gbが切欠部3182a、3182bの奥まで挿入される様にする。
【0123】
次に、作業者が、連結ロック部材3200の引っ掛け部材3210に形成された左右の切欠部3211を、左側の連結部材3181Lの左右両側面に形成されたロックピン3181rに引っ掛けて、ロックハンドル3240を時計回りに回転させる。
【0124】
これにより、締め付けボルト3230の先端部3230aが矢印F方向に進み、左側のメイン支持フレーム3131Lの側面に強く当接されることにより、引っ掛け部材3210が、切欠部3211及びロックピン3181rを介して、左側の連結部材3181Lを左側のメイン支持フレーム3131L側に強く引きつけることになり、その結果、双方の連結状態がロックされる。
【0125】
尚、ロックの後は、ロックハンドル3240が、図11(a)に示す様に、常に内側に突き出した状態になる様に、矢印G方向にスライドさせるのが好ましい。
【0126】
右側の連結に関しても、上記左側の連結動作と同様であるので説明を省略する。
【0127】
以上の様に本実施の形態4によれば、左右において上下2箇所のセットピン137の挿入を行う必要が無いのでピン孔の位置合わせが不要となり、しかも連結ロック部材3200を操作するだけで確実にロックが出来るという効果を発揮する。
【0128】
なお、図9のロックレバー301及び図11のロックハンドル3240はいずれも運転座席103に近い側に設けているので着脱時の操作がし易い。
【0129】
(実施の形態5)
次に、本発明の乗用草刈機に関連する発明であって、センターディスチャージモーア入力伝動装置に関する発明の一実施の形態について説明する。
【0130】
図15は、従来の乗用草刈機のセンターディスチャージモーア入力伝動装置400の概略平面図である。
【0131】
図15に示す通り、センターディスチャージモーア入力伝動装置400は、エンジン(図示省略)からの動力をユニバーサルジョイント410を介して伝達する出力メタル411と、出力メタル411からの回転力を入力メタル412に伝達するための伝動ベルト413と、入力メタル412からの出力を入力として、草刈り用の第1ブレード(図示省略)を回転させるための第1回転軸421に伝達し、且つ、草刈り用の第2ブレード(図示省略)を回転させるための伝動力を出力する第1ベベルギアケース420と、第1ベベルギアケース420からの出力を入力として、草刈り用の第2ブレードを回転させる第2ベベルギアケース430と、第1及び第2ブレードを収納するモーアデッキ440と、刈草の排出ダクト450を備えている。
【0132】
ところで、入力メタル412からの回転力を、第1ベベルギアケース420にスムーズに伝達するために、センターディスチャージモーア入力伝動装置400の製造時の組立工程において、入力メタル412の出力側シャフト412aの軸芯と、第1ベベルギアケース420の入力側の軸芯との芯出しのためのシム調整を経て、第1カップリング460で連結されている。
【0133】
また、第1ベベルギアケース420と第2ベベルギアケース430とを連結する組立工程においても上記と同様に、軸芯の芯出しのためのシム調整を経て、第2及び第3カップリング461,462で連結されている。
【0134】
しかし、上記従来の装置におけるシム調整は困難性を伴う作業であり、伝動部カバーが大きくなるという課題があった。
【0135】
図12(a)、(b)に示す本実施の形態の乗用草刈機のセンターディスチャージモーア入力伝動装置500は、上記従来の装置の課題を解決するものである。
【0136】
図12(a)は、本実施の形態の乗用草刈機のセンターディスチャージモーア入力伝動装置500の概略平面図であり、図12(b)は、図12(a)のH−H’断面矢視図である。
【0137】
尚、図12では、図15と同じ構成には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0138】
図12(a)、(b)に示す通り、本実施の形態の乗用草刈機のセンターディスチャージモーア入力伝動装置500は、入力メタル4412と第1ベベルギアケース4420との間を第1の一体シャフト510で伝動し、その外周にシャフトカバーを兼用する第1芯出し連結パイプ520を設けたこと、及び、第1ベベルギアケース4420と第2ベベルギアケース4430との間を第2の一体シャフト511で伝動し、その外周にシャフトカバーを兼用する第2芯出し連結パイプ521を設けたことである。
【0139】
また、第2の一体シャフト511と、第2芯出し連結パイプ521との関係は、図12(b)に示す通り、第2の一体シャフト511の両端は、第1及び第2ベベルギアケース4420、4430の内周面にOリング530を介して圧入されている。また、第2の一体シャフト511の両端は、第1ベベルギア4421と第2ベベルギア4431とが挿入されて、それぞれ、ベアリング4422、4432によって回転自在に支持されている。
【0140】
尚、第1の一体シャフト510と、第1芯出し連結パイプ520との関係については、上記図12(b)による説明と同様であるので省略する。
【0141】
以上のことから、本実施の形態の乗用草刈機のセンターディスチャージモーア入力伝動装置500の構成によれば、ベベルギアケースへの入力を一本のシャフトと芯出し連結パイプで構成したことにより、芯出しシム調整を不要もしくは容易にするとともに、部品点数も削減できるので、コストダウンを図ることが出来る。また、伝動部カバーが小さくできるので、軽量化が図れる。
【0142】
また、図12(c)に示す様に、第1ベベルギアケース4420を延長して、入力メタル4412と一体化することで、第1ベベルギアケース部4420’と入力メタル部4412’を併せ持つ第1ギアケース4500を構成してもよい。この構成によれば、シム調整が不要となる。
【0143】
尚、上記実施の形態では、路上走行に必要な備品として、方向指示器を支持フレームに設ける場合について説明したが、これに限らず、路上走行に必要な備品であればどの様なものでも良く、例えばブレーキランプであっても良い。
【0144】
また、上記実施の形態では、昇降シリンダー150と、ダンプシリンダー160が、左右一対で設けられている場合について説明したが、これに限らず例えば、何れか一方のシリンダーが片方側にのみ設けられている構成であっても良い。
【0145】
また、上記実施の形態5では、入力メタル4412と第1ベベルギアケース4420との間を第1の一体シャフト510で伝動し、その外周にシャフトカバーを兼用する第1芯出し連結パイプ520を設け、且つ、第1ベベルギアケース4420と第2ベベルギアケース4430との間を第2の一体シャフト511で伝動し、その外周にシャフトカバーを兼用する第2芯出し連結パイプ521を設けた場合について説明したが、これに限らず例えば、何れか一方の連結部分、即ち、第1芯出し連結パイプ520に該当する連結部分と、第2芯出し連結パイプ521に該当する連結部分との何れか一方についてのみ、一本のシャフトと芯出し連結パイプとで構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明にかかる乗用草刈機は、運転座席より高い位置まで延びている支持フレームに路上走行時に必要な備品を取り付けることが可能であるという効果を有し、草刈りや芝刈り作業等を行う乗用草刈機として有用である。
【符号の説明】
【0147】
100 乗用草刈機
103 運転座席
104 車体フレーム
120 草刈装置
122 前輪
123 後輪
130 刈草回収装置
131 支持フレーム
132 集草容器
140 昇降リンク機構
180 連結体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪と後輪を有する走行車体と、
前記走行車体の下部に配置された草刈部と、
前記走行車体の後方に着脱自在に連結された集草容器と、
を備えた乗用草刈機において、
前記走行車体の後部にあって運転座席より高い位置まで延びた、前記集草容器を支持する支持フレームを備え、
前記集草容器が前記支持フレームから取り外された際、前記支持フレームは前記走行車体の後部に位置した状態が維持される、乗用草刈機。
【請求項2】
前記集草容器の側面側に設けられた、前記集草容器を昇降可能に支持する上下一対の昇降アームを有する昇降リンク機構と、
前記昇降リンク機構の一端を取り付ける連結体とを備え、
前記昇降リンク機構は前記連結体側を支点に上下方向に回動可能とし、
前記連結体は、前記支持フレームに着脱可能である、請求項1に記載の乗用草刈機。
【請求項3】
前記連結体は、前記支持フレームの表面に形成された連結時位置決め用突起部に嵌合可能なフックを備えている、請求項2に記載の乗用草刈機。
【請求項4】
前記連結体は、前記支持フレームとの連結に用いる連結ピンを挿入するピン連結部を前記フックの上下の位置にそれぞれ備えており、
前記連結ピンが、前記ピン連結部を介して前記支持フレームに貫通することにより、前記連結体が前記支持フレームに連結される、請求項3に記載の乗用草刈機。
【請求項5】
前記連結体は、前記連結体を前記支持フレームに連結する際の位置合わせに用いる棒状治具を支持するための固定具を有している、請求項2〜4の何れか一つに記載の乗用草刈機。
【請求項6】
前記支持フレームは、四角柱状の支持部を有しており、前記連結時位置決め用突起部は、前記支持部の表面から突き出した円柱状の突起であり、
前記連結体は、前記支持部の4方の側面の内の3方の側面を囲む様に嵌合して前記支持フレームと連結される、断面がコの字状の嵌合部を有し、前記フックは、前記コの字状の対向する面の少なくとも一方に設けられた切欠部であり、
前記固定具は、前記切欠部を跨ぐように両端部が前記連結体の前記切欠部の上下側に固定された、中央がUの字状の湾曲部を有した湾曲部材であり、
前記連結体を前記支持フレームに連結する際に、前記棒状治具の一端が前記湾曲部に挿入されて、前記棒状治具の前記一端が前記支持フレームの前記支持部の側面に当接されて、前記当接された前記側面の位置を支点とし、前記棒状治具における前記一端と他端の間に位置する部位が前記湾曲部の内周面に押し当てられながら、前記湾曲部が前記走行車体側に引き寄せられる方向に前記棒状治具の前記他端を移動させることにより、前記切欠部が前記突起側に向けて移動し嵌合する構成である、請求項5に記載の乗用草刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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