説明

予備分級技術を用いて乳糖を製造する方法及びその乳糖から形成させた医薬製剤

約70ミクロン以下の体積平均粒径を有する乳糖粒子の含有量が10%(w/w)以下である複数個の乳糖粒子を提供すること;上記複数個の乳糖粒子を粉砕して、約50ミクロン〜約100ミクロンの範囲の平均粒径(D50)を有する複数個の粉砕された乳糖粒子を生成させること;及び、上記複数個の粉砕された乳糖粒子を、細粒分と粗粒分を含む少なくとも2つの画分(ここで、細粒分は、約3ミクロン〜約50ミクロンの範囲の平均粒径(D50)を有し、粗粒分は、約40ミクロン〜約250ミクロンの範囲の平均粒径(D50)を有する)に分級することを含む、医薬製剤での使用に適する乳糖を形成させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、乳糖の製造方法及びその乳糖から形成される医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入療法の分野では、粒径(即ち、直径)が1〜10μmの範囲内にある治療用分子を用いるのが一般に望ましい。吸入治療調剤用の担体分子又は賦形剤(例えば、乳糖)には、著しく大きな直径(例えば、100〜150μm)を有する粒子も含まれており、それらは、典型的には、活性成分と同程度には上気道には達しない。一般に、より小さな粒径の乳糖を使用するか又は粗大な乳糖と微細な乳糖の定められた比率を有する乳糖混合物を用いるのが好ましい。
【0003】
乳糖の粒径及び粒子分布も、多くの場合、医薬的及び生物学的特性(例えば、生物学的利用能など)に大きな影響を及ぼす。例えば、結晶形態の粗大な乳糖はかなりの流速と良好な物理的安定性を有しているが、微細な乳糖粉末(例えば、慣用の微粉砕又は微細な粉砕により生成されたもの)は概して良好な流動性を有していないということはよく知られている。慣用の噴霧乾燥によって調製された乳糖は、好ましい流動性を有していないか、又は、大きな寸法の乳糖結晶を多く含みすぎている。
【0004】
医薬品グレードの乳糖の慣用の製造方法に付随する特定の1つの欠点が、粒子の寸法、形態及び分布における好ましくないばらつきに関連しているということはよく知られている。そのような製造方法は、多くの場合、該乳糖を用いる医薬製剤の微粒子質量(fine particle mass)(「FPMass」)において過度の好ましくないばらつきをもたらすという点で、特に問題である。FPMassは、有効であるために好ましい寸法(desired size airways)に達する投与された用量内の薬物の重量である。例えば、好ましい寸法は、レーザー散乱法で測定して約1ミクロン〜10ミクロンであると定義し得る。
【0005】
乳糖の形態は、制御すべきもう一つの重要なパラメータであると思われる。また、表面の粗さの程度は、乳糖粒子と賦形剤の間の相互作用に影響し得ると考えられ、現在では、多くの場合、それ自体、乳糖を選択する基準の一部として測定される。例えば、文献(Pharmaceutical Technology Europe April 2004, page 23)を参照されたい。
【0006】
2個の乳糖粒子が同じ粒径を有しているとして測定することは可能であるが、一方の粒子が滑らか(例えば、未粉砕結晶質乳糖)であり、他方が表面が比較的粗い粉砕された結晶である場合、これらは、当該活性物質への結合程度が異なったものとなる可能性があり、従って、初期FPMassについての性能又は製品の耐用期間中の安定性(through life stability)についての性能に影響を及ぼす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、乳糖の慣用の製造方法に付随する上記問題に取り組むことを企図しており、粒度分布及び粒子形態の両方についてのばらつきの程度が低減されている乳糖の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、本発明は、所定の粒度分布を有し、医薬製剤での使用に適した乳糖の形成方法を提供する。該方法は、約70ミクロン以下の体積平均粒径を有する乳糖粒子の含有量が10%(w/w)以下である複数個の乳糖粒子を提供すること;上記複数個の乳糖粒子を粉砕して、約50ミクロン〜約100ミクロンの範囲の平均粒径(D50)を有する複数個の粉砕された乳糖粒子を生成させること;及び、次に、上記複数個の粉砕された乳糖粒子を、細粒分と粗粒分を含む少なくとも2つの画分(ここで、細粒分は、約3ミクロン〜約50ミクロンの範囲の平均粒径(D50)を有し、粗粒分は、約40ミクロン〜約250ミクロンの範囲の平均粒径(D50)を有する)に分級することを含む。一実施形態では、適切な量の粗粒分及び細粒分を少なくとも1種類の薬物と合して、医薬製剤を形成させることができる。
【0009】
これらの態様及び他の態様は、本発明に包含される。
【0010】
図面の簡単な説明
図1は、実施例1に従って形成された乳糖に関する粒径プロフィールについて図示している。
【0011】
図2は、実施例2に従って形成された乳糖に関する粒径プロフィールについて図示している。
【0012】
図3は、実施例3に従って形成された乳糖に関する粒径プロフィールについて図示している。
【0013】
図4は、実施例2に従って形成された乳糖に関する粒径プロフィールと2種類の慣用の製造バッチとの比較について図示している。
【0014】
図5は、実施例1,実施例2及び実施例3で使用した初期結晶質A供給乳糖の粒度分布について図示している。これは、60ミクロン未満の領域における種々の量の乳糖を示している。
【0015】
図6は、分級して比較的小さな結晶質乳糖粒子の大部分を除去した後の、結晶質A供給乳糖の粒度分布について図示している。
【0016】
図7は、D10と供給乳糖バッチのスパン(Span of Feed Lactose Batches)の間の相関関係について図示している。
【0017】
図8は、予備分級された乳糖、粗粒分に関する粒度分布について図示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本明細書内で説明されている実施形態に関連して、本発明について記述する。これらの実施形態は本発明を例証するために記載されていること、及び、本発明はこれらの実施形態に限定されないということは、理解されるべきである。
【0019】
上記で記載されているものも下記で記載されているものも、本明細書内で引用されている全ての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物、特許及び特許出願についてそれぞれ特に個別的に参照により本明細書に組み入れられることが示されている場合と同じ程度に、参照によりその全体を本明細書に組み入れる。
【0020】
本明細書及び「特許請求の範囲」の中で用いられている場合、単数形「a」、「an」、「one」及び「the」が、その内容について特に別途明瞭に示されていない限り、複数のものについての言及も包含し得るということは、留意されなくてはならない。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「D50」は、当該粒子の50%(体積基準)がそれよりも大きいか又は小さい寸法で存在している寸法(ミクロン)であると定義される。
【0022】
本発明による乳糖の形成方法は、さまざまな実施形態を包含し得る。例えば、一実施形態では、複数個の乳糖粒子を粉砕して複数個の乳糖粒子を生成させるステップは、平均粒径(D50)が、約50、55、60、65、70又は75ミクロンから約70、75、80、85、90、95又は100ミクロンまでの範囲である粒子を得ることを包含し得る。一実施形態では、例えば、複数個の粉砕された乳糖粒子を少なくとも2つの画分に分級するステップにより、マルバーン粒度測定(Malvern 粒度測定)で測定して、平均粒径(D50)が約3、10、15、20、25、30又は35ミクロンから約30、35、40、45又は50ミクロンまでの範囲である細粒分と平均粒径(D50)が約40、75、100、125又は150ミクロンから約100、125、150、175、200、225又は250ミクロンまでの範囲である粗粒分を得ることができる。
【0023】
本発明に従えば、本明細書で使用されている用語「乳糖」は、広く解釈されるべきである。一例として、「乳糖」は、乳糖の物理的形態、結晶質形態、非晶質形態及び多形形態を包含することが意図されており、そのようなものとしては、限定するものではないが、立体異性体であるα-乳糖一水和物とβ-無水乳糖、及び、α-無水乳糖などを挙げることができる。上記で挙げたものの組合せを用いることもできる。
【0024】
乳糖(即ち、乳糖(milk sugar))は、好ましくは、チーズホエーから得る。それは、使用するプロセスに応じて、種々の形態で製造することができる。本明細書で使用される場合、用語「粒子(particle)」は、さまざまな程度の不規則性、不均質性などを有し得る粒子又は規則性及び/若しくは均質性を有し得る粒子を含み得るさまざまな形状、寸法及び/又は組織(texture)の粒子を包含するように広く解釈されるべきである。
【0025】
本発明の方法で使用される複数個の乳糖粒子は、さまざまな方法で得ることができる。一実施形態では、該複数個の乳糖粒子は、結晶質乳糖又は未粉砕乳糖の形態で存在している。一実施形態では、約70ミクロン以下の体積平均粒径を有する乳糖粒子の含有量が10%(w/w)以下である乳糖粒子を提供する最初のステップは、該複数個の乳糖粒子を結晶化プロセスから得ることを含む。使用可能な適切な結晶化プロセスの一例は、本出願と同時に出願した同時係属米国出願(標題:「Process for Crystallizing Lactose Particles for Use in Pharmaceutical Formulations」;出願番号第60/651,754号)中で説明されている。別のプロセスも使用可能であることは理解されるべきである。
【0026】
別の実施形態では、約70ミクロン以下の体積平均粒径を有する乳糖粒子の含有量が10%(w/w)以下である複数の乳糖粒子を提供する最初のステップは、乳糖源を篩にかけて該複数個の乳糖粒子を生成させることにより該複数個の乳糖粒子を得ることを含む。市販されている篩い分け機の典型的な例は、「Russell Finex of Charlotte, North Carolina and Alpine Sieves of Augsburg, Germany」により提供される。
【0027】
別の実施形態では、約70ミクロン以下の体積平均粒径を有する乳糖粒子の含有量が10%(w/w)以下である複数の乳糖粒子は、乳糖源を約70ミクロン以下の体積平均粒径を有する乳糖粒子の含有量が10%(w/w)以下である複数個の乳糖粒子と残りの細粒分とを含む2つの画分に分級することにより得ることができる。商業的に好ましい分級機の一例は、「Hosakawa of Cheshire, United Kingdom」により市販されている。乳糖の残りの細粒分は、粉砕されていないか又は結晶質の乳糖である。場合により、分級に先立ち、該粒子を篩にかけてもよい。
【0028】
図5は、比較的小さな結晶を分級により除去する前の最初の供給バッチの全粒径プロフィールについて図示している。図6は、比較的小さな結晶を分級プロセスにより除去した後の全粒径プロフィールについて図示している。これにより、さらにいっそう均質な供給材料が粉砕機に供給されるようになる。
【0029】
スパンは、多くの場合、粒子分布の狭さ/広さについて記述するのに用いられるパラメータである。スパンは、以下の式により与えられる。
【0030】
(D90−D10)/D50=スパン
用語「D90」は、当該粒子の90%(体積基準)がそれよりも小さい寸法で存在している寸法(ミクロン)であると定義される。
【0031】
用語「D10」は、当該粒子の10%(体積基準)がそれよりも小さい寸法で存在している寸法(ミクロン)であると定義される。
【0032】
理論に拘束されることを意図するものではないが、同様のD50を有する粒子に関し、スパンが小さいほど粒子の分布はより狭いものとなる。一般に、スパン値が小さい供給乳糖バッチは、より狭い粒度分布を示すと思われるので、粉砕機へのより優れた投入材料となる。典型的な結晶質A供給乳糖バッチに関してD10値が高いほどスパン値が小さくなるということを、図7から知ることができる。以下の表1及び表2は、結晶質A供給乳糖の分級後により狭い粒度分布が得られること、従って、粉砕機への好ましい投入材料が生成されるということを例証している。
【表1】

【表2】

【0033】
複数個の乳糖粒子を粉砕して複数個の粉砕された乳糖粒子を生成させるステップは、既知技術を用いて実施することができる。例えば、一実施形態では、粉砕は、衝撃式粉砕機(例えば、空気分級粉砕機(air classifier mill)(ACM))を用いて実施することができる。その際、医薬品グレードの乳糖の寸法の低減は、粉砕と分級の組合せによってなされる。一実施形態では、粉砕は、粉砕ローター(mill rotor)及び粉砕ピン(grinding pin)が備え付けられている標準的な空気分級粉砕機、分級機ホイール(classifier wheel)及び粉砕トラック(grinding track)を用いて実施する。商業的に好ましい粉砕機の一例は、Hosakawa により市販されている「MikroPul ACM」である。
【0034】
本明細書に記載されている方法は、非常に微細な乳糖を必要とする用途からより粗大な乳糖を必要とする用途までを包含する広範囲の吸入用途で使用するための乳糖を提供するのに適している。例えば、一実施形態では、粗粒分のみで医薬用途に適したものであり得るし、また、それとは正反対に、細粒分のみでも医薬用途に適したものであり得る。吸入装置(限定するものではないが、一実施形態において、アドベアー(Advair)を含む)からの必要なFPMassは、適切な量の粗粒分と細粒分の組合せによって達成することができる。これは、100%の粗粒分+0%の細粒分から100%の細粒分+0%の粗粒分までの全範囲をカバーし得る。必要とされる正確な比率は、粗粒分自体と細粒分自体のそれぞれの粒径プロフィールに依存する。
【0035】
一例として、上記組合せステップは混合することにより達成し得るが、別の方法を用いることもできる。使用される典型的な混合機は、Hosakawaから市販されている「Vrieco-Nauta Conical Blender」などのオービタルスクリュー型のものであろう。
【0036】
別の態様において、本発明は、本明細書中に記載されているさまざまな方法で形成された医薬製剤を包含し得る。
【0037】
薬物としては、本発明のためには、さまざまな医薬活性成分、例えば、吸入療法で有用な医薬活性成分などが包含される。一般に、用語「薬物(medicament)」は、広く解釈されるべきであり、限定するものではないが、活性剤(active)、薬剤(drug)及び生物活性剤(bioactive agent)などを包含し、さらに、生物薬剤(biopharmaceutical)なども包含する。種々の実施形態は、微粉末化形態で存在する薬物を含み得る。従って、適切な薬物は、例えば、以下のものから選択できる:鎮痛薬(例えば、コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニール又はモルヒネ);アンギナ用調製物(anginal preparation)(例えば、ジルチアゼム);抗アレルギー薬(例えば、クロモグリケート、ケトチフェン又はネドクロミル);抗感染薬(例えば、セファロスポリン類、ペニシリン類、ストレプトマイシン、スルホンアミド類、テトラサイクリン類及びペンタミジン);抗ヒスタミン薬(例えば、メタピリレン);抗炎症薬(例えば、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、フルニソリド、ブデソニド、ロフレポニド、フロ酸モメタゾン、シクレソニド、トリアムシノロンアセトニド、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3-イル)エステル、(6α,11β,16α,17β)-6,9-ジフルオロ-17-{[(フルオロメチル)チオ]カルボニル}-11-ヒドロキシ-16-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17-イル 2-フロエート及び(6α,11β,16α,17α)-6,9-ジフルオロ-17-{[(フルオロメチル)チオ]カルボニル}-11-ヒドロキシ-16-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17-イル 4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボキシレート;鎮咳薬(例えば、ノスカピン);気管支拡張薬、例えば、アルブテロール(例えば、硫酸塩として)、サルメテロール(例えば、キシナホ酸塩として)、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール(例えば、臭化水素酸塩として)、ホルモテロール(例えば、フマル酸塩として)、イソプ
レナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール(例えば、酢酸塩として)、レプロテロール(例えば、塩酸塩として)、リミテロール、テルブタリン(例えば、硫酸塩として)、イソエタリン、ツロブテロール、4-ヒドロキシ-7-[2-[[2-[[3-(2-(ヘニルエトキシ)プロピル]スルホニル]エチル]-アミノ]エチル-2(3H)-ベンゾチアゾロン)、3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド、4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、2-ヒドロキシ-5-((1R)-1-ヒドロキシ-2-{[2-(4-{[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ}フェニル)エチル]アミノ}エチル)フェニルホルムアミド、8-ヒドロキシ-5-{(1R)-1-ヒドロキシ-2-[(2-{4-[(6-メトキシ-1,1'-ビフェニル-3-イル)アミノ]フェニル}エチル)アミノ]エチル}キノリン-2(1H)-オン、5-[(R)-2-(2-{4-[4-(2-アミノ-2-メチル-プロポキシ)-フェニルアムニノ]-フェニル}-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン;利尿薬(例えば、アミロライド);抗コリン作動薬、例えば、イプラトロピウム(例えば、臭化物として)、チオトロピウム、アトロピン又はオキシトロピウム;ホルモン(例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン又はプレドニゾロン);キサンチン(例えば、アミノフィリン、コリンテオフィリネート、リシンテオフィリネート又はテオフィリン);治療上有効なタンパク質及びペプチド(例えば、インスリン)。上記薬物の活性及び/又は安定性を最適化するために、適切な場合には、該薬物を、塩の形態で(例えば、アルカリ金属塩若しくはアミン塩として、又は、酸付加塩として)、又は、エステル(例えば、低級アルキルエステル)として、又は、溶媒和物(例えば、水和物)として使用できるということは、当業者には明らかであろう。適切な場合には、該薬物を純粋な異性体の形態(例えば、R-サルブタモール又はRR-ホルモテロールなど)で使用できるということも、当業者には明らかであろう。
【0038】
本発明の医薬製剤を用いて投与するための特定の薬物としては、本明細書中で定義されている呼吸器の状態の吸入療法による治療において有用な抗アレルギー薬、気管支拡張薬、ベータ作動薬(例えば、長時間作用型ベータ作動薬)及び抗炎症性ステロイド、例えば、クロモグリケート(例えば、ナトリウム塩として)、サルブタモール(例えば、遊離塩基又は硫酸塩として)、サルメテロール(例えば、キシナホ酸塩として)、ビトルテロール、ホルモテロール(例えば、フマル酸塩として)、テルブタリン(例えば、硫酸塩として)、レプロテロール(例えば、塩酸塩として)、ベクロメタゾンエステル(例えば、ジプロピオン酸エステル)、フルチカゾンエステル(例えば、プロピオン酸エステル)、モメタゾンエステル(例えば、フロ酸エステル)、ブデソニド、デキサメタゾン、フルニソリド、トリアムシノロン、トリプレダン(tripredane)、(22R)-6α,9α-ジフルオロ-11β,21-ジヒドロキシ-16α,17α-プロピルメチレンジオキシ-4-プレグネン-3,20-ジオンなどを挙げることができる。勃起障害の治療において有用な薬物(例えば、PDE-V阻害薬、例えば、アルプロスタジル及びクエン酸シルディナフィルと一緒に用いられる塩酸バルデナフィル)も使用できる。吸入器と共に使用可能な薬物は、本明細書に記載されているものに限定されることはないということは、理解されるべきである。
【0039】
サルメテロール(特に、キシナホ酸サルメテロール)、サルブタモール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン並びにそれらの生理学的に許容される塩及び溶媒和物を使用することができる。
【0040】
本発明の医薬製剤には、必用に応じて、2種類以上の薬物の組合せを含ませることができるということは、当業者には理解されるであろう。喘息及びCOPDなどの呼吸器疾患の治療及び/又は予防に関し、2種類の活性成分を含む製剤が知られている。そのような製剤は、例えば、ホルモテロール(例えば、フマル酸塩として)とブデソニド、サルメテロール(例えば、キシナホ酸塩として)とフルチカゾン(例えば、プロピオン酸エステルとして)、サルブタモール(例えば、遊離塩基又は硫酸塩として)とベクロメタゾン(ジプロピオン酸エステルとして)などを含有し得る。
【0041】
一実施形態では、使用し得る特定の組合せは、ベータ作動薬(例えば、長時間作用型ベータ作動薬)と抗炎症性ステロイドの組合せである。一実施形態は、プロピオン酸フルチカゾンとサルメテロール又はその塩(特に、キシナホ酸塩)の組合せを包含する。本発明の製剤中におけるサルメテロールとプロピオン酸フルチカゾンの比率は、好ましくは、4:1〜1:20の範囲内である。その2種類の薬剤は、同じ比率又は異なった比率で、さまざまな方法で、同時に、順次に、又は、独立に投与することができる。種々の実施形態において、吸入器の計量供給された各用量又は1回の作動には、典型的には、25μg〜100μgのサルメテロール及び25μg〜500μgのプロピオン酸フルチカゾンが含まれている。該医薬製剤は、1日当たりさまざまな投与回数に従う製剤として投与することができる。一実施形態では、該医薬製剤は、1日に2回投与する。
【0042】
種々の医薬製剤中で使用し得る薬物の特定の組合せについての実施形態は、以下のとおりである:
(1) プロピオン酸フルチカゾン100μg/キシナホ酸サルメテロール72.5μg(サルメテロール塩基50μgに相当する);
(2) プロピオン酸フルチカゾン250μg/キシナホ酸サルメテロール72.5μg(サルメテロール塩基50μgに相当する);
(3) プロピオン酸フルチカゾン500μg/キシナホ酸サルメテロール72.5μg(サルメテロール塩基50μgに相当する)。
【0043】
種々の実施形態において、該医薬製剤は、吸入可能なさまざまな製剤の形態で存在させることができる。一実施形態では、該医薬製剤は、乾燥粉末製剤の形態で存在している。そのような製剤は、既知技術に従って製剤することができる。本発明は、さらに、吸入可能な製剤を含む吸入装置も包含する。吸入により肺へ局所送達するための乾燥粉末製剤は、例えば、吸入器又は吹送器で使用するためのカプセル及びカートリッジ(例えば、ゼラチン製)、又は、ブリスター(例えば、積層アルミニウム箔製)に入れて供することができる。粉末混合製剤は、一般に、本発明化合物の吸入用粉末混合物及び適切な粉末基剤(これは、乳糖を含み、さらに、場合により、少なくとも1種類のさらなる賦形剤(例えば、担体、希釈剤など)を含んでいてもよい)を含む。種々の実施形態において、各カプセル又はカートリッジには、一般に、20μg〜10mgの少なくとも1種類の薬物を含有させることができる。一実施形態では、該製剤は、例えば共沈又はコーティングなどにより、少なくとも1種類の薬物及び1種類又は2種類以上の賦形剤物質を含む粒子の形に形成させることができる。乾燥粉末として使用する場合、該製剤をパッケージ化することは、単位用量送達又は複数用量送達に適切であり得る。複数用量送達の場合、該製剤は、予め計量しておくことが可能である(例えば、「Diskus(登録商標)」の場合:GB 2242134、米国特許第6,032,666号、米国特許第5,860,419号、米国特許第5,873,360号、米国特許第5,590,645号、米国特許第6,378,519号及び米国特許第6,536,427号を参照されたい;又は、「Diskhaler」の場合:GB 2178965、GB 2129691及びGB 2169265、米国特許第4,778,054号、米国特許第4,811,731号、米国特許第5,035,237号を参照されたい)、又は、使用時に計量することも可能である(例えば、「Turbuhaler」の場合:EP 69715を参照されたい;又は、米国特許第6,321,747号に記載されている装置の場合)。単位用量装置の一例は、「Rotahaler」(GB 2064336を参照されたい)である。一実施形態では、Diskus(登録商標)吸入装置は、その長さ方向に沿って配置された複数の穴を有するベースシート及び複数の容器を画定するためにベースシートに密閉しているが剥離可能にシールされているリッドシート(lid sheet)から形成された細長いストリップを含んでおり、ここで、各容器は、その中に、少なくとも1種類の薬物及び該乳糖を含む吸入可能な製剤(ここで、該製剤は、場合により別の賦形剤も一緒に含んでいてもよい)を含む。好ましくは、該ストリップは、巻き取ってロールとするのに充分な柔軟性を有している。該リッドシート及びベースシートは、好ましくは、互いにシールされていない先端部分を有しており、該先端部分の少なくとも1つは、巻き上げ手段に付着するように作られている。さらにまた、好ましくは、ベースシートとリッドシートの間の気密シールは、それらの幅全体に及んでいる。該リッドシートは、好ましくは、該ベースシートの第一の端部から長手方向に剥がすことができる。
【0044】
一実施形態では、該製剤は、懸濁液中で若しくは懸濁液として使用し得るか、又は、適切な噴射剤(例えば ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、二酸化炭素又は別の適切なガス)を用いて加圧パックから送達されるエーロゾルとして使用し得る。その様な製剤は、加圧吸入器、例えば、定量吸入器(Metered Dose Inhaler)(MDI)などを用いて送達し得る。代表的なMDIは、典型的には、当該医薬製剤を送達するのに適したキャニスターを含む。キャニスターとしては、一般に、使用する噴射剤の蒸気圧に耐え得る容器、例えば、プラスチック製若しくはプラスチックでコーティングしたガラス製のボトル、又は、好ましくは、金属製の缶、例えば、アルミニウム缶(ここで、これは、場合により陽極処理されていてもよく、場合によりラッカーコーティングされていてもよく、及び/又は、場合によりプラスチックコーティングされていてもよい)が挙げられ、該容器は、計量バルブで閉じられている。その内表面がフルオロカーボンポリマーでコーティングされているアルミニウム缶が特に好ましい。そのようなポリマーは、以下のモノマー単位の倍量から作ることができる:テトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(EFTE)、ビニルジエンフルオリド(PVDF)及び塩素化エチレンテトラフルオロエチレン。MDIの内表面の全て又は一部に使用するコーティングの実施形態は、米国特許第6,143,277号、米国特許第6,511,653号、米国特許第6,253,762号、米国特許第6,532,955号及び米国特許第6,546,928号に記載されている。
【0045】
MDIには、さらに、計量バルブを含ませることが可能であり、ここで、該計量バルブは、1回の作動当たり計量された量の製剤を送達するように設計されており、また、該バルブを介する噴射剤の漏出を防ぐためのガスケットを有する。そのようなガスケットには、任意の適切なエラストマー材料、例えば、低密度ポリエチレン、クロロブチル、黒色及び白色ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ブチルゴム並びにネオプレンなどを含ませることができる。適切なバルブは、エーロゾル産業でよく知られている製造業者、例えば、「Valois, France」(例えば、DF10、DF30、DF60)、「Bespak plc, UK」(例えば、BK300、BK356)、及び、「3M-Neotechnic Ltd, UK」(例えば、SpraymiserTM)から市販されている。計量バルブの実施形態は、米国特許第6,170,717号、米国特許第6,315,173号及び米国特許第6,318,603号に記載されている。
【0046】
種々の実施形態において、該MDIは、別の構造物(例えば、限定するものではないが、MDIを保存及び収容するためのオーバーラップ包装、例えば、米国特許第6,390,291号に記載されているものなど)や、用量計測ユニット(例えば、限定するものではないが、米国特許第6,360,739号及び米国特許第6,431,168号に記載されているものなど)と組み合わせて使用することもできる。
【0047】
上記のものに加えて、該医薬製剤は、カプセル剤、サッシェ剤、バッカル錠剤(tablet buccal)、ロゼンジ剤、紙又は別の容器に入れて使用することもできる。さらに、該製剤は、錠剤、丸剤、散剤、エリキシル剤、懸濁液剤、エマルション剤、溶液剤、シロップ剤、カプセル剤(例えば、ソフトゼラチンカプセル剤及びハードゼラチンカプセル剤)、坐剤、無菌の注射可能溶液剤及び無菌の包装された散剤の形態であることもできる。場合により、賦形剤、担体及び希釈剤などを使用してもよい。
【0048】
本発明の方法で形成された医薬製剤は、多くの種類の呼吸器疾患の治療(これは、例えば、維持療法及び/又は予防を包含する)に使用することができる。そのような呼吸器の状態としては、限定するものではないが、可逆的気道閉塞を伴う疾患及び状態、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(例えば、慢性及び喘息様気管支炎、気腫)、気道感染症及び上部気道疾患(例えば、鼻炎、例えば、アレルギー性鼻炎及び季節性鼻炎)などを挙げることができる。そのような治療は、薬物を哺乳動物に送達することにより実施する。従って、上記を考慮すれば、別の態様において、本発明は、呼吸器疾患を治療する方法を提供し、ここで、該方法は、薬学的に有効な量の医薬製剤を哺乳動物(例えば、ヒト)に投与することを含む。本発明の目的のために、「薬学的に有効な量(pharmaceutically effective amount)」は、広く解釈されるべきであり、該疾患の治療を包含する。一実施形態では、上記投与は、本明細書に記載されている吸入装置を用いて実施する。一実施形態では、上記投与は、鼻内吸入又は経口吸入により実施する。
【0049】
本発明は、従来技術に対して、潜在的な有利点を提供する。一例として、本発明によって、本方法により形成された乳糖の粒度分布の改善された制御が可能となる。即ち、供給された乳糖の粒度分布とは関係なく、供給された乳糖から乳糖のよりばらつきの少ない粒度分布及び/又はよりばらつきの少ない表面形態を達成することが可能となる。特に、本発明の方法により形成された乳糖は、文献(X.M.Zeng et al., International Journal of Pharmaceutics, 176(1998)99-110)に記載されている分布とは対照的に、より連続的な粒度分布を示すことが可能である、即ち、粒度分布内にギャップが殆ど存在していないか又は全く存在していない。
【0050】
本発明は、非常に有利である。一実施形態では、例えば、細粒分を伴わない粗粒分が医薬製剤での使用に適するように、分級におけるカットポイントを選択することができる。一実施形態では、得られた乳糖組成物が医薬製剤での使用に適するように、少なくとも細粒分の一部(0、5、10、15、20、25、30、35、40又は45から55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100重量%までの範囲)と少なくとも粗粒分の一部(0、5、10、15、20、25、30、35、40又は45から55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100重量%までの範囲)とを合する(例えば、混合する)ことができる。一実施形態では、粗粒分を全く伴うことなく細粒分を医薬製剤中で使用することができる。上記実施形態に関して、FPMassの要件を満たすことができるように、乳糖を充分に微細な物質と一緒に用いるのが好ましい。典型的には、シンパテック(Sympatec)で測定して4.5ミクロン未満の粒子を2%〜10%(体積基準)含む乳糖を用いて20%〜30%(重量基準)の薬物含有量を達成するのが好ましい。
【0051】
上記のことを考慮して、一実施形態において、本発明は、さらに、少なくとも1種類の薬物を乳糖組成物と合して医薬製剤を形成させることを含む。そのような実施形態における該乳糖組成物は、0、5、10、15、20、25、30、35、40又は45から55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100重量%までの粗粒分と0、5、10、15、20、25、30、35、40又は45から55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100重量%までの細粒分とを含有し得る。さらに、一実施形態において、本発明は、少なくとも粗粒分の一部と少なくとも細粒分の一部とを合して乳糖組成物を形成させること;及び、その後、その乳糖組成物を少なくとも1種類の薬物と合して医薬製剤を形成させることをさらに含み得る。あるいは、一実施形態において、本発明は、(i)0、5、10、15、20、25、30、35、40又は45から55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100重量%までの粗粒分と(ii)0、5、10、15、20、25、30、35、40又は45から55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100重量%までの細粒分と(iii)少なくとも1種類の薬物を同時に合して医薬製剤を形成させることも包含し得る。
【0052】
小さな粒子の大部分は粉砕により生成されているので、それらは、全て、典型的には同じような表面の粗さを有している。比較として、体積平均粒径が70ミクロン未満の粒子を含む乳糖バッチを粉砕機に導入する場合、これらの粒子は、粉砕作用により粒径が低減される必要なく、本質的に該粉砕機を通り抜ける。結果として、これらの粒子は、粉砕された乳糖粒子と比較して、滑らかな結晶質表面を依然として示すであろう。これらは、次に、該活性分子と種々の相互作用を引き起こす原因となり得る。
【0053】
従って、粉砕機への供給材料からこれらの小さな結晶質粒子を実質的に低減するか又は排除することにより、粉砕された粒子の粒径を制御することが可能となるばかりではなく、そのような粒子は、さらに一層均一な表面形態も示すことになる。
【0054】
マルバーン法(Malvern Methodology)
本明細書において記載されているマルバーン測定値は、下記に従って測定する。
【0055】
装置
Malvern Mastersizer、焦点距離が300mmのレンズが付いているレーザー回折粒度分析装置;
MS15 ステンレススチール製フロースルー測定セル、パス幅2.2mm (Malvern);
MSX1 少容量表示ユニット (Malvern);
Viton管:内径4.8mm、壁厚1.6mm (Watson-Marlow);
Viton管又はNeoprene管:内径約15mm、壁厚2mm (Watson-Marlow);
0.22μm最大口径薄膜フィルター型GV(Sartorius/Millipore)を有する陽圧又は真空濾過装置;
化学天秤(Mettler, electronic)最小秤量30グラム(精度小数点以下4桁);
サンプルを移動するためのスパチュラ;
溶媒:HPLCグレードのイソオクタン。
【0056】
試験方法
この節では、1バッチの乳糖を測定する手順について要点を述べる。各バッチについて、3つの代表的なサンプルを2反復で測定するのが好ましい。
【0057】
液体分散剤の調製
2リットルの液体分散剤を調製するために、超音波処理を用いて、0.7gのレシチンNFを10cm3のイソオクタンに溶解させて、分散剤濃厚液を調製する。
【0058】
真空濾過ユニットと0.22μmフィルターディスクを用いて、充分な量のイソオクタンを濾過する。この濾過の間に上記分散剤濃厚液も溶液に添加して、それも濾過して混ぜ合わせる。予め清浄しておいたWinchester溶媒容器中に保存する(液体分散剤)。
【0059】
濾過した液体分散剤は、使用しないときは、溶剤用カップボード中に保存すべきである。
【0060】
液体分散剤は、分析後に上記から再濾過し、イソオクタンで体積を補うことにより再利用することができる。
【0061】
Malvern Mastersizerの準備
「Malvern Mastersizer」における以下の測定パラメータを試験サンプルに関してセットする。
【表3】

【0062】
MSX1 少容量表示ユニットをセットして、Viton管の表示ユニットからフロースルーセルまでの全長が30cmを超えないようにする。適切な大きさ(内径約15mm)のViton管又はNeoprene管(逃がし管)の一端を排水管に取り付け、もう一方の端部を床の上に置いた赤色の非塩素化廃棄溶液用容器内に配置する。
【0063】
表示ユニット及びセルに液体分散剤を流して洗浄し、排水する。
【0064】
イソオクタン/レシチン分散剤で再度満たし、11オクロック(o' clock)(1500±100rpm)の撹拌機速度を用いてレーザービームを調整する。レーザーの強度は、「良好(good)」の領域内とする。
【0065】
レーザーの調整後は、好ましくは、撹拌機の速度は変えるべきではない。
【0066】
サンプルの測定
スパチュラを用いて粉末サンプルを表示ユニットに添加して、0.18〜0.22の範囲内のオブスキュレーション値(obscuration value)を得る。
【0067】
分散液が平衡化してオブスキュレーション値が安定化するように、60秒間のそのままにしておく。
【0068】
粒度分布を測定する。適切であると思われる場合には、測定を繰り返す。
【0069】
シンパテック法(Sympatec Methodology)
以下の技術を用いて、本明細書に記載されているシンパテック測定を実施することができる。
【表4】

【0070】
シンパテックHELOSに、RODOS乾燥粉末分散ユニット及びVIBRI振動フィーダを供給する。
【0071】
これらの測定においては、測定装置と連結してソフトウェアを使用する。
【0072】
RODOS分散システムでは、圧力制御ダイヤルを用いてインジェクターの一次圧力を調節すべきである。その一次圧力は、1.3〜1.7バールの範囲内にあるべきであるが、各実験に当たり1.5バールを目標とすべきである。インジェクターの減圧(depression)は、調整リングを用いて最適化すべきである。調整リングの回転方向(時計回り又は反時計回り)は得られる減圧に対して悪影響を及ぼすことはない。RODOS/M分散システムを有している装置上で、ソフトウェアアルゴリズムを用いて一次圧力を調整することができる。インジェクターの減圧は、「自動調節低圧(auto-adjust depr)」ボタンをクリックして最大化すべきである。インジェクターの減圧が1.3〜1.7バールで55mbar未満である場合は、当該装置は使用すべきではない。
【0073】
サンプルの分析
分析に先立ち、ポットを一方向に少なくとも10回ゆっくりと転倒回転させ、少なくとも10回反対方向にゆっくりと転倒回転させることにより、サンプルを均質化する。このことは、サンプルをポットから最初に取り出すときにのみ必要である。
【0074】
Kartell「スプーン/フラット(spoon/flat)」多目的スパチュラ(Fisherカタログ番号 SMJ-410-091M,容積約1.8cm3)を用いて、2±1gの乳糖サンプルをVIBRIに取り付けられている漏斗内に移す。
【0075】
スプーン山盛り一杯の乳糖粉末で2.0〜3.0gの範囲のサンプルが提供されることが示されている。
【0076】
以下の実施例に関連して、本発明について説明する。以下の実施例は、例証することのみを目的として記載されているものであって、「特許請求の範囲」により定義されている本発明の範囲を限定するものではないということは、理解されるべきである。
【実施例】
【0077】
実施例1
乳糖の処理
粗い結晶質乳糖Aの2つバッチを選択した。それらは、異なったD50を示す故に、互いに異なっていた。マルバーンレーザー粒度測定法で測定して、バッチ1のD50は110〜130ミクロンであり、バッチ2のD50は160〜180ミクロンであった。
【0078】
次いで、これらのバッチを、それぞれ、空気分級機を用いて細粒分と粗粒分に分離させた。カットポイントは、公称約80ミクロンであった。
【0079】
いずれの場合にも、細粒分は廃棄し、粗粒分を、粉砕された生成物のD50が公称60〜70ミクロンとなるように空気分級粉砕機(ACM)内で粉砕した。
【0080】
その粉砕した乳糖のバッチを、次に、公称25ミクロンのカットポイントで分級して、細粒分及び粗粒分を形成させた。
【0081】
粉砕した各バッチに由来する適切な比率の粗粒分と細粒分を、4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が以下のようになるように、一緒に混合させた:
(i) 6.7%±0.3%; バッチ1由来
(ii) 5.0%±0.3%; バッチ1由来
(iii) 3.3%±0.3%; バッチ1由来
(iv) 6.7%±0.3%; バッチ2由来
(v) 5.0%±0.3%; バッチ2由来
(vi) 3.3%±0.3%; バッチ2由来
上記教示は、以下のプロトコルによって例証される。
【0082】
以下の開発プロトコル(development protocol)の目的は、異なった供給結晶質乳糖Aバッチから総体的な粒度分布が等しい乳糖バッチを製造することである。
【0083】
乳糖の供給、粉砕、分級及び混合は、以下のものを用いて実施することができる:
(1) 100kgの材料を混合することができる試験規模の混合機(「試験規模混合機」)
(2) 大規模の分級機、例えば、大規模製造に適した独立型装置として使用可能な分級機(「大規模分級機」)
以下の実験方法を使用することができる。
【0084】
1.80ミクロン未満の乳糖の割合(%)の点で互いに異なっている結晶質乳糖Aの2つのバッチを選択する。結晶質乳糖Aを供給乳糖として使用する。結晶質乳糖Aは、「Borculo Domo Ingredients of Borculo, Netherlands」により市販されている。
【0085】
それらを、バッチ1(これは、120〜130ミクロンのD50を有する)及びバッチ2(これは、170〜180ミクロンのD50を有する)と定義する。バッチ1における15ミクロン未満の割合(%)は3%を超えているはずであり、一方、バッチ2における15ミクロン未満の乳糖の割合(%)は1.5%未満のはずである。
【0086】
2.大規模分級機を用いて、各フルバッチを、一方が80ミクロン未満でもう一方が80ミクロンを超えている2つの画分に可能な限りきれいに分離させる。両方のバッチに対して同じ設定を用いるべきであり、分級中には設定を変えないのが望ましい。
【0087】
3.バッチ1とバッチ2の両方に由来する80ミクロンを超える乳糖の画分のみを粉砕する。粉砕機は、商業的に供給されているものについて使用されている公称設定と同じ公称設定とするが、粉砕機と内蔵されている分級機がより効率的に動作するように、乳糖の処理量(throughput rate)を低減する。設定後は、試験用の粉砕物を全て廃棄し、次いで、80ミクロンを超えている乳糖の各バッチを同じ設定で粉砕する。
【0088】
4.大規模分級機を用いて、粉砕された各バッチを、一方が公称25ミクロン未満でもう一方が公称25ミクロンを超えている2つの画分に可能な限りきれいに分離させる。両方のバッチに対して同じ設定を用いるべきであり、分級中には設定を変えないのが望ましい。
【0089】
5.混合による再結合:分級された画分の各バッチに由来する適切なアリコートを用いて、試験規模混合機内で乳糖を再結合させて、以下のものを得る:
a - 4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が6.7%±0.3%である100kgの生成物-バッチ1由来
b - 4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が5.0%±0.3%である100kgの生成物-バッチ1由来
c - 4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が3.3%±0.3%である100kgの生成物-バッチ1由来
これを、2番目の供給バッチからの乳糖を用いて繰り返すことができる。(d)は、可能な限り(a)と同じになるはずである。
【0090】
d - 4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が6.7%±0.3%である100kgの生成物-バッチ2由来
e - 4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が5.0%±0.3%である100kgの生成物-バッチ2由来
f - 4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が3.3%±0.3%である100kgの生成物-バッチ2由来
6.混合機からの乳糖を縛って封をしたポリエチレン製袋の中に20kgずつ分配し、ホイルラミネート製袋に入れてヒートシールし、段ボール箱に入れる。各バッチから少なくとも5箱を包装する。
【0091】
実施例2
乳糖の処理
粗い結晶質乳糖Aの2つバッチを選択した。それらは、異なったD50を示す故に、互いに異なっていた。マルバーンレーザー粒度測定法で測定して、バッチ1のD50は110〜130ミクロンであり、バッチ2のD50は160〜180ミクロンであった。
【0092】
次いで、これらのバッチを、それぞれ、空気分級機を用いて細粒分と粗粒分に分離させた。カットポイントは、公称約80ミクロンであった。
【0093】
いずれの場合にも、細粒分は廃棄し、粗粒分を、粉砕された生成物のD50が公称60〜70ミクロンとなるように空気分級粉砕機(ACM)内で粉砕した。
【0094】
粉砕した両方の乳糖のバッチを、次に、150ミクロンの篩に通した。これは、実施例1と比較して、追加されたステップである。
【0095】
その粉砕した乳糖のバッチを、次に、公称25ミクロンのカットポイントで分級して、細粒分及び粗粒分を形成させた。
【0096】
粉砕した各バッチに由来する適切な比率の粗粒分と細粒分を、4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が以下のようになるように、一緒に混合させた:
(i) 6.7%±0.3%; バッチ1由来
(ii) 5.0%±0.3%; バッチ1由来
(iii) 3.3%±0.3%; バッチ1由来
(i) 6.7%±0.3%; バッチ2由来
(ii) 5.0%±0.3%; バッチ2由来
(iii) 3.3%±0.3%; バッチ2由来
このプロトコルの単位操作は、供給材料の分級プロセス、乳糖の粉砕、分級、篩かけ及び混合に関連する。
【0097】
以下の装置を用いることができる:
試験規模混合機
大規模分級機
この実施例の目的は、異なった供給バッチから総体的な粒度分布が等しい乳糖バッチを製造することである。この試験では、大規模分級機を使用する。
【0098】
上記教示は、以下のプロトコルによって例証される:
1.結晶質乳糖Aの2つのバッチ、バッチ1及びバッチ2を選択する。バッチ1は、D50が120〜130ミクロンであり、且つ、15ミクロン未満の乳糖の割合(%)は3%を超えており、バッチ2は、D50が170〜180ミクロンであり、且つ、15ミクロン未満の乳糖の割合(%)は1.5%未満である。しかしながら、このプロトコルの目的のために、バッチ1のD50が110〜130ミクロンとなり且つバッチ2のD50が160〜180ミクロンとなるように、D50の範囲を変更した。
【0099】
これらの大きな袋は、それぞれ、段階2から段階5まで記載されているように、同じ方法で処理する。
【0100】
2.大規模分級機を用いて、全バッチを、一方が80ミクロン未満でもう一方が80ミクロンを超えている2つの画分に可能な限りきれいに分離させる。実施例1で使用した設定と同じ設定を用いるべきであり、分級中には設定を変えないのが望ましい。
【0101】
3.2から得た粗粒分を粉砕する。粉砕機は、典型的な乳糖の粉砕に使用するのと公称同一に設定する。粉砕機の設定後は、試験用の粉砕物を全て廃棄し、次いで、上記バッチからの粗粒分を同じ設定で粉砕する。
【0102】
4.粉砕した材料を150ミクロンの篩に通して篩にかける。
【0103】
5.大規模分級機を用いて、粉砕して篩にかけた各バッチを、一方が公称25ミクロン未満でもう一方が公称25ミクロンを超えている2つの画分に可能な限りきれいに分離させる。これらの設定は、該バッチの分級中は、一定に維持するべきである。
【0104】
6.混合による再結合:段階5の終わりのバッチ1及びバッチ2に由来する適切な粗粒分のアリコート及び細粒分のアリコートを用いて、試験規模混合機内で乳糖を再結合させて、以下のものを得る:
a - 4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が6.7%±0.3%である100kgの生成物-(バッチ1、細粒分供給材料)
b - 4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が6.7%±0.3%である100kgの生成物-(バッチ2、粗粒分供給材料)
これらの再結合に関しては、D50の目標値は定められていない。60〜90ミクロンが理想的であろう。
【0105】
7.混合機からの乳糖を縛って封をしたポリエチレン製袋の中に20kgずつ分配し、ホイルラミネート製袋に入れてヒートシールし、段ボール箱に入れる。各バッチから少なくとも5箱を包装する。
【0106】
実施例3
乳糖の処理
粗い結晶質乳糖Aの2つバッチを選択した。それらは、異なったD50を示す故に、互いに異なっていた。マルバーンレーザー粒度測定法で測定して、バッチ1のD50は110〜130ミクロンであり、バッチ2のD50は160〜180ミクロンであった。
【0107】
次いで、これらのバッチを、それぞれ、空気分級機を用いて細粒分と粗粒分に分離させた。カットポイントは、公称約80ミクロンであった。
【0108】
いずれの場合にも、細粒分は廃棄し、粗粒分を、粉砕された生成物のD50が公称60〜70ミクロンとなるように空気分級粉砕機(ACM)内で粉砕した。
【0109】
粉砕した乳糖のバッチを、次に、公称25ミクロンのカットポイントで分級して、細粒分及び粗粒分を形成させた。
【0110】
粉砕した各バッチに由来する適切な比率の粗粒分と細粒分を、4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が以下のようになるように、一緒に混合させた:
(i) 6.3%±0.3%; バッチ1由来
(ii) 6.0%±0.3%; バッチ1由来
(iii) 5.5%±0.3%; バッチ1由来
(i) 6.3%±0.3%; バッチ2由来
(ii) 6.0%±0.3%; バッチ2由来
(iii) 5.5%±0.3%; バッチ2由来
上記教示は、以下のプロトコルによって例証される:
このプロトコルの単位操作は、供給材料の分級プロセス、乳糖の粉砕、分級、篩かけ及び混合に関連する。
【0111】
この実施例に記載されているプロトコルの目的は、異なった供給バッチから総体的な粒度分布が等しい乳糖バッチを製造することである。この試験では、大規模分級機を使用する。
【0112】
1.結晶質乳糖Aの2つのバッチ、バッチ1及びバッチ2を選択する。バッチ1は、D50が120〜130ミクロンであり、且つ、15ミクロン未満の乳糖の割合(%)は3%を超えており、バッチ2は、D50が170〜180ミクロンであり、且つ、15ミクロン未満の乳糖の割合(%)は1.5%未満である。しかしながら、このプロトコルの目的のために、バッチ1のD50が110〜130ミクロンとなり且つバッチ2のD50が160〜180ミクロンとなるように、D50の範囲を変更した。
【0113】
これらの大きな袋は、それぞれ、段階2から段階4まで記載されているように、同じ方法で処理する。
【0114】
2.大規模分級機を用いて、全バッチを、一方が80ミクロン未満でもう一方が80ミクロンを超えている2つの画分に可能な限りきれいに分離させる。実施例2で使用した設定(それらは、下記表3に示してある)と同じ設定を用いるべきである。分級中には設定を変えないのが望ましい。
【表5】

【0115】
3.大規模分級機を表4の設定で用いて、粉砕した各バッチを、一方が公称25ミクロン未満でもう一方が公称25ミクロンを超えている2つの画分に可能な限りきれいに分離させる。
【表6】

【0116】
上記設定により、約80%(wt/wt)が粗大材料で約20%(wt/wt)が微細材料であるバッチを提供することができる。
【0117】
4.混合による再結合:段階3の終わりのバッチ1及びバッチ2に由来する適切な粗粒分のアリコート及び細粒分のアリコートを用いて、試験規模混合機内で乳糖を再結合させて、以下のものを得る:
a - 4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が6.3%±0.3%である100kgの生成物-バッチ1由来
b - 4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が6.0%±0.3%である100kgの生成物-バッチ1由来
c - 4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が5.5%±0.3%である100kgの生成物-バッチ1由来
これを、2番目の供給バッチからの乳糖を用いて繰り返す。
【0118】
d - 4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が6.3%±0.3%である100kgの生成物-バッチ2由来
e - 4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が6.0%±0.3%である100kgの生成物-バッチ2由来
f - 4.5ミクロン未満の乳糖の割合(%)が5.5%±0.3%である100kgの生成物-バッチ2由来
・ 上記組合せの各対において、同じ量の粗粒分と細粒分を用いる。
【0119】
・ マルバーンのデータを確保する。シンパテックのシートは、該表のデータと一致する。
【表7】

【0120】

【表8】

【0121】
実施例1から実施例3までを通して、そこで例証されているプロトコル内に記載されているパラメータの重要な側面は、製造される最終生成物中の微細な乳糖の所望される量に関わりなく初期段階が全て同じであるということである。所望されるさまざまな量の微細な乳糖は、最終生成物中により多くの微細な乳糖を必要とする乳糖バッチのために「激しく」粉砕することなく、適切な割合の粗粒分と細粒分を合することにより達成される。表6及び表7は、これらの試験で使用した供給バッチA結晶のマルバーンとシンパテックの両方による粒径を示している。
【0122】
これらの3つの実験から、初期段階は、全て、全く同じではないにしても、類似しているということを理解することができる。変更が存在している唯一の段階は、混合段階であり、4.5ミクロン未満の比率(%)の必要とされる目標値を達成するために、より多くの微細な乳糖が添加される。
【0123】
表6及び表7は、実施例1、実施例2及び実施例3で使用した粗大な供給結晶質乳糖と微細な供給結晶質乳糖の両方についての粒径データを示している(マルバーン及びシンパテック)。
【表9】

【表10】

【0124】
ディスカッション
上記3つの実施例のそれぞれにおいて、粗大な供給乳糖と微細な供給乳糖の両方を選択することにより、ある範囲の供給乳糖がカバーされた。それらは、本質的に粉砕されることなく粉砕機を通過して、最終的に生成物の中に入るさまざまな量の乳糖を含む。
【0125】
実施例1〜実施例3のそれぞれにおいて、得られた供給材料が粉砕機に供されるときにより均一となるように、上記微細粒子の大部分は分級プロセスによって除去する。目標は、70ミクロン未満の乳糖粒子の量を10%未満に低減することであった。このことを別の方法で表現すれば、得られた乳糖のD10は、70ミクロン(シンパテックによる)を超えているべきである。
【0126】
3つの実施例の結果を表8に示す。
【表11】

【0127】
表8から、70ミクロン未満の微細な材料を除去する目標が完全には達成されなかった例が2つ存在したことが分かるが、66ミクロンと67ミクロンという値は充分に近い値なので、それらは実験の結果に影響を及ぼしていないと考えられる。
【0128】
分級された供給材料の粉砕
次いで、粗粒分のそれぞれを粉砕して、D50を60〜70ミクロン(マルバーンによる)に低減させた。実施例1で得られた値は、僅かに強く粉砕することが必要であったことを示している。そこで、これは、実施例2及び実施例3に合わせて調節した。
【0129】
結果は、表9(マルバーン)及び表10(シンパテック)に示してある。
【表12】

【表13】

【0130】
粉砕された乳糖の分級
粉砕した乳糖を、次に、投入される供給乳糖から微細な乳糖を分離するのに用いたのと同じ分級機を用いて、粗粒分と細粒分に分離させた。得られた粒径データは、表11、表12、表13及び表14に示してある。
【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【0131】
混合による再結合
次いで、実施例1〜実施例3では、得られた混合物が必要とされる量の4.5ミクロン未満の乳糖を含むように、細粒分と粗粒分の適切な一部分を一緒に混合させることが求められる。これは、キシナホ酸サルメテロールとプロピオン酸フルチカゾンの吸入可能な製剤についてFPMass性能の所望の値を達成するためである。これらの目標値は、実施例1〜実施例3に記載されており、結果は、表15〜表17に示してある。
【表18】

【0132】
上記実施例1のデータから、いずれの場合も4.5ミクロン未満の割合(%)においてシンパテックによる目標値が達成されたことが分かる。
【表19】

【0133】
実施例2の粒径データから、いずれの場合もシンパテックによる目標値が達成されたことが分かる。
【表20】

【0134】
実施例3のデータから、シンパテックによる目標値が、粗大な供給材料から生じた3つのバッチについては達成されたが、微細な供給材料から生じたバッチについては達成されなかったことが分かる。
【0135】
慣用の製造物について、細粒分と粗粒分の両方のD10、D50、D90及び15ミクロン未満の割合(%)の平均値と相対標準偏差を評価し、本発明の方法と比較した。それらは、表17に示してある。全ての値はマルバーンデータであり、18ヶ月間にわたって製造された同じ乳糖製品の全てのバッチは、正常な製造物である。
【表21】

【0136】
表17における結果は、実施例1と実施例2及び3との間で粉砕の設定を調節したという事実にもかかわらず、粗粒分及び細粒分の粒径は、通常の製造中に得られたものよりもばらつきが少ないことを示している。表18において示されているように、該評価から実施例1のデータを排除した場合、粒径におけるばらつきは、さらに少なくなる。
【表22】

【0137】
実施例1、実施例2及び実施例3に関する粒径プロフィール
実施例1及び実施例3で製造した乳糖の3つの対のそれぞれについての完全なプロフィールは、図1〜図3に示してある。
【0138】
これら3対の曲線は、それぞれの場合において、「粗大な」供給材料及び「微細な」供給材料に由来しているのにもかかわらず、まあまあ類似しているということが分かる。比較のために、図4は、同様の乳糖を通常に製造する2つのバッチを重ねて記載した実施例2のデータを示している。これらは、通常の製造中に得ることができる異なったプロフィールにおける極値を示している。
【0139】
実施例4
乳糖の製造
以下の実施例は、吸入製剤中で使用するのに適した乳糖の製造を示している。これは、細粒分を粗粒分と合する必要の全くない方法により製造した。
【0140】
以下の実験方法を用いることができる。
【0141】
1.70ミクロン未満の微細な結晶の大部分が除去されて細粒分の中に入るように2トンの結晶質乳糖Aを分級する。
【0142】
残った粗粒分は、下記表19に示されている合否基準を満たさなければならない。
【表23】

【0143】
3.粉砕された生成物のD50について60ミクロン±3ミクロンを目標として、乳糖の粗粒分のみを粉砕する。
【0144】
4.試験規模混合機を使用して、粉砕された300kgのバッチを最大分級機ホイール速度と適切なエアーフローパラメータを用いて細粒分と粗粒分に分離させ、達成可能な最小ミクロンカットポイントを達成する。これにより、可能な限り多くの微細乳糖を含む粗粒分が残る。(生成物A)
5.粉砕された乳糖の別の300kgアリコートに対して4を繰り返すが、分級機ホイールの速度を低減させ、エアーフローは同じ設定に維持する。これにより、いくぶん粗い粗粒分が生成される。(生成物B)
6.粉砕された乳糖の別の300kgアリコートに対して4を再度繰り返すが、分級機ホイールの速度をさらに低減させ、エアーフローは同じ設定に維持する。これにより、さらに粗い粗粒分が生成される。(生成物C)
7.粗粒分に対して細粒分は一切加えないが、粗粒分のそれぞれを確実に均質となるように混合する。混合した乳糖を縛って封をしたポリエチレン製袋の中に20kgずつ分配し、それを、次に、ホイルラミネート製袋に入れてヒートシールする。
【0145】
各バッチからの少なくとも7×20kgの箱を包装し、最終製品上にシンパテックによる粒度分布を記載する。
【表24】

【0146】
表20のデータから、値が表19に記載されている規格を満たしていることが分かる。
【0147】
最終生成物A、B及びCのシンパテックによる全粒度分布の結果は、表21中に記載されている。
【表25】

【0148】
これらのデータは、図8に示してあるように、グラフで表すこともできる。図8から、25ミクロンハイサイズ未満の領域に存在している乳糖の量が吸入剤グレードの乳糖に対して使用される日常的な商業用バッチの乳糖である図4に示されていものと同等であることが分かる。従って、これらの粗粒分は、それを吸入剤グレードの乳糖として有用なものとする適切な微粒子質量(Fine Particle Mass)(FPM)性能を示すことができると考えられる。
【0149】
結論
全ての試験、実施例1、実施例2及び実施例3を、相対湿度75%、25℃で老化促進させて、放出におけるCI性能について評価した。一連の表22A、22B及び22Cは、微粒子質量(Fine Particle Mass)(FPMass)、スロート(Throat)、予備分離器(Pre-separator)並びに段階0、(TP0)及び段階3+4について安定性試験中に得られた初期平均データを示している。
【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

【表30】

【表31】

【表32】

【表33】

【表34】

【0150】
全ての要因を考慮して、上記データは、約70ミクロン未満の微細な乳糖結晶を除去するために供給結晶を予備分級に付しても、乳糖の通常の製造方法と比較した場合、装置の性能を有意に変えることはないと考えられることを示唆している。さらに、また、有利には、本発明は、慣用の方法と比較して粒度分布の制御が改善されている乳糖製造方法を提供する。
【0151】
実施例5
安定性試験
それぞれが本発明に従って形成された乳糖と一緒に100μgのプロピオン酸フルチカゾンと50μgのサルメテロール塩基を含む種々の製剤についての安定性データを、相対湿度75%、25℃で、むき出し条件下で評価した。表23に示してあるように、当該データは、種々の時点で評価した。示されているように、本発明の方法で製造した製剤は、良好な安定特性を示す。
【表35】

【0152】
実施例6〜実施例8
安定性の試験
実施例6〜実施例8は、安定性を評価した種々の医薬製剤について記載している。バッチ01、バッチ02及びバッチ03は、「GlaxoSmithkline of Brentford, United Kingdom」によって市販されている「Advair(登録商標)」を製造するのに使用される慣用の製造方法を実施する前に予備分級段階を用いることにより、本発明に従って加工処理した。バッチ04は、「Advair(登録商標)」の製造方法を用いて製造した。表24〜表28において、記号「T」は、キシナホ酸サルメテロールとプロピオン酸フルチカゾンの粒度分布について、「Method STM-195」に準じて「Cascade Impaction」によって評価したことを示している。
【0153】
表29〜表31は、段階1〜段階5において回収された薬剤の平均変化(%)を示しており、ここで、結果は、各装置についての薬剤の総回収量を考慮するために標準化してある。該変化は、プロトコルで定められている初期時点と最終時点の間で求め、以下の式に従って計算した。
【数1】

【0154】
表32〜表34は、表35〜表130に記載されている安定性試験についての要約を提供している。これらの表は、「Cascade Impaction」の結果について説明している。
【0155】
以下の表に関して:
「500/50μg」は、乳糖中に50μgのサルメテロール塩基と500μgのプロピオン酸フルチカゾンを含む製剤を示しており;
「250/50μg」は、乳糖中に50μgのサルメテロール塩基と250μgのプロピオン酸フルチカゾンを含む製剤を示しており;
「100/50μg」は、乳糖中に50μgのサルメテロール塩基と100μgのプロピオン酸フルチカゾンを含む製剤を示しており;
「MDPI」は、複数用量乾燥粉末吸入器を示している。
【0156】
A*は、使用中の試験(in-use testing)を示している。装置は、25℃/60%RHでの貯蔵から取り出すべきであり、上包みは除去すべきである。サンプルは、25℃/75%RHでの貯蔵に戻すべきである。表25及び表27を参照されたい。
【0157】
表32〜表34において、バッチA、E及びIは、バッチ01に相当する。バッチB、F及びJは、バッチ02に相当する。バッチC、G及びKは、バッチ03に相当する。バッチD、H及びLは、バッチ04に相当する。
【表36】

【表37】

【表38】

【表39】

【表40】

【表41】

【表42】

【表43】

【表44】

【表45】

【表46】

【表47】

【表48】

【表49】

【表50】

【表51】

【表52】

【表53】

【表54】

【表55】

【表56】

【表57】

【表58】

【表59】

【表60】

【表61】

【表62】

【表63】

【表64】

【表65】

【表66】

【表67】

【表68】

【表69】

【表70】

【表71】

【表72】

【表73】

【表74】

【表75】

【表76】

【表77】

【表78】

【表79】

【表80】

【表81】

【表82】

【表83】

【表84】

【表85】

【表86】

【表87】

【表88】

【表89】

【表90】

【表91】

【表92】

【表93】

【表94】

【表95】

【表96】

【表97】

【表98】

【表99】

【表100】

【表101】

【表102】

【表103】

【表104】

【表105】

【表106】

【表107】

【表108】

【表109】

【表110】

【表111】

【表112】

【表113】

【表114】

【表115】

【表116】

【表117】

【表118】

【表119】

【表120】

【表121】

【表122】

【表123】

【表124】

【表125】

【表126】

【表127】

【表128】

【表129】

【表130】

【表131】

【表132】

【表133】

【表134】

【表135】

【表136】

【表137】

【表138】

【表139】

【表140】

【表141】

【表142】

【0158】
上記で説明した実施形態に関連して、本発明について記載した。当該実施形態は、例証することのみを目的としたものであって、「特許請求の範囲」によって定義されている本発明の範囲を限定するものではないということは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】実施例1に従って形成された乳糖に関する粒径プロフィールについて図示している図である。
【図2】実施例2に従って形成された乳糖に関する粒径プロフィールについて図示している図である。
【図3】実施例3に従って形成された乳糖に関する粒径プロフィールについて図示している図である。
【図4】実施例2に従って形成された乳糖に関する粒径プロフィールと2種類の慣用の製造バッチとの比較について図示している図である。
【図5】実施例1,実施例2及び実施例3で使用した初期結晶質A供給乳糖の粒度分布について図示している図である。これは、60ミクロン未満の領域における種々の量の乳糖を示している。
【図6】分級して比較的小さな結晶質乳糖粒子の大部分を除去した後の、結晶質A供給乳糖の粒度分布について図示している図である。
【図7】D10と供給乳糖バッチのスパン(Span of Feed Lactose Batches)の間の相関関係について図示している図である。
【図8】予備分級された乳糖、粗粒分に関する粒度分布について図示している図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製剤での使用に適する乳糖を形成させる方法であって、
約70ミクロン以下の体積平均粒径を有する乳糖粒子の含有量が10%(w/w)以下である複数個の乳糖粒子を提供すること;
上記複数個の乳糖粒子を粉砕して、約50ミクロン〜約100ミクロンの範囲の平均粒径(D50)を有する複数個の粉砕された乳糖粒子を生成させること;
及び
上記複数個の粉砕された乳糖粒子を、細粒分と粗粒分を含む少なくとも2つの画分(ここで、細粒分は、約3ミクロン〜約50ミクロンの範囲の平均粒径(D50)を有し、粗粒分は、約40ミクロン〜約250ミクロンの範囲の平均粒径(D50)を有する)に分級すること;
を含む、前記方法。
【請求項2】
約70ミクロン以下の体積平均粒径を有する乳糖粒子の含有量が10%(w/w)以下である複数個の乳糖粒子を提供する前記ステップが、結晶化プロセスから該複数個の乳糖粒子を得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
約70ミクロン以下の体積平均粒径を有する乳糖粒子の含有量が10%(w/w)以下である複数個の乳糖粒子を提供する前記ステップが、乳糖源を篩にかけて約70ミクロン以下の体積平均粒径を有する乳糖粒子の含有量が10%(w/w)以下である複数個の乳糖粒子を生成させることにより該複数個の乳糖粒子を得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
約70ミクロン以下の体積平均粒径を有する乳糖粒子の含有量が10%(w/w)以下である複数個の乳糖粒子を提供する前記ステップが、乳糖源を細粒分と約70ミクロン以下の体積平均粒径を有する乳糖粒子の含有量が10%(w/w)以下である複数個の乳糖粒子とを含む2つの画分に分級することにより該複数個の乳糖粒子を得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記乳糖が、無水乳糖、乳糖一水和物及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1種類の薬物を乳糖組成物(ここで、該乳糖組成物は、0〜100重量%の前記粗粒分及び0〜100重量%の前記細粒分を含む)と合して医薬製剤を形成させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記粗粒分の少なくとも一部を前記細粒分の少なくとも一部と合して乳糖組成物を形成させること;
及び
該乳糖組成物を少なくとも1種類の薬物と合して医薬製剤を形成させること;
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(i)0〜100重量%の前記粗粒分、(ii)0〜100重量%の前記細粒分及び(iii)少なくとも1種類の薬物を合して医薬製剤を形成させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記医薬製剤が、吸入に適した乾燥粉末医薬製剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種類の薬物が、鎮痛薬、アンギナ用調製物、抗感染薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、鎮咳薬、気管支拡張薬、利尿薬、抗コリン作動薬、ホルモン、キサンチン、治療上有効なタンパク質及びペプチド、それらの塩、それらのエステル、それらの溶媒和物並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種類の薬物が、少なくとも1種類のベータ作動薬を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種類のベータ作動薬が、サルブタモール、テルブタリン、サルメテロール、ビトルテロール、ホルモテロール、それらのエステル、それらの溶媒和物、それらの塩及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1種類のベータ作動薬がキシナホ酸サルメテロールを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1種類のベータ作動薬が硫酸サルブタモールを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1種類の薬物が少なくとも1種類の抗炎症性ステロイドを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1種類の抗炎症性ステロイドが、モメタゾン、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルチカゾン、デキサメタゾン、フルニソリド、トリアムシノロン、それらのエステル、それらの溶媒和物、それらの塩及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1種類の抗炎症性ステロイドがプロピオン酸フルチカゾンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種類の薬物が、少なくとも1種類のベータ作動薬及び少なくとも1種類の抗炎症性ステロイドを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1種類のベータ作動薬がキシナホ酸サルメテロールを含んでおり、且つ、前記少なくとも1種類の抗炎症性ステロイドがプロピオン酸フルチカゾンを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1種類の薬物が、ベクロメタゾン、フルチカゾン、フルニソリド、ブデソニド、ロフレポニド、モメタゾン、トリアムシノロン、ノスカピン、アルブテロール、サルメテロール、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール、ホルモテロール、イソプレナリン、メタプロテレノール、テルブタリン、チオトロピウム、イパトロピウム、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、イソエタリン、ツロブテロール、(-)-4-アミノ-3,5-ジクロロ-α-[[[6-[2-(2-ピリジニル)エトキシ]ヘキシル]メチル]ベンゼンメタノール、それらのエステル、それらの溶媒和物、それらの塩及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1種類の薬物が、硫酸アルブテロール、キシナホ酸サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項22】
前記医薬製剤が少なくとも1種類の付加的な賦形剤をさらに含む、請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−530093(P2008−530093A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555148(P2007−555148)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/004032
【国際公開番号】WO2006/086270
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【出願人】(505310426)フリースランド ブランズ ビー.ブイ. (3)
【Fターム(参考)】