説明

乾燥固体粒子の製造方法

【課題】 より効率的に含液固体粒子を乾燥することのできる乾燥固体粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】密閉された容器1内に設けられたフィルタ部8上に含液固体粒子層Sを形成する工程と、含液固体粒子層Sよりも上方の空間1uを気体供給源SGと連通させ容器1の中の圧力を容器の外よりも高くする工程と、含液固体粒子層Sよりも上方の空間1uと気体供給源SGとの連通を維持した状態で、フィルタ部8よりも下方の空間1dと容器1の外とを間欠的に連通させる工程と、を備えた、乾燥固体粒子の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥固体粒子の製造方法に関するものであり、さらに詳細には、より効率的に含液固体を乾燥する乾燥固体粒子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
反応によって得られた生成物を乾燥する方法として、生成物を通気乾燥する方法が知られている。
また、引用文献1には、濾過ケークを形成して固液を分離する方法が開示され、当該方法では、該濾過ケークを圧搾するための構造物が開孔を有し、構造物でケークを圧搾しながら該開孔を通じて前記濾過ケークに通気する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−300210号公報(2001年10月30日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1に記載された固液分離方法は、濾過ケークの固体粒子間に残る液体量をできる限り少なくし、結果として固液を効率よく分離することができるものであるが、工業生産の過程においては、さらなる効率的な固体の製造方法が求められていた。
【0005】
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、より効率的に含液固体粒子を乾燥することのできる乾燥固体粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、本発明が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明にかかる乾燥固体粒子の製造方法は、密閉された容器内に設けられたフィルタ部上に、含液固体粒子層を形成する工程と、
前記含液固体粒子層よりも上方の空間を気体供給源と連通させ、前記容器の中の圧力を前記容器の外よりも高くする工程と、
前記含液固体粒子層よりも上方の空間と気体供給源との連通を維持した状態で、前記フィルタ部よりも下方の空間と前記容器の外とを間欠的に連通させる工程と、を備える。
【0008】
本発明によれば、間欠的に気体が含液固体粒子層を通過するので、効率よく脱水が可能となる。
【0009】
ここで、前記間欠的に連通させる工程を、前記含液固体粒子層よりも上方の空間と気体供給源との連通を連続的に維持した状態で行うことが好ましい。
【0010】
これによれば、バルブ閉の期間に迅速に容器内の圧力が上昇するので、開閉間隔を短くできる。
【0011】
また、前記間欠的に連通させる工程の後に、前記含液固体粒子層よりも上方の空間と気体供給源との連通を維持した状態で、前記フィルタ部よりも下方の空間と前記容器の外とを連続的に連通させる工程をさらに備えることが好ましい。
【0012】
これにより、より一層脱水を促進できる。
【0013】
また、前記含液固体粒子層を、前記容器の外から前記フィルタ部上に含液固体粒子を供給することにより形成することが好ましい。
【0014】
これにより、容易に含液固体粒子を得られる。
【0015】
また、前記含液固体粒子層を、前記容器の外から前記フィルタ部上に固液混合物を供給し、前記固液混合物を前記フィルタ部で濾過することにより形成することも好ましい。
【0016】
これにより、フィルタ部上で、濾過及び乾燥が行えるので効率が高い。
【0017】
また、前記間欠的に連通させる工程において、さらに、前記固体粒子層を攪拌することが好ましい。これにより、より一層乾燥効率を高められる。
【0018】
また、前記気体供給源が供給する気体が窒素であることが好ましい。
【0019】
また、前記間欠的に連通させる工程では、前記容器の中の圧力が20kPaG以下となってから前記下方の空間と前記容器の外との連通を遮断し、前記容器の中の圧力が50kPaG以上となってから前記下方の空間と前記容器の外との連通を再開することが好ましい。
【0020】
また、前記含液固体粒子の含液率が、乾燥質量基準で100重量%以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、より効率的に含液固体を乾燥することのできる乾燥固体粒子の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の乾燥固体粒子の製造方法に用いる乾燥装置の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の乾燥固体粒子の製造方法の一実施形態について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の乾燥固体粒子の製造方法に用いる乾燥装置の一実施形態を示す断面模式図である。
【0024】
本実施形態で使用する乾燥装置100は、容器1を備える。容器1は、上部が開放された本体部1a、及び、本体部1aの上部を覆う蓋部1bを備える。本体部1a上に、蓋部1bを重ね、これらを図示しないクランプ等の固定具により固定することにより、容器1の内部を外部に対して密閉することが可能である。
【0025】
容器1内には、フィルタ部8が設けられている。フィルタ部8は、その上に含液固体粒子層S(詳しくは後述)を支持し、含液固体粒子層を構成する固体粒子の下方への流出を防ぐ一方、ガス及び液体の下方への流出を可能とする。後述するように、このようなフィルタ部8によれば、含液固体粒子の乾燥のみならず、液体含有量の相対的に高い固液混合物を当該フィルタ部8で濾過して、液体含有量の低い含液固体粒子層を形成することもできる。
【0026】
本実施形態において、フィルタ部8は、固体粒子の流失を防止する濾材8a、及び、濾材8aを下方から物理的に支持する通気性の支持板8bを有する。濾材8aの材質は、含液固体粒子が含んでいる液体に対して安定なものであれば特に限定されず、例えば、金属網、焼結金網、ポリプロピレンやポリエステル等の合成樹脂繊維シート、紙などを例示できる。
【0027】
支持板8bは、濾材と同様に液に対して安定なものであればよく、濾材8aに比べて強度が高く、通液・通気性が優れていることが好ましく、構造としては網状、格子状、巣板状のものが挙げられ、材質としては金属、樹脂またはグラスでライニングされた金属、合成樹脂、陶器等が挙げられる。
【0028】
濾材8a及び支持板8bは、それぞれ液及びガスを通過させるための多数の孔を有するが、通常、濾材8aの孔の径よりも支持板8bの孔が大きい。濾材8aの孔の径は、固体粒子の粒径よりも小さいことが好ましい。具体的には、好ましい孔の径は、濾材8aについては0.0003mm〜0.5mmであり、支持板8bについては、0.1mm〜100mmである。
この孔の径は、JIS K3832「精密ろ過膜エレメント及びモジュールのバブルポイント試験方法」の方法により測定される、その濾材の最大孔径である。すなわち、表面張力が既知の液体中に濾材を浸漬し、空気圧を徐々に上げて濾材を通して気泡が出始める最低圧力を測定することにより最大孔径dmaxが次式より求められる。
dmax=4・σ/P
σ:表面張力[N/m]
P:圧力[N/m2
【0029】
容器1におけるフィルタ部8よりも上部には、気体の流入口2が設けられている。この流入口2には、バルブ5を有する配管6を介して、気体供給源GSが接続されている。バルブ5を開くと、気体供給源GSと、容器1内におけるフィルタよりも上方の空間1uとが連通し、容器1内に気体を供給できると共に、容器1内の圧力を外部よりも高めることができる。
【0030】
気体供給源GSが供給する気体は特に限定されず、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、空気等が挙げられ、好ましくは、窒素である。
【0031】
容器1におけるフィルタ部8よりも下部には、排出口7が設けられている。排出口7には、バルブ3を設けた配管4を介して、廃液タンク50が接続されている。廃液タンク50は、配管4から排出される流体中の液体をトラップする物であり、ガス成分は、排気管52から系外へ出ることができる。バルブ3を開くと、系外すなわち容器1の外と、容器1内におけるフィルタ部8よりも下方の空間1dとが連通し、容器1内のガスが上から下に向かって含液固体粒子層S及びフィルタ部8を通過して外部に流れ、容器1内の圧力を下げることができる。
【0032】
また、容器1のフィルタ部8よりも上部には、さらに、含液固体又は固液混合物を容器1内に投入するための固体粒子供給口10が設けられている。固体粒子供給口10には、含液固体粒子又は固液混合物を貯留する供給槽9が、バルブ12を有する配管13を介して接続されている。
【0033】
また、乾燥装置100は、フィルタ部8上の含液固体粒子層Sを攪拌する攪拌翼20、及び、攪拌翼20を回転させるモータ22を有している。さらに、容器1は、容器1内の圧力を測定するための圧力計30を備えている。
【0034】
容器1に設けられたそれぞれの流入口、排出口にはバルブが設けられているので、容器内を必要に応じて密閉でき、内部の圧力を高めることができる。また、流入口2と排出口7の間に、フィルタ部8を設けているので、流入口2から供給するガスを、フィルタ部8を通して排出口7へ導くことができる。
【0035】
(製造方法)
続いて、上記乾燥装置を用いた乾燥固体粒子の製造方法について説明する。
【0036】
本実施形態にかかる乾燥固体粒子の製造方法は、主として、含液固体粒子層形成工程と、間欠乾燥工程と、連続乾燥工程と、を備える。
【0037】
[含液固体粒子層形成工程]
まず、容器1内におけるフィルタ部8上に、乾燥対象である含液固体粒子層Sを形成する。
【0038】
「含液固体粒子層」とは、固体粒子群と、この固体粒子群に含まれた液体とを含む層である。
【0039】
固体粒子の粒径の上限は特にないが、10mm以下であることが好ましい。また、固体粒子の粒径の下限も特にないが、例えば、0.001mmとすることができる。
【0040】
含液固体粒子層Sの厚みは特に限定されないが、好ましくは、20〜1000mmである。
【0041】
固体粒子は、液体中にすぐに溶解せずに分散されてスラリーを形成しうる固体粒子であれば特に限定されない。好ましくは、上記スラリーを濾過した場合に、大量の液、特に乾燥固体粒子と同重量以上の大量の液を含有する、乾燥質量基準で100重量%以上の含液率の含液固体粒子層を生じ得る固体粒子である。
【0042】
このような固体としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、チタニア、ゼオライト等の金属化合物およびこれらの貴金属担持物、珪藻土焼成品、パーライト、セルロースパウダー等の濾過助剤、各種高分子添加剤、農薬、医薬およびこれらの中間体化合物、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ノルボルネン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン等の重合体およびこれらの共重合体の粒子が挙げられる。
【0043】
液体は、固体粒子の溶解度が実質的に無視しうる程度に小さい液体であることが好ましい。液体としては、例えば、芳香族系化合物、脂肪族系化合物、含酸素有機化合物、含塩素有機化合物、水等が挙げられる。芳香族系化合物としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。脂肪族系化合物としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。含酸素有機化合物としては、例えば、アセトン、メタノール等が挙げられる。含塩素有機化合物としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム等が挙げられる。
【0044】
含液固体粒子層の含液率は、乾燥質量基準で、好ましくは、100〜1000重量%であり、より好ましくは、120〜800重量%であり、更に好ましくは、150〜500重量%である。
【0045】
フィルタ部8上に含液固体粒子層を形成する方法は特に限定されない。例えば、供給槽9のような容器1の外において予め調製された含液固体粒子を、配管13及びバルブ12を介してフィルタ部8上に供給してもよい。
【0046】
また、含液固体粒子よりも液体の比率が高い固液混合物を、フィルタ部8上に供給し、フィルタ部8で固液混合物を濾過する、すなわち、液体を選択的にフィルタ部8を通過させ、固体粒子濃度を高めることによって、フィルタ部8上に含液固体粒子層を形成してもよい。また、必要に応じて、含液固体粒子層Sを、溶媒を用いて洗浄してもよい。この場合も、溶媒は、フィルタ部8を濾過により通過して、含液固体粒子層Sと分離される。洗浄操作に用いる溶媒としては、上記固体を分散する液体として例示したものと同じものを挙げることができる。この場合は、バルブ3を開放し、液体や溶媒を配管4を通して廃液タンク50に移送することが好ましい。
【0047】
ここで、「固液混合物」とは固体粒子が液中に分散したスラリー状混合流体である。固液混合物の製造方法は、固体粒子の材質、用途等によって異なるが、化学反応により得られた混合物の、濃縮、冷却または貧溶媒との混合による析出操作による方法、原料物質から直接抽出により得た抽出混合物について、同様に析出操作を行う方法、および粒子でない塊状の原料を直接湿式粉砕して得る方法があり、これらのいずれでもよい。
【0048】
[間欠乾燥工程]
続いて、バルブ12及びバルブ3を閉じて容器1を密閉した上で、バルブ5を開き、流入口2及び配管6を通じて空間1uと気体供給源GSとを連通させることにより、容器1内に気体を供給し、容器1内を容器1の外よりも加圧する。続いて、この連通を維持した状態で、バルブ3を間欠的に開閉し、排出口7及び配管4を通じて空間1dと廃液タンク50すなわち容器1の外とを連通させる。これにより、排出口7及び配管4を通じて、容器1内の気体を、フィルタ部8上の含液固体粒子層Sを通して容器1外に間欠的に排出させることができる。これにより、ガスと共に、含液固体粒子層Sに含まれていた液体が、含液固体粒子層Sから排出されるので、含液固体の乾燥が可能となる。
この過程では、間欠的にバルブ3の開閉を行うので、バルブ開放時には容器1内が減圧され、バルブ閉鎖時には容器1内が加圧される。なお、バルブ3を間欠的に開閉させる際に、空間1uと気体供給源GSとの連通が連続的に維持されても、間欠的に維持されていてもよい。
【0049】
容器1内を通過する気体の、含液固体粒子層の単位断面積あたりの流量は、バルブ3の開閉操作により変動するが、バルブ3を開の状態とした場合に、好ましくは、10〜200Nm/(m・Hr)であり、より好ましくは、20〜100Nm/(m・Hr)であり、更に好ましくは、30〜80Nm/(m・Hr)である。また、供給する気体の温度は、好ましくは、−10℃以上かつ固体の融点以下であり、より好ましくは、0℃以上で固体の融点より10℃低い温度以下であり、更に好ましくは、10℃以上で固体の融点より20℃低い温度以下である。
【0050】
また、間欠乾燥工程において、容器1の外壁に設けた加熱手段40により、容器内のガス、フィルタ部8、含液固体粒子層S等を加熱してもよい。加熱する場合の加熱温度は、好ましくは、0℃以上で固体の融点以下であり、より好ましくは、10℃以上で固体の融点より10℃低い温度以下であり、更に好ましくは、20℃以上で固体の融点より20℃低い温度以下である。
【0051】
特に、間欠乾燥工程において、気体供給源GSと容器1内とを連通する状態を連続的に維持しつつ、バルブ3を間欠的に開閉することが好ましい。これにより、バルブ3の閉鎖時に短時間に効率よく容器1内の圧力が回復するため、連通を間欠的に維持する場合に比べてより短時間で乾燥を行うことができる。
【0052】
また、容器1の内圧が20kPaG以下になってからバルブ3を閉じ、容器1の内圧が50kPaG以上になってからバルブ3を開くことを繰り返すことが好ましい。バルブ3の開閉の回数は、開閉のサイクルを一回と数えて、好ましくは、3〜100回であり、より好ましくは、5〜80回であり、更に好ましくは、10〜50回である。
【0053】
また、間欠乾燥工程においては、製品における含液量分布の均一化の観点から、含液固体粒子層を攪拌翼20で攪拌しながら、間欠的にガスを流通させることが好ましい。
【0054】
[連続乾燥工程]
続いて、必要に応じて、連続乾燥工程を行う。
【0055】
具体的には、間欠乾燥工程を行った後、空間1uと気体供給源GSとの連通を維持したまま、バルブ3を開放し、流入口2から流入する気体を、連続的に含液固体粒子層Sを通して外部に排出させる。これにより、含液固体粒子層Sに含まれていた液体がさらに排出される。この場合、間欠乾燥工程によって、含液固体粒子層Sの含液率が乾燥質量基準で33〜100重量%まで乾燥してから、その後、連続乾燥工程を行うことが好ましく、間欠乾燥工程によって、含液固体粒子層の含液率が乾燥質量基準で50〜75重量%まで乾燥してから、その後、連続乾燥工程を行うことがより好ましい。また、バルブ3を連続的に開放する際に、空間1uと気体供給源GSとの連通が連続的に維持されても、間欠的に維持されていてもよいが、連続的に維持されていることが好ましい。
【0056】
連続乾燥工程において、容器1内を通過する気体の容器単位断面積あたりの流量は、好ましくは、10〜200Nm/(m・Hr)であり、より好ましくは、20〜100Nm/(m・Hr)であり、更に好ましくは、30〜80Nm/(m・Hr)である。また、供給する気体の温度は、好ましくは、−10℃以上で固体の融点以下であり、より好ましくは、0℃以上で固体の融点より10℃低い温度以下であり、更に好ましくは、10℃以上で固体の融点より20℃低い温度以下である。
【0057】
また、連続乾燥工程においても、間欠加熱工程と同じく、加熱手段40により容器1内のガス、フィルタ部8、含液固体粒子層S等を加熱してもよい。加熱温度は、好ましくは、0℃以上で固体の融点以下であり、より好ましくは、10℃以上で固体の融点より10℃低い温度以下であり、更に好ましくは、20℃以上で固体の融点より20℃低い温度以下である。
【0058】
また、連続乾燥工程においても、製品の含液率の均一化の観点から、含液固体粒子層Sを攪拌しながらガスを連続的に流通させることが好ましい。最終的に得られる乾燥固体粒子の含水率は、乾燥質量基準で、5%以下であることが好ましい。
【0059】
本発明は上記実施形態に限定されず様々な変形態様が可能である。
例えば、上記実施形態では、フィルタ部8は、2層構造であるが、単層構造の物でも構わない。また、乾燥装置100の構造も上述の構造に限定されないことは言うまでもない。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例中における物性測定は、下記の方法によった。
【0061】
(1)極限粘度[η]
ウベローデ型粘度計を用い、テトラリンを溶媒として135℃で測定した。
【0062】
(2)最高融点
示差走査熱量測定装置(セイコー電子工業社製 SSC−5200)を用いて、以下の条件で測定した。状態調整:20℃から200℃まで20℃/分で昇温後、200℃で10分間保持し、次に、200℃から−50℃まで20℃/分で降温後、−50℃で10分間保持した。融点およびガラス転移点測定:状態調整後、直ちに−50℃から400℃まで20℃/分で昇温した。
【0063】
(3)ポリマー組成
13C−NMR測定により、下記の条件で求めた。13C−NMR装置:BRUKER社製 DRX600
測定溶媒:オルトジクロロベンゼンとオルトジクロロベンゼン−d4の4:1(容積比)混合液、測定温度:135℃
【0064】
(実施例1)
(1)固液混合物の準備工程
窒素置換した攪拌機付き反応容器中に、ビニルシクロヘキサン0.294重量部、脱水トルエン2.34重量部を投入した。次に反応容器を50℃に加熱・保温した状態で、水素およびエチレンにて容器内圧がそれぞれ0.01MPa、0.59MPa昇圧するように、これらのガスを投入した。続いて、トリイソブチルアルミニウムを20重量%含有するトルエン溶液[東ソー・アクゾ(株)製]4.2kgをトルエン30Lで希釈したものを0.023重量部、ジエチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(6−ターシャリーブチル−4−メチルフェノキシ)チタニウムジクロライドを7.4ppm含有するトルエン溶液0.0202重量部、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを439ppm含有するトルエン溶液0.041重量部を、順次反応容器中に投入し、4時間重合反応を行うことによって重合反応液を得た。その後、重合反応液と、メタノール10重量%を含むエタノール溶液0.0063重量部をトルエン0.87重量部で希釈したものとを混合し、得られた溶液を0.1mol/L苛性ソーダ水溶液および水と順次混合・静置分液することで洗浄した上で、アセトン12.28重量部に混合して、エチレン−ビニルシクロヘキサン共重合体([η]:0.49dl/g、ガラス転移点:−29℃、最高融点:57℃、ビニルシクロヘキサン単位含有率:13mol%1)が0.3重量部分散した固液混合物を得た。
【0065】
(2)固液混合物の濾過、及び、得られる含液固体粒子の洗浄工程
上記の準備工程で得られた固液混合物を攪拌機付き濾過乾燥機(濾材:ポリエステル繊維濾布;濾材支持板:ステンレス巣板)に投入して濾過し、さらにアセトンで洗浄することで、アセトンを含んだ含液固体粒子を得た。
【0066】
(3)含液固体粒子層形成工程
次に、図1に示すような攪拌機付き濾過乾燥機のフィルタ部8上に上述の含液固体粒子を供給して含液固体粒子層Sを形成した。
【0067】
(4)間欠乾燥工程
そして、この含液固体粒子層Sを攪拌しながら、バルブ5を開けて気体供給源SGから窒素を容器1内に供給し、容器1内を0.12MPaGまで加圧した。その後、窒素の供給用のバルブ5を開けたままバルブ3を間欠的に開放して、0.01MPaGまでの減圧と、0.12MPaGまでの加圧とを30回反復した。
【0068】
(5)連続乾燥工程
その後、バルブ3及びバルブ5を連続的に開放し、含液固体粒子層の単位面積当りの窒素流量が60Nm/(m・Hr)となる条件下、攪拌機を回転させて撹拌しながら窒素を連続的に通気して含液固体粒子層を乾燥し、排気中の有機ガス分がガス検知器にて検出されなくなるまで乾燥を実施した。間欠乾燥工程の開始から、連続乾燥工程の終了までの所要時間は5.5時間であった。
【0069】
〔比較例1〕
(4)の間欠乾燥工程を行わない以外は実施例1と同様にした。通気は、排気中の有機ガス分がガス検知器(理研計器製GX−2003 TYPE F)にて検出されなくなるまで実施した。乾燥開始から、乾燥終了までの所要時間は7.2時間であった。
【0070】
〔実施例2〕
(1)固液混合物の準備工程
容器内部を窒素置換した容器の中に、トルエン100重量部、セルロースパウダー5重量部を投入して混合する。
【0071】
(2)固液混合物の濾過による含液固体粒子層形成工程
得られる固液混合物を実施例1と同じ濾過乾燥機(濾材:ポリエステル繊維濾布;濾材支持板:ステンレス巣板)のフィルタ部8上に供給して濾過し、トルエンを乾燥質量基準で約200%含んだ含液固体粒子層(層厚み300mm)をフィルタ部上に形成する。
【0072】
(3)間欠乾燥工程
次に、攪拌機を攪拌しながら、バルブ3を閉めた状態でバルブ5を開放したままにして窒素にて0.12MPaGまで加圧し、その後、窒素のバルブ5を開けたままバルブ3を開放して0.01MPaGまで脱圧することを30回反復する。
【0073】
(4)連続乾燥工程
その後、含液固体粒子層の単位濾過面積当りの窒素流量を、60Nm/(m・Hr)とし、攪拌機を回転させて撹拌しながらバルブ3及びバルブ5を開けて窒素で連続的に通気乾燥し、排気中の有機ガス分がガス検知器(理研計器製GX−2003 TYPE F)にて、供給窒素と同じ値になるまでにて検出されなくなるまで乾燥を実施する。
【0074】
〔比較例2〕
(3)の間欠乾燥工程を行わない以外は、実施例2と同様にした。排気中の有機ガス分がガス検知器にて検出されなくなるまで乾燥を実施すると、乾燥開始から、乾燥終了までの所要時間は、実施例2に比して1.2から1.5倍となる。
【0075】
〔実施例3〕
(1)固液混合物の準備工程
ヘプタン100重量部、微細なポリプロピレンパウダー5重量部を、混合する。
【0076】
(2)固液混合物の濾過工程
固液混合物を濾過して含液固体粒子を得る。
【0077】
(3)含液固体粒子層形成工程
得られる含液固体粒子により実施例1と同様に、フィルタ部8上に含液固体粒子層(ヘプタンを乾燥質量基準で120%含む、層厚み300mm)を形成する。
実施例1と同様に、(4)の間欠乾燥工程と、(5)の連続乾燥工程を行う。
【0078】
〔比較例3〕
(4)の間欠乾燥工程を行わない以外は実施例3と同様に行う。乾燥終了までの所要時間は、実施例3に比して1.2から1.5倍となる。
【符号の説明】
【0079】
1…容器、1u…上方の空間、1d…下方の空間、2…流入口、3…バルブ、4…配管、5…バルブ、6…配管、7…排出口、8…フィルタ部、9…含液固体又は固液混合物の供給槽、8a…濾材、8b…支持板、20…攪拌翼、30…圧力計、50…廃液タンク、52…排気配管、100乾燥装置、SG…気体供給源、S…含液固体粒子層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉された容器内に設けられたフィルタ部の上に、含液固体粒子層を形成する工程と、
前記含液固体粒子層よりも上方の空間を気体供給源と連通させ、前記容器の中の圧力を前記容器の外よりも高くする工程と、
前記含液固体粒子層よりも上方の空間と気体供給源との連通を維持した状態で、前記フィルタ部よりも下方の空間と前記容器の外とを間欠的に連通させる工程と、を備えた、乾燥固体粒子の製造方法。
【請求項2】
前記間欠的に連通させる工程を、前記含液固体粒子層よりも上方の空間と気体供給源との連通を連続的に維持した状態で行う請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記間欠的に連通させる工程の後に、前記含液固体粒子層よりも上方の空間と気体供給源との連通を維持した状態で、前記フィルタ部よりも下方の空間と前記容器の外とを連続的に連通させる工程をさらに備える請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記含液固体粒子層を、前記容器の外から前記フィルタ部の上に含液固体粒子を供給することにより形成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記含液固体粒子層を、前記容器の外から前記フィルタ部の上に固液混合物を供給し、前記固液混合物を前記フィルタ部で濾過することにより形成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記間欠的に連通させる工程において、さらに、前記固体粒子層を攪拌する請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記気体供給源が供給する気体が窒素である請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記間欠的に連通させる工程では、前記容器の中の圧力が20kPaG以下となってから前記下方の空間と前記容器の外との連通を遮断し、前記容器の中の圧力が50kPaG以上となってから前記下方の空間と前記容器の外との連通を再開する請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記含液固体粒子の含液率が、乾燥質量基準で100重量%以上である請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−247174(P2012−247174A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121995(P2011−121995)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】