乾燥装置
【課題】被乾燥物の乾燥を効率良く行うことができる乾燥装置を提供する。
【解決手段】乾燥装置1は、内部に被乾燥物を収容可能な乾燥用かご2と、乾燥用かご2内に収容された被乾燥物を乾燥する乾燥室4と、乾燥用かご2を、乾燥用かご2に被乾燥物を供給する供給部17から、乾燥室4および乾燥用かご2から被乾燥物を排出する排出部18へと順次移動させる移動装置5と、乾燥室4にある乾燥用かご2を回転させる第1の回転装置6と、排出部18にある乾燥用かご2を回転させる第2の回転装置8と、排出部18の下方に設けられ、回転した乾燥用かご2から落下する被乾燥物を受ける回収装置7と、排出部18にて被乾燥物が排出された乾燥用かご2を、供給部17に搬送する搬送装置11とを備える。乾燥室4は、複数の乾燥処理部55A〜55Fを備えている。
【解決手段】乾燥装置1は、内部に被乾燥物を収容可能な乾燥用かご2と、乾燥用かご2内に収容された被乾燥物を乾燥する乾燥室4と、乾燥用かご2を、乾燥用かご2に被乾燥物を供給する供給部17から、乾燥室4および乾燥用かご2から被乾燥物を排出する排出部18へと順次移動させる移動装置5と、乾燥室4にある乾燥用かご2を回転させる第1の回転装置6と、排出部18にある乾燥用かご2を回転させる第2の回転装置8と、排出部18の下方に設けられ、回転した乾燥用かご2から落下する被乾燥物を受ける回収装置7と、排出部18にて被乾燥物が排出された乾燥用かご2を、供給部17に搬送する搬送装置11とを備える。乾燥室4は、複数の乾燥処理部55A〜55Fを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置に関し、より詳しくは、衣料などをポット内に収容し、複数のポットを染色の1サイクルを構成する各処理工程を巡回させることにより衣料を染色する自動染色システムにおいて、各ポットから回収した染色後の衣料を順次乾燥するための乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
染液を貯留したポット内に衣料を収容して、このポットを回転させることにより衣料を染色するポット式の染色機が従来から知られている。例えば、特許文献1には、図18に示すように、被染物および染液を収容する染色容器100と、染色容器100を回転させる回転軸101とを備え、回転軸101に固定された駆動用プーリ102を介して回転軸101に回転力を伝達するように構成されたユニット103を複数配置してなる染色機が開示されている。
【0003】
各ユニット103において、染色容器100の開口は上蓋104により閉じられ、上蓋104は取付部材105を介して回転軸101に取り付けられており、回転軸101の回転により染色容器100が回転し、衣料が染色される。染色が終了した後は、染色容器100を取り外して上蓋104を開放し、染色された衣料を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−309476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の染色機では、染色終了後の後処理工程、染色容器100からの衣料の取り出しや染液の回収工程、さらには染色容器100の洗浄工程などの各工程を、それぞれ別のステーションで、いずれも手作業で行う必要があるため、このような作業を複数のユニット103のそれぞれに対して行うことは煩雑で長時間を要するという問題がある。多品目少量生産を求められる製造現場では、生地の種類、サイズ、または色彩の異なる製品を、少ない需要を見込んで短時間で製造することが求められている。
【0006】
そこで、本願の出願人は、衣料を収容した複数のポットを、染液の調合・ポットへの染液の供給処理工程、染色処理工程、染色終了後の後処理工程、ポットからの衣料の取り出し・染液の回収処理工程、さらにはポットの洗浄処理工程など、染色の1サイクルを構成する各処理工程を巡回させることにより、衣料を染色するようにした自動染色システムを提案している(特願2010−112609)。この自動染色システムでは、染色に必要な一連の処理工程が自動的に実行されて、衣料の染色が行われるので、多様な染色を、煩雑な作業を必要とせずに、迅速にかつ効率良く行うことが可能となっている。
【0007】
ただし、上記構成の自動染色システムにおいて、ポットから取り出された染色終了後の衣料を随時、手作業により回収して乾燥処理を行ったのでは、作業に多大の労力と時間とを要し、非能率的である。
【0008】
本発明は、上記した問題に着目してなされたもので、被乾燥物の乾燥を効率良く行うことができる乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、被乾燥物の投入口および前記投入口を塞ぐ取り外し可能な蓋を備え、内部に被乾燥物を収容可能な乾燥用かごと、前記乾燥用かご内に収容された被乾燥物を乾燥する乾燥室と、前記乾燥用かごを、前記乾燥用かごに被乾燥物を供給する供給部、前記供給部の下流側に位置する前記乾燥室、および前記乾燥室の下流側に位置し前記乾燥用かごから被乾燥物を排出する排出部に、順次移動させる移動手段と、前記乾燥室にある前記乾燥用かごを回転させる第1の回転手段と、前記排出部にある前記乾燥用かごを回転させる第2の回転手段と、前記排出部の下方に設けられ、回転した前記乾燥用かごから落下する被乾燥物を受ける回収手段とを備える乾燥装置により達成される。
【0010】
本発明の好ましい実施態様においては、前記乾燥室は、複数の乾燥処理部を備えており、各乾燥処理部は、2つ以上のグループにグループ分けされるとともに、各グループ同士の間は、断熱層により熱的に遮断されていることを特徴としている。
【0011】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の乾燥処理部のうち、最下流に位置する乾燥処理部は、その乾燥温度が該乾燥処理部より上流に位置する他の乾燥処理部の乾燥温度よりも低い温度に設定されていることを特徴としている。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記排出部にて被乾燥物が排出された前記乾燥用かごを、前記供給部に搬送する搬送手段をさらに備えることを特徴としている。
【0013】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、上部に開口部を有し複数の被乾燥物を貯留可能な投入トレーと、前記投入トレーを上下動可能に支持する支持体と、前記投入トレーを前記支持体に対して傾動させる傾動手段とをさらに備え、前記開口部が前記供給部にある前記乾燥用かごの方向へ向くように前記投入トレーを傾動させることにより、前記投入トレーに貯留された被乾燥物を前記乾燥用かごに投入することを特徴としている。
【0014】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記乾燥用かごの内周面には、縦方向に長く延びる凸部が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の乾燥装置によれば、被乾燥物の乾燥を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る乾燥装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す乾燥装置の側面図である。
【図3】乾燥用かごの外観構成を示す斜視図である。
【図4】蓋体を取り外した乾燥用かごの外観構成を示す斜視図である。
【図5】投入装置の外観構成を示す斜視図である。
【図6】図5の要部を拡大した斜視図である。
【図7】乾燥室内の概略構成を示す平面図である。
【図8】乾燥装置の動作を説明するための説明図である。
【図9】図8に示す乾燥装置の作動後の状態を示す斜視図である。
【図10】図9に示す乾燥装置の作動後の状態を示す斜視図である。
【図11】図10に示す乾燥装置の作動後の状態を示す斜視図である。
【図12】図11に示す乾燥装置の作動後の状態を示す斜視図である。
【図13】図12に示す乾燥装置の作動後の状態を示す斜視図である。
【図14】移動装置の概略構成を示す側面図である。
【図15】補助移動装置の動作を説明するための説明図である。
【図16】補助移動装置の動作を説明するための説明図である。
【図17】図2に示す乾燥用かごの他の実施形態を示す要部拡大図である。
【図18】従来の染色機の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る乾燥装置1の全体構成を示す斜視図であり、図2は図1の側面図である。
【0018】
図示例の乾燥装置1は、内部に被乾燥物として衣料を収容可能な複数の乾燥用かご2と、乾燥用かご2内に衣料を投入する投入装置3と、乾燥用かご2内に収容された衣料を乾燥する乾燥室4と、乾燥室4に対して乾燥用かご2を出入りさせるとともに乾燥室4内において乾燥用かご2を移動させる移動装置5と、乾燥室4内の乾燥用かご2を回転させる第1の回転装置6と、乾燥後の衣料を乾燥用かご2から回収する回収装置7と、乾燥用かご2を回転させて乾燥用かご2から回収装置7に衣料を落下させる第2の回転装置8とを備えており、これらは枠体10内に設けられている。なお、本実施形態では、被乾燥物として衣料を例示しているが、本発明に係る乾燥装置は、生地やその他にも種々のものを乾燥することが可能である。
【0019】
乾燥用かご2は、図3および図4に示すように、内部に衣料を収容可能な中空のかご本体20と蓋体21とからなる。かご本体20は、胴部22と、胴部22の両端に設けられた円板状の回転ドラム23とからなり、胴部22の側面に衣料を投入するための投入口24が設けられている。胴部22は、多数の網目を有する例えばステンレス鋼などの金属製のメッシュ22Aを折り曲げることにより構成されており、断面形状が略円形の筒状となっている。メッシュ22Aの長さ方向の両端は、両回転ドラム23を連結する連結部材25,25にそれぞれ取り付けられており、また、メッシュ22Aの幅方向の両端は、各回転ドラム23に設けられた略円形の取付部材26,26にそれぞれ取り付けられている。これにより、メッシュ22Aが各回転ドラム23に固定されている。
【0020】
各回転ドラム23は、薄い金属板により構成されており、その外周縁は、滑り止めのために、例えば、ゴム、シリコン樹脂、エラストラマー、フッ素樹脂など、耐熱性、柔軟性、弾性を有する素材(図示せず)により被覆されている。
【0021】
蓋体21は、金属製のメッシュ21Aが、円弧状の固定部材21B,21Bおよび両固定部材21Bを連結する連結部材21C,21C,21Cにそれぞれ取り付けられることにより構成されている。この蓋体21は、かご本体20の投入口24を塞ぐことが可能な大きさに形成されており、蓋体21の両端の連結部材21Cの端面がかご本体20の各連結部材25の端面にそれぞれ突き合わされて、蓋体21によりかご本体20の投入口24が塞がれる。これにより、かご本体20には、衣料を収容するための閉じた収容空間27が形成される。
【0022】
なお、本実施形態では、かご本体20の胴部22および蓋体21を金属製のメッシュ22A,21Aにより構成しているが、これに限らず、乾燥のための小孔が全面にわたって多数形成されたステンレスなどの柔らかい金属板を円筒状に折り曲げることにより構成してもよい。
【0023】
蓋体21には、蓋体21をかご本体20に固定するための固定手段9が設けられている。固定手段9は、左右一対のピン90,90と、各ピン90の基端に取り付けられた開閉部材91,91と、図示しない左右一対のバネにより構成されている。各ピン90は、蓋体21(中央の連結部材21C)にそれぞれ2つずつ取り付けられた軸受92,93に軸方向に沿って摺動自在に支持されている。各ピン90には、軸受92,93に挟まれる位置に、フランジ部94が設けられており、このフランジ部94と一方の軸受92との間に前記バネが配備されている。各ピン90の先端は、かご本体20の各回転ドラム23に形成された貫通孔95,95に挿通可能である。
【0024】
蓋体21は、各ピン90の先端がかご本体20の各貫通孔95,95に挿通して係合することで、かご本体20に固定される(図3参照)。一方、各開閉部材91を、各開閉部材91にそれぞれ係合可能な一対の把持部材97,97をもつチャック機構96(図11に示す)を用い、各把持部材97の開閉動作により把持して、前記バネのバネ力に抗して内側に向けて変位させると、各ピン90が内側に向けて変位し、各ピン90の先端がかご本体20の各貫通孔95,95から抜け出て係合が外れる。これにより、蓋体21をかご本体20から取り外すことが可能となる(図4参照)。このように、蓋体21は、固定手段9の作用により、かご本体20に対して着脱自在となっている。
【0025】
なお、チャック機構96は、エアシリンダなどのシリンダ装置98により上下方向に昇降可能に構成されているとともに、図示しないチャック駆動装置により、左右方向に移動可能に支持されている。なお、前記チャック駆動装置、シリンダ装置98およびチャック機構96は、制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0026】
乾燥用かご2の内周面には、乾燥用かご2の高さ方向に向かって延びる縦方向に長い凸部28が、等角度位置に複数(本実施形態では、かご本体20に2つ、蓋体21に1つ(図示せず))設けられている。詳細は後述するが、衣料を収容した乾燥用かご2を横倒しの状態で回転させることで衣料の乾燥を行う際に、これらの各凸部28がかご本体20に収容された衣料を掻きあげて撹拌することで、衣料を均一に乾燥させることができ、衣料の乾燥を効率よく行うことができるようになっている。
【0027】
なお、本実施形態では、複数の凸部28を乾燥用かご2の内周面に等間隔に設けているが、必ずしも等間隔に設ける必要はない。また、凸部28は1つだけ設けてあってもよい。
【0028】
投入装置3は、図5および図6に示すように、投入トレー30と、投入トレー30を上下動可能に支持する支持体31と、支持体31を上下動させる駆動装置32と、投入トレー30を支持体31に対して傾動させる傾動装置33とを備える。
【0029】
投入トレー30は、衣料を支持する底板30Aの周縁に後壁部30Bおよび両側壁部30C,30Cが設けられてなり、投入トレー30の前部および上部は開口している。後壁部30Bおよび各側壁部30Cの下端は、底板30Aよりも下方に突き出ているとともに、各側壁部3Cの前方部分は、底板30Aよりも大きく下方に突き出た突出部となっている。各突出部には、軸51が回転自在に設けられている。投入トレー30は、前工程において、染色処理および後処理が行われた衣料が、脱水装置(図示せず)により脱水処理された後、上部の開口から順次供給されることで、複数の衣料が貯留される。
【0030】
支持体31は、左右一対の側板31A,31Aを備えており、各側板31Aは、連結棒50A,50Bによりそれぞれ連結されている。各側板31Aにはそれぞれ略コ字状のガイド部材34,34が取り付けられている。一方、投入トレー3には、各側壁部30Cの突出部から突き出る軸51の両端に、各ガイド部材34により往復摺動自在に支持されるスライド部材35,35がそれぞれ取り付けられており、これにより、投入トレー30が支持体31に対して前方向にスライド可能に配備されている。各スライド部材35には、断面視L字状の支持部材36,36が取り付けられており、各支持部材36の上面に投入トレー30の両側壁部30Cの下端が当接することにより、投入トレー30が上方に開口を有する状体で支持体31により支持される。
【0031】
支持体31は、モータ37を駆動源とする駆動装置32によって、上下動可能に支持されており、これにより、投入トレー30が支持体31により支持された状態で上下動するようになっている。駆動装置32は、モータ37と、駆動プーリ38A,38Bと、従動プーリ39A,39Bと、駆動プーリ38A,38Bと従動プーリ39A,39Bとの間にそれぞれ掛け渡されたベルト40A,40Bとからなる。
【0032】
モータ37は、枠体10に配設されており、モータ37の回転軸(図示せず)に、駆動プーリ38Aが装着されている。駆動プーリ38Aには、回転軸41が取り付けられており、回転軸41の先端に駆動プーリ38Bが装着されて、駆動プーリ38Bが駆動プーリ38Aと一体回転する。回転軸41は、取付板42に設けられた軸受43,43に回動自在に支持されている。取付板42は、後述するガイドロッド48,48を挿通支持するスリーブ44,44を介して枠体10に取り付けられている。従動プーリ39A,39Bは、支持体31の下方において、枠体10に設けられた支軸45に回動自在に支持されている。
【0033】
各ベルト40A,40Bは、その一部分において、連結部材46,46を介して支持体31の各側板31Cに連結されており、モータ37の回転により駆動プーリ38A,38Bが一体に回転すると、ベルト40A,40Bが上方向または下方向に駆動されるので、支持体31が上方向または下方向へ移動するようになっている。なお、支持体31の各側板31Cには、その上下位置に、一対のガイドスリーブ47,47が取り付けられている。これらのガイドスリーブ47は、枠体10に取り付けられた上下に伸びる2本のガイドロッド48,48にそれぞれ上下動自在に挿通されており、これにより、支持体31は各ガイドロッド48よって案内(ガイド)された状態でほぼ真っ直ぐに上下動する。
【0034】
傾動装置33は、駆動源としてエアシリンダなどの傾倒用シリンダ49を備えている。傾倒用シリンダ49は、その基端が連結棒50Bに、ロッド49aの先端が軸51に、それぞれ回転自在に連結されている。各側壁部30Cの突出部には、下端位置にガイドレール52,52がそれぞれ取り付けられており、各ガイドレール52は、連結軸53により連結されている。各ガイドレール52には、後方部に長さ方向に沿って延びる長孔52aがそれぞれ形成されており、この長孔52aに、連結棒50Aが摺動自在に挿通されている。連結棒50Aは、平時は、各長孔52aの一端側に位置している。
【0035】
傾倒シリンダ49のロッド49aが伸長すると、各スライド部材35が各ガイド部材34に沿ってスライドすることにより、投入トレー30が支持体31から前方へ進出する。投入トレー30の進出により、連結棒50Aが各ガイドレール52の長孔52aの他端側に位置するようになると、各ガイドレール52の回転により、投入トレー30が傾斜して、貯留された衣料が前方の開口から落下し、下方に配置された供給部17にある乾燥用かご2に投入されるようになっている(図9参照)。
【0036】
なお、駆動装置32および傾動装置33は、制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0037】
乾燥室4は、図7〜図13に示すように、内部に熱風を流すことによって、乾燥用かご2内に収容された衣料を乾燥するものである。乾燥室4は、外観が箱型をなすとともに、周壁54が断熱材により構成されており、内部の熱風が外部に拡散しないように構成されている。
【0038】
乾燥室4の内部は、複数(図示例では6つ)の乾燥処理部55A〜55Fに分けられている(図7参照)。乾燥用かご2は、各乾燥処理部55A〜55F間を、後述する移動装置5の作動により移動可能となっており、乾燥用かご2が各乾燥処理部55A〜55Fを順次移動することにより、乾燥処理部ごとに衣料が乾燥されるようになっている。本実施形態では、乾燥室4内の右半分側および左半分側にそれぞれ3つずつ乾燥処理部55A〜55C,55D〜55Fが並設されている。乾燥室4の入口となる乾燥処理部55Aには、乾燥用かご2に衣料を供給する供給部17が隣接されている。また、乾燥室4の出口となる乾燥処理部55Fには、乾燥用かご2から衣料を排出する排出部18が隣接されている。供給部17および排出部18から乾燥室4への出入りも、後述する移動装置5の作動により行われる。
【0039】
各乾燥処理部55A〜55Fには、底部位置に熱風導入口56がそれぞれ設けられている。各熱風導入口56には、図示しない熱風供給装置が接続されており、所定温度(本実施形態では、約90℃)の熱風が熱風導入口56を介して各乾燥処理部55A〜55F内に導入されるようになっている。乾燥室4内の熱風は、例えば、乾燥室4の天井部に設けた図示しない熱風導出口から乾燥室4外に排出される。なお、この乾燥室4から排出される熱風を回収し、再度、熱風供給装置に送り込んで乾燥室内に供給することにより、熱風を循環させるように構成してもよい。
【0040】
本発明に係る乾燥装置1では、各乾燥処理部55A〜55Fは、少なくとも2つ以上のグループにグループ分けされている。本実施形態では、供給部17に隣接した乾燥室4内の右半分の3つの乾燥処理部55A〜55C、排出部18に隣接した乾燥室4内の左半分の手前側の1つの乾燥処理部55F、および、乾燥室4内の左半分の奥側の2つの乾燥処理部55D,55Eの3つにグループ分けされている。
【0041】
乾燥処理部55Aと乾燥処理部55Fとの間、および、乾燥処理部55Bと乾燥処理部55Eとの間は、断熱効果を得るために、それぞれ断熱材57により塞がれており、これにより、熱の移動が抑制されている。また、供給部17と乾燥処理部55Aとの間、乾燥処理部55Cと乾燥処理部55Dとの間、乾燥処理部55Eと乾燥処理部55Fとの間、および、乾燥処理部55Fと排出部18との間には、それぞれエアシリンダなどのシリンダ装置86〜89(図1,図2に示す)により上下動可能に支持されたシャッタ58が設けられている。各シャッタ58は、断熱材により形成され、または断熱材により覆われており、これにより、熱の移動が抑制されている。なお、各シリンダ装置86〜89の作動により、シャッタ58をそれぞれ上昇させることで、後述する移動装置5の作動により、乾燥用かご2を、乾燥室4の内外、あるいは、乾燥室4内の乾燥処理部間を移動させることが可能となっている。各シリンダ装置86〜89は、制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0042】
上記したように、乾燥室4内の各グループ同士の間は、断熱層によって熱的に遮断されおり、各グループ間の熱の移動が抑制されている。これにより、脱水直後の衣料が投入される最上流に位置するグループでは、衣料が含む水分によって湿度が高くなるために、乾燥温度が90℃よりも低くなる一方、その次に位置するグループにおいては、衣料に含まれる水分が減っているために、湿度が高くならず、乾燥温度が90℃に近い高温に維持される。これにより、衣料に水分を残さず完全に乾燥することができるようになっている。
【0043】
なお、例えば、各乾燥処理部55A〜55Fの熱風導入口56付近にヒータを設け、ヒータの出力を制御することにより、各乾燥処理部55A〜55F内に導入される熱風の温度を各グループごとによって変えることも可能である。
【0044】
また、本実施形態では、乾燥処理部55A〜55Eの各熱風導入口56からは約90℃の熱風が導入される一方、乾燥処理部55Fの熱風導入口56からは熱風が導入されず、乾燥処理部55Fでは、衣料を常温で回転させながら乾燥するようになっている。これにより、衣料をクーリングダウンさせることができる。衣料は、高温の熱風により乾燥された直後の熱を有する状態で回収されると、衣料にシワなどが発生するおそれがある。このようなシワの発生を回避するために、本実施形態では、高温の熱風による乾燥後、衣料を常温で乾燥させてクーリングダウンさせている。なお、クーリングダウンの効果を向上させるために、乾燥処理部55Fに、ブロアーにより、常温の空気を積極的に導入するようにしてもよい。
【0045】
乾燥室4内部には、水平かつ平行に延びる左右一対の支持軸59,59が各乾燥処理部を横断するように設けられている。本実施形態では、乾燥室4の右半分側および左半分側それぞれに、一対の支持軸59,59が設けられている。各支持軸59は、枠体10に取り付けられた軸受60により、それぞれ回転自在に支持されている。
【0046】
各支持軸59には、乾燥処理部1つにつき、2つのローラ61,61がそれぞれ取り付けられており、本実施形態では、1つの支持軸59あたり6つのローラ61が取り付けられている。各ローラ61は、ゴム、シリコン樹脂、エラストラマー、フッ素樹脂など、耐熱性、柔軟性、弾性を有する素材により形成されており、乾燥処理部ごとに設けられた2つのローラ61,61の間の距離は、乾燥用かご2の各回転ドラム23の間の距離とほぼ等しくなるように設定されている。乾燥用かご2は、各回転ドラム23が一対の支持軸59,59の対応する4つのローラ61上に載置されることにより、乾燥室4内に保持される。また、乾燥用かご2は、後述する第1の回転装置6の作動により、各ローラ61が一方向に回転することにより、各ローラ61と各回転ドラム23との摩擦によって、回転駆動される。
【0047】
第1の回転装置6は、図8〜図13(特に図13)に示すように、駆動源となるモータ68と、モータ68の回転軸(図示せず)に連結された駆動プーリ69(図1や図12に示す)と、一対の支持軸59,59のうちの一方の支持軸59に取り付けられた従動プーリ73と、駆動プーリ69と従動プーリ73との間に掛け渡されたベルト74とで構成されている。駆動プーリ69は、一対の支持軸59,59のうちの他方の支持軸59に取り付けられており、モータ68の回転に伴って回転して、他方の支持軸59を回転させるとともに、ベルト74を介して従動プーリ73に回転を伝達して、一方の支持軸59を同期回転させる。これにより、各支持軸59の各ローラ61上に保持された乾燥用かご2が回転するようになっている。
【0048】
なお、本実施形態では、乾燥室4の右半分側および左半分側それぞれに、第1の回転装置6が設けられている。第1の回転装置6は、制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0049】
移動装置5は、図7、図14、および図8〜図13(特に図13)に示すように、乾燥室4内部に各乾燥処理部を横断するように設けられた水平かつ平行に延びる左右一対の支え棒62,62と、一対の支え棒62を上下動可能に支持する第1、第2の駆動装置63,64と、一対の支え棒62を乾燥室4と供給部17(ないしは排出部18)との間で往復動作させる第3の駆動装置65とからなる。本実施形態では、乾燥室4の右半分側および左半分側それぞれに、移動装置5が設けられている。
【0050】
一対の支え棒62は、乾燥室4内に設けられた一対の支持軸59の間に配備されているとともに、平時は、各支持軸59よりも下方に配備されている。各支え棒62は、一端部が連結板66により連結されているとともに他端部が連結棒67により連結されている。第1の駆動装置63は、エアシリンダなどのシリンダ装置からなり、各支え棒62の一端部側に設けられている。エアシリンダのロッドの先端に設けられた平板部材63aがヒンジ部63bを介して連結板66に連結されており、ロッドの伸縮により連結板66(各支え棒62の一端部側)が上下動するようになっている。
【0051】
第2の駆動装置64は、エアシリンダなどのシリンダ装置からなり、乾燥室4内部に配備されている。エアシリンダのロッドの先端に設けられた平板部材64aに軸64bが水平に軸支されており、軸64bの両端に各支え棒62を載置する断面コ字状の保持部材64cが取り付けられている。ロッドの伸縮により各保持部材64cが上下動することで、各支え棒62の他端部側も上下動するようになっている。
【0052】
第1、第2の駆動装置63,64を同期して駆動させることにより、各支え棒62は上下動し、各支持軸59よりも上方に移動可能になっている。各支え棒62を上方に移動させて、各支え棒62上に乾燥用かご2を保持することで、乾燥用かご2を各支持軸59の各ローラ61上から持ち上げることができる。
【0053】
第3の駆動装置65は、エアシリンダなどのシリンダ装置65aと、ロッドの先端に取り付けられたプレート65bと、水平かつ平行に延びる左右一対のスライダロッド65c、65cとからなる。プレート65bは、その両端において各スライダロッド65cが嵌挿されて、各スライダロッド65cにより支持されており、ロッドに対して精度良く平行状態を保っている。また、プレート65bには、第1の駆動装置63が取り付けられており、プレート65cの往復動作に伴い、各支え棒62が往復動作するようになっている。
【0054】
上記した構成の移動装置5では、第1、第2の駆動装置63,64を作動させて乾燥用かご2を各支え棒62により支持して各支持軸59の各ローラ61から持ち上げ、この状態で、第3の駆動装置65を作動させて各支え棒62を往復動作させることにより、乾燥用かご2は、各乾燥処理部55A〜55C,55D〜55F間の移動、および、乾燥処理部55Aと供給部17(ないしは乾燥処理部55Fと排出部18)との間の移動が可能となっている。なお、第1〜第3の駆動装置63〜65は、制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0055】
また、乾燥室4内には、乾燥処理部55Cにある乾燥用かご2を乾燥処理部55Dに移動させるための補助移動装置75が設けられている。補助移動装置75は、図7および図8〜図13(特に図9)に示すように、乾燥処理部55Cおよび乾燥処理部55Dの双方に設けられており、両端が枠体10に設けられた軸受に回転可能に支持された回転軸76と、一端部が回転軸76に連結されるとともに他端部に支持ローラ77を有する左右一対の揺動部材78と、枠体10に揺動自在に取り付けられたエアシリンダなどのシリンダ装置79とを備えている。回転軸76には、レバー85の一端部が固定されており、シリンダ装置79のロッド79aの先端がレバー85の他端部に揺動自在に取り付けられている。
【0056】
次に、上記構成を備える補助移動装置75の作動について、図15を適宜参照しながら説明する。乾燥処理部55Cと乾燥処理部55Dとの間には、その中間位置を頂部とする傾斜面部19が設けられている。図15(a)に示す状態から、ロッド79aが収縮することにより、各揺動部材78が前方へ揺動して、図15(b)に示すように、乾燥処理部55Cの補助移動装置75の各支持ローラ77が乾燥用かご2の側面に当接した後、図15(c)に示すように、乾燥用かご2を傾斜面部19上を乾燥処理部55Cから乾燥処理部55Dに向けて押し出す。
【0057】
乾燥用かご2が傾斜面部19の頂部位置に到達すると、図15(d)に示すように、乾燥処理部55Dの補助移動装置75の各支持ローラ77が乾燥用かご2の側面に当接する。乾燥用かご2は、図15(e)に示すように、乾燥処理部55Dの補助移動装置75の各支持ローラ77に支持されながら、傾斜面部19上を乾燥処理部55Dに向けて移動する。その後、乾燥用かご2の各回転ドラム23が各支持軸59,59の4つのローラ61上に載置されると、乾燥処理部55Cから乾燥処理部55Dへの乾燥用かご2の移動が完了する。
【0058】
供給部17あるいは排出部18には、図8〜図13(特に図11)に示すように、乾燥用かご2を保持可能な搬送装置11が設けられている。搬送装置11は、水平かつ平行に延びる左右一対の支持軸12,12にそれぞれ2つのローラ13,13が固定されたものである。各支持軸12は、片持ち状態で支持されるもので、その一端側が軸受を介してコ字状の可動部材14により回転自在に支持されている。各ローラ13は、ゴム、シリコン樹脂、エラストラマー、フッ素樹脂など、耐熱性、柔軟性、弾性を有する素材により形成されており、各ローラ13の間の距離は、乾燥用かご2の各回転ドラム23の間の距離とほぼ等しくなるように設定されている。乾燥用かご2は、各回転ドラム23が一対の支持軸12の4つのローラ13上に載置されることで、供給部17あるいは排出部18において保持される。また、乾燥用かご2は、後述する第2の回転装置8の作動により、各ローラ13が一方向に回転することにより、各ローラ13と各回転ドラム23との摩擦によって、回転駆動される。
【0059】
可動部材14には、図8〜図13では図示を省略しているが、その両端側に、可動部材14と一体の帯板状の一対のアーム15が縦設されている(図2参照)。一方、可動部材14の上方には、供給部17から排出部18まで延びる1本の水平な棒部材16が配備されている(図2参照)。可動部材14は、各アーム15の上端部に開設された軸止孔に軸受を介して棒部材16が挿通されることにより、上方より吊持されている。なお、棒部材16は枠体10に取り付けられている。
【0060】
第2の回転装置8は、図8〜図13(特に図11)に示すように、駆動源となるモータ80(図2参照)と、モータ80の回転軸に設けられた駆動プーリ(図示せず)と、一方の支持軸12に取り付けられた第1のプーリ81と、前記駆動プーリと第1のプーリ81との間に掛け渡された第1のベルト82(図2参照)と、各支持軸12に取り付けられた第2のプーリ83,83と、第2のプーリ83,83間に巻き掛けられた第2のベルト84(図2参照)とを備えている。モータ80は、図8〜図13では図示を省略しているが、可動部材14に搭載されている。
【0061】
この第2の回転装置8では、モータ80の回転を第1のベルト82により第1のプーリ81に伝達して一方の支持軸12を回転させ、この回転を第2のプーリ83および第2のベルト84を介して他方の支持軸12に伝達することにより、両支持軸12を同期回転させる。そして、この両支持軸12の回転に伴い、各ローラ13が回転することにより、各ローラ13上に保持された乾燥用かご2が回転するようになっている。なお、乾燥用かご2の投入口24が頂部位置に至ったとき、図示しない位置センサがこれを検知することで、第2の回転装置8が作動を停止し、乾燥用かご2が回転動作を停止するように構成されている。第2の回転装置8は、制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0062】
排出部18の下方位置には、図1および図2に示すように、回転した乾燥用かご2の投入口24から落下する衣料を受ける回収装置7が設けられている。回収装置7は、衣料を収容可能な上部に開口を有する箱状の受器70と、受器70を搬送する搬送コンベヤ71と、空の受器70を段積み状態で貯留する受器貯留部72とを備えている。搬送コンベヤ71は、例えばローラコンベアなどからなり、床面上に設けられ、図示しないコンベヤ駆動装置によって駆動される。例えば、排出部18の下方位置にある受器70に所定枚数の衣料が収容されると、搬送コンベヤ71を駆動させ、当該受器70を搬送するとともに、受器貯留部72から新たな空の受器70を排出部18の下方位置まで搬送するように構成するのが好ましい。なお、前記コンベヤ駆動装置は制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0063】
搬送装置11は、図示しない搬送駆動装置により、棒部材16に沿って供給部17と排出部18との間を往復動作が可能となっている。排出部18にて衣料を排出した乾燥用かご2が、搬送装置11上に保持された状態で、前記搬送駆動装置の作動により、供給部17に搬送されることで、乾燥用かご2は、供給部17、乾燥室4,および排出部18を自動的に巡回するようになっている。なお、乾燥用かご2は、排出部18から供給部17に搬送されるとき、投入口24が頂部に位置して上方を向いた状態が維持されているので、供給部17においては、投入装置3による衣料の投入のために、乾燥用かご2を回転させる必要がない。前記搬送駆動装置は制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0064】
上記乾燥装置1の各構成要素の作動は、制御装置(図示せず)により行われる。
【0065】
次に、上記構成を備える乾燥装置1の作動について、図8〜図13を適宜参照しながら説明する。この乾燥装置1は、衣料を収容した複数のポットを、染液の調合・ポットへの染液の供給処理工程、衣料の染色処理工程、染色終了後の後処理工程、ポットからの衣料の取り出し・染液の回収処理工程、さらにはポットの洗浄処理工程など、染色の1サイクルを構成する各処理工程を巡回させることにより、衣料を染色するようにした自動染色システムに好適に適用される。各処理工程は、ベルトコンベヤなどで連結されており、複数のポットが順次各処理工程に自動的に搬送されるようになっている。乾燥装置1の投入装置3の投入トレー30には、染色終了後、回収処理工程にてポットから取り出された衣料が脱水処理工程を経て次々に供給される。
【0066】
投入装置3の投入トレー30に所定枚数の衣料が供給されると、駆動装置32の作動により投入トレー30を支持体31とともに上方に移動させた後、傾動装置33の作動により、投入トレー30を支持体31に対して前方に傾動させることで、投入トレー30の衣料を、供給部17にある乾燥用かご2内に投入口24から投入する(図9参照)。次に、投入トレー30を元の位置に戻すとともに、チャック機構96の作動により、乾燥用かご2の投入口24を蓋体21により塞ぐ(図10参照)。
【0067】
次に、移動装置5の第3の駆動装置65の作動により、一対の支え棒62を往動させて、供給部17にある乾燥用かご2の下方(搬送装置11の下方位置)に位置させる。そして、第1、第2の駆動装置63,64の作動により、一対の支え棒62を上方に移動させて、乾燥用かご2を各支え棒62により支持して各支持軸12の各ローラ13(搬送装置11)から持ち上げる。この状態で、第3の駆動装置65の作動により、一対の支え棒62を復動させて供給部17にあった乾燥用かご2を乾燥室4内に導入する。このとき、シリンダ装置86を作動させてシャッタ58を閉じる。そして、第1、第2の駆動装置63,64の作動により、一対の支え棒62を下方に移動させることで、乾燥用かご2を各支持軸59の各ローラ61上に載置して、乾燥室4内に保持する(図11参照)。なお、このとき、乾燥処理部55A,55Bにあった乾燥用かご2は、それぞれ乾燥処理部55B,55Cに移動される。
【0068】
次に、各熱風導入口56より、所定温度の熱風を乾燥室4内の乾燥処理部55A〜55Fに導入するとともに(なお、本実施形態では乾燥処理部55Fへの熱風の導入はない)、第1の回転装置6の作動により、乾燥処理部55A〜55Eにある各乾燥用かご2を所定時間回転させることで、各乾燥用かご2に収容された衣料を乾燥する。
【0069】
所定時間の経過後、第1の回転装置6の作動を停止させる。そして、搬送装置11を排出部18に移動させた後、移動装置5の第1、第2の駆動装置63,64の作動により、一対の支え棒62を上方に移動させて、乾燥用かご2を各支え棒62により支持して各支持軸59の各ローラ61から持ち上げるとともに、この状態で、第3の駆動装置65の作動により、一対の支え棒62を往動させて、排出部18の搬送装置11上に、乾燥処理部55Fにあった乾燥用かご2を位置させる。このとき、シリンダ装置89を作動させてシャッタ58を開く。そして、第1、第2の駆動装置63,64の作動により、一対の支え棒62を下方に移動させることで、乾燥用かご2を各支持軸12の各ローラ13上に載置する(図12参照)。なお、一対の支え棒62は、第3の駆動装置65の作動により復動させる。
【0070】
乾燥用かご2を排出部18の搬送装置11上に載置すると、チャック機構96の作動により、乾燥用かご2から蓋体23を取り外す(図13参照)。なお、このとき、乾燥用かご2の蓋体23が頂部に位置していなければ、第2の回転装置8の作動により、蓋体23が頂部に位置するよう乾燥用かご2を回転させる。そして、第2の回転装置8の作動により乾燥用かご2を一回転させることで、投入口24から衣料を回収装置7の受器70内に落下させて衣料を回収する。また、同時に、補助移動装置75の作動により、乾燥処理部55Cにある乾燥用かご2を乾燥処理部55Dへと移動させる(図13参照)。
【0071】
そして、衣料を回収した空の乾燥用かご2は、搬送装置11により、再び供給部17に搬送して、投入装置3により内部に衣料を供給する。このように、本発明の乾燥装置によれば、複数の乾燥用かご2が所定のサイクルで乾燥室4内の乾燥処理部55A〜55Fを順次移動することで、乾燥用かご2内に収容された衣料が乾燥される。よって、投入装置3の投入トレー30に次々と供給される衣料に対して、乾燥を自動的に効率よく行うことが可能であるので、作業効率を高めることができる。
【0072】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、図18(A)に示すように、乾燥用かご2の回転ドラム23の外周縁を耐熱性を有するゴム99Aなどで被覆するとともに、支持軸12,59の各ローラ13,61を耐熱性を有するゴムなどで形成することで、回転ドラム23とローラ13,61との摩擦で、各ローラ13,61の回転により乾燥用かご2を回転させている。
【0073】
しかし、これに限らず、例えば図18(B)に示すように、乾燥用かご2の回転ドラム23の外周縁に、帯状のステンレス板99Bを一周にわたって溶接し、ステンレス板99Bを各ローラ13,61に面で当接させることで、その間の摩擦によって、各ローラ13,61の回転に追従して乾燥用かご2を回転させるようにしてもよい。なお、この場合、各ローラ13,61は耐熱性を有する樹脂で形成することが好ましい。この実施形態によれば、乾燥用かご2の回転ドラム23の外周縁の耐久性を向上できる。
【0074】
また、本実施形態では、乾燥室4内に各乾燥処理部55A〜55Fを二列にして設けているが、各乾燥処理部55A〜55Fを縦一列に並ぶように設けても構わない。このように、乾燥室4内に各乾燥処理部55A〜55Fを縦一列に並べた場合においても、搬送手段により排出部18にて衣料が排出された乾燥用かご2を、搬送手段により供給部17に搬送するように構成するのが好ましい。この際、上記した実施形態のように、乾燥用かご2を、その投入口24が頂部に位置した状態を保ちながら、排出部18から供給部17に搬送するようにしてもよいし、搬送時には、乾燥用かご2を、その投入口24の位置を維持せずに搬送し、搬送先の供給部17において、回転手段により、乾燥用かご2をその投入口24が頂部位置に至るまで回転させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 乾燥装置
2 乾燥用かご
3 投入装置
4 乾燥室
5 移動装置
6 第1の回転装置
7 回収装置
8 第2の回転装置
11 搬送装置
17 供給部
18 排出部
21 蓋体
24 投入口
28 凸部
30 投入トレー
31 支持体
32 駆動装置
33 傾動装置
55A〜55F 乾燥処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置に関し、より詳しくは、衣料などをポット内に収容し、複数のポットを染色の1サイクルを構成する各処理工程を巡回させることにより衣料を染色する自動染色システムにおいて、各ポットから回収した染色後の衣料を順次乾燥するための乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
染液を貯留したポット内に衣料を収容して、このポットを回転させることにより衣料を染色するポット式の染色機が従来から知られている。例えば、特許文献1には、図18に示すように、被染物および染液を収容する染色容器100と、染色容器100を回転させる回転軸101とを備え、回転軸101に固定された駆動用プーリ102を介して回転軸101に回転力を伝達するように構成されたユニット103を複数配置してなる染色機が開示されている。
【0003】
各ユニット103において、染色容器100の開口は上蓋104により閉じられ、上蓋104は取付部材105を介して回転軸101に取り付けられており、回転軸101の回転により染色容器100が回転し、衣料が染色される。染色が終了した後は、染色容器100を取り外して上蓋104を開放し、染色された衣料を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−309476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の染色機では、染色終了後の後処理工程、染色容器100からの衣料の取り出しや染液の回収工程、さらには染色容器100の洗浄工程などの各工程を、それぞれ別のステーションで、いずれも手作業で行う必要があるため、このような作業を複数のユニット103のそれぞれに対して行うことは煩雑で長時間を要するという問題がある。多品目少量生産を求められる製造現場では、生地の種類、サイズ、または色彩の異なる製品を、少ない需要を見込んで短時間で製造することが求められている。
【0006】
そこで、本願の出願人は、衣料を収容した複数のポットを、染液の調合・ポットへの染液の供給処理工程、染色処理工程、染色終了後の後処理工程、ポットからの衣料の取り出し・染液の回収処理工程、さらにはポットの洗浄処理工程など、染色の1サイクルを構成する各処理工程を巡回させることにより、衣料を染色するようにした自動染色システムを提案している(特願2010−112609)。この自動染色システムでは、染色に必要な一連の処理工程が自動的に実行されて、衣料の染色が行われるので、多様な染色を、煩雑な作業を必要とせずに、迅速にかつ効率良く行うことが可能となっている。
【0007】
ただし、上記構成の自動染色システムにおいて、ポットから取り出された染色終了後の衣料を随時、手作業により回収して乾燥処理を行ったのでは、作業に多大の労力と時間とを要し、非能率的である。
【0008】
本発明は、上記した問題に着目してなされたもので、被乾燥物の乾燥を効率良く行うことができる乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、被乾燥物の投入口および前記投入口を塞ぐ取り外し可能な蓋を備え、内部に被乾燥物を収容可能な乾燥用かごと、前記乾燥用かご内に収容された被乾燥物を乾燥する乾燥室と、前記乾燥用かごを、前記乾燥用かごに被乾燥物を供給する供給部、前記供給部の下流側に位置する前記乾燥室、および前記乾燥室の下流側に位置し前記乾燥用かごから被乾燥物を排出する排出部に、順次移動させる移動手段と、前記乾燥室にある前記乾燥用かごを回転させる第1の回転手段と、前記排出部にある前記乾燥用かごを回転させる第2の回転手段と、前記排出部の下方に設けられ、回転した前記乾燥用かごから落下する被乾燥物を受ける回収手段とを備える乾燥装置により達成される。
【0010】
本発明の好ましい実施態様においては、前記乾燥室は、複数の乾燥処理部を備えており、各乾燥処理部は、2つ以上のグループにグループ分けされるとともに、各グループ同士の間は、断熱層により熱的に遮断されていることを特徴としている。
【0011】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の乾燥処理部のうち、最下流に位置する乾燥処理部は、その乾燥温度が該乾燥処理部より上流に位置する他の乾燥処理部の乾燥温度よりも低い温度に設定されていることを特徴としている。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記排出部にて被乾燥物が排出された前記乾燥用かごを、前記供給部に搬送する搬送手段をさらに備えることを特徴としている。
【0013】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、上部に開口部を有し複数の被乾燥物を貯留可能な投入トレーと、前記投入トレーを上下動可能に支持する支持体と、前記投入トレーを前記支持体に対して傾動させる傾動手段とをさらに備え、前記開口部が前記供給部にある前記乾燥用かごの方向へ向くように前記投入トレーを傾動させることにより、前記投入トレーに貯留された被乾燥物を前記乾燥用かごに投入することを特徴としている。
【0014】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記乾燥用かごの内周面には、縦方向に長く延びる凸部が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の乾燥装置によれば、被乾燥物の乾燥を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る乾燥装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す乾燥装置の側面図である。
【図3】乾燥用かごの外観構成を示す斜視図である。
【図4】蓋体を取り外した乾燥用かごの外観構成を示す斜視図である。
【図5】投入装置の外観構成を示す斜視図である。
【図6】図5の要部を拡大した斜視図である。
【図7】乾燥室内の概略構成を示す平面図である。
【図8】乾燥装置の動作を説明するための説明図である。
【図9】図8に示す乾燥装置の作動後の状態を示す斜視図である。
【図10】図9に示す乾燥装置の作動後の状態を示す斜視図である。
【図11】図10に示す乾燥装置の作動後の状態を示す斜視図である。
【図12】図11に示す乾燥装置の作動後の状態を示す斜視図である。
【図13】図12に示す乾燥装置の作動後の状態を示す斜視図である。
【図14】移動装置の概略構成を示す側面図である。
【図15】補助移動装置の動作を説明するための説明図である。
【図16】補助移動装置の動作を説明するための説明図である。
【図17】図2に示す乾燥用かごの他の実施形態を示す要部拡大図である。
【図18】従来の染色機の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る乾燥装置1の全体構成を示す斜視図であり、図2は図1の側面図である。
【0018】
図示例の乾燥装置1は、内部に被乾燥物として衣料を収容可能な複数の乾燥用かご2と、乾燥用かご2内に衣料を投入する投入装置3と、乾燥用かご2内に収容された衣料を乾燥する乾燥室4と、乾燥室4に対して乾燥用かご2を出入りさせるとともに乾燥室4内において乾燥用かご2を移動させる移動装置5と、乾燥室4内の乾燥用かご2を回転させる第1の回転装置6と、乾燥後の衣料を乾燥用かご2から回収する回収装置7と、乾燥用かご2を回転させて乾燥用かご2から回収装置7に衣料を落下させる第2の回転装置8とを備えており、これらは枠体10内に設けられている。なお、本実施形態では、被乾燥物として衣料を例示しているが、本発明に係る乾燥装置は、生地やその他にも種々のものを乾燥することが可能である。
【0019】
乾燥用かご2は、図3および図4に示すように、内部に衣料を収容可能な中空のかご本体20と蓋体21とからなる。かご本体20は、胴部22と、胴部22の両端に設けられた円板状の回転ドラム23とからなり、胴部22の側面に衣料を投入するための投入口24が設けられている。胴部22は、多数の網目を有する例えばステンレス鋼などの金属製のメッシュ22Aを折り曲げることにより構成されており、断面形状が略円形の筒状となっている。メッシュ22Aの長さ方向の両端は、両回転ドラム23を連結する連結部材25,25にそれぞれ取り付けられており、また、メッシュ22Aの幅方向の両端は、各回転ドラム23に設けられた略円形の取付部材26,26にそれぞれ取り付けられている。これにより、メッシュ22Aが各回転ドラム23に固定されている。
【0020】
各回転ドラム23は、薄い金属板により構成されており、その外周縁は、滑り止めのために、例えば、ゴム、シリコン樹脂、エラストラマー、フッ素樹脂など、耐熱性、柔軟性、弾性を有する素材(図示せず)により被覆されている。
【0021】
蓋体21は、金属製のメッシュ21Aが、円弧状の固定部材21B,21Bおよび両固定部材21Bを連結する連結部材21C,21C,21Cにそれぞれ取り付けられることにより構成されている。この蓋体21は、かご本体20の投入口24を塞ぐことが可能な大きさに形成されており、蓋体21の両端の連結部材21Cの端面がかご本体20の各連結部材25の端面にそれぞれ突き合わされて、蓋体21によりかご本体20の投入口24が塞がれる。これにより、かご本体20には、衣料を収容するための閉じた収容空間27が形成される。
【0022】
なお、本実施形態では、かご本体20の胴部22および蓋体21を金属製のメッシュ22A,21Aにより構成しているが、これに限らず、乾燥のための小孔が全面にわたって多数形成されたステンレスなどの柔らかい金属板を円筒状に折り曲げることにより構成してもよい。
【0023】
蓋体21には、蓋体21をかご本体20に固定するための固定手段9が設けられている。固定手段9は、左右一対のピン90,90と、各ピン90の基端に取り付けられた開閉部材91,91と、図示しない左右一対のバネにより構成されている。各ピン90は、蓋体21(中央の連結部材21C)にそれぞれ2つずつ取り付けられた軸受92,93に軸方向に沿って摺動自在に支持されている。各ピン90には、軸受92,93に挟まれる位置に、フランジ部94が設けられており、このフランジ部94と一方の軸受92との間に前記バネが配備されている。各ピン90の先端は、かご本体20の各回転ドラム23に形成された貫通孔95,95に挿通可能である。
【0024】
蓋体21は、各ピン90の先端がかご本体20の各貫通孔95,95に挿通して係合することで、かご本体20に固定される(図3参照)。一方、各開閉部材91を、各開閉部材91にそれぞれ係合可能な一対の把持部材97,97をもつチャック機構96(図11に示す)を用い、各把持部材97の開閉動作により把持して、前記バネのバネ力に抗して内側に向けて変位させると、各ピン90が内側に向けて変位し、各ピン90の先端がかご本体20の各貫通孔95,95から抜け出て係合が外れる。これにより、蓋体21をかご本体20から取り外すことが可能となる(図4参照)。このように、蓋体21は、固定手段9の作用により、かご本体20に対して着脱自在となっている。
【0025】
なお、チャック機構96は、エアシリンダなどのシリンダ装置98により上下方向に昇降可能に構成されているとともに、図示しないチャック駆動装置により、左右方向に移動可能に支持されている。なお、前記チャック駆動装置、シリンダ装置98およびチャック機構96は、制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0026】
乾燥用かご2の内周面には、乾燥用かご2の高さ方向に向かって延びる縦方向に長い凸部28が、等角度位置に複数(本実施形態では、かご本体20に2つ、蓋体21に1つ(図示せず))設けられている。詳細は後述するが、衣料を収容した乾燥用かご2を横倒しの状態で回転させることで衣料の乾燥を行う際に、これらの各凸部28がかご本体20に収容された衣料を掻きあげて撹拌することで、衣料を均一に乾燥させることができ、衣料の乾燥を効率よく行うことができるようになっている。
【0027】
なお、本実施形態では、複数の凸部28を乾燥用かご2の内周面に等間隔に設けているが、必ずしも等間隔に設ける必要はない。また、凸部28は1つだけ設けてあってもよい。
【0028】
投入装置3は、図5および図6に示すように、投入トレー30と、投入トレー30を上下動可能に支持する支持体31と、支持体31を上下動させる駆動装置32と、投入トレー30を支持体31に対して傾動させる傾動装置33とを備える。
【0029】
投入トレー30は、衣料を支持する底板30Aの周縁に後壁部30Bおよび両側壁部30C,30Cが設けられてなり、投入トレー30の前部および上部は開口している。後壁部30Bおよび各側壁部30Cの下端は、底板30Aよりも下方に突き出ているとともに、各側壁部3Cの前方部分は、底板30Aよりも大きく下方に突き出た突出部となっている。各突出部には、軸51が回転自在に設けられている。投入トレー30は、前工程において、染色処理および後処理が行われた衣料が、脱水装置(図示せず)により脱水処理された後、上部の開口から順次供給されることで、複数の衣料が貯留される。
【0030】
支持体31は、左右一対の側板31A,31Aを備えており、各側板31Aは、連結棒50A,50Bによりそれぞれ連結されている。各側板31Aにはそれぞれ略コ字状のガイド部材34,34が取り付けられている。一方、投入トレー3には、各側壁部30Cの突出部から突き出る軸51の両端に、各ガイド部材34により往復摺動自在に支持されるスライド部材35,35がそれぞれ取り付けられており、これにより、投入トレー30が支持体31に対して前方向にスライド可能に配備されている。各スライド部材35には、断面視L字状の支持部材36,36が取り付けられており、各支持部材36の上面に投入トレー30の両側壁部30Cの下端が当接することにより、投入トレー30が上方に開口を有する状体で支持体31により支持される。
【0031】
支持体31は、モータ37を駆動源とする駆動装置32によって、上下動可能に支持されており、これにより、投入トレー30が支持体31により支持された状態で上下動するようになっている。駆動装置32は、モータ37と、駆動プーリ38A,38Bと、従動プーリ39A,39Bと、駆動プーリ38A,38Bと従動プーリ39A,39Bとの間にそれぞれ掛け渡されたベルト40A,40Bとからなる。
【0032】
モータ37は、枠体10に配設されており、モータ37の回転軸(図示せず)に、駆動プーリ38Aが装着されている。駆動プーリ38Aには、回転軸41が取り付けられており、回転軸41の先端に駆動プーリ38Bが装着されて、駆動プーリ38Bが駆動プーリ38Aと一体回転する。回転軸41は、取付板42に設けられた軸受43,43に回動自在に支持されている。取付板42は、後述するガイドロッド48,48を挿通支持するスリーブ44,44を介して枠体10に取り付けられている。従動プーリ39A,39Bは、支持体31の下方において、枠体10に設けられた支軸45に回動自在に支持されている。
【0033】
各ベルト40A,40Bは、その一部分において、連結部材46,46を介して支持体31の各側板31Cに連結されており、モータ37の回転により駆動プーリ38A,38Bが一体に回転すると、ベルト40A,40Bが上方向または下方向に駆動されるので、支持体31が上方向または下方向へ移動するようになっている。なお、支持体31の各側板31Cには、その上下位置に、一対のガイドスリーブ47,47が取り付けられている。これらのガイドスリーブ47は、枠体10に取り付けられた上下に伸びる2本のガイドロッド48,48にそれぞれ上下動自在に挿通されており、これにより、支持体31は各ガイドロッド48よって案内(ガイド)された状態でほぼ真っ直ぐに上下動する。
【0034】
傾動装置33は、駆動源としてエアシリンダなどの傾倒用シリンダ49を備えている。傾倒用シリンダ49は、その基端が連結棒50Bに、ロッド49aの先端が軸51に、それぞれ回転自在に連結されている。各側壁部30Cの突出部には、下端位置にガイドレール52,52がそれぞれ取り付けられており、各ガイドレール52は、連結軸53により連結されている。各ガイドレール52には、後方部に長さ方向に沿って延びる長孔52aがそれぞれ形成されており、この長孔52aに、連結棒50Aが摺動自在に挿通されている。連結棒50Aは、平時は、各長孔52aの一端側に位置している。
【0035】
傾倒シリンダ49のロッド49aが伸長すると、各スライド部材35が各ガイド部材34に沿ってスライドすることにより、投入トレー30が支持体31から前方へ進出する。投入トレー30の進出により、連結棒50Aが各ガイドレール52の長孔52aの他端側に位置するようになると、各ガイドレール52の回転により、投入トレー30が傾斜して、貯留された衣料が前方の開口から落下し、下方に配置された供給部17にある乾燥用かご2に投入されるようになっている(図9参照)。
【0036】
なお、駆動装置32および傾動装置33は、制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0037】
乾燥室4は、図7〜図13に示すように、内部に熱風を流すことによって、乾燥用かご2内に収容された衣料を乾燥するものである。乾燥室4は、外観が箱型をなすとともに、周壁54が断熱材により構成されており、内部の熱風が外部に拡散しないように構成されている。
【0038】
乾燥室4の内部は、複数(図示例では6つ)の乾燥処理部55A〜55Fに分けられている(図7参照)。乾燥用かご2は、各乾燥処理部55A〜55F間を、後述する移動装置5の作動により移動可能となっており、乾燥用かご2が各乾燥処理部55A〜55Fを順次移動することにより、乾燥処理部ごとに衣料が乾燥されるようになっている。本実施形態では、乾燥室4内の右半分側および左半分側にそれぞれ3つずつ乾燥処理部55A〜55C,55D〜55Fが並設されている。乾燥室4の入口となる乾燥処理部55Aには、乾燥用かご2に衣料を供給する供給部17が隣接されている。また、乾燥室4の出口となる乾燥処理部55Fには、乾燥用かご2から衣料を排出する排出部18が隣接されている。供給部17および排出部18から乾燥室4への出入りも、後述する移動装置5の作動により行われる。
【0039】
各乾燥処理部55A〜55Fには、底部位置に熱風導入口56がそれぞれ設けられている。各熱風導入口56には、図示しない熱風供給装置が接続されており、所定温度(本実施形態では、約90℃)の熱風が熱風導入口56を介して各乾燥処理部55A〜55F内に導入されるようになっている。乾燥室4内の熱風は、例えば、乾燥室4の天井部に設けた図示しない熱風導出口から乾燥室4外に排出される。なお、この乾燥室4から排出される熱風を回収し、再度、熱風供給装置に送り込んで乾燥室内に供給することにより、熱風を循環させるように構成してもよい。
【0040】
本発明に係る乾燥装置1では、各乾燥処理部55A〜55Fは、少なくとも2つ以上のグループにグループ分けされている。本実施形態では、供給部17に隣接した乾燥室4内の右半分の3つの乾燥処理部55A〜55C、排出部18に隣接した乾燥室4内の左半分の手前側の1つの乾燥処理部55F、および、乾燥室4内の左半分の奥側の2つの乾燥処理部55D,55Eの3つにグループ分けされている。
【0041】
乾燥処理部55Aと乾燥処理部55Fとの間、および、乾燥処理部55Bと乾燥処理部55Eとの間は、断熱効果を得るために、それぞれ断熱材57により塞がれており、これにより、熱の移動が抑制されている。また、供給部17と乾燥処理部55Aとの間、乾燥処理部55Cと乾燥処理部55Dとの間、乾燥処理部55Eと乾燥処理部55Fとの間、および、乾燥処理部55Fと排出部18との間には、それぞれエアシリンダなどのシリンダ装置86〜89(図1,図2に示す)により上下動可能に支持されたシャッタ58が設けられている。各シャッタ58は、断熱材により形成され、または断熱材により覆われており、これにより、熱の移動が抑制されている。なお、各シリンダ装置86〜89の作動により、シャッタ58をそれぞれ上昇させることで、後述する移動装置5の作動により、乾燥用かご2を、乾燥室4の内外、あるいは、乾燥室4内の乾燥処理部間を移動させることが可能となっている。各シリンダ装置86〜89は、制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0042】
上記したように、乾燥室4内の各グループ同士の間は、断熱層によって熱的に遮断されおり、各グループ間の熱の移動が抑制されている。これにより、脱水直後の衣料が投入される最上流に位置するグループでは、衣料が含む水分によって湿度が高くなるために、乾燥温度が90℃よりも低くなる一方、その次に位置するグループにおいては、衣料に含まれる水分が減っているために、湿度が高くならず、乾燥温度が90℃に近い高温に維持される。これにより、衣料に水分を残さず完全に乾燥することができるようになっている。
【0043】
なお、例えば、各乾燥処理部55A〜55Fの熱風導入口56付近にヒータを設け、ヒータの出力を制御することにより、各乾燥処理部55A〜55F内に導入される熱風の温度を各グループごとによって変えることも可能である。
【0044】
また、本実施形態では、乾燥処理部55A〜55Eの各熱風導入口56からは約90℃の熱風が導入される一方、乾燥処理部55Fの熱風導入口56からは熱風が導入されず、乾燥処理部55Fでは、衣料を常温で回転させながら乾燥するようになっている。これにより、衣料をクーリングダウンさせることができる。衣料は、高温の熱風により乾燥された直後の熱を有する状態で回収されると、衣料にシワなどが発生するおそれがある。このようなシワの発生を回避するために、本実施形態では、高温の熱風による乾燥後、衣料を常温で乾燥させてクーリングダウンさせている。なお、クーリングダウンの効果を向上させるために、乾燥処理部55Fに、ブロアーにより、常温の空気を積極的に導入するようにしてもよい。
【0045】
乾燥室4内部には、水平かつ平行に延びる左右一対の支持軸59,59が各乾燥処理部を横断するように設けられている。本実施形態では、乾燥室4の右半分側および左半分側それぞれに、一対の支持軸59,59が設けられている。各支持軸59は、枠体10に取り付けられた軸受60により、それぞれ回転自在に支持されている。
【0046】
各支持軸59には、乾燥処理部1つにつき、2つのローラ61,61がそれぞれ取り付けられており、本実施形態では、1つの支持軸59あたり6つのローラ61が取り付けられている。各ローラ61は、ゴム、シリコン樹脂、エラストラマー、フッ素樹脂など、耐熱性、柔軟性、弾性を有する素材により形成されており、乾燥処理部ごとに設けられた2つのローラ61,61の間の距離は、乾燥用かご2の各回転ドラム23の間の距離とほぼ等しくなるように設定されている。乾燥用かご2は、各回転ドラム23が一対の支持軸59,59の対応する4つのローラ61上に載置されることにより、乾燥室4内に保持される。また、乾燥用かご2は、後述する第1の回転装置6の作動により、各ローラ61が一方向に回転することにより、各ローラ61と各回転ドラム23との摩擦によって、回転駆動される。
【0047】
第1の回転装置6は、図8〜図13(特に図13)に示すように、駆動源となるモータ68と、モータ68の回転軸(図示せず)に連結された駆動プーリ69(図1や図12に示す)と、一対の支持軸59,59のうちの一方の支持軸59に取り付けられた従動プーリ73と、駆動プーリ69と従動プーリ73との間に掛け渡されたベルト74とで構成されている。駆動プーリ69は、一対の支持軸59,59のうちの他方の支持軸59に取り付けられており、モータ68の回転に伴って回転して、他方の支持軸59を回転させるとともに、ベルト74を介して従動プーリ73に回転を伝達して、一方の支持軸59を同期回転させる。これにより、各支持軸59の各ローラ61上に保持された乾燥用かご2が回転するようになっている。
【0048】
なお、本実施形態では、乾燥室4の右半分側および左半分側それぞれに、第1の回転装置6が設けられている。第1の回転装置6は、制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0049】
移動装置5は、図7、図14、および図8〜図13(特に図13)に示すように、乾燥室4内部に各乾燥処理部を横断するように設けられた水平かつ平行に延びる左右一対の支え棒62,62と、一対の支え棒62を上下動可能に支持する第1、第2の駆動装置63,64と、一対の支え棒62を乾燥室4と供給部17(ないしは排出部18)との間で往復動作させる第3の駆動装置65とからなる。本実施形態では、乾燥室4の右半分側および左半分側それぞれに、移動装置5が設けられている。
【0050】
一対の支え棒62は、乾燥室4内に設けられた一対の支持軸59の間に配備されているとともに、平時は、各支持軸59よりも下方に配備されている。各支え棒62は、一端部が連結板66により連結されているとともに他端部が連結棒67により連結されている。第1の駆動装置63は、エアシリンダなどのシリンダ装置からなり、各支え棒62の一端部側に設けられている。エアシリンダのロッドの先端に設けられた平板部材63aがヒンジ部63bを介して連結板66に連結されており、ロッドの伸縮により連結板66(各支え棒62の一端部側)が上下動するようになっている。
【0051】
第2の駆動装置64は、エアシリンダなどのシリンダ装置からなり、乾燥室4内部に配備されている。エアシリンダのロッドの先端に設けられた平板部材64aに軸64bが水平に軸支されており、軸64bの両端に各支え棒62を載置する断面コ字状の保持部材64cが取り付けられている。ロッドの伸縮により各保持部材64cが上下動することで、各支え棒62の他端部側も上下動するようになっている。
【0052】
第1、第2の駆動装置63,64を同期して駆動させることにより、各支え棒62は上下動し、各支持軸59よりも上方に移動可能になっている。各支え棒62を上方に移動させて、各支え棒62上に乾燥用かご2を保持することで、乾燥用かご2を各支持軸59の各ローラ61上から持ち上げることができる。
【0053】
第3の駆動装置65は、エアシリンダなどのシリンダ装置65aと、ロッドの先端に取り付けられたプレート65bと、水平かつ平行に延びる左右一対のスライダロッド65c、65cとからなる。プレート65bは、その両端において各スライダロッド65cが嵌挿されて、各スライダロッド65cにより支持されており、ロッドに対して精度良く平行状態を保っている。また、プレート65bには、第1の駆動装置63が取り付けられており、プレート65cの往復動作に伴い、各支え棒62が往復動作するようになっている。
【0054】
上記した構成の移動装置5では、第1、第2の駆動装置63,64を作動させて乾燥用かご2を各支え棒62により支持して各支持軸59の各ローラ61から持ち上げ、この状態で、第3の駆動装置65を作動させて各支え棒62を往復動作させることにより、乾燥用かご2は、各乾燥処理部55A〜55C,55D〜55F間の移動、および、乾燥処理部55Aと供給部17(ないしは乾燥処理部55Fと排出部18)との間の移動が可能となっている。なお、第1〜第3の駆動装置63〜65は、制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0055】
また、乾燥室4内には、乾燥処理部55Cにある乾燥用かご2を乾燥処理部55Dに移動させるための補助移動装置75が設けられている。補助移動装置75は、図7および図8〜図13(特に図9)に示すように、乾燥処理部55Cおよび乾燥処理部55Dの双方に設けられており、両端が枠体10に設けられた軸受に回転可能に支持された回転軸76と、一端部が回転軸76に連結されるとともに他端部に支持ローラ77を有する左右一対の揺動部材78と、枠体10に揺動自在に取り付けられたエアシリンダなどのシリンダ装置79とを備えている。回転軸76には、レバー85の一端部が固定されており、シリンダ装置79のロッド79aの先端がレバー85の他端部に揺動自在に取り付けられている。
【0056】
次に、上記構成を備える補助移動装置75の作動について、図15を適宜参照しながら説明する。乾燥処理部55Cと乾燥処理部55Dとの間には、その中間位置を頂部とする傾斜面部19が設けられている。図15(a)に示す状態から、ロッド79aが収縮することにより、各揺動部材78が前方へ揺動して、図15(b)に示すように、乾燥処理部55Cの補助移動装置75の各支持ローラ77が乾燥用かご2の側面に当接した後、図15(c)に示すように、乾燥用かご2を傾斜面部19上を乾燥処理部55Cから乾燥処理部55Dに向けて押し出す。
【0057】
乾燥用かご2が傾斜面部19の頂部位置に到達すると、図15(d)に示すように、乾燥処理部55Dの補助移動装置75の各支持ローラ77が乾燥用かご2の側面に当接する。乾燥用かご2は、図15(e)に示すように、乾燥処理部55Dの補助移動装置75の各支持ローラ77に支持されながら、傾斜面部19上を乾燥処理部55Dに向けて移動する。その後、乾燥用かご2の各回転ドラム23が各支持軸59,59の4つのローラ61上に載置されると、乾燥処理部55Cから乾燥処理部55Dへの乾燥用かご2の移動が完了する。
【0058】
供給部17あるいは排出部18には、図8〜図13(特に図11)に示すように、乾燥用かご2を保持可能な搬送装置11が設けられている。搬送装置11は、水平かつ平行に延びる左右一対の支持軸12,12にそれぞれ2つのローラ13,13が固定されたものである。各支持軸12は、片持ち状態で支持されるもので、その一端側が軸受を介してコ字状の可動部材14により回転自在に支持されている。各ローラ13は、ゴム、シリコン樹脂、エラストラマー、フッ素樹脂など、耐熱性、柔軟性、弾性を有する素材により形成されており、各ローラ13の間の距離は、乾燥用かご2の各回転ドラム23の間の距離とほぼ等しくなるように設定されている。乾燥用かご2は、各回転ドラム23が一対の支持軸12の4つのローラ13上に載置されることで、供給部17あるいは排出部18において保持される。また、乾燥用かご2は、後述する第2の回転装置8の作動により、各ローラ13が一方向に回転することにより、各ローラ13と各回転ドラム23との摩擦によって、回転駆動される。
【0059】
可動部材14には、図8〜図13では図示を省略しているが、その両端側に、可動部材14と一体の帯板状の一対のアーム15が縦設されている(図2参照)。一方、可動部材14の上方には、供給部17から排出部18まで延びる1本の水平な棒部材16が配備されている(図2参照)。可動部材14は、各アーム15の上端部に開設された軸止孔に軸受を介して棒部材16が挿通されることにより、上方より吊持されている。なお、棒部材16は枠体10に取り付けられている。
【0060】
第2の回転装置8は、図8〜図13(特に図11)に示すように、駆動源となるモータ80(図2参照)と、モータ80の回転軸に設けられた駆動プーリ(図示せず)と、一方の支持軸12に取り付けられた第1のプーリ81と、前記駆動プーリと第1のプーリ81との間に掛け渡された第1のベルト82(図2参照)と、各支持軸12に取り付けられた第2のプーリ83,83と、第2のプーリ83,83間に巻き掛けられた第2のベルト84(図2参照)とを備えている。モータ80は、図8〜図13では図示を省略しているが、可動部材14に搭載されている。
【0061】
この第2の回転装置8では、モータ80の回転を第1のベルト82により第1のプーリ81に伝達して一方の支持軸12を回転させ、この回転を第2のプーリ83および第2のベルト84を介して他方の支持軸12に伝達することにより、両支持軸12を同期回転させる。そして、この両支持軸12の回転に伴い、各ローラ13が回転することにより、各ローラ13上に保持された乾燥用かご2が回転するようになっている。なお、乾燥用かご2の投入口24が頂部位置に至ったとき、図示しない位置センサがこれを検知することで、第2の回転装置8が作動を停止し、乾燥用かご2が回転動作を停止するように構成されている。第2の回転装置8は、制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0062】
排出部18の下方位置には、図1および図2に示すように、回転した乾燥用かご2の投入口24から落下する衣料を受ける回収装置7が設けられている。回収装置7は、衣料を収容可能な上部に開口を有する箱状の受器70と、受器70を搬送する搬送コンベヤ71と、空の受器70を段積み状態で貯留する受器貯留部72とを備えている。搬送コンベヤ71は、例えばローラコンベアなどからなり、床面上に設けられ、図示しないコンベヤ駆動装置によって駆動される。例えば、排出部18の下方位置にある受器70に所定枚数の衣料が収容されると、搬送コンベヤ71を駆動させ、当該受器70を搬送するとともに、受器貯留部72から新たな空の受器70を排出部18の下方位置まで搬送するように構成するのが好ましい。なお、前記コンベヤ駆動装置は制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0063】
搬送装置11は、図示しない搬送駆動装置により、棒部材16に沿って供給部17と排出部18との間を往復動作が可能となっている。排出部18にて衣料を排出した乾燥用かご2が、搬送装置11上に保持された状態で、前記搬送駆動装置の作動により、供給部17に搬送されることで、乾燥用かご2は、供給部17、乾燥室4,および排出部18を自動的に巡回するようになっている。なお、乾燥用かご2は、排出部18から供給部17に搬送されるとき、投入口24が頂部に位置して上方を向いた状態が維持されているので、供給部17においては、投入装置3による衣料の投入のために、乾燥用かご2を回転させる必要がない。前記搬送駆動装置は制御装置(図示せず)により駆動および停止が制御される。
【0064】
上記乾燥装置1の各構成要素の作動は、制御装置(図示せず)により行われる。
【0065】
次に、上記構成を備える乾燥装置1の作動について、図8〜図13を適宜参照しながら説明する。この乾燥装置1は、衣料を収容した複数のポットを、染液の調合・ポットへの染液の供給処理工程、衣料の染色処理工程、染色終了後の後処理工程、ポットからの衣料の取り出し・染液の回収処理工程、さらにはポットの洗浄処理工程など、染色の1サイクルを構成する各処理工程を巡回させることにより、衣料を染色するようにした自動染色システムに好適に適用される。各処理工程は、ベルトコンベヤなどで連結されており、複数のポットが順次各処理工程に自動的に搬送されるようになっている。乾燥装置1の投入装置3の投入トレー30には、染色終了後、回収処理工程にてポットから取り出された衣料が脱水処理工程を経て次々に供給される。
【0066】
投入装置3の投入トレー30に所定枚数の衣料が供給されると、駆動装置32の作動により投入トレー30を支持体31とともに上方に移動させた後、傾動装置33の作動により、投入トレー30を支持体31に対して前方に傾動させることで、投入トレー30の衣料を、供給部17にある乾燥用かご2内に投入口24から投入する(図9参照)。次に、投入トレー30を元の位置に戻すとともに、チャック機構96の作動により、乾燥用かご2の投入口24を蓋体21により塞ぐ(図10参照)。
【0067】
次に、移動装置5の第3の駆動装置65の作動により、一対の支え棒62を往動させて、供給部17にある乾燥用かご2の下方(搬送装置11の下方位置)に位置させる。そして、第1、第2の駆動装置63,64の作動により、一対の支え棒62を上方に移動させて、乾燥用かご2を各支え棒62により支持して各支持軸12の各ローラ13(搬送装置11)から持ち上げる。この状態で、第3の駆動装置65の作動により、一対の支え棒62を復動させて供給部17にあった乾燥用かご2を乾燥室4内に導入する。このとき、シリンダ装置86を作動させてシャッタ58を閉じる。そして、第1、第2の駆動装置63,64の作動により、一対の支え棒62を下方に移動させることで、乾燥用かご2を各支持軸59の各ローラ61上に載置して、乾燥室4内に保持する(図11参照)。なお、このとき、乾燥処理部55A,55Bにあった乾燥用かご2は、それぞれ乾燥処理部55B,55Cに移動される。
【0068】
次に、各熱風導入口56より、所定温度の熱風を乾燥室4内の乾燥処理部55A〜55Fに導入するとともに(なお、本実施形態では乾燥処理部55Fへの熱風の導入はない)、第1の回転装置6の作動により、乾燥処理部55A〜55Eにある各乾燥用かご2を所定時間回転させることで、各乾燥用かご2に収容された衣料を乾燥する。
【0069】
所定時間の経過後、第1の回転装置6の作動を停止させる。そして、搬送装置11を排出部18に移動させた後、移動装置5の第1、第2の駆動装置63,64の作動により、一対の支え棒62を上方に移動させて、乾燥用かご2を各支え棒62により支持して各支持軸59の各ローラ61から持ち上げるとともに、この状態で、第3の駆動装置65の作動により、一対の支え棒62を往動させて、排出部18の搬送装置11上に、乾燥処理部55Fにあった乾燥用かご2を位置させる。このとき、シリンダ装置89を作動させてシャッタ58を開く。そして、第1、第2の駆動装置63,64の作動により、一対の支え棒62を下方に移動させることで、乾燥用かご2を各支持軸12の各ローラ13上に載置する(図12参照)。なお、一対の支え棒62は、第3の駆動装置65の作動により復動させる。
【0070】
乾燥用かご2を排出部18の搬送装置11上に載置すると、チャック機構96の作動により、乾燥用かご2から蓋体23を取り外す(図13参照)。なお、このとき、乾燥用かご2の蓋体23が頂部に位置していなければ、第2の回転装置8の作動により、蓋体23が頂部に位置するよう乾燥用かご2を回転させる。そして、第2の回転装置8の作動により乾燥用かご2を一回転させることで、投入口24から衣料を回収装置7の受器70内に落下させて衣料を回収する。また、同時に、補助移動装置75の作動により、乾燥処理部55Cにある乾燥用かご2を乾燥処理部55Dへと移動させる(図13参照)。
【0071】
そして、衣料を回収した空の乾燥用かご2は、搬送装置11により、再び供給部17に搬送して、投入装置3により内部に衣料を供給する。このように、本発明の乾燥装置によれば、複数の乾燥用かご2が所定のサイクルで乾燥室4内の乾燥処理部55A〜55Fを順次移動することで、乾燥用かご2内に収容された衣料が乾燥される。よって、投入装置3の投入トレー30に次々と供給される衣料に対して、乾燥を自動的に効率よく行うことが可能であるので、作業効率を高めることができる。
【0072】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、図18(A)に示すように、乾燥用かご2の回転ドラム23の外周縁を耐熱性を有するゴム99Aなどで被覆するとともに、支持軸12,59の各ローラ13,61を耐熱性を有するゴムなどで形成することで、回転ドラム23とローラ13,61との摩擦で、各ローラ13,61の回転により乾燥用かご2を回転させている。
【0073】
しかし、これに限らず、例えば図18(B)に示すように、乾燥用かご2の回転ドラム23の外周縁に、帯状のステンレス板99Bを一周にわたって溶接し、ステンレス板99Bを各ローラ13,61に面で当接させることで、その間の摩擦によって、各ローラ13,61の回転に追従して乾燥用かご2を回転させるようにしてもよい。なお、この場合、各ローラ13,61は耐熱性を有する樹脂で形成することが好ましい。この実施形態によれば、乾燥用かご2の回転ドラム23の外周縁の耐久性を向上できる。
【0074】
また、本実施形態では、乾燥室4内に各乾燥処理部55A〜55Fを二列にして設けているが、各乾燥処理部55A〜55Fを縦一列に並ぶように設けても構わない。このように、乾燥室4内に各乾燥処理部55A〜55Fを縦一列に並べた場合においても、搬送手段により排出部18にて衣料が排出された乾燥用かご2を、搬送手段により供給部17に搬送するように構成するのが好ましい。この際、上記した実施形態のように、乾燥用かご2を、その投入口24が頂部に位置した状態を保ちながら、排出部18から供給部17に搬送するようにしてもよいし、搬送時には、乾燥用かご2を、その投入口24の位置を維持せずに搬送し、搬送先の供給部17において、回転手段により、乾燥用かご2をその投入口24が頂部位置に至るまで回転させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 乾燥装置
2 乾燥用かご
3 投入装置
4 乾燥室
5 移動装置
6 第1の回転装置
7 回収装置
8 第2の回転装置
11 搬送装置
17 供給部
18 排出部
21 蓋体
24 投入口
28 凸部
30 投入トレー
31 支持体
32 駆動装置
33 傾動装置
55A〜55F 乾燥処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被乾燥物の投入口および前記投入口を塞ぐ取り外し可能な蓋を備え、内部に衣料を収容可能な乾燥用かごと、
前記乾燥用かご内に収容された被乾燥物を乾燥する乾燥室と、
前記乾燥用かごを、前記乾燥用かごに被乾燥物を供給する供給部から、前記供給部の下流側に位置する前記乾燥室および前記乾燥室の下流側に位置し前記乾燥用かごから被乾燥物を排出する排出部へと順次移動させる移動手段と、
前記乾燥室にある前記乾燥用かごを回転させる第1の回転手段と、
前記排出部にある前記乾燥用かごを回転させる第2の回転手段と、
前記排出部の下方に設けられ、回転した前記乾燥用かごから落下する被乾燥物を受ける回収手段とを備える乾燥装置。
【請求項2】
前記乾燥室は、複数の乾燥処理部を備えており、各乾燥処理部は、2つ以上のグループにグループ分けされるとともに、各グループ同士の間は、断熱層により熱的に遮断されていることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記複数の乾燥処理部のうち、最下流に位置する乾燥処理部は、その乾燥温度が該乾燥処理部より上流に位置する他の乾燥処理部の乾燥温度よりも低い温度に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記排出部にて被乾燥物が排出された前記乾燥用かごを、前記供給部に搬送する搬送手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項5】
上部に開口部を有し複数の被乾燥物を貯留可能な投入トレーと、前記投入トレーを上下動可能に支持する支持体と、前記投入トレーを前記支持体に対して傾動させる傾動手段とをさらに備え、
前記開口部が前記供給部にある前記乾燥用かごの方向へ向くように前記投入トレーを傾動させることにより、前記投入トレーに貯留された被乾燥物を前記乾燥用かごに投入することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記乾燥用かごの内周面には、縦方向に長く延びる凸部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項1】
被乾燥物の投入口および前記投入口を塞ぐ取り外し可能な蓋を備え、内部に衣料を収容可能な乾燥用かごと、
前記乾燥用かご内に収容された被乾燥物を乾燥する乾燥室と、
前記乾燥用かごを、前記乾燥用かごに被乾燥物を供給する供給部から、前記供給部の下流側に位置する前記乾燥室および前記乾燥室の下流側に位置し前記乾燥用かごから被乾燥物を排出する排出部へと順次移動させる移動手段と、
前記乾燥室にある前記乾燥用かごを回転させる第1の回転手段と、
前記排出部にある前記乾燥用かごを回転させる第2の回転手段と、
前記排出部の下方に設けられ、回転した前記乾燥用かごから落下する被乾燥物を受ける回収手段とを備える乾燥装置。
【請求項2】
前記乾燥室は、複数の乾燥処理部を備えており、各乾燥処理部は、2つ以上のグループにグループ分けされるとともに、各グループ同士の間は、断熱層により熱的に遮断されていることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記複数の乾燥処理部のうち、最下流に位置する乾燥処理部は、その乾燥温度が該乾燥処理部より上流に位置する他の乾燥処理部の乾燥温度よりも低い温度に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記排出部にて被乾燥物が排出された前記乾燥用かごを、前記供給部に搬送する搬送手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項5】
上部に開口部を有し複数の被乾燥物を貯留可能な投入トレーと、前記投入トレーを上下動可能に支持する支持体と、前記投入トレーを前記支持体に対して傾動させる傾動手段とをさらに備え、
前記開口部が前記供給部にある前記乾燥用かごの方向へ向くように前記投入トレーを傾動させることにより、前記投入トレーに貯留された被乾燥物を前記乾燥用かごに投入することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記乾燥用かごの内周面には、縦方向に長く延びる凸部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の乾燥装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−63047(P2012−63047A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205480(P2010−205480)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
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