説明

乳化製剤

【課題】水相に適用した際に官能的に優れ、且つ長期間安定性を維持することができ、さらに製剤化又は製品化に際し制限の少ない、油溶性成分の乳化製剤を提供する。
【解決手段】(A)油溶性成分を含有する油相成分と、(B)多価アルコールを含む水相成分とに、乳化剤として、(C)平均重合度10以上のポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを含有し、且つHLB値が14以上18以下であるもの、又は1重量%水溶液についての600nmにおける透過率が80%以上であるものを含有させて、乳化製剤とする。(C)の乳化剤としては、平均重合度10以上のポリグリセリンのモノオレイン酸エステルもしくはモノミリスチン酸エステルを含有するもの、また、前記ポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンが、重合度が6以上のものを合計で65%以上、もしくは直鎖状のもの及び分岐鎖状のものを合計で60%以上含有するものが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油溶性の有効成分を含有して成り、長期間の保存安定性に優れる乳化製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医薬品や食品等に配合される有効成分として、油溶性薬剤の他、油溶性ビタミン類や色素類、香料類、植物精油類などのように、油溶性の成分が多く知られている。これら油溶性成分は油に溶解してカプセル形態で提供することもできるが、広く液剤などの医薬品や飲料などの食品に利用するためには、水相系にて使用できることが望まれる。
【0003】
それゆえ、油溶性成分を水相に含有させるべく、種々の可溶化、分散及び乳化技術が検討されてきた。たとえば、後述するHLB値が10〜15のポリグリセリン脂肪酸エステル、HLB値が2〜6のソルビタン脂肪酸エステル及び/又はHLB値が2〜6のジグリセリン脂肪酸エステル、多価アルコール類及び水の混合液中に油溶性色素の微細な結晶を分散させる技術(特許文献1)、平均重合度5以上のポリグリセリンとミリスチン酸又はオレイン酸とのモノエステルから成るポリグリセリン脂肪酸エステル、多価アルコールを特定の比率で配合し、均質化処理を行う方法(特許文献2)、平均重合度6〜10のポリグリセリンと炭素数12〜14の飽和脂肪酸のモノエステルから成るポリグリセリン脂肪酸エステルと油脂とを、特定の割合で配合して油脂を可溶化する技術(特許文献3)などがある。また、様々な生理活性成分を有する唐辛子中のカプシノイド化合物を含有する乳化製剤において、該製剤のpHを特定の範囲内に設定する技術(特許文献4)が開示されている。
【0004】
上記特許文献に示されている乳化製剤は、従来の製法により製造されたポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて調製された乳化製剤であった。ここでいう従来の製法により製造されたポリグリセリン脂肪酸エステルとは、原料として用いられるポリグリセリンが、一般にグリセリンを原料として水酸化ナトリウムなどの触媒の存在下で加熱下に脱水縮合し、必要に応じて蒸留、脱色、脱臭、イオン交換樹脂処理などにより精製して得られるものである。
【0005】
このような工程で製造されたポリグリセリンは、構造の異なるグリセリンの脱水縮合化合物の混合物である。その原因としては、グリセリンは2個の1級水酸基と1個の2級水酸基を有するため、グリセリンどうしが縮合する際、どの水酸基が反応に関与するかにより、生成するポリグリセリンの分子構造が変わってくることが挙げられる。ポリグリセリンの構造は、ポリグリセリン脂肪酸エステルの性状に大きな影響を及ぼす。従来のポリグリセリン脂肪酸エステルは、使用目的に合わせて親水基の構造まで考慮して設計されてはおらず、そのためその性能は十分に発揮されてはいなかった。このポリグリセリンの分子構造を反映する情報は種々の方法で得ることができるが、上記のように混合物であるため、厳密な分子構造の決定は意味をもたない。しかし、合成方法や精製方法を組み合わせることにより、混合物であっても、ある傾向をもつ分子種を増やすことは可能である。
【0006】
一般にポリグリセリンに関しては、たとえばデカグリセリンであれば重合度が10のポリグリセリンを指すが、実際に市販されているものは重合度が10以外のポリグリセリンも多く含まれており、多種の重合度のポリグリセリンの混合物である。ポリグリセリンの平均的な重合度を決定する方法としては一般に末端基分析法が用いられており、水酸基価の測定値と理論値の関係により計算して求められるものである。故に従来のポリグリセリンは、デカグリセリンであっても、重合度が9や10のものは比較的少なく、替わりに低重合度のものが多く含まれるという特徴があり、一般に重合度が6以上のものの合計は65%未満、さらには重合度が7以上のものの合計は60%未満で、重合度が8以上のものの合計は50%未満である。また従来の方法で製造されたポリグリセリンは、直鎖状もしくは分岐鎖状の構造を有するものは、合計で60%未満であった。残りの殆どは環状構造を有するものである。従来の製法においては、グリセリンどうしが縮合する際、どの水酸基が反応するかを定めることができず、環状のポリグリセリンも多く生成されてしまう。環状構造のポリグリセリンは直鎖状もしくは分岐鎖状の構造のポリグリセリンと比べ、水酸基が少なくなるため親水性が低くなり、さらには環状構造が乳化の阻害因子となり、長期間乳化安定性を保つことが困難であった。故に、従来の製法で製造されたポリグリセリンと脂肪酸とのエステルでは、高い乳化、可溶化力を保持することができず、長期間安定な乳化状態を保つことができなかった。
【0007】
また、現在市場に流通している食品用界面活性剤として、ショ糖脂肪酸エステルやポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられるが、それらHLB値の高い界面活性剤を用いて、ビタミンEなどの脂溶性ビタミン、β−カロテンなどの油溶性有用物質を含有する飲料を製造する場合、長期間安定な製品を製造することができなかった。その結果、十分且つ安定な乳化力を得るためにエタノールなどの助剤を添加しなければならず、かかる飲料を多量に飲用すると酩酊状態になり、特に若年者の場合に社会問題になることもあった。すなわち、従来のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた技術では乳化力が十分ではないため、味覚、食感等官能的にも優れ且つ安定な乳化状態を得ることは困難であり、食品用界面活性剤として汎用されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステルでは、乳化及び可溶化の性能が不十分で、十分に代替できないものであった。
【0008】
さらに、医薬品や食品への応用を考慮すると、乳化製剤中には添加したい油溶性成分もしくは油相成分を多く含有させ、液剤などの医薬品もしくは飲料などの食品への乳化製剤自体の添加量を少なくする方が、摂取する可溶化剤又は分散剤もしくは乳化剤の量が少なくなり、味覚、食感等官能的に好ましい。また、乳化製剤を液剤や飲料などの液状医薬品又は食品に適用した際に、クリーミングや油相の分離等を生じることなく、長期間安定な可溶化、分散もしくは乳化状態を維持することが必要で、そのためには、乳化製剤の使用期間もしくは賞味期間中、良好な乳化状態を維持することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−63476号公報
【特許文献2】特開平10−84887号公報
【特許文献3】特開平9−168369号公報
【特許文献4】特開2003−192576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明においては、液剤や飲料等の食品に添加した際にも官能的に優れ、且つ長期間安定性を維持することができ、さらに製剤化又は製品化に際し制限の少ない、油溶性成分の乳化製剤を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、本発明者らは、(A)油溶性成分を含有する油相成分と、(B)多価アルコールを含む水相成分とに、乳化剤として、(C)平均重合度10以上のポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを含有し、且つ一定の性状を有するものを含有させることにより、液剤や飲料等の食品に添加した際にも官能的に優れ、且つ長期間にわたって良好な保存安定性を維持し得る乳化製剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、以下の[1]〜[10]に関する。
[1](A)油溶性成分を含有する油相成分、(B)多価アルコールを含む水相成分、及び(C)平均重合度10以上のポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを含有し、且つHLB値が14以上18以下である乳化剤を含有してなる、乳化製剤。
[2](A)油溶性成分を含有する油相成分、(B)多価アルコールを含む水相成分、及び(C)平均重合度10以上のポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを含有し、且つ1重量%水溶液についての600nmにおける透過率が80%以上である乳化剤を含有してなる、乳化製剤。
[3](A)の油溶性成分を含有する油相成分が、乳化製剤全量に対して20〜50重量%含有されている、上記[1]又は[2]に記載の乳化製剤。
[4](B)の多価アルコールを含む水相成分が、乳化製剤全量に対して20〜79.9重量%含有されている、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の乳化製剤。
[5](C)の乳化剤が、乳化製剤全量に対して0.1〜30重量%含有されている、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の乳化製剤。
[6](C)の乳化剤が、平均重合度10以上のポリグリセリンのモノオレイン酸エステル又はモノミリスチン酸エステルを含有するものである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の乳化製剤。
[7](C)の乳化剤が、平均重合度が10以上で、重合度が6以上のものの合計が65%以上であるポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを含有するものである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の乳化製剤。
[8](C)の乳化剤が、平均重合度が10以上で、直鎖状のもの及び分岐鎖状のものの合計が60%以上であるポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを含有するものである、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の乳化製剤。
[9](A)の油相成分に含有される油溶性成分が、カプシノイド化合物である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の乳化製剤。
[10]カプシノイド化合物が、カプシエイト及び/又はジヒドロカプシエイトである、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の乳化製剤。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る乳化製剤は、液剤や飲料等の食品に添加した際にも官能的に優れ、且つ長期間にわたって良好な保存安定性を維持することができ、油溶性成分を水相に適用するのに適するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施例1及び比較例1〜比較例3の乳化製剤について、5℃における保存安定性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る乳化製剤において、(A)の油相成分としては、医薬品用もしくは食品用として用いられる油脂類を用いることができる。たとえば、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油類、アボカド油、大豆油、ナタネ油、ヤシ油、コメ油、コーン油、パーム油、紅花油、オリーブ油などの植物性油脂類、牛脂、豚脂、鶏脂、魚油などの動物性油脂類、中鎖飽和脂肪酸ジグリセリドもしくはトリグリセリド等の脂肪酸ジグリセリドもしくはトリグリセリド類、ミリスチン酸オクチルドデシル、ショ糖脂肪酸イソ酪酸エステル等のエステル油類などが挙げられ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。
【0016】
上記(A)の油相成分には、油溶性の有効成分を含有させることができる。かかる油溶性成分としては、油溶性薬剤の他、肝油、ビタミンA、ビタミンA油、ビタミンD、ビタミンB酪酸エステル、天然ビタミンE混合物等の油溶性ビタミン類、パプリカ色素、アナトー色素、トマト色素、マリーゴールド色素、β−カロテン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、リコピン、クロロフィル等の色素類、ペパーミント油、スペアミント油、シンナモン油等の香料類、リモネン、リナロール、ネロール、シトロネロール、ゲラニオール、シトラール、l−メントール、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、アネトール、ペリラアルデヒド、バニリン、γ−ウンデカラクトン等の植物精油類、コエンザイムQ10、α−リポ酸、共役リノール酸、植物ステロール等の生理活性成分などが挙げられ、医薬品や食品用として有効な量を含有させる。
【0017】
特に、唐辛子より抽出された辛味のない成分であるカプシエイト、ジヒドロカプシエイト等のカプシノイド化合物は、免疫賦活化作用やエネルギー代謝活性化作用などが報告されており、本発明においても好ましく用いることができる。かかるカプシノイド化合物としては、京都大学の実験園場で選抜固定されたトウガラシの無辛味固定品種である「CH−19甘」及び「CH−19甘」を品種改良した品種から抽出した抽出物、或いは化学的又は生化学的に製造したもののいずれをも使用することができる。
【0018】
上記抽出物としては、たとえば、特開平11−246478号公報に記載された酢酸エチルによる抽出方法や、特開2002−226445号公報に記載された超臨界又はその近傍にある二酸化炭素による抽出法などにより抽出されたものが挙げられる。
【0019】
また、化学的に製造する方法としては、たとえば、特開平11−246478号公報に記載されているように、対応する脂肪酸とバニリルアルコールを出発物質として、当業者に周知のエステル化反応を利用して合成する方法が挙げられ、生化学的に製造する方法としては、特許第3092006号公報に記載されているように、対応する脂肪酸エステル、トリアシルグリセリド及び脂肪酸のうち少なくとも1種と、バニリルアルコールを基質として用い、リパーゼ等のエステラーゼによる逆反応を利用して合成する方法などが挙げられる。
【0020】
さらに上記(A)の油相には、本発明の特徴を損なわない範囲で、パラオキシ安息香酸ブチル、デヒドロ酢酸等の油溶性の防腐剤や、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ローズマリー抽出物、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸ステアリル、γ−オリザノール等の油溶性の酸化防止剤などを含有させることができる。本発明に係る乳化製剤において、上記(A)の油相成分は、油相全体で乳化製剤全量に対し、20〜50重量%となるように含有させることが好ましい。
【0021】
本発明に係る乳化製剤において、(B)の水相には多価アルコールが含まれる。多価アルコールとしては、プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキサンジオール等のジオール類、グリセリン等のトリオール類、ソルビトール、マルチトール、還元水あめ等の糖アルコール類、グルコース、ショ糖、マルトース等の糖類、デンプン分解還元物などが挙げられ、これらより1種又は2種以上を選択して用いることができる。
【0022】
上記(B)の水相には、本発明の特徴を損なわない範囲で、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム等の塩類、リン酸等の無機酸及びその塩類、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、グルコン酸、グルコノラクトン等の有機酸及びその塩類、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、アスコルビン酸等の水溶性ビタミン及びその塩類、アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸及びその塩類、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体などの水溶性高分子化合物、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル等の水溶性防腐剤などを含有させることができる。本発明に係る乳化製剤には、(B)の水相成分は、水相全体として乳化製剤全量に対し20〜79.9重量%となるように含有させることが好ましい。
【0023】
本発明に係る乳化製剤においては、(C)の平均重合度10以上のポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを含有し、且つ一定の性状を有する乳化剤を用いる。
【0024】
(C)の乳化剤として用いる平均重合度10以上のポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンとしては、重合度が6以上のものを合計で65%以上含有し、高重合度のものを多く含むものが好ましい。さらに、直鎖状のポリグリセリンと分岐鎖状のポリグリセリンを合計で60%以上含有し、環状構造を有するポリグリセリン含有量が少ないものが好ましい。なお、ポリグリセリンの平均重合度は、30以下のものが好ましい。
【0025】
すなわち、本発明で(C)の乳化剤として用いるポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンとしては、重合度が6以上のものを合計で65%以上含有するものが好ましく用いられる。より好ましくは、重合度が6以上のものを合計で75%以上含有するものが用いられ、さらに好ましくは、重合度が6以上のものを合計で75%以上、7以上のものを合計で60%以上、且つ8以上のものを合計で50%以上含有するものが用いられる。なお、前記ポリグリセリンは、その重合度が6以上で、30以下のものを60%以上含有するものであることが好ましい。また、直鎖状のポリグリセリンと分岐鎖状のポリグリセリンを合計で60%以上含有するものが好ましく用いられ、80%以上含有するものがより好ましく用いられる。
【0026】
本発明において、(C)の乳化剤として使用されるポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの製法は特に限定されるものではないが、グリシドール(2,3−エポキシ−1−プロパノール)を原料として合成し、精製することが好ましい。グリセリンは2個の1級水酸基と1個の2級水酸基を有するが、従来の製法では、グリセリンどうしを縮合させるため、2級水酸基が反応に関与する場合も多くあり、環状等さまざまな分子構造を有するものが生成される。グリシドールを開環させ反応させることにより、直鎖状もしくは分岐鎖状のポリグリセリンを高重合度分布にて得ることが可能である。
【0027】
なお、ポリグリセリンの重合度分布及び直鎖状、分岐鎖状及び環状構造を有するポリグリセリンの割合については、以下に示す高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)にて測定することができる。測定条件は以下の通りであり、結果は、従来のデカグリセリンについては表1に、本発明において好ましく用いられるデカグリセリンについては表2に示す。
【0028】
<LC/MSの分析条件>
イオン化モード:APCI、negative
測定範囲:90−2000
カラム:TSKgel α−2500(7.8×300mm)
温度:40℃
溶離液:水/アセトニトリル 7/3
流量:0.8mL、100ppm
分析時間:20分
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
かかる平均重合度10以上のポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノパルミチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル等が挙げられ、これらより1種又は2種以上を選択して、本発明に係る乳化製剤の調製に用いることができる。次いで、前記(C)の乳化剤における一定の性状は、後述するHLB値、又は乳化剤の透明性によって規定される。
【0032】
まず、本発明においては、上記(C)の一定の性状を有する乳化剤として、後述するHLB値が14以上で18以下であるものを用いる。ここでHLBとは、親水性・親油性バランス(Hydrophile−Lipophile Balance)であり、乳化剤の親水性と親油性のバランスを表す。本発明において使用する乳化剤のHLB値は、アトラス法により、次式 理論HLB=20×{1−(エステルのケン化価/構成脂肪酸の中和価)} により算出する。前式中、「エステルのケン化価」とは、ポリグリセリンの脂肪酸エステル1gを完全にケン化するのに必要な水酸化ナトリウムの量(mg)をいい、「構成脂肪酸の中和価」とは、ポリグリセリンの脂肪酸エステルを構成する脂肪酸1gを中和するのに要する水酸化ナトリウムの量(mg)をいう。前式により求めたHLB値が14未満、又は18を超える乳化剤を用いた場合には、製剤として好ましい乳化状態及び乳化安定性を得るのが困難である。
【0033】
次に本発明において用い得る上記(C)の一定の性状を有する乳化剤として、1重量%水溶液についての600nmにおける透過率が80%以上である乳化剤が挙げられる。乳化剤水溶液の透過率は、通常の分光光度計を用いて600nmにおける吸光度を測定し、次式 吸光度=log(100/透過率) により求めることができる。
【0034】
上記(C)の、平均重合度10以上で、重合度が6以上のものを合計で65%以上含有するポリグリセリン、又は直鎖状のものと分岐鎖状のものを合計で60%以上含有するポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを含有し、且つHLB値が14以上18以下である乳化剤、もしくは1重量%水溶液についての600nmにおける透過率が80%以上である乳化剤としては、平均重合度10以上のポリグリセリンのモノオレイン酸エステル、又はモノミリスチン酸エステルを含有するものが好ましいものとして挙げられる。
【0035】
また、本発明において(C)の乳化剤として用い得る乳化剤としては、平均重合度10以上のポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを主な組成として含有し、そのポリグリセリンが、重合度が6以上のものを合計で65%以上含有し、直鎖状のポリグリセリン及び分岐鎖状のポリグリセリンの含有率の合計が60%未満である乳化剤として、乳化剤A(モノミリスチン酸デカグリセリル)が本発明の目的に適するものとして挙げられる。またポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンが、重合度が6以上のものを合計で75%以上、7以上のものを合計で60%以上、且つ8以上のものを合計で50%以上含有し、直鎖状のポリグリセリン及び分岐鎖状のポリグリセリンの含有率の合計が60%未満である乳化剤として、乳化剤B(モノミリスチン酸デカグリセリル)が挙げられる。またポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンが、重合度が6以上のものを合計で75%以上、7以上のものを合計で60%以上、且つ8以上のものを合計で50%以上含有し、直鎖状のポリグリセリン及び分岐鎖状のポリグリセリンを合計で60%以上含有する乳化剤として、乳化剤C(モノオレイン酸デカグリセリル、「サンソフトAA」、太陽化学株式会社製)、乳化剤D(モノミリスチン酸デカグリセリル、「サンソフトAB」、太陽化学株式会社製)が挙げられる。またポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンが、重合度が6以上のものの含有率が合計で65%未満で、直鎖状のポリグリセリン及び分岐鎖状のポリグリセリンの含有率の合計が60%未満である乳化剤の例として、乳化剤E(モノミリスチン酸デカグリセリル)が挙げられる。
【0036】
本発明に係る乳化製剤を調製するには、(C)の上記乳化剤は、用いる油相及び水相成分の性質及び量に応じて、0.1〜30重量%の範囲で含有させることが好ましい。また、本発明においては、上記平均重合度10以上のポリグリセリンのモノ脂肪酸エステル以外の乳化剤を含有させることもできる。
【0037】
本発明に係る乳化製剤は、一般的な方法で調製することができる。たとえば、水相成分を混合、加熱溶解し、これにあらかじめ混合、加熱溶解した油相成分を徐々に添加した後、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、マイクロフルイダイザー等を用いて混合処理を行うことにより乳化させて調製する。なお、熱に対して安定性の低い水溶性成分は、別途少量の水に溶解し、乳化後冷却した後に添加して混合することが望ましい。
【実施例】
【0038】
さらに本発明について、実施例により詳細に説明する。
【0039】
[実施例1] 乳化製剤
(1)グリセリン 55.0(重量%)
(2)精製水 3.0
(3)乳化剤C(サンソフトAA) 6.0
(4)中鎖脂肪酸トリグリセリド 13.0
(5)ショ糖酢酸イソ酪酸エステル 14.5
(6)ジヒドロカプシエイト 2.5
(7)アスコルビン酸 1.0
(8)精製水 5.0
製法:(1)〜(3)を混合し、90〜95℃に加熱溶解する。これに、あらかじめ混合し、85〜90℃に加熱溶解した(4)〜(6)を添加して、TKホモミキサーで混合、乳化する。30℃になるまで冷却した後、(7)を(8)に溶解して添加し、混合する。
【0040】
[比較例1〜4] 乳化製剤
上記実施例1において、(3)の乳化剤C(サンソフトAA、太陽化学株式会社製)を、それぞれデカグリン1−O(日光ケミカルズ株式会社製)、POLYALDO 10−1−0 KFG(Lonza社製)、RIKEMAL JV−0381(RIKEVITA社製)、CAPROL PGE 860(ABITEC社製)に代替し、同様に調製した。
【0041】
実施例1及び比較例1〜比較例4で用いた乳化剤について、それぞれの組成及びHLB値を表3に示した。また、実施例1及び比較例1〜比較例4で用いた乳化剤の600nmにおける1重量%水溶液の透過率を、表4において比較した。
【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
表1より明らかなように、実施例1及び各比較例で用いた乳化剤のうち、実施例1で用いたデカグリセリンのモノオレイン酸エステルを主な組成とする乳化剤Cの1重量%水溶液のみが、600nmにおいて82.0%と、80%を超える高い透過率を示していた。
【0045】
実施例1及び比較例1〜比較例4の乳化製剤について、調製後の乳化粒子径(メジアン径)を粒度分布計(堀場製作所製、LA−920)を用いて測定し、その結果を表5に示した。
【0046】
【表5】

【0047】
乳化製剤を医薬品や食品用組成物に適用する際、十分な乳化安定性を確保するには、乳化粒子径(メジアン径)が約0.5μm以下となるように製造することが好ましく、さらに好ましくは約0.25μm以下となるように製造することが望まれる。特に1μmを越える乳化粒子径になると乳化破壊等が起こりやすくなる。表5より明らかなように、本発明の実施例1の乳化製剤と比較例1〜比較例3の乳化製剤では、0.26μm及び0.23〜0.32μmと、十分小さな乳化粒子が生成されていた。これに対し、乳化剤としてHLB値の低いCAPROL PGE 860を用いた比較例4の乳化製剤では、乳化粒子径(メジアン径)は5μm以上であり、長期間の乳化安定性を確保できないことが明白であった。
【0048】
続いて、調製時に良好な乳化安定性が認められた実施例1の乳化製剤と、比較例1〜比較例3の乳化製剤について、5℃における保存安定性を評価した。保存安定性の評価は、実施例及び比較例の各乳化製剤を試料として5℃にて保存し、経時的に乳化粒子径(メジアン径)を粒度分布計(堀場製作所製、LA−920)を用いて測定して評価した。評価結果を図1に示す。
【0049】
図1より明らかなように、本発明の実施例1の乳化製剤と、主な組成がデカグリセリンのモノオレイン酸エステルであり、HLB値が13.8であるデカグリン1−Oを乳化剤として用いた比較例1の乳化製剤では、乳化粒子のメジアン径は保存期間中ほぼ一定に保たれ、良好な保存安定性を有することが示されていた。これに対し、主な組成がデカグリセリンのモノオレイン酸エステルであるものの、HLB値が12.2及び12.5であり、さらに1重量%水溶液の透過率が80%に達していないPOLYALDO 10−1−0 KFG及びRIKEMAL JV−0381を用いた比較例2及び比較例3の乳化製剤では、経時的にメジアン径の増大が認められ、乳化が不安定となることが示された。
【0050】
さらに、5℃において良好な保存安定性が認められた実施例1及び比較例1の乳化製剤について、24℃及び44℃における保存安定性を評価した。すなわち、実施例1及び比較例1の乳化製剤を試料として24℃及び44℃にそれぞれ保存し、経時的に各試料の乳化粒子径(メジアン径)を粒度分布計(堀場製作所製、LA−920)を用いて測定して評価した。評価結果を表6に示した。
【0051】
【表6】

【0052】
表6より明らかなように、本発明の実施例1の乳化製剤では、24℃及び44℃のいずれの温度においても、経時的な乳化粒子のメジアン径の明らかな増加は認められず、各温度においても良好な保存安定性を有することが示された。これに対し、組成がデカグリセリンのモノオレイン酸エステルであるものの、HLB値が13.8であり、1重量%水溶液の透過率も51.1%であるデカグリン1−Oを乳化剤として用いた比較例1の乳化製剤では、24℃においては明らかなメジアン径の増加は認められなかったが、44℃において経時的なメジアン径の増加が認められ、夏季の倉庫の室温に匹敵する44℃下では十分な保存安定性が得られないことが示された。
【0053】
以上のように、本発明の実施例1の乳化製剤においては、医薬品又は食品用の乳化製剤として供するに十分な乳化安定性及び保存安定性が認められた。
【0054】
[実施例2] 乳化製剤
(1)還元澱粉水飴 55.0(重量%)
(2)精製水 3.0
(3)乳化剤A(モノミリスチン酸デカグリセリル) 6.0
(4)中鎖脂肪酸トリグリセリド 13.0
(5)ショ糖酢酸イソ酪酸エステル 14.5
(6)ジヒドロカプシエイト 2.5
(7)アスコルビン酸 1.0
(8)精製水 5.0
製法:(1)〜(3)を混合し、90〜95℃に加熱溶解する。これに、あらかじめ混合し、85〜90℃に加熱溶解した(4)〜(6)を添加して、TKホモミキサーで混合、乳化する。30℃になるまで冷却した後、(7)を(8)に溶解して添加し、混合する。
【0055】
[実施例3〜6、比較例5] 乳化製剤
上記実施例2おいて、(3)の乳化剤Aを、それぞれ乳化剤B、C、D、E(実施例3〜6)及びF(比較例5)に代替し、同様に調製した。なお、乳化剤Fは、平均重合度が10未満のポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルであるモノラウリン酸ヘキサグリセリルを主な組成として含有し、HLB値が14.1である。実施例2〜6及び比較例5において用いた乳化剤の組成とHLB値を表7にまとめた。
【0056】
また、実施例2〜6において用いた乳化剤を構成するポリグリセリンの重合度分布、並びに鎖状(直鎖状及び分岐鎖状)構造又は環状構造を有するポリグリセリンの割合について、表8〜11に示した。ポリグリセリンの重合度分布、並びに鎖状構造又は環状構造の割合については、以下に示す条件にて、高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)にて測定した。
【0057】
<LC/MSの分析条件>
イオン化モード:APCI、negative
測定範囲:90−2000
カラム:TSKgel α−2500(7.8×300mm)
温度:40℃
溶離液:水/アセトニトリル 7/3
流量:0.8mL、100ppm
分析時間:20分
【0058】
【表7】

【0059】
【表8】

【0060】
【表9】

【0061】
【表10】

【0062】
【表11】

【0063】
表8〜11より明らかなように、実施例2〜6で用いた乳化剤のうち、実施例2で用いたデカグリセリンのモノミリスチン酸エステルを主な組成とする乳化剤Aを構成するポリグリセリンについては、グリセリンの重合度が6以上のものの合計が約66%で、直鎖状及び分岐鎖状のポリグリセリンの割合が約54%であった。実施例3で用いたデカグリセリンのモノミリスチン酸エステルを主な組成とする乳化剤Bを構成するポリグリセリンについては、グリセリンの重合度が6以上のものの合計が約79%、7以上のものの合計が約71%、8以上のものの合計が約61%で、直鎖状及び分岐鎖状のポリグリセリンの割合が約53%であった。実施例4で用いたデカグリセリンのモノオレイン酸エステルを主な組成とする乳化剤C(サンソフトAA、太陽化学株式会社製)及び実施例5で用いたデカグリセリンのモノミリスチン酸エステルを主な組成とする乳化剤D(サンソフトAB、太陽化学株式会社製)を構成するポリグリセリンについては、グリセリンの重合度が6以上のものの合計が約79%、7以上のものの合計が約72%、8以上のものの合計が約61%で、直鎖状及び分岐鎖状のポリグリセリンの割合が約85%であった。実施例6で用いたデカグリセリンのモノミリスチン酸エステルを主な組成とする乳化剤Eを構成するポリグリセリンについては、グリセリンの重合度が6以上のものの合計が約55%で、直鎖状及び分岐鎖状のポリグリセリンの割合が約53%であった。
【0064】
実施例2〜6及び比較例5の乳化製剤について、調製直後と、5℃で6ヶ月間保存した後の乳化粒子径(メジアン径)を粒度分布計(Particle Sizing systems製、NICOMP380)を用いて測定し、その結果を表12に示した。
【0065】
【表12】

【0066】
乳化製剤を医薬品や食品用に適用する際、十分な乳化安定性を確保するには、上記したように、乳化粒子径(メジアン径)が約0.5μm以下となるように製造することが好ましく、約0.25μm以下となるように製造することがさらに好ましい。また、乳化粒子径が1μmを越えると、乳化破壊等が起こりやすい。表12より明らかなように、本発明の実施例4及び5の乳化製剤では、0.24μm及び0.23μmと、十分小さな乳化粒子の生成が観察された。また実施例3の乳化製剤では0.4μm程度の小さな乳化粒子の生成が観察された。実施例2及び6の乳化製剤においては、それぞれ0.65μm、0.81μmと、やや大きな粒子の生成が見られた。これに対し、比較例5の乳化製剤では、調製直後の乳化粒子径が38μmとかなり大きく、不安定であることが示された。
【0067】
また5℃で6ヶ月間と長期間保存した結果、実施例4及び5の乳化製剤については、乳化粒子径にほとんど変化がなく、実施例3の乳化製剤についても、乳化粒子径の変化は全く問題のないレベルであった。実施例2及び6の乳化製剤においても、5℃で6ヶ月間保存した後の乳化粒子径は、それぞれ0.82μm及び0.99μmと1μm以下であり、乳化安定性を保つことができることが示された。比較例5の乳化製剤については、調製直後から安定性が悪く、評価対象外とした。
【0068】
続いて、実施例2〜6の乳化製剤について、24℃及び44℃における保存安定性を評価した。すなわち、実施例2〜6の乳化製剤を24℃及び44℃にそれぞれ保存し、経時的に各試料の乳化粒子径(メジアン径)を粒度分布計(Particle Sizing systems製、NICOMP380)により測定して評価した。評価結果を表13に示した。
【0069】
【表13】

【0070】
表13より明らかなように、本発明の実施例4及び5の乳化製剤では、24℃及び44℃のいずれの温度で保存した場合においても、経時的な乳化粒子のメジアン径の明らかな増加は認められず、各温度においても良好な保存安定性を有することが示された。また実施例3の乳化製剤においても、44℃で保存した場合に粒子径がやや大きくなるものの、問題のないレベルであった。実施例2及び6の乳化製剤においては、44℃で保存した場合に粒子径が大きくなり、高温保存下では十分な保存安定性が得られないことが示された。
【0071】
以上のように、本発明の実施例3〜5の乳化製剤においては、医薬品又は食品用の乳化製剤として供するに十分な乳化安定性及び保存安定性が認められた。実施例2及び6の乳化製剤においても、冷蔵で保存することで、十分な乳化安定性及び保存安定性を保持し得ることが認められた。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、液剤や飲料等の食品に添加した際にも官能的に優れ、且つ長期間にわたり良好な保存安定性を有し、製剤化又は製品化に際し制限が少なく、油溶性成分を水相に適用するのに適する乳化製剤を提供することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 実施例1
2 比較例1
3 比較例2
4 比較例3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)油溶性成分を含有する油相成分、(B)多価アルコールを含む水相成分、及び(C)平均重合度10以上のポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを含有し、且つHLB値が14以上18以下である乳化剤を含有して成る、乳化製剤。
【請求項2】
(A)油溶性成分を含有する油相成分、(B)多価アルコールを含む水相成分、及び(C)平均重合度10以上のポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを含有し、且つ1重量%水溶液についての600nmにおける透過率が80%以上である乳化剤を含有して成る、乳化製剤。
【請求項3】
(A)の油溶性成分を含有する油相成分が、乳化製剤全量に対して20〜50重量%含有されている、請求項1又は2に記載の乳化製剤。
【請求項4】
(B)の多価アルコールを含む水相成分が、乳化製剤全量に対して20〜79.9重量%含有されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳化製剤。
【請求項5】
(C)の平均重合度10以上のポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを含有する乳化剤が、乳化製剤全量に対して0.1〜30重量%含有されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳化製剤。
【請求項6】
(C)の乳化剤が、平均重合度10以上のポリグリセリンのモノオレイン酸エステル又はモノミリスチン酸エステルを含有するものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の乳化製剤。
【請求項7】
(C)の乳化剤が、平均重合度が10以上で、重合度が6以上のものの合計が65%以上であるポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを含有するものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の乳化製剤。
【請求項8】
(C)の乳化剤が、平均重合度が10以上で、直鎖状のもの及び分岐鎖状のものの合計が60%以上であるポリグリセリンのモノ脂肪酸エステルを含有するものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の乳化製剤。
【請求項9】
(A)の油相成分に含有される油溶性成分が、カプシノイド化合物である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の乳化製剤。
【請求項10】
カプシノイド化合物が、カプシエイト及び/又はジヒドロカプシエイトである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の乳化製剤。

【図1】
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【公開番号】特開2010−280628(P2010−280628A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136262(P2009−136262)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】