説明

予め穿孔された中空ブロックから管状工作物を製造する方法と装置

【課題】簡単な形式で中空ブロックへの芯の中心挿入を可能として、その際に芯ロッドの撓みを大幅に排除する方法と装置を提供する。
【解決手段】中空ブロックへ芯を正確に中心導入するために、芯ロッド4が少なくとも一つの芯合せ部材8を有し、この芯合せ部材8の外径DZがブロックマニピュレーター2の中央孔6の内径DIより僅かに小さいか、或いは内径と同じであり、そして芯ロッド4の外径DAが芯合せ部材8の外径DZより小さく、芯ロッド4は、芯合せ部材8の外周とブロックマニピュレーター2の中央孔6の間の接触が存在し、且つ芯ロッド4とブロックマニピュレーター2の中央孔6の間の接触が存在しないように、ブロックマニピュレーター2の中央孔6を通して案内されること企図する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中空ブロックがブロックマニピュレーターにより捕捉されて、鍛造機の作業領域にもたらされ、鍛造機における中空ブロックの鍛造の前に芯ロッドに配置された芯が中央孔を通してブロックマニピュレーターに軸方向に通して、さらに中空ブロックの内孔に移動されて、予め穿孔された中空ブロックから管状長い工作物を製造する方法に関する。さらに、この発明は、予め穿孔された中空ブロックから管状長い工作物を製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような方法態様並びに一致する装置は先行技術において知られている。予め穿孔された中空ブロックがブロックマニピュレーターにより鍛造機にもたらされるので、管状工作物が鍛造によって中空ブロックから製造され得て、中空ブロックが鍛造機において芯によって鍛造されて、この芯が芯ロッドの軸方向端には配置されているか、或いは固定されている。
【0003】
鍛造機は、中空ブロックに作用する複数の半径方向工具或いは鍛造ジョーを有する。積込み側面には、即ち鍛造機の前には例えば旋回によって供給されたか、或いは積込んだ中空ブロックがブロックマニピュレーターにより捕えれ、ドイツ特許出願公開第4016534号明細書(特許文献1)から知られている例えば舌片によって保持される。鍛造操作するためにブロックマニピュレーターにより保持された中空ブロックには、端側に配置された芯を備える芯ロッドが調整駆動手段により軸方向に作用できてブロックマニピュレーターの中空軸(中央孔)を通して移行される。
【0004】
この場合には、芯の中空ブロックへの中心的導入が大きな問題を用意し、特に芯ロッドの大きい長さに鑑みて、撓みが促進する。
【0005】
ドイツ実用第20007682号明細書(特許文献2)から、芯ロッドを工作材の軸方向に支持して回転連行するように設けられて回転且つ軸方向移動自在に固定ヘッドハウジングに支承された収容装置に案内することが知られていた。収容装置は芯ロッドの案内部分を収容するブッシュが回転せずに配置されている案内スリーブを有する。この解決手段では、芯ロッドガイドが非常に費用をかけて形成されることが欠点であり、それは適切な費用を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第4016534号明細書
【特許文献2】ドイツ実用第20007682号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故に、この発明の課題は、簡単な形式で中空ブロックへの芯の中心挿入を可能として、その際に芯ロッドの撓みを大幅に排除する方法と装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、この方法による発明により、芯ロッドが少なくとも一つの芯合せ部材を有し、この芯合せ部材の外径がブロックマニピュレーターの中央孔の内径より僅かに小さいか、或いは内径と同じであり、そして芯ロッドの外径が芯合せ部材の外径より小さく、芯ロッドは、芯合せ部材の外周とブロックマニピュレーターの中央孔の間の接触が存在し、且つ芯ロッドとブロックマニピュレーターの中央孔の間の接触が存在しないように、ブロックマニピュレーターの中央孔を通して案内されることによって解決される。
【0009】
この際に、芯合せ部材は特に全鍛造過程中に鍛造機で軸方向に中空ブロックの外部と中空軸の内部に保持されている。
【0010】
中空ブロックの内孔及び/又は芯が好ましくは中空ブロックの内孔へ芯を導入する前に鍛造手段或いは分離手段を備えている。
【0011】
中空ブロックの内孔及び芯は、中空ブロックの内孔へ芯を軸方向移動させる際に且つ鍛造過程前に芯と中空ブロックの内孔の間の接触を生じるように、直径に関して整合されている。
【0012】
穿孔された中空ブロックから成る管状の長い工作物を製造する装置は、中空ブロックを捕捉して軸方向移動させるように形成されている中央孔を備えるブロックマニピュレーターと、鍛造機と、ブロックマニピュレーターの中央孔を通して軸方向貫通させ且つ中空ブロックの内孔に軸方向導入させて芯ロッドに配置された芯を備える芯ロッドとを包含する。この装置は、この発明によると、芯ロッドが少なくとも一つの芯合せ部材を有し、芯合せ部材の外径がブロックマニピュレーターの中央孔の内径より僅かに小さいか、或いは内径と同じであり、そして芯ロッドの外径が芯合せ部材の外径より小さいことを特徴とする。
【0013】
芯合せ部材は、好ましい実施態様により少なくとも二部材で形成されていて、少なくとも二部材が同心円状に互いに配置されている。特に、内部位置する部材が半径方向断面で凸状に形成された外周を有し、この外周が半径方向断面で対応して凹状に形成された内周を有する外部位置する部材に当接することが企図され得る。芯合せ部材はその外周に少なくとも一つの面取りを備え得る。
【0014】
芯合せ部材は芯ロッド上に両側に軸方向に固定要素によって固定され得る。
【0015】
中空ブロックの内孔の直径がその鍛造加工前に好ましくは芯の外径より大きい。
【0016】
芯を備える芯ロッドは提案された解決手段により好ましい形式でブロックマニピュレーターの中空軸に、それにより直接に実施の箇所に芯合せして、そこでマニピュレーター及び/又は芯ロッド調整駆動手段の軸方向調整移動中に中心に支持されて中空軸の全長にわたり案内される。
【0017】
芯ロッドはこのために芯合せ部材或いは芯合せリングを備えていて、その外径がブロックマニピュレーターの中空軸のおよそ内径に一致する。
【0018】
特に管鍛造の際には、提案された方法態様と装置が好都合に使用される。ブロックマニピュレーターの内部に芯と芯ロッドの組合せの機能的芯合せが行われる。
【0019】
比較的長い芯ロッドの撓みは芯合せ部材の使用によって有効に阻止されるか、或いはあらゆる場合に著しく減少される。芯は中心に中空ブロックに導入され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第一方法状態中の穿孔された中空ブロックから成る管状工作物を製造する装置を概略的に示す。
【図2】第二の後の方法状態中の図1による装置を示す。
【図3】第三のなお後の方法状態中の図1による装置を示す。
【図4】第四のなお後の方法状態中の図1による装置を示す。
【図5】第五のなお後の方法状態中の図1による装置を示す。
【図6】第六のなお後の方法状態中の図1による装置を示す。
【図7】およそ詳述した表示で図1による装置を通る半径方向断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面には、この発明の実施例が図示されている。
【0022】
図1乃至6には、管状工作物を製造する装置を見ることができ、時間的順序で異なった方法段階が図示されている。
【0023】
この装置は、中空ブロック1をつかみ固定する二つ又は四つの舌片13、14(図5と図6を参照)を有するブロックマニピュレーター2を包含する。ブロックマニピュレーター2は鍛造機3の積込み側と向き合っていて、鍛造機では中空ブロック1が外部から中空ブロックに半径方向に作用する鍛造工具によって鍛造され得る。中空ブロック1の内孔7(図7を参照)に芯5が植え込まれるときに初めて、鍛造工具による鍛造が行われる。芯5が芯ロッド4の軸方向端に配置されている。それ自体公知の形式で芯5を含む芯ロッド4が中央孔6(中空軸)を通してブロックマニピュレーター2に案内されて、舌片13、14により保持された中空ブロック1では、その内孔7に挿入されている。
【0024】
芯ロッド4を操作するために、横にブロックマニピュレーター2の傍で芯ロッド4が支柱15上に或いはブロックマニピュレーター2の近くに配置された追加支柱15’上に置かれていて、マニピュレーターが図1による出口状態に一致する。さらに、芯ロッド4の横傍に芯マニピュレーター16が配置されていて、その上に芯ロッド4の回転駆動手段用のスライド17が配置されている。図1によると、芯ロッド4を含めた芯5が支柱15上に置かれている。
【0025】
引き続いて、図2によると、芯ロッド4が芯マニピュレーター16に固定されていて、それにより芯ロッド4を含めた芯5が今軸方向にばかりではなく、むしろ、必要に応じて長手軸線を中心に回転される。
【0026】
図3によると、引き続いて、ブロックマニピュレーター2が戻されて、即ち芯マニピュレーター16に到り、芯ロッド4を含めた芯5をブロックマニピュレーター2の中央孔6に通す(中央孔6がブロックマニピュレーター2の構成部材である中空軸に加工されている)。選択的に、芯マニピュレーター16自体が駆動手段を有し、通しを行う。
【0027】
引き続いて、図4によると、芯マニピュレーター16が芯ロッド4を含めた芯5をブロックマニピュレーター2の中央孔6(中空軸)を通して移動させる。
【0028】
図5によると、中空ブロック1の方向転換が行われる。中空ブロック1が舌片13、14によりつかまれて固定される、即ちブロックマニピュレーター2が鍛造の準備において中空ブロック1を挟む。
【0029】
鍛造自体が図6により行われる、即ちブロックマニピュレーター2と芯マニピュレーター16が鍛造位置に移動される。この場合に、芯5は、中空ブロックによって鍛造工具を備える鍛造過程が行われ得るように、中空ブロック1内で軸方向に配置されている。
【0030】
図1乃至6は、芯ロッド4を特にブロック支柱と追加支柱上に置く時間的順序で中空ブロック1から成る管状工作物を製造するシーケンス順序を示し、ブロックマニピュレーター2の中央孔(中空軸)に次に説明された芯合せ部材8により芯ロッド4を通して、最後に、マニピュレーター及び/又は芯マニピュレーターとして形成された芯ロッド調整駆動手段の軸方向運動の際の芯合せ部材によって芯ロッドを芯合せ支持案内するまで、それらブロック支柱と追加支柱によって機械ベット19が形成されている。
【0031】
この場合に、芯ロッド4が少なくとも一つの芯合せ部材8を有する(実施例において正確に芯合せ部材8を使用している)。このための細部は図7に図示されていて、図には装置の最も重要な部材を見ることができる。
【0032】
芯合せ部材8の外径DZ はブロックマニピュレーター2の中央孔6の内径DI より僅かに小さい;あらゆる場合に、外径DZ は同じ大きさである。芯ロッド4の外径DA は芯合せ部材8の外径DZ より小さい。
【0033】
それにより、芯合せ部材8の外周とブロックマニピュレーター2の中央孔6の間にのみ接触が存在し、一方、芯ロッド4とブロックマニピュレーター2の中央孔6の間の接触が生じないように、芯ロッド4がブロックマニピュレーター2の中央孔6を通して案内され得る。
【0034】
支持する芯合せ部材8の構成が非常に好都合であり、この構成が図7から明らかである。芯合せ部材8は実質的に二つの部材、即ち一つの半径方向内部材8’と一つの同心円的に配置された半径方向外部材8”とから成る(内部材8’によって組み立てられるために、組立て技術的理由から外部材8”が再び分割されて形成されなければならないことが述べられている)。
【0035】
内部材8’は凸面外周9を有し、この外周が図7による半径方向断面に示す。対応した凹面に部材8”が形成されている。このじゃがいも状構成は、ブロックマニピュレーター2の中央孔6(中空軸)にいつも中心負荷が存在するという利点を有する。内部材8’は両軸方向において固定要素11と12によって芯ロッド4上に固定されている。芯ロッド4とそれに伴う芯合せ部材8との中央孔6への移動と特に通しが面取り10によって容易に行われ、面取りが外部材8”に加工されている。
【0036】
中空ブロック1の内孔7への芯5の導入の際には、芯5と芯ロッド4の精密な芯合せ案内に基づいて、芯5が内孔7の内壁に接触することを回避することが可能である。内孔7の壁は通常には鍛造手段或いは分離手段により被覆されるか、或いは鍛造手段或いは分離手段を備えている。それ故に、内孔7への芯5の導入の際には、芯と内孔の間の空気隙間が残留していて、この空気隙間は図7に示されている。
【0037】
芯ロッド4上の芯合せ部材8によって芯ロッド4の撓みが中空ブロック1の内部で著しく減少される。
【符号の説明】
【0038】
1.....中空ブロック
2.....ブロックマニピュレーター
3.....鍛造機
4.....芯ロッド
5.....芯
6.....ブロックマニピュレーターの中央孔
7.....中空ブロックの内孔
8.....芯合せ部材
8’....半径方向内部材
8”....半径方向外部材
9.....凸面外周
10....面取り
11....固定要素
12....固定要素
13....ブロックマニピュレーターの舌片
14....ブロックマニピュレーターの舌片
15....支柱
15’...追加支柱
16....芯マニピュレーター
17....スライド
18....鍛造工具
19....機械ベット

Z ....芯合せ部材の外径
I ....中央孔の内径
A ....芯ロッドの外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空ブロック(1)がブロックマニピュレーター(2)により捕捉されて、鍛造機(3)の作業領域にもたらされ、鍛造機(3)における中空ブロック(1)の鍛造の前に芯ロッド(4)に配置された芯(5)が中央孔(6)を通してブロックマニピュレーター(2)に軸方向に通して、さらに中空ブロック(1)の内孔(7)に移動されて、予め穿孔された中空ブロック(1)から成る管状長い工作物を製造する方法において、芯ロッド(4)が少なくとも一つの芯合せ部材(8)を有し、この芯合せ部材(8)の外径(DZ )がブロックマニピュレーター(2)の中央孔(6)の内径(DI )より僅かに小さいか、或いは内径と同じであり、そして芯ロッド(4)の外径(DA )が芯合せ部材(8)の外径(DZ )より小さく、芯ロッド(4)は、芯合せ部材(8)の外周とブロックマニピュレーター(2)の中央孔(6)の間の接触が存在し、且つ芯ロッド(4)とブロックマニピュレーター(2)の中央孔(6)の間の接触が存在しないように、ブロックマニピュレーター(2)の中央孔(6)を通して案内されること特徴とする方法。
【請求項2】
芯合せ部材(8)は全鍛造過程中に鍛造機(3)で軸方向に中空ブロック(1)の外部と中空軸(4)の内部に保持されていること特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
中空ブロック(1)の内孔(7)及び/又は芯(5)が好ましくは中空ブロック(1)の内孔(7)へ芯(5)を導入する前に鍛造手段或いは分離手段を備えていること特徴とする請求項1或いは2に記載の方法。
【請求項4】
中空ブロック(1)を捕捉して軸方向移動させるように形成されている中央孔(6)を備えるブロックマニピュレーター(2)と、鍛造機(3)と、ブロックマニピュレーター(2)の中央孔(6)を通して軸方向貫通させ且つ中空ブロック(1)の内孔(7)に軸方向導入させて芯ロッドに配置された芯(5)を備える芯ロッド(4)とを包含し、穿孔された中空ブロック(1)から成る管状の長い工作材を製造する装置において、芯ロッド(4)が少なくとも一つの芯合せ部材(8)を有し、芯合せ部材(8)の外径(DZ )がブロックマニピュレーター(2)の中央孔(6)の内径(DI )より僅かに小さいか、或いは内径と同じであり、そして芯ロッド(4)の外径(DA )が芯合せ部材(8)の外径(DZ )より小さいことを特徴とする装置。
【請求項5】
芯合せ部材(8)は少なくとも二部材で形成されていて、少なくとも二部材が同心円状に互いに配置されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
内部位置する部材(8’)が半径方向断面で凸状に形成された外周(9)を有し、この外周が半径方向断面で対応して凹状に形成された内周を有する外部位置する部材(8”)に当接することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
芯合せ部材(8)はその外周に少なくとも一つの面取り(10)を備えていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
芯合せ部材(8)は芯ロッド(4)上に両側で軸方向において固定要素(11、12)によって固定されていることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−184296(P2010−184296A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−863(P2010−863)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(502056226)エスエムエス メーア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (22)
【氏名又は名称原語表記】SMS Meer GmbH
【住所又は居所原語表記】Ohlerkirchweg 66, D−41069 Moenchengladbach, Germany
【Fターム(参考)】