説明

乳入り食品用乳感増強剤

【課題】脱苦味乾燥酵母を主要成分とする乳入り食品用乳感増強剤、該乳感増強剤を用いた乳のコク、濃厚感すなわち乳感を向上させた乳入り食品の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明はビール醸造工程から回収された酵母をアルカリ水溶液により洗浄処理して脱苦味し、該酵母を乾燥することにより調製される脱苦味乾燥酵母を主要成分とする優れた乳感向上作用を有する乳入り食品用乳感増強剤を提供する。本発明において、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、乳入り氷菓、乳入りプディング、又はヨーグルト等の乳系デザート類のような乳入り食品の製造に際して、該乳感増強剤を添加することにより、乳感の向上と味覚・風味に優れた乳入り食品(製品)を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱苦味乾燥酵母を主要成分とする乳入り食品用乳感増強剤、該乳感増強剤を用いた乳のコク、濃厚感すなわち乳感を向上させた乳入り食品の製造方法に関する。特に、本発明は、ビール醸造工程から回収された酵母をアルカリ水溶液により洗浄処理して脱苦味し、該酵母を乾燥することにより調製された脱苦味乾燥酵母を主要成分とする乳入り食品用乳感増強剤、及び、該乳感増強剤を用いて、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、乳入り氷菓、乳入りプディング、又はヨーグルト等の乳系デザート類のような乳入り食品の乳感を向上させた乳入り食品(製品)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
古来より、乳はそのバランスのとれた栄養と、独特の味覚・風味から、飲用又は食品或いは食品用素材として利用され、親しまれてきた。乳はその主要成分として、乳蛋白質や、乳脂肪を含むものであるが、近年、食品の健康志向の高まりから、食品の低カロリー化が望まれ、乳の利用においても、使用量の制限や、低脂肪化或いは無脂肪化が図られている。
【0003】
しかしながら、乳の利用において、使用量の制限や、低脂肪化或いは無脂肪化等により、乳の脂肪分を減少することにより、食品における乳の脂肪感やコク、或いはまろやかな舌触り、すなわち、乳感が減少し、今まで、乳成分によって付与されてきた食品の味覚・風味が得られないという問題が生じる。
【0004】
これらの問題に対処するために、従来より、乳を用いた食品の製造に際して、乳のコク、ボディ感、及び風味を増強する、各種の方法が開示されている。天然素材を用いるものとしては、例えば、特開平11−299426号公報には、低脂肪アイスクリーム様食品の製造において、甘草又はステビアより抽出された高甘味度甘味物質に、マルトデキストリン及び/又は膨潤したグルコマンナン含有させることにより、アイスクリーム様食品に乳のコク、ボディー感、風味、舌触りを付与する方法が、特開2004−346096号公報には、麦芽を水とエチルアルコールとの混合溶液で抽出して得られる抽出物を用いて、乳や、乳製品にコク味やボリューム感を付与する方法が、特開2005−118001号公報には、原料に、植物細胞壁を原料とする結晶性で、かつ、微細な繊維状の水分散性セルロースを混合することにより、フレーバーが強く、コクがあり、かつ、保形性或いはボディ感を有するヨーグルトを製造する方法が、及び、特開2006−158232号公報には、ガラクトマンナンのような水溶性食物繊維を用いることにより、低脂肪或いは無脂肪乳製品にコク味を付与する方法がそれぞれ開示されている。
【0005】
また、油脂類を用いるものとして、特開2000−4822号公報には、コーン粉末と大豆油、菜種油、パーム油のような植物油脂を混合したものを用いて、製菓用クリーム、アイスクリーム、チーズ類等の乳製品に、乳風味やコクを付与する方法が、特開2007−166965号公報には、アイスクリームのような冷菓の製造に、SUS型トリグリセリドに富む油脂とラウリン系油脂との混合油脂を用いて、冷菓に口どけ、コク味を付与する方法が、特開2007−195549号公報には、乳原料、乳加工品、マーガリン、クリーミングパウダー、又は植物油脂クリームを含む食品に、蔗糖、麦芽糖及びブドウ糖をからなるコク味向上剤を添加して、乳の香り、コク味を向上させる方法が、それぞれ開示されている。
【0006】
更に、その他の方法として、特開2003−52330号公報には、3−メチルノナン−2,4−ジオンを含有する香味料組成物を用いて、乳や乳製品の乳感の増強や脂肪感の増強を行なう方法が、特開2008−72993号公報には、イヌリンを主成分として含み、かつ、ポリグルタミン酸を含む脂肪感付与剤を用いて、無脂肪又は低脂肪の飲食物に風味、コク及び脂肪感を付与する方法が、特開2008−79545号公報には、コーヒー中に存在する香気成分であるカフェオフラン(6−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[2,3−c]フラン)又はその誘導体を用いて、乳含有飲食物に乳感の増強や乳脂肪感の増強を行なう方法について、それぞれ開示されている。また、特開2006−61066号公報には、果汁と酵母エキスを加熱反応させることによって得られる調味料によって乳製品の風味を改善し、コク、甘味、濃厚感、脂肪感、乳感などを付与することについて開示されている。
【0007】
このように、従来から、乳や乳含有食品のコクや脂肪感を増強するために、各種のものが開示されている。乳や乳含有食品の乳感の増強に際しては、乳や乳含有食品のコクや脂肪感を増強すると共に、乳入り食品の本来持つ香味・味覚への影響を極力抑えて、自然な乳のコク、濃厚感すなわち乳入り食品の本来の香味・味覚を生かした乳感の付与・増強が要求される。したがって、そのような要求を満足させる更なる乳感増強剤の開発が要望されている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−299426号公報。
【特許文献2】特開2000−4822号公報。
【特許文献3】特開2003−52330号公報。
【特許文献4】特開2004−346096号公報。
【特許文献5】特開2005−118001号公報。
【特許文献6】特開2006−61066号公報。
【特許文献7】特開2006−158232号公報。
【特許文献8】特開2007−166965号公報。
【特許文献9】特開2007−195549号公報。
【特許文献10】特開2008−72993号公報。
【特許文献11】特開2008−79545号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、脱苦味乾燥酵母を主要成分とする乳入り食品用乳感増強剤、該乳感増強剤を用いた乳のコク、濃厚感すなわち乳感を向上させた乳入り食品の製造方法を提供することにある。特に、本発明は、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、乳入り氷菓、乳入りプディング、又はヨーグルト等の乳系デザート類のような乳入り食品の製造に際して、乳入り食品の本来の味覚・風味とバランスのとれた乳感の増強を行うための乳感増強剤、及び、該乳感増強剤を用いた乳感の向上と味覚・風味に優れた乳入り食品(製品)を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、乳入り食品の本来の味覚・風味とバランスのとれた乳感の増強を行うための乳感増強剤について、鋭意探索する中で、脱苦味乾燥酵母が、優れた乳感の増強作用を有し、しかも、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、乳入り氷菓、乳入りプディング、又はヨーグルト等の乳系デザート類のような広い範囲の乳入り食品に対して、その味覚・風味において調和のとれた乳のコク、濃厚感を付与することが可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明はビール醸造工程から回収された酵母をアルカリ水溶液により洗浄処理して脱苦味し、該酵母を乾燥することにより調製される脱苦味乾燥酵母を主要成分とする乳入り食品用乳感増強剤からなる。該苦味乾燥酵母の酵母としては、ビール酵母のサッカロマイセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)を挙げることができる。本発明において、酵母のアルカリ水溶液による洗浄処理に用いるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、又は、炭酸カリウム水溶液を挙げることができる。
【0012】
また、本発明は、本発明の乳感増強剤を用いて、乳のコク、濃厚感を著しく向上させ、乳感が増強された乳入り食品の製造方法を提供する。該乳入り食品としては、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、乳入り氷菓、乳入りプディング、又はヨーグルト等の乳系デザート類を挙げることができる。
【0013】
すなわち具体的には本発明は、[1]ビール醸造工程から回収された酵母をアルカリ水溶液により洗浄処理して脱苦味し、該酵母を乾燥することにより調製される脱苦味乾燥酵母を主要成分とする乳入り食品用乳感増強剤や、[2]脱苦味乾燥酵母の酵母が、サッカロマイセス・パストリアヌスであることを特徴とする上記[1]記載の乳入り食品用乳感増強剤や、[3]酵母のアルカリ水溶液による処理が、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、又は、炭酸カリウム水溶液による処理であることを特徴とする上記[1]記載の乳入り食品用乳感増強剤からなる。
【0014】
また本発明は、[4]上記[1]〜[3]のいずれか記載の乳入り食品用乳感増強剤を、乳製品の製造に際して添加することを特徴とする乳感が増強された乳入り食品の製造方法や、[5]乳入り食品が乳系デザート類であることを特徴とする上記[4]記載の乳感が増強された乳入り食品の製造方法や、[6]乳系デザート類が、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、乳入り氷菓、乳入りプディング、又はヨーグルトであることを特徴とする上記[5]記載の乳感が増強された乳入り食品の製造方法からなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の乳入り食品用乳感増強剤を、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、乳入り氷菓、乳入りプディング、又はヨーグルト等の乳系デザート類のような乳入り食品の製造に際して添加することにより、乳のコク、濃厚感を著しく向上させた味覚に優れた乳入り製品を製造することができる。本発明の乳入り食品用乳感増強剤は、乳系デザート類のような広い範囲の乳入り食品に対して、乳入り食品の本来の味覚・風味とバランスのとれた乳のコク、濃厚感の増強を行うことが可能であり、本発明は、その味覚・風味において、乳入り食品の本来のものと調和し、かつ、乳感を増強させた乳入り食品(製品)を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、ビール醸造工程から回収された酵母をアルカリ水溶液により洗浄処理して脱苦味し、該酵母を乾燥することにより調製される脱苦味乾燥酵母を主要成分とする乳入り食品用乳感増強剤からなる。また、本発明は、該乳感増強剤を用いて、乳のコク、濃厚感を著しく向上させ、乳感が増強された乳入り食品の製造方法を提供する。該乳入り食品としては、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、乳入り氷菓、乳入りプディング、又はヨーグルト等の乳系デザート類を挙げることができる。
【0017】
本発明の乳入り食品用乳感増強剤の主要成分として用いられる脱苦味乾燥酵母は、ビール醸造工程から回収されたビール酵母を、アルカリ溶液で洗浄して表面に付着したイソフムロンなどの苦味物質を除いた(脱苦味処理)上で乾燥させたものであり、「脱苦味乾燥酵母」と呼ばれるものである。ビール酵母は良質なたんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルを豊富に含む健康に良い食品素材であるが、苦味が強いのでそのまま食するよりも錠剤化して、健康食品として食されている。
【0018】
「脱苦味乾燥酵母」の調製には、公知の方法を適用して調製することができる(特開昭55−162983号公報、特開2008−131881号公報)。該脱苦味乾燥酵母の調製方法としては、例えば、ビール醸造工程から回収された泥状ビール酵母を、炭酸ナトリウムや、炭酸カリウム、水酸化カリウム或いは水酸化ナトリウムの水溶液を用いて処理した後、水洗し、脱水した後、乾燥することにより調製することができる。本発明の乳入り食品用乳感増強剤に用いる「脱苦味乾燥酵母」としては、市販のものを用いても良い。該市販の「脱苦味乾燥酵母」としては、例えば、「脱苦味乾燥酵母BY−G」(キリンフードテック(株))として、入手することができる。
【0019】
本発明において、乳入り食品としては、(1)アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、乳入り氷菓、乳入りプディング、又はヨーグルト等の乳系デザート類を挙げることができる。該乳系デザート類の他に、(2)準チョコレートや準ミルクチョコレートのような乳固形分の使用率の低いものを用いるような菓子類、(3)植物性油脂を主に使用するクリーミングパウダーやホイップクリームを使用する菓子類を挙げることができるが、該素材を使用して作る菓子、デザート、飲料であれば、本発明の方法を有効に適用することができる。
【0020】
本発明において、本発明の乳感増強剤を用いて、乳感が増強された乳入り食品を製造するには、該乳入り食品の製品化工程において、該乳感増強剤を添加することにより行われる。該乳感増強剤の添加量は、それぞれの食品において、適宜、適当な添加量を決定することができる。本発明の乳入り食品の製造における、製造原料、製造方法、製造条件については、乳入り食品の製品化工程において、本発明の乳感増強剤を添加する点を除いて、従来のものと特に変わるところはない。
【0021】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
[脱苦味乾燥酵母の調製]
次の手順に従って、脱苦味乾燥酵母を調製した:すなわち、ビール醸造工程から回収された泥状酵母(Saccharomyces pastorianus)を炭酸ナトリウム水溶液中に分散させアルカリ処理した。炭酸ナトリウム水溶液の量は、泥状酵母1Lにつき炭酸ナトリウム100gを添加する。添加後、泥状酵母と炭酸ナトリウム水溶液とを攪拌し、網目ろ過後、冷水を添加して洗浄を行う。洗浄した泥状酵母を遠心分離機にかけて遠心力により脱水する。泥状酵母のpHが、8.0以下となるまで、冷水による洗浄を繰り返す。アルカリ洗浄後、脱水された泥状酵母は、凍結乾燥により乾燥し、脱苦味乾燥酵母を調製した。
【実施例2】
【0023】
[乳入りココナッツミルクデザートにおける乳感増強効果]
次の処方による乳入りココナッツミルクデザートに、実施例1で調製した脱苦味乾燥酵母を主要成分とする乳感増強剤を添加して、その乳感増強効果について、試験した。
【0024】
(処方)
ココナッツミルク 52部
生クリーム 5部
砂糖 10部
水 30部
【0025】
(評価)
社内パネル5名、オープンパネル法で官能評価したところ、0.1〜0.5重量%の添加でココナッツミルクデザートのクリーム感や濃厚感が向上した。
【実施例3】
【0026】
[アイスクリーム類における乳感増強効果]
市販のアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスへ、実施例1で調製した脱苦味乾燥酵母を0.2重量%添加・混合し、社内パネル8名、オープンパネル法で官能評価した。結果を、表1に示す。
【0027】
【表1】

【実施例4】
【0028】
[アイスクリーム類における乳感効果の分析]
市販のアイスクリームに対して、乳感増強剤として、市販の「脱苦味乾燥酵母BY−G」(キリンフードテック(株))を0.2重量%添加・混合し、その乳感効果について分析した。評価は、社内パネル18名、クローズドパネル法、7点評価法で評価した。
【0029】
(評価)
乳感: 無添加区 3.0点 試験区 3.8点
コク: 無添加区 3.0点 試験区 4.0点
甘味: 無添加区 3.0点 試験区 3.7点
以上のように3項目全てにおいて、無添加区を上回る評価が得られた。
【実施例5】
【0030】
[アイスミルクの試作]
原材料として牛乳50部、生クリーム8部、加糖脱脂練乳3部、砂糖12部、エバミルク27部で混合したものに対し、市販の脱苦味乾燥酵母BY−Gを0.2%添加してコードレスアイスクリーマー(ナショナル製 BH−941型)に投入し、冷凍庫中で調製した。得られたアイスミルクについて社内パネル7名、オープンパネル法で官能評価したところ、全員がBY−G無添加品と比較して乳の濃厚感、コク味が向上したと評価した。
【実施例6】
【0031】
[氷菓における乳感増強効果]
市販氷菓製造用粉末調製品(乳入りシャーベット調製用粉末調製品A)を標準レシピ通り溶解したものに対し、乳感増強剤として市販の脱苦味乾燥酵母BY−Gを0.1重量%添加して冷凍庫で凍らせた。得られたものについて社内パネル9名、オープンパネル法で官能評価したところ、全員が無添加品と比べて、乳の濃厚感、コク味が顕著に向上したと評価した。また、フレーバーがエンハンスされていることが認められた。
【実施例7】
【0032】
[氷菓における乳感増強効果]
市販氷菓製造用粉末調製品(シャーベット調製用粉末調製品B)を標準レシピ通り冷凍した後に牛乳を加えたものに対し、乳感増強剤として市販の脱苦味乾燥酵母BY−Gを0.1重量%添加して混合した。得られたものについて社内パネル3名、オープンパネル法で官能評価したところ、全員が無添加品と比べて、乳の濃厚感、コク味が顕著に向上したと評価した。
【実施例8】
【0033】
[プリンの素における乳感増強効果]
市販プリンの素(乳入りプリン製造用粉末調製品)を標準レシピ通り湯に溶解した後に水で希釈したものに対し、乳感増強剤として市販の脱苦味乾燥酵母BY−Gを0.05重量%添加して枠に流し込み冷蔵庫中で固めて調製した。得られたものについて社内パネル9名、オープンパネル法で官能評価したところ、全員が無添加品と比べて、乳の濃厚感、コク味が顕著に向上したと評価した。
【実施例9】
【0034】
[プリンの素における乳感増強効果]
市販プリンの素(プリンの素A、プリンの素B(黒ゴマプリン)、プリンの素C(豆乳ミルクプリン))に牛乳を入れて温めたものに対し、乳感増強剤として市販の脱苦味乾燥酵母BY−Gを0.05重量%添加して混合後、枠に流し込み冷蔵庫中で固めて調製した。得られたものについて社内パネル2名、オープンパネル法で官能評価したところ、調製したいずれのプリンについても、全員が無添加品と比べて、乳の濃厚感、コク味が顕著に向上したと評価した。
【実施例10】
【0035】
[ドリンクヨーグルトにおける乳感増強効果]
市販ドリンクヨーグルト(市販ドリンクヨーグルト「飲むヨーグルト(いちご)」、「飲むヨーグルト(マンゴー)」、「飲むヨーグルト(ブルーベリー)」)に対し、乳感増強剤として市販の脱苦味乾燥酵母BY-Gを0.05重量%添加して混合した。得られたものについて社内パネル3名、オープンパネル法で官能評価したところ、いずれのヨーグルトにおいても、全員が無添加品と比べて、乳の濃厚感、コク味が向上したと評価した。いちごの酸味やマンゴーの風味の向上も認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビール醸造工程から回収された酵母をアルカリ水溶液により洗浄処理して脱苦味し、該酵母を乾燥することにより調製される脱苦味乾燥酵母を主要成分とする乳入り食品用乳感増強剤。
【請求項2】
脱苦味乾燥酵母の酵母が、サッカロマイセス・パストリアヌスであることを特徴とする請求項1記載の乳入り食品用乳感増強剤。
【請求項3】
酵母のアルカリ水溶液による処理が、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、又は、炭酸カリウム水溶液による処理であることを特徴とする請求項1記載の乳入り食品用乳感増強剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の乳入り食品用乳感増強剤を、乳製品の製造に際して添加することを特徴とする乳感が増強された乳入り食品の製造方法。
【請求項5】
乳入り食品が乳系デザート類であることを特徴とする請求項4記載の乳感が増強された乳入り食品の製造方法。
【請求項6】
乳系デザート類が、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、乳入り氷菓、乳入りプディング、又はヨーグルトであることを特徴とする請求項5記載の乳感が増強された乳入り食品の製造方法。


【公開番号】特開2010−57434(P2010−57434A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227440(P2008−227440)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(502118328)キリンフードテック株式会社 (27)
【Fターム(参考)】