説明

乳頭腫ウイルスに対するCTC−96の殺菌的、予防的及び治療的効果

乳頭腫ウイルスに感染した対象の治療的及び予防的な処置方法。更に具体的には、抗乳頭腫ウイルス有効量のCTC−96を対象に投与することによる対象における乳頭腫ウイルスの治療上の処置方法。更に、乳頭腫ウイルス有効量のCTC−96を対象に投与し、乳頭腫ウイルスによる対象の感染の可能性をできるだけ抑える、対象における乳頭腫ウイルスに対する予防的処置方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
性感染症(STD)は、我々の主要な公衆衛生の難問の1つである。米国防疫センターによれば、梅毒及び淋病のようなSTDの一部は、今までになく少なくなっている。しかしながら、現在使用されている併用療法に耐性のHIV株は増加的に同定されており、同様に、異なった治療及び予防の難問を提起するそのほかのSTDの隠れた又は増大する蔓延がある。これらには、生殖器ヘルペス(HSV−2)、クラミジア及び乳頭腫が挙げられる。米国だけでも、6500万人を超える難治性STDの人々がいる。STDは、癌、不妊、子宮外妊娠、自然流産、死産、低体重新生児、神経損傷及び死亡を含む重篤な、生命を脅かす合併症を生じる。潜在的に治療可能な疾患であれ、治療不可能な疾患であれ、STDの広がりを防ぐためのアプローチは、苦しむ大勢のヒトを救い、費用を節約することになる。ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)を含む乳頭腫ウイルス(PV)は、ヒト及び家畜、即ち、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ及びトリで重要性を有し、ヒトにおける乳頭腫ウイルスは、皮膚の瘤、及び子宮頚癌を含む悪性腫瘍を誘発する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
我々は、乳頭腫ウイルスに感染した対象に対する治療上の、及び予防的な処置方法を発見した。更に詳しくは、我々は、PVに感染した又はPVに感受性の対象へのCTC−96の投与が、感染又は疾患の程度、対象がPVで感染させられる可能性を軽減することを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書で使用するとき、用語「治療上」は、本明細書で使用するとき乳頭腫ウイルスに既に感染している対象を治療するための本発明の方法の使用を意味し、用語「予防的」は、乳頭腫ウイルスに暴露されてもよい対象をウイルス感染から防ぐ又はその可能性を減らすための本発明の方法の使用を意味する。
【0004】
化合物CTC−96は以下の構造を有する。
【0005】
【化1】

【0006】
式中、R及びR1’はメチルであり、R及びR2’は水素であり、並びにR及びR3’はメチルであり、並びにX及びX’はそれぞれ
【0007】
【化2】

【0008】
であり、並びにQ’はBrである。
【0009】
CTC−96は、米国特許第5,756,491号に記載された方法によって調製してもよく、その内容は参照によって本明細書に組み入れられる。
【0010】
一般に、本化合物は、水溶液の形態で局所に投与されるが、そのほかの従来の経路により投与されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
CTC−96TMは、当初、抗炎症剤として開発され、スーパーオキシドラジカルを除去することができ(米国特許第5,049,557号)、同時に抗ウイルス活性を有することが見い出された、コバルトを含有するシッフ塩基キレート剤である化学構成要素の新規ファミリーの1つである。核酸塩基と反応しないこれらの作用剤は、その作用のメカニズムにおいて異なったヌクレオシド類縁体型の薬剤である。それらは、プロテアーゼ阻害剤としても直接は作用しない。代わりに、それらは、タンパク質において選択されたヒスチジンのイミダゾール窒素とともに安定な付加体を形成する。それらは、ウイルスの侵入及び細胞から細胞への伝播に影響を及ぼす。更に、薬剤は、核酸との直接的な相互作用を介さないにもかかわらず、ウイルスDNAの複製を阻害することによって細胞内で作用する。その異なった作用様式のために、これらの化合物は、現在使用されている薬剤に耐性であるHSV−1及びHIVのウイルス変異体に対して良好な有効性も示している。
【0012】
CTC−96TMは細胞に取り込まれ、細胞内で折り畳まれていない特定のタンパク質に識別可能な能力を呈示する。このことは少なくとも部分的には、CTC−96TMのコバルト部分と一部タンパク質における特定のヒスチジンのアミノ−イミダゾールとの間の共有結合の形成に起因する。これらの中では、タンパク質は一部のジンクフィンガータンパク質、セリンプロテアーゼ及びヘムタンパク質である。
【0013】
実験結果
生殖処方を使用することなく、以下のデータを得た。しかしながら、適当な生殖処方におけるCTC−96TMも持続的な効果を示し、本データが示すより更に一層効果的である。
【0014】
本発明は、PVによる種々の臨床的適応結果又はPVが原因であるものの治療的処置及び予防的処置の双方に使用されてもよい。これらには以下が挙げられる。
【0015】
非生殖性の皮膚の瘤
疣贅状表皮発育異常症
非黒色腫皮膚癌
【0016】
生殖器の感染
肛門性器の瘤
子宮頚癌
非悪性及び前悪性の頚部感染
【0017】
肛門癌
【0018】
他の生殖器部位におけるヒト乳頭腫ウイルス
【0019】
子宮頸部形成異常の女性の男性パートナーのペニス
膣前庭、膣の癌
尿道腫瘍
【0020】
気道消化管におけるヒト乳頭腫ウイルス
RRP(咽頭乳頭腫)、再発呼吸器乳頭腫
口内咽頭の癌
食道癌
鼻内乳頭腫、
口内扁平上皮細胞乳頭腫、
口内尖圭コンジローム、
口内尋常性疣贅、
局所性上皮肥厚(FEH)
【0021】
結膜乳頭腫
【0022】
ヒト乳頭腫ウイルス11型を感染させた、外部のヒト異種移植−重篤複合免疫不全(SCID)マウスのモデルにおけるCTC−96TMの評価。
【0023】
HPV−11の感染性に対するCTC−96TMの効果
ヒト異種移植SCIDマウスのモデルにてHPV−11の感染性に対するCTC−96TMの効果を評価した。HPV11型は、ヒトにおける肛門性器の瘤の大半に関与する2種のウイルスの一方であるHPV−6を伴う。
【0024】
ヒト新生児包皮断片に感染させる前に、生理食塩水中のCTC−96TMをHPV−11とともにインキュベートした。次いで、その断片をSCIDマウスに移植した。動物を毎週モニターした。移植時、及び12週間の実験の間、隔週で体重を測定した。CTC−96TMで処理したHPV−11はマウスの体重に影響を与えなかった。移植片移植後12週で、頚椎脱臼により動物を屠殺した。移植片の長さ、幅及び高さを測定し、記録した。移植片の複合幾何平均径(cGMD)を各マウスについて計算した。次いで、移植片を取り外し、組織学、免疫細胞化学及びRT−PCRによって解析した。抗共通乳頭腫抗原を利用した免疫細胞化学による移植片の評価。外植した移植片をホモジネートし、全RNAを抽出した。ネスト型RT−PCRによってHPV−11ウイルスのcDNAを生成した。
【0025】
移植片サイズに対するCTC−96TMの効果
処理群におけるcGMDの比較は、CTC−96TMの濃度にかかわりなく、対照(CTC−96TMなし)と比べた場合、HPV−11の感染性に小さいが、有意な影響があったことを確証している(表1)。
【0026】
【表1】

【0027】
移植片の組織学におけるCTC−96TM及びHPV−11の処理の効果
表2は、HPVの存在についての移植片の組織学的検査の結果を示す。HPVの存在は以下の3つの特徴のうち2つの存在によって定義した:アカントーシス(上皮の有棘層の厚さの肥厚)、コイロサイトーシス(核周囲の空胞形成)又は不全角化(上皮の角質層の細胞における核の存在)。CTC−96TMの濃度が高くなるにつれて、HPVを含有する移植片の比率は低下し、2つの高い濃度では陽性はなかった。CTC−96TMの2つの最高濃度(0.2%及び1%)では、移植片の大半は、線維性組織又は異物反応を呈したので、解釈不能として分類された。CTC−96TMの2つの最高濃度で処理されたHPV−11に感染した移植片に存在した多数の異物反応については、2つの説明が可能である。第1には、CTC−96TMが完全にHPV−11を不活化した。従って、移植片は感染しておらず、結果として、異物反応によって除去される可能性が高かった。別の説明は、CTC−96TMが、移植片自体にとって毒性であった。CTC−96TMは、使用した濃度では毒性に関わりない膣内調製物にて試験管内及び生体内で使用されており、CTC−96TMの最低濃度(0.05%)では、異物反応を伴う移植片の数は、対照群に比べて差異はなく、従って、HPV陽性の移植片(P=0.015、フィッシャーの正確検定)の更に低い数が毒性によって説明されるとは考えにくいので、これはありそうにない。CTC−96TMは、最低濃度で明瞭な殺ウイルス作用を有するので(表4を参照のこと)、この殺ウイルス作用が、毒性効果の存在とは独立して、高い濃度で存在すると想定するのは理に適っている。
【0028】
表2は、異物反応又は繊維性組織を呈する移植片をHPV陰性として数えた場合の結果を提示する。CTC−96TMがHPV−11に対して殺ウイルス作用を有するという結論は、前の解析のそれと同一のままであるが、観察値が大きいので更に統計的な有意性を伴う。
【0029】
【表2】

【0030】
*この解析では、陰性として数えられた移植片は、異物反応又は繊維性組織を呈した移植片と同様にHPV陰性と判読された移植片も含む。
【0031】
表3では、異物反応又は繊維性組織を呈する移植片はHPV陰性とみなされる。CTC−96TMがHPV−1に対して殺ウイルス作用を有するという結論は変わらない。
【0032】
【表3】

【0033】
*抗共通乳頭腫抗原を用いた免疫細胞化学によって測定されるように、HPVの存在について移植片の組織を見直した。この解析では、陰性として数えられた移植片は、異物反応又は繊維性組織を呈した移植片と同様にHPV陰性と判読された移植片も含む。
【0034】
移植片HPVのRT−PCRにおけるCTC−96TMの影響
表4は、ホモジネートから全RNAを抽出することによって行い、移植片及びネスト型RT−PCRによって生じるHPV−11のウイルスcDNAを説明したHPVのRT−PCRの結果及び解析を提示する。このアッセイを用いて、強力で明瞭な用量依存性の効果がある。CTC−96TMの最高用量においてのみ、ウイルスの転写活性の完全な消滅がある。CTC−96TMの2つの最高濃度がHPVの存在の証拠を示さなかった組織学及び免疫細胞化学とは対照的に、RT−PCRでは、CTC−96TMの0.2%群の2つの移植片ではHPVのcDNAが検出された。
【0035】
【表4】

【0036】
*HPV及びP−アクチン双方のメッセージが検出されなかったのでこれらの試料は解釈不能であった。
【0037】
RT−PCRの結果は、CTC−96TMの毒性効果ではなく、殺ウイルス作用を支持している。
【0038】
結論
CTC−96TMによるHPV−11の処理は、ヒト異種移植SCIDマウスのモデルにおけるCTC−96TMの3つの処理濃度での移植片サイズにより測定され、対照群と比べた場合、移植片の劇的な抑制効果が導かれたように、ウイルスの感染性に対する抑制効果を有した。組織学、免疫細胞化学及びRT−PCRによるHPVの存在の解析は、明瞭な用量依存性効果を実証した。CTC−96TMの最低濃度での殺ウイルス効果は部分的にすぎなかったが、CTC−96TMの最高濃度(1%)は、完全に殺ウイルス性であると思われた。CTC−96TMは、移植片において直接的な毒性による作用を発揮しなかった。RT−PCRにより解析されたように、移植片の大半は、HPV転写の証拠を欠くにもかかわらず、実験終了まで生存可能であった。CTC−96TMは、動物の死亡率及び体重増加には影響を有さなかった。CTC−96TMはウイルスの複製又は細胞の複製を刺激しなかった。
【0039】
HPV−11に感染した外部ヒトSCIDモデルにおけるHPV−11により誘発されるヒトコンジロームに対するCTC−96TMの治療活性の評価
軟膏製剤における2つの異なったCTC−96TMの用量レベル(1%、0.1%)及びビヒクルのみについて評価した。SCIDマウスの各背面にHPV−11感染した包皮断片を移植した。処理を開始し、6週間継続する前に、HPV−11感染した移植片を6週間増殖させた。処理期の間、週3回、薬剤を直接、移植片上に投与した。処理期の間、2週間毎に移植片の長さ、幅及び高さを測定した。試験終了時、動物を屠殺した。移植片を測定し、回収して、組織学検査を進めた。組織切片におけるHPV感染は、以下の3つの特徴:アカントーシス、コイロサイトーシス又は不全角化のうち2つの存在によって定義する。
【0040】
移植片サイズにおけるCTC−96TMの効果
移植片サイズの成長(GSG)指標は、CTC−96TMのこの評価における我々の主な終点であった。表5は、この測定の統計的要約を提供する。CTC−96TMの濃度が高くなるにつれて平均GSGが徐々に大きくなり、このことは、CTC−96TMが乳頭腫ウイルスに感染した組織の増殖を刺激することを示唆している。しかしながら、CTC−96TMの高用量群ではGSGの変動も顕著に大きい。
【0041】
【表5】

【0042】
我々の解析では、移植片サイズの成長を測定するのに、我々は、各マウスについて、それぞれ異なった包皮ドナーに由来する、動物が担っている2つの移植片を要約する複合指標を使用した。代わりに各個の移植片の増殖を見れば、図1に示すように、我々は、3つの群の間で移植片サイズの成長の平均、中央値又は変動が更に一様なのを見ることができる。ANOVAでは、個々の移植片の増殖における処理の効果を示すことができない。
【0043】
CTC−96TMは、HPV−11誘発性の乳頭腫の増殖に検知可能な効果を示さずに、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)11型に対して殺ウイルス性であることが見い出されている。CTC−96TMは、HPV−11感染したヒト乳頭腫の増殖を低下させないし、高めることもない。CTC−96TMの殺ウイルス活性を考えて、一連の実験を行い、局所殺菌剤の使用に似た条件下で化合物の予防的活性を評価した。局所殺菌剤を使用した場合、ウイルスへの暴露の前に先ず、標的臓器が殺菌剤に暴露される。SCIDマウスにおけるHPV−11を感染させたヒト異種移植のモデルにて種々の濃度のCTC−96TMを評価した。HPV−11への暴露及び植え込みに先立って、ヒト移植片をCTC−96TMに1時間暴露した。CTC−96TMが殺ウイルス性なので、ウイルスに暴露する前にそれを包皮断片から洗い流した。HPV−11感染した移植片を12週間増殖させた。12週後、動物を屠殺し、移植片を回収し、測定し、処理した。動物が担う2つの移植片の複合幾何平均径として表される移植片サイズが主な終点であった。HPVの存在について移植片の組織を調べた。逆転写酵素−ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)によってHPV−11のmRNA転写物を検出するためにも移植片を処理した。
【0044】
結果は、図2に示すように、CTC−96TMの劇的、且つ統計的に有意性の高い殺菌効果のとおりである。対照群における移植片サイズは、CTC−96TMが使用された各郡よりも有意に大きかった。しかしながら、包皮断片がCTC−96TMで処理された群間での差異は統計的に有意ではなかった。
【0045】
表6は、移植片におけるHPVの存在に関する組織学の結果を要約する。CTC−96TMの濃度が高くなるにつれて、線維性組織又は異物反応を呈する移植片の数は多くなった。HPVに感染していない移植片は弱く増殖し、異物としてマウスの宿主防御によって除去される傾向にある。残りの線維性組織は傷痕である。結果を正確に解析するために、異物反応又は繊維性組織を示す移植片と同様に、真に陰性(健常なヒト上皮を示す移植片)である移植片もHPV陰性として数えた。これらの結果もまた、CTC−96TMがHPV−11に対して抗菌効果を有することを示唆している。
【0046】
【表6】

【0047】
表7は、移植片におけるHPVカプシド抗原の存在に関する免疫細胞化学の結果を要約する。CTC−96TMの濃度が高まるにつれて、線維性組織又は異物反応のいずれかを呈する移植片の数も多くなった。従って、線維性組織又は異物反応を呈する移植片を陰性として数えるように表を構築した。再び、CTC−96TMの強力な殺菌効果が認められる。
【0048】
【表7】

【0049】
表8は、HPV−11の発現に関する移植片の解析結果を要約する。これらの結果は、移植片の22%がCTC−96TMの最高濃度で依然としてウイルスの発現を示したことを指摘している。このことは、ウイルス感染が必ずしも組織の増殖を伴わないことを実証している。線維性組織又は異物反応の存在を示した移植片の一部もHPVのmRNAを含有していた。
【0050】
【表8】

【0051】
結論的には、CTC−96TMは、自然感染を刺激する条件下で使用した場合、HPV−11に対して強力な効果を有することが示された。CTC−96TMは感染を完全に阻止することはないが、最高濃度(1%)であれば、感染の臨床的マーカーは存在しない(移植片の増殖、組織学及び免疫細胞化学によるHPV感染の徴候)。
【0052】
CTC−96TMによるウシ乳頭腫ウイルス1型(BPV−1)の不活化
CTC−96TMが、培養においてC127マウスの上皮細胞を形態的に形質転換するウシ乳頭腫ウイルス1型(BPV−1)の能力を不活化することができるどうかを実証するために実験を行った。BPV−1の無細胞ストックをCTC−96TM又はプラセボで処理した。BPV−1の形質転換能を検出するために、BPV−1の標準化した接種によってC127マウスの集密に近い細胞を感染させた。陽性対照については、細胞の入った培養培地にストックのウイルスを加えた。形態的に形質転換された病巣の存在を2週間後に計数し、次いで3週間後に再び計数した。対照は、非感染細胞(薬剤あり又はなし)及び無処理のBPV−1を含んだ。
【0053】
ウシ乳頭腫ウイルス1型(BPV−1)をCTC−96TMと混合し、37℃にて10分間インキュベートし、次いで細胞に加えた。CTC−96TMが、培養におけるC127マウス上皮細胞のウシ乳頭腫ウイルス1型(BPV−1)で誘導された形質転換の出現を阻害することができるのは明らかである(表9)。
【0054】
【表9】

【0055】
CTC−96TMと乳頭腫ウイルスとの間の相互作用の時間経過を更に評価するために、以下の実験を行った。培養におけるC127マウス上皮細胞の上に時間0時にウイルスを置き、5時間インキュベートした。次いで培地を除去し、薬剤とともに培地を置き換えた。次いで、2日毎に細胞に養分を与え、12日目に計数した。表10に示す結果は、細胞外のウイルスではなく、感染細胞におけるウイルスに対する化合物の効果を示唆している。
【0056】
【表10】

【0057】
CTC−96TMと乳頭腫ウイルスとの相互作用の動態を更に明瞭にするために実験を行い、細胞感染に先立ったウイルスの薬剤への暴露と薬剤への感染細胞の暴露を組み合わせた。この目的で、BPV−1をCTC−96TM又はプラセボのいずれかとインキュベートし、希釈し、次いで、CTC−96TM又はプラセボとともに、培養中のC127マウス上皮細胞に加えた(表11)。10μg/mL又は20μg/mLのCTC−96TMの培養細胞への添加は細胞にとって毒性だった。5μg/mLのCTC−96TMの添加は、あらゆる病巣形成を効果的に抑制した。プラセボではなく、50μg/mLCTC−96TMによる前処理は、通常培地の後処理対照における病巣の数を半分にした。従って、CTC−96TMのこれらの低い濃度であっても小さな抗菌効果は可能である。しかしながら、これらの濃度での主な活性は、感染後にある。しかしながら、ウイルスの前処理(抗菌効果)もウイルスの50〜60%の阻害を生じた。
【0058】
【表11】

【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】局所抗菌剤としてのCTC−96の評価のグラフである。
【図2】移植片の複合幾何平均径のスキャタープロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗乳頭腫ウイルス疾患有効量のCTC−96を対象に投与することを含む対象における乳頭腫ウイルスが原因である疾患の治療上の処置の方法。
【請求項2】
対象がヒトである請求項1記載の方法。
【請求項3】
対象が哺乳類である請求項1記載の方法。
【請求項4】
対象が動物である請求項1記載の方法。
【請求項5】
対象が、ウシ、去勢ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、又はトリである請求項4記載の方法。
【請求項6】
疾患が、非生殖系スキンアート、生殖器の感染、肛門癌、他の生殖部位におけるヒトの乳頭腫ウイルス、子宮頸部形成異常の女性の男性パートナーのペニス、及び結膜乳頭腫から成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項7】
疾患が、疣贅状表皮発育異常症、非黒色腫皮膚癌、肛門性器の瘤、子宮頚癌、非悪性及び前悪性の頚部感染、膣前庭、膣の癌、尿道腫瘍、RRP(咽頭乳頭腫)、再発呼吸器乳頭腫、咽頭癌、食道癌、鼻内乳頭腫、口内扁平上皮細胞乳頭腫、口内尖圭コンジローム、口内尋常性疣贅、及び局所性上皮肥厚(FEH)から成る群から選択される請求項6記載の方法。
【請求項8】
抗乳頭腫ウイルス予防有効量のCTC−96を対象に投与し、乳頭腫ウイルスによる対象の感染をできるだけ抑える又は回避することを含む、対象における乳頭腫ウイルスが原因である疾患を完全に又は部分的に回避する方法。
【請求項9】
対象がヒトである請求項8記載の方法。
【請求項10】
対象が哺乳類である請求項8記載の方法。
【請求項11】
対象が動物である請求項8記載の方法。
【請求項12】
対象が、ウシ、去勢ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、又はトリである請求項11記載の方法。
【請求項13】
疾患が、非生殖系スキンアート、生殖器の感染、肛門癌、他の生殖部位におけるヒトの乳頭腫ウイルス、子宮頸部形成異常の女性の男性パートナーのペニス、及び結膜乳頭腫から成る群から選択される請求項8記載の方法。
【請求項14】
疾患が、疣贅状表皮発育異常症、非黒色腫皮膚癌、肛門性器の瘤、子宮頚癌、非悪性及び前悪性の頚部感染、膣前庭、膣の癌、尿道腫瘍、RRP(咽頭乳頭腫)、再発呼吸器乳頭腫、咽頭癌、食道癌、鼻内乳頭腫、口内扁平上皮細胞乳頭腫、口内尖圭コンジローム、口内尋常性疣贅、及び局所性上皮肥厚(FEH)から成る群から選択される請求項13記載の方法。

【公表番号】特表2007−516174(P2007−516174A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517488(P2006−517488)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/019812
【国際公開番号】WO2004/112722
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505454306)レドックス ファーマスーティカル コーポレーション オーデュボン バイオメディカル サイエンス アンド テクノロジー パーク (2)
【Fターム(参考)】